チェス世界選手権争奪史(205)

チェス世界選手権争奪史(205)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 次からの3局は引き分けだった。第2局でペトロシアンはクイーン翼ギャンビット受諾を指した。彼はこの防御を第6局、第8局、第16局、第20局、それに第22局でも繰り返し用いすべて引き分けだった。第3局でボトビニクは指しかけ時に1ポーン損だったが再開までの優れた研究のおかげで半点をもぎ取ることができた。第4局はたった24手だった。

 第5局で挑戦者はこの選手権戦中の最高の出来で対戦成績を互角にした。

グリューンフェルト防御
白 ペトロシアン
黒 ボトビニク

1.c4 g6 2.d4 Nf6 3.Nc3 d5 4.Nf3 Bg7

5.e3

 第1局のようにペトロシアンは穏やかな戦法を選択した。たぶん 5.Qb3 はボトビニクがスミスロフとの番勝負の準備で徹底的に研究していたので避けたのだろう。

5…O-O 6.Be2

 フィッシャーは「チェスライフ」誌の解説の一つで 6.Be2 を「まさに初心者の手」と呼んだ。そしてここからどのように進展するかの例として本局を引用した。

6…dxc4 7.Bxc4 c5 8.d5 e6

9.dxe6

 9.e4 は 9…exd5 10.exd5 Re8+ 11.Be2 Nbd7 12.O-O Nb6

で黒が満足できる。実戦の手はこれよりも強い手である。

9…Qxd1+ 10.Kxd1 Bxe6 11.Bxe6 fxe6 12.Ke2

 形勢はほぼ互角である。黒の多数派クイーン翼ポーンが孤立eポーンの適切な代償になっている。

12…Nc6 13.Rd1 Rad8

 フロールは 13…Kf7 を推奨した。

14.Rxd8 Rxd8 15.Ng5 Re8 16.Nge4 Nxe4 17.Nxe4 b6 18.Rb1 Nb4 19.Bd2!

19…Nd5

 19…Nxa2 と取ると 20.Ra1 Nb4 21.Bxb4 cxb4 22.Rxa7 Bxb2 23.Rb7 +/=

となる。

20.a4 Rc8 21.b3 Bf8 22.Rc1

22…Be7?

 この手のためにペトロシアンが黒の多数派クイーン翼で有利に戦うことができるようになった。タリ推奨の 22…a6 なら 23.b4 c4 24.b5 axb5 25.axb5 Be7

で黒がはるかに強力に反撃できた。

23.b4! c4 24.b5 Kf7 25.Bc3 Ba3 26.Rc2 Nxc3+

 この手は 27.Nd2 の防ぎである。

27.Rxc3 Bb4 28.Rc2

28…Ke7

 タリは「ソ連のスポーツ」誌で 28…e5 の主変化を次のように分析していた。29.Nd2 c3 30.Ne4 Ke6 31.f3 h6 32.Kd3 Rd8+ 33.Kc4 Rd2!? 34.Kb3

34…Rxc2(34…Kd5 35.Nxc3+ は白の勝ち)35.Kxc2 Kd5 36.Kd3! c2 37.Kxc2 Kc4 38.Nd2+

これで白が優勢である。

29.Nd2 c3 30.Ne4 Ba5 31.Kd3 Rd8+ 32.Kc4

32…Rd1

 32…Rd2 なら 33.Kb3 +/- である。

33.Nxc3 Rh1 34.Ne4! Rxh2 35.Kd4 Kd7

36.g3

 36.g4 は 36…h5! が鋭い反撃で 37.Ke5 hxg4 38.Nf6+ Ke7 または 37.gxh5 gxh5 38.Ke5 Be1 となる。

36…Bb4 37.Ke5 Rh5+ 38.Kf6 Be7+ 39.Kg7 e5

40.Rc6 Rh1 41.Kf7! Ra1 42.Re6 Bd8 43.Rd6+ Kc8

44.Ke8 Bc7 45.Rc6 Rd1 46.Ng5 Rd8+ 47.Kf7 Rd7+ 48.Kg8 黒投了

(この章続く)

2010年05月07日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

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