チェス布局の指し方[11]

チェス布局の指し方[11]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 さらに続ける前に二つの明らかだが重要な一般的要点について触れておこう。一つ目は素通し列上の出遅れポーンと孤立ポーンは素通しでない列にあるものよりはるかに弱いのが普通である。これは素通し列上のポーンは敵の大駒によって縦から攻撃されるからである。二つ目はポーンそのものだけでなくポーンの前の地点も弱点になるかもしれない。例えば前に出てきたトマス対アリョーヒン戦ではc4の地点がしっかり黒の手中に落ち黒駒の絶好の拠点として利用された。

 盤上の戦力が交換によって減っていくにつれて弱いポーンの不利は減少するどころか増大していく傾向がある。それは弱者の保護を他の個所の活発な活動と組み合わせるのがだんだん困難になるからである。その実例が図17で見られる。この局面は1912年ブレスラウでのルビーンシュタイン対マーシャル戦である。

 図17(白番)

 ここまでの指し手でルビーンシュタインはマーシャルの2ナイトに対し双ビショップを持つ有望な中盤戦を拒絶し大駒だけの収局に持ち込んだ。明らかに彼の判断は主観的にも(マーシャルは収局よりも攻撃の方が得意だった)客観的にも正しかった。中盤戦では黒はf列を白キングに対する襲撃の集結地点として用いることができた。これに対して実戦の収局ではこの列の支配は大して重要でなく、黒は孤立cおよびeポーンの代償がない。これらのポーンの弱さは試合の結果を決めるのに十分だった。1.e4! Qh5 2.f4!(2.Qxc6 は 2…Rh6 3.h4 Qg4 で黒にキング翼で手を作らせ十分な引き分けの可能性を与えてしまう。黒はルークを切って永久チェックをかけるのがよくやるやり方である。白は急いで弱いポーンを取る必要はない。それらは逃げだすことはない。だから白はまず自分のキングの安全を確保すべきである)2…Qa5 3.e5 Rh6 4.Rc2 Qb6+ 5.Kg2 Rd8 6.Rff2

(これで黒は戦術の狙いが尽きて自陣が崩壊する)6…Rc8 7.Rfd2 Kh8 8.Rd6 Qb8 9.Rxc6 Rg8 10.Rc8

これで白が勝つ。

(この章続く)

2010年05月10日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

コメント

コメントは受け付けていません。


»
«