2014年04月の記事一覧

布局の探究(97)

「Chess Life」1994年5月号(5/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

迅速展開の伝道者(続き)

黒で(続き)

エバンズギャンビット [C52]
白 N.マラシュ
黒 ポール・モーフィー
ニューヨーク、1857年

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4 Bxb4 5.c3 Ba5 6.d4 exd4

 現代なら 6…d6 と突いて受ける。モーフィーは黒番のときでさえ危険が許容範囲と判断できたなら、躊躇なくより開放的な局面に向かった。

7.e5?

 白は犠牲にした戦力の代償として迅速な展開を目指さなければならない。本譜の手は展開を助長していなくて、てきめんに咎められる。7.O-O と展開するのが妥当で、それに対し定跡では 7…Nge7 が唯一の正着でいずれ互角になるのが最も可能性のある結果と考えられている。

7…d5! 8.exd6e.p. Qxd6 9.O-O Nge7!

 このようにキング翼を展開するのが適切である。

10.Ng5?

 白はこのようなナイトの襲撃から何かを期待するには展開が不足している。10.Ba3 Qf6 11.cxd4 が理にかなっていてポーンの代償がある。

10…O-O 11.Bd3

 白が新兵を投入するよりも同じ駒を再び動かすことにより攻撃しようとしていることに注意して欲しい。だからモーフィーは展開を完了し交換損の犠牲により安全に戦力の優位を得られると決断した。彼は2、3個のポーンと明らかな主導権を得ることになる。

11…Bf5! 12.Bxf5 Nxf5 13.Ba3 Qg6 14.Bxf8 Qxg5!

 14…Rxf8 と比較すると手得になる。

15.Ba3 dxc3

 黒は交換損の代わりに3ポーンを取り、ナイトが好所に位置し、クイーンがよく利いていて、…Rd8 もやがて来る。白はクイーン翼が未展開で(ここにおいても!)、黒の主導権に対処できる可能性もない。ビショップをキング翼の援軍に向かわせようとするのも不十分だが、ほかに適当な手段がない。

16.Bc1 Qg6 17.Bf4 Rd8 18.Qc2 Ncd4

 黒はちょうど盤の白側の中央の地点に入り込んだが、白は展開不足のためにここをほったらかしにしたままだった。

19.Qe4

 クイーンはここで安全な感じだが、それにもかかわらず電撃のナイト跳びに衝撃を受ける。

19…Ng3!! 白投了

 白クイーンは二重当たりになっていて、自然な 20.Qxg6 は絵のような 20…Nde2# で詰まされる!

 まとめると、ポール・モーフィーは上記の試合すべてに勝ってまったく当然である。それでも彼の華麗な手筋は、相手が開放的な局面で迅速に目的を持って展開する必要性を認識できないことにより可能となった。まだ記憶に残っているように1回は相手がキング翼を展開しなかったし、ほかの3回は相手がクイーン翼の展開を怠った。

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2014年04月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探究1

カロカン防御の指し方(127)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

7.Bd3 c5!

 黒はこの決断を延期してまず 7…Be7 と指すこともできる。しかしcポーン突きは以前に見たように黒の作戦の一部であり、この刻面では中央の形を決めるのに役立つので延期する正当な理由はない。

8.O-O cxd4

 しかしここでは 8…Be7 にも大いに言い分があり、白の方からポーン交換をしてくることが期待できる。そうなれば黒はd7のナイトで取り返すことができ駒の働きが良くなる。だが本譜の手でも何も悪いことはない。

9.Nxd4 Bc5

 黒は代わりにd4のナイトをそのままに 9…Be7 と指すこともできる。実のところ本譜の手は 10.Nf3 を誘って白を手助けすることになるかもしれない。というのはこのナイトはf3からいつかe5の好所に行くかもしれないからである。しかしナイトを引かせたからといって黒を非難する理由はない。

10.Nf3

 10.Be3 には 10…Nd5! で黒は駒を少し交換しナイトをほぐして布局の課題をすべて解決する。

10…O-O 11.Qe2

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

カロカン防御の指し方(126)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

 6…g6 の局面

 黒はこのあと 7…Bg7 から 8…O-O と指すつもりである。そしてナイトがd7から動けばクイーン翼ビショップが展開できる。…e7-e6 がうまくいかない戦型でも黒が展開を完了できることがよくあるので、これは非常に重要な展開法である。黒で 4…Nd7 の戦型を指すつもりならば、6…g6 から生じる局面をしっかり研究し理解しておくとよい。これを安全策として確保しておけば、格上や定跡に精通した相手に対してさえ中盤戦で互角に渡り合うことができるかもしれない。例えば 6.Nxf6+ Nxf6 7.Ne5 の戦型で、黒が 7…Be6 のあと …g7-g6 と展開することにより危険な乱戦を避けることができるのを前に見た。

