チェス布局の指し方[88]

チェス布局の指し方[88]

dポーン布局と側面布局

第14章 側面布局 1.b3、1.Nf3、1.c4(続き)

イギリス布局

1.c4 c5(図141)

 図141(白番)

 イギリス布局の 1.c4 はd5の地点を側面から叩いている。白はあとからこの地点を駒で支配し席巻することを望んでいる。側面布局を扱ったこれまでの節では白の間接的な横からの圧力に黒が中原に連鎖ポーンを構築して断固対抗する戦型を見てきた。この節では黒の異なった型の応手を分析する。即ち白の手の真似である。代わりに 1…e5 も非常にありふれていて逆シチリアの型の局面になる。

2.Nc3

 白はd5への圧力を増した。

2…Nc6

 一方黒は白のd4の地点を同じやり方で扱った。

3.g3

 白のキング翼ビショップもd5の地点をにらむように展開される。d5の要所をめぐるこの指し方は白の布局の捌きの最も大事な目的と主題になっている。この目的が達成されれば中盤戦の作戦は、白駒の定められた戦略配置からまるでひとりでのように自然に生じてくる。

3…g6 4.Bg2 Bg7 5.Nf3

 キング翼ナイトのf3への自然な展開は、Nge2 を意図するもっとおとなしい 5.e3 よりも優っている。その場合黒は単に白の手をまねすることにより完全な互角を達成できる。例えば 5.e3 e6 6.Nge2 Nge7 7.O-O O-O 8.d4 cxd4 9.Nxd4 Nxd4 10.exd4 d5 11.cxd5 Nxd5 12.Nxd5 exd5 で引き分け模様の局面になる。

5…Nf6 6.O-O O-O 7.d4!

 この中原でのポーン突きにより白はいくらか優勢が約束される。なぜなら白クイーンもd5の地点と接触するからである。さらに 7.d4 突きは白が展開を完了するための筋を開けている。ビショップをすべて対角斜筋に展開する意図のもっとゆっくりした 7.b3 突きはここでは次のように悪手である。7…Ne4! 8.Bb2 Nxc3 9.Bxc3 Bxc3 10.dxc3 これで白は目に見える代償もなく二重ポーンを作らされている。

7…cxd4

 これ以上まねを続けるのは危険である。7…d5 8.dxc5 dxc4 9.Qa4 となって黒のcポーンが困った事態に陥る。例えば 9…Be6 なら 10.Ng5! でe6のビショップがよくある手段でいじめられる。黒が Nxe6 を許せば双ビショップをなくしポーンの形が乱れる。一方このビショップがe6の地点から立ち退けばcポーンが落ちる。

8.Nxd4

 これで黒は展開の完了に問題を抱えることになる。というのは 8…d6 9.Nxc6 bxc6 10.Bxc6 で白にポーンをただでくれてやることになるからである。そこで黒は次のように指さなければならない。

8…Nxd4 9.Qxd4 d6

 この手はクイーン翼ビショップを展開するためである。

10.Bg5(図142)

 図142(黒番)

 ここまでの手順は1972年世界選手権戦のフィッシャー対スパスキー戦第8局で指された。展開の自由さとd5の地点の強固な支配で白(フィッシャー)が少し有利である。以下の進行例は要所の支配という抽象的な優勢がもっと現実的で具体的なものを得るのにどのように活用できるかを示している。

10…Be6

 これはスパスキーの指した手だが、すぐに …h6 と突いて白のクイーン翼ビショップを追う方がもっと理にかなっていた。

11.Qf4

 黒は 11…Nd5 でキング翼ビショップの利き筋を通して白クイーンに当て、そのあと …Nxc3 で白にとても弱い二重ポーンを作らせることを狙っていた。

11…Qa5 12.Rac1 Rab8 13.b3 Rfc8 14.Qd2 a6 15.Be3 Rc7

 スパスキーは 15…b5 と突き 16.Ba7! で交換損になった。

16.Nd5!

 Qxa5 の狙いがある。

16…Qxd2 17.Bxd2 Nxd5 18.cxd5 Rxc1

 黒はルークが当たりになっているので先にクイーン翼ビショップを動かすことはできない。

19.Rxc1 Bd7 20.Rc7

 局面は白が優勢である。

(完)

2011年11月21日 コメント(1)

カテゴリ: チェス布局の指し方

コメント


コメント

  1. shafumathi より:

    お疲れ様です。
    要点を抑えた簡潔な説明がされていて、
    楽しく棋譜並べができる記事でした。
    少し古くなったものもありますが、そのほとんどは
    現代にも通じるものでしたね。
    いい記事をありがとうございます。



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