チェス布局の指し方[82]

チェス布局の指し方[82]

dポーン布局と側面布局

第13章 現代防御(続き)

オーストリア攻撃

1.e4 g6 2.d4 Bg7 3.Nc3(図130)

 図130(黒番)

 これはこの局面で断然多く指される手である。白は駒を展開して、攻撃的な f4 突きで堂々たるポーン中原を築く選択肢を残している。

3…d6 4.f4 Nf6

 白の中央での活動の脅威を見てとった黒はできるだけ早くキャッスリングする意図でキング翼ナイトを展開した。

5.Nf3

 これはオーストリア攻撃における白の典型的な展開である。白は中央の最も攻撃的な地点に駒を集中させている。

5…O-O 6.Bd3

 6.Bc4 の方が的を射ているように見えるが、6…Nxe4 から …d5 の両取りトリックにはまる。

6…Nc6

 黒の戦略は白の広大なポーン中原を侵食することである。だからこのcポーンを邪魔する手は棋理に反するように思われるかもしれない。しかしすぐに 6…c5 と突くのは 7.dxc5! dxc5 8.e5 で失敗に終る。白が中原に強力なくさびを打ち込み、黒のcポーンは何もすることがなくてかなり無用に見える。6…Nc6 は白のdポーンに圧力をかけるもっと巧妙な手段である。黒の作戦は …Bg4 から …e5 突きで先手を取って展開を完了することである。

7.e5

 黒のキング翼ビショップの対角斜筋を遮断するために白の中原が進撃を始めた。

7…dxe5 8.fxe5

 最も積極的な 8.dxe5 は 8…Nd5 9.Nxd5 Qxd5 となって互角の形勢にしかならない。この局面は表面的には 6…c5 と突いたあとの局面に似ているかもしれないが、この場合黒は役に立たないポーンがc5にある代わりに駒を有効に展開(Nc6)していてこの違いが黒の有利に働いている。

8…Nh5!

 もちろんこれはナイトを盤の端に置く手である。しかしここは別の最優先される代償の要因があるために規則を破らなければならない状況の一つである。ナイトの他の動きはすべてこれより劣っている。大事なことは、黒は …f6 突きで白の中原を侵食したいので、白の中央のポーンへの圧力を強めるためにg4の地点をクイーン翼ビショップのために空けておくべきであるということである。だから 8…Ng4 は劣った手で、8…Ne8 もそうで黒自身の駒の動きを邪魔するだけである。最後に 8…Nd5 は 8…Nh5! なら白のdポーン当たりになる攻撃を自分で妨げてしまう。

9.Be3

 白は駒を展開してポーンを守った。

9…Bg4

 また白のdポーンを狙っている。

10.Be4

 これでクイーンがdポーンを守っている。それに圧力が強くなって耐えられなくなれば白は Bxc6 で敵の攻撃駒を消すことができる。

10…f6

 これは白の突出した中原に対する主眼のポーン突きである。黒からの圧力が頂点に達しているので白は交換に応じなければならない。

11.exf6 Nxf6!

 黒は盤央にナイトを引き戻し、12…Nxe4 13.Nxe4 Bxf3 から …Nxd4 の狙いで白のビショップへの当たりが先手になっている。

12.Bxc6 bxc6 13.O-O(図131)

 図131(黒番)

 白は手遅れになる前にキャッスリングしなければならない。この局面で黒のポーンはばらばら(白の2ポーン島に対し黒は4ポーン島)だが、黒には駒のための多くの素通しの筋、展開の良さ、それに双ビショップがある。特にこれからの指し手の可能性を考えれば形勢は互角と判定しなければならない。

13…Nd5 14.Nxd5

 他に指しようがない。

14…cxd5 15.h3 Bxf3 16.Rxf3 Rxf3 17.Qxf3 Qd6

 そして黒はこのあと …e5 と突いて弱点をすべて解消する。17…Qd6 のあとはどちらも優勢を主張することはできない。

(この章続く)

2011年10月10日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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