王印防御の完全理解(1)

王印防御の完全理解(1)

はしがき

 本書で我々は非常に明確な目標を掲げた。それは戦法をカタログのように紹介するのではなく、それぞれの側の構想や作戦を簡潔かつ分かり易く説明することによって「読んで試す」方式で布局を理解することを教えることである。さらにそのようなやり方で読者は本書の大部分を盤駒を用いずに理解することができる。

 この意欲的な目標を達成するために、中原のポーンが安定した構造になれば、異なったポーン構造になる同じ戦法の異なる戦型同士よりも同じポーン構造になる色々な戦法同士の方が戦略的および戦術的な相似性が強いという原理に従った。この単純なやり方でどんな局面でもその基本的な構想をすぐに理解することができる。これは布局定跡の通常の本の場合と際立った対照を成している。それらの本では体系化が必要なために理解の過程が非常に困難になっている。

 この出発点を定めれば以降は論理的に運ぶ。布局は戦法でなく「中原の型」に従って分類した(型の名前は通常は主要な戦法から取った)。これは同じ戦法の異なる戦型を、遅かれ早かれ決まってくる中原のポーンの形によってある中原の型または他の中原の型で調べられるようにするためである。そしてそれぞれの中原の型の考察は三つに分けて行なわれる。それらは戦略の着眼点の深い分析(最も現代的なものに特に注意を払う)、繰り返し現れる戦術の主題の概説、そして最後にいくつかの実戦例である。実戦例は特に布局を詳細に解説するので(読者はここでは盤駒を用いなければならない)、二つの理論的な節との実戦的な対応だけでなくいくつかの代表的な戦法をまのあたりにするだろう。実戦例を注意深く読むことは以前に詳述された戦略の着眼点を完全に理解するために欠かせない。

 もちろんすべての布局の戦法から生じる可能性のある中原の型を全部考えることは不可能である。考察する中原の構造は最も重要かつ普通に見かけるもので、考えられるもののうち少なくとも85%を含んでいる。考察の対象とならないもの(それらはすべて重要でない変化である)については従来の参考書を参照されたい。

 執筆に際してはどちらかの側に偏することなくできるだけ客観的な観点を維持するように努めた。それにより中原の型のそれぞれの構想を公平に解説できたものと期待している。中原の型の構想を知ることは白を持つにせよ黒を持つにせよ必要不可欠である。

 この「作品」は広範な棋力の選手が利用できる。初心者は布局の基礎を学ぶために利用できる。熟達者は戦法の幅を迅速に広げる必要性のために、またはまったく新たに布局のレパートリーに取り入れるために利用できる。もちろん強豪選手は戦法や最新の考え方のもっと深い知識が必須なので、本書を体系的な教科書と共に用いなければならない。

 我々の希望は読者が我々の解説を明快であると思い学び楽しみそして棋力を速やかに向上させることである。その時初めて「読んで試す」方法は成功したと言える。

2011年02月11日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 王印防御の完全理解

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