2014年12月の記事一覧

布局の探究(128)

「Chess Life」1995年9月号(1/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

手を稼ぐためのポーン捨て

 前回は布局の早い段階でポーンの完全な価値を得る要件について論じ、白の例をあげた。今回は黒について同じことをしてみよう。前回からの次の2点は繰り返す価値がある。

 1.用いるべき唯一最良の戦力についての価値は1ポーンは3手の価値があるである。

 2.白は先手なので常に展開で1手先行しているので、黒はポーンを犠牲にすることについては特に実際的でなければならない。

 ここでは展開の手数の潜在的な価値を論じていくことも明らかにしておきたい。長期的な戦略については1992年12月号の『黒の長期的犠牲』を参照して欲しい。

 少なくとも過去30年間黒が展開のためにポーンを犠牲にする唯一最も人気のある戦法はルイロペスのマーシャル・ギャンビット(C89)だった。その重要な局面に達する手順は次のとおりである。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 O-O 8.c3

 かなりの実戦の間に白はギャンビットを避ける方が有望であることが分かってきた。例えばカスパロフ対ショート戦(世界選手権戦、1993年)では3局すべてでGMカスパロフがGMショートの誘いを 8.a4 で断った。

8…d5!? 9.exd5 Nxd5 10.Nxe5 Nxe5 11.Rxe5 c6

 基幹となるカパブランカ対マーシャル戦(ニューヨーク、1918年)で黒は 11…Nf6 と指した。この手は決して退治されたわけではないけれども、現代ではほとんど本譜の手だけが指されている。d5の地点を支えてナイトを中央に置いたままにするのが理にかなっている。

 黒はポーンの代わりに何を得たのだろうか。白はクイーン翼を展開するのに3手必要だが、黒はクイーン翼ビショップを出すのにもう1手必要なだけである。さらに黒はキング翼ビショップを先手で効果的なd6の地点に再配置し、クイーンをh4を経て攻撃に参加させる。だから黒はこの時点では2手得し、ポーンの代わりに攻撃が有望視される。白には何があるのだろうか。白はこれからの苦労に対して1ポーンを得ている。しかし覚えておくべきことは「時間ははかないが1ポーンは永久である」ということである。

 マーシャル・ギャンビットは棋理に合っているのだろうか。そのとおり。時の試練に耐えてきたし、耐え続けると予想している。理解しなければならないことは棋理に合っているということは黒の最終的に互角になる見通しが 7…d6 から 8…O-O という閉鎖戦型よりも悪くないということである。マーシャル・ギャンビットはその人気ゆえに生きている研究所としてあり続け、多くの具体的な発見が両者に見つかるだろう。

12.d4 Bd6 13.Re1 Qh4 14.g3 Qh3 15.Be3 Bg4 16.Qd3 Rae8 17.Nd2 Re6

 両者とも展開を完了し、黒はキング翼の攻撃をどう続けるかを決めなければならない。もっと激しい変化は 17…f5 18.f4 g5 である。

 やはり白の得ている「すべて」はポーン得である。それはクイーン翼なので、そちらが白の戦場としなければならないところである。

18.a4! Qh5 19.axb5 axb5 20.Ne4! Bc7 21.Bd2 Rfe8

 『チェス新報』第61第345局でアーナンドが解説した2局のアーナンド対カームスキー戦のこの戦型は重要な局面である。

 1.アーナンド対カームスキー(モナコ[快速]、1994年)22.Nc5? Rxe1+ 23.Rxe1 Rxe1+ 24.Bxe1 Nf4! 25.gxf4 Bxf4 26.h4 そしてここで 26…Bf3? 27.Bxf7+! Kxf7 28.Ne4!(28…Qg6+ 29.Ng5+)で互角の代わりに 26…Qxh4 27.Qe4 Qh2+ 28.Kf1 Qh3+ 29.Qg2 Be2+ 30.Kg1 Bh2+! と指していれば勝勢だった。

 2.アーナンド対カームスキー(サンギ・ナガル、1994年、番勝負第1局)22.Bd1!! Bxd1 23.Rexd1 f5(23…Rxe4? は 24.Qxe4! Qxd1+ 25.Kg2!! で咎められる)24.Ng5 Re2 ここで 25.Nf3? で黒から 25…R8e3!! の一発を喫して43手で引き分けになったが、25.Qxf5 か 25.Qf3 と指していれば明らかに白が優勢を保持することができた。

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2014年12月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(165)

第2部

第14局(続き)

 (再掲)

 これで展開の段階は両者とも完了したと言える。布局が終わり中盤戦が始まる。白は一般にそうであるように中央を手中にしている。これに対して黒は自陣の3段目にこもり、機会があればクイーン翼ルークをc8に、ナイトをf6に、そして最後は …c5 と突いて白の中央を破壊しb7のビショップが完全に働けるようにする。本局で白はその作戦を予期して中央で進攻を始めようとした。それは注意深く分析すれば本当は黒のeポーンに対する攻撃である。

15.d5 Nc5!

 以前のコスティッチ戦で私は 15…Nf8 と指した。その手は私の軽率によるものだったが、マーシャルの受け止め方は違っていた。そうでなければ彼はこの戦型を指さなかったであろう。なぜなら彼がこの手を分析していたら、黒が好調になることに気がついていたと思うからである。本譜の手で黒は 16…cxd5 だけでなく 16…Nxe4 から 17…cxd5 を狙っている。この局面は大変面白くいろいろな可能性に満ちている。

(第14局続く)

2014年12月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(164)

第2部

第14局 クイーン翼ギャンビット拒否
(ニューヨーク、1918年)
白 F.J.マーシャル
黒 J.R.カパブランカ

1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.c4 e6 4.Nc3 Nbd7 5.Bg5 Be7 6.e3 O-O 7.Rc1 c6

 これはクイーン翼ギャンビットに対する最古の防御システムの一つである。この大会で前にコスティッチ戦で指していて、マーシャルがそれを期待していたことは疑いない。私は時おり防御、というか防御システムを変える。その一方で大会中は結果が良ければそれをずっと使うのが普通だった。

8.Qc2 dxc4 9.Bxc4 Nd5 10.Bxe7 Qxe7 11.O-O Nxc3 12.Qxc3 b6

 これがこの防御システムの眼目の手である。黒は一連の交換で局面をかなり単純化して、ここからは明らかな弱点を作ることなしにクイーン翼ビショップを対角斜筋に展開する。クイーン翼ビショップの適切な展開はクイーン翼ギャンビットにおける黒の最大の課題である。

13.e4 Bb7 14.Rfe1 Rfd8

(第14局続く)

2014年12月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(163)

第2部

第13局(続き)

 (再掲)

26.Ne3

 代わりに 26.Nb4 と下がる手もあるが、しょせん白は黒の攻撃に耐えられない。変化が多すぎて紙面が足りないので、研究は読者にまかせる。

26…Qa5 27.c4 Qxd2 28.Rxd2 gxf4 29.Ng4 Bg6

 これで白キングが隅に追いやられ詰みの網に入る。

30.Ka1 Rae8

 これでようやくクイーン翼ルークが戦いに加わりすぐに戦闘が終了する。

31.a3

 31.Rxd6 なら 31…Re1+ 32.Rd1 R8e2 で終わる。

31…Re1+ 32.Rxe1 Rxe1+ 33.Ka2 Bf7 34.Kb3 d5

 これが勝負を決める最短の手段である。

35.Bxf4 dxc4+ 36.Kb4 c3 37.bxc3 Re4+ 38.c4 Rxc4+ 39.Ka5 Rxf4 40.Rd8+ Kh7 41.Rd7 Be6 白投了

 非常に見ごたえのある試合だった。

(第13局終わり)

2014年12月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(162)

第2部

第13局(続き)

 (再掲)

23.g3

 白はh2のビショップを働かせようとするだけでなく、黒のポーンを乱して反撃の機会を得たがっている。変化は 23.Nxf6+ Qxf6 だが、黒は …Ra5 や …Qe6 を狙ってくる。初心者は黒がクイーン翼ルーク抜きで指していることが欠点になっていることに目を向けるとよい。これが白が勝負を長引かせることができた原因である。

23…Nxe4 24.Bxe4 Rxe4 25.gxf4 c6

(第13局続く)

2014年12月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(161)

第2部

第13局(続き)

 (再掲)

18.hxg5! hxg5!

 ビショップを取るのは実際には悪手でないとしても危険である。本譜の手は白ビショップを働かせないという黒の目標に沿っている。

19.Rh1 Bf7 20.Kb1

 この手は手損することは疑いない。ビショップはいずれh2に引っ込めなければならないので、すぐにそう指した方が良かったかもしれない。しかしこの時点では白が負けを免れることができたかは疑わしい。

20…Ne5 21.Nxe5 Rxe5

 どちらの駒で取り返すかを決めるのは判断が難しかった。ルークで取ったのは白キングに対する攻撃が可能なようにするためだった。

22.Bh2 Nf6

 白ビショップが引き下がったので黒はf7のビショップの利きをふさいでいる白のd5に陣取った強力なナイトをなくしたいと考えている。d5のナイトは白の防御の要だと言えるかもしれない。

(第13局続く)

2014年12月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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お楽しみチェス(4)

「Chess Life」1989年9月号(4/4)

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お楽しみチェス

GMアンディー・ソルティス

秘密はどのくらい秘密か
チェスの一つのやり方はいつも謎のままだった
閉じたドアの向こうでは何が行なわれているのか
(続き)

 今日では秘密の番勝負の結果はもっと容易に知られている。そして両対局者は経験から得るものがあることを期待しているかもしれない。例えば1979年のインターゾーナルの頃ヤン・ティマンがレフ・ポルガエフスキーとの秘密の番勝負に4½-3½で勝ち、これとは別にロベルト・ヒューブナーがブラスティミル・ホルトに3½-2½で勝ったことは周知の事実だった。

 このような番勝負で誰がより得しただろうか。それを言うのは難しい。しかしビクトル・コルチノイはアナトリー・カルポフと1971年にカルポフの家で行なった秘密の6番勝負でカルポフが一番学んだと思うと明らかにしている。

フランス防御タラシュ戦法 [C07]
白 GMアナトリー・カルポフ
黒 GMビクトル・コルチノイ
練習試合、レニングラード、1971年

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 c5 4.Ngf3 Nc6 5.exd5 exd5 6.Bb5 Bd6 7.dxc5 Qe7+ 8.Qe2 Bxc5 9.Nb3 Bb6?

 黒は 9…Qxe2+ から 10…Bb6 と改善できるけれども、コルチノイは二度とこの戦型を経験してみようとしなかった。

10.Ne5! Kf8!? 11.Bf4 Qf6 12.Bg3 h5 13.h4 Nge7 14.O-O-O Nxe5 15.Bxe5 Qxf2 16.Bxg7+ Kxg7 17.Qxe7 Bf5 18.Qe5+ f6 19.Qe7+ Kg6

20.Rd2! Be3 21.Rf1 Bxd2+ 22.Nxd2 Qd4 23.Rxf5!! Kxf5 24.Bd3+ Kf4 25.Qd6+ Qe5 26.Qb4+ d4 27.Ne4! Kf5?

