チェス布局の指し方[40]

チェス布局の指し方[40]

eポーン布局

第5章 ルイロペス(スペイン布局)(続き)

開放防御

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Nxe4(図55)

 図55(白番)

 白は最後の手(5.O-O)でeポーンの守りを放棄したように見える。この節では黒がこのポーンを取ったらどうなるかを調べる。

6.d4

 白はもちろん 6.Re1 または 6.Qe2 ですぐにポーンを取り返すことができる。しかしどちらの場合も黒は 6…Nc5 と応じて白のキング翼ビショップをナイトと交換させることができ、互角の形勢になる。6.d4 の方が白にとって良い作戦である。即ち局面を開放的にして展開の優位を生かすわけである。黒は結局白のeポーンを取るのにかけた手が無駄になる。

6…b5

 …d5 と突くとクイーン翼ナイトが釘付けになるのでその可能性をなくした。

7.Bb3 d5 8.dxe5

 これで戦力が互角に戻った。黒の陣形はあまり悪いようには見えないが、これから分かるようにまだ対処しなければならない困難がある。

8…Be6

 2駒で当たりにされているdポーンを守った。

9.Qe2

 ルークのためにd1の地点を空け、d列に圧力をかけられるようにした。

9…Be7

 この段階では黒にいくつもの手がある。しかしキング翼ビショップを展開するこの単純な手は通常は黒の最も堅実な手と考えられている。

10.Rd1 O-O

 非常に複雑な局面になるが 10…Nc5 11.Bxd5 Bxd5 12.Nc3 Bc4! という指し方もある。

11.c4!

 dポーンに対する釘付けを利用して局面をさらに開放的にした。次に白から cxd5 で駒得する狙いがある。

11…bxc4 12.Bxc4 Qd7

 この手に代わる改良手順は 12…Bc5 13.Be3 Bxe3 14.Qxe3 Qb8 15.Bb3 Na5 16.Nbd2 Qa7 17.Nd4 Nxd2 18.Qxd2 Qb6 19.Bc2 c5 20.Nf5 Bxf5 21.Bxf5 Rad8 22.Re1 Nc6 で、どちらも指せる。1979年モントリオールでのカバレク対タリ戦ではここで合意の引き分けになった。

13.Nc3

 13.Bxa6 は 13…Nc5! で黒の願ってもない態勢になる。

13…Nxc3 14.bxc3 f6

 白のeポーンが消えれば黒のキング翼ビショップが対角斜筋で力を発揮するようになると考えられる。

15.exf6 Bxf6(図56)

 図56(白番)

 この局面はかつて両者に同等のチャンスがあると考えられていた。しかしその評価はたぶん正しくない。白には 16.Bg5 という強手がある。以下は例えば 16…Bxc3(16…Na5? は 17.Qxe6+ Qxe6 18.Bxd5 でポーン損になる)17.Rac1 Bf6 18.Bb3!(Ba4 でナイトを取る狙い)18…Nd8 19.Bxf6 Rxf6 20.Qc2 で、白が優勢である。あるいは 16…Kh8(Qxe6+ のような狙いの防ぎ)17.Bxf6 Rxf6 18.Ng5(狙いは Nxe6 で、dポーンがどうしても落ちる)18…Bg8 19.Bxa6 で、白は少なくとも1ポーン得になる(19…h6 なら 20.Nf3 Rxa6!? 21.Qxa6 Nd4 22.Ne5 で白が勝つ)。

 旧来の手は・・・

16.Ng5

 やはり白が有望である。これは1970年ジーゲンでのシュミット対クリスティンソン戦の手で、以下のように進んだ。

16…Bxg5 17.Bxg5 h6 18.Be3 Qd6

 これは …Ne5 の準備である。

19.Bb3 Ne5 20.Rd4!

 21.Bf4 を狙っている。

20…c5 21.Rf4!

 Bxc5 から Qxe5 の可能性を開いた。

21…Kh8

 ビショップを引くためにg8の地点を空けた。

22.Rd1 Nd7 23.Qf3!

 黒のdポーンにさらに圧力をかけた。本局は様々な釘付けとその狙いで面白い効果が見ものになっている。

23…Nf6 24.c4! Rac8

 24…d4? は 25.Rxf6 のあと 25…Rxf6 26.Qxa8+ または 25…gxf6 26.Bxh6 で白が勝つ。

25.cxd5 Bg8

 こう受けるしかない。

26.Bc4!

 黒のパスcポーンによる反撃は何もさせない。

26…Nd7 27.Qg3 Ne5 28.Bb3!

 28.Bxa6 Qxa6 29.Rxf8 Rxf8 30.Qxe5 Qxa2 31.Bxc5 Qc2! 32.Qd4 Rf4! 33.Qd2 Qxd2 34.Rxd2 Rc4 という変化は黒がdポーンを取ったあと引き分けにしかならない[訳注 35.Ba3 という手があるようです]。

28…c4 29.Rxf8 Rxf8 30.Bc2 Re8 31.Bd4!

 これでナイトがまた詰み狙いの釘付けをかけられた。だから黒は 32.f4 を防がなければならない。

31…Bh7 32.Bxh7 Kxh7 33.Bc3 1-0

 黒は最後の釘付けの 34.Re1 に対して受けがないので投了した。

(この章続く)

2010年11月29日 コメントは受け付けていません。

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