チェス布局の指し方[49]

チェス布局の指し方[49]

eポーン布局

第7章 フランス防御(続き)

古典戦法

1.e4 e6 2.d4

 これは明らかに 1…e6 に対する最も攻撃的で自然な応手である。白はこの手で中原における態勢を強化し、自分の駒のために陣地を広げ展開のためにより多くの筋を開けている。

2…d5(図71)

 図71(白番)

 黒の希望はd5の地点に「橋頭堡」を確立することと白の中原ポーンを固定することである。自由に動ける中原は閉鎖的な中原よりも攻撃の道具としてはるかに強力である。

3.Nc3

 白は駒を展開しながらeポーンを守った。これは白の最も自然な3手目だが、3.Nd2 と 3.e5 もよく指されている。この二つの手は別の節で取り上げる。3.exd5 はあまり勧められない。なぜなら 3…exd5 のあと黒のクイーン翼ビショップが自由に動けるようになるからである。ガリー・カスパロフはこの退屈そうな交換戦法でも面白い試合を指していた。このことはチェスがいかに深遠で可能性に富み魅力的かを示している。

3…Nf6

 黒も駒を展開し白のeポーンに圧力をかけ続けている。これに代わる重要な手は 3…Bb4(ビナベル戦法)で、次節で取り上げる。

4.Bg5

 これも自然な手で、駒を展開し黒のナイトを釘付けにしてeポーンへの攻撃を緩和している。本譜の手で白は 5.e5 を狙っている。すぐに 4.e5 Nfd7 5.f4 と指すのもよく指されていて、本譜の戦法と似た戦いになる。

4…Be7

 これは黒のキング翼ナイトへの釘付けをはずす最良の手段である。代わりに 4…Bb4(マクカチオン戦法)は 5.e5 h6 6.Bd2 Bxc3 7.bxc3 Ne4 8.Qg4 と進み難解な局面になる。

5.e5

 eポーンをe4の地点に維持する適当な方法はない。例えば 5.Bd3 は 5…Nxe4 6.Nxe4 dxe4 7.Bxe4[訳注 Bxe7 が抜けているようです]となって、一組のナイトが交換になって黒陣が楽になる。一般的な原則として窮屈な陣形の側は駒の交換に努めれば残りの戦力を捌く空間が広がる。

 本譜の手のあと白のポーンは固定され攻撃の標的になり易い。しかし代償として白は陣形の広さの優位を得る。

5…Nfd7

 当たりのナイトは下がったが、その地点は …c5 突きを助けることができ、あとで白のeポーンが弱体化すればそれを狙うこともできる。

6.Bxe7

 この交換は白と黒のどちらに有利だろうか。読者は前述の解説から駒交換は黒陣を解放するのに役立つだけだと思うかもしれない。その解説とは対照的に、ビショップはその占める枡の色と同色の枡に固定された連鎖ポーンにより働きがひどく狭められることも強調してきた。だからここでは白は自分の「不良」ビショップを黒の「優良」ビショップと交換したことになる。いずれにしても白がビショップを引くのは手損になり黒に …c5 と突く隙を与える。白は 6.h4 と突くこともでき(アリョーヒン=シャタール攻撃)、ポーンを与えて列を素通しにし迅速な展開を図る。

6…Qxe7 7.f4

 これは白の最も積極的な手である。中原が閉鎖されている局面では展開の速さはポーンと駒の適切な配置ほど重要でない。だから白はまずfポーンを突くまでキング翼ナイトを動かすのを遅らせることができる。

 f4のポーンは白のe5の支配を増している。これはあとで分かるように非常に重要である。

7…O-O

 黒は急いでキングを安全地帯に移した。これでルークもf列で働ける。黒は白の増大する圧力を迎え撃つためにすぐにfポーンを突くことになる。

8.Nf3

 これは自然な展開の手である。ナイトを進めるにはf3が最良の地点である。そこからは要所のd4とe5の地点に利かすことができる。

8…c5

 黒は中央で打って出て、白の連鎖ポーンの根元に攻撃を加えた。

9.Bd3

 白はビショップを展開し、h7に切る恐ろしい狙いを抱いている。戦術の主題の研究は布局戦略についての本よりも中盤戦についての本がふさわしいが、実戦でよく生じるので読者はこの手筋を熟知していた方が良い。主たる狙い筋は (9.Bd3) a6 10.Bxh7+ Kxh7 11.Ng5+ Kg8 12.Qh5 で、黒は詰みを逃れることができない。例えば 12…Rd8(キングのためにf8の地点を空けた)13.Qh7+ Kf8 14.Qh8# で詰む。黒は次のようにキングが広いほうに逃げても運命を避けられない。11…Kg6 12.Qd3+ f5(12…Kh6 または 12…Kh5 なら 13.Qh3+ Kg6 14.Qh7#)13.Qh3[訳注 13…Nf6 で受かるので正着は 13.Qg3 です]これで黒は 14.Qh7# を避けるために駒をいくつか捨てなければならない。

9…f5

 白の直前の手により黒はキング翼で即刻の対処を迫られた。黒はこの手でポーンの配置をさらに固定し白が進展を図るのをもっと難しくすることを狙っている。

10.exf6e.p.

 白は展開に優っているので局面を開放することを望んでいる。本譜の手のあと黒のeポーンは正面から攻撃を受けてついには弱体化する。

10…Rxf6 11.Qd2

 白は当たりのfポーンを守らなければならない。本譜の手はクイーン翼ルークを容易に戦いに投入できるので 11.g3 より優っている。

11…Nc6

 黒は遅れている展開をおもんぱかった。すぐに 11…cxd4 と取るのは局面をさらに開放的にして黒の利益にならないが、本譜の手の後は 12…cxd4 が狙いになっている。

12.dxc5 Nxc5

 12…Qxc5 と取れば白の 13.O-O を防ぐが、12…Nxc5 と取る方が良い。理由は白の働いているビショップと交換できるし、クイーン翼ビショップのためにd7の地点を空けてクイーン翼の展開を速めるからである。

13.O-O Nxd3 14.cxd3(図72)

 図72(黒番)

 白のキング翼ビショップが消えて黒キングに対する攻撃の成功の可能性が減少した。陣形的には黒は全然喜べない。黒のeポーンが出遅れになっていることと、クイーン翼ビショップがまだ働いていない(つまり典型的な「フランスビショップ」)ので白が優勢である。

(この章続く)

2011年01月31日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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