 上図の局面で黒は白が普通の展開を選択すれば明快な進路がある。例えば 7.Bc4 Bg7 8.O-O O-O 9.Qe2 Nb6! 10.Bb3 Bg4! となれば、自分の問題のビショップを交換したあと黒は不満のない局面になる。

 攻撃的な選手なら白で 7.h4!? Bg7! 8.h5 O-O! のように指してくるかもしれない。黒は白の攻撃的振る舞いを恐れてはならず、キャッスリングして駒の交換に努めなければならない。例えば 9.hxg6 hxg6 10.Bc4 e5! という要領である。この最後の手は多くの布局で役に立つかもしれない重要な技法である。白がポーン得するように見えるが、11.dxe5 Nxe5! 12.Nxe5 Qa5+! 13.c3 Qxe5+ となって黒が好調である。

 だから 6…g6 は完全に指せる手であると結論づけることができる。それにもかかわらず最もよく指される手は 6…e6 である。

(この章続く)

2014年04月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: カロカン防御の指し方

ポルガーの定跡指南(126)

「Chess Life」2006年2月号(3/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ルイロペスの有名なベルリン收局(C67)(続き)

C)カスパロフ対クラムニクの激突

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.d4 Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.dxe5 Nf5 8.Qxd8+ Kxd8 9.Nc3 h6

 2000年ロンドンでの番勝負の第1局と第3局でクラムニクは 9…Bd7!? を試し、10.b3 h6 11.Bb2 のあと 11…Kc8 でキングをクイーン翼に進出させる手を選んだ。

 第1局でカスパロフは初期反応として 12.h3 b6 13.Rad1 Ne7! と指した。これはこの布局におけるナイトの典型的な捌きである。今のところこのナイトはd5の地点を守っているが、通常はg6の地点に落ち着く。

 14.Ne2 Ng6 15.Ne1 白は 12.f4 と突く手を準備している。15…h5 この手もこの戦型ではよくある着想で、白のgポーン突きを抑止し、それと同時に側面からルークを(h5に)出す手を用意している。16.Nd3(16.f4 は 16…Ne7 でf5の地点を支配される)16…c5 17.c4 a5 18.a4(黒ポーンがa4まで進むのを止めるため)18…h4 19.Nc3 Be6 20.Nd5 Kb7 21.Ne3 Rh5 22.Bc3(22.f4 Ne7 =)22…Re8 23.Rd2 Kc8 24.f4 Ne7 25.Nf2 Nf5 引き分け

 第3局でカスパロフは 12.Rad1 を選択した。そして 12…b6 13.Ne2 c5 14.c4 Bc6 15.Nf4 Kb7(たぶん 15…Bxf3!? 16.gxf3 Be7 で白のキング翼のポーン陣形を乱した方が良かった)16.Nd5 Ne7 17.Rfe1 Rg8 18.Nf4 g5 19.Nh5 Rg6 20.Nf6 Bg7 21.Rd3 Bxf3 22.Rxf3 Bxf6 23.exf6 Nc6 24.Rd3 と進んで白が少し優勢だったが、53手で引き分けに終わった。

10.h3

 第9局でカスパロフは次のように指した。10.Rd1+ Ke8 11.h3 a5 12.Bf4 Be6 13.g4 Ne7 14.Nd4 Nd5 15.Nce2 Bc5 16.Nxe6 fxe6

17.c4 Nb6 18.b3 a4 19.Bd2 Kf7 20.Bc3 Rhd8 21.Rxd8 Rxd8 22.Kg2 Rd3 23.Rc1(23.f4 g6 =)23…g5 黒駒がよく利いている。試合はこのあとまもなく引き分けに終わった。

10…Ke8 11.Ne4 c5 12.c3 b6 13.Re1 Be6 14.g4

 これは第13局で、合意の引き分けになった。

 世界選手権戦の二、三か月後2巨頭はベイクアーンゼーでのコーラス最高峰大会で再び相まみえた。どうなったか見てみよう。

カスパロフ対クラムニク

9.Nc3 Ke8 10.h3 Be7 11.Bg5

11…Bxg5

 ビショップ同士の交換を避ける 11…Bb4 という手もあり、1997年フローニンゲンでのファン・デン・ドゥール対マイルズ戦では 12.Ne4 Be6 13.c3 Bf8 14.g4 Ne7 15.Nd4 Bd5 16.Nd2 c5 17.Nb5 Kd7 18.Bf4 Kc6 と進んで黒が好形になった。

12.Nxg5 h6 13.Nge4 b6 14.Rfd1 Ne7 15.f4 Ng6 16.Rf1 h5 17.Rae1 Bf5 18.Ng3 Ne7!

