2017年02月の記事一覧

「ヒカルのチェス」(463)

「Chess」2016年10月号(3/3)

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次の一手

初級向け第4問 M.バシエ=ラグラーブ対H.ナカムラ
インターネット(ブレット)、2016年

 白の手番

解答 1.Be5+ 1-0 1.Bg5! も正解。1.Be5+ のあとは 1…Nf6(1…dxe5? 2.Rf7#)2.Rxf6 Qxf6 3.Bxf6 Kxf6 4.Qxh6+ Kf7 5.Nd5 で黒は戦力損の上にキングがむき出しになっている。

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(この号終わり)

2017年02月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(229)

「Chess Life」1998年10月号(6/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

リガ戦法は見かけより優秀(続き)

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Nxe4 6.d4 exd4 7.Re1 d5

Ⅳ)8.Nxd4 Bd6! 9.Nxc6 Bxh2+!

C)10.Kh1 Qh4 11.Rxe4+! dxe4 12.Qd8+! Qxd8 13.Nxd8+ Kxd8 14.Kxh2 Be6 15.Be3! f5 16.Nc3 Ke7

ニシペアヌ対デゥミトラケ、ルーマニア選手権戦、1996年

17.Bb3!?

 この新手は筋の通った着想である。すぐにgポーンを突いていくのは白のためになるのかそれほどはっきりしないので、白はまず白枡ビショップの安全を図って戦いに引き戻すことにした。

 ストイカとニシペアヌが本局を『チェス新報』第68巻第302局で詳細に解説しているので、読んでみることを勧める。以下では要点だけを示すことにする。

17…Kf7?!

 この手は手損になる。正着は 17…Bxb3 で、以下 18.axb3 Ke6 19.g4 fxg4! 20.Ra4! h5 21.Rxe4+ Kf7 22.Nd5 Rae8 23.Rb4 b5 24.Nxc7 Rc8 が両者の最善の手順でいい勝負である。

18.g4

 18.Nd5 Rac8 19.c4! の方が強い指し方だった。

18…g6?!

 黒陣を活気づかせるためには動的な反撃が唯一の手段だった。そのためには 18…fxg4! と取ることが必要で、19.Nxe4 Bxb3 20.axb3 b6 21.Ra4 h5 22.Rc4 c5 23.b4 cxb4 24.Bxb6 a5 25.Rc7+ Ke6! が想定される(ストイカとニシペアヌ)。

19.g5! Rad8 20.Ne2 Rd7?!

 ベルリン対リガ戦の戦型の中で白優勢の1局となった。黒は堅実に 20…Bxb3 21.axb3 Rd7 で不利を最小限にとどめるべきだった。

21.c4! b5?! 22.Rc1!

 黒のキング翼の多数派ポーンが動きづらいのに対し、白のルークと小駒は黒の弱点のクイーン翼に侵入する。白の勝ちに終わるまでの手順は次のとおりである。

22…Rhd8 23.Nf4! Bxc4 24.Bxc4+ bxc4 25.Rxc4 Rb8 26.b3 Rb7 27.Ne2! Ke8 28.Nc3! Kd8 29.Kg2 Rb8 30.Bf4 Kc8 31.Na4 Rf7 32.Rc6 Rb5 33.Rxa6 Kd7 34.a3 黒投了

総括

 私にはリガ戦法を完全に信頼できると言えない。しかしまだ調査しなければならない所が多い。8.Nxd4 からの主手順では白の優勢は従来からの少し/通常の優勢を超えないということに自信がある。

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2017年02月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探求3

「ヒカルのチェス」(462)

「Chess」2016年10月号(2/3)

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2016年シンクフィールド杯(続き)

H.ナカムラ – ディン・リーレン
第9回戦、準スラブ防御

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Nc3 e6 5.Bh5 h6 6.Bh4 dxc4 7.e4 g5 8.Bg3 b5 9.Be2 Bb7 10.h4

 この反モスクワ・ギャンビットの厳しい手法は近年は現代的な 10.Qc2 にほぼ取って代わられた。しかしナカムラはまだ一定のかみつく力があることを見せつけた。

10…g4 11.Ne5 Nbd7 12.Nxd7 Qxd7 13.Be5 Qe7

14.b3!

