ルイロペスの完全理解(294)

ルイロペスの完全理解(294)

第10章 バード中原(続き)

10.3 実戦例(続き)

 図361(再掲)

 すぐに 5…c6 と突くと白が展開の優位を生かすのがかなり容易になる。例えば

 (1)6.Ba4 Nf6(もっとゆっくりした作戦は白が目障りなd4のポーンを c3 突きによって交換し易くなる。例えば 6…Ne7 7.Re1 g6 8.c3 Bg7 9.cxd4 O-O 10.d3 d5 11.Nc3 または 6…d6 7.d3 Be7 8.Nd2 Nf6 9.c3 dxc3 10.bxc3 O-O 11.Bc2 あるいは 6…g6 7.c3 Bg7 8.cxd4 d5 9.exd5 でどれも白が優勢である)7.d3(白にはe4のポーンを 7.Re1 で守りながら c3 と突く構想もある)7…d5 8.Bg5 dxe4 9.dxe4 Be7 10.e5 Nd5 11.Bxe7 Nxe7 12.Bb3 O-O 13.Nd2 で白が指し易い。

 (2)6.Bc4 Nf6(6…d5 はたぶん時期尚早である。例えば 7.exd5 cxd5 8.Re1+ Ne7-8…Be7 9.Bb5+ Bd7 10.Qg4 は白が良い-9.Bf1 Be6 10.c3 Qd7 11.Na3 Nc6 12.Qa4 Be7 13.Nc2 で白が優勢である)7.Re1 d6 8.c3 Ng4 9.h3 Ne5 10.d3 Nxc4 11.dxc4 dxc3 12.Nxc3 で白がいくらか優勢である。

 本譜の手で黒はd4のポーンをしっかり支持し、白の c3 突きに基づく作戦を思いとどまらせている。同時に …c6 から …d5 と突く中原拡張作戦をやめることなくキャッスリングする準備を始めた。白の方は c3 突きにすべてを賭け続けるか、d3 と突いて中原をしっかりさせてからキング翼で f4 突きで攻勢をかけるかを選択できる。

6.d3

 白はまだ c3 突きの作戦を選ぶことができるので、この手自体は白が f4 と突いていく意図について何も語っていない。

 白には他の可能性もある。

 (1)6.Qh5 Qe7(6…Bb6 なら 7.Qe5+)7.d3 Nf6 8.Qh4 c6 9.Bc4(9.Ba4 も考えられる)9…d5 10.exd5 Nxd5 11.Bg5 f6 12.Bd2 Be6 展望は両者ともほぼ互角である。

 (2)6.Bc4 d6 7.d3(7.c3 には 8.cxd4 Bxd4 9.Qa4+ Bd7 10.Bxf7+ という危険な狙い筋があるが、たぶん単刀直入の 7…c6 のあと …Ne7 から …O-O が本筋だろう)7…Nf6 8.Bg5 h6 9.Bh4 Be6 活発な戦いが予想される。

6…c6

 6…Ne7 は 7.Qh5 で黒は Bc5 に対する攻撃を …d6 でも …d5 でもかわすことができず、7…Bb6 で手損しなければならないだろう。これにより白の主導権はずっと効果的になる。例えば 8.f4 c6 9.Ba4 O-O 10.f5 で確実に優勢である。

7.Ba4

 代わりに中原で黒に孤立二重ポーンを作ることを誘う 7.Bc4 もよく指されている。例えば 7…d5(もちろん 7…d6 も可能である)8.exd5 cxd5 9.Bb3(または 9.Bb5+ Bd7 10.Bxd7+ Qxd7 11.Nd2 Ne7 13.Nb3 Bb6 でどちらも指せる)9…Ne7 で、実戦では陣形の優位を実証するのにかなりの問題に出会うことが分かっている。例えば

 (1)10.Qh5 O-O 11.Nd2 a5 12.a3 a4 13.Ba2 Ra6 14.Nf3 Rg6 どちらも指せる。

 (2)10.Re1 O-O 11.Qh5 Be6 12.Nd2 a5 13.a4 Bb4 14.Re2 Qd7 15.Nf3 Bg4 16.Qg5 Bxf3 17.gxf3 Ra6 黒が優勢である。

 (3)10.c4 O-O(10…dxc3e.p. は 11.Nxc3 O-O 12.Re1 h6 13.Bf4 Be6 14.d4 Bb4 15.Re3 で白が少し優勢である)11.cxd5 Nxd5 12.Nd2 Ne3 13.fxe3 dxe3 14.Qh5 exd2+ 15.Qxc5 dxc1=Q 16.Raxc1 Be6 互角の形勢である。

7…Ne7 8.f4

 白は目的を明らかにした。しかしこの方針は6手目と7手目の必然の結果ではない。白はまだ c3 突きを伴う別の作戦を選ぶ余裕があった。例えば 8.Qh5 d5(または 8…d6 9.Nd2 Be6 10.Nf3 O-O 11.Ng5 h6 12.Nxe6 fxe6 13.Bd2 で白が少し優勢)9.Nd2 O-O 10.Nf3 a5 11.c3 dxc3 12.bxc3 f6 13.Re1 Bd6 でどちらも指せる。

8…f5?

 この手は白の膨張策を押さえる主眼の対抗策である。しかしこの場合は間違いであることが分かってくる。というのはa2-g8の斜筋を早く弱めると黒はキャッスリングを放棄させられるからである。黒はたぶん中原で迅速に 8…d5 と応じて捌く余地を作るよう努めるべきだった。例えば 9.f5 dxe4(9…g6? は 10.f6 で、9…f6? は 10.Qh5+ で悪い)10.dxe4 d3+ 11.Kh1 dxc2 12.Qxc2 Bd4 13.Rd1 Qb6 ならクイーン翼キャッスリングの選択が残っている。

9.Bb3!

 単純な手だが非常に効果的である。衝動的な 9.Qh5+ は 9…g6 10.Qh6 Ng8! 11.Qg7 Qf6 で互角以外の何ももたらさない。

9…d5

 これは明らかに仕方がない。なぜなら前の解説の変化が現実の狙いとなっているからである。例えば 9…d6? ならば 10.Qh5+ g6 11.Qh6 Ng8 12.Bxg8 Rxg8 13.Qxh7 である。

10.exd5 Nxd5(図362)

 図362

(この章続く)

2011年02月07日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: ルイロペスの完全理解

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