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シチリア防御の指し方(01)

序章 本書の目的

 本書はシチリア防御の最も重要な戦型をしっかり理解したいと考えている人を対象にしている。だからすべての戦型や変化、あるいはそれらの最新の手順を取り上げようとするものではない。目標はいろいろなシチリア防御の戦型で生じる可能性のある主要な陣形(駒組み)と着眼点を紹介することにある。そしてはっきりと黒の視点から書いていて、本質的に筋のよい指せる常用布局を提供するように構成している。ポーン陣形は特に上記の戦型から生じるものを取り上げ論じる。私は読者に長手順や長く深い変化の記憶を要求することには興味がない。それは決して私のチェスに対する取り組み方ではなかったし、推奨もしない。それよりは黒番で採用したいどんな戦型でも頻出する重要な着眼点に習熟する方がはるかに良い。

 長年に渡る私の信念は、クラブの強豪選手とエキスパート・マスター・それ以上の選手との違いは、局面での適切な突き捨てを認識し追求し利用する能力であるということである。突き捨てとは(1)相手に取らせ(2)こちらのポーン陣形を良くし、かつ/または相手のポーン陣形を乱すようなポーン突きである。そして適切な突き捨てがうまくいき黒のそれからの指し方が明らかになるような所まで読者を導いていく。突き捨てを理解することは駒の行くべき地点を決めるのに役立つ。

 選手の中には局面に対処する万能の公式を欲しがる者がいる。もちろんそのようなものは存在しない。しかし陣形、展開方法そして大局観と戦術の着眼点に通じていれば、シチリア防御を指すときに自信を持って指すのに大いに役立つだろう。

 シチリア防御のそれぞれの戦型で示されるほとんどの実戦には、目的、狙い筋それに成果の観点から試合の重要な見どころを特に黒の視点から要約した「上達の指針」が前についている。これはかなり斬新な手法で、より高い知識で各試合を理解する貴重な機会を読者に与え、ひいては棋力の向上につながるはずである。しかし一言注意しておくと、駒の迅速な展開やキングの安全性の重要性を知らずまだ初歩的な戦術の誤りを犯している読者にこそ本書が必要である。

 シチリア防御は周知のとおり黒の最も人気のある防御である。大会で指すどの棋力の選手にも選ばれる理由は何だろうか。私は大きな理由が三つあると思う。

 (1)諸刃の剣の布局では黒に絶好の反撃の機会ができる。

 (2)さまざまな戦型には堅実なものもあれば複雑なものもあり黒は選択できる。

 (3)主要な戦型の中には中盤戦とそれに続く收局で本質的に黒にとって有利なポーン陣形になるものがある。

以下にそれぞれについて少し詳しく説明する。

 反撃

 非対称な最初の数手で黒は 1.e4 c5 2.Nf3 d6(または 2…Nc6 や 2…e6)3.d4 cxd4 4.Nxd4 でできる半素通しc列の6枡の「長さ」が利用でき、白は半素通しd列で5枡(黒が …d6 と指した場合)である。これはとりもなおさず黒のクイーン翼での反撃がしばしば …b5 突きと相まって強力になることを意味している。私は中盤戦に入ってから黒がいかに指しやすいか実感して驚くことがよくあった。よく目標になるのは出遅れポーンに近い白のc2のポーン、それに開放シチリア防御(我々の一番の関心事)ではほかのポーンから守られていないことがよくある白のe4のポーンである。シチリア防御が黒に取ってほかの布局よりもそのようなおあつらえの反撃につながるのは、たぶん両者の目標がはっきり異なっているからである。典型的には黒の成果の最初の兆候は …b5 突きによるクイーン翼での反撃と陣地の拡張である。クイーン翼での作戦成功の頂点はクイーン翼全部または盤面の約1/3の支配となって現れるかもしれない。その後は黒が中央を支配することになるかもしれない。これは実は黒がそもそも初手から目指していることである。そして最後には白キングに対する直接攻撃に移り全面的に勝利するかもしれない。理想的な状況では黒は盤上の少なくとも3/4を支配するだろう。

 複雑さ

 白の中央のe4/f4ポーン対(時にはg4のポーンでさらに増強される)はキング翼攻撃に転化可能だが、それに対する黒の融通性のある中央の陣形(例えばd6とe6のポーン)によって引き起こされる争点がシチリア防御の複雑さに通じる理由になっている。この争点は白がクイーン翼にキャッスリングし黒がその反対翼にキャッスリングすればさらに強まる。黒のポーン陣形は本質的に欠陥がなく、…d6 と …e5(ボレスラフスキー陣形)と突くことさえ許容される。場合によっては …d5 および/または …e5 と突くかもしれない可能性が私の言うところの争点の源である。これは必然的に非常に複雑な局面になっていく。さらには交換は白の攻撃の可能性が減少するかもしれないので、白の観点からは必ずしも争点を和らげることにならない。実戦を例に取れば偉大なボビー・フィッシャーの理詰めで模範と言ってよい試合よりほかにシチリア防御を肯定する特徴を評価する良い方法はない。

