2017年03月の記事一覧

「ヒカルのチェス」(468)

「British Chess Magazine」2017年2月号(1/1)

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ロンドン・チェスクラシック

ヒカル・ナカムラ – ウェズリー・ソー
第8回ロンドン・チェスクラシック、第1回戦、2016年

 大会初戦でナカムラはグランドチェストーナメント総合優勝を争うソーとの重要な対局に臨んだ。しかし自分の研究手順を忘れてなすところなく負けた。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.e4 Nxc3 6.bxc3 Bg7 7.Be3

 グリューンフェルト防御は最高峰レベルでは人気がある。

7…c5 8.Rc1 O-O 9.Qd2 e5 10.d5 Nd7 11.c4 f5 12.Bg5 Nf6

 最高峰レベルでは研究は奥深くまで行われている。この局面は前例がないにもかかわらず両対局者の研究範囲だった。

13.Ne2??

 13.Bd3 がナカムラの意図だったはずで、形勢は白がわずかに良いだろう。

13…Nxe4

 簡単な手筋だ!

14.Bxd8 Nxd2 15.Be7 Rf7 16.Bxc5 Nxf1 17.Rxf1

 戦力的には互角だが形勢は黒の方がずっと良い。黒には双ビショップがあり白キングは中央列で立ち往生している。さらには白の中央ポーンは弱い。

17…b6 18.Bb4 Ba6 19.f4 Rc8 20.fxe5 Bxe5

 ソーは単純に指しているだけで、白のc4ポーンが困ったことになっている。

21.Rf3

 代わりに 21.c5 は白キングが危うすぎる。白の問題は次の想定手順に表れる。21…bxc5 22.Rxc5 Re8 23.Rc2 Rc7 白は駒の連係がとれず黒が完全に勝勢である 24.Rd2(24.Rxc7 Bxc7 25.Rf2 Bb6)24…Rc4 25.a3 Bxh2 26.Kd1 Bb5 27.Rf3 Bf4

28.Rxf4(28.Rb2 Rxe2 29.Kxe2[29.Rxe2 Rc1#]29…Rc2+ 30.Ke1 Rc1+ Kf2 Rf1#)28…Ba4+ 29.Ke1 Rxf4

黒が交換得のうえに1ポーン得である。

21…Bxc4 22.Re3 Bg7 23.Nf4 Rd7

 ソーはdポーンに狙いをつけた。

24.a4

 24.d6 Bd4 25.Re7(25.Re2 Kf7 26.Nd5 Bxe2 27.Rxc8 Ba6 28.Rc7 Rxc7 29.dxc7 Be5

cポーンがいずれからめ取られるので同じ運命になりそうである)25…Rxe7+ 26.dxe7 Kf7 27.Rd1 Bf6

黒はeポーンをゆっくりからめ取ることができる。

24…Bh6 25.g3 Bxf4 26.gxf4 Rxd5 27.Re7 Rd4 28.Bd2 Kf8 29.Bb4 Re8 0-1

 2ポーン損でナカムラは投げ時だと判断した。ソーは才能あふれる相手に一方的に勝った。

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(この号終わり)

2017年03月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(234)

「Chess Life」1998年12月号(5/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

クイーン翼ビショップの閉じ込め(続き)

1.d4 d5 2.c4

B)2…c6 D10~D19

 スラブ防御はこの手から始まるが、定跡として大いに理にかなっている。つまりクイーン翼ビショップを閉じ込めることなくd5の地点を守っている。残念ながらこの状況は主手順に見られるように一時的である。

3.Nf3 Nf6 4.Nc3 D15-D19

 この手に対して 4…Bf5?! は 5.cxd5! cxd5 6.Qb3! と応じられて、bポーンを守る正しい手段は 6…Bc8 しかなく、白が 7.Bf4 でかなり優勢の展開になる。もちろん 4…e6 なら定跡で何の問題もないが、2…c6 の意図(クイーン翼ビショップの斜筋をふさがない)はなくなる。キング翼ビショップを展開する必要があるので黒は 4…g6 から 5…Bg7 を選択してもよく、いくらか活気のないグリューンフェルト型の局面になる。だから「純正」スラブを保つためには黒は中央を放棄しなければならない。

4…dxc4 5.a4

 これが楽にポーンを取り返す唯一の手段で、主手順の戦型になる。これに対して黒が普通に展開するなら 5…Bf5?! だが白は 6.e3 または 6.Ne5 と指しどちらも少し優勢の布局になる。

 これらのどの戦型でも白のクイーン翼ビショップの迅速な展開は重要でないので、白は早く e2-e3 と突くことにより何か得することができるのだろか?二つの重要な状況を考えてみよう。

3.Nc3 Nf6 4.e3! D10

 これに対して 4…Bf5?! はやはりまずい。というのは 5.cxd5! と取られると 5…cxd5(もちろん 5…Nxd5 と取ることもできるが 2…c6 の意図を無視している)6.Qb3 となって黒は 6…Bc8 と引かなければならず 7.Nf3 で白が好調である。