 27…Kg4 ならまだ勝負のあやがあった。カルポフはコルチノイ戦の最も華麗な勝ち方かもしれない手で勝負を決めた。

28.Qxb7 Kg4 29.Be2+ Kxh4 30.g3+ Kh3 31.Nf2+ Kh2 32.Qh1+ Kxg3 33.Ne4+ Kf4 Qf3#

 当時世界最年少グランドマスターの一人だったカルポフは、スパスキーとの秘密番勝負のようなほかの対局も行なった。最近スパスキーとの番勝負のことを聞かれてカルポフは、終わったあとスパスキーはボビー・フィッシャーと対決する用意が順調にいっていると感じているようだったと語った。

 そしてあの番勝負の結果は秘密でない。

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2014年12月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(160)

第2部

第13局(続き)

 (再掲)

 白はこの手で黒のキング翼ビショップの利きを止めるだけでなく、自分のビショップをb1にクイーンをc2に配置してからeポーンを突いてh7でチェックをかけることを狙っている。

16…f5!

 黒は攻撃を開始した。この手に対して適切な応手はなく、最終目的として白のクイーン翼ビショップを取るか働かなくさせる。(本局をヘースティングズでのウィンター対カパブランカ戦と比較してみよ)

17.h4 f4

 これで白の黒枡ビショップが働かなくなった。白は当然黒キングの薄そうな状態に猛攻で反撃する。それは大変良い判断で、ビショップさえ見切った。

(第13局続く)

2014年12月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(159)

第2部

第13局(続き)

 (再掲)

 白はクイーン翼ルークを素通し列に置いておきたかった。だから黒が …g5 から …Nxe4 でポーン得を狙っているのでもう一つのルークを中央に持ってきてeポーンを守った。

12…g5!

 白ルークが中央に行ったので黒は安全にこのポーンを突くことができる。なぜなら白はキング翼で攻撃するためにはルークを移動させなければならず、黒が中央で圧力を維持している限りそのようなことはできないからである。

13.Bg3 Nh5

 g7のビショップの筋を開けて対角斜筋に利かせ、同時に白からの14. e5 突きを防いだ。白が 14.e5 と突くと 14…Nxg3 15.hxg3 Nxe5 で黒のポーン得になる。

14.Nd5 a6

 黒はビショップを追い払って自駒の釘付けをなくし自由に捌けるようにする。

15.Bd3 Be6

 この手は襲撃の用意である。黒駒は白キングをにらみ始めた。

10.c3

(第13局続く)

2014年12月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

布局の探究(127)

「Chess Life」1995年7月号(3/3)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

手を稼ぐためのポーン捨て(続き)

 ほとんどの場合1手の差でポーンの犠牲が有望であるのと効果がないのとの違いになることを強調しておきたい。以下の重要な例にこのことがよく表れている。

1)ブラックマー=ディーマー・ギャンビット (D00) 1.d4 d5 2.e4 dxe4 3.Nc3 Nf6 4.f3 exf3 5.Nxf3

 黒がキング翼ビショップを展開するのに2手かかるのに対し白はすぐに展開できるので、もともと手番であることに加えてポーンの代わりに展開で1手得している。それでも白はこのために大切な中央のポーンを犠牲にしている。さらに黒陣はあらゆる点で堅固で傷がない。現代のマスターのチェスではそんなわずかなことのためにポーンを犠牲にするのはもったいなさすぎる。だからブラックマー=ディーマー・ギャンビットはマスター級の大会ではまったく指されない。

2)トロンポウスキー・ギャンビット (A45) 1.d4 Nf6 2.Bg5 Ne4 3.Bf4 d5 4.f3 Nf6 5.e4!? dxe4!

 黒は 2…Ne4 から 3…d5 の変化を正当化したければ、白の大胆さに自分も同様の手で応じるのが良いかもしれない。5…e6 と突いて 6.e5 Nfd7 7.Be3 c5 8.c3 Nc6 9.f4 という典型的なフランス防御の窮屈な陣形を受け入れるのはほとんど意味がない。GMジョエル・ベンジャミンは白を持って1994年のモスクワ・オリンピアードでGMポポビッチとIMマリサウスカス相手に快勝した。『Inside Chess』誌1995年第4号の11ページに彼の有益な記事があるので参照されたい。

6.Nc3 exf3 7.Nxf3

 前の図と比較するとここでは白は1個よけいに駒を展開している。f4の好所にクイーン翼ビショップが来ている。このため白はクイーン翼キャッスリングをすることによりクイーン翼ルークを迅速に動員することができる。黒がキング翼ビショップを展開するのにまだ2手必要なので、白が手番であることに加えてポーンの代わりに2手得している。私の見るところではポーンの代わりに十分代償を得ている。黒の防御が万全の場合白がいつもの布局の優位を保持できるかどうかは、実戦でさらに答えを追求すべき問題である。

 黒はキング翼ビショップをフィアンケットするかf8-a3の斜筋に沿って出すかによりキング翼を展開しなければならない。順番にこの二つを取り上げる。

A)7…g6 GMジュリアン・ホッジソン対IM A.G.パンチェンコ(ベルン、1994年)

8.Bc4 Bg7 9.Qe2 O-O 10.O-O-O c6?

 10…Bg4 11.d5! から Rhe1 のあとe7に白から圧力がかかっているというGMホッジソンの指摘は正確である。それでも黒はポーン得で、思慮深く戦力得を返すことにより常に自陣を整える機会が得られる。いずれにしても本譜では筋をこじ開けることにより白の攻撃が決定的なものになる。

11.d5! cxd5 12.Nxd5 Nxd5 13.Rxd5! Qb6 14.Rb5 Qc6 15.Ne5 Qe8 16.h4!

 白の6個のどの駒も攻撃に参加する用意ができているのに対し、黒のクイーン翼はまだ展開されておらず黒クイーンは「非展開」になっている。

16…Nc6 17.h5 g5

 黒の手はもう破れかぶれである。GMホッジソンは 17…Nd4 18.Qf2! Nxb5 19.hxg6! hxg6 20.Qh4 で黒に受けがないとしている。

18.Nxc6 Qxc6 19.Rxg5 Qf6 20.Qe5! h6 21.Rg6! Qxg6 22.hxg6 Bxe5 23.Bxe5

 ここで 23…e6 なら 24.g7! Re8 25.Rxh6 f6 26.Rh8+ Kxg7 27.Rxe8 fxe5 28.Bxe6 となる。

23…Be6 24.Rxh6 f6 25.Bxe6+ Kg7 26.Bf4 Rh8 27.Rxh8+ Rxh8 28.c4 Kxg6 29.g4 Rh3 30.Kd2 a5 31.c5 a4 32.b4 axb3e.p. 33.axb3 黒投了

B)7…c6 8.Bc4 e6 GM G.バルベロ対GMエルマル・マゲラーモフ(カットーリカ、1994年)

9.O-O

 白はこの手で、キングを安全なキング翼に移し熟慮の上で駒による攻撃を行なうことを告げている。重要な変化は前局のように 9.Qe2!? である。V.ヤンサ対G.ソソンコ戦(アムステルダム、1975年)では 9…Nbd7 10.O-O-O Nb6?! 11.d5!! Nbxd5 12.Bxd5 Nxd5 13.Rxd5! cxd5 14.Nb5 と進んで白の主導権が強力だった。黒は本局のように 9…Be7 から 10…O-O と指した方が良かったのではないかと思う。

9…Be7 10.Ne5 O-O 11.Kh1

 GMマゲラーモフは手損となる本譜の手を批判し、すぐに 11.Rf3!? と指すことを示唆している。

11…Nbd7 12.Bd3 c5! 13.Nxd7 Bxd7 14.dxc5 Bxc5 15.Bg5 Be7 16.Qf3 Bc6 17.Qh3 g6 18.Rad1 Nd7 19.Bh6 Re8

 黒は楽に展開を完了し中央列に得しているポーンがある。白は迅速に黒キングに迫れなければ、ポーン損で不毛の中央を抱えることになる。GMマゲラーモフは次のような読みを披露している。(a)20.Be4 Qc8 は黒が安泰。(b)20.Ne4 Qa5 21.Bd2 Qh5 は形勢不明。

20.Bc1?!

 この手は明らかに守勢的すぎる。クイーン翼ビショップを引きたいのなら 20.Be3 が妥当である。このあとは『チェス新報』第61巻第63局のGMマゲラーモフの記号を付けるにとどめる。よくあるように黒は優勢な中央と強力な主導権を手に入れるためにポーンを返した。

20…f5! 21.Bc4 Bg5! 22.Rfe1 Bxc1 23.Rxe6 Kg7! 24.Rxe8 Qxe8 25.Rxc1 Qe5 26.Qh4 Re8 27.Rd1 Nf6 28.Be2 f4?! 29.Qf2 g5 30.Bf3! Re7 31.Kg1?! g4 32.Bxc6 g3! 33.hxg3 fxg3 34.Qf3 bxc6 35.Kf1 Rf7 36.Re1 Qg5 37.Ke2 Nh5 38.Qxc6? Rf2+ 39.Kd3 Qd2+ 40.Kc4 Qxe1 41.Qd7+ Kh6 白投了

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2014年12月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探求2

チェスの基本(158)

第2部

第13局 ルイロペス
(ニューヨーク、1918年)
白 J.S.モリソン
黒 J.R.カパブランカ

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 d6 4.Nc3 Bd7 5.d4 exd4 6.Nxd4 g6

 ルイロペスのこの防御陣形ではキング翼ビショップをg7の地点に展開することが大変重要だと思う。g7のビショップは対角斜筋に沿って大きな圧力をかけている。それと同時にキングの前のビショップとポーンの囲いは、キャッスリングが行われれば大きな防御力の一つになる。だからこの展開方法でこのビショップは最大の力を発揮していると言えるかもしれない。(サンセバスティアンでのカパブランカ対バーン戦の解説と比較してみよ)

7.Nf3 Bg7 8.Bg5 Nf6

 もちろん 8…Nge7 は 8.Nd5 があるので駄目である。ほかに指すなら 8…f6 から 9…Nge7 であるが、この局面ではナイトはf6にいる方が好形である。

9.Qd2 h6 10.Bh4

 これは判断の誤りである。白は黒ナイトを釘付けにしておきたかったのだが、黒のキャッスリングをすぐに妨げる方が大切だった。10.Bf4 ならそれができた。

10…O-O 11.O-O-O

 果敢な指し方だが、安全のことなどさておき勝つか負けるかのつもりでなければやはり判断の誤りである。g7の黒ビショップは非常に強力な攻撃駒になる。戦略的な黒駒の配置は白よりずっと優るので、攻勢に立つのは黒の方である。

11…Re8 12.Rhe1

(第13局続く)

2014年12月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(157)

第2部

第12局(続き)

 (再掲)

39.h5 gxh5

 39…g5 は 40.Qf5 で白の勝勢である。

40.gxh5 Qe7

 40…Kg8 なら 41.Qg4 でクイーン交換がほぼ必然で、そのあとは黒ビショップがほとんど働かないので白は收局を勝つのにさほど問題がない。

41.Qf5 Kg8

 黒は 42.Rd7 の威力を見落としていた。最善の受けは 41…Rd8 で、それに対して白はキングを進出させてもよいし、Ng6+ を狙って 42.Nh4 と指してもよい。

42.Rd7 Bxe5+

 この手は駒損になるが、しょせん黒は見込みがない。

43.Kg4 Qf6 44.Nxe5 Qg7+ 45.Kf4 黒投了

 この試合の興味は主に布局と終盤での白キングの進入とにあった。両者のクイーンが盤上にあってもなおキングが戦う駒になるという実例である。

(第12局終わり)

2014年12月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(156)

第2部

第12局(続き)

 (再掲)

 黒は状況の展開を待つ姿勢を貫いている。白が 35.h5 と突けば 35…gxh5 36.gxh5 のあと黒クイーンがh3に行って白が困難に直面しなければならないことを読んでいる。このような状況の中で白は唯一の針路が、キングをg3に持って行って黒クイーンが混乱を引き起こすかもしれないh3とg4の地点を守ることであると決断した。

