王印防御の完全理解(38)

王印防御の完全理解(38)

第2章 ペトロシアン中原(続き)

2.1 戦略の着眼点(続き)

…h7-h6 から …g6-g5 による釘付けはずし

 黒のクイーン翼ナイトがd7に跳ねると次のような局面になる(図53)。

 図53 

 このような局面では白は Qd1-d2 と指して …h7-h6 突きを防ごうとしない。なぜなら …Nd7-c5 のあとどちらにしても面白くない Be2-d3 か Qd2-e3 の選択をしなければならないからである。いずれにしてもどちらも黒の …h7-h6 突きを防ぐことはできない。従ってこの着想(Qd1-d2)は黒が …c7-c5 突きの陣形を採用した時だけ成立する。

 実際にはここでの白の意図はキング翼ナイトをd2に引いてd1-h5の斜筋を支配し、それにより …h7-h6 から …g6-g5 突きで釘付けをはずしたあとの …Nf6-h5xg3 による単純化を避けることである。従って …Qd8-e8 による釘付けはずしが Nc3-b5 と強く応じられることを考えれば、黒がすぐにポーンを突いて …Nf6-h5 と跳ねるのが最善であることが容易に分かる(図54)。

 図54 

 このような局面では白が既にキャッスリングしている場合にだけf4の地点の占拠(…Nh5-f4)が効果的であることが簡単に理解できる。…Nf6-h5 のあと白がキャッスリングしていなければ、白は h2-h4 と突くことにより敵の弱体化したキング翼につけ込もうとすることができる。そのような変化はしばしば戦術的に非常に複雑になり、通常は …g5-g4 突きから …Nh5-g3 の交換のあと次のようなポーン構造に至る(図55)。

 図55 

 ここでは戦いは主としてf5の地点の支配をめぐって行なわれる。白が支配すれば戦略的に優位に立つことにもなる。だから黒としては …f7-f5 突きが本来の反撃の意義を失い、ゆっくり締め上げられる危険を避けるための必要な解放策となったとしても、このポーン突きをやり遂げなければならない。しかし黒がこのポーン突きを達成できれば、e4とf5のポーンの交換のあと実際上1ポーン得の収局を期待することができる。もっとも黒キングは中盤戦で攻撃にさらされることにはなる。

(この章続く)

2011年04月10日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 王印防御の完全理解

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