 18…Bxc2?! で犠牲を受諾するのは危険すぎる。それなら白は 19.f5 Nf8 20.Rf2 Bd3 21.Rd2 Ba6 22.e6 と指すことができる。

19.Nxf5 Nxf5 20.Kf2 Nd4 21.Rc1

 ここは 21.Rd1!? の方が良かった。もし 21…Nxc2 と取ってくれば 22.Rd2 Nb4 23.Rfd1 でルークがd7に侵入できる。しかし黒は 21…Rd8 22.Rd2 Ke7 23.Rfd1 c5 と改良できる。

21…Rd8 22.Rfd1 Ke7 23.Ne4 h4! 24.b4 Rh5?

 この手は重大な間違いだったが、白がつけ込まなかった。24…Nf5 が良かった。

25.Ng5

 白は好機を逃した。25.g4! Rhh8(25…hxg3e.p.+? は 26.Nxg3 Rxh3 27.Rxd4! Rxd4 28.Nf5+ で両当たりになってたちまち負けになる)26.f5 で、ポーンがかなり進攻できたので白の願ってもない態勢である。

 白はどのみち優勢だったが、黒は耐え抜くことができ46手で引き分けに終わった。

 2001年6月、ついに白は勝つことができた。

カスパロフ対クラムニク
アスタナ、2001年

9.Nc3 h6 10.h3 Bd7 11.b3 Ke8 12.Bb2 Rd8 13.Rad1 Ne7

 ナイトをg6に転送する。

14.Rfe1 Ng6 15.Ne4 Nf4

 短い手数の間に目まぐるしくお互いのナイトが動いた。

16.e6! Nxe6 17.Nd4

 黒はポーン得だがキングが中央に取り残されているので、白に十分以上の代償がある。カスパロフによれば 17.Be5 Rc8 18.Nh4 から f4-f5 と突く方が強い指し方だった。

17…c5?!

 クラムニクはこの(疑問)手を指すのに1時間かけた。17…Rh7 18.f4 c5 19.Nf3 Bc6 と指す方が良く、黒は問題ない。

18.Nf5 Rh7 19.Bf6 Rc8 20.Bxg7!?

 20.f4! Bc6 21.Nfg3 で圧力をかけ続ける手もあった。

20…Bxg7 21.Nxg7+ Rxg7 22.Nf6+ Ke7 23.Nxd7

 白がわずかに優勢だが、あとで黒に悪手が出て勝つことができた。

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カロカン防御の指し方(125)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

6…e6

 これが黒の普通の応手で、前章の …Be7 から …O-O の手順に沿った展開の完了を準備している。確かにクイーン翼ビショップを閉じ込めることにはなるが、…b7-b6 から …Bb7 の手段によって展開することができる。この不便さの代償として白のg3のナイトは働きの劣る地点にいて、どこにも行く所がない。

 4…Nd7 の戦型におけるほかの多くの変化のように、黒は 6…g6  でまったく異なる展開を行なうことができる。

 6…g6 の局面

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

カロカン防御の指し方(124)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

 6.Nxf6+ Nxf6 7.Ne5 Be6

 この手はeポーンをふさぎ、棋理に合った展開のすべての原則に反しているように見える。しかし黒がこの手を選んだのには二つの確かな理由があった。

 まず、白自身がほかの駒を展開する前にナイトを二度動かすことにより棋理に合った展開の原則を犯している。アリョーヒンがかつて指摘したように、普通でない手には普通でない応手が必要であることがよくある。具体的な理由はさらにはっきりしている。既に見たように普通の展開の 7…Bf5 は危険を伴う。そしていずれにせよeポーンをふさぐのは何の害にもならない。本章末の実戦例2で見るように、黒はそれでも …g7-g6 から …Bg7 の手段によってキング翼を展開できる。

 ところで、注意すべきは黒がナイトをe5に持って来たので …Be6 が良い手になったということである。このナイトがまだf3にいたら、白は …Be6 に Ng5 と応じてe6で取って黒のポーンの形を乱すことを狙うことができた。

 最後に、e5の迷惑なナイトと交換するために 7…Nd7 という手も考えられる。しかし 8.Bf4 Nxe5 9.Bxe5 となると、新しい訪問者はやはり不快である。このビショップはg7に当たっているので、黒はキング翼ビショップを展開したければいつか …f7-f6 と突く必要がある。すると白の支配する素通しe列で黒のeポーンが出遅れ(ほかのポーンで守ることができない)になり、手頃な標的にされる。

 6.Nxf6+ から 7.Ne5 の着想を説明するために、主手順からずいぶん寄り道をしてしまった。それでは主手順の 1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7 5.Nf3 Ngf6 6.Ng3 に戻ろう。

(この章続く)

2014年04月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: カロカン防御の指し方

カロカン防御の指し方(123)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

 10.h4 の局面

 白の捌きの意味がここで明らかになる。黒ビショップはf5に来ることはできたけれども、捕獲される危険にさらされている!