35.Ke2 Kg8 36.Kf1 Kf8 37.Kg2 Kg8 38.Kg3 Kf8

 キングの行進が終了したので白は侵攻の用意が整った。

(第12局続く)

2014年12月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(155)

第2部

第12局(続き)

 (再掲)

 黒は自陣の防御態勢が最高の状態にあるとみている。だから白がどのように仕掛けるつもりなのか見極めようと待っている。もちろん白ナイトがf2のポーンの邪魔になっていて、このポーンがe5のナイトを守ったり支援するためにf4に進めないことにも気づいている。

28.b3 Kf8 29.Kd3 Kg8 30.Rd6 Qc8 31.Rd5 Qe6 32.g4 Kf8 33.Qf4 Kg8 34.Qe4 Kf8

(第12局続く)

2014年12月21日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(154)

第2部

第12局(続き)

 (再掲)

12…e5

 これはクイーン翼ビショップを速やかに外に出すためにポーンを犠牲にしているだけである。しかしポーンの代償が何もないので悪手である。代わりに 12…Qd5 とぶつけて戦うべきだった。予想される手順は 13.Qf4 Bg7 14.Qxc7 Bxd4 15.Nxd4 Qxd4 16.O-O-O で、白の方がかなり優勢である。本譜の手は緩慢な自殺手と言えるかもしれない。

13.dxe5 Bf5 14.Qf4 Bxd3 15.O-O-O Bg7 16.Rxd3 Qe7 17.Qc4

 この手は黒クイーンを働かせないようにするためである。

17.Rad8 Rhd1

 18.Re1 で e6 突きを狙う作戦の方が良かっただろう。

18…Rxd3 19.Rxd3 Re8 20.c3 c6

 もちろん 20…Bxe5 は 21.Nxe5 Qxe5 22.Re3 でクイーンを失う。本譜はポーン損の黒が暴れ回る。

21.Re3

 直前の黒の手のためにここではポーンを守らなければならない。というのは 21…Bxe5 22.Nxe5 Qxe5 23.Re3 のとき黒が 23…Qb8 でルークを守ることができるからである。

21…c5 22.Kc2 b6 23.a4

 ここからの白の作戦は戦力で上回る反対翼で自由に捌けるようにするためにクイーン翼を固定することである。

23…Qd7 24.Rd3 Qc8 25.Qe4 Qe6 26.Rd5 Kf8 27.c4 Kg8

(第12局続く)

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カテゴリ: チェスの基本

お楽しみチェス(3)

「Chess Life」1989年9月号(3/4)

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お楽しみチェス

GMアンディー・ソルティス

秘密はどのくらい秘密か
チェスの一つのやり方はいつも謎のままだった
閉じたドアの向こうでは何が行なわれているのか
(続き)

 ミハイル・ボトビニクはある重大な大会に秘密の番勝負で準備していたことを公にされたときにあっさりと認めた。その大会とは1941年のソ連絶対選手権戦で、ビャチェスラーフ・ラゴージンとそれもラジオをつけながら秘密の番勝負を行なっていた。のちの世界チャンピオンは前のソ連選手権戦で雑音に悩まされたので同じ失敗をしたくなかったからだと説明した。

 ボトビニクは厳しい規律を課した実戦訓練の一部として秘密対局を用いていた。彼はソ連のさまざまな選手を相手に最終的には150局以上をこなし、その中にはイリヤ・カン、ワシリー・スミスロフ、ユーリ・アベルバッハそれにセミョン・フルマンが含まれていた。

スラブ防御交換戦法 [D13]
白 GMティグラン・ぺトロシアン
黒 GMミハイル・ボトビニク
練習試合、1952年

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 d5 4.Nc3 c6 5.cxd5 cxd5 6.Bf4 Nc6 7.e3 Nh5!? 8.Bg5 Qb6 9.a3 h6 10.Bh4 g5 11.Bg3 Nxg3 12.hxg3 Bg7 13.Bd3 Qd8 14.Nh2 h5

 ボトビニクは盤上で 7…Nh5 によるナイトの捌きを思いつき、のちの対局のために取っておいた。番勝負での着想のいくつかは長年秘密のままだった。例えば1947年にキング翼ギャンビットの黒側の着想を試したのは、1948年に行なわれる世界選手権戦でパウル・ケレスかルーベン・ファインがキング翼ギャンビットを指してくるのを恐れていたからだった。

 しかしファインは1948年のその大会に参加しなかったし、ケレスは参加したがギャンビットをやってこなかった。だからボトビニクがラゴージン相手の練習試合で思いついた新手は、5年たった1952年のソ連選手権戦でダビド・ブロンシュテインを粉砕するまで世に知られなかった。

15.Rc1 Bd7 16.Nb5 Kf8 17.Nf1 g4 18.Nd2 e5 19.Qb3 exd4 20.Nxd4 Nxd4 21.exd4 Qe7+ 22.Kd1 Bxd4 23.Rc7 Bb6 24.Re1 Qd6 25.Rxb7 Rh6 26.Bb5 Be6 27.f4? gxf3e.p. 28.Nxf3 Rc8 29.Ne5 Qc5 30.Rxf7+ Kg8 31.Rf3 Qc1+ 32.Ke2 Rc2+ 33.Kf1 Qd2

 そして白は 34.Be2 Qd4 のあと …Qg1# の詰みがあるので投了した。

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2014年12月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: お楽しみチェス1

チェスの基本(153)

第2部

第12局(続き)

 (再掲)

8.Qe2

 この手はこの戦型における黒の展開の常形である 8…b6 から 9…Bb7 を防ぐためである。それでも黒が 8…b6 と指すと 9.Bb5+ Bd7 10.Ne5 で白が陣形的にかなりの優位に立つ。

8…O-O 9.Bg5 h6

 ここで 9…b6 と突くのは 10.Bxf6 から 11.Qe4 があるので駄目である。

10.Bxf6 Bxf6 11.Qe4 g6

 この手は黒のキング翼を弱体化させる。11…Re8 が正着だった。

12.h4

(第12局続く)

2014年12月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(152)

第2部

第12局 フランス防御
(ニューヨーク、1918年)
白 J.R.カパブランカ
黒 O.ハイェス

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6 4.Bd3

 最も好まれている手というわけではないが、完全に自然な展開の手だから悪いはずがない。

4.dxe4

 ここでは 4…c5 が一般的である。

5.Nxe4 Nbd7 6.Nxf6+ Nxf6 7.Nf3 Be7

(第12局続く)

2014年12月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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布局の探究(126)

「Chess Life」1995年7月号(2/3)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

手を稼ぐためのポーン捨て(続き)

 それでも姉妹戦法では白がeポーンを犠牲にする効果はかなり低めだった。今度は私の試合を俎上に載せてみよう。

シチリア防御 [B31]
白 S.ボイド
黒 E.メドニス
カンヌ、1995年

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 g6 4.O-O Bg7 5.c3 Nf6 6.d4?!

 たぶん白はeポーンを犠牲にしても大丈夫だろうが、普通に 6.e5 または 6.Re1 と指せば勝ちが望めるしポーン損のハンディも負わない。

6…cxd4!

 キング翼ビショップの斜筋の威力がぐんと増すのでこの手の方が 6…Nxe4 よりも正確である。

7.cxd4 Nxe4 8.d5 Nd6 9.Bd3

 白が 9.a4 または 9.Na3 と指しても黒は 9…Nb4 と指す。

9…Nb4 10.Nc3 O-O!

 10…Nxd3 と白の何もしていないキング翼ビショップとの交換を急ぐ必要はない。ここで手の損得を考えてみよう。手番はさておき白はクイーン翼ビショップの展開に1手要するだけである。これに対して黒は2手要する。だから白はポーンの代わりに明らかに1手得している。dポーンは黒陣側に入り込んでいるので白がいくらか陣地を広く所有していることは確かだが、孤立していて潜在的な弱点となっている。さらに黒のキング翼ビショップの斜筋は素晴らしい。『チェス新報』第61巻はここで 11.Bg5!? を推奨している。しかし私には 11…h6 で黒が先手でg5の地点を守って好調のように思える。

11.Re1 b6 12.Bf4 Bb7 13.Ne5

 『チェス新報』第61巻はここで 13.Bf1 では 13…Rc8 で黒が少し優勢であると指摘している。だから本譜の手はその改良手である。黒のキング翼ビショップの利きが短くなり、13…Nxd5?! は 14.Nxd5 Bxd5 15.Bxg6 で疑問手となる。

13…Rc8 14.Bf1?

 白はこんな贅沢をしていられる形勢でない。14.a3 が絶対で、14…Nxd3 15.Qxd3 で少し陣地が広いことがポーン損を補うことに役立つ。それでも黒は展開が完了していて双ビショップの潜在力があり快適な陣形になっている。ほとんどのシチリア防御派はここで勝つ可能性の高さと通常よりも低い負ける危険のために楽しくて仕方がないだろう。

14…Rc5! 15.Nd3 Nxd3 16.Qxd3 Nc4!

 黒の勝勢になった。黒はポーン得しているだけでなく、強力な主導権を保持している。

 白がシチリア防御に対してどうしても早々とポーンを犠牲にするなら側面ポーン(ルーク列またはナイト列のポーン)を犠牲にする方がビショップまたは中央のポーンよりも良い投資となる。だから側面ギャンビット(2.b4)の方がスミス=モーラ・ギャンビット(2.d4)よりも良い取引のように思われる。特徴的な2例をあげる。

 1)側面ギャンビット [B20] 1.e4 c5 2.b4 cxb4 3.a3 bxa3?!

 3…e6! で局面を閉鎖的に保つ方が本手だと思う。例えば 4.axb4(4.d4 Nf6)4…Bxb4 5.c3 Be7 6.d4 d6 となれば黒陣は堅固である。

4.Nxa3 d6 5.d4 Nf6 6.Bd3 e5?! 7.Ne2 Be7 8.O-O Nc6 9.c3 O-O 10.Nc2 Qc7 11.Ne3 b6 12.Ba3 Rd8 13.f4

 これはドルン対S.フィッシャー戦(オーストリア、1955年)で、ポーンの代わりに白の圧力が強かった。

 2)スミス=モーラ・ギャンビット [B21] 1.e4 c5 2.d4 cxd4 3.c3 dxc3 4.Nxc3

 黒のいろいろな主手順に対して白にはせいぜい1手得しかない。さらにはcポーンがないことによりd4の地点が弱くなることがあり、d5の地点を支配する見通しも少ない。すべての主流手順で白が何の犠牲もなしに常に強い主導権を得ることを考えると、このギャンビットにおけるポーンの代償はかなり魅力に欠ける。黒の最も簡明な手順をあげておく。

4…Nc6 5.Nf3 d6 6.Bc4 e6 7.O-O Be7 8.Qe2 Nf6 9.Rd1 e5 10.Be3 Bg4 11.h3 Bh5 12.Rac1 O-O

 白はd6を集中攻撃することによりポーンを取り返す可能性がいくらかある。しかしこれにより得ることのできる最大のものはほぼ互角の形勢である。

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2014年12月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(151)

第2部

第11局(続き)

 (再掲)

 白ナイトは今やめくるめく強さである。白はその背後で攻撃を準備することができる。攻撃は d4 突きから始まり黒クイーンを追い払って c5 と突くことができるようになる。ただ一つだけ気をつけなければならないことがあり、それは黒がルークを切ってナイトとポーンを取るのを防ぐことである。

