チェス布局の指し方[50]

チェス布局の指し方[50]

eポーン布局

第7章 フランス防御(続き)

ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4(図73)

 図73(白番)

 この手からビナベル戦法が始まる。この戦法はフランス防御群の中で黒の最も人気のあるシステムになっている。黒の戦略はクイーン翼で厳しい攻撃を仕掛けることである。白はたいていキング翼で活動する。そこなら黒の守られていないgポーンを攻撃することによって黒のキング翼ビショップがいなくなったことにつけ込もうとするかもしれない。戦いはフランス防御の他のほとんどの戦法よりもはるかに複雑になる可能性がある。両者のキングはしばしば真ん中で立ち往生することがある。

 白のクイーン翼ナイトを釘付けにした本譜の手は白のeポーンに対する攻撃を再開し、ルビーンシュタイン戦法の 3…dxe4 よりはるかに積極的である。ルビーンシュタイン戦法は 4.Nxe4 Nd7 5.Nf3 Ngf6 6.Nxf6+ Nxf6 7.Bd3 で白が有望になる。

4.e5 c5

 白は中原で進攻し、黒は新たにできた連鎖ポーンの根元を攻撃することによって迅速に応じている。

5.a3

 釘付けが非常に厄介になってきたので白は非展開の手を指す代価を払ってもそれを終わらせることにした。釘付けをはずす別の方法は 5.Bd2 だが、この控えめな手は黒に問題を突きつけない。5.Bd2 のあと黒の最善手はキング翼をすみやかに展開する 5…Ne7 である。5…cxd4 と応じるのは 6.Nb5 という手があるので悪い。これで黒ビショップは適当な引き場所がなく(6…Be7 はキング翼ナイトの邪魔になり、6…Bc5 は 7.b4 と調子よく突かれる)、ビショップ同士を交換すればd6の地点が弱くなる。

5…Bxc3+

 黒は 5…Ba5 で釘付けを維持することはできない。なぜなら 6.b4! cxb4 7.Nb5 bxa3+ 8.c3 Bc7(9.Nd6+ を防ぐため)9.Bxa3 となって、白が展開で優位に立ち、犠牲にしたポーンの代わりに攻撃が強力になるからである。

6.bxc3 7.Ne7

 黒は白クイーンがやって来て対処しにくくなる前にキング翼の展開を図った。

7.Qg4

 これは白の最も激しい手である。7.Nf3 なら黒は普通に展開し陣容を固めることができる。そのあとは白のクイーン翼のポーン形が弱点になっているので黒が適切な反撃を行なうことができる。

7…cxd4

 7…O-O なら白は単純な展開で強力な攻撃態勢になる。例えば 8.Nf3 Nbc6 9.Bd3(h7で切る狙い)9…f5 10.Qg3! という具合である。

 本譜の手は黒の迅速な反撃の作戦に論理的によく合っている。

8.Qxg7 Rg8 9.Qxh7

 これで白は黒のキング翼の破壊を完了した。しかし盤の反対側の状況は白が展開で遅れているせいではなはだ不透明である。

9…Qc7

 これで黒は …Qxc3+ と …Qxe5+ という強力な狙いができた。

10.Kd1

 これは面白い受けである。10…Qxe5 11.Nf3 と 10…Qxc3 11.Rb1 は白の展開を助けるので良くない。しかし現在もっと人気のある選択肢は 10.Ne2 Nbc6 11.f4 Bd7 12.Qd3 dxc3 で、非常に難解である。

10…Nbc6

 別の駒を戦いに投入し白のeポーンをさらに狙っている。

11.Nf3

 白は急いで別の駒を攻撃に参加させ、12.Ng5 でf7の地点を狙う作戦に出た。

11…dxc3

 犠牲にしたポーンを取り戻した。

12.Ng5 Nxe5 13.f4

 この手は守りのナイトを追い返そうとしている。黒の次の手はほとんど必然である。

13…Rxg5 14.fxg5 N5g6(図74)

 図74(白番)

 黒は白のクイーンを閉じ込め 15.Qh8+ を防いだ。ここまでケレスの分析を追ってきて非常に興味深い局面に至った。黒は交換損に対してかなりの代償を得ている。即ちポーンを得し、中原の可動ポーン群は堂々たるものである。両者のキングはいくらか露出しているが白の方が程度が大きい(黒キングは …Bd7 から …O-O-O で比較的安全になる)。さらに白のクイーンは働いていない。この局面は非常に難解で、各自の研究の余地が非常に大きい。

(この章続く)

2011年02月07日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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