 すぐ目につく解決策は 10…h5 だが、11.Nxg6 fxg6 で黒ポーンの形がひどい状態になる。eポーンは孤立し、g6のポーンは二重ポーンで弱い。このgポーンを守るために …Kf7 が必要になり、キングが露出する。これらの不利が黒の負け試合につながるかもしれない。黒の問題は1978年ブゴイノでのカルポフ対ホルト戦によく表れている。10…h5 11.g5 Nd5 12.Nxg6 fxg6 13.Qc2! Kf7 14.Rh3! Ne7 15.Bc4 Nf5 16.Rf3 Qd7 17.Rxf5+!(白はルークの代わりにナイトとポーンを得る小さな戦力の投資で、黒の唯一好所にいる駒を取り除く)17…gxf5 18.Qxf5+ Ke7 19.Qe4 Re8 20.Bf4 Kd8 21.Qe5 Rg8 22.O-O-O g6 23.Re1 Bg7(黒は展開の完了が間に合ったが、詰まされる!)24.Qb8+ Ke7 25.Rxe6+! 黒投了。黒は 25…Qxe6 26.Qc7+ Qd7 27.Bd6# というきれいな仕上げを見たくなかった。

 キング翼のポーンを突いてビショップ狩りを急ぐ前に、危険性を指摘しておく。キング翼のポーンを突くと白陣に隙ができる。特に白キングはキング翼での通常の避難所を奪われ、何手も攻撃にさらされ続けることになる(必ずしも致命的というわけではないけれども)。カルポフ自身も棋歴の初期の1970年ソ連選手権戦準決勝でのカルポフ対ザイツェフ戦で苦い経験をしたことがある。10…Bd6!(10…h5 に代わる手)11.Qe2!(11.h5 は 11…Be4! 12.f3 Bxe5! 13.dxe5 Qxd1+ 14.Kxd1 Bxf3+ で失敗に終わる)11…c5 12.h5?(試合後 12.Bg2! で白が優勢であることが示された)12…Be4! 13.f3 cxd4! 15.Qb5+?! Nd7! 黒が勝勢になった。例えば 16.Nxd7 Bc6! または 16.Qxd7+ Qxd7 17.Nxd7 Bxf3!

 g2-g4 突きから h2-h4 突きの着想について次のように結論づけることができる。これは強力な手段だが、容易に自分にはね返ってくることがある。黒でこの戦型を指すなら、効果的な解毒剤を確実に用意すべきである。白で指すならこの着想は承知していても、自分が何をしているかを本当に分かっている場合にだけやってみるべきである。

 黒には7手目で面倒な変化をすべてかわす手がある。7…Bf5 から 8…e6 の代わりに 7…Be6 と指せばよい。

 6.Nxf6+ Nxf6 7.Ne5 Be6

(この章続く)

2014年04月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: カロカン防御の指し方

「ヒカルのチェス」(355)

「Chess」2014年3月号(3/3)

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チューリッヒ


カールセン対ナカムラ戦は大激闘で、世界チャンピオンが少なからず手の見えることを見せつけた

H.ナカムラ対M.カールセン
第3回戦、二ムゾインディアン防御

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.f3

 心理的に面白い瞬間である。ナカムラは対戦成績にもかかわらずカールセンを恐れていないことを示そうとしているだけでなく、カールセンにチェンナイで用いた野心的な戦型をやって来いと誘っている。

4…d5 5.a3

5…Be7

 カールセンは2013年チェンナイでのアーナンドとの番勝負第9局の 5…Bxc3+ 6.bxc3 c5 7.cxd5 exd5 8.e3 c4 9.Ne2 Nc6 10.g4 O-O 11.Bg2 Na5 12.O-O Nb3 13.Ra2 b5 14.Ng3 よりも堅固な局面に不満がない。

6.e4 dxe4 7.fxe4 e5 8.d5 Bc5

9.Bg5

 白は 9.Nf3 で 9…Ng4 10.Na4 のたたき合いを誘うことが多い。しかしナカムラはまず釘付けにする方を好んだ。

9…O-O 10.Nf3 Bg4 11.h3 Bxf3 12.Qxf3 Nbd7 13.O-O-O Bd4

 ここまでは黒の手がすべて調和がとれて本手のように感じられる。しかし白の攻撃の方が黒がクイーン翼でやれることよりも速いので、黒は望みどおりの成果をあげられない。

14.Ne2 c5 15.g4!

 15.dxc6e.p. bxc6 16.Nxd4 exd4 17.Rxd4 Qb6 で黒駒に好所を占めさせるよりもどんどんやっていった。

15…a5?!