18…Ng5 19.Rf2 Ne6 20.Qc3 Rd7

 白が19手目で 19.Rf2 でなく 19.Rf1 と指していたら、黒はここで本譜の手の代わりに 20…Rxd5 21.exd5 Qxe3+ から 22…Nc5 と指して勝勢になっていたところだった。

21.Rd1 Kb7

 黒は 21…Kd8 と指す方が良かっただろう。本譜の手は負けを早めた。

22.d4 Qd6 23.Rc2 exd4 24.exd4 Nf4 25.c5 Nxd5 26.exd5 Qxd5 27.c6+ Kb8 28.cxd7 Qxd7 29.d5 Re8 30.d6 cxd6 31.Qc6 黒投了

(第11局終わり)

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カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(150)

第2部

第11局(続き)

 (再掲)

 ここでの白の課題はbポーンをできるだけ速くb5へ突き進めることである。すぐに 11.b4 と突くと黒はクイーンで取ってしまう。まず 11.a3 と突いてから 12.b4 と突いても、続いて a4 から b5 と突けるためにはまずbポーンを守らなければならない。実際に白が指した手はかなり変わった手だったが、それはこの状況では最善だった。というのはすぐに b4 のあと a4 から b5 と突くことができたからである。

11.Rb1! f6 12.b4 Nf7 13.a4 Bxf3

 黒は白の攻撃がやわらぐことを期待して単純化した。白はほとんど大駒でだけ攻撃しなければならなくなった。同じことなら 13…Ng5 から 14…Ne6 と指す手もあったかもしれない。

14.Rxf3

 ポーンで取り返すのは反撃の可能性を与えることになる。

14…b6

 黒はクイーン翼のポーンの破壊を避けるためにこう突かざるを得なかった。これに代わる唯一の変化は 14…b5 だが、見るからに悪そうな手である。

15.b5 cxb5 16.axb5 a5 17.Nd5 Qc5 18.c4

(第11局続く)

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カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(149)

第2部

第11局 ルイロペス
(サンクトペテルブルク、1914年)
白 J.R.カパブランカ
黒 D.ヤノフスキー

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Bxc6 dxc6 5.Nc3

 この手はアリョーヒンと幾度か議論したことがあり指した。彼は通常の 5.d4 より優ると当時考えていた。彼自身のちにある大会でE.ラスカー博士との1局で指していて、優勢になったがポカで負けている。

5…Bc5

 この局面ではたぶん 5…f6 が最善手で、実戦の手は私は好きでない。

6.d3 Bg4 7.Be3 Bxe3

 この手は白のf列を素通しにしてやり、白の中央も強化する。しかし黒がビショップを二度も動かしたくなかったのは当然だった。

8.fxe3 Qe7 9.O-O O-O-O

 ヤノフスキーらしい大胆な手だった。

10.Qe1 Nh6

(第11局続く)

2014年12月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(148)

第2部

第10局(続き)

 (再掲)

18…Bd8 19.Bc4 Nc5 20.Qxd4 Qxd4

 ポーン損のときにクイーンを交換しなければならないということは黒の負け試合だということである。

21.Nxd4 Bxd5 22.Bxd5 Bf6 23.Rad1 Bxd4

 このナイトはあまりにも脅威的だった。しかしそれによって生じた收局ではビショップがナイトより強力で、黒の苦境が決定的になっている。試合はこれ以上興味の対象とならず、ぺトロフ防御のこの戦型の研究としての価値しかない。白の指し方がいくらかまずかったために黒は60手まで戦い続けることができた。残りの手順を掲げたのは単に形式のためである。

24.Rxd4 Kg7 25.Bc4 Rb6 26.Re1 Kf6 27.f4 Ne6 28.fxg5+ hxg5 29.Rf1+ Ke7 30.Rg4 Rg8 31.Rf5 Rc6 32.h4 Rgc8 33.hxg5 Rc5 34.Bxe6 fxe6 35.Rxc5 Rxc5 36.g6 Kf8 37.Rc4 Ra5 38.a4 Kg7 39.Rc6 Rd5 40.Rc7+ Kxg6 41.Rxa7 Rd1+ 42.Kh2 d5 43.a5 Rc1 44.Rc7 Ra1 45.b4 Ra4 46.c3 d4 47.Rc6 dxc3 48.Rxc3 Rxb4 49.Ra3 Rb7 50.a6 Ra7 51.Ra5 Kf6 52.g4 Ke7 53.Kg3 Kd6 54.Kf4 Kc7 55.Ke5 Kd7 56.g5 Ke7 57.g6 Kf8 58.Kxe6 Ke8 59.g7 Rxg7 60.a7 Rg6+ 61.Kf5 黒投了

(第10局終わり)

2014年12月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(147)

第2部

第10局(続き)

 (再掲)

 ここは布局の結果を検証してみる頃合いである。白の方は小駒が好所に位置していて、クイーンはいくらか変な地点にいる。それは確かだが攻撃されるようなことはなく逆に黒ポーン当たりになっている。キャッスリングする用意はできていて、白陣は明らかに危険がなく駒は捌きが容易である。

 黒の方はまず目につくのは双ビショップを保持しそれが疑いなく有利な点になっていることである。その一方で駒があまりにもくっつきすぎていて、クイーンは行くべき適当な地点がなくて攻撃される恐れがある。e7のビショップは動きがまったく不自由で、クイーンの通り道をふさぎ、それがまたビショップの通り道をふさいでいる。おまけに黒はキャッスリングできない。なぜなら 12…O-O 13.Qxb7 Rb8 14.Qe4 で詰みを狙われてポーン損になるからである。クイーン翼にキャッスリングすることもできない。なぜなら 12…O-O-O 13.Qa5 で黒陣がすぐに危険にさらされ、13…a6 には 14.Bxa6 があり 13…Kb8 には 14.Nb5 があるからである。だから布局は白が全面的にうまくいったと結論できる。

12…g5

 これはクイーンの動く余地を作るとともに …g4 と突く狙いである。

13.h3 O-O

 この手はポーンを捨てて自陣を楽にし主導権を握ろうとしたものである。ここは指す手が難しかった。白に 14.Ne4 という狙いがあり、黒がクイーンを 14…Qg7 と引っ込めれば 15.d5 Bf5 16.Nxd6+ から 17.Bxf5 がある。

14.Qxb7 Rab8 15.Qe4 Qg7 16.b3 c5

 この手は白の中央を破壊し自分のナイトをc5に持ってきて、白キングに対する猛攻の基礎とするためである。しかしこの作戦はこのような場合につきもののように黒が展開で後れていてそのため駒が適正に配置されていないために失敗する。

17.O-O cxd4 18.Nd5!

 この簡単な手で黒の作戦が完全につぶされる。黒は駒の連係がとれていないし、ポーンはどれも弱いので遅かれ早かれ失うことになる。

(第10局続く)

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カテゴリ: チェスの基本

「ヒカルのチェス」(362)

「Chess Life」2014年12月号(1/1)

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トロムセ・オリンピアード

解説 GMイアン・ロジャーズ

ルイロペス・アルハンゲリスク戦法(C78)
□GMヒカル・ナカムラ(FIDE2787、米国)
■GMルスタム・カシムジャーノフ(FIDE2700、ウズベキスタン)

2014年チェスオリンピアード、オープン、ノルウェー・トロムセ、2014年8月9日

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O b5 6.Bb3 Bc5

 新アルハンゲリスク戦法は黒が次の戦型で好形になることが発見された90年代に大流行した。

7.c3 d6

8.a4

 8.d4 もあり 8…Bb6 9.dxe5 Nxe5 10.Nxe5 dxe5 11.Qxd8+ Kxd8 12.Bxf7 Rf8 13.Bd5 Nxd5 14.exd5 Bb7 となれば互角の收局である。

8…Rb8 9.d4 Bb6 10.Na3 O-O 11.axb5 axb5 12.Nxb5 Bg4 13.Bc2 exd4 14.Nbxd4 Nxd4 15.cxd4 Bxf3 16.gxf3 Nh5 17.Kh1 Qf6 18.Be3 c5 19.e5

 この手は新手だった。もっともカシムジャーノフは詳しく研究済みで、次の数手をパッパッと指した。

19…Qe6 20.exd6 c4 21.b3

 この時点でヒカルが15分ほどしか残っていなかったのに対し、相手はさほど時間を使っていなかった。

21…c3 22.d5 Qxd6 23.Ra6 Nf4

 たぶん白の応手を見落としている。

24.Ra4!

24…Ng6

 24…Nxd5 なら 25.Bxb6 Rxb6 26.Rd4 Qb8 27.Rxd5 Rh6 28.f4! Qxf4 29.Rh5

で白の勝勢になる。

25.Qd3

 これで白がはっきり優勢になった。

25…Bc7 26.f4 Rfd8 27.Rd1 Qf6 28.Rc4 Bd6 29.Qxc3 Qxc3 30.Rxc3 Nxf4 31.Rc6 Be5 32.d6 Ne6 33.Bf5 Rxb3 34.Bb6 Rxb6 35.Rxb6 Nd4 36.f4 Bf6 37.Bh3 Ne2 38.Rb4 g6 39.d7 Kf8 40.Rc4 Nc3 41.Rd3 Ke7 42.Rc8! 黒投了

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(この号終わり)

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カテゴリ: ヒカルのチェス5

チェスの基本(146)

第2部

第10局 ぺトロフ防御
(サンクトペテルブルク、1914年)
白 J.R.カパブランカ
黒 F.J.マーシャル

1.e4 e5 2.Nf3 Nf6 3.Nxe5 d6 4.Nf3 Nxe4 5.Qe2 Qe7 6.d3 Nf6 7.Bg5

 この手はモーフィーによって指されているが、非常に良い手である。要点は黒がクイーンを交換すれば展開で1手遅れ、その結果白が正確に指せば黒陣が狭小になるということである。

7…Be6

 マーシャルは当時この手が最善手だと考えていて、そのため 7…Qxe2+ をさしおいてこう指した。

8.Nc3 h6 9.Bxf6 Qxf6 10.d4 Be7 11.Qb5+ Nd7 12.Bd3!

