チェス布局の指し方[51]

チェス布局の指し方[51]

eポーン布局

第7章 フランス防御(続き)

タラシュ戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2(図75)

 図75(黒番)

 一見したところではこの手は奇妙に思える。なぜならd2はナイトにとってc3よりも働きの劣る地点であるのは確かだし、さらには白のクイーン翼ビショップとクイーンの利き筋をふさいでいるからである。他方では 3.Nd2 はビナベルを回避し(3…Bb4? は 4.c3 と応じられる)、戦型によっては突き越し戦法のように白が c3 と突いてdポーンを支えることができる。

3…c5

 この手と 3…Nf6 は大会の実戦で同じくらいの頻度で現れる(3…Nc6 もよく見かける)。3…Nf6 は白が 4.e5 と突いていつものフランス防御の連鎖ポーンを形成するよう誘っている。そして黒はあとでそれを攻撃する。本譜の手はすぐに白のdポーンに当たりをかけることによって e5 突きを防いでいる。だから白は他の方法で優勢を確保するよう努めなければならない。

4.exd5

 白は中原ですぐに交換して黒に孤立ポーンを作らせることに期待した。(孤立ポーンの側は二つの不利に直面する。一つ目はそのポーンを別のポーンで守ることができないので、それが攻撃された時は駒を使って守らなければならない。二つ目は孤立ポーンの直前の地点が非常に弱くなることがあり、敵の駒の拠点として使われるかもしれない。孤立ポーンの目の前の地点の駒は両隣の列にポーンがもうないのでポーンを突いてどかすことができない。)

4…exd5

 黒は将来dポーンが孤立化する可能性を受け入れ、活発な展開と駒の活動によりこの弱点の代償が得られることを期待した。特に黒のクイーン翼ビショップの展開はもうたいした問題ではなくなっている。グランドマスター級の試合では 4…Qxd5 も流行している。もっとも白はクイーンを攻撃して手得をするかもしれず、黒のクイーン翼ビショップは問題をかかえたままである。

5.Ngf3

 5.dxc5 で黒のdポーンをすぐに孤立させるのは、黒が展開の手で応じて(5…Bxc5)手得するので正しくない。白はできるならば黒がキング翼ビショップを動かすまで dxc5 を遅らせるべきである。それまではキング翼を迅速に展開するのが白のもっとも理にかなった方針である。

5…Nc6

 黒も早く自分の駒を働かせたい。この手は 5…Nf6 より正確である。というのは白がキング翼ビショップをb5に出せば黒のキング翼ナイトはe7が良い位置になるかもしれないからである。

6.Bb5

 この展開の手は良い手で、黒のクイーン翼ナイトを釘付けにして、d4ポーンに対する圧力を取り去っている。

6…Bd6

 黒は釘付けを(例えば)6…a6 ではずしている余裕はない。なぜなら必然の応手の 7.Bxc6+(7.Ba4?? は 7…b5 8.Bb3 c4 でビショップを取られるので不可である)のあと、白が 8.O-O から 9.Re1 と指しe列での新たな釘付けが前の釘付けよりももっと面倒になるからである。同じ理由で 6…Nf6 と 6…Be7 も良くない。例えば 6…Nf6 なら 7.O-O(8.Re1+ の狙い)7…Be7 8.dxc5 となってこの時黒は 8…Bxc5 と取り返すことができない。なぜなら 9.Re1+ Be7 10.Qe2 で黒はキャッスリングすると駒をとられるからである。

7.O-O

 白はキング翼の展開を完了し 8.Re1+ を狙っている。

7…Nge7

 この手はほとんど絶対である。他のどんな手も黒はかなり不利になる。

8.dxc5

 白はようやく黒のdポーンを孤立させるという基本的な陣形上の主題に戻った。

8…Bxc5 9.Nb3

 このナイトはもちろん絶好の拠点のd4を目指している。そのかたわら黒のビショップを攻撃している。

9…Bd6

 このビショップはb8-h2の斜筋上にいるのが一番良い。

10.Nbd4 O-O 11.Be3

 このビショップはd4とc5の地点の支配を助けるためにここにいるのが理にかなっている。

11…Bg4(図76)

 図76(白番)

 孤立dポーンにもかかわらず黒は布局から互角になった。それは駒が活動的な地点にいるし他に弱点もないからである。1961年ブレッドでのパッハマン対ポルティッシュ戦は次のように進んだ。

12.h3 Bh5 13.Qd2 Rc8 14.Be2 Bb8

 黒の次の手と共にこの手は素通しc列と白キングに対し圧力をかける態勢を作っている。

15.c3 Qc7

 この手は 16…Nxd4 のあと 17…Bxf3 から 18…Qh2# を狙っている。

16.g3 Qd7 17.Kg2

 どちらも進展が図れないようである。

(この章続く)

2011年02月14日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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