 カールセンはキング翼の来るべき嵐の強力さを過小評価していたとあとで認めた。本誌編集長が『デイリー・テレグラフ』紙のチェス欄で指摘したように、少なくとも 15…a6!? 16.Kb1 b5 で黒が反撃の形になっていた。

16.Kb1 Ra6 17.Ng3 g6

 この手は陣形を弱めるが、カールセンは 17…Rb6 では明らかに白が 18.Rh2 Qc7 19.Nf5 でカスパロフ好みの攻撃地点にナイトを据えてくると読んでいた。

18.h4 a4 19.Rh2

 黒がb2を攻撃しないように先に軽く受けた。それに白枡ビショップはf1より良い地点が明らかにないので展開する必要がないことにも注意して欲しい。

19…Qa5 20.Bd2 Qc7 21.g5 Ne8 22.h5

 このポーン突きに手が回っては、さすがの世界チャンピオンでも切り抜けられないか?

22…Rb6 23.Bc1 Rb3 24.Qg4 Nb6 25.Be2 Nd6

26.Rdh1

 攻撃態勢の強化を続けているが、26.hxg6 fxg6 27.Rdh1 の方が 27…Rf7(27…Bxb2 28.Bxb2 Nbxc4 29.Bxc4 Nxc4 は単純な 30.Qe6+ Kh8 31.Qxg6 で咎められる)だと 28.Qe6 Kf8 29.Nf5!(29…gxf5 なら 30.g6)で白の攻撃が強力すぎるのではるかに強い手だった。

26…Bxb2!

 手の見えるのがカールセンの身上で、形勢を紛れさせる唯一の機会をとらえた。

27.Bxb2 Nbxc4 28.Bxc4 Nxc4 29.hxg6 Qb6

30.g7

 これはひどい手というわけではないが、ナカムラはもう勝ったと思っていたのかもしれない。しかし 30.gxf7+ Rxf7 31.Nh5! で即勝ちだっただろう。31…Rxb2+ なら 32.Ka1 Rxh2 33.Nf6+ である。

30…Rd8 31.Qh4 Rxb2+ 32.Ka1 Rxh2 33.Rxh2 Qg6 34.Nf5 Re8

 黒は今のところ何とか守ることができている。しかしこのようなキング翼は長いこと持たないのは確かだろう。

35.Qg4 Qb6 36.Qh3 Qg6

37.d6?

 これで優勢のほとんどを投げ出してしまった。いくつかのコンピュータはここらあたりで「+8」とさえ宣言していたし、37.Qf1 を推薦して 37…b5 38.Rxh7! Qxh7 39.Nh6+ Qxh6 40.gxf6 という巧妙な着想を示していた。そのような評価が意味するところはまったく定かでないが、人間の目に明らかな手で白が勝勢のはずであることは確かである。実際 37.Nh6+! Kxg7 38.Qd7(ペイン説)が大いに理が通っていて、38…Rf8 なら(または 38…Nd6 39.Qxd6! Qxd6 40.Nf5+)39.Nf5+ Kh8 40.Qe7 Rg8 41.Nh6 で一直線に戦力得の局面になる。

37…Nxd6 38.Nxd6 Rd8

 これがナカムラの見落としていた手で、時間切迫のため形勢が急激に悪化していった。

39.Nc4?

 39.Nc8 Kxg7 40.Ne7 Rd1+ 41.Ka2 ならまだ白の方が良かったが、本譜の手のあとは黒がもう問題ない。カールセンは受けの達人だけれども、時には悪魔のような力を持っているようだ。

39…Qxe4

40.Qh5?

 40.Ne3! Qd3(40…Rd3? は 41.Qc8+ Kxg7 42.Nf5+ Kg6 43.Qg8+ Kxf5 44.Qxh7+ Kf4 45.Rh4+ となるので良くない)41.Nf5 Qxh3 42.Rxh3 のあと何が起こるか分からないが、たぶん引き分けだろう。しかし本譜の手のあとそれが白の手からするりと逃げていった。

40…Rd3 41.Rh4

 白は何とかナイトを救うことができたが、キングはどうしようもなく露出していて、黒キングは今ではかなり安全である。

41…Qf5 42.Qe2 b5 43.Nd2 Qxg5!

 単純化により勝ちの收局にした。5ポーンは1駒にとって多すぎる。

44.Qxd3 Qxh4 45.Ne4 Kxg7 46.Qf3 Qf4 47.Qg2+ Kf8 48.Kb2 h5 49.Nd2 h4 50.Kc2 b4 51.axb4 cxb4 52.Qa8+ Kg7 53.Qxa4 h3 54.Qb3 h2 55.Qd5 e4 56.Qh5 e3 57.Nf3 e2 58.Kb3 f6 59.Ne1 Qg3+ 60.Ka4 Qg1 61.Qxe2 Qa7+ 0-1

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(この号終わり)

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カテゴリ: ヒカルのチェス5

カロカン防御の指し方(122)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

 6.Nxf6+ Nxf6

 この交換で黒には何も問題が残されていないように思える。黒は 7…Bg4 または 7…Bf5 のあと …e7-e6 から …Be7 で展開を完了する。白は 7.Bc4 で罠を仕掛けることができる(これは 5.Bc4 の戦型でも 5…Ngf6 6.Nxf6+ Nxf6 7.Nf3 で生じる)。もし黒が 7…Bg4? とやってくれば 8.Bxf7+! Kxf7 9.Ne5+ Kg8 10.Nxg4 で白がポーン得になる。しかし黒は 7…Bf5 8.c3 e6 で罠をかわすことにより不満のない局面になる。