 要着。14.Bxg4 は 14…Rg8 15.Bf3 Nd7 で陣形がほぐれて黒が好調になる。

14…cxb3 15.axb3 a6

 黒は 15…Bg7 で展開の完了を優先させることもできる。そして 16.O-O O-O 17.Bxg4(ベルレ対ファン・ベリー、ロンドン、2008年)17…Rfd8!? 18.Bf3 Nxe4 19.Bxg7 Nxc3 20.Qd2 Kxg7 21.Qxc3 Kg8 と進めば、黒は乱れた陣形がポーン得で相殺される。

16.Qc1!?

 巧妙な新手。もっとも2007年クラスノヤルスクでのトレグボフ対モティレフ戦の 16.O-O h5 17.Re1 Bg7 18.d5 でも大して悪そうには見えなかった。

16…Rg8 17.O-O Nh5

 この手は白クイーンがf4に来るのを防ぎh4のポーンを当たりにしている。しかしここからナカムラの新手の主眼点を目(ま)の当たりに見ることになる。

18.d5!!

 そらきた!

18…Qxh4?

 重要な変化は 18…exd5?! 19.exd5 Qxe5 20.Re1 で、白は1駒と1ポーンを損しているがかなりうまくいくようである。例えば 20…Be7(20…Qf4 21.Bxb5+ Kd8 22.dxc6 Qxc1 23.Rexc1 Bc8 24.Nd5 は白の攻撃がうまくいっていて非常に強力である)21.Bxb5 Qc7 22.dxc6 axb5(22…Bxc6? なら 23.Nd5!)23.Rxa8+ Bxa8 24.Nd5 Qxc6 25.Qxc6+ Bxc6 26.Nxe7 Kf8 27.Nxc6 Rg6 28.Nd4

のあとの收局は白がやや優勢である。

 もっとも本譜の手もうまくいかないので、黒は 18…f6 19.Bh2 cxd5 20.exd5 Rc8 とやってみなければならないということになり、まったくの形勢不明だろう。

19.g3 Qg5 20.dxc6! Qxe5

 白ポーンをb7に進ませるのはほとんど誰も望まないが、20…Bxc6 では 21.Nxb5 できれいに一掃されてしまう。

21.cxb7 Rb8 22.Nd5!

 さらなる一撃を見舞った。ナカムラは本局では炎と燃えていて、試合はすでに終わっているようである。

22…exd5 23.Qc8+ Ke7 24.Rxa6

 両者の大駒の働きの違いを比べてみるとよい。白の狙いは 25.Rc1 である。

24…Nxg3 25.Bxb5 Ne2+

 どうにでもしてくれという手。黒は反モスクワがうまくいかない時は滅茶苦茶になることがある。

26.Bxe2 f6 27.Re6+! Qxe6 28.Qxb8 1-0


ヒカル・ナカムラにとってはかなり期待外れの状況が続いていたが、少なくともオリンピアードではよく準備ができていたし、シンクフィールド杯ではディン・リーレンを準スラブで完璧に粉砕して上々の気分で締めくくった。

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(この号続く)

2017年02月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(228)

「Chess Life」1998年10月号(5/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

リガ戦法は見かけより優秀(続き)

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Nxe4 6.d4 exd4 7.Re1 d5

Ⅳ)8.Nxd4 Bd6! 9.Nxc6 Bxh2+!

C)10.Kh1 Qh4 11.Rxe4+! dxe4 12.Qd8+! Qxd8 13.Nxd8+ Kxd8 14.Kxh2 Be6 15.Be3! f5 16.Nc3 Ke7

ホセ・ラウル・カパブランカ対エドワード・ラスカー博士、ニューヨーク、1915年

17.g4 g6 18.Kg3!?

 キングが「活動」しだしたが、たぶん時期尚早である。ストイカとニシペアヌはすぐに 18.gxf5!? gxf5 19.Ne2 と指すのが白の小駒をより速く動員する手段であると指摘している。

18…h5!

