王印防御の完全理解(30)

王印防御の完全理解(30)

第1章 マルデルプラタ中原(続き)

1.3 実戦例(続き)

 図42(再掲) 白の手番 

 この典型的な局面で白には黒の意図するキング翼攻撃に対処するのに基本的に二通りの手段がある。それはお互いにポーンの暴風を用いてそれぞれの翼に攻撃をかけることと、相手の攻撃を凍結させるためにキング翼で予防手段を講ずることである。

 一つ目の場合 c5 突きは二通りの手段で準備できる。(1)Bc1-e3 と指し、黒からのfポーン突きには f2-f3 から Be3-f2 と応じる。b2-b4 突きと Ne1-d3 でc5の地点への利きをさらに増やすことができる。今日ではこの戦型はかなり珍しくなっている。理由は 10.Be3 f5 11.f3 f4 12.Bf2 g5 となると Bf2 の位置が中盤で …g4-g3 の侵攻にさらされるからである。そうなればたぶんポーンの犠牲を伴うけれども白キングに対する攻撃の筋が開いて危険になる。(2)前局で見たように Ne1-d3 と指す。

 もう一つの手段では白は 10.f3 f5 11.g4 と指すことによりキング翼での先受けを講ずることができる。ここで黒は 11…fxg4 12.fxg4 と指しても攻撃が続かず白は問題がない。11…f4 と突くのも(…g5 からあとで …h5 突きで侵攻する意図)12.h4 突きでキング翼の筋の開通を防がれるので攻撃が続かない。だから黒はクイーン翼でc4-d5の連鎖ポーンに対する攻撃に転じるのが普通である。例えば 11…Nf6 12.Nd3 Kh8 13.Be3 c6 で …b7-b5 突きをもくろむ。

10.Nd3 f5 11.Bd2 Nf6 12.f3 Kh8

 この手は前局で見た旧来の 12…f4 に代わる現代的な手である。黒は本譜の手を三通りに解釈することができる。(1)c4-d5の連鎖ポーンを …c7-c6 から …b7-b5 突きの手段で攻撃する場合、このキング寄りはa2-g8の斜筋の問題を避けるのに役立つ。(2)不良ビショップを …Ne7-g8 から …Bg7-h6 で始末する。(3)まず白のルークをb1の自然な地点からc1に誘い出してから先受けの …c7-c5 突きを指す。

13.Rc1

 ここで 13.c5 と突いてくるなら、13…c6 による反撃が 12…Kh8 でなく 12…f4 と突いていた場合よりも効果的になる。その意味は黒キングが駒筋の通るa2-g8の斜筋から既によけていて、黒のfポーンがeポーンにかける面倒な圧力がc3のナイトを縛り付けるということである。

13…c5

 黒は前述の三番目を選択した。代わりの手は 13…c6 14.b4 b5 と 13…Neg8 14.c5(14.g4 は 14…fxg4 15.fxg4 h6 16.h4 Nxg4! 17.Bxg4 Qxh4 で永久チェックによる引き分けになりそうなので白はなかなかそう指せない)14…Bh6 である。

14.g4(図43)

 図43 黒の手番 

(この章続く)

2011年04月02日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 王印防御の完全理解

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