王印防御の完全理解(14)

王印防御の完全理解(14)

第1章 マルデルプラタ中原(続き)

1.1 戦略の着眼点(続き)

d4の地点の弱点

 図5に示された状況で黒は …Nd7-f6 によって f3 と突かせる代わりに、…f5xe4 と取ることによってもっと単純化された展開を選択するかもしれない。Nc3xe4 の取り返しのあと次のようなポーンの形が出来上がる(図14)。

 図14 

 この形は …f7-f5 突きのあと白がf5のポーンを取り黒が駒で取り返した時にも生じる。しかしポーン交換をする方が手を損し敵駒の中央進出を助けるので白としては待った方が明らかに得策である。

 …f5xe4 の交換のあと戦いは本質的にd4とe4の地点をめぐって行なわれる。黒は弱点のd4の地点への道が開ける(例えば …Ne7-f5-d4)。一方白はe4の地点を強力な基地として使え、d4の地点は Bc1-d2-c3 の捌きによってある程度支配することができる(図15)。

 図15 

 黒は …Nh4、Nxf6+ Qxf6、Be4 Bf5、Qe2 Bxe4、Qxe4 でいくらか単純化することができ、さらに …Qf5 でクイーン交換を挑むかもしれない。しかし白はe4の地点の所有、中央に陣取った強力な Nd3、それに黒のかなり柔軟性のない構造に対するクイーン翼でのポーンによる襲撃の可能性により、収局で少しではあるが永続する優位を維持することになる。しかも白のキング翼が全然弱体化していないので、黒がキング翼で何か意味のある作戦を行うことは難しい。

 最近黒は主眼の …f5-f4 突きと c4-c5 突きのあと、…c7-c6 突きでd5のポーンを攻撃することによってd4への別の道を開こうとしてきた(図16)。

 図16 

 d5の地点の守りが不十分なので白は c5xd6 と d5xc6 の二重の交換をしなければならない。黒は …Ne7xc6 と取ったあとd4の地点の占拠に期待することができる(図17)。

 図17 

 しかし中央をずたずたにすることは攻撃的な …f5-f4 突きと調和せず黒クイーンも露出するので、このような戦略にはそれなりの欠点もある。

(この章続く)

2011年02月24日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 王印防御の完全理解

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