チェス布局の指し方[3]

チェス布局の指し方[3]

第1章 展開と戦術(続き)

1.3 ポーン中原

 中原の支配は試合の初期の段階では主に駒の役目だが実際に中原を占拠するのは通常はポーンにまかされている。ポーン中原の問題については二つの対照的な考え方がある。古典的な方法は中原のあたりにできるだけ多くのポーンを配置しどんな手段を用いてもそれらを支える考えを良しとするものである。だから古典派はキング翼インディアン防御の多くの戦型で白のポーン中原を好んでいる。1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4

 図2(黒番)

白のポーンはc5、d5、e5およびf5の地点を支配している。しかしそれらは見かけのように本当に堂々たるものなのだろうか。

 特定の定跡や戦法に特有のポーンの形は多数ありマスターの実戦に何千回も現われている。壮大なポーン中原の別の例はグリューンフェルト防御の交換戦法に現れる。1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.e4 Nxc3 6.bxc3

 図3(黒番)

 これらの二つの局面に共通しているのは、白ポーンが中原で強大な勢力を誇っていて黒が白の中原の支配に挑むのは極めて難しそうに見えるということである。それでもこの課題全体に対する二つ目の手法をもたらしたのは白のポーン中原の土台を突き崩すという行為であり、それが超現代派のやり方である。

 超現代派はブレーヤー、レーティおよびニムゾビッチによって創始され、その考え方は後で土台を崩し(できれば)壊滅させる方策が可能ならば相手に強大なポーンの壁を作らせてもよいというものであった。したがって上図のグリューンフェルト防御の局面では黒は早期に …c5 で白の中原に挑み白のd4の地点に争点を作り出すのである。そうすると白のdポーンは急に弱体化し黒のフィアンケットされたビショップの逆鱗に触れるのである。キング翼インディアン防御における白のポーン中原に対処するため黒の用いる手法は該当する第12章で説明する。

 最も強い中原ポーンの形はdポーンとeポーンが4段目に並んだ形であると認識するのは難しいことではない。これにより二つのポーンは盤上の敵側に属する4箇所の中央の地点を支配する。しかしd4とe4にポーンを維持するのは無理になることがよくある。例えばフランス防御では 1.e4 e6 2.d4 d5 のあと白のeポーンが当たりになっていてほとんどの戦法ではe5に進むことになる。それから黒は二とおりの方法で白の中原ポーンの構造を崩す作業に着手することができる。つまり …f6 によって前からと …c5 によって後ろから攻撃することができる。どちらの手法もフランス防御の章(第7章)で説明される。しかしここで一つの具体的な戦法を簡単に見ておこう。1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6 4.e5 Nfd7 5.Nce2 c5

白の根元のポーンが攻撃されている。そこで 6.c3 Nc6 7.f4 b5 8.Nf3 b4

 図4(白番)

白の連鎖ポーンがまた根元付近で攻撃を受けている。

 黒の着想は …bxc3 に次いで …cxd4 と2回ポーンを交換することである。そうすれば白の連鎖ポーンの根元が上ずって黒駒からの攻撃にもっと弱くなる。連鎖ポーンの根元を攻めるこの戦略は色々な局面で役に立つ。原則は連鎖ポーンの根元が上ずると弱体化するということである。

(この章続く)

2010年03月15日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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