チェス布局の指し方[60]

チェス布局の指し方[60]

dポーン布局と側面布局

第9章 クイーン翼ギャンビット(続き)

クイーン翼ギャンビット受諾

1.d4 d5 2.c4 dxc4(図90)

 図90(白番)

 この手は表面的には白の注文どおりのように見える。即ち黒は中原の足場を放棄し、白に中央で多数派ポーンをこしらえさせている。さらに白はキング翼ビショップで、もし必要ならばクイーン翼ナイトとクイーンで、c4のポーンを攻撃して簡単にポーンを取り返すことができる。ここで 3.e4 は 3…e5 と中原で逆襲される恐れがあるので白は普通は最初に次の手を指す。

3.Nf3

 この手の目的は黒の …e5 突きを防ぐことである。しかしここで黒はこの間隙を縫って反撃を策することができる。それでもクイーン翼ギャンビット受諾は黒にとって非常に危険の多い防御法となっている。白には 3.Qa4+ としてポーンを取り戻す手段もあるが、試合のこんなに早い段階でクイーンをc4に進出させるよりもキング翼ビショップを展開させた方が良い。

3…Nf6

 展開は黒にとって本質的に重要である。この手も 4.e4 を防いでいる。

4.e3

 この手はポーンを取り返す用意をしながら同時にキング翼ビショップを要所につかせようとしている。

4…e6

 黒の指したい手は白のdポーンを攻撃する …c5 突きである。本譜の手で黒のキング翼ビショップの利きがc5の地点に達する。代わりに 4…Bg4 とかかると白は単刀直入に 5.Bxc4(6.Bxf7+ という狙いがある)5…e6 6.Nc3 Nbd7 7.O-O Bd6 8.h3 Bh5 9.e4 e5 10.Be2 と展開することができ危なげなく優勢になる。

5.Bxc4 c5 6.O-O

 6.dxc5 と取るのはクイーンを交換され白の中原での多数派ポーンが解消してしまうので明らかに価値がない。しかし白が引き分けで満足の時にはよく指される。

6…a6

 このポーン突きは必要のない手のように思われる。しかし黒の狙いは …b5 突きから …Bb7 で手得をしながらクイーン翼ビショップを絶好の斜筋につけることにある。もちろん白はこれを阻止する。

7.a4!

 これで白は一種の盾として働く中原ポーンの内側で駒を攻撃のために集める用意ができた。

7…Nc6 8.Qe2 cxd4 9.Rd1 Be7

 9…e5? は 10.exd4 でeポーンが釘付けになる。展開しポーンを守る 9…Bc5 は良さそうな手に見えるが、10.exd4 Nxd4 11.Nxd4 Bxd4 12.Be3 となって釘付けがきつすぎる。

10.exd4 O-O 11.Nc3

 白は十分に展開し d5 と突いて黒陣を乱す準備ができた。従って黒は定評のあるやり方で孤立dポーンをせき止める。

11…Nd5 12.Bd3!(図91)

 図91(黒番)

 この手は黒キングに攻撃の狙いをつけている。これはクイーン翼ギャンビット受諾から生じる典型的な局面である。これに似た局面は大会の実戦で何千回も現れている。この局面は孤立dポーンが白に優位をもたらしている場面である。というのは白が中原をしっかりと掌握しているのに対し、黒は展開が十分でなく駒がdポーンの弱点につけ込むのに効果的に配置されていないからである。白が先着の利で駒を理想的に連係させて黒の孤立dポーンにつけ込むことのできるタラシュ防御の節(後出)と比較してみるとよい。1971年ユーゴスラビア対ハンガリーの主将戦のグリゴリッチ対ポルティッシュ戦は次のように進んだ。

12…Ncb4 13.Bb1

 ビショップを絶好の斜筋上に置いておくならばルークを閉じ込めてもかまわない。

13…b6 14.a5! Bd7 15.Ne5

 ナイトが孤立dポーンの利いている地点に陣取った。

15…bxa5 16.Ra3

 この手は 17.Nxd5 のあと 18.Bxh7+ Kxh7 19.Rh3+ から 20.Qh5 という典型的な詰み手順を狙っている。黒はこの脅威をかわすためにポーンの囲いを弱めなければならない。そこに Bb1 の価値がある。

16…f5 17.Nxd5 Nxd5 18.Nxd7 Qxd7

 18…Bxa3?? は 19.Qxe6+ Rf7 20.Ne5 で壊滅する。

19.Rxa5

 黒のaポーンとキング翼ビショップに対し白には双ビショップと素通し列があり非常に有利な態勢である。また、e5が駒の絶好の地点となるのに対し、黒には孤立dポーンに対し特に圧力となるようなものはない。

(この章続く)

2011年05月09日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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