チェス布局の指し方[61]

チェス布局の指し方[61]

dポーン布局と側面布局

第9章 クイーン翼ギャンビット(続き)

チゴーリン防御

1.d4 d5 2.c4 Nc6(図92)

 図92(白番)

 この防御は19世紀の偉大なロシアのマスターのチゴーリンによって開拓された。黒は駒を駆使することによって白の中原に対する素早い反撃をもくろんでいる。2…Nc6 はdポーン布局ではナイトによってcポーンの動きを止めてはいけないという重要な原則をあざ笑っている。この過失はeポーン布局で Bd3 によってdポーンを止めることになぞらえることができるが、その場合は決して言語道断というわけではない。チゴーリン防御は指せる戦法には違いないが、ここでは白が正確に指せば黒は互角にできないことを示唆する分析を示すことにする。

3.Nc3

 黒のdポーンに対する圧力を増すのは正確な対応である。黒はcポーンで自分のdポーンを支えることができないので、中原の支配は今や放棄せざるを得ない。すぐに 3.Nf3 と指すのは 3…Bg4 で黒の注文にはまる。

3…dxc4

 黒は 3…e6 によってdポーンを維持することもできたが、クイーン翼ビショップを閉じ込める形がひど過ぎるし、ナイトも既にc6に跳ねてしまっている。黒は …c5 突きで狭小な陣形を解放するのにひどい困難をかかえている。

4.Nf3

 このナイトはこのように中央に向かって展開するのが最善である。白は犠牲にしたポーンを取り返すのを急ぐ必要はない。この展開の手は黒の2手目によって間接的に脅かされている自分のdポーンの補強にもなっている。

4…Bg4

 黒は白のdポーンを駒で攻撃するという自分の主題を追求している。4…Nf6 は 5.d5 Na5 6.Qa4+ c6 7.dxc6 Nxc6 8.e4 から Bxc4 で、展開の優位により白の優勢が保証される。

5.d5!

 ここで初めて白は黒の可愛そうなクイーン翼ナイトを追い立てる。これで 2…Nc6 の欠点がさらに明らかになった。

5…Bxf3

 これは一貫性のある手だが役に立たない。黒が白のキング翼ナイトを取ったのは、自分のクイーン翼ナイトが中央の地点を占めるようにするためである。

6.exf3

 普通は側面のポーンで中央に向かって取り返すのが推奨されるが、ここでは exf3 と取るのが正しい。というのは白のキング翼ビショップの利き筋が通って、黒のまだキャッスリングしていないキングに対する猛攻に加わることができるようになるからである。

6…Ne5 7.Bf4!

 哀れなナイトのいじめがまだまだ続く。これに対して 7…Ng6 と引けば 8.Bxc4! Nxf4 9.Bb5+ c6 10.dxc6 で白の攻撃が決まる。

7…Nd7 8.Bxc4

 Nb5 を狙っているので黒はそれを防ぐ。

8…a6 9.O-O

 白は展開を完了した。

9…Ngf6 10.Re1(図93)

 図93(黒番)

 ルークが黒キングに通じる素通し列を自動的に占めた。これで白の優勢は明らかである。理由は開放的な局面で双ビショップを保有していること、展開で大きくリードしていること、一方黒キングは恐ろしい攻撃にさらされていることによる。以下は考えられる進行である。10…Nh5 11.Be3 g6 12.d6!(攻撃の筋を開ける)12…cxd6 13.Qb3 e6 14.Bd4 Bg7 15.Bxe6! fxe6(15…Bxd4 16.Bxd7+ Kxd7 17.Qxb7+ Qc7 18.Re7+)16.Qxe6+ Kf8 17.Rad1 これで白が勝つ。

 結論 クイーン翼ギャンビットのチゴーリン防御に投げかけた我々の疑問は重要な原則を明らかにしてくれた。それは長期的な戦略の必要性はdポーン布局における迅速な展開よりもはるかに重要であるということである。

(この章続く)

2011年05月16日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

コメント

コメントは受け付けていません。


»
«