 黒はキング翼で反撃する必要がある。

19.gxf5 h4+

 ストイカとニシペアヌは 19…gxf5 の変化を詳しく分析している。その主手順は 20.Kh4 Rag8 21.Bg5+ Kf7 22.Ne2 c5 23.c3 Rg7! 24.Nf4 Rxg5! 25.Kxg5 Rg8+ 26.Kh6(26.Kxh5? は 26…Kf6! で負ける)26…Rh8+! 27.Kg5 Rg8+ で引き分けになる。19..gxf5 後のほかの変化は『チェス新報』第68巻第302局を参照されたい。

20.Kh2 gxf5 21.Ne2 b5?

 黒にとって不運だったのはここでこのポーンを突いたことだった。1手費やして自分のクイーン翼を弱め、白の白枡ビショップをもっと良い地点に追いやることになった。ストイカとニシペアヌはすぐに 21…Rag8! と指すのが正着で形勢不明の局面と指摘している。

22.Bb3 Bxb3 23.axb3 Rhg8 24.Rd1! Rad8

 白の狙いは 25.Rd5 だった。代わりに 24…c6 は 25.Nd4 にしてやられる。

25.Rxd8 Kxd8 26.Nd4 以下略、白勝ち

 ここまでの手順はラスカーが『チェスの戦略』で取り上げていて、「f5のポーンが落ちる」と言って締めくくっている。実際 27.Nxf5 で黒には望みがない。

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2017年02月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探求3

「ヒカルのチェス」(461)

「Chess」2016年10月号(1/3)

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2016年シンクフィールド杯

W.ソー – H.ナカムラ
第1回戦、カタロニア布局

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 d5 4.g3 Be7 5.Bg2 O-O 6.O-O dxc4 7.Ne5 Nc6 8.Nxc6 bxc6 9.Na3

 c6のポーンを取るのは昔から白に何ももたらさないと知られている(8.Bxc6 bxc6 9.Nxc6 Qe8 10.Nxe7 Qxe7 でも同じ)。しかしc4に目標を定めるのは最近かなり流行している。ナカムラは強く応じた。

9…Bxa3 10.bxa3 Ba6 11.Qd2 Rb8 12.Qa5 Qc8 13.a4 Rd8 14.Ba3!

 この手が必然というわけでは決してないが、ポーンを犠牲にするのは良さそうな手に見える。白はクイーンを強力で締めつける地点に転回させておいて、黒枡ビショップと同じことをさせるつもりである。

14…Rxd4

 この手も勝負手に違いない。2015年レイキャビクでの欧州チーム選手権でメルクミアン対フリートマン戦は 14…Rb6 15.Bc5 Rb2 16.e3 Nd7 17.Be7 Re8 18.Ba3 Rb6 19.Bc5 Rb2 20.Qc3 Qb7 21.Ba3 Rb6 22.Rad1 Nf6 23.e4 と指し回され黒が苦戦に陥った。

15.Rfb1!?

 この手は新手だった。本局とよく似ているのは2010年ブルニャチカ・バニャでのエフィメンコ対サカエフ戦の 15.Rab1 Rb6 16.Bc5 Rd5! 17.Bxd5 cxd5 18.Bxb6 axb6 19.Qb4 Nd7(単に 19…d4!? もありそう)20.a5 b5 21.Qe7 c5 で、すぐに合意の引き分けになった。

15…Rb6 16.Bc5

16…Rd7

 代わりに 16…Rd5 ならソーは 17.Bxd5 cxd5 18.Bxb6 axb6 19.Qd2 Ne4 20.Qe3 で当面黒ポーンを止め(続いて f2-f3 と突くかもしれない)、a4-a5 と一時的にポーンを犠牲にしてルークのために素通し列を作るつもりだったかもしれない。

17.Rd1

 白は争点を維持した。17.Bxb6? と取るのは 17…cxb6(17…axb6 18.Qe5 Qd8 19.Bxc6 Rd6)18.Qe5 Nd5 となって黒が交換損の代わりに非常に指しやすくなる。

17…h6?

