布局の探究(292)

布局の探究(292)

「Chess Life」2002年5月号(5/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

ベンコー・ギャンビット主手順(続き)

1.d4 Nf6 2.c4 c5 3.d5 b5 4.cxb5 a6(再掲)

2)白がポーンを返す

5.b6

 何も欠陥がなく黒の反撃の可能性も最小限で形の良い指しやすい局面が好きな人は本譜の手に満足するだろう。黒はa列を素通しにすることができず、白はd5が橋頭保になっているので陣地が広い。黒には本筋の戦型が三つある。

2a)5…g6

カチェイシビリ対フェルガ―(ウベダ、2001年)

 黒はキング翼の展開の完了にとりかかり、ポーンは都合の良い時に取り返す。

6.Nc3 d6 7.e4 Nbd7 8.Nf3 Bg7 9.a4 a5 10.Bb5 O-O 11.O-O Nxb6 12.Re1 Ne8 13.Bf4 f6 14.Bc6!

 それまで指されていた 14.Nd2 に対しこの新手は強力だった。白は黒のクイーン翼に侵入する用意をした。

14…Rb8 15.Nb5 Nc7

 GMカチェイシビリはこの手に対して実戦の 16.Qd2 よりも 16.Bd2! Nc4 17.Bc3 Na6 18.Qe2 の方が良く白がだいぶ優勢だったとしている。詳しい解説は『チェス新報』第81巻第45局を参照して欲しい。白が68手で勝った。

2b)5…Qxb6

ロウレイロ対ニードルマン(リオデジャネイロ、2001年)

 こう単純に取り返してもよい。しかしこのクイーンは自分ではb列であまりすることがない。

6.Nc3 g6 7.e4 d6 8.a4 Qb4 9.Bd3 Bg7 10.Nge2 e6 11.O-O exd5

 黒は危険な手順に踏み込み、白は受けて立った。

12.Nb5! axb5 13.Bd2 Qxb2 14.Bc3 Qxa1 15.Qxa1 d4 16.Nxd4! cxd4 17.Bxd4

17…Ke7?

 『チェス新報』第82巻第63局で本局を解説したダ・コスタ・ジュニアは 17…Nbd7 18.Bxb5 O-O 19.Bxd7 Bxd7 20.Bxf6 Rxa4 21.Qb2 Bxf6 22.Qxf6 Rxe4 23.Qxd6 と指すことが必要だと指摘し、白がわずかに優勢としている。大量の駒交換で白の勝つ見通しは大きく減少している。それに反してキングを中央列に置いた実戦は破滅的で、白が次のように勝った。

18.e5 dxe5 19.Qa3+ Ke6 20.Bxe5!

2c)5…e6

ジョババ対トレグボフ(オフリド、2001年)

 この意欲的な手は指せる手だが、黒の大局的な弱点のために白の通常の優勢が続く。

6.Nc3 Nxd5 7.Nxd5 exd5 8.Qxd5 Nc6 9.Nf3 Rb8 10.e4 Be7 11.Bc4 O-O 12.O-O Rxb6 13.b3 d6 14.Bf4 Be6 15.Qd3 Bxc4

 以前は 15…Nb4 や 15…Bf6 が指されていた。本譜の手のあとでもa、cそれにd列でのポーンの弱さは明白である。

16.Qxc4 Bf6 17.Rad1 Nd4 18.Nd2! Bg5 19.Bxg5 Qxg5 20.Rfe1 h6 21.Qd5!

 白には相変わらずわずかだが指しやすい有利さがある。

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GMエドマー・メドニスは2002年2月13日に肺炎で亡くなり、今回が最後になりました。

2017年12月20日 コメント(1)

カテゴリ: 布局の探求3

コメント


コメント

  1. 山下公己 より:

    大変勉強になる素晴らしい連載でした
    ありがとうございました



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