 だから白は本譜の手で黒がスラブの手を指すのを妨害したことになる。そして黒は 4…e6 または 4…g6 の戦型で満足しなければならない。代わりに黒は途中で 3…Nf6 を延期して 3…e5、3…e6 それに 3…dxc4 のようなそれほど探求されていないシステムを選択することができる。しかし私にはそれらが100%本筋かについてためらいがある。

3.Nf3 Nf6 4.e3 D12

 この戦型はキング翼ナイトを1手目または2手目で展開してもよいので実戦的に重要である。しかしf3のナイトはd5の地点に何も圧力をかけていないので、黒はスラブの作戦を完遂することができる。

4…Bf5! 5.cxd5 cxd5 6.Qb3

 これが眼目の局面である。黒は 5.Nc3 e6 でも 5.Bd3 Bxd3 6.Qxd3 e6 でもほとんど苦労なく互角になる。

 ここからはドレエフ対バレエフ戦(ベイクアーンゼー、1995年、番勝負第2局)の手順を追う。

6…Qc7! 7.Bd2 Nc6 8.Bb5 e6 9.Bb4 Bd6 10.Qa3 Ke7! 11.Bxc6 bxc6 12.Nc3 Rhb8 13.Bxd6+ Qxd6 14.Qxd6+ Kxd6

 收局はほぼ互角のいい勝負である。両対局者はやる気満々で、戦いを続けた。バレエフは本局を『チェス新報』第62巻第407局でで詳しく解説している。

15.Na4 Nd7 16.b3 f6 17.Kd2 a5 18.Rhc1 Nb6 19.Nc5 e5 20.Ne1 Nd7 21.Ned3 Bxd3 22.Kxd3 Nxc5+ 23.Rxc5 a4 24.Rac1 Ra6 25.bxa4 Rb2 26.R1c2 Rxc2 27.Rxc2 Rxa4 28.Kc3 exd4+ 29.exd4 Ra3+ 30.Kd2 g5 31.Kc1 g4 32.Rd2 f5 33.Kb2 Ra6 34.Rd3 Ra7 35.Ra3 Re7 36.Re3 Re4 37.Kc3 c5 38.dxc5+ Kxc5 39.Kd2 Rd4+ 40.Rd3 Ra4 41.Rc3+ Kd4 引き分け

 白がクイーン翼ビショップを閉じ込めるのが意味を成すのはどんな時か?黒の通常どおりクイーン翼ビショップを早く展開するのを妨げることができるなら、白の早い e2-e3 突きは有効な手となる。

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2017年03月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(467)

「Chess」2016年12月号(2/2)

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グランドマスター・ブリッツ勝ち抜き選手権戦

H.ナカムラ – M.カールセン
ブリッツ(5分+3秒)第3局、クイーン翼インディアン防御

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 b6 4.g3 Ba6 5.Qc2 Bb7 6.Bg2 Bb4+ 7.Bd2 a5 8.O-O O-O 9.a3 Bxd2 10.Nbxd2 d5 11.cxd5 exd5 12.Ne5 Na6 13.Nd3 Qe7 14.e3 c5 15.dxc5 Nxc5 16.Nxc5 bxc5 17.Rac1 Rfc8 18.Rfd1 h6 19.Qf5 a4 20.Rc2 Bc6 21.Rdc1 Bd7

 ここで 22.Qd3 なら何事もなかっただろう。しかし本局が最後ではなかったがクイーンがポカで失われた。

22.Qf4?? g5 0-1

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(この号終わり)

2017年03月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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布局の探究(233)

「Chess Life」1998年12月号(4/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

クイーン翼ビショップの閉じ込め(続き)

1.d4 d5 2.c4

A)2…e6 D30~D69

3.Nc3 Nf6 4.Nf3 c6 5.e3 Nbd7

6.Qc2 D46

 1990年代初めからアナトリー・カルポフが駆使したおかげでこの手が白の最もよく指される戦型になった。その着想はいたって簡単である。6…dxc4 からの難解な手順はここでは 7.Bxc4 が手損にならないので防がれている。その一方白クイーンの展開は役に立っている。結果として白はやや優勢の危険性のない状況で始動している。

 ここからはクラムニク対ピケット戦(ベイクアーンゼー、1998年)を追う。

6…Bd6 7.Bd3 O-O 8.O-O dxc4

 黒は中央で何らかの決まりをつける必要がある。さもないと白が適時の e3-e4 突きで好き勝手にふるまえる。一流の選手は 8…e5 9.cxd5 の黒の局面を信頼していない。

9.Bxc4 a6

 このaポーン突きはここ2年でほかの作戦をすべてかげらせた。黒はクイーン翼で陣地を拡張する用意をしながら、中央での最終的な仕掛け(…e6-e5 または …c6-c5)を白には秘密にしている。

10.Rd1 b5 11.Be2 Qc7 12.Ne4

 カルポフ対クラムニクの快速戦(モナコ、1998年)で白は中央に目を向けて 12.e4 と突き、12…e5 13.g3 Re8 14.a3 Bb7 15.dxe5 Nxe5 16.Bg5 Nxf3+ 17.Bxf3 Be5 18.Bxf6! で少し優勢になった。クラムニクはここで 18…Bxf6 に 19.Nd5! があるので 18…gxf6 と取ったがそれでも 19.Bg4! で白がわずかな優勢を保持した。

12…Nxe4 13.Qxe4 e5 14.Qh4 h6?!