 この手はおかしかった。しかしナカムラは陣形をゆっくり立て直す余裕が十分あると思っていたのだろう。17…Nd5!? の方がずっと積極性があり、18.e4 Nf6 となれば白はd5の地点を永久に譲るか、e4の守りに縛りつけられるか、あるいは 19.Bf1!? Nxe4 20.Rxd7! Nxc5 21.Rxf7!? Kxf7 22.Qxc5 とでもやってみなければならない。しかしa7のポーンは落ちず 22…Qd7 23.a5 Rb7 24.Qh5+ Kg8 25.Rd1 Qe7 26.Qf3 ということになれば白に2ポーンの十分な代償がないことは明らかである。

18.Rxd7!

 やっと時機到来である。

18…Nxd7 19.Bxb6 cxb6 20.Qd2

 ソーの指し手の意味が明らかになった。黒がポーンでなだれ込むことができるようになる前にd列から攻め込もうというのである。ここで 20…Qc7 ならd6の地点に利くが、21.Rd1 Nc5 22.Qd8+ Qxd8 23.Rxd8+ Kh7 24.Bxc6 c3 25.Rd1 となってcポーンが落ち白の勝つ可能性が高くなる。

20…c5 21.Rd1 Nf6 22.Kf1!

 非常に冷静な手で、黒の 17…h6 よりはるかに役に立っている。白はキングがcポーンに十分近いのでクイーンを交換することができる。

22…Kh7 23.Qc2+ Kg8 24.Qd2 Kh7 25.Qd8! Qxd8 26.Rxd8 c3

 黒はビショップを働かせなければならない。しかしこれでも負けを免れるには十分でない。ソーは想定局面を何の問題もないと判断した。

27.Ke1 Bc4 28.Kd1 Bxa2 29.Kc2 Bc4 30.e3 b5 31.Kxc3

 黒は交換損の代わりにまだ2ポーンを得ている。しかし白のキングだけが働いていて、ナカムラは引き分けにできるだけのポーン清算をすることができない。

31…a6 32.Ra8 Nd5+ 33.Bxd5

33…exd5

 この手は見事な読みのためにあっさり負けになる。しかし 33…Bxd5 でも 34.Rxa6 bxa4 35.Rxa4 となって負けのようである。お互いキング翼に4ポーンがあり、黒になおcポーンがあっても白の勝勢である。35…f5 36.Ra5 c4 37.Kd4 Kg6 なら 38.g4!? と突けて黒のcポーンが落ちる。

34.a5! b4+ 35.Kd2

 黒のポーンは怖そうだがソーは何も恐れていない。

35…Bf1 36.Rc8 c4 37.Rb8 b3 38.Kc3 1-0

 キングの働きが勝利をもたらした。38…Bd3 39.Rb6 f5 40.Rd6 で白の簡単な勝ちである。ただし 40.Rxa6?? には 40…b2 がある。

(クリックすると全体が表示されます)

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(この号続く)

2017年02月10日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(227)

「Chess Life」1998年10月号(4/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

リガ戦法は見かけより優秀(続き)

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Nxe4 6.d4 exd4 7.Re1 d5

Ⅳ)8.Nxd4 Bd6! 9.Nxc6 Bxh2+!

C)10.Kh1

 これが主手順である。

10…Qh4

 これで白の手は自殺手だったように見える。しかし白には非常手段のしのぎの手筋がある。

11.Rxe4+! dxe4 12.Qd8+! Qxd8 13.Nxd8+ Kxd8 14.Kxh2

 駒の取り合いが終わり棚卸しの時機である。黒は小駒2個の代わりにルーク1個とポーン2個を取って、戦力的にはポーン半個分ほど得している。しかしほかの点では白が有利である。1)黒のルークが白陣に弱点を見つけるよりも、白の小駒が黒陣に弱点を見つける方が容易である。2)黒はキング翼の多数派ポーンを動員しようとしても黒枡の差し迫った弱点のために困難を抱える。3)黒キングは素通しのd列で不安を抱えていて、すぐには安全な避難所が見つかりそうにない(14…f5?? 15.Bg5#)。

 黒はキング翼の多数派ポーンを動員するのとeポーンを守るために …f7-f5 と突く必要があるので、まずビショップを展開する必要がある。

14…Be6 15.Be3!

