チェス布局の指し方[59]

チェス布局の指し方[59]

dポーン布局と側面布局

第9章 クイーン翼ギャンビット

1.d4 d5 2.c4(図89)

 図89(黒番)

 19世紀の最後の四半世紀まで国際大会では初手に 1.e4 と指すのが普通だった(もちろん他の手は知られていなかった)。しかしチェスの進歩におけるこの時期に 1.d4 も盛んになり、黒は決まって …d5 と応じてクイーン翼ギャンビットになった。ギャンビット受諾は100年ほどの間散発的に現れたが、あまり熱心に用いられることはなかった。当初最もはやった防御はオーソドックス防御(黒は塹壕戦に徹する)とタラシュ防御(ポーンの弱点を犠牲に駒の働きを良くする)だった。どちらも1920年代に超現代の発想(例えばニムゾインディアン防御)の勃興で人気が落ちたが、今日まで多くの信奉者がいる。タラシュは19世紀の終わり頃にクイーン翼ギャンビットの自分の防御に専心したが、ロシアの偉大なマスターのミハイル・チゴーリンは自分の高度に独自のやり方を開拓していた。チゴーリンの考え方は広く受け入れられることはなかったが、クイーン翼ギャンビットの防御でなお魅力的な未踏の道となっている。

 1.d4 のあと猿まねの 1…d5 は、白が 2.e4 でポーン中原の見通しを広げるのを防ぐ最も明白な方法である。1.d4 d5 2.Nc3 が的外れであることは、黒のdポーンがクイーンによって自動的に守られていることから分かる。従って白はこの段階では 2.c4 でギャンビットに出るのが普通で、黒のdポーンをそらして中原を平和裏に構築できることを期待する。

 クイーン翼ギャンビットに対する黒の応手の3方式をこれから調べていくことにする。

 (a)クイーン翼ギャンビット受諾。黒はポーンを取り、白が戦力を取り戻すことに手を費やさなければならないことに頼って反撃にかける。白は中原を支配することになるのが普通なので、これは黒にとって非常に危ない方針である。もっとも白はこれを成し遂げるためにdポーンの孤立化を受け入れなければならないかもしれない。

 (b)黒が白のdポーンに対して、駒で(チゴーリン防御)またはポーンで(タラシュ防御)迅速に反撃を図る。

 (c)黒が白のどのような襲撃に対しても頑強に自分のdポーンを守る(オーソドックス防御)。

(この章続く)

2011年05月02日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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