 ピケットは 14…Re8 に新手を指されるのを恐れたようだった(カルポフ対アーナンド、FIDE世界選手権戦第5局、ローザンヌ、1998年)。しかし 15.Bd3 h6 16.Bc2 に 16…Be7! 17.Qg3 Bd6! で黒が簡単に互角にできる。

15.Bd2! Re8?

 黒は 15…exd4 と取らなければいけなかった。

16.dxe5 Nxe5 17.Ba5!

 前局とちょうど同じように展開に優る白がかなり優勢になった。クラムニクは決してその優勢を手放さなかった。『チェス新報』第71巻第466局のクラムニクの詳細な解説からいくつか形勢記号を拾うことにする。

17…Qb8 18.Rac1 Be6 19.Nxe5 Bxe5 20.Rxc6 Bxb2 21.Bc7! Qb7 22.Bf3 Rac8 23.Qb4 Be5 24.Rcc1 Qxc7 25.Rxc7 Rxc7 26.Qa5 Rc2 27.Qxa6 Rb8 28.Be4 Rc4! 29.Bd3 Ra4?! 30.Qc6 g6?! 31.f4 Bf6 32.f5! gxf5 33.Bxf5 Bxf5 34.Qxf6 Bg6 35.Rd2 Re4 36.h3 Rbe8 37.Qb6 b4 38.Rd4 Rxe3 39.Qxb4 h5 40.a4 Re1+ 41.Kh2 Ra1 42.Qb2 Rb1 43.Qa3 Kh7 44.a5 Ree1 45.Qf8 Rh1+ 46.Kg3 Rb5 47.Rd8 Rg5+ 48.Kf2 黒投了

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2017年03月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(466)

「Chess」2016年12月号(1/2)

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マン島国際チェス大会

解説 ベンジャミン・ボク

H.ナカムラ – B.ボク
第5回戦、キング翼インディアン防御

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.f3

 この f3 システムをナカムラは誰あろうカスパロフに対してさえ指している!

3…e6 4.e4 c5 5.d5 d6 6.Ne2 Bg7 7.Nec3

 白は Nb1-c3 と指していなかったのでこんな手で変化することもできる。

7…a6 8.a4

8…Nh5

 8…exd5?! は手順が悪く、9.cxd5 Nh5 に 10.g4! と突く手があり 10…Qh4+ 11.Kd2 Ng3 12.hxg3 Qxh1 13.Bb5+ で白の勝ちになる。実戦はポーンがまだc4にいるので成立しない。

9.Be3

 9.g4? にはもう見たように 9…Qh4+ 10.Kd2 Ng3 の強手がある。

9…exd5 10.cxd5 f5 11.exf5 gxf5

12.Qd2

 ここでちょっと奇妙なことが起こった。私が考えている間にナカムラが戻ってきて棋譜に 12…O-O と書き自分のビショップをつかみe2に動かしたとたんにまだ私の手番であることに気づいた!私は審判のところに行ってことを大げさにするようなことはしないことにした。しかし少なくとも 12…O-O のあとの彼の意図は分かった。

 本譜の手の代わりに 12.Be2 は 12…O-O 13.O-O のあと 13…Re8 14.Bf2(14.Qd2?? は 14…Rxe3 で黒の勝ち)14…Qg5 に対処する適当な手段が白にない。

12…O-O 13.Be2

 予想どおり。

13…Nd7

 私は単に駒を展開することにした。

14.O-O f4

 14…Ne5 は 15.Bg5 がちょっと煩わしい。15…Qe8 に 16.f4 があってクイーンをg列に持っていくのがより困難になるからである。

15.Bf2

15…Qg5

 こう指すと g4 と突かれるのは分かっていたが、白キングがまったく弱くなりきわめて危なっかしいと考えていた。

 15…Ne5 と指すこともできたが、やはり 16.Ne4 で私のクイーンがg6に行けず 16…Bf5 17.Nbc3 で白が少し優勢かもしれない。

16.g4

 16.Ne4 は 16…Qg6 17.Nbc3(17.Bh4 には 17…Ne5 18.Be7 Bh3)17…Ne5 18.Kh1 Bf5 と進む公算が大きい。黒は好調で …Rae8 または …Bh6 で圧力を強めるかもしれず …Ng3+ の狙いも出てくる。

16…Ne5 17.Kh1 Nf6 18.Rg1

18…Qg6!