(第10局続く)

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カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(145)

第2部

第9局(続き)

 (再掲)

31…d4

 この手はほぼ必然である。さもないと白キングがd4にたどり着いてからc5に行き、黒のクイーン翼のポーンを取ってしまう。もし黒がキングをc6に置くことによりこれを止めようとすれば、白キングはe5から黒のキング翼にもぐり込み簡単に黒のポーンを取ってしまう。

32.exd4 Kd5 33.Ke3 Be6 34.Kd3 Kc6 35.a3 Bc4+ 36.Ke3 Be6 37.Bh6

 白は g4 突きを急がない方が良い。なぜなら …f5 と突かれて、白が勝てるけれどももっと長引くからである。本譜の手で白キングはビショップがg7に行ったあとf4の地点に行くことを狙っている。g7のビショップはdポーンを守っているだけでなく、間接的にbポーンも守っている。

37…Kd5 38.Bg7 黒投了

 初学者はいろいろな收局をうまく指しこなす重要性にもう気がついているに違いない。本局においても白はほとんど布局から黒のdポーンを孤立させることだけを目指していた。それが実現した後は、ほかの個所でも優位を得ようとし幸いにもポーン得ということで達成した。そのあとは收局を正確に指すことによりしだいに優勢を確かなものにした。この收局は世界の最強選手の一人と対戦したことに意義がある。

(第9局終わり)

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カテゴリ: チェスの基本

布局の探究(125)

「Chess Life」1995年7月号(1/3)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

手を稼ぐためのポーン捨て

 布局の指し方の最も悩ましい問題の一つは、ポーンを犠牲にして展開の手を稼ぐのに適切な投資はいつの時点かということである。1ポーンは何手に相当するかと表現することもできる。『Webster’s Ninth New Collegiate Dictionary』にはチェスに関連した手数の適切な定義が載っている。「チェスにおいて手番から優勢になるのに必要な手数。」戦力の価値を用いて表すのが最良で、1ポーンは3手に値する。もちろん特別に考慮しなければならないことが出てくることは常にあるが、それでも不完全な指針は全然ないよりも優る。

 「ポーンを犠牲にしたい気分」のときは常に次の原則も心に留めておくことである。

 1.黒は「1ポーン3手」に特にこだわらなければならない。なぜなら白は先手なので常に展開で1手先行しているからである。

 2.手得は移ろいやすい。だからポーンの犠牲から確実に何か明らかに有用なものを得るようにする方が良い。その一方で「1ポーンは永久もの」である。

 3.犠牲が効果をもたらしやすいのは(a)開放局面で(1.e4 布局の局面で)、(b)展開が完了していなくてそのため展開が特に価値あるものとなることのある布局初期である。

 4.ルーク列ポーンやナイト列ポーンを犠牲にするのは中央列のポーンよりも投資の危険性が少ない。というのは布局と中盤の段階においては中央は盤上で最も重要な地点だからである。

 今回は白によるポーンの犠牲を考察し、次回は黒によるポーンの犠牲を考察する。

 次の例では犠牲が棋理に合っていることが明々白々である。

シチリア防御 [B52]
白 GMウォルター・ブラウン
黒 GMミゲル・キンテロス
ベイクアーンゼー、1974年

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.Bb5+ Bd7 4.Bxd7+ Qxd7 5.c4! Qg4?

 この手はよく言っても向こうみずである。黒は 5…Nc6 や 5…Nf6 で展開を図らずに、クイーンを駆けずり回らせてポーンを取ろうとしている。

6.O-O Qxe4 7.d4!

 白がキング翼の展開を完了したのに対し、黒はキング翼にキャッスリングするのに4手かかる。さらに白は Nc3 または Re1 でまた展開で手得する。白は展開の優位を生かすためには筋を素通しにしたい。黒は展開に取り掛かりながらできるだけ閉鎖的に保つように努めるべきである。だからここでは 7…Nf6 と指すことが必要で、GMキンテロスは一ヶ月後にトレモリノスでGMオストイッチ相手にそう指した。8.Nc3 Qf5 9.Qb3 b6 10.dxc5! Qxc5 11.Be3 Qc8 12.Rfe1 となって、白は開放局面でポーンの代償に少なくとも4手得して危なげなく勝った。

7…cxd4? 8.Re1 Qc6 9.Nxd4! Qxc4?

 これは自殺行為である。黒は白にもっと展開の手得を与える状況にない。9…Qd7 が絶対だが、10.Nb5 e6 11.Bf4 のあとソコルスキー対リシツィン戦(ソ連、1948年)で黒は受けきれなかった。

10.Na3 Qc8 11.Bf4 Qd7 12.Nab5! e5

 この時点で黒はさまようクイーンを除いてどの駒も展開していない。反対に白は開放局面で少なくとも6手得している。だからGMブラウンは黒陣を爆破した。

13.Bxe5! dxe5 14.Rxe5+ Be7

 GMブラウンは(a)14…Ne7 15.Nf5!!、(b)14…Kd8 15.Qf3! という変化も読んでいた。どちらも黒は受けがない。

15.Rd5! Qc8 16.Nf5! Kf8 17.Nxe7 Kxe7 18.Re5+ 黒投了

 18…Kf8 でも 18…Kf6 でも 19.Qd6+ が必殺の手になる。GMブラウンは展開の優位の価値を絵にかいたようにみごとに見せつけた。

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カテゴリ: 布局の探求2

チェスの基本(144)

第2部

第9局(続き)

 (再掲)

 黒は白に 29.Bg3 と受けさせたいのである。代わりに 29.g3 は 29…d4 でまずい。白が 30.e4 と突くことはできるが、黒ビショップが戦いに復帰する。しかし本譜の手はすぐに明らかになるように緩手である。28…b4 のあと …a5 から …Ba6 が最も見込みがあった。その間に白は g4 から h5 と突いてパスポーンを作ることができる。そして正しく指せば勝つはずである。

29.Rc2! Rc8 30.Rxc8 Bxc8

 これで異色ビショップになったが、それでも白の楽勝である。

31.Kf2

(第9局続く)

2014年12月10日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(143)

第2部

第9局(続き)

 (再掲)

23…h6

 黒のルークは素通し列からそれたとたん白にその列を占拠されるので、素通し列で足踏みする以外ほかにできることは何もなかった。これに対して白はもちろん準備してからキングをf2、g3、f4を経由してe5に進ませることを狙う。だから黒の最良の機会は本譜のようにポーンを捨ててナイトを解放することだった。

24.Bxh6 Nd7 25.h4 Nc5 26.Bf4 Ne6

 黒はナイト同士を交換して異色ビショップを残す。それなら引き分ける可能性が最も高くなる。

27.Nxe6 Kxe6

 27…fxe6 と取るのは白がビショップをe5に据えることができるので劣る。

28.Rd2 Rh8

(第9局続く)

2014年12月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(142)

第2部

第9局(続き)

 (再掲)

 初学者はこの局面を注意深く分析するとよい。黒陣にはこれといった危険がないように見える。しかし白が見せつけるように黒は既に負けていると言えるかもしれない。たとえ負けではないとしても、防御は少なくとも最も難しいたぐいのものである。実際白の次の手に対して私は適切な受けを見出すことができない。

20.Nf5! Kf8

 代わりに 20…Bd8 なら 21.Nd6 Rc7 22.Nxb7 Rxb7 23.Bxf6 Bxf6 24.Rxd5 Rc7 25.Rd2 で白のポーン得になる。また、黒がビショップをほかのどこかへ動かせば、21.Bxf6 で黒のfポーンが二重ポーンになりキング翼のポーンが全部孤立ポーンになる。

21.Nxe7 Kxe7 22.Nd4 g6

 白が 23.Nf5+ を狙っているのでこれはほぼ必然である。注意を要するのは黒ナイトが釘付けにされていることで、これをはずすにはhポーンをくれてやるかルークが素通し列を放棄するかだが、後者は白がすぐに素通し列を占拠するので破滅を招く。

23.f3!

(第9局続く)

2014年12月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(141)

第2部

第9局 クイーン翼ギャンビット拒否
(ベルリン、1913年)
白 J.R.カパブランカ
黒 R.タイヒマン

1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.c4 e6 4.Bg5 Be7 5.Nc3 Nbd7 6.e3 O-O 7.Rc1 b6 8.cxd5 exd5 9.Bb5

 これは私独自の発想で、新手だと思う。単に普通の指し方を変えるために思いつきで指した。一般にこのビショップはd3に行くか Qa4 のあとa6に行く。本譜の手はよくある展開の手のたぐいで、何の原則も冒していないから悪い手のはずがない。

9…Bb7 10.O-O a6 11.Ba4 Rc8 12.Qe2 c5 13.dxc5 Nxc5

 13…bxc5 なら 14.Rfd1 で白が黒の中央ポーンの一つを取りに行くだろう。本譜の手の欠点は黒のdポーンが孤立することで、そのため弱点となり攻撃目標にされる。

14.Rfd1 Nxa4

 代わりに 14…b5 15.Bc2 b4 16.Na5 Nce4 と指す変化もある。

15.Nxa4 b5 16.Rxc8 Qxc8 17.Nc3 Qc4

 黒は收局に双ビショップを残すためにクイーン同士を交換する狙いである。しかしこの局面ではそのような方針は誤りである。なぜならb7のビショップは活動していなくて、それの守っていなければならない孤立dポーンを捨てなければ決して働くことができないからである。

18.Nd4

 もちろん 18.Rd4 は駄目で、18…Qxe2 19.Nxe2 Rc8 のあと 20…Rc2 を防ぐ適当な手段がない。

18…Qxe2 19.Ncxe2!

 ナイトの連係動作に注目して欲しい。いわば鎖のように動いて、一方がd4にいるかそこへ行く態勢を維持している。ここで白は素通し列の占拠を狙っているので、黒の次の手は必然である。

19…Rc8

(第9局続く)

2014年12月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(140)

第2部

第8局(続き)

 (再掲)

41…c3

 41…Bxb2 でも勝ちだろう。もともと白は見込みがない表れである。しかしこのような場合指すべきは最もしゃれた手ではなく、相手に即投了を促す最も効果的な手である。

42.Rc2 cxb2 43.Rd3 Qe4! 44.Rd1 Rc3 白投了

 白が指すとしたらもちろん 45.Qd2 だが黒は 45…Rxa3 と指す。

(第8局終わり)

2014年12月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]理詰めのチェス(33)

第3章 チェスのマスターが自分の読みを解説する(続き)

第33局

 ルビーンシュタイン対マローツィ戦はみごとな総力戦である。ルビーンシュタインの序盤の効率的な展開は中盤での中央制圧に結びついた。そしてこれが終盤でのキング翼攻撃の前触れとなった。この試合の少なからぬ魅力はルビーンシュタインのナイト、ビショップ、ルークそれにクイーンがd5の地点を捌きの起点として利用した手法である。これらの駒はみな次々とこの地点を発着場として使用した。

クイーン翼ギャンビット拒否
白 ルビーンシュタイン
黒 マローツィ
イェーテボリ、1920年

1.d4

 中原をポーンで占拠し二つの駒が外に出る余地を作ったこの布局の手は効率が良い。白の意図は全ての駒をできるだけ迅速に展開し、しかもそれぞれ一手で最適の地点に配置することである。ポーンについては自分の展開(駒を動けるようにするか中原を攻撃する)を促進するか敵の展開を邪魔する場合だけ動かすつもりである。

1…Nf6

 これはどの点からも模範的な展開である。このナイトは攻撃に一番力を発揮できる可能性を持つ中原に向かって跳ね、重要な地点のd5とe4にすぐに圧力をかけ、白が 2.e4 で強いポーンの態勢を築くのを防いでいる。

2.Nf3

 白はまずキング翼の駒を展開してその方面に早くキャッスリングできるようにした。f3のナイトは布局で最も役に立つ地点に位置している。攻撃には好所である。例えばポーンのe5の地点の支配を補強している。そしてキャッスリングした後のキング翼の防御では並ぶものがない。

2…d5

 黒は無理やり主導権を奪うことはできない。白が不注意に指せば(布局で無駄な手を指したりポーンあさりをしたりすれば)そうできるが、通常の展開に対しては互角の形勢の達成で満足するしかない。

 黒の2手目は中原での白の圧力を無効にし自分の2個の駒のために筋を開けた。

3.c4

 これはポーン突きが適切である珍しい場面の一つである。この場合は黒の中原を攻撃し 4.cxd5 によって消滅させることを狙っている。さらに白の駒の活動(現実と可能性)を増す役目も担っている。即ちクイーンのために斜筋を開け、後でクイーンとクイーン翼ルークが利用できるようにc列が空くことを保証している。

3…e6

 黒はdポーンを別のポーンで支えた。白が 4.cxd5 で黒の中原を破壊しようとしてきても、このポーンで取り返してd5にポーンを維持し中原をそのままに保つ用意ができている。

 3…e6 はクイーン翼ビショップを閉じ込めてしまうという不都合があるが、それでも黒の最善手である。クイーン翼ビショップを効果的な地点に展開する困難さは大したことがないように思われるが、もし克服できなければ黒が駒損で指すことに等しくなってしまう。今のところは部分的な補償としてキング翼ビショップが自由に動ける。

