チェス布局の指し方[12]

チェス布局の指し方[12]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 孤立dポーンには独自の世界がある。タラシュはかつて「孤立dポーンを持つことを恐れる者はチェスを止めた方がよい」と言っていた。このポーンの静的な弱さはしばしば動的な威力によって補われる。この点をもっと明らかにするのに役立つ二例を挙げる。

 図18(白番)

 図18で白は孤立dポーンとの戦いに成功している。白のルークは素通し列で活発に活動し、素晴らしい配置のナイトは盤上を席巻している。盤上で最も弱い駒は明らかにdポーンによって閉じ込められた黒のビショップである。白の陣形上の大きな優位を見ればこの優位を戦力上の観点に転換する手筋があっても少しも驚くにあたらない。図の局面から実戦は次のように進んだ。1.Qxc7! Qxc7 2.Ncxe6 Qxc3(クイーンが逃げれば白は切ったクイーンの代わりに2ルークとビショップを手に入れることになる)3.Rxc3 fxe6 4.Nxe6

白は1ポーン得で楽勝の収局になる。

 図19(白番)

 次は図19の局面を考えよう。ここでも白は非常に優勢である。しかし今度は孤立dポーンが攻撃側に立っている。ポーンがd4にいるので白はナイトを攻撃的な地点のe5に置くことができた。白の他の駒も活動的な地点に配置されている。対照的に黒の兵力は非常に守勢で、d5に駒を置いて白のdポーンをせき止めることもできなかった。このような局面では白はポーンをd5に進めて敵陣を乱す手筋を探すのがよい。白はここから次のような手順で勝った。1.Nxf7 Kxf7 2.d5 Nxd5 3.Nxd5

3…Qb8(3…exd5 は 4.Bxd5+ Kg6 5.Bxe7 Rxe7 6.Qxe7 Nxe7 7.Rxc7 で白の勝勢)4.Nxe7 Rxe7(4…Nxe7 は 5.Rxd7 Rxd7 6.Qxe6+)5.Bxe7

 一般に孤立dポーンの動的な強さはe5/e4とc5/c4の効果的な拠点の支配と好機に d5/…d4 と突いて仕掛ける可能性とから生じると言える。d4のポーンが敵のe6のポーンと対峙している通常の局面では孤立dポーン側は中原でいくらか陣地が広い有利さもある。孤立dポーンに対する時にはこのポーンをせき止め、キャッスリングしたキングや素通しc列に対する直接攻撃を用心することによって相手のdポーンの利点を無効にするように注意しなければならない。収局になれば孤立dポーンははっきりとした(おそらく致命的な)弱点になるのが普通である。

(この章続く)

2010年05月17日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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