 白は白枡ビショップのことに注意しなければならないが、…c5 を防ぐことによりその安全を確保した。15.Nc3?! は劣った手で、黒は 15…c5! でたぶん少し優勢になる。

15…f5 16.Nc3 Ke7

 ここが洗練された收局の出発点である。重要な実戦例3局を年代順に簡潔に紹介する。

 ジークベルト・タラッシュはここで 18.Nd5+ を狙いとする 17.Rd1 を推奨した。それは90年くらい前のことで、17…c6?! なら 18.Bb6! で黒のルークがd列で活動するのを防ぐ。しかしIMのストイカとニシペアヌ(今はGM)は『チェス新報』第68巻第302局で 17…Kf7! のあと 18…Rad8 で黒が問題ないと指摘している。

ベルリン対リガ、通信戦、1906~1907年?

17.g4 g6 18.g5

 無理矢理の黒枡戦略はうまくいかない。もっとも白の本当の問題は次の手で起こる。

18…Rag8!

 黒はこれで 19…h6 でキング翼の締め付けを突破する用意ができた。エドワード・ラスカー博士は『チェスの戦略』改訂第2版(1915年)で白は 19.Rg1! で黒の意図を妨げるべきだと指摘している。

19.Bd4?! h6 20.Bf6+ Kf7 21.Bxh8 Rxh8 22.Rd1

 ここで黒の作戦の深遠な意図が明らかになった。22.gxh6 Rxh6+ 23.Kg2 は 23…c5! から 24…b5 で白のビショップが捕獲される。本譜の手でビショップは助かるが、黒にはキング翼で4対1の圧倒的な多数派ポーンができる。

22…hxg5+ 23.Kg2 Kf6! 24.Bb3

 この手で 24.Nd5+? は 24…Ke5! 25.Nxc7 Bc4 から 26…Be2 で黒キングが詰み狙いの攻撃にさらされる。そこで白はビショップの交換を急いだ。その結果生じる收局は黒チームが少し有利である。白は29手目で防御態勢を達成できたが、白チームは40手目と41手目で指し過ぎて、黒がきれいに順当勝ちを収めた。残りの手順には形勢記号をいくつか付けておくだけにする。

24…Bxb3 25.axb3 Ke6 26.b4 Rh7 27.Ne2 Rd7 28.Nd4+ Kf6 29.c3 c6?! 30.Rh1! g4 31.Rh8 Re7 32.Ne2 Rd7 33.Nd4 Re7 34.Rf8+ Kg7 35.Rd8 f4 36.Rd6 Kf7 37.Nc2 Re6 38.Rd7+! Re7 39.Rd6 Re6 40.Rd1?! Kf6 41.c4?! Re7 42.Rd4 Kg5 43.Rd6 e3!! 44.f3 e2 45.Ne1 g3 46.b5 Rh7! 47.bxc6 bxc6 48.Re6 Rh2+ 49.Kg1 Rf2 50.Nc2 Rxf3 51.Rxe2 Rd3 52.Ne1 Rb3 53.Rd2 f3 54.Nd3 a5! 白投了

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カテゴリ: 布局の探求3

開放試合の指し方(164)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

ビショップ布局(続き)

 この手は f2-f4 と突く作戦の失敗を認めたものである。ここで 4.f4? と突くのは 4…exf4 5.Bxf4 d5! 6.exd5 Nxd5! となって、黒キングよりも白キングの方が薄い。

 しかし 4.Nf3! は局面に合った現実的な判断を表わしている。白は実行できない作戦を放棄し、黒の …d7-d5 と突く構想の欠陥に目を向けようとしている。黒のd5とe5のポーンが弱くなることを見越して、Nc3、Bg5 から(O-O のあと)Re1 のような手でそれらに圧力をかけるつもりである。

