「ヒカルのチェス」(223)

「ヒカルのチェス」(223)

「Schach-Magazin 64」2011年3月号(8/9)

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一大センセーションの小さな日記(続き)

つまづきと復活(続き)

 第11回戦でナカムラはなおも勝利を積み重ねた。

カロカン防御 B12
I・ネポムニャシチ – H・ナカムラ
ベイクアーンゼー Aグループ 第11回戦、2011年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.e5 Bf5 4.h4 h5 5.c4 e6 6.Nc3 Ne7 7.Nge2

7…Bg4

 ここでは 7…Nd7 と 7…dxc4 が普通の手として知られている。実戦の黒の手は特に、このロシア選手に不慣れなできるだけ未知の局面に引きずりこむ目的を満たしている。

8.f3 Bf5 9.Ng3 Bg6 10.Bg5 Qb6 11.Qd2 Nd7

12.a3?!

 白はクイーン翼の閉鎖の意図をつらぬくべきだった。だからすぐに 12.c5 と突き、そのあとで b4 または a3 から b4 と突く方が良かった。

12…f6 13.Be3 Qb3 14.cxd5 Nxd5 15.Nxd5 Qxd5 16.Rc1 Nb6

 ここではf6でポーンを交換してから Bd3 でビショップも交換することが考えられる。ナカムラは対局後次のように語った。「彼はここで40分長考した。そしてほぼ互角の戦いの代わりに非常に攻撃的な手を決断した。」

17.Ne2?! fxe5 18.dxe5

 「何よりもまず 18…Qxd2+ と指すつもりだった。しかしもう一度読んでみるとポーンの代わりにどんな代償が相手にあるのかはっきりしなかった。それでポーンを取った。」

18…Qxe5 19.Bd4 Qc7 20.Qg5 Bf5

 ポーンを取らせた白だけでなく黒にも多くの戦術の狙いがある。試合後ナカムラが機嫌よく示したように、ここでは例えば 21.Ng3 のあと 21…Be7 22.Qxg7 Rh7! 23.Bxb6(23.Qg8+ は 23…Kd7 でクイーンが捕まる)23…Bb4+! 24.axb4 Qxg7 という手筋が成立する。

21.g4 hxg4 22.fxg4

22…Be4

 これは手拍子で指した手だった。22…Be7! なら 23.Qxg7 Rh7 24.Qg8+ Kd7 25.Bxb6 Rxg8 26.Bxc7 Be4 27.Rh3 Kxc7 28.g5 Bf5 で大いに優勢だった。

23.Rh3 Be7! 24.Qxg7

 これは負けになる。しかし 24.Qe3 でも 24…Bd5 25.h5 O-O-O 26.Nc3 Nc4 で黒が明らかに優勢である。

24…Rh7!

25.Qe5

 25.Bxb6 には例の 25…Bb4+! がある。

25…Qxe5 26.Bxe5 Bxh4+

27.Ng3

 「27.Bg3 の方がいくらか良かった。しかし 27…Bxg3+ 28.Nxg3 Bg6 のあとこちらのナイトをd5に置けば黒が勝つはずである。」(ナカムラ)

27…Nd7! 28.Bd4 Bf3! 29.g5 Bg4 30.g6 Rh6 31.Rxh4 Rxh4

 白は44手目まで指したが、そんなに指すまでもなかった。

32.Rc3 Bf3 33.Rxf3 Rxd4 34.Bh3 Ne5 35.Rf6 Nd3+ 36.Ke2 Nf4+ 37.Ke3 e5 38.Rf7 Rd3+ 39.Ke4 Rxg3 40.Bd7+ Kd8 41.Bf5 Nxg6 42.Rg7 Rb8 43.b4 b5 44.Bxg6 Rg5 0-1

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(この号続く)

2011年07月01日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: ヒカルのチェス2

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