 この手が指せてまったくほっとした。いろいろな捨て駒が視野に入っている。

 最初は 18…h5 と指すつもりで、19.h4 Qg6 20.g5 Qf5 21.Rg2 Nfg4! 22.fxg4 hxg4 を想定していた。白は押しつぶされてしまうだろう。しかし 19.gxh5 と取られると 19…Qxh5 20.Qxf4 Ne8 21.Qh4 Qxh4 22.Bxh4 Nxf3 23.Bxf3 Rxf3 24.Nd2 となって黒は問題ないのだが白の主導権は厄介ものである。

19.Bh4!

 黒の捨て駒に備えて 19.Qd1 と指すと予想していたが、それでも黒は 19…Nfxg4! と切り込むことができるようで 20.fxg4 f3 21.Bf1 Nxg4 で勝勢である。例えば 22.Bg3 なら 22…f2 23.Rg2 Ne3 でよい。

 また、19.Na3 なら 19…Bxg4! が黒の読み筋で、20.fxg4 Ne4 21.Qe1 Nxc3 22.bxc3 Qe4+ 23.Rg2 f3 で黒の勝ちになる。

19…h5

 最初は 19…Bxg4 と取りたくてたまらなかった。20.Qd1(20.Bxf6 なら 20…Bxf3+ 21.Bxf3 Qxg1+ 22.Kxg1 Nxf3+ 23.Kf2 Nxd2 24.Bxg7 Nxb1 25.Bxf8 Nxc3 26.bxc3 Kxf8 27.Kf3 となるが、これでも白はたぶん持ちこたえることができるだろう)20…Qh5 21.Bxf6 Nxf3 22.Rg2 Rxf6 と進んで黒が勝ちそうに見えるが、残念ながら 23.Nd2 という手があり形勢が逆転する。

20.g5

 20.gxh5 も白はあまり気乗りしなかった。20…Qxh5 21.Qxf4 Nfg4 22.Qg3(22.fxg4 は 22…Rxf4 23.gxh5 Rxh4 で黒に立派な代償がある)22…Nxf3 23.Bxf3 Rxf3 24.Qxf3 Qxh4 25.Qg3 Qh6 となって交換損の代わりに黒の攻撃が強力で、26…Be5 の狙いがある。

20…Nfg4!

 このような局面では引き下がることはできない。

21.Ne4

 21.fxg4 は 21…hxg4 で白には指す手がなく、黒は容易に駒を攻撃に投入し続けることができる。例えば 22.Na3 Qh7 23.Qe1 Bf5 のあと黒は望むなら 24…Rae8 と指せる。

21…Bf5

 最初は 21…Nxh2 を読んでいた。しかし 22.Kxh2 Qf5 23.Nf2(チェスエンジンは 23.Rg2 の方がずっと強力だとしている。23…Qh3+ 24.Kg1 Qxh4 25.Rh2 Bh3 26.Nbc3 でh列での釘付けのために黒が問題を抱える)23…Ng6 24.Bd3 Nxh4 25.Bxf5 Nxf3+ 26.Kh1 Nxd2 27.Bxc8 となって、27…Nxb1 には 28.Be6+ があるので白が駒得のままである。

22.Nf6+?

 この手のあとはどうやっても白の負けである。たぶんナカムラは私の応手を見落としたのだろう。白は何があっても 22.Nbc3 と指さなければならなかった。黒はまだ少し優勢かもしれないが局面はまだ難解なままである。

22…Rxf6! 23.gxf6 Bxf6

 白はビショップを助けようがない。

24.Nc3

 白はもう負けを認めている。24.Qe1 は 24…Re8 で黒の狙いが多すぎる(24…Nxf3 でもよいが 24…Re8 の方が簡単)。24.Be1 は 24…Bxb1 であれれ、ということになる。

24…Bxh4

 ここでは黒の勝勢は明らかである。私のしなければならないことは冷静さを保ち最後まで正確に指すことだけだったが、うれしいことにとてもうまくやり遂げることができた。

25.Raf1 Bg5 26.h4

 26.fxg4 と取っても 26…Be4+ 27.Nxe4 Qxe4+ 28.Rg2 Qxg2+ 29.Kxg2 f3+ でやはり終わっている。

26…Bh6 27.fxg4 hxg4 28.Rxf4 Qh5! 29.Rg2 Qxh4+ 30.Kg1

 30.Rh2 も 30…Qg5 で見込みがない。

30…Ng6

 ほかの手もあるが、これが最もはっきりしている。

31.Rxf5 Bxd2 32.Rxg4 Bxc3

 このような局面では勝ち方がいくつもあるが、その中の一つを追求することにした。

33.bxc3

 33.Rxh4 なら 33…Nxh4 34.Rg5+ Bg7 で黒の勝ちである。

33…Qe1+ 34.Bf1 Kg7 35.Rfg5 Qb1 0-1

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(この号続く)

