布局の探究(287)

布局の探究(287)

「Chess Life」2002年1月号(3/3)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

ビショップ布局(続き)

3)1.e4 e5 2.Bc4 Nf6! 3.d3 c6 4.Nf3 Be7

フョードロフ対クラムニク
ベイクアーンゼー、2001年

 この手からの作戦は現在黒の最も適切な方針とみなされている。白陣からはまだ脅威を受けていないので、黒は自身の落ち着いた展開を推し進める。黒が避けたいのは潜在的に攻撃の対象となるポーンの弱点である。(もちろん 5.Nxe5?? は 5…Qa5+ で白の負けになる。)

5.O-O d6

 これはe5の地点を守る最も手っ取り早い方法である。しかしマインカ対ミハルチシン戦(ドルトムントⅡ、1998年)のように 5…Qc7 6.Bb3 O-O 7.Re1 d6 8.c3 Nbd7 9.d4 b5 10.Nbd2 a5 11.Nf1 a4 12.Bc2 Re8 13.Ng3 Nb6 14.h3 g6 も理にかなっている。この局面は閉鎖ルイロペス定跡の主流手順によく似ていて、白が少し有利のはずである。

6.Bb3 Nbd7

 ここからしばらくの間クラムニクは戦力を注意深く捌くことに満足している。ゲリファント対ユスーポフ戦(ミュンヘン、1994年)ではもっと攻撃的な展開だった。6…O-O 7.c3 Bg4 8.Nbd2 Nbd7 9.h3 Bh5 10.Re1 Nc5 11.Bc2 Ne6 12.Nf1 Nd7! 13.Ng3 Bxf3 14.Qxf3 g6 全体的には黒はよくやっている。しかしこの閉鎖ルイロペス型の局面ではそれでもどうしたら完全に互角になるかを示さなければならない。

7.c3 Nf8 8.Re1 Ng6 9.Nbd2 O-O 10.d4

 黒はどんな攻撃を受けるか分からないキング翼を要塞化した。白は本譜の手で黒の中央に圧力をかけ始めた。盤上の局面はやはり閉鎖ルイロペスの様相を呈している。黒はいくらか展開で先行しているが、駒は白の方が活動的である。いずれは白のわずかな優勢が続くことになるはずである。

10…h6!?

 フョードロフによればこれは通常の 10…Qc7 に代わる新手である。その意図は白の Ng5 に煩わされないで …Re8 と指すことである。

11.Nf1 Re8 12.Ng3 Bf8 13.h3 Qc7 14.Be3

 白が滞りなく小駒の展開を完了したのに対し、黒はまだクイーン翼ビショップの処置を決めなければならない。普通に 14…Be6 15.Bxe6 Rxe6 と指すのは重要なf5の地点を白に明け渡す。だからクラムニクは短斜筋に目を向けた。

14…b6 15.Bc2

 ここは面白い瞬間である。白は黒の …Bb7 または …Ba6 に Nf5 と指せるようにe4の地点を過剰に守った。あとでフョードロフは 15.c4!? か 15.Qc2!? の方が有効だったように感じた。

15…Ba6?!

 クイーン翼ビショップは確かにここからの斜筋が素晴らしい。しかし「遊び駒」である。戦略的には 15…Bb7 の方が役に立つ。クラムニクは17手目にこのビショップをb7に戻した。

16.b3 Rad8 17.Qb1 Bb7! 18.a4

 白のクイーン翼ルークがa1に閉じ込められているので本譜の手は 19.a5 でa列を素通しにすることを期待している。しかし黒は中央で戦う用意をしている。フョードロフによれば白は 18.c4 で通常の有利を保持できた。

18…d5! 19.exd5 exd4 20.Bxd4 Rxe1+ 21.Nxe1 Nxd5 22.Bxg6 fxg6 23.Qxg6

 先の解説から局面は激変した。黒はポーンを犠牲にし、代償として戦力の連係に優っている。フョードロフは 23…Nf4! で黒に十分な代償があると考えている。例えば 24.Qg4 c5 25.Be3 Nd5 26.Rd1 Nxc3 27.Rxd8 Qxd8 28.Bxh6 Qd1! となる。

23…c5?! 24.Qe6+ Qf7 25.Qxf7+ Kxf7 26.Be5 Ne7 27.c4 Nc6 28.Bc3 Bc8

 クラムニクは白がポーン得にもかかわらず進展を図るのが困難な陣形を構築した。白はここで 29.Kf1 から 30.Nf3 で駒の動きを良くするよう努めるべきだった。代わりに白は当初の作戦を急いで黒に思う存分反撃された。

29.a5?! bxa5! 30.Bxa5 Rd7 31.Bc3 Rb7

 ここでの問題は明らかで、b3の地点が慢性的な弱点になっていて黒の双ビショップは重要な斜筋に利いている。いい勝負である。

32.Rb1 Be6 33.Rb2 Nd4

 33…a5 も良い手だが、黒は双ビショップの動ける余地を最大限広げる方を選択した。

34.Bxd4 cxd4 35.Nf3 Ba3 36.Ra2 Rxb3 37.Nxd4 Rd3 38.Nxe6 Kxe6 39.Ne4 a5 40.f3 Bb4 41.Kf2 引き分け

 aポーン、働きの良いビショップ・ルーク・キングの威力が白のポーン得を完全に相殺している。

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2017年12月01日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: 布局の探求3

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