チェス布局の指し方[81]

チェス布局の指し方[81]

dポーン布局と側面布局

第13章 現代防御(続き)

白が黒キングを急襲する

1.e4 g6 2.d4 Bg7 3.Nc3 d6 4.Be3(図128)

 図128(黒番)

 これは白の最も攻撃的な手の一つである。白は既に Qd2、O-O-O から h4 と指して黒キングを「捕らえる」ことに関心を持っていることを宣言している。

4…Nf6

 これは …Ng4 で白のクイーン翼ビショップに嫌がらせをする準備で、白はそれを防ぐ。

5.f3

 これはeポーンをさらに守る手にもなっている。それに加えて白はもくろんでいる攻撃を g4 突きで強化する用意もしている。この局面はキング翼インディアン防御のゼーミッシュ戦法と比較することができる。その戦法でも白は黒のキャッスリングしたキングに対して殲滅の強襲をたくらんでいた。

5…O-O?

 ここでは本譜にわざと劣った手を選ぶことにした。この手は、中央でまたは相手キングに対して反撃できないならば攻撃されるところにキャッスリングしてはいけないという重要な原則を逆なでするようなことをしている。ここでは黒にそのような反撃が見当たらず、そのため黒は自分の過失に手ひどい罰を受けることになる。黒は代わりに 5…c6 と突いて …b5 と突く反撃を用意すべきだった。

6.Qd2

 この手は Bh6 で黒の防御に役立っているビショップと交換する準備である。

6…c6

 黒も白キングに対するポーン突きを準備しているが、いかんせん遅すぎる。ここでは駒を展開した方がもっと防御に役立っただろう。例えば 6…Nc6 のあと …e5 と突くことになれば中央に影響を及ぼすことができる。

7.O-O-O b5 8.Bh6

 これは作戦どおりである。h列をこじ開ける h4-h5 突きとあいまって、この手はフィアンケットしたビショップによって守られているキャッスリングしたキングを襲撃する典型的な手段である。

8…b4 9.Nce2 a5 10.h4!

 ここでは黒の態勢はたぶん絶望的である。白の自動的な詰みへの攻撃に受ける手段がない。このような攻撃の技法を習得すれば誰にとってもクラブや大会で得点をあげる原動力となる。

10…Qc7 11.h5!

 このポーン突きは無理で白はまず g4 と突いておかなければならないように思われる。しかし実はそうではない。11…Nxh5 と取ってくればルークを犠牲に 12.Rxh5! gxh5 13.Qg5 で詰ませてしまう。

11…e5

 黒は中央で反撃を狙ってきたがしょせん遅すぎた。

12.Bxg7

 防御の一角を崩した。

12…Kxg7 13.hxg6 fxg6

 13…hxg6 は 14.Qh6+ Kg8 15.Qh8# で終わってしまう。

14.Qh6+ Kg8

 こう逃げるしかない。14…Kf7 は 15.Qxh7+ Nxh7 16.Rxh7+ Ke8 17.Rxc7 でたちまち白の勝ちになる。この狙い筋は本譜にも現れる。

15.dxe5

 クイーン翼ルークのためにd列を開けた。

15…dxe5 16.Nf4!!

 白は鮮やかな手でキング翼ビショップの介入を宣言した。黒は Bc4+ を防ぐには 16…Ba6 しかないが、しかし狙い筋の 17.Qxf8+! Kxf8 18.Ne6+ で完全に殺戮される。

16…exf4 17.Bc4+ Rf7

 17…Nd5 なら 18.exd5、17…Kh8 なら 18.Qxf8+ でやはり望みがない。

18.Bxf7+ Kxf7

 18…Qxf7 には 19.Rd8+ がある。

19.Qxh7+(図129)

 図129(黒番)

 19…Nxh7 と取るしかないが 20.Rxh7+ Ke8 21.Rxc7 となって、白が交換得のうえにポーン得で圧倒的な態勢になる。本局は1969年にドレスデンで開催された世界学生選手権戦のマラチ対ビョルンソン戦である。

(この章続く)

2011年10月03日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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