チェス布局の指し方[85]

チェス布局の指し方[85]

dポーン布局と側面布局

第14章 側面布局 1.b3、1.Nf3、1.c4(続き)

ニムゾビッチ=ラルセン攻撃

1.b3(図135)

 図135(黒番)

 この手はチェスの偉大な著述家でマスターのアーロン・ニムゾビッチによって散発的に用いられた。そして現代の大会で最も好成績を収めている選手の一人のベント・ラルセンが採用したことにより急激に人気が出た。

1…e5

 これが試練の応手である。この手のあと白は相手が …d5 突きで広大なポーン中原を形成するのを防ぐのが非常に困難になる。1…d5 なら 2.Bb2 で 2…e5 突きを防げる。

2.Bb2

 白は黒のeポーン当たりの先手でクイーン翼ビショップを展開した。実際黒の挑発的なeポーンに対する襲撃は白の将来の戦略における多くの主題の一つとなっている。

2…Nc6

 駒を展開することによりポーンを守るこの手が最善である。2…e4 で白のクイーン翼ビショップの利きからポーンをはずすのはつまらない。白のクイーン翼ビショップの利きへの妨害がなくなり、e4のポーンが攻撃にさらされることになる(例えば d3 や Nc3)。

3.c4

 これは黒に …d5 と突くのを思いとどまらせる手段の一つである。

3…Nf6

 黒はナイトで取り返せるのでまた …d5 突きを狙っている。

4.Nf3

 白はまだ …d5 突きを抑えると共に黒のeポーンを当たりにしている。しかしこれは黒の次の手で展開に後れをとるので非常に危険な手である。

4…e4!

 この手はここでは白のナイト当たりになっているので好手になっている。

5.Nd4

 5.Nh4 はナイトが盤端で孤立してしまう。

5…Bc5

 ビショップが展開してきたが、白は黒に二重ポーンを作らせることができる。

6.Nxc6 dxc6!!

 黒はいつ原則に背いたらよいかを知っている。黒はまず二重ポーンを誘い、そして中央から遠ざかる方に取り返した。通常はこういうやり方はばかげている。しかしここでは次のように黒に十分な代償がある。(a)自分の駒のための素通し列。(b)展開ではるかに優っている。(c)白の出遅れdポーンに対する圧力。6…bxc6 と取り …d5 と突いて中央を強化する方が普通に思われる。しかし黒は最も重要なことはクイーン翼ビショップを最高速度で出すことであることを見通している。

7.e3 Bf5 8.Qc2 Qe7 9.Be2 O-O-O(図136)

 図136(白番)

 これで白は決してdポーン突きによって自陣を解放することができなくなって黒が優位に立っている。この局面は1970年の全世界対ソ連対抗戦の第2回戦第1席の試合に現れた。ラルセンが白を持ちスパスキーが黒だった。試合は次のように続いた。

10.f4?

 この手は自分のキングの周りのポーン形を弱めた。まだキャッスリングしていないか既にキング翼にキャッスリングしている場合は自分のfポーン、gポーンまたはhポーンを2枡進めるのは非常に気をつけなければならない。10.Nc3! と展開する手が必須だった。

10…Ng4

 黒はクイーンがh4の地点に行く斜筋を開けるためにすぐにこの弱点につけ込んだ。

11.g3

 白は黒クイーンによるチェックを防いだ。

11…h5

 これはg3のポーンを強襲するいつもの手段である。ここでは防御に役立つg2の白ビショップがないので特に効果的になっている。

12.h3 h4!

 黒は2駒を犠牲にする華麗な攻撃を始めた。しかしそれが成功するのは白キングが中央に立ち往生しクイーン翼の駒が展開していないからである。

13.hxg4 hxg3 14.Rg1

 14.Rxh8 Rxh8 15.Kf1 Qh4 は明らかに白に望みがない。

14…Rh1!!

 これは天才の手である。どんな一般原則もこのような手を見つける方法を教えることはできない。この手は見えなければならない!しかし一般原則は強力な陣形を築く方法を教えることはできる。そして目の覚めるような捨て駒で勝ち試合を勝ちきるための手筋が見えるようになるのは才能と経験である。本局は終わりも素晴しかった。

15.Rxh1 g2 16.Rf1 Qh4+ 17.Kd1 gxf1=Q+ 0-1

 途中白が 16.Rg1 と指したら黒は 16…Qh4+ 17.Kd1 Qh1 18.Qc3 Qxg1+ 19.Kc2 Qf2 20.gxf5 g1=Q で勝つ。

(この章続く)

2011年10月31日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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