チェス布局の指し方[63]

チェス布局の指し方[63]

dポーン布局と側面布局

第9章 クイーン翼ギャンビット(続き)

オーソドックス防御

1.d4 d5 2.c4 e6(図96)

 図96(白番)

 この手はdポーンをしっかりと守っている。2…Nf6 による「防御」は幻想である。3.cxd5 Nxd5 4.e4 となって白のポーン中原は危険で動ける多数派ポーンになる。しかし 2…c6(スラブ防御)はよく指される。もっとも 3.cxd5 cxd5 4.Nf3 Nf6 5.Nc3 Nc6 6.Bf4 Bf5 または 6…e6 となってだいぶ無味乾燥ではある。

3.Nc3 Nf6 4.Bg5

 この手は狙いを持ちながら展開し、黒のキング翼ナイトを釘付けにすることによりdポーンへの襲撃を続けている。この手に対して 4…h6 と突くのは黒が破綻する。5.Bxf6! gxf6(5…Qxf6 は 6.cxd5 でポーンのただ損)6.cxd5 exd5 となって、黒はあらゆる弱点の中で最も忌み嫌われる弱点の一つの孤立二重ポーンにより不自由をかこつ。それゆえにf5の地点は黒陣を脅かす白駒の理想的な拠点となることがある(例えば Bd3/Ne2-g3)。またe列とg列に黒ポーンがないためにf5に陣取った白駒が決して追い払われることがない。

 交換戦法も非常に人気がある。4.cxd5 exd5 5.Bg5 Be7 6.e3 c6 7.Bd3 O-O 8.Nf3 Nbd7 9.O-O Re8 10.Qc2 Nf8 のあと白は 11.Rab1 で b4-b5 と突く少数派攻撃にでるのが普通である。

4…Be7

 黒は釘付けをはずした。

5.Nf3 O-O 6.e3

 この戦型では白のキング翼ビショップをd3に展開するのが最善である。6.g3 と Bg2 でフィアンケット展開するのは黒のdポーンが厳重に守られているのでここでは的外れである。d3ならキング翼ビショップは黒キングをにらみ攻撃に加われる。

6…Nbd7

 この手はキング翼ナイトを補強している。もっと自然な手の 6…Nc6 は自分のcポーンの邪魔になるので間違いである。繰り返すがdポーン布局ではこのような妨害行為は避けるべきであることを強調しておく。代わりに 6…h6 7.Bh4 b6(タルタコワ戦法)は当然ある手で、ナイジェル・ショートとボリス・スパスキーによって数多く指されてきた。

7.Rc1

 ルークがあとで cxd5 によって素通しにできる列を占めた。あとでこれがいかに有効であるかをまのあたりにする。

7…c6

 この手はdポーンをさらに守っている。黒はゆっくりだが確実に駒交換によって陣形を解放していく準備を進めている。

8.Bd3 dxc4!

 ここで中原を放棄することによって白にキング翼ビショップをまた動かすことを強いている。これにより黒は偉大なキューバの世界チャンピオンカパブランカによって考案された交換の捌きを実行に移す機会が得られる。黒は狭小な陣形では交換によって陣形を解放することに努めよという原則に従っている。

9.Bxc4 Nd5!

 これで白のビショップは引き場所がない。だから・・・

10.Bxe7 Qxe7 11.O-O

 白は展開を完了した。

11…Nxc3 12.Rxc3

 12.bxc3 なら中原を強化するがルークを閉じ込めることにもなる。

12…e5

 これは解放の捌きの総仕上げである。この局面はマスターの実戦に数多く現われている。13.dxe5 Nxe5 14.Nxe5 Qxe5 15.f4 Qe4 16.Bb3(Bc2 と引く意図)16…Bf5 のあといい勝負である。主導権を維持するためには白は次のように指さなければならない。

13.Qc2

 これで白のビショップが伝統的にもろい黒のf7の地点をにらみ、同様にクイーンがh7の地点をにらんでいる。白は黒キングに対して強襲をかける素地がある。

13…exd4 14.exd4(図97)

 図97(黒番)

 この局面は中原の要所と駒の利き筋の支配を保持するために孤立dポーンを自ら受け入れるべき状況の明白な事例になっている。白はわずかに優勢で、特にe列の支配からそれが言える。

 勉強のためになる鮮やかな手筋が現れる進行をお目にかける。

14…Nf6 15.Re1 Qd6 16.Ng5 Bg4

 16…Qxd4 には 17.Rf3 で 18.Rxf6 から 19.Qxh7# と 18.Nxf7 Rxf7 19.Re7 の二つの狙いがある。

17.Rg3 Bh5 18.Rh3 Bg6?

 18…Qb4! と指さなければならず、それなら黒がまだ十分戦えた。

19.Qxg6!! hxg6 20.Bxf7+ Rxf7 21.Rh8+ Kxh8 22.Nxf7+ Kg8 23.Nxd6 Rd8 24.Re6

 この電光石火の手筋のあとの収局は白の勝勢になっている。

(この章終わり)

2011年05月30日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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