チェス布局の指し方[8]

チェス布局の指し方[8]

第1章 展開と戦術(続き)

1.8 f2/f7の弱点

 白にとってf2、黒にとってf7の地点は早期の攻撃に最ももろい。eポーン布局の昔の定跡のほとんどはこの弱点をめぐって組み立てられていた。キング翼ギャンビットとジオッコピアノが19世紀と20世紀前半に隆盛を極めたのはこのためだった。

 f2/f7の地点の重要性と脆弱性は試合の始まりではキングでしか守られていないということに起因している。これによりいろいろな詰みの可能性が生まれ、迂闊な相手に対して時折用いられる。読者もチェスを覚えたての頃「学者の詰み」にはまったことがあるだろう。そんな早々の災難はひどい見落としの結果でしかないが、熟達した選手でもf2/f7への攻撃に基づいた戦術の企みのためにあっさり負けることがある。以下はそのいくつかの例である。

 (1)1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.Bc4 Bg4 4.Nc3 h6? 5.Nxe5! Bxd1?

 図14(白番)

(5…dxe5 なら 6.Qxg4 で白がポーン得で優勢である)6.Bxf7+ Ke7 7.Nd5#

 (2)1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.Bc4 Be7 4.d4 exd4 5.Nxd4 Nf6 6.Nc3 Nc6 7.O-O O-O 8.h3 Re8 9.Re1 Nd7?

10.Bxf7+! Kxf7(キングがf8またはh8に逃げると 11.Ne6 でクイーンを取られる)11.Ne6!! Kxe6 12.Qd5+ Kf6 13.Qf5#

 (3)1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 b5 5.Bb3 Nf6 6.d4 Nxd4?

7.Bxf7+ Kxf7 8.Nxe5+ Ke8 9.Qxd4 白は駒を取り返し1ポーン得になった。

 (4)1.d4 g6 2.e4 Bg7 3.Nf3 d6 4.Nc3 Nd7 5.Bc4 Ngf6 6.e5!

6…dxe5 7.dxe5 Nh5 8.Bxf7+ Kxf7(8…Kf8 は 9.e6 で駒損になる)9.Ng5+ Kg8(キングが他に動けば 10.Ne6 でクイーンが取られる)10.Qd5+ 黒投了(f7での詰みが防げない)

 (5)1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 c5 4.exd5 exd5 5.dxc5 Bxc5 6.Ne2??

6…Qb6 これで白が負ける。白は詰みを避けるためにはナイトを捨てるしかない。例えば 7.Nf3 は 7…Bxf2+ 8.Kd2 Qe3# で詰む。

 (6)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 d6 6.Bc4 g6?

7.Nxc6 bxc6 8.e5 dxe5?? 9.Bxf7+! Kxf7 10.Qxd8 これで白の勝ちとなる。

 上例のそれぞれで一方が急に負けの局面になった。それはf2/f7の地点にきちんと目配りしていなかったためである。これらは特異な例ではない。チェスの書物にはそれこそ何千もの例がある。読者は本書の以降の章を学んでいる間にもっと多くの例に出会うだろう。布局でのf2/f7の地点の重要性はいくら強調してもしすぎることはない。f2/f7の地点への攻撃と捨て駒にはいつも注意しなければならない。

(この章続く)

2010年04月19日 コメントは受け付けていません。

カテゴリ: チェス布局の指し方

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