4.Bg5

 この手は黒の指し手に大きな制約を加えている。黒のナイトを釘付けにしてナイトとその背後の駒に圧力をかけている。黒はキング翼がこのビショップによって押さえつけられている間は自由に動き回ることができない。

 長年の間白はこのビショップを自動的にf4に展開してきた。そこからは重要な斜筋を支配することができる。今日ではもっと強力で厳しい手が求められている。駒を動員すると同時に敵の展開を抑止することができれば、ありきたりのしばしば無害な手段よりも多くのことを達成することができる。ナイトに対する釘付けは黒の唯一展開した駒を麻痺させている。

4…Be7

 釘付けがこんなにも簡単にはずせるのになぜ大騒ぎするのだろうか。一つには釘付けからはずすためにビショップが防御的で守勢の役割に制限されるからである。ビショップの展開は白がナイトに圧力をかけたことによりもたらされたものである。

 とはいっても黒の指し手を見くびってはならない。ビショップの動きはささやかではあっても展開の過程における一歩である。このビショップは最下段を離れ強力な防御の位置を占め、キング翼を空けてキャッスリングを可能にしている。

5.e3

 ポーンは序盤ではあまり突かないようにすべきである。しかしビショップを働かせるためにはいくつかのポーンを突かなければならないのでこれは展開の手とみなされる。

5…Nbd7

 クイーンポーン布局ではクイーン翼ナイトの最適な居場所はc6でなくd7である。d7の地点からは白の中原に対していつかは突くeまたはcポーンを支援することができる。

 このナイトはc6に展開してはいけない。そこではcポーンの邪魔になってしまう。このポーンはc5の地点に進んで中原の支配を争うことができるのでそれを妨げるようなことをしてはならない。

6.Nc3

 反対にこのナイトはc3が絶好の地点である。cポーンを邪魔することがなく、中原の重要な4地点のうちd5とe4の2地点に圧力を加えている。

6…O-O

 黒はキングを安全な地点に移送しキング翼ルークを中央の列に近づけた。

7.Rc1

 ルークが攻撃に最も将来性のある列に回った。c1の地点からは素通し列全体を支配し圧力をかけることができる。この列は今のところは自分のナイトとポーンでふさがっている。しかしこのポーンは交換でなくすことができるし、ナイトは跳んで列を空けることができる。厳密にはこの列は片方にだけ素通しである。しかし片方だろうと両方だろうとルークは次の理由でc1に行くことになる。

 c列の支配はクイーン翼ギャンビットでは絶対必要不可欠である。

7…Re8

 黒ルークが中央の列に寄った。ここにいれば中央で何か動きがあった時に役に立つことがあるかもしれない。今のところはルークがこの列にいても大した影響はないが、この列から駒が退いていくにつれてその影響はどんどん強まっていく。

 黒陣は凝り形だがすぐにそれを解消しようとしても以下のように良い結果は得られない。

 a)7…dxc4 は 8.Bxc4 でビショップが展開すると同時にポーンを取り返して白がビショップに無駄手を指させずに済む。

 b)7…a6(8…dxc4 9.Bxc4 b5 10.Bd3 Bb7 と続けるため)は 8.c5 と応じられていっそう締め付けられる。

 c)7…c5 は 8.dxc5 Nxc5 9.cxd5 exd5(9…Nxd5 は 10.Nxd5 exd5 11.Rxc5! Bxg5 12.Rxd5 で白がビショップを得する)で中原に黒の弱いポーンができ、白はd4を利用して盤上の好きな地点に都合よく駒を捌くことができる。

8.Qc2

 ここはクイーンにとって盤上随一の好所である。c2の地点からこのクイーンはc列における圧力を強め、中原ににらみを利かし、黒の捌きを困難にさせている。

8…dxc4

 黒はがまんできなくなって束縛を脱しようとした。しかしこのポーン取りは遅らせて白がキング翼ビショップを動かすのを待っていた方が良かった。それからならば白のビショップに余計な1手をかけさせたことになる。

 代わりに黒は 8…c6 と突いて中原のポーンの態勢を強化しクイーンにクイーン翼への出口を与えた方が良かった。

9.Bxc4

 明らかに白は1手得をした。白のキング翼ビショップがポーンを取り返し同時に好所に展開した。

9…c5

 黒は反撃を目指さないといけない。さもないとつぶされる。この手は中原に争点をもたらしそのあたりの支配を争うので実戦的に最も有力である。さらにc列でルークを対抗させ同等の権利を争う準備にもなっている。

10.O-O

 圧力を維持する最も簡明な方法は展開を続けることである。白は1手でキングを安全な地帯に移しキング翼ルークを隅から中央に持ってきた。

10…cxd4

 黒の意図は白に中原の形を決めさせることである。白がポーンで取り返せば中原に白の孤立ポーンが残る。駒で取り返せば白のポーン中原は黒より優るとは言えなくなる。

11.Nxd4

 ルビーンシュタインは 11.exd4 よりもこの手を好んだ。11.exd4 は中原にポーンを維持するが孤立ポーンとなる。

 味方のポーンから引き離されたポーンの弱点はこのポーンに対する攻撃をポーンでなく駒でしか守れないということにあるのではなく、敵の駒がポーンの直前の地点(この場合ならd5)に居座って敵のポーンによって追い払われることがないという特殊な状況が起こることにある。

 中原の孤立ポーン(白が 11.exd4 と取り返したならばd4のポーン)の強みは戦略上の要衝のe5とc5を支配し、先頭に立って敵陣に突撃することができ、橋頭堡(この場合ならe5のナイト)の支えとなることにある。

11…a6

 この手は主としてb5の地点を白駒の侵入から守るためである。この手に対する異議は展開に寄与しないポーン突きは序盤で貴重な手を無駄にしているというものである。もっと適切な手は 11…Ne5 12.Bb3 Bd7 13.Rfd1 Qb6 で駒の動きを良くすることだった。

 注意すべきは白のポーン突きは駒を動けるようにする必要がある場合か既に展開した駒の働きをさらに良くする場合だけである。駒であろうとポーンであろうとどの1手も白の展開を推し進めエネルギーを高めてきている。

12.Rfd1

 ルークが中央の列に回って敵のクイーンと向かい合った。どんなに多くの駒がお互いの間にあっても狙いは絶えず発生するのでこのクイーンは気持ちが悪いに違いない。例えばもっともそうな 12…Nb6 でビショップを当たりにすれば 13.Nxe6 で両当たりによりクイーンが取られる。

 イェーツとウィンターはここのところで次のように賛美した。「本筋の展開の古典的な例である。白はクイーン、ルーク、ビショップそれに片方のナイトをそれぞれ1手でほとんど最適の位置に持ってきた。」

12…Qa5

 クイーンが砲火から逃げ、ビショップ当たりで少し手をかせごうとしている。

13.Bh4

 ビショップは逃げてもナイトに対する圧力は維持している。

13…Ne5

 白のもう一つのビショップが脅かされ、黒がもっと手をかせげそうに見える。

14.Be2

 これで両方のビショップが押し返されたがそれでもその潜在力は計り知れない。双ビショップが協調して事に当たり長斜筋でお互いを補い合う潜在的な可能性を正しく評価すれば 14.Bd3 のような手は候補手から除外される。この手は 14…Nxd3 で短距離のナイトを長距離のビショップと交換させてしまう。要は次のとおりである。

 双ビショップを保持することは有利である。

14…Ng6

 ナイトがキング翼に回って黒枡ビショップを当たりにしてさらに下がらせる。この間にますます多くの障壁が黒キングの周りに築かれた。まるで防空壕の塹壕をしっかり張り巡らせたようである。

 敵のビショップを攻撃してずいぶん手を稼いだように見えるけれども、黒はクイーン翼で何とかして駒を元の位置から出すべきだった。例えば 14…Bd7 とすれば 15.Nb3 Qc7 16.Qb1 Bc6 となって堂々と戦うことができる。

15.Bg3

 ビショップは1枡下がってナイトに対する圧力をゆるめなければならない。しかし今度は絶好の斜筋ににらみを利かしている。

 黒は一方のビショップをなくさせるために追い続けることはできない。15…Nh5 なら 16.Nb3 Qg5(ナイトを守っていないといけない)17.Ne4 Qh6 18.Bc7 で白が盤上を席巻する。

15…e5

 これは非常に魅力的な手である。このポーンは次のようにあらゆることをしている。

 a)中原の枡を占めた。

 b)クイーン翼ビショップの筋を通した。

 c)白の黒枡ビショップの筋をさえぎった。

 d)白ナイトを中央の地点から追い払う。

 これに対してささいに思えるが難点が一つある。それはd5の地点にポーンの利きがなくなったので弱体化したということである。白はこの中原の地点を利用して盤上のどこへも容易に駒を捌いていくことができるようになった。

 この一つの負債が全ての資産を上回るのだろうか。正確な読みが不可能でチェスを芸術と科学の素晴らしい融合にしているのはこのはっきりと評価できないものの判断である。

16.Nb3

 ナイトは退却しなければならないが敵クイーンに当てて仕返しをした。

16…Qc7

 クイーンが当たりをかわし、たぶん 17…Bd7、18…Bc6 から 19…Rad8 とする駒の再編制の用意をした。

17.Qb1!

 これは白の連続5手目の退却である。しかしそのたびごとに駒の配置が良くなった。自陣の3段目までに駒が押し込められたが白の駒は動的なエネルギーを得た。これらの駒はしだいにより強固な地点を占め盤上を支配し敵を敗走させるだろう。

 黒はもうクイーン翼ビショップを展開させる余裕がない。17…Bd7 なら 18.Nd5 Qd8(18…Nxd5 なら 19.Rxc7 Nxc7 20.Rxd7 で白の勝ち)19.Nc7 で白が交換得する。

17…Qb8

 黒クイーンは退却を強いられた(c3のナイトが動くと当たりになる)。一方白クイーンは自発的にb1に動いた。

 陣形の差は次のように明らかである。

 a)白クイーンはルークの邪魔になっていないし、ルークは両方とも素通し列を支配している。黒のクイーンとビショップはルークを分断していて、一つのルークは完全に閉じ込められもう一方は動きがひどく制限されている。

 b)白には敏捷で遠くに利いている二つのビショップがある。黒にはそのようなビショップは片方だけでもう一つのビショップはまだ展開していなくて元の位置に留まっている。

 c)白クイーンは迅速に戦いに加わることができる。黒クイーンは盤のふちにこそこそと隠れていなければならない。

18.Bf3

 ビショップが対角斜筋を制圧して、黒が 18…b5 からビショップをフィアンケットするのを防いだ(19.Bxa8 とルークを取られる)。

18…Qa7

 黒は遠回りに捌こうとしている。ルークをb8に寄せポーンを …b5 と突きクイーン翼ビショップをb7に展開させたがっていることは明らかである。

19.Na5!

 これは予防の好手である。19…Rb8 から 20…b5 なら 21.Nc6 で交換得になる。すぐに 19…Bd7 または 19…Be6 とくればb7のポーンが取れる。

 白が自分の駒の展開を図っているだけでなく黒駒の展開を妨げていることに注意して欲しい。

19…Bb4

 黒はクイーン翼の駒の自由な動きを妨げているナイトを追い払おうとしている。

20.Nc4

 ナイトは逃げなければならないが代償に中央に近づく利点を得た。

20…Bd7

 ビショップが展開できる唯一の地点に動いた。代わりに 20…Be6 は 21.Nxe5 でポーンを取られるし 20…Bg4 は 21.Bxg4 Nxg4 22.Nd5 で 23.Nxb4(駒得)と 23.Nc7(交換得)の両方の狙いが受からない。

21.Nd5!

