チェス布局の指し方[79]

チェス布局の指し方[79]

dポーン布局と側面布局

第13章 現代防御

1.e4 g6 2.d4 Bg7(図125)

 図125(白番)

 この防御手順は1960年代の初めから最強者たちの間でようやく人気が出た。元ソ連のグランドマスターのコルチノイが世界選手権挑戦者決定競技会でこれを用いて黒番でフィッシャーを破った。この頃からボトビニクのような積極的な防御システムの専門家たちによって頻繁に用いられてきた(現代防御は共著者の一人であるレイモンド・キーンの大得意戦法であり、グランドマスターのグリゴリッチとドナーを負かしたこともある)。それが現代防御と呼ばれる理由である。世界中でこの防御は異なった名前で知られている。ユーゴスラビアではピルツ、ロシアではウフィンツェフ、オーストリアではロバーチュと呼ばれている。我々としては「現代防御」と呼ぶのが簡明だと思う。

 昔はこの防御はひんしゅくを買った。ロシア生まれでフランス国籍の偉大な世界チャンピオンのアレクサンドル・アリョーヒンは1930年代に 1…g6 について次のように書いている。「この手は二流の手と考えるのが適当である。なぜなら白に中原の地点の支配を完全に明け渡しているからだ。」

 今は一流のマスターの誰もがこの防御は完全に指せると認めている。そしてフィッシャーまでもが1972年スパスキーとの世界選手権戦で用いた。

 これは非常に洗練されたシステムで、白にポーンの厚みを築くよう誘っているが、…c5 のような突き崩しの手段によってポーン構造を最終的に粉砕することを目指している。黒は特にd4の地点に圧力をかけ、全体的にはa1-h8の対角斜筋に沿って白を弱めていく作戦をとる。

 現代防御の具体的な詳細は白が普通の素朴な駒の展開(例えば両当たりトリックの戦型)で戦う戦型を分析するときに明らかになるだろう。

 これは指しこなすのが非常に難しい防御であることは強調しておかなければならない。しかしこの防御の反撃の結果は秘訣をマスターすれば非常に満足できるものとなる。その秘訣とは盤の側面から圧力をかけることにより白の出来上がった中央のポーン陣を破壊することである。現代防御に関連した一つの顕著な問題は、黒が正しく指し回すには本書の以前の章で教えようとしてきたまさにその原則にしばしば背くことが要求されるということである。しかし一般的な原則を放棄する正しい瞬間を見分けられれば、チェスを魅力的で多様性にあふれたものにする喜びの一つとなる。

 表面的には現代防御の戦略はキング翼インディアン防御の戦略に似ているかもしれない。しかし重要な違いが一つある。キング翼インディアン防御は 1.d4 に対する応手だが、現代防御は 1.e4 に対する応手である。白は 1.e4 g6 2.d4 Bg7 のあと 3.c4(キング翼インディアン防御もどきに移行する)と指すことができるが(実際しばしばそう指すが)、通常は 3.Nc3 と駒を展開する方を好む。従って現代防御では(キング翼インディアン防御でのように)黒は白の巨大なポーン中原に対処しなければならないだけでなく、迅速に展開できる白の可能性から生じる危険性にも対処しなければならない。

 黒がこの課題に立ち向かえると考えることは、チェス盤の64枡には無限の手段が秘められていることを示唆している。

 注意 黒は 1.e4 d6 2.d4 Nf6 としてから初めて …g6 と突く手順でこの防御を始めることもできるし、1…g6 のあと …d6 と突いて始めることもできる。

(この章続く)

2011年09月19日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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