チェス布局の指し方[67]

チェス布局の指し方[67]

dポーン布局と側面布局

第10章 ニムゾインディアン防御(続き)

ヒューブナー戦法

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.e3 c5(図103)

 図103(白番)

 これは白に a3 と突かせたい手で、そうなれば黒は白のcポーンを既にせき止めた形でゼーミッシュ戦法に戻ることができる。しかしそうさせられるのを白が拒絶したらどうなるか?

5.Bd3 Nc6 6.Nf3 Bxc3+

 4…b6 を扱った前節でちょっと触れた 6…O-O から …d5 突きもある。黒は本譜の手で1手をかけて白に二重ポーンを作らせた。しかし自分だけ手をかけた(白はゼーミッシュ戦法でのように …Bxc3+ と取らせるための a3 と突く1手をかけていない)ことを考慮すると、ここで黒が白のcポーンを …Na5 で攻撃するのは危険すぎる。そこで黒はクイーン翼ナイトをキング翼に転じる別の作戦を選ぶことになった。この作戦は西ドイツ最強のグランドマスターのローベルト・ヒューブナーの大得意だった。

7.bxc3 d6

 黒は 8…e5 突きで中原を封鎖し、白の双ビショップの利きを最小限にする用意をした。相手が双ビショップを持ちこちらが2ナイト、またはビショップとナイトとを持っているときは局面を閉鎖的にしておかなければならない。逆にこちらが双ビショップを持っているときはポーンを犠牲にしてでも局面を開放的にするように努めなければならない。

8.e4 e5 9.d5

 もちろん 9.dxc5 または 9.dxe5 と取るのは陣形的に罪深い。白の孤立二重cポーンはどうしようもないほどむき出しになり、白は弱点を隠すためにナイトをd5に捌くことは絶対できない。例えば 9.dxc5 dxc5 10.Qc2 Be6! 11.Nd2 Na5 となって、白は Nf1-e3-d5 と捌く暇がない(グリゴリッチの研究)。

9…Ne7

 今や黒は …h6、…g5 から Ng6 で危険なキング翼攻撃をもくろんでいる。だから白はこれを防ぐために手段を講じなければならない。

10.Nh4! h6

 この手は …g5 突きの準備である。10…Ng6 は 11.Nf5 が良い手になるのでだめである。

11.f4

 白は黒が非常にもっともそうな企てにはまって 11…exf4 12.Bxf4 g5 で戦力得をしにくることを期待した。しかしこれには 13.e5! という強力な攻撃がある。

11…Ng6!

 このぶちかましの妙手は白のf列での活動を消し去る。さらに、白の最も攻撃的な駒も消去する。なぜなら 12.Nf5 は 12…Bxf5 13.exf5 Nxf4 で良くないからである。

12.Nxg6 fxg6(図104)

 図104(白番)

 黒は少なくとも互角の形勢である。白のビショップはあまりぱっとせず、二重ポーンは黒の二重ポーンより攻撃を受けやすい。ユーゴスラビアのグランドマスターのグリゴリッチは12手目直後の局面を次のように評価した。「局面は閉鎖的で、白の良いところはまったく何もない。黒は容易に自分の弱点を守れるが、白の弱点は数の上でもっと少ないということはない。」1972年世界選手権のスパスキー対フィッシャー戦では黒が白のポーンの弱点を非常に効果的に利用した。

13.fxe5 dxe5 14.Be3 b6 15.O-O O-O 16.a4 a5 17.Rb1 Bd7 18.Rb2 Rb8 19.Rbf2 Qe7 20.Bc2 g5 21.Bd2 Qe8 22.Be1 Qg6 23.Qd3 Nh5 24.Rxf8+ Rxf8 25.Rxf8+ Kxf8 26.Bd1 Nf4 27.Qc2? Bxa4! 0-1

 28.Qxa4 Qxe4 で収拾がつかない。

(この章続く)

2011年06月27日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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