 ナイトがd5に跳ねてあちこちの駒を攻撃している。一つのビショップは直接当たりにし(22.Nxb4)もう一つのビショップは間接的に 22.Nxf6+ gxf6 23.Rxd7 で狙っている。これらに加えて 22.Nc7 の狙いもあり両方のルークを当たりにして交換得になる。

21…Nxd5

 そんな危険なやつは取り除かなければならないのは明らかである。

22.Bxd5

 白はビショップで取り返して 23.Bxf7+ Kxf7 24.Rxd7+ によるポーン得を狙っている。黒がこの狙いをかわすために自分の手がけていることを全部中止しなければならないので白が先手を取れる。

22…Be6

 黒は自分のキング翼を攻撃しクイーン翼を抑えている恐ろしいビショップを取り除かなければならない。22…Bc6 ではうまくいかない。それは 23.Bxc6 bxc6 24.Qe4 でcポーンかeポーンが取られる。

23.Qe4!

 この手はあらゆる観点からしてマスターの手で、大局観指法におけるこの一手である。我々のほとんどが 23.Bxe6 と交換した後どうなるだろうかと考えるところで偉大なマスターは盤上から消えなければならない駒を別の駒で置き換える好機として交換をとらえている。白はビショップを別の駒で置き換えてもd5の地点の支配が続くという保証が得られる限り交換をいとわない。

 言おうとしていることが正しく伝わるように言い換えてみよう。

 攻撃されている駒(ここではd5のビショップ)を支えれば黒にもっと圧力をかけることになる。交換に応じたり退却したりすると圧力をやわらげてしまうかもしれない。

 中央の絶好点にいるクイーンの強烈な効果と多方面に及ぼす影響力には特に注目する必要がある。

 a)d5のビショップを支えている。

 b)ビショップのb7のポーンに対する当たりに力を貸している。

 c)e5のポーンに対する攻撃を助けている。

 d)間接的にb4のビショップを狙っている。

23…Bxd5

 白のいろいろな狙いを考えればほとんど必然である。クイーンを追い払おうと 23…f5 と突くのは無慈悲に 24.Qxf5 と取られ(ビショップが釘付けのために)このクイーンを取ることができない。

24.Rxd5

 黒は邪魔な駒を消し去ったが別の駒をその地点に来させただけだった。白がd5の地点に駒を据えるのはこれで三度目である。そのたびに局面の締め付けが強まっている。今やルーク、ナイト、ビショップそれにクイーンの4駒がe5のポーンに当たっている。黒がこのポーンを助けている間に白はd列でルークを重ねる手数が得られ、この重要なハイウェーを恒久的に所有することが保証される。その結果として黒の兵力の連絡を断ち切り組織的な抵抗を難しくさせる。

24…Rac8

 e5のポーンを攻撃している駒の一つを釘付けにすることにより間接的にこのポーンを守った。

 白は頓死するのでナイトでは取れない。ルークまたはクイーンで取るのは駒損になる。残るは 25.Bxe5 だが白には 25…f6 の用意があり 26.Bd4 Rxe4 27.Bxa7 Rexc4 で黒の駒得になる。

25.Rcd1

 素通し列でルークを重ねるのはルークの威力を倍以上にさせる。これで白ナイトの釘付けが解消しe5のポーンに対する狙いが復活した。ナイトが動けばb4のビショップが当たりになる。

 理論的には白の勝ち試合である。そしてルビーンシュタインは効率的で芸術的な手法で勝ちを成し遂げた。

25…Bf8

 黒はむき出しのビショップ(26.Nxe5 から 27.Qxb4 で取られる)を防御のために引いた。

 25…f5 ですぐに反撃するのは次のように白が勝つ手順がある。26.Qxf5 Rxc4 27.Rd8! Rxd8 28.Rxd8+ Nf8 29.Qe6+ Kh8 30.Qxc4 これで白が交換得する。

 本譜の手の後黒は 26.Nxe5 に対して 26…f6 で不運な駒を釘付けにする。さらに黒は 26…f5 を狙っていて 27.Qd3(ナイトを守るため)の後 27…f4 でビショップに災難をもたらす。

26.b3

 クイーンがナイトを守る役目から解放され 26…f5 のような手も防いでいる。この手はポーンが取られてしまうだけである。

 本譜の手に対して黒が消極的な手を指せば白は 27.Rd7 で7段目に侵入する。

26…b5

 この手の目的はナイトをどかせて何かしようということではなく、クイーンの横筋を開けてキング翼に戻れるようにしキングを守る意図である。

27.Nd6!

 ナイトの両当たりで交換を強い、白の有利な単純化を誘っている。白は不必要な乱戦の危険を冒さずに、優勢な局面に内在している圧力を維持している。

 実際のところ早まった攻撃は白の敗北を招くかもしれない。次のような華々しい可能性が考えられる。27.Nxe5 f6 28.Rd7(一見して白がしのいでいる。ルークで敵クイーンを攻撃し次に 29.Qd5+ でナイトの釘付けをはずす狙いである)28…Qxd7! これで黒が勝つ。白がルークで取り返せば頓死が待っている。29.Nxd7 なら 29…Rxe4 で黒がルーク得になる。

27…Bxd6

 ナイトが両方のルークに当たっているので黒は選択の余地がない。

28.Rxd6

 この取り返しでd5の地点が空き白クイーンがそこを占めることができる。d列で大駒が三つ重なれば白のこれまでの優勢が拡大する。しかしもっとすごい狙いは 29.Rd7 で7段目に橋頭堡を築くことができるかもしれないことである。

 中盤戦や収局でルークが7段目にいると陣形的に非常に有利である。

28…Rc7

 黒は敵ルークを締め出すためにできることを行ない、侵入口をすべてふさいだ。

 白は陣形的に優っているがどのように突破口を開いたらよいだろうか。

 ルビーンシュタインがこれからの指し手を熟慮する際に自問自答すると思われることに耳を傾けてみよう。

 味方のルークはどちらもこの上ないほど良い地点にいて素通しのd列の支配に良く働いている。クイーンは中央に居座ってどの方面にも圧力をかけている。ビショップはeポーンに狙いをつけ敵のルークとナイトをその守りに縛り付けている。味方の駒はどれも好所で働いていてその地点にいなければならない。

 敵はどうだろうか。防御は何とかなっているが敵の駒は弱点を守るためにその地点にいなければならない。黒を好きなようにさせると陣容をまとめて反撃さえしてくるかもしれない。

 黒を好きなようにさせると・・・

 まてよ、これが局面の鍵じゃないか?

 黒を好きなようにさせるわけにはいかない。敵の駒の配置に邪魔をしなければならない。敵の駒を現在の地点から追い払わなければならない。実際敵駒の一つを追い払っただけでも敵は崩壊するだろう。

 味方の駒はどれも今の地点で働いている。だからそれを動かすわけにはいかない。しかし敵の防御を打ち破るために味方のポーンに目を向けてみよう。どのポーンを使ったら良いだろうか。そして敵のどの駒をどかすべきだろうか。

 やるべき最初のことは目標を見つけることである。敵のクイーンとルークは遠過ぎるし敏捷なのでポーンでは邪魔できない。どちらも列や段の別の地点に移ってなお支配を続けることができる。だから固定された目標を見つけなければならない。それはその地点で良く働いていてそこを離れれば役に立たなくなる駒である。ナイトはどうだろうか。もし 29.h4 と突いて次に 30.h5 とつついたらどうだろうか。ナイトは守りの好所をすぐに立ち退かなければならないだろう。ナイトはどこに行ったらよいだろうか。e7に行けばルークの利きを邪魔する。最下段に下がれば一時的に遊んでしまう。その上hポーン突きには他の利点もある。それはキングに逃げ道ができて最下段での頓死がなくなるということである。

29.h4!

 これが攻撃の決め手である。30.h5 でナイトをどかせeポーンを取る狙いであることは明らかである。隠れた目的は危険にさらされたポーンを 29…f6 で守らせ黒キングの周りのポーンの非常線を弱体化させることである。30.h5 から 31.h6 でgポーンを攻撃されればさらに弱点が生じる。

29…f6

 明らかにしっかりした支えをeポーンに与えることができるのは隣のポーンだけである。

 代わりに 29…Rce7 と守るのは 30.Qc6 から 31.Rd8 で白が簡単に勝つ。一方 29…h5(30.h5 を防ぐため)は 30.Qf5 でこのポーンが取られてしまう。

30.Qd5+

 この手は単純で強力である。クイーンが堂々とd5の地点を占め敵キングに通じる斜筋を支配すると同時に中央の素通し列に大駒を三重に重ねた。注目すべきはd5の地点を軸として使っていろいろな駒を捌いた見事さである。この地点はナイト、ビショップ、ルーク、クイーンとかわるがわる占拠された。それもぴったりと駒の強さの順である。

30…Kh8

 安全のために隅に寄った。代わりに 30…Rf7 なら 31.h5 Nh8 32.h6 で囲いを破壊される。また 30…Kf8 なら 31.h5 Nh8 32.Rd8 Nf7 33.Rxe8+ Kxe8 34.Qe6+ Kf8 35.h6 Re7(他に受けはない。35…Nxh6 なら即詰みになるし 35…gxh6 なら 36.Qxf6 で収局は黒にとって破滅的である)36.Qc8+ Re8 37.hxg7+ でルークが取られる。

31.h5

 ナイトを守りの好所から立ち退かせるだけでなく黒陣にくさびを打ち込もうとしている。

31…Nf8

 他に考えられる手は 31…Ne7 だけだが白は 32.Qf7 で楽に勝つ。この手には多くの狙いがあるが面白い変化のいくつかを見てみよう(32.Qf7 と指した後)。

 32…Rg8 は 33.Rd8 Rcc8 34.h6(35.hxg7# の狙い)Rcxd8 35.Rxd8(同じ狙いが復活)gxh6 Qf6# で詰む。

 この手順中 34.Qxg8+ Nxg8 35.Rxc8 から 36.Rdd8 も白の楽勝である。

 32…Qb8 は 33.h6 gxh6 34.Bxe5 fxe5 35.Rxh6 Ng6 36.Rxh7# で詰む。

 32…Rcc8 は 33.h6 gxh6 34.Bh4 から 35.Bxf6# の狙いである。黒はナイトでその詰みを防ぐとクイーンが取られる

 白はこれらの変化のうちどれくらいを読んでいたのだろうか。それに黒もどのくらいこれらの変化を読んでナイトをe7でなくf8に引くことにしたのだろうか。

 その答えは、たぶん全然読んでいない、である。熟達した選手は決め手となることが明らかな手の効果をほとんど一目で見抜くことができる。31…Ne7 のような受けの手段をわざわざ読まないことにより貴重な時間を節約することができる。要するに 32.Qf7 のような急所に侵入させて麻痺させることはほんのちょっとの考慮からも排除されるのである。

32.h6

 さらにくさびを打ち込んだ。白の目的は黒キングの周りのポーンによる囲いを解体することである。黒のgポーンを取り去ることができれば黒陣の要であるfポーンが攻撃に弱くなる。そしてこのfポーンが落ちれば黒陣全体が陥落する。

 白のとりあえずの狙いは 33.hxg7+ Kxg7 34.Bh4 Rf7 35.Qc6 でe8のルークを当たりにすることとf6のポーンを三重当たりにすることである。

32…Ng6

 黒はナイトをまた働かせて白が 33.Bh4 でfポーンを再び攻撃してくるのを防いだ。32…gxh6 と取るのは 33.Rxf6 Rd7 34.Bxe5! Rxd5(34…Rxe5 は 35.Rxf8+ から詰む)35.Rxf8# できれいに詰まされてしまう。

33.Qe6!

