チェス布局の指し方[44]

チェス布局の指し方[44]

eポーン布局

第6章 シチリア防御(続き)

レーベンタール戦法

1.e4 c5 2.Nf3

 これは最も自然な展開の手である。白の2手目についてはゆうに1冊の本が書ける。

2…Nc6

 これも自然な手で、局面の機軸となってきそうなd4の地点にさらに利かしている。

3.d4

 この手は局面を開放的にし、駒の展開の可能性を高め、中原に地歩を築いている。

3…cxd4

 取らないと 4.d5 で白に黒陣を乱される。

4.Nxd4 e5(図62)

 図62(白番)

 この手でレーベンタール戦法になる。黒が主導権を握っているが、d5の地点を恒久的に弱めるという犠牲を払っている。この戦法の解説では黒が早期に …e5 と突いたシチリア防御の陣形の重要な側面の多くを明らかにしていく。

5.Nb5

 積極性のあるのはこの手だけである。5.Nf5? は 5…d5! 6.Qxd5 Qxd5 7.exd5 Bxf5 8.dxc6 で黒が良い。シチリア防御の局面のほとんどすべてで白は Nxc6 とナイトを交換するのを差し控えた方が良い。というのは黒がポーンで取り返すとd5の地点がよく守られた状態になるからである。この局面も例外でない。5.Nxc6 bxc6 6.Bc4 Ba6 で互角の形勢になる。7.Bxa6? は 7…Qa5+ から 8…Qxa6 で、白のキング翼キャッスリングが当面妨げられる。

5…a6

 これは黒の作戦の論理的な継続手である。黒は手得をしながら役に立つ …a6 突きを指し主導権を維持している。

6.Nd6+ Bxd6 7.Qxd6 Qf6

 黒は主導権を利用してクイーンの交換を迫った。

8.Qd1!

 これまで展開についてさんざん言ってきた後では逆説的だが、この「反展開」の手はたぶん白に永続的な優勢をもたらす唯一の手である。

8…Qg6

 この手は白のeポーンを当たりにし、白のgポーンに圧力をかけて白のキング翼ビショップが展開できなくしている。

9.Nc3 Nge7

 もっと自然そうな 9…Nf6 は 10.Qd6 で黒がキャッスリングできなくなるのでだめである。

10.h4!

 この例外的な手は黒クイーンの位置につけ込んでさらに黒枡に弱点を作らせようとしている。ここで白が主導権を握った。

10…h5

 10…h6 は次のように主導権を維持しながら陣形を広げる機会を白に与えてしまう。11.h5 Qf6 12.Be3 O-O 13.Qd2 b5 14.O-O-O b4 15.Na4 これで黒陣に弱点がいっぱいあるので白が明らかに優勢である。

11.Bg5

 黒の弱い黒枡につけ入った。

11…d5

 黒は捌きに出なければならないのだが他に良い手がない。11…f6 12.Be3 d5 なら白はポーンでなくナイトで取った方が良い。なぜなら 13.Nxd5 Nxd5 14.Qxd5 と取ったとき黒が …Be6 と指せないからである。

12.exd5 Nb4

 12…Nd4 は 13.Bd3 Bf5 14.O-O で黒に犠牲にしたポーンの代償がない。

13.Bxe7 Kxe7

 13…Nxc2+? は 14.Kd2 Nxa1 15.Bg5 となって白がナイトを取り返した時ルークとポーンの代わりに2駒を得ることになるので黒が駄目である。

14.Bd3!(図63)

 図63(黒番)

 黒は白に二重孤立ポーンを作らせることができる。しかしそれでも白はポーン得で、白駒は次のように収局でよく連係を保つことができる。14…Nxd3+ 15.Qxd3 Qxd3 16.cxd3 b5(こうしておかないと黒はクイーン翼で動きが不自由になる)17.O-O-O! Rd8 18.Rhe1 これで白は 19.d4 を狙い(二重ポーンを解消する)優勢である。図の局面で黒はもちろん 14…Qxg2?? とは指せない。そう指すと 15.Be4! から a3 と突かれる。他には 14…Nxd3+ 15.Qxd3 Qxg2 だが 16.d6+ から O-O-O で白に猛攻を浴びる。

(この章続く)

2010年12月27日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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