チェス布局の指し方[56]

チェス布局の指し方[56]

eポーン布局

第8章 カロカン防御(続き)

パーノフ攻撃

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5

 3…Qxd5? なら 4.Nc3 と展開しながらクイーンを当たりにして白が手得する。

4.c4(図84)

 図84(黒番)

 白のこの手でパーノフ攻撃になる。このシステムは1930年代にカロカンに対する必勝法であると信じられた。しかしそれ以降防御法が十分に改良されて定跡の均衡が回復した。黒がここで 4…dxc4 と取ると白のdポーンは孤立ポーンになるがそれは恐れる必要がない。例えば 5.Bxc4 e6 6.Nf3 となればクイーン翼ギャンビット受諾の布局に転移したことになる。このような局面では孤立ポーンは攻撃の可能性を生み出すので弱点というよりも強みであることが知られている。

4…Nf6

 黒は展開しながらdポーンを守った。4…Nc6?! は正確さで劣る。というのは 5.cxd5 Qxd5 のあと黒クイーンがかなり露出した状態になり、白が(dポーンを守ってから)Nc3 と指して手得できるからである。

5.Nc3

 グンデラムの 5.c5 は魅力的な着想で、黒は 5…e5 と応じることができ大乱戦になる。これは「An Opening Repertoire for the Attackingu Player」で詳しく解説されている。

5…e6

 これは最も堅実な防御の手で、黒がd5にポーンを維持できる。5…g6 は 6.Qb3! Bg7 7.cxd5 O-O 8.Be2 Nbd7 9.Bf3 となって、黒が楽にポーンを取り返すことができないので互角にできない。

6.Nf3 Be7 7.c5!?

 7.Bg5 は 7…O-O または 7…Ne4 と応じられどちらも互角になる。だから白はクイーン翼のポーンを迅速に突いて優勢を目指す。

7…O-O 8.Bd3

 この手は黒のナイトをe4に来させないようにしている。すぐに 8.b4 と突くのは 8…Ne4! 9.Qc2(9.Nxe4 は 9…dxe4 10.Ne5 f6 11.Nc4 Nc6 で白のポーン損になる)9…Nc6 10.a3 e5! で黒が優勢である。例えば 11.dxe5 Nxc3 12.Qxc3 Bg4 で白のキングがまだ安全な所に退避していないので攻撃が非常にきつくなる。

8…b6!

 白が陣容を整える余裕が持てないように白のcポーンに対して反撃を仕掛けた。

9.b4 a5 10.Na4

 白はナイトでbポーンを攻撃した。すぐに 10.a3? と突くのは 10…axb4 でaポーンが釘付けにされるので白の連鎖ポーンを維持するのに役立たない。

10…Nbd7

 10…bxc5? は 11.bxc5 で白の保護パスcポーンが黒とって厄介になる。本譜の手は 10…Nfd7 よりも少し改良されている。10…Nfd7 に対して白は 11.b5 と応じることができ(12.c6 の狙い)、11…bxc5 12.dxc5 e5!(12…Nxc5? は 13.Nxc5 Bxc5 14.Bxh7+ で良くない)13.c6 e4 14.cxd7 Nxd7 15.O-O で白がまだわずかに優勢である。

11.a3

 白の連鎖ポーンはまだ威容を誇っているように見える。しかし実際には黒が単純な手筋で互角にできる。これは根元が浮き上がれば連鎖ポーンは弱体化するという金言の好例である。

11…axb4 12.axb4 bxc5 13.bxc5

 13.dxc5 は 13…e5 で黒の中原のポーンの方が白のクイーン翼のポーンよりも良くなる。

13…e5! 14.Nxe5

 他の手はこの手よりも悪い。例えば 14.dxe5 なら 14…Nxc5! 15.exf6(15.Nxc5 は 15…Rxa1)15…Nxd3+ 16.Qxd3 Bxf6 17.Nd4 Qe8+ 18.Be3 Rxa4 だし 14.c6 なら 14…e4 15.cxd7 Bxd7 である。

14…Bxc5! 15.O-O

 15.Nxd7 は 15…Bb4+ 16.Bd2 Bxd2+ 17.Qxd2 Bxd7 となって白がa4のナイトを救うことができないので黒の勝ちである。

15…Nxe5

 15…Bxd4 は 16.Bxh7+ と応じられる。

16.dxe5

 16.dxc5? は悪手で、16…Nxd3 17.Qxd3 Ba6 で交換損になる。

16…Ne4(図85)

 図85(白番)

 思い切った 16…Ng4!? も可能である。例えば 17.Bf4(駒を展開しながらeポーンを守った)17…Bxf2+ 18.Rxf2 Nxf2 19.Kxf2 Qh4+ 20.Bg3(20.g3 なら 20…Qxh2+)20…Qd4+ 21.Kf1 Kh8(22.Bxh7+ からのクイーン素抜きを防ぐため)となればa4の悪形のナイトと白キングの露出のため黒に勝つチャンスがある。本譜の手のあとは完全に互角の形勢である。白の最善の手順は 17.Bxe4 dxe4 18.Qxd8(18.Nxc5? にはやはり 18…Rxa1 がある)18…Rxd8 19.Bg5 Rd5(白のナイトが釘付けでなくなったのでビショップを守るため)20.Nxc5(20.Rfc1? は 20…Bd4 と応じられる)20…Rxa1 21.Rxa1 Rxc5 ですぐに引き分けになる。

(この章続く)

2011年04月11日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

コメント

コメントは受け付けていません。


»
«