2017年03月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(232)

「Chess Life」1998年12月号(3/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

クイーン翼ビショップの閉じ込め(続き)

1.d4 d5 2.c4

A)2…e6 D30~D69

3.Nc3 Nf6 4.Nf3 c6

 5.e3 Nbd7 からの布局はメラン戦法と呼ばれている。最も重要な2戦型の 6.Bd3 と 6.Qc2 からの白の指し方を実戦例から取り上げる。

6.Bd3 D46

 これは白の最も積極的な手である。その作戦は単刀直入で、e2-e4 と突いてさらに黒のdポーンに挑みながらクイーン翼ビショップを開放する。これに対して黒はほぞを固めて自分から 6…dxc4 7.Bxc4 b5 と難解さに踏み込まなければならない。定跡に精通している必要があるが、最終的に互角になる見込みはきわめて大きい。しかし黒を持って指す多くの選手はより安全と感じる局面の方を好み、「同形」の展開を選ぶ。このあとはシェルバコフ対シャバノフ戦(ロシア選手権戦、1996年)の手順を追う。

6…Bd6 7.O-O O-O 8.e4! dxe4

 重要な中央のポーンを交換するのが普通の取り方である。8…dxc4 と取るのは 9.Bxc4 e5 10.Bg5 h6 11.Bh4 Qe7 12.Re1 Rd8 13.d5 Nb6 14.Bb3(サブチェンコ対シップマン、フィラデルフィア、1991年)となって白が優勢になる。

9.Nxe4 Nxe4 10.Bxe4 h6

 10…Nf6 は 11.Bc2 c5 12.Bg5 h6 13.Bh4 で釘付けが煩わしく、13…Be7 には 14.Qd3! がある。

11.Bc2 e5 12.Re1! Bb4

 一組のビショップを交換しておくのが理にかなっている。単に 12…exd4?! は不十分で、13.Qxd4 Bc5 14.Qf4 で白が展開で大きく優り陣形にも欠陥がない。

13.Bd2 Bxd2 14.Qxd2 exd4 15.Qxd4 Qb6 16.Qc3 a5 17.Rad1

 黒は展開で大きく立ち遅れている。これに対し白は絵に描いたように完璧である。展開は完了し、両方のルークは中央の素通し列に位置し、盤上の制圧はほぼ全体に渡っている。キング翼で猛攻を仕掛ける可能性が高く、自陣に弱点は一つもない。『チェス新報』第68巻第393局の解説でシェルバコフは 17…Qb4 が黒の最善手だと考えている。それでも 18.Qd3 Nf6 19.a3 Qc5 20.Re5 Qb6 21.c5 Qc7 22.Rde1 Rd8 23.Nd4 で状況は芳しくない。実戦は黒がたちまちつぶされた。

17…Nf6?! 18.Rd6! Qb4 19.Qe5! Qxc4 20.Bd3 Qg4?! 21.h3 Qh5 22.Qg3 Nd5 23.Re5 f5 24.Rg6 Rf7 25.Re8+ Kh7 26.Ne5 Rc7 27.f4! 黒投了

 白の 28.Be2! Qxe2 29.Rxh6+! Kxh6(29…gxh6 30.Qg8#)30.Rh8# の狙いに成すすべがない。

 最終盤は展開の優位の威力をみごとに示していた。黒は投了した時クイーン翼のルークもビショップもまだ戦いに加わっていなかった。

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カテゴリ: 布局の探求3

「ヒカルのチェス」(465)

「Chess Life」2016年11月号(1/1)

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シンクフィールド杯

開放カタロニア(E05)
GMウェズリー・ソー(FIDE2771、米国)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2791、米国)
2016年シンクフィールド杯第1回戦、ミズーリ州セントルイス、2016年8月5日

 2015年のシンクフィールド杯でヒカル・ナカムラはキング翼インディアン防御でウェズリー・ソーをつぶした。1年で変わったことが多く、ナカムラが同僚に対して選択した布局もそうである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 d5 4.g3 Be7 5.Bg2 O-O 6.O-O dxc4 7.Ne5

 主手順は 7.Qa4 a6 8.Qxc4 b5 9.Qc2 Bb7 で、数え切れないほど指されている。

7…Nc6

8.Nxc6

 8.Bxc6 bxc6 9.Nxc6 Qe8 10.Nxe7+ Qxe7 11.Qa4 e5 12.dxe5 Qxe5 が通常の手順で、よく知られている。チェスエンジンは白の方を少し優勢としているが、異色ビショップと白のすき間のあるキング翼のために黒が互角にできる可能性が非常に高い。

