王印防御の完全理解(150)

王印防御の完全理解(150)

第5章 単純化中原(続き)

5.3 実戦例

第9局
カルポフ対キンテロス
マルタオリンピアード、1980年
グリゴリッチシステム

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.Nf3 O-O 6.Be2

 はっきりと単純化中原に入る用意をする一つの方法は 6.Be3 と指すことである。例えば 6…e5 7.dxe5 dxe5 8.Qxd8 Rxd8 9.Nd5(c7の地点を当たりにするのはクイーン交換後の当然の継続手である)のあと(1)9…Ne8 はかなり守勢である。(2)9…Nxd5 10.cxd5 c6 11.Bc4 g5の地点が Nf3-g5 に使える可能性があるので、以降の解説で分析される似たような戦型の少し改良版になっている。(3)9…Na6 は良さでは次のルークでの受けと同じくらいだが、指される頻度では劣っている。白は 10.O-O-O または 10.Rd1 と応じることができ、10…Nxe4? には 11.Ne7+ の用意があって勝ちになる。(4)9…Rd7(最もよく指される手)10.Nxf6+ Bxf6 11.c5 Rd8(11…Nc6 12.Bb5 Rd8 13.Bxc6 bxc6 は黒のポーンが弱い)12.Bc4 Nc6 形勢はほぼ互角である。

6…e5 7.Be3

 (交換中原に至る)最も古典的な交換戦法は 7.dxe5 から生じる。次の手順は典型的なものである。7…dxe5 8.Qxd8 Rxd8 9.Bg5 Re8(この手が最もよく指されているが、9…c6 10.Nxe5 Re8 も試されてきた)10.Nd5 Nxd5 11.cxd5 c6 12.Bc4 cxd5(12…b5 13.Bb3 Bb7 も指されている)13.Bxd5 ここで黒はd4の地点の占拠を目指すことができる。例えば 13…Nc6 14.Ke2 Nb4 15.Bc4 Bg4 16.Rhc1 Nc6 17.Kf1 Bxf3 18.gxf3 Nd4 となる。あるいは黒は白枡ビショップ同士の交換を目指すこともできる。例えば 13…Na6 14.O-O-O Nc7 15.Bb3 Be6 16.Bxe6 Nxe6 17.Be3 f5 という具合である。どちらの場合も展望はほぼ互角である。明らかに Nf3-g5 を念頭においた 6.Be3 の戦型と比較すると、g5にいる白のクイーン翼ビショップがいかにタイムリーな Nf3-g5 でf7の地点に圧力をかけるのを阻害しているかに注意されたい。

 単純化中原は自然な 7.O-O のあと以下の例が示すように多くの異なった陣形から生じる。

 (1)7…Nc6 8.Be3 Re8 9.dxe5 dxe5 10.Qxd8 Nxd8(10…Rxd8 は 11.Bg5 Rd7?! 12.Bd1! h6 13.Bxf6 Bxf6 14.Ba4 Rd6 15.c5 Re6 16.Nd5 Bd8 17.Rfd1 となり白が Bxc6 から Nb6 を狙う)11.Nb5(11.Nd5 Ne6 12.Ng5 Nxd5 13.cxd5 も指されている)11…Ne6 12.Ng5 Re7 13.Nxe6(13.Nxa7 Nf4 14.Bxf4 exf4 15.Nxc8 Rxc8 16.f3 Nd7 でポーンの代償のある手順も提案されている)13…Bxe6 14.f3 b6 15.a4 c6 16.a5!?(16.Nc3 なら 16…Rb7! で互角)16…cxb5 17.axb6 形勢不明である。一見穏やかな戦法でも乱戦になっていくさまが如実に見てとれる。

 (2)7…Nc6 8.Be3 Ng4 9.Bg5 f6 10.Bh4 Kh8 11.dxe5 dxe5 12.c5(12.Nd5 Ne7 はほぼ互角)12…Nh6 13.h3 Be6 14.Qa4 Qe8 15.Rad1 f5 16.Bb5 難しい局面である。

 (3)7…Nbd7 8.Be3 c6(8…h6 も有力である。例えば 9.dxe5 dxe5 10.Nd2 Nh7 11.c5 Ng5 12.b4 f5 13.f3 f4 14.Bf2 Ne6 15.Bc4 Nf6 16.Nb3 Qe8 はどちらも指せる。また 10.Ne1 Nh7 11.Qd2 Ng5 12.Rd1 も指されている)9.Qc2(9.dxe5 dxe5 10.Nd2 Qe7 11.Qc2 Nc5 12.Nb3 Ne6 13.Rfd1 Nd7 14.c5 f5 15.f3 f4 16.Bf2 g5 は難解である)9…Ng4 10.Bg5 f6 11.Bh4(11.Bd2 f5 12.exf5 gxf5 13.dxe5 dxe5 14.Ng5 Ndf6 は双方に手が豊富にある)11…Nh6 12.dxe5 dxe5 13.b4 Qe7 14.c5 Nf7 15.Rfd1 Re8 16.Bc4 Nf8 白が少し優勢である。

 (4)7…Nbd7 8.Re1(8.Qc2 c6 9.Rd1 Re8 10.dxe5 dxe5 11.Na4 b6 12.b4 Qc7 13.Bb2 Nf8 14.c5 Bg4 はほぼ互角である)8…c6(8…h6 9.Qc2 Nh7 10.dxe5 dxe5 11.Be3 Re8 12.c5 Nhf8 は注目に値する)9.Bf1 a5 10.dxe5 dxe5 11.Na4 Qe7(11…Re8 は 12.Qc2 Bf8 13.c5 Qe7 14.Be3 Ng4 15.Bg5 f6 16.Bd2 Nxc5 17.Nb6 Rb8-17…Ra7 は 18.h3 Nh6 19.Be3 のあと白に 20.Rec1 の狙いがある-18.h3 Nh6 19.Bxa5 となり、ここで黒が最善の受けの 19…Nd7 を指しても白陣の方が優位を保つ)12.Qc2 Nc5 13.Nxc5 Qxc5 14.Be3 Qe7 15.c5 Rd8 16.Bc4 Bg4 17.Nd2 Be6 18.Bxe6 Qxe6 19.Nc4 白がわずかに優勢である。

7…Qe7

 黒は 7…Ng4 と指したいところをこらえて代わりに白のeポーンを間接的に当たりにして、それにより中原の形が決まることを期待している。

8.dxe5 dxe5(図207)

 図207 白の手番 

(この章続く)

2011年07月31日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 王印防御の完全理解

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