チェス布局の指し方[37]

チェス布局の指し方[37]

eポーン布局

第4章 イタリア試合(続き)

ウィルクス・バリー戦法

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Nf6 4.Ng5 Bc5(図50)

 図50(白番)

 黒は自陣のf7の地点が狙われているのに目もくれず、駒を展開しすぐに白のf2の地点ににらみを利かせた。読者はこの戦型を初めて見るならば以下の戦術のめまぐるしさに目を見張るかもしれない。しかしこの華々しい戦いはどうやっても引き分けにしかならないようである。

5.Nxf7

 これはポーン得し、黒のクイーンとルークを両当たりにし、やれるものならやってみろと黒をけしかける当然の応手である。しかし1991年リナレスでのアーナンド対ベリヤフスキー戦のように 5.Bxf7+ Ke7 6.Bd5 の方が強手だっただろう。以下 6…Rf8 には 7.Nf3、6…Qe8 には 7.d3 と応じる。

5…Bxf2+!

 この手が成立するということが 4…Bc5 の根拠である。この大乱戦の戦法がf2とf7の相対的な弱点について本章の初めで述べたことを説得力のあるものにしている。

6.Kxf2

  6.Kf1 は 6…Qe7 7.Nxh8 d5! が効果的な反撃になるので役に立たない。

6…Nxe4+ 7.Kg1!

 ここが唯一の逃げ場所である。7.Ke3 は 7…Qh4 で黒の攻撃がきつい。例えば 8.Qf3(…Qf2+ の狙いを防ぐため)8…Nc5 9.Nxh8(白は詰みを狙っている。しかし黒の手番である)9…Qd4+ 10.Ke2 Qxc4+ 11.Ke1 Nd4(黒は …Nxf3+ と …Nxc2+ を狙っている)12.Qf7+ Qxf7 13.Nxf7 Nxc2+ 14.Kd1 Nxa1 15.Nxe5 d6 16.Nc4(Ne3 と指して黒のナイトを閉じ込めておく狙い)16…Nc2! 17.Kxc2 Bf5+ から …Bxb1 で黒がポーン得になる[訳注 12.Qh5+ で白の勝勢になるので 11…d6 が正着かもしれません]。

7…Qh4

 8…Qf2# の狙いがある。

8.g3

 これも最善手である。8.Qf3 には 8…Nd4 が強手で、8.Qf1 には 8…Rf8 と応じられる。以下は例えば 9.d3(危険なナイトを追い払う)9…Nd6(10…Nxf7 で駒を取り返す狙い)10.Nxd6+ cxd6 11.Qe2 Nd4 12.Qd2 Qg4 で 13…Nf3+ と 13…Ne2+ の両狙いで黒が勝つ。途中 12…Qg5!! の方がもっときれいに勝つ(13…Qd1 Qxc1!)。

8…Nxg3

 二度目の捨て駒で白キングの囲いを壊した。

9.Nxh8

 9.hxg3? は疑問手だが次のような見事な戦いになる。9…Qxg3+ 10.Kf1 Rf8! 11.Qh5! チェコの研究家のローリチェクがここから黒が勝てることを示した。11…d5!(白のビショップをf2のナイトの守りから断ち切るための手筋の始まり)12.Bxd5 Nb4 13.Bc4(13.Bb3 なら 13…Nxc2)13…b5 14.Bxb5+ c6 15.Bc4 Nd5 これで黒のキング翼ルークがすぐに戦いに加わり白に大打撃を与える。

9…Nxh1 10.Qf1

 10.Kxh1 は 10…Qxc4 で黒が白の捕まったナイトを取り2ポーン得になる。代わりに 10.Bf7+ Ke7 11.Kxh1 Qe4+ 12.Kg1 は 12…Nd4 で黒に新たな駒を戦闘に投入する余裕ができる[訳注 13.Nc3 でも 13.d3 でも白の勝勢のようです]。本譜の手はクイーン翼ビショップを守り詰みを狙っているが黒にはまだ引き分けにする手段がある。

10…Qg4+ 11.Kxh1 Qe4+ 12.Kg1 Qg4+ 13.Kf2 Qh4+ 14.Kg1(図51)

 図51(黒番)

 白はチェックの千日手を逃れるうまい手段がない。13.Qg2 のような手は役に立たない。例えば 13…Qd4+ 14.Kh1(14.Kf1? Qxc4+)14…Qxc4 15.Qxg7 Qf1+ 16.Qg1 Qf3+ 17.Qg2 Qd1+ という具合である。

(この章続く)

2010年11月08日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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