チェス布局の指し方[29]

チェス布局の指し方[29]

eポーン布局

第3章 キング翼ギャンビット(続き)

キング翼ギャンビット受諾

1.e4 e5 2.f4 exf4(図35)

 図35(白番)

3.Nf3

 これは最も自然な手である。…Qh4+ のチェックを防ぎ、キング翼で迅速に展開するという白の戦略全般に合致している。

3…g5

 黒は白がそう遠くない将来に d4 と突いて、犠牲にしたポーンを Bxf4 によって取り返しにくることを予期している。

4.Bc4

 ここでも白はキング翼展開の方針を推し進め、同時に黒のf7の地点を虎視眈々と狙っている。

4…d6

 これは堅実な手で、白のナイトがe5の地点に来れないようにし、黒のクイーン翼ビショップの筋を開けている。4…g4 なら白は 5.O-O で面白いムツィオ・ギャンビットをやってくるかもしれない。それは白がナイトを犠牲にしてf列に強い圧力をかけることになる。

5.O-O

 犠牲にしたポーンの代わりに白は展開で3手優っている。白のこの手はルークをf列に回すことにより黒のf7の地点への圧力を強めている。

5…h6

 gポーンを支えるのは今か 5…Bg7 6.d4 の後で必須である。なぜなら白は 7.Nxg5 Qxg5 8.Bxf4 でf列を素通しにし非常に危険な攻撃を始めることを狙っているからである。

6.d4

 白は代償の別の側面を利用している。黒は …exf4 と取った時ポーンを中原からそらし中原の支配を放棄した。ここで白は威容を誇るポーン中原を構築し、それから初めてキング翼の攻撃に乗り出していく。

6…Bg7

 ここはビショップにとってe7よりも良い地点である。なぜなら白は最終的に e5 突きで仕掛けるかもしれず、そうなればその地点にできるだけ多くの利きがあった方が役に立つからである。これから先ビショップがd8-h4の斜筋に必要になれば黒は本譜で実際にそう指すように自由に …Bf6 と指すことができる。この段階でe7の地点を空けておく別の理由は、黒にとってキング翼ナイトをここに展開させるのが良い手となるかもしれないからである。

7.c3

 この手には二重の目的があり、一つはdポーンを支えることで、もう一つはf7の地点への攻撃支援を増やすことになる Qb3 を指せるようにすることである。

7…Nc6 8.g3!

 これで白は攻撃の準備ができた。この手ですぐにf列が素通しになる。

8…g4 Nh4 f3

 黒はうまくf列を閉じたままにした。本当にそうだろうか?

10.Nd2 Bf6

 ここでは黒が優勢になりつつあるように見える。黒はまだ1ポーン得だし、端で立ち往生しているように見える白のキング翼ナイトに対する攻撃も始めた。このナイトは退くことができないし、f5の地点に跳ぶこともできない。というのは 11.Nf5 Bxf5 12.exf5 Qd7 のあと白のfポーンが極度に弱いしf列に沿ってもはや攻撃が望めないからである。しかし別の可能性があった。

11.Ndxf3! gxf3 12.Qxf3

 白は邪魔なf3のポーンを消し去り、黒のf7の地点に対する圧力を最高度に高めた。

12…Rh7

 黒は自分のアキレス腱を守った。

13.Ng6(図36)

 図36(黒番)

 この手には驚かされる。なぜならg6のこのナイトは何も当たりになっていないからである。この手の主眼は Nf4 によって中原に近づくことである。この目的は 13.Ng2 によっては達成されない。なぜなら黒は 13…Bh3 によって白のルークに対してこのナイトを釘付けにし、そのあといくらか無用な存在のこのビショップをナイトと交換するからである。

 1922年テプリッツ・ショーナウでのシュピールマン対グリューンフェルト戦は以下のように進んだ。

13…Rg7

 13…fxg6 とは取れない。取れば 14.Bxg8 Rg7 15.Bb3 Be7(強制)16.Bxh6 Rh7 17.Bf7+ Kd7 18.Qg4# とたちまち負けてしまう。

14.Nf4 Bg4

 白は Nh5 を狙っていた。

15.Qg2 Bg5 16.h3 Bd7 17.Nh5 Rh7 18.e5!

 また攻撃の筋のe列を開け、同時にクイーンのためにe4の地点を空けた。

18…dxe5 19.Qe4 f5

 19…Rh8 では 20.Ng7+ から詰みになるのでこの手は仕方がない。

20.Rxf5! Bxf5 21.Qxf5

 白の態勢は圧倒的である。

(この章続く)

2010年09月13日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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