8…bxc6 9.Na3 Bxa3 10.bxa3

 奇妙なポーン陣形ができあがった。黒はc列に孤立三重ポーン、a列に孤立ポーンがあり、白は1ポーン損でa列に孤立二重ポーンがある。身の毛もよだつような局面である。

10…Ba6 11.Qd2 Rb8 12.Qa5 Qc8 13.a4 Rd8

14.Ba3

 この手はポーンをもう1個犠牲にして主導権を強める。d4のポーンはまったく気にしない。確かにあればいいポーンだが、白は犠牲にした戦力を正当化するためには活発に動く必要がある。

 14.Rd1 は以下 14…c3(14…e5 15.Qxe5 Nd5 はねじり合いになる。白は双ビショップで中央列のポーンも多いが、展開が遅れている。黒は非常に積極的に動いているが、長期的には陣形が白の有利に働くのは確かなのでそうすることが必要である)15.Qxc3 Bxe2 16.Re1 Qa6 17.Bg5 Qc4 で互角の形勢である。(ポーンが取られないように17…Rd6 と指すのは手間をかける価値がないかもしれない。どうして白に 18.Rab1 でb列を支配させるのか?)

14…Rxd4 15.Rfb1

 ここで初めて前例と別れた。抜け目のない手である。交換得になった場合白のもう一つのルークはf1よりa1にいた方が良い。これは典型的なチェスの論理に反するようだが、そのわけは白が a4-a5 から a2-a4 と突こうとしているからである。

 前例は2010年ブルニャチカ・バニャでのザハル・エフィメンコ(2689)対コンスタンチン・サカエフ(2607)戦で、15.Rab1 Rb6 16.Bc5 Rd5 17.Bxd5 cxd5 18.Bxb6 axb6 19.Qb4 Nd7(19…d4 も指したくなる手で、対角斜筋を開けナイトのためにd5の地点を空ける)20.a5 b5 21.Qe7 c5 22.f4 d4 23.f5 e5 24.f6 gxf6 25.g4 h6 26. Rf5 と進んで合意の引き分けになった。

15…Rb6 16.Bc5

16…Rd7

 私が見たかった手は 16…Rd5 だった。2ルークに対し2小駒と2ポーンの駒割は滅多に見られない。もっとも 17.Bxd5 cxd5(17…Rxb1+ 18.Rxb1 cxd5 19.Qxa6 は最下段が無防備なので黒にとって問題が大きい)18.Bxb6 cxb6 19.Qc3 は白が良すぎる。クイーン翼をのみで削るようにやっていけば、結局はルークが小駒より強くなる。

17.Rd1 h6

 これは辛抱のいい手だが、たぶん補強が必要だった。

 17…Nd5 18.e4 Nf6 は互角だが、白にポーンを突かせたのは黒のためになっている。黒のナイトがいつかはd3の地点に行ける。

18.Rxd7 Nxd7 19.Bxb6 cxb6 20.Qd2

20…c5

 20…Nc5 21.Qd6 は白が優勢の実戦の進行にやや似ている。21…Nxa4 22.Qxc6 Qxc6 23.Bxc6 Nc5 となった時の大きな違いはそれぞれの二重ポーンが交換で解消していることである。これは黒にとって重要で、ナイトがc5に行ける。

21.Rd1 Nf6 22.Kf1 Kh7 23.Qc2+

23…Kg8

 対局後ナカムラは 23…g6 と突いてクイーンを盤上に残さなかったのを後悔しているようである。24.Qc3 Kg7 で白がどのように進展を図るか判然としない。どうやっても譲歩することになるだろう。もちろん白が優勢であるけれども 25.h4 Qc7 26.Kg1 e5 で戦いは続く。

24.Qd2 Kh7 25.Qd8

 クイーンが盤上から消えるのでソーは勝ち負けだけを目指して指すことになる。a7のポーンはすぐ目立つ弱点で、ほぼ互角の駒割にもかかわらず白がはっきり優勢である。收局ではルークが小駒を圧倒することがよくある。

25…Qxd8

 25…e5 26.Qxc8 Bxc8 27.Rd8 Be6 28.Ra8 c3 29.Ke1 は、…e6-e5 突きで白枡の支配がゆるんだので黒が実戦よりもずっと悪い。

26.Rxd8 c3 27.Ke1

27…Bc4

 27…c2 は 28.Kd2 Bxe2 29.Kxc2 Kg6 30.Rb8(黒はポーン狩りをしている暇がない)30…Ng4 31.Rb7 Nxf2 32.Rxa7 で次にb6のポーンが落ちるので良くない。

28.Kd1 Bxa2 29.Kc2 Bc4 30.e3 b5 31.Kxc3 a6

32.Ra8

 たぶん 32.a5 の方が正確である。32…Bd5 33.Bxd5 Nxd5+ のとき勝つ唯一の手は 34.Kb3 である(34.Kd2 は 34…c4 35.Rd6 Nb4 となってこのナイトが奇跡的にa6ポーンの守りから追い払われない。白キングがc3に行けばナイトはa2からチェックするし、a3に行けばc2からチェックする。驚異的な要塞である)。

