フィッシャーのチェス(139)

フィッシャーのチェス(139)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃

 これには何の神秘もない。筋を開ける駒(ルーク、ビショップ、クイーン、そしてポーンでさえ)は二重または三重の狙いを作り出すことによる開き攻撃が可能である。「バッテリー」駒は攻撃の(あるいはあとで見られるように防御の)新しい筋を得る。そして「隠している」駒は最適な地点を選んで移動することができる。

 筋の開通と閉鎖は釘付け、準釘付け、焦点、チェック、十字チェックなどを伴うがチェスにおける最も強力な手である。F.ボークス・ウィルソンはチェス創作の論理の飽くことのない提唱者だが、チェスのそれぞれの手に関する活動の得点表を考案した。彼の質問はいつも「それは何をするのか」だった。開き攻撃が他のどんな一般的な手よりも「多くのことをする」のは驚くべきことではなく、そのため彼の「評価法」では高い評価になる。この評価法は今では個々の手の相対的な威力の最良の近似として受け入れられている。

 筋の開通(以後は一般に「開き攻撃」と呼ぶ)は本質的に1手による2手指しであるけれども、その効果は見た目でほどには評価されないことがよくある。

フィッシャー対ディ・カミッロ
首都ワシントン、1956年
 39…Rb7

40.Bc7!

 dポーンを守る手段が他にないのでこの一手である。しかしフィッシャーはdポーンをこの危なっかしい地点に進ませるずっと前にこの手を読んでおかなければならなかった。ここで黒は 40…Nf4+ 41.Kf1 のあと最下段での詰みが防げないので投了しなければならなかった。しかし白のこの手自体は深遠さでも想像力でも「妙手」というほどではなかった。論理的というだけである。e列が開通すれば黒クイーン捕りが約束される。この開通に対する唯一の受けはdポーンを取ることである。だから白はポーンが取られないようにする唯一の地点にビショップを進ませた。証明終わり。

(この章続く)

2012年03月10日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: フィッシャーのチェス

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