 だから黒はこの先楽ができそうである。しかし 7.Ne5! のあとどうなるか見ていこう。

 白は布局の指し方の重要な原則を犯して、新たな駒を戦いに投入する代わりに唯一展開された駒を動かした。それにもかかわらずこの手は良い手である。これは「布局では同じ駒を二度動かすな」という一般的な指針の限界の完璧な例である。原則に従わない具体的な理由があるならば、または指すつもりの手にはっきりした目的なあるならば、ぜひその手を指すようにしなさい!

 この場合白の着意は明らかになるまで数手を要する。7…Bf5 8.c3 9.Qb3! でb7とf7のポーンの両当たりを狙っているので次の手がほぼ必然である。8…e6 代わりに 8…Nd7?! は 9.Nxf7! Kxf7 10.Qf3 e6 11.g4 で駒を取り返して白の優勢になる。しかし白の着想の痛快なところは黒の普通に見える最後の2手が実際には大変な困難を黒にもたらすことにある。ここで白は驚くべき手を繰り出す用意ができている。9.g4! Bg6(9…Be4? 10.f3 Bd5? は 11.c4 でビショップが取られる)10.h4!

 10.h4 の局面

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

布局の探究(96)

「Chess Life」1994年5月号(4/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

迅速展開の伝道者(続き)

黒で

2ナイト防御 [C55]
白 セオドア・リヒテンハイン
黒 ポール・モーフィー
第1回米国チェス大会、ニューヨーク、1857年

1.e4 e5

 黒駒も迅速な展開に最大限の可能性があるのでこれがモーフィーの愛用の応手だった。もし白が展開で後れをとれば、黒は素早く主導権を得る見通しがきわめて明るくなる。

2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Bc4 Nf6 5.e5

 局面はスコットランド布局から今日でもまだ人気のある2ナイト防御の1戦型に移行した(通常の手順は 1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Nf6 4.d4 exd4 5.e5)。モーフィーは現代ではごく普通の展開兼反撃で応じたが、当時は最先端の手だった。

5…d5! 6.Bb5 Ne4 7.Nxd4 Bd7 8.Nxc6?!

 この手は後手をひいて悪い。正着は 8.Bxc6 bxc6 9.O-O で、白が少し優勢とみられる。

8…bxc6! 9.Bd3 Bc5

 迅速で積極的な展開の手である。白は次の手で黒の圧力を弱めることを期待するが、黒には主導権を維持する中間手があった。

10.Bxe4 Qh4! 11.Qe2

 これは文句なく理にかなった手である。白は黒にポーンでe4のビショップを取り返させてクイーン翼のポーンの形を乱させたい。ありきたりの 11.O-O では 11…Qxe4 と取られて、黒が何の犠牲も払うことなく開放局面で双ビショップを得て楽に優勢になる。

11…dxe4

 「Encyclopedia of Chess Openings」の第E巻ではここで 12.O-O を推奨し、双ビショップの潜在力のために黒が少し優勢と判断している。本譜では白がすぐに黒のキング翼ビショップの威力を打ち消そうとしたが、自分のキングと展開していないクイーン翼の危うい状況に気がついていなかった。

12.Be3? Bg4!! 13.Qc4

 危険をおかさない 13.Qd2 では当たり前の 13…Rd8 でd1での詰みを狙われるので、白は反撃に打って出なければならない。

13…Bxe3!

 それでも攻撃は続く。アンディー・ソルティスとフレッド・ラインフェルドの示した手順は 14.Qxc6+ Bd7 15.Qxa8+ Ke7 16.g3 Bxf2+ 17.Kxf2 e3+ 18.Ke1(18.Kg1 e2!)18…Qb4+ 19.c3 Qxb2 20.Qxh8(20.Qe4 Qc1+ 21.Ke2 Bb5+ 22.Kf3 Qxh1+)20…Bg4 のあとe2かf2で詰みになる。注意点としてここでも白のクイーン翼は展開できていないのに対し、黒の残りの2駒は非常によく働く地点にいる。

14.g3 Qd8

 14…Qh6 15.Qxe4 Bc1 も強い指し方である。

15.fxe3 Qd1+ 16.Kf2 Qf3+! 17.Kg1 Bh3 18.Qxc6+ Kf8 19.Qxa8+ Ke7 白投了

 20.Qxh8 のあとg2かf1で詰まされる。

 最終局面で白は2ルーク得だったと考えることができるだろうか。私はそう思わない。なぜならルークもナイトも働いていないからである。展開がなされていない時は使える戦力にならない。だから数字的に名ばかりの敵「軍」は容易に決定的な要因に成り得る。