32…Nd5+ 33.Bxd5 exd5

 33…Bxd5 でも 34.Rxa6 bxa4 35.Rxa4 f5 36.Ra5 c4 37.Kd4 で白の勝ちになる。白キングが黒枡をぶらつくので黒キングは戦闘に間に合わない。

34.a5

 34.Rc8 bxa4 35.Rxc5 でも勝ちだがもっとてこずる。白は正確さを要求されるが、実戦の方はaポーンのおかげで早く終わった。代わりに 34.axb5?! axb5 35.Rc8 は 35…d4+ 36.exd4 cxd4+ 37.Kxd4 で引き分けに終わる可能性が非常に高い。

34…b4+ 35.Kd2 Bf1

 35…Bb5 36.Rc8 c4 はすべて守っているようだが、37.Rb8 から Rxb5 の狙いだけ抜けている。これはビショップが動かなければならないということで、bポーンが落ち勝負がつく。

36.Rc8 c4 37.Rb8 b3 38.Kc3 黒投了

 ナカムラは白のaポーンに対処できないと読んであきらめた。

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(この号終わり)

2017年03月10日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(231)

「Chess Life」1998年12月号(2/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

クイーン翼ビショップの閉じ込め(続き)

1.d4 d5 2.c4

A)2…e6 D30~D69

 本譜の手の利点はキング翼ビショップの斜筋が通ることで、欠点はクイーン翼ビショップが閉じ込められることである。白はcポーンが4段目にありd5に圧力をかけているので、明らかに中央で少し優位に立っている。だから黒としては次のような目標を設定することができる。つまり何も不利をこうむらずに1手で …c7-c5 と突くことができるなら、ほぼ互角になれる。

3.Nc3

 白はd5に圧力をかけることにより、黒がただで …c5 と仕掛けるのを難しくさせる。黒が 3…c5 と突くとタラッシュ防御になり、4.cxd5 exd5 5.Nf3 Nc6 6.g3 で孤立dポーンに対する白の圧力が強くなる。

 代わりに 3.Nf3 は欠点がなく別手順の 1.Nf3 または 2.Nf3、それに 3.e3 とからも生じるので重要だが、3番目の手順は指せる手ではあってもつまらない。どうして白は黒がしなければならなかったようにクイーン翼ビショップを閉じ込めなければならないのか。3…Nf6 4.Nc3 c5 5.Nf3 Nc6 が想定され、準タラッシュ防御の無害な戦型になる。

3…Nf6

 普通の手。しかしGMたちの間では先に 3…Be7 と指し、4.Nf3 のあとで初めて 4…Nf6 と指すのが普通である。本譜の手のあと白は 4.cxd5 exd5 5.Bg5 で交換戦法のより優る型にできる。しかしこれには白にとって大きな危険性もある。ポーン交換で中央における白の優位は消滅し、黒のクイーン翼ビショップは自由になる。私の考えでは少なくともレイティング2100の選手でないと微妙な差異を白のために生かせない。

 交換戦法のほかに白の重要な選択肢は 4.e3、4.Bg5 そして 4.Nf3 の三つである。

 4.e3 は指せる手だが、それでも上述の 3.e3 で説明したのと同じ欠点がある。4…c5! 5.Nf3 Nc6 となって白が優勢になる可能性は乏しい。4.Bg5 は 3.Nc3 の 最も主眼とされる継続手である。白はd5に間接的に圧力をかけることにより、黒が …c7-c5 と打って出るのを難しくしている。黒の最も人気のある手法はタルタコワ戦法(4…Be7 5.Nf3 h6 6.Bh4 O-O 7.e3 b6)である。黒陣は欠陥がないが完全に互角というわけではない。

4.Nf3

 この手は白が1~3手目で Ng1-f3 と指してもよく同じ局面になるので非常に重要である。黒はもちろんいつものように 4…Be7 と応じることができるし、4…c5 5.cxd5 Nxd5(5…exd5 はタラッシュ防御に移行する)で中央での影響力の減少をこうむっても孤立dポーンを避ける準タラッシュ防御を選択することもできる。

 しかし重要な選択肢は次の手である。

4…c6

 この局面が実戦で特に重要なわけは、約半数がスラブ防御の 1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.Nf3 e6 という手順から生じるからである。

 4…c6 は見かけは消極的だが狡猾なパンチ力を秘めている。もし白が何も疑わずにいつもの 5.Bg5 を指すと、5…dxc4 6.e4 b5! に驚かされることになる。4…c6 の主眼点は白が犠牲にしたポーンを容易に取り戻せなくすることだったことが分かる。このあとの指し手はとてつもなく激しくなることがある。黒の潜在的な可能性を初めて見せつけた世界級の選手はミハイル・ボトビニクで、その戦型には当然彼の名前がつけられている。閉鎖試合の「定跡書」の中では最も複雑で攻撃的で厳しい布局となっている。

