世界のチェス雑誌から(129)

世界のチェス雑誌から(129)

「Chess Life」2011年2月号(6/11)

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2010年世界少年少女チェス選手権(続き)


ケイデン・トロフ、オープン12歳以下の部門で銀メダル

 第9回戦でジェフリーは優勝したジェイソン・カオを負かした。これは何も考慮に値しないのか?このグループの将来のメダルの予想は危険を冒すことになるとは思わない。ジェフリー、サミュエル、カメロン・ホウィーラー、トミー・ヒーに加えてビニェシュ・パンチャナタムとジョナサン・チャンに大いに期待している。

 オープン12歳以下の部門ではケイデン・トロフが大活躍をして9点をあげた。次の1局はこの大会で私の気に入った試合でもある。コーチのアルメンの準備は傑出していて、たぶん側面ギャンビット退治の決定版だろう。黒の築いた局面はニムゾインディアン防御に似ていて、白の駒が働きの悪い位置にいる。

シチリア防御 [B20]
白 ボロディミル・ベトシュコ(FIDE2211、ウクライナ)
黒 ケイデン・W・トロフ(FIDE2216、米国)
世界少年少女チェス選手権戦オープン12歳以下 第10回戦
ポルト・カラス、2010年10月29日

1.e4 c5 2.b4

 このギャンビットにはどんな評価記号をつけたらよいのか分からない。重要な試合でどうして白はこんな手を指せるのだろうか。私の考えでは言語道断である。

2..cxb4

 2…b6 も落ち着いた良い手である。

3.a3 d5 4.exd5 Qxd5 5.Nf3

5…e6!?

 これがアルメンの準備の核心である。よくある手は 5…e5 だが、6.Bb2 Nc6 7.c4 となると混戦になってくる。

6.Bb2 Nf6 7.c4 bxc3e.p. 8.Nxc3 Qd8

 ここは白にとって重大な局面である。事態の進み方がゆっくりすぎると白の代償は干上がっていく。

9.Ne5

 代わりに 9.d4 は 9…Be7 10.Bd3 O-O 11.O-O Nbd7

となる。孤立dポーンの局面では白は攻撃の可能性がなければならない。この場合はそれが何もない。

9…Be7 10.Bb5+ Nbd7 11.O-O O-O

 黒キングが安全な所を見つけたあとは白の負けである。

12.d4 Nb6 13.Re1 Nbd5

 白は何か手段を見つけようとしているが徒労に終わった。

14.Bd3

14…Bd7

 私の好みは 14…b6!? で、15.Nc6 Qd6 16.Nxe7+ Qxe7

となればずっとよい。黒はd5の拠点を強固にし、ポーン得を確かなものにしている。

15.Ne4 Nxe4 16.Bxe4 Bc6 17.Qc2 g6 18.Nxc6 bxc6 19.Qxc6

 形勢はまだ黒が良いが、白はポーンを取り返した。

19…Rb8 20.Qc2 Bf6 21.Rab1 Qa5 22.g3 Rfc8 23.Qe2 Rb3! 24.h4 Rcb8 25.Rec1 Qb6

 黒はクイーンを一群の駒と交換する。

26.Ba1 Rxb1 27.Rxb1 Qxb1+ 28.Bxb1 Rxb1+ 29.Kg2 Rxa1 30.Qb2

 白クイーンは黒の戦力に太刀打ちできない。

30…Rd1 31.Qb8+ Kg7 32.Qxa7 Bxd4 33.Qa5 Bb6 34.Qb5 Rd2 35.a4 Rxf2+ 36.Kh3 h5 37.a5 Bc7 38.a6 Nf6 39.Qc5 Ng4 40.Qd4+ e5 白投了

 重要な状況で非常に小気味よい試合だった。

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(この号続く)

2011年07月06日 コメント(1)

カテゴリ: 世界のチェス雑誌から2

コメント


コメント

  1. [...]  白はこの手のあと望外の態勢になる。3…d5 でギャンビットを拒否するのが最善で、4.exd5 Qxd5 5.Nf3(5.axb4?? Qe5+ 0-1 は1984年バークレーでの全米選手権戦でのシラジ対ピーターズ戦の不運な試合だった)5…e6 6.Bb2 Nf6 7.c4 bxc3e.p. 8.Nxc3 Qd8 は昨年ギリシャで開催されたこの大会でコーチのアルメンが用意した素晴しい研究手順だった。そのベトシュコ対トロフ戦では白はポーン損に加えて孤立ポーンを抱えて全然攻撃の機会がなかった。 [...]



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