 別の賢明なやり方は 4.Qe2!? で、eポーンに対する狙いにより黒が …d7-d5 と突くのを思いとどまることに期待することである。しかし黒はそれでも 4…d5! と突くのが良いのは、5.exd5 cxd5 6.Qxe5+ Be7 で展開が迅速に進むからである。たぶん白がポーンをかすめ取るのは危険すぎる。黒は …Nc6 または(…O-O のあと)…Re8 でクイーンを当たりにすることによりもっと手得する。

4…d5 5.Bb3

 白は 5.exd5? cxd5 6.Bb5+ でポーン得することができない。なぜなら 6…Bd7! 7.Bxd7+ Nbxd7 でe5のポーンが守られるからである。

5…Bd6

(この章続く)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

「ヒカルのチェス」(460)

「British Chess Magazine」2016年9月号(2/2)

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バクー・オリンピアード(続き)

ヒカル・ナカムラ 2789
ロベルト・マルクス 2662

第5回戦、米国対セルビア

 この均衡のとれた局面でマルクスは 21…Qd8? とポカを指し、 22.Nxg6! でもう終わりになってしまった。22…Nxg6 は 23.Qg3 Nde5 24.Bxe5 で白が利子付きで戦力を取り返し、途中 23…Kf7 なら 24.Rf1+、23…Kh7 なら 24.e5! で決まっている。


優勝した米国チーム(左から右へ)ヒカル・ナカムラ、ジョン・ドナルドソン(団長)、サム・シャンクランド、レイ・ロブソン、ウェズリー・ソー、ファビアノ・カルアナ

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(この号終わり)

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カテゴリ: ヒカルのチェス7

布局の探究(226)

「Chess Life」1998年10月号(3/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

リガ戦法は見かけより優秀(続き)

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Nxe4 6.d4 exd4 7.Re1 d5

Ⅳ)8.Nxd4

 ベルリン対リガ対抗戦以来これが断然の主手順となっている。その論理には非の打ち所がない。白は犠牲にしたポーンの1個を取り返し、9.Nxc6 と 9.f3 の両方を狙っている。黒は窮地に陥っているように見える。しかしリガの選手たちが独創的な戦術を用意していたのはまさにこの手に対してである。

8…Bd6! 9.Nxc6

 もう引き返すには遅すぎる。クプチク対スタイナー戦(米国、1947年[1927年?])では白は 9.Qh5?! と指した。そして 9…O-O 10.Nxc6(10.Qxd5?? Bxh2+)10…bxc6 11.Bxc6 Rb8 12.Nc3(12.Bxd5? Nf6 13.Qd1 Nxd5)12…Nf6 13.Qf3 Bxh2+ 14.Kxh2 Qd6+ から 15…Qxc6 でもっと悪い結果になった。

9…Bxh2+!

 白には選択肢が三つある。

A)10.Kxh2

 これは単純かつ明快である。黒は 10…Qh4+ 11.Kg1 Qxf2+ ですぐにチェックの千日手による引き分けにできる。

B)10.Kf1?!

 これは安全そうに見えるが、その実黒に 10…Qh4 でチャンスを与える。

 1)11.Be3?! O-O 12.Nd4 Bg4 13.Nf3 Qh5 14.Nc3(14.c3 b5 15.Bc2 Rfe8 16.Bd3 Re6 17.Be2 Rf6 も黒の攻撃が決まった[プルーン対ケレス、通信戦、1932年])14…Rad8 15.Qd3 Bxf3 16.gxf3 Qxf3 17.Nxe4 dxe4 18.Qc3 Qh3+ 19.Ke2 Qg4+ 20.Kf1 Rd5 21.Bb3 Rh5 22.f3 exf3 白投了(マローツィ対ベルガー、ウィーン、1908年)

 2)11.Nd4+ b5 12.Be3 O-O! 13.Nf3 Qh5 14.Bb3 Bg4(14…c6 も有望[レオンハルト])15.Qxd5 Bxf3 16.Qxh5 Bxh5 17.Bd5 Rae8 18.Bxe4 Rxe4 19.g3 f5 20.Nd2 Rg4 ここで 21.Kg2? f4! で黒が優勢(二ホルム対レオンハルト、コペンハーゲン、1907年)の代わりに正着の 21.Nf3 Bxg3 22.fxg3 Rxg3 でほぼ互角

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