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カロカン防御の指し方(121)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン(続き)

 白が 5.Bc4 から 6.Ng5 ですぐに攻撃を始めることにより黒の展開を邪魔しようとした前章の手順と異なり、ここでは単に駒を出して自分の展開を完了するつもりである。これはおとなしいやり方のように思われるが、中心となる狙い筋のほとんどは実際は 5.Bc4 の戦型と同じである。ここから先に進む前に第7章を学ぶのは効果的である。手順は共通するものが多く、違う部分が両者の特徴となっている。

 ここでの中心となる問題はほかの戦法のように黒のクイーン翼ビショップの展開で、黒の 4…Nd7 によりもっと困難になっている。

5…Ngf6 6.Ng3

 白はf6で交換すると黒のクイーン翼ビショップの利きを通すことにより黒を楽にさせるので避けた。黒がここで 6…Nb6 と応じて 7…Bg4 を意図すると、白は 7.Ne5! と指して黒ビショップにまた有効な展開先がなくなる。注意すべきはg3のナイトが 7…Bf5 を防いでいることである。白は 6.Nc3 と引くよりも通常は 6.Ng3 と引くのを好む大きな理由がここにある。c3のナイトは中央ににらみを利かせるには都合が良いが、黒がクイーン翼ビショップを展開するのをできるだけ難しくさせるという白の一番の着眼点を達成することはできない。

 主手順の 6.Ng3 には、きわめて無害なように思われるが実際は毒がいっぱいの重要な変化手順を分析してから戻ってくることにしよう。その着想は 6.Nxf6+ Nxf6 と交換することによりもたらされる。

 6.Nxf6+ Nxf6

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(120)

第8章 堅実戦型 白の展開 フリオ・カプラン

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7 5.Nf3

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(119)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例3(続き)

38…Rxe3!

 きれいな決め手である。これで決定的な釘付けができる。

39.Nxe3 Bd4 40.Re1 Re6 白投了

(この章終わり)

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ポルガーの定跡指南(125)

「Chess Life」2006年2月号(2/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ルイロペスの有名なベルリン收局(C67)(続き)

A)黒に特有の着想

ロムアルト・マインカ対ルステム・ダウトフ
ドルトムント、1992年

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.d4 Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.dxe5 Nf5 8.Qxd8+ Kxd8 9.Nc3 Ke8 10.h3 h6 11.b3 a5 12.Bb2 Bb4 13.Ne2 h5! 14.Nf4 a4 15.a3?(15.Nd3 Be7 16.Nd2 h4 の方が良く、互角の形勢だった)15…Be7 16.b4

16…Rh6! 17.Rad1 g5 18.Ne2?(18.Nd3)18…c5 19.bxc5 Ra5 20.Bc1 Rg6 21.Nc3 g4 22.hxg4 hxg4 23.Nd2! Rxc5 24.Nde4 Rc4 25.Rfe1 c6!? 26.Bb2?(26.Nf6+ Kf8 27.Nce4 Rxc2 28.Rd3 Kg7! も黒の方が良い)26…Re6! 27.Nd2 Rc5 28.Nxa4 Rxc2 29.Nb6? g3 30.Nxc8 Bc5! 白投了

エレーナ・セディーナ対アントニー・マイルズ
トスコラーノ、1996年

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.d4 Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.dxe5 Nf5 8.Qxd8+ Kxd8 9.Nc3 Ke8 10.b3 a5 11.Bb2 Bb4 12.Ne4 a4 13.a3 Be7 14.b4 Be6

15.Rfe1 Rd8 16.Rad1 b6 17.h3 h5 18.Rxd8+ Kxd8 19.Bc1(19.Neg5 の方が良かった)19…Bd5 20.Bg5 Bxg5 21.Nexg5 Re8 22.Rd1 Kc8 23.Re1 Rd8 24.Rc1 f6 25.exf6 gxf6 26.c4 fxg5 27.cxd5 Rxd5 28.Nxg5?(28.Rxc6 Nd6)28…Nd4! 29.Rc4 b5 30.Rc5 Rxc5 31.bxc5 b4 32.Ne4 bxa3 33.Nc3 Ne2+ 0-1

ラディスラフ・サライ対カレル・モクリー
チェコ共和国、1997年

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.d4 Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.dxe5 Nf5 8.Qxd8+ Kxd8 9.Nc3 h6 10.b3 Be6 11.Bb2 a5 12.h3 Bb4 13.a3 Bxc3 14.Bxc3 c5 15.a4 Kd7 16.Rad1+ Kc6 17.Rd2 b6 18.Rfd1

