チェス布局の指し方[78]

チェス布局の指し方[78]

dポーン布局と側面布局

第12章 オランダ防御(続き)

レニングラード戦法

1.d4 f5 2.Nf3 Nf6 3.g3 g6(図123)

 図123(白番)

 これがレニングラード戦法の特徴となる手である。この戦法は1950年代のレニングラード(今では伝統的な名前のサンクトペテルブルグに戻っている)出身の一群のマスターたちによって完成された。彼らはオランダ防御の普通の戦型では黒側に戦略の複雑さが不足していることに不満を感じていた。ここでの黒の作戦は既に …f5 と突いてある変型版キング翼インディアン防御に移行することである。しかしレニングラード戦法の欠点は次のように重大である。

 (a)当然ながら黒の早い …f5 突きは自身のキングの囲いの弱体化になる。

 (b)白は黒が …e5 突きの用意ができる前に d5 と突くことができる。これは黒が自分のe6の地点に空所を抱えることを意味する。また黒が …e5 突きに固執すれば白は dxe6e.p. で黒のポーン集団を分裂させ黒陣にもっと弱点を作らせることができる。

 (c)黒のポーンの形からするとクイーン翼ビショップは自身のポーンによって閉じ込められたあまり価値のない駒になることがよくある。

4.Bg2 Bg7 5.O-O O-O 6.c4

 この手は d5 突きを支援する準備である。

6…d6

 これは 7…Nc6 から 8…e5 と突く意図である。そうなれば黒はポーンが非常に動きやすくて満足以上の態勢になる。だから・・・

7.d5!

 重要な陣地の征服を達成した。

7…c5

 黒は作戦を全面的に変えなければならない。本譜の手で黒はクイーン翼でのポーンの進攻を図り駒の動ける余地を作ることにした。もし黒が 7…e5 と突いて、自分をひどく窮屈にさせている白のdポーンの迂回を図れば、次のように身の毛のよだつような状況に陥る。8.dxe6e.p.! Bxe6 9.Nd4(Bxb7 と Nxe6 の狙い)9…Bc8 10.Nc3 これで白が展開で大きくリードする。黒のクイーン翼ビショップは2回動くことを余儀なくされ、元の位置に戻るしかなかった。一方白のキング翼ナイトはこの機会を利用して強力な中央の地点に進出している。

8.Nc3 Na6

 意外にも今ではここがナイトの最良の地点になった。そしてc7の地点で中央に戻ることになり、…b5 突きの強行に役立つ。しかしそれでも黒陣は3手目で列挙した陣形上の欠点を考えれば満足のいくものとはほど遠い。

9.Rb1

 これは非常に良い手である。白のやりたいことはクイーン翼ビショップを黒枡の対角斜筋(a1-h8)に展開することで、このビショップと黒のキング翼ビショップとの交換を期待している。この捌きの要点は黒キングを守る駒の数量を減らすことである。白がいつかは e4 突きで中央を開放することになれば、黒の取り残されているeポーンは障害物となり、黒がキングの助けのために守り駒を移動させるのを妨げてしまう。

 しかしすぐに 9.b3? と突くのは …Ne4! でうまくいかない。そこで白はまずルークを黒のキング翼ビショップの利き筋からはずした。

9…Nc7 10.b3 a6 11.Bb2 b5 12.e3

 クイーン翼ナイトのためにe2の地点を空けた。そしてこのナイトはいつかf4の地点に行ってe6の空所を弱めるかもしれない。白はこのような状況では決して cxb5 と取ってはいけない。なぜならdポーンの大切な支えを失くして自分の連鎖ポーンを台無しにしてしまうからである。

12…Rb8 13.Ne2 Bd7(図124)

 図124(白番)

 白陣は非常に良い態勢になっている。黒の唯一の反撃場所はb列である。黒は …bxc4 でb列を素通しにできるが、黒のルークやクイーンの使える侵入口を白が守ることは簡単である。さらに、もし黒が …e5 と突いてくれば dxe6e.p. と応じて黒のd6の地点が素通し列上の弱い出遅れポーンという大きな傷となる。

 キーン対リー戦(1970年ペイントンでのイングランド対オランダ対抗戦の主将戦)ではこのあと白の戦略が完全な成功を収めるさまがまざまざと見られた。その白の作戦とはクイーン翼で黒の機会を封じ込めながら、中原でおよび黒キングに対して仕掛けていくというものである。

14.Bc3 Na8

 ここはナイトにとって最悪の地点の一つだが、黒は建設的な指し手がなくなってきている。

15.Ng5

 黒のe6の弱点を見据えている。

15…Bh6 16.h4 bxc4 17.bxc4 Rxb1 18.Qxb1 Qb6 19.Qc2

 白は黒キングへの攻撃のためにクイーンを残しておく必要がある。

19…Rb8

 ルークは所定の位置についたがそこからどこにも行き場所がない。

20.Nf4

 これでナイトが二つともe6の地点を目指している。

20…Nc7 21.e4!

 黒駒のうち四つが出遅れeポーンの不適切な側にいる今が白の打って出る好機である。

21…Bg7 22.e5 Ng4 23.exd6 exd6 24.Bxg7 Kxg7 25.Re1 Ne5 26.Nd3 Re8 27.Qc3

 またあの黒枡である。これは 9.Rb1! で始めた捌きが正しかったことを示している。

27…Kg8 28.Nxe5 dxe5 29.Rxe5 Rxe5 30.Qxe5 h6 31.d6! 1-0

(この章終わり)

2011年09月12日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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