チェス布局の指し方[54]

チェス布局の指し方[54]

eポーン布局

第8章 カロカン防御(続き)

4…Bf5 の古典システム

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3(図80)

 図80(黒番)

 これは最も分かり易い手で、展開しながらeポーンを守っている。

3…dxe4

 黒はこう取るより他に良い手がない。3…e6 で中原をさらに守るのは一種のフランス防御になってしまい、黒があとで一手かけて …c5 と突くのはほとんど確実なので白が手得になっている。単に 3…Nf6 と展開するのも、白からすぐに 4.e5 と突かれてナイトを追い払われるので感心しない。4…Nfd7 と引けば白は 5.e6! fxe6 6.Nf3 と面白いポーン捨てを行なうことができ、黒陣を恒久的に締め付けることができる(黒は駒を展開するのが困難になる)。

4.Nxe4 Bf5

 黒は 3…dxe4 で中原を放棄しなければならなかったが、展開しながら白のクイーン翼ナイトを当たりにすることによりその浮き駒状態から利益が得られることに期待している。ここで白がナイトをc3に引けば黒は明らかに手得であるが、白がナイトをg3に引けば黒は手得にならない。代わりに …Nf6 は別の節で取り上げる。

5.Ng3

 これが白の最善手である。

5…Bg6

 他の引き場所はあまり考える必要がない。5…Be6 はeポーンの邪魔になり、黒がキング翼ビショップを展開するのが難しくなる。5…Bd7 はクイーン翼ナイトの邪魔になり、黒があとで …e6 と突いたあと閉じ込められる。5…e6 6.Nxf5 Qa5+ から 7…Qxf5 は黒が双ビショップを放棄することになる。

6.h4

 7.h5 と突いてのビショップ取りが狙いになっている。通常このような手は白キングの上部に弱点を作り出すので注意して指さなければならない。しかしこの局面では白はクイーン翼にキャッスリングするつもりなので、そのような弱点は生じない。

6…h6

 代わりに 6…h5?! は白が Nh3-f4 と捌くことができるので非常に疑問である。この手は黒のクイーン翼ビショップをこのナイトと交換させるか、またはhポーンを取らせることになる。

7.Nf3

 展開し Ne5 と跳ねる手を狙っている。

7…Nd7 8.h5

 これは黒のキング翼を完全に動けなくする作戦の始まりである。

8…Bh7 9.Bd3

 白の立場から見ると黒のクイーン翼ビショップは白のhポーンの標的としても役割を果たした。論理的な次の手順は、このビショップがまだ好位置にいてg3の白ナイトの動きを制限しているの、それを交換して取り去ることである。

9…Bxd3 10.Qxd3 Qc7

 この手は 10…e6 や 10…Nf6 よりも正確である。それらの手なら白のクイーン翼ビショップがもっと活動的なf4の地点を占める。

11.Bd2 e6 12.Qe2

 白の作戦の次の手順は Ne5 跳ねを準備することである。

12…Ngf6 13.O-O-O O-O-O

 13…Bd6 でe5の地点に利かせるのは 14.Nf5! で駄目である。そのあと黒が 14…Bf4 と指せば 15.Nxg7+ Kf8 16.Nxe6+ fxe6 17.Qxe6 という犠牲で1個の駒の代わりに3ポーンを得て激しい攻撃が続く。

14.Ne5

 中央の強力な地点に陣取ってf7の地点を攻撃している。

14…Nxe5

 このナイトはまったく強力すぎるので生かしておけない。fポーンを守る他の方法はあまり薦められない。例えば 14…Nb6 は 15.Ba5 と応じられる。

15.dxe5 Nd7

 15…Nd5 の方が良いかもしれないが、いずれ c4 突きで追い払われる。

16.f4(図81)

 図81(黒番)

 白はeポーンを支えてキング翼で厳しく締め付けている。黒は絞め殺されないように注意深く指さなければならない。ここまでの手順は1966年のスパスキー対ペトロシアンの世界選手権戦第13局である。長い戦いの末に白が勝ったが、それでも黒の陣形は打ち破るのが非常に困難である。

(この章続く)

2011年03月07日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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