チェス布局の指し方[13]

チェス布局の指し方[13]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 強くなることもあれば弱くなることもある別のよく見られるポーンの形を以下の2図に示す。

 図20(白番)

 黒のd5とc5のポーンは「浮きポーン」と呼ばれる。浮きポーンが強いか弱いかはどちらの陣営が主導権を握っているかとそのポーン自身が縛り付けられているかそれとも自由に進めるかで決まってくる。図20は1972年世界選手権戦のフィッシャー対スパスキー戦の第6局である。ここでは攻撃を受けていて黒はそれらを突き進めることができないのでいくらかお荷物になっている。黒はそれらのポーンを駒で守ってきたが防御手段を取ってきた結果として黒軍はいくらか陣形が乱れている。特にcポーンが釘付けにされていることに注意が必要で、白(フィッシャー)は次の手でそのことにつけ込んだ。1.Nd4 そして次のように進んだ。1…Qf8 2.Nxe6 fxe6 3.e4!

3…d4(3…dxe4 と取ると黒のポーンの形がどうしようもないほどばらばらになってしまいフィッシャーは容易にポーンを取り返して優位に立つだろう)4.f4 Qe7 5.e5 Rb8 6.Bc4 Kh8 7.Qh3 Nf8 8.b3

スパスキーがどのように転落していったかが簡単に見て取れる。フィッシャーはビショップ対ナイトの優位を得て f5 と突いてキング翼に決定的な攻撃を開始しようというところである。スパスキーの白枡ビショップが交換されたのでキングの周りの白枡が非常に弱くなっている。黒の陣形は動きが難しく反撃もほとんど期待できない。黒キングとcポーンは厳しい圧力にさらされパスdポーンは白のビショップとクイーンによって厳重にせき止められているので役に立っていない。

 図21(黒番)

 今度は図21を見てみると状況が違うことに気がつく。ここでは黒の浮きポーンは働きの良い駒によってしっかり守られていて、すぐにそれらを突き進めることにより黒は非常に強力なパスポーンを作り出すことができる。結末は以下のとおりだった。1…d4! 2.Qe2 Ne5 3.exd4

3…cxd4(3…Bxc1? 4.dxe5)4.Rxc8 Bxc8 5.Re1 d3!

6.Qd1(6.Qxe5 Qxe5 7.Rxe5 d2 はなおさら悪い)6…Bg4 7.Qa1 d2 8.Rxe5 d1=Q 9.Re8+ Rxe8 10.Qxf6 Be2

11.Ng3 Bg7 12.Qc6 Bb5 13.Qc1 Qxc1 14.Bxc1 Re1 15.Be3 Ra1

16.a4 Bd3 17.f4 Rb1 18.Kf2 Bxf1 19.Nxf1 Rxb3 白投了

収局は黒の楽勝である。

 以上から導かれる一般的な結論は浮きポーンは守りにおいては弱い存在(隣接した列の2個の出遅れポーンのようなものである)であるが自由に前進できれば攻撃の戦力となれるということである。

(この章続く)

2010年05月24日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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