チェス布局の指し方[80]

チェス布局の指し方[80]

dポーン布局と側面布局

第13章 現代防御(続き)

両当たりトリック戦法

1.e4 g6 2.d4 Bg7 3.Nf3(図126)

 図126(黒番)

 白はこの手で、3.Nc3 から 4.f4 でポーン雪崩をもくろむよりも、普通に駒を好所に展開することで満足することを宣言している。

3…d6 4.Nc3

 もう一つのナイトも最良の地点で戦闘配置についた。

4…Nf6 5.Bc4

 これも単純な展開の手で、これまで取り上げてきたほとんどのeポーン布局で完全に好所に当たる地点である(例えばシチリア防御やキング翼ギャンビット)。白は短手数ですべての駒を中央の好所に配置できるので(例えば O-O のあと Bf4、Qd2、Rad1 などで理想的な展開になる)、ここでは白が優位に立っていると考えられるかもしれない。しかし黒の戦力の展開は巧妙で、強力な反撃を行なうことができる。白のもっと用心深い展開は 5.Be2 O-O 6.O-O だった。

5…O-O

 これで黒は …Bg4 から …Nc6 で白のdポーンに対するうるさい攻撃を狙っている。例えば白が 6.O-O と指せば、6…Bg4 7.h3 Bxf3 8.Qxf3 Nc6 9.Be3 Nd7 となる。このあと白が 10.Rad1 と指せば 10…e5 11.d5 Nd4 で黒が好調である。また 10.Ne2 ならば 10…Nde5! 11.dxe5 Nxe5 で黒が駒を取り返し優勢になる。だから白は・・・

6.h3

 釘付けを防いだ。しかし今度は両当たりのトリックが来る。これは白の中原を壊滅させるための現代防御でのよくある策略である。

6…Nxe4! 7.Nxe4

 代わりに 7.Bxf7+ は 7…Rxf7 8.Nxe4 となって、黒が次のような点で有利になる。(a)中原の多数派ポーン(b)双ビショップ(c)半素通しf列を利用しての白キングへの攻撃

7…d5

 これで黒が駒を取り返す。

8.Bd3

 8.Bxd5 と取るのは 8…Qxd5 でもっと悪い。なぜなら黒のクイーンを中原の強力な地点に展開させ、黒に双ビショップを譲り、白のdポーンに対する攻撃の可能性を黒に与えるからである。

8…dxe4 9.Bxe4

 白の非常に自然な展開の手の 5.Bc4 の結果を総括すると、白の中原が縮小したことが見てとれる。それに白のキング翼ビショップが3度も動くことを強いられ、c4よりも劣った地点に落ち着くことになった。

9…Nd7

 黒は 9…c5 10.dxc5 Qa5+ と指すこともできた。しかし 11.c3 Qxc5 12.Be3 となれば白が展開のリードを保っている。10.dxc5 に対して 10…Qc7 は黒が悪い。白はクイーンの早まった展開に関する原則をあざけって 11.Qd5 と指すことができ、黒はポーンを取り返すことが難しくなる。例えば 11…Na6 なら 12.c6! である。

10.O-O c5!

 白のdポーンをめがけてのこのポーン突き(黒枡の対角斜筋をつらぬく黒のキング翼ビショップの協力に注意されたい)は現代防御における黒の専売特許ともいうべき手である。白の中原がついに清算され、少なくとも黒にとって互角の形勢になる。

11.dxc5

 11.d5? は 11…Nf6 で白がポーンを損する。

11…Qc7

 これで黒がポーンを取り返せる。もちろん 11…Nxc5 と取ることもできる。

12.c6(図127)

 図127(黒番)

 白はポーン得を維持できないので、ポーンを返して相手に二つの孤立ポーンを作らせようとしている。しかしこれで黒の中原支配が強化され、黒の駒の動きの自由さおよびキング翼での可動多数派ポーンと相まって黒が好調になる。この局面から1972年グラースでのギズダブ対ボッテリル戦は次のように進んだ。

12…bxc6 13.Nd4 Bb7 14.c3 Nc5 15.Bc2 e5 16.Nb3

 白は黒のポーンの進攻によって押し返された。

16…Ne6 17.Qe2 Rfe8 18.Re1 f5

 主導権は黒にある。黒のキング翼ポーンの進攻はすぐに黒のクイーン翼ビショップによって支援される。このビショップは黒が …c5 と突けば働き出す。

(この章続く)

2011年09月26日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

コメント

コメントは受け付けていません。


»
«