王印防御の完全理解(44)

王印防御の完全理解(44)

第2章 ペトロシアン中原(続き)

2.1 戦略の着眼点(続き)

h2-h3 突きに関連した着想

 時には白は布局の適当な時点で h2-h3 と突くことがある。このささやかな手には Bc1-g5 の釘付けと組み合わされているかどうかに従って色々な着想が含まれている。黒が釘付けに全然かまわない時は、h2-h3 突きは Nf3-h2-g4 の準備に役立つ(図66)。

 図66 

 白の狙いは Nh2-g4 によって圧力を強めることである。黒が …h7-h6 と突くことにすればビショップはe3に下がり、白はあとで h3-h4-h5 と突いてf5の地点とそれによる …f7-f5 突きの弱体化を生じさせることができる。

 しかし h2-h3 と突く手はあとで(特に布局の初期で指された時) g2-g4 と突くことを意図して指されることの方がずっと多い(図67)。

 図67 

 これは実戦でかなりよく指される別のシステムで、…f7-f5 突きの厳しさを和らげるのが目的である。g2-g4 突きは時にはhポーンの支援がなくてもキング翼ナイトをd2に引きクイーンとキング翼ビショップの支援で指すこともできる。明らかにこの作戦はほとんど常に白がキャッスリングの意図を明らかにする前に実行される。なぜならこのような場合にだけ、…f7-f5 突きのあとg列が素通しになる可能性から利益を得ることが期待できるからである。白はクイーン翼キャッスリングの選択肢を残すことによって、逆翼キャッスリングで局面を激化させる可能性を維持する。

 黒の観点からは正しい作戦を選択するのはいつも簡単なわけではない。三通りの可能性の是非を概説する。(1)相手がクイーン翼にキャッスリングするかもしれないことからすれば、黒は …c7-c6xd5 でc列を素通しにして対処する。しかしこれは白がg4にポーンを突いている場合にだけ奉公することである。そうでなければ白はキング翼にキャッスリングし、邪魔されることなくc列の開通から利益を得ることになる。(2)黒は …a5 突きから …Nc5 によってc5の地点を確保し占拠するか、…c5 突きでポーンを固定することにより対処する。この作戦は実際には白がクイーン翼にキャッスリングしている時だけ効果がある。なぜなら白キングは閉鎖中原によって守られているので中央にい続けることができ、g4 突きと h4 突きによりキング翼で主導権を得るか a3 突きから b4 突きでクイーン翼で主導権を得、相手には明確な反撃の目標を与えないからである。(3)黒は迅速な …Nf6-h5-f4 で弱いf4の地点(h2-h3 突きにより目立っている)につけ込むことにより対処する。

(この章続く)

2011年04月16日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 王印防御の完全理解

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