M.マツロビッチ – R.フィッシャー
ビンコブツィ、1968年

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.g3

 白がかなり珍しい手を指したことによりフィッシャーが非常に積極的に立ち回ることになった。

6…e5 7.Nde2 Be7

8.Bg5

 この手からd5の地点の支配をめぐる戦いが始まる。白がもっと普通に 8.Bg2 と指したら黒は 8…O-O 9.O-O b5 10.a3 Nbd7 11.Be3 Qc7 のあと …Rac8、…Rad8、…Bb7 そして必要により …Nb6 などの手を指しただろう。

8…Nbd7 9.Bh3

 白はビショップをなんとか働かせようとしている。しかしあとでこのビショップが下がったことを見れば本譜の手は問題だったようである。

9…b5

 フィッシャーは積極的に動いてd5の地点の支配をめぐる戦いに応戦している。1965年ベオグラードでのマツロビッチ対ミニッチ戦では 9…O-O 10.a4! h6 11.Bxf6 Nxf6 12.Bxc8 と進んで白が優勢だった。

10.a4?

 ここではこの手は白の作戦に適合しない。黒がフィッシャーの非常に独創的な着想のおかげでc列を支配することになったからである。

10…b4 11.Nd5 Nxd5 12.Qxd5 Rb8 13.Bxe7

13…Ke7!

 これこそその1手だった。フィッシャーはすぐれた大局観を見せつけた。このあとはすぐにc列で典型的な反撃を確立した。

14.Qd2 Nf6 15.Bg2

 マツロビッチが白枡を争う機会を残すために白枡ビショップの交換を避けたのは正しかった。しかし黒の巧妙な指し回しの結果として白は守勢に立たされる。

15…Bb7 16.Qd3 Qb6 17.O-O a5

 これで …Ba6 は現実の脅威で、白は苦戦に追い込まれている。13…Kxe7! の取り返しに象徴されるフィッシャーの布局がもたらした効果には目を見張るばかりである。

18.Rfd1 Ba6 19.Qd2 Rhc8 20.h3 h5

 以前に指摘した類の盤上の支配が顕在化してきた。

21.b3

 この手は …Rc4 を防いだものだが、フィッシャーはすぐに優良ナイト対不良ビショップの出現の可能性を見抜いた。

21…Bxe2 22.Qxe2 Rc3 23.Rd3 Rbc8 24.Rxc3 Rxc3 25.Kh2 Qc5

 出遅れcポーンに対する圧力が強くなってきた。もう白の敗勢と言っても差支えない。26.Rc1? は 26…Rxb3 で負ける。

26.Ra2 g6 27.Bf1 Qd4

 黒は中央の支配に向かい始めた。

28.f3 Re3 29.Qg2 Qd1

 黒は今やクイーン翼全体と中央を支配している。実に盤上の3/4にあたる。白は投了の頃合いである。

30.Bc4 Qxf3 31.Qxf3 Rxf3

 ここからフィッシャーの定評のある指し回しが見られる。ただもっと技量が下の選手でも勝てるだろう。

32.Kg2 Re3 33.Bd3 Nxe4 34.Bxe4 Rxe4 35.Kf2 d5 36.Ra1 d4 37.Rd1 Re3 38.h4 Rc3 39.Rd2 Ke6 40.Kg2 f5 0-1

 黒の優秀なポーン陣形

 以下の議論で要約するように、私はシチリア防御における黒のポーン陣形は白のポーン陣形よりも好形だと確信している。白のeポーンだけの中央に対する黒の中央の2ポーンの潜在力、特にスヘフェニンゲン戦法とドラゴン戦法での黒陣の維持しやすさや改善しやすさは、黒のポーン陣形の方が白のポーン陣形よりも本質的に優秀で機動性に富んでいることを示唆している。

 本書で私の意図するところは以下のシチリア防御のポーン陣形(戦型)とそれらに不可欠な布局の指し方について論じることである。

(1)スヘフェニンゲン型ポーン陣形
(2)ドラゴン陣形
(3)ラウゼル戦法
(4)パウルゼン型またはボレスラフスキー型ポーン陣形
(4a)ナイドルフ戦法
(4b)ボレスラフスキー戦法
(5)カン型陣形
(6)タイマノフ戦法
(7)黒の非主流戦型
(8)閉鎖シチリア駒組み

 もちろんシチリア防御にはもっと多くの戦法や派生形がある。例えばc3シチリア防御(それは独自に分類される)やペリカン防御がそうであるが、それらは簡単に触れるにとどめるしかない。

 ハンス・クモッホは自著の『チェスのポーンの力』でルーイス・パウルゼンがスヘフェニンゲン、ボレスラフスキー、パウルゼンそれにドラゴンの陣形を含むいくつかのシチリア防御の戦型への貢献で正当な功績が認められるように気を配った。本書では黒ポーンを …e5 と …d6 に突くボレスラフスキー陣形をパウルゼン戦法と同類に扱う。一方 …a6 と …e6 と突く陣形(ただし早く …d6 と突くことはない)はカン戦法にまとめる。

2018年01月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: シチリア防御の指し方