 本手順としてアセーエフ対セルゲイ・イワノフ戦(サンクトペテルブルク、1997年)を追う。7.e5 h6 8.Bh4 g5 9.Nxg5 hxg5 10.Bxg5 Nbd7 11.exf6 Bb7 12.g3 c5 13.d5 Qb6 14.Bg2 b4 15.O-O O-O-O 16.Na4 Qb5 17.a3 exd5 18.axb4 d4 19.Bxb7+ Kxb7 20.Nc3 dxc3 21.Qd5+ Kb6 22.Bf4 Rh5 23.Qxh5 cxb2 24.Rad1 cxb4 形勢互角。試合は38手で引き分けに終わった。イワノフの詳細な解説は『チェス新報』第69巻第394局を参照されたい。

 上記の試合と解説をどう判断すべきか?そう、5.Bg5 は本筋で危険があり研究を要する。ガリー・カスパロフやガータ・カームスキーのような攻撃に秀でて深く研究している者が白を持って好成績を収めてきた。とはいえ控えめに言っても万人向けの戦型ではない。

 だから黒の反撃の可能性が十分に評価されるようになって以来というもの、明らかに白を持って指すものの大部分が 5.e3 に転向した。『チェス新報』第72巻(1998年の2巻目)の主要試合の数が現在の状況をよく物語っている。5.Bg5 が3局で 5.e3 が9局となっている。ここでクイーン翼ビショップの早い閉じ込めが有効な時について次の関連した考察をつけ加えることができる。黒がc4のポーンを取ったらそのポーンを取り返すのに大変苦労する時は、早く e2-e3 と突くのが有効な変化となる。

 5.e3 が高級な選択肢である理由には別の重要な要因がある。黒にとって …c5 は主眼の突きであることが知られているので、黒はそう突くために丸々1手費やさなければならなくなる。というのはもう …c7-c6 と突いているからである。布局の早い段階の指し手ではこのような無駄はたとえ閉鎖布局であっても許されない。アナトリー・カルポフの示唆に富む明察がこの本質をよくとらえている。「閉鎖布局では手損は大したことがないとよく言われてきた。開放布局ではもっと高くつくことはもちろんだが、閉鎖布局でも手損はすべきでない。」

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2017年03月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探求3

「ヒカルのチェス」(464)

「Chess Life」2016年10月号(1/1)

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次の一手 米国選手権戦より

第1問
GMヒカル・ナカムラ対GMジェフリー・ショーン

 白の手番

第4問
GMヒカル・ナカムラ対GMサム・シャンクランド

 白の手番

第1問解答 32.Nf5! クイーン当たりと Nh6+ の両狙い(32…Qd7 33.Nh6#)。

第4問解答 37.Re7 でも長い目で見れば勝ちになるが 37.Qd2! Qxd2 38.Rxd2 なら 39.Ree2 から 40.Rxf2 でナイトが取れる(37…Nxd1 なら 38.Qxh6+ Kg8 39.Bd5+ R6f7 40.Bxf7+ で白の勝勢)。

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(この号終わり)

2017年03月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(230)

「Chess Life」1998年12月号(1/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

クイーン翼ビショップの閉じ込め

 ビショップは長射程の駒で、普通は元々の斜筋に沿って展開すべきで利きがよく通る。1.e4 布局では白にとってはかなり達成しやすい。これはキング翼ビショップの斜筋がすぐに通り、普通は d2-d4 突きも早く続いてもう一つのビショップも自由になるからである。一般によどみなく迅速な展開がeポーン布局の持ち味である。

 しかしdポーン布局では小駒の展開の速さは目的を持った本格的な中央の構築の次になるのが普通である。そして小駒はその中央の内側で良い位置を探り始めることになる。これはビショップの片方の展開が遅れることを意味することがよくある。今回は白が早く e2-e3 と突くことにより黒枡ビショップの展開を自ら遅らせるクイーン翼ギャンビット拒否戦法の重要な状況について説明する。本稿はシカゴのデイビド・グルーゼンマイヤー氏からの示唆に触発されたものである。

 起点となる局面は次の手順からできる。

1.d4 d5 2.c4

 黒は初手で白と同じ中央への影響力を目指し、白はすぐにその地点を切り崩しにかかる。実際のところ黒は 2…dxc4 と取ることにより中央の地点を「放棄」することも可能である。この戦型はクイーン翼ギャンビット受諾と呼ばれ、評価の高い布局となっている。白は容易にポーンを取り返すことができるけれども、黒は白が取り返しに手をかけることによりクイーン翼で積極的に反撃を開始することができることに期待をかけている。それでもはるかに人気のあるのは 2…e6 または 2…c6 でd5の拠点を安泰にすることである。順にこの2手を見ていくことにする。

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2017年03月01日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探求3