 目くるめく手である。白はクイーン捨てで観戦者に受けようとしているのではない。白がしたいのは黒陣の急所にさらに深く侵入することで、これが最も簡明な方法である。そうは言ってもこれはやはり華々しい手で、このような手を指すのは(人が指しても)興奮を覚える。

 相手の度肝を抜くような手をひねり出す興奮が好きな選手に警告したい。局面がそのような手を保証していないのに派手な手をずっと捜し求めるのは時間の無駄である。いかにわずかではあってもまず有利さを得なければならない。優勢がゆるぎない局面を確立するまで有利さを増すように努めなければならない。手筋を探す権利を確保したら華麗な手はひとりでにやって来る。

 白はもちろん黒がクイーンを取って 34.Rd8+ で頓死を食らうようなことを期待しているわけではない。白が主として念頭に置いているのはd7の地点を完全に支配することである。この地点は白ルークが活躍するのに重要な地点である。

 この局面で筆者にとって最も興味を引くことの一つは白が三つの段で相手を壊滅させる狙いを持っていることである。

 a)8段目では 34.Qxe8+ からの詰みを狙っている。

 b)7段目では 34.Rd7 から 35.hxg7# で詰ます狙いを持っている。

 c)6段目では 34.hxg7+ Kxg7 35.Qxf6+ で白の楽勝になる。

33…Rf8

 白のいろいろな狙いを考えれば黒には選択の余地があまりない。黒はこの手でfポーンに守りを加えた。

34.Rd7

 狙いは 34.hxg7# の一手詰みである。

34…gxh6

 34…Rxd7 は助けにならない。35.Rxd7 と取り返されてキング翼での詰みとクイーン翼でのクイーン取りを狙われる。34…Rg8 も 35.hxg7+ Rxg7 36.Rd8+ から詰みになる。

35.Bh4!

 25手の間1地点に留まっていたビショップが最後の仕上げを務めた。狙いは 36.Bxf6+ Rxf6 37.Qxf6+ Kg8 38.Qg7# である。

35…投了

 35…Nxh4 なら 36.Qe7 から 37.Qxf8# または 37.Qg7# または 37.Qxh7# である。こんな女性パワーの見せびらかしには誰も耐えられない。

 この試合は感動的で大いに満足を覚える。チェス史上傑作の試合の一つである。

(完)

2014年12月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: [復刻版]理詰めのチェス

チェスの基本(139)

第2部

第8局(続き)

 (再掲)

36.cxb4 Qxb4

 これで黒にパスポーンができ、ビショップは強い圧力をかけている。白は 37.Rxd5 と取るわけにはいかない。なぜなら 37…Rxd5 38.Rxd5 Bxb2 39.Qxb2 に 39…Qe4+ でルークを取られて、黒のパスポーン得になるからである。

37.a3 Qa4! 38.Rxd5 Rb8 39.R1d2 c4 40.Qg3 Rb3 41.Qd6

(第8局続く)

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カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(138)

第2部

第8局(続き)

 (再掲)

 当面の私の作戦はいたって単純である。ビショップをf6の地点に持って行ってから …h6 と突くことにより私のキングに対する白の攻撃を無力にさせポーンを g5 と突くのも防ぐようにする。キングが安全になったからには、4対3で有利なクイーン翼のポーンを突き進め始める。そしてその優位がf6のビショップの大きな攻撃力と相まって、少なくとも白と同等の展望をもたらしてくれる。

25.Qf3 Be7 26.Rde2 Bf6 27.Qh5 h6 28.g4 Kh7!

 この手は 29.h4 突きを防ぐためである。そう突いてくれば 29…g6 で白クイーンが取れる。これで私のキングは攻撃から安全だとみなすことができる。白はクイーンをh3に引かなければならず、黒は手得を生かしてクイーン翼のポーンを突き始めることができる。

29.Kb1 Rd8 30.Rd1 c5

 白が防御に回るにあたりルークを戦略の観点から正しい位置に置いたことに注意して欲しい。どちらも黒ビショップの当たりを受けない白枡にいる。

31.Qh3 Qa4

 この手はルーク当たりの先手で、gポーンにも当たっているためh3の白クイーンを当面は留め置いている。その上攻撃がうまくいくように黒クイーンは戦いの真っただ中にいなければならない。戦力は白の方が優っているので黒は思いどおりになるすべてを使って攻撃を成功させなければならない。

32.Red2 Qe4+ 33.Ka1 b5

 黒は 34…b4 を狙っている。そうなればビショップの斜筋が通りパスポーンもできる。

34.Qg2 Qa4

 この手は間接的にdポーンを守っている。35.Rxd5 には 35…Qxd1+ があるので白は取れない。

35.Kb1 b4

 攻撃が白キングに対ししだいに直接的になってきたので強力さが増している。局面は今が最も面白くてきわめて難かしい。黒の最善の手に対して白にうまい受けがあるのかどうか疑わしい。変化はあまりに多くて難解である。

(第8局続く)

2014年12月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

布局の探究(124)

「Chess Life」1995年5月号(4/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

無から有を生じさせる(続き)

グリューンフェルト防御 [D79]
白 GMアナトリー・カルポフ
黒 GMヤン・ティマン
FIDE世界選手権戦24番勝負第12局、1993年

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nf3 Bg7 4.g3 c6 5.Bg2 d5 6.cxd5 cxd5 7.Nc3 O-O 8.Ne5 e6 9.O-O Nfd7 10.f4! Nc6 11.Be3 f6

 前局のように締め付けられるのを避けるためにナイトを追い払う。前の手ですぐに 10…f6?! と突くのと本譜との大きな違いは、黒が1手展開が進んでいて白のクイーン翼ビショップがe2ポーンをふさいでいるので黒が白の早い e2-e4 突きを恐れる必要がないということである。

12.Nd3 Nb6 13.b3 Bd7

 小駒の展開の完了はカルポフ対ティマン戦(挑戦者決定決勝番勝負第4局、1990年)で指された 13…Qe7?! より明らかに優っている。14.a4 Bd7 15.Bc1! Rfd8 16.e3 Be8 17.Ba3 Qf7 のあと白は 18.g4! と突いて 19.g5 で黒枡の支配を図っていれば楽に盤全体で優位を保持できていた(ティマン)。

14.Bf2 Qe7 15.Rc1 Rad8 16.Rc2 Be8 17.Rd2 Nc8 18.e3 Nd6 19.g4!

 黒は白の中央でのどんな野心も迎え撃つ態勢が整っているので、GMカルポフはキング翼で陣地を広げそれからc列で様子を見る用意をしている。黒はいつまでも警戒しなければならない。

19…Kh8 20.Qe2 f5 21.g5 Ne4 22.Rc2! Nb4?!

 黒はc列を無効にする見通しについて楽観的すぎた。特に白はクイーン翼の黒枡で圧倒的に圧力をかけようとしている。だから後知恵になるが黒は 22…Nxf2! で白の「不良」クイーン翼ビショップを始末すべきで(そしてまたも 24…Nxf2! で)、白はそれを 23.Nxe4! で防ぐべきだった(GMティマンとGMセイラワンによる分析)。

23.Nxb4 Qxb4 24.Rfc1?! Bc6?! 25.Be1 Qe7 26.Nxe4! dxe4 27.Bf1! Rc8 28.h4 h5 29.Qd2! Qd7 30.Qa5 a6 31.Bb4 Rfe8 32.Bc5?

 チェスの怖い所はほんの一瞬の不注意でそれまで営々と築き上げてきたものがすべて駄目になることがあるということである。本譜の手のあと黒は急所のc列を無効にすることができ、白の優勢の90%が消える。正着は 32.Qb6! で(33.Bxa6 を狙う)、やむを得ない 32…Ra8 のあと黒は苦境に立たされる。白は 33.a4 でもっと陣地を拡張でき(セイラワン)、好きなように最適な仕掛け方を考えることができる。

32…Bd5! 33.Bb6 Rxc2 34.Rxc2 Rc8! 35.Rxc8+ Qxc8 36.Qc5 Qxc5 37.Bxc5

 ここでは白がまだ少し優勢であることは疑いないが、決め手となるような敵陣突破はどこにもなく、黒は白キングのクイーン翼への侵入を防ぐことができる。

37…Kg8 38.Kf2 Kf7 39.Ke1 Bf8 40.Kd2 Be7! 41.Bxe7 Kxe7 42.Kc3 a5 43.a3 b6 44.b4 Kd7 45.Bb5+ Kd8 46.Bc4 Kc7 47.Bb5 Kd8 48.Ba4 Ke7 49.Bb3 Bc6 50.bxa5 bxa5 51.Bc4 Kd6 引き分け

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2014年12月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探求2

チェスの基本(137)

第2部

第8局(続き)

 (再掲)

16.Bxe2! Rxe2 17.Ne4! Rxe4 18.Qxe4 Qg5+ 19.f4 Qb5 20.c3 Bc5 21.Rhe1 Qc6 22.Rd5

 22.Qxc6 と交換していれば白は適切に指せば勝てるくらいの明らかな優勢になっていただろう。しかしミーゼスは交換得だけれど1ポーン損の收局の困難さを恐れて、盤上にクイーンを残し攻撃し続ける方を好んだ。一見したところ、そして注意深く分析した後でさえ、彼の作戦には何も難点がないように思われる。しかし実際にはそうではない。ここから局面はしだいに黒の有利に傾いていき、ついには交換得の白が負けてしまう。

22…Qd7 23.f5 c6 24.Rd2 d5

(第8局続く)

2014年12月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(136)

第2部

第8局(続き)

 (再掲)

13…Bg4

 これはひどい悪手だった。局面は非常に面白い状況で、一見黒が危険なようだけれども実際はそうではない。正着は 13…Rg4 で、14.Bxd4 Rxd4 15.c3 Bxc3 16.bxc3 Rg4 17.Qe3(最善)17…Qxc3+ 18.Bc2 Qxe3+ 19.fxe3 Rxg2 と進めば、黒がナイトの代わりに4ポーンを得ている上に白のポーンがすべて孤立しているので優勢になる。

14.Ng5! Rxe3

 こう取るしかなかった。

15.Qxg4! Ne2+

(第8局続く)

2014年12月02日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本

チェスの基本(135)

第2部

第8局(続き)

 (再掲)

10…Qf6

 白がポーンを取り返す狙いは、駒を展開する手を稼ぐ意図にすぎなかった。黒は 10…d6 と突いてクイーン翼ビショップの筋を通すこともできた。そのあとは 11.Bd3 Re8 12.Nf3 と続いて、白がすぐに黒キングに対する強力な直接攻撃を始めることになる。黒は本譜の手で本書に説かれた原則にのっとって白から主導権をもぎ取ることを目指している。

11.Nh3

 11.Bxc7 と取ると 11…d6 で白ビショップが完全に遮断され、助け出すことができるとしても陣形をひどく損ねることになる。本譜の手は主導権を維持するために迅速に展開することを目指している。

11…d6

 これは展開の手になっているだけでなく、12…Bxh3 で駒得する狙いがある。

12.Bd3 Nd4

 この手は局面を不必要に混乱させた。11…Re8 が簡明で完全に安全な手である。

13.Be3

(第8局続く)

2014年12月01日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェスの基本