チェス布局の指し方[34]

チェス布局の指し方[34]

eポーン布局

第4章 イタリア試合(続き)

ジュオコ・ピアノ

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5(図44)

 図44(白番)

 3手目でキング翼ナイトの代わりにキング翼ビショップを展開することにより黒は 3…Nf6 から生じる可能性のある戦術のいくつかを避けた。例えば 3…Bc5 への応手で白は黒のクイーンがg5の地点に利いているので Ng5 と指すことができない。キング翼ビショプを動かすのは妥当な作戦だと判断したとして、c5は正しい地点なのだろうか。その答えは明らかに「正しい」である。なぜなら他の地点はどれも黒にとって不利な点があるからである。ビショップをe7の地点に展開するのは不必要なほど消極的だし、d6は後でdポーンを突くのにさしつかえるし、b4は白が強力なポーン中原を構築するのを手助けするだけである(白は 3…Bb4? に対して 4.c3 と突いてビショップを当たりにして d4 突きを用意する)。さらに言えばc5のビショップは中原のd4の地点に利き白の弱点のf2をにらんでいるので好位置である。

4.d3

 この手からのあとの布局はしばしば「ジュオコ・ピアニッシモ」(最も静かな試合)と呼ばれる。今の時点では 4.d3 でクイーン翼ビショップの筋を開けc3の地点をナイトが自由に占めることができるとだけ言っておく。だからこの布局での白の取るべき戦略は兵力を素早く積極的に協調させて展開することにより優勢になるように努めることである。4.d3 の代わりに早い段階での d4 突きの達成を目指す 4.c3 もよく指される手である。しかし 4…Nf6 5.d4 exd4 6.cxd4 Bb4+ で黒は何の問題もない。

4…Nf6

 黒も迅速に駒を戦いに投入したがっている。黒はもうf7の地点への狙いを心配する必要がない。例えば 5.Ng5? O-O 6.Bxf7+? は 6…Rxf7 7.Nxf7 Kxf7 となって黒はルークとポーン1個と引き換えに駒を2個得る(これ自体黒が戦力的にわずかに有利である)。そして白の展開していた駒がすべて盤上から消えたので黒が大いに優勢である。

5.Nc3

 これも単純な展開の手である。このナイトは明らかにc3にいるべきで、黒がポーンを …d5 と突いて捌きに出てくるのを防ぎ、あとで効果的なd5の拠点を自分で占拠する狙いを持っている。

5…d6

 これで局面は対称形になった。白がまだ先着の効を保っているので形勢互角とはとても言えない。

6.Bg5

 これは最も攻撃的な手で、黒のナイトを釘付けにしている。この釘付けは黒にとって少し不快である。というのは白が Nd5 から Nxf6+ で黒のキング翼のポーンの形を乱す狙いを持っているからである。

6…h6

 黒はすぐに釘付けをはずそうとしている。ここで白が 7.Bh4 と引けば黒は 7…g5 で釘付けをはずすのを続けるだろう。普通はキング翼のポーンをこのように突くのはキングの前面に深刻な弱点を作り出すのだが、黒はまだキャッスリングしていないので大丈夫だろう。

7.Bxf6 Qxf6 8.Nd5

 白はナイトを圧倒的な地点に据えた。これで黒は 9.Nxf6 と 9.Nxc7+ によるキングとルークの両取りに対処しなければならない。

8…Qd8

 8…Qg6 は本譜の手よりも劣るだろうが戦術的に面白い手である。

9.c3

 白は主導権を用いて中原を強化しクイーン翼を広げるところである。この手は黒の駒をd4の地点に来られなくし、b4 突きを用意している。

9…Ne7

 もちろん黒は白の邪魔なナイトと交換したがっている。

10.b4

 黒のビショップを攻めた。

10…Bb6 11.Nxb6 axb6 12.d4!

 これは中原の主眼のポーン突きである。

12…exd4

 この手のあと白が中原で優勢になるが他に適当な手がなかった。黒のeポーンは二重に当たりになっていて、守ろうとしてもうまくいかない。例えば 12…Ng6? は 13.dxe5 Nxe5 14.Nxe5 dxe5 15.Qxd8+ Kxd8 16.Bxf7 だし、12…Bg4? も 13.dxe5 dxe5 14.Bxf7+ Kxf7 15.Nxe5+ でどちらも白が戦力得する。

13.Nxd4

 13.cxd4 なら黒が 13…d5 と突いて白の中原を攻撃できる。白の最良の作戦は楽に維持することのできないポーン中原を構築しようとすることでなく、駒の活動できる地点を確保することである。

13…O-O 14.O-O(図45)

 図45(黒番)

 白の駒が好所についているので形勢は白が少し優勢である。黒の最良の作戦は 14…Nc6 で駒を交換し引き分けの収局に持ち込むことである。14…d5 は 15.exd5 Nxd5 16.Qf3 で白の圧力が強いので少し疑問である。

(この章続く)

2010年10月18日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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