 ここで黒はキング翼で意表を突くポーン暴風を開始した。

18…g5 19.Nh2 h5 20.Nf1 g4 21.hxg4 hxg4 22.Bb2 Rag8 23.Rd3 Rh5 24.Ng3 Nxg3 25.Rxg3 Rgh8 26.Kf1 Rh1+ 27.Ke2 Rxd1 28.Kxd1 Rh1+ 29.Kd2 Rf1 30.Ke2 Rb1 31.Bc3 Bf5 32.Kd2 Rf1 33.f3 Rf2+ 34.Ke1 Rxc2 35.fxg4 Be6 36.g5 Bxb3 37.Bd2 Be6 38.g6 fxg6 39.Rxg6 Kd5 このあとすぐに黒が勝ちを収めた。

B)白の作戦がうまくいくとき

ナイジェル・ショート対イワン・ソコロフ
ベイクアーンゼー、2005年

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.d4 Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.dxe5 Nf5 8.Qxd8+ Kxd8 9.Nc3 h6 10.h3 Bd7 11.Bf4 Kc8 12.Rad1 Bb4 13.Ne4 Be6 14.c3 Be7 15.b3 b6

16.g4 Nh4 17.Nxh4 Bxh4 18.Bg3 Be7 19.f4

 白はfポーンとgポーンを突くことができて最高の形ができた。そして巧みな指し回しで黒の防御を打ち破った。

19…h5 20.f5 Bd5 21.Rd4 hxg4 22.hxg4 Ba3 23.Kf2 a5 24.c4 Bxe4 25.Rxe4 a4 26.Kg2 axb3 27.axb3 Bc5 28.Re2 Ra3 29.e6 Re8 30.Rf3 Ra1 31.Bf2 fxe6 32.Bxc5 bxc5 33.fxe6 Rd1 34.Rf7 Rd6 35.Rxg7 Rdxe6 36.Rxe6 Rxe6 37.Rf7 Kd8 38.Kg3 Re1 39.g5 Rg1+ 40.Kh4 Rh1+ 41.Kg4 Rg1+ 42.Kf5 Rg3 43.g6 Rf3+ 44.Ke6 Re3+ 45.Kf6 Rf3+ 46.Kg7 Rxb3 47.Kf8 Re3 48.Rf4 1-0

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カロカン防御の指し方(118)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例3(続き)

 もともと白は 25.f4 と指すべきだった。もっとも黒の資産にパスeポーンも付け加えさせることになるが。ここで白キングの周りはスカスカになっている。

26.Nf1 Nf6! 27.Rd4 a5 28.Rad1 Ba6!

 盤上の至る所で攻撃が行われるみごとな例になっている。白が 29.Qf2 と指せないのは 29…a4 でクイーン翼のポーンが落ちるからである。そこで別の手段を選んだが、キング翼が崩壊した。

29.Qf3 Qxf3 30.gxf3 Be2 31.Re1 Bxf3 32.Ba4

 この手で2個目のポーンが取られるが、黒は1ポーン得でも勝つのに十分である。

32…Be5 33.Rd2 Bxb2 34.Rf2 Bc6 35.Bxc6 Rxc6 36.Ng3 Re8 37.Nf5 Kh7 38.R1f1

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(117)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例3(続き)

 黒にとって絶好の態勢になった。クイーン翼で2ポーンが白の3ポーンを抑えているのでいくらか優勢である。実際白のcポーンは素通し列で出遅れになっているのでちょっとした弱点になっている。黒はキング翼でもクイーンとビショップがその方面を強力ににらみeポーンも攻撃に参加する用意ができているので良い展望が期待できる。シマギンの序盤の指し方はみじめな失敗だった。

18.h3 e5! 19.Be3 Qa5 20.Bc4 Rac8 21.Rfd1 Bb8!

 この手はビショップを露出した地点から移すだけでなく、あとで …Qc7 と指すことによりh2での詰みの狙いを作り出している。

22.Nd2

 白は残念だが、このナイトは上記の狙いに対してf1に行って守るために必要である。f3では黒のクイーン翼ビショップによって除去される可能性がある。

22…Qc7 23.Bb3 Qc6! 24.f3 e4! 25.fxe4? Nxe4

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(116)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例3(続き)

 注目すべきは白の守勢の7手目のおかげで黒が …Nb6 と指す必要がなかったことである。このため黒は重要なe5の地点を支配していて、bポーンをすぐに突くことによりクイーン翼を展開する用意ができている。

10.Nc3

 黒のbポーンにつつかれないように 10.Ng3 の方が良い手である。ここでスミスロフは強引に主導権を握ることができた。

10…b5! 11.Bd3 b4! 12.Ne4 Nxe4 13.Bxe4 Nf6 14.Bd3 O-O 15.Qe2 Bb7 16.Bd2 c5 17.dxc5 Qxc5

(この章続く)

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「ヒカルのチェス」(354)

「Chess」2014年3月号(2/3)

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チューリッヒ

V.アーナンド対H.ナカムラ
第2回戦、ルイロペス

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.d3 Bc5 5.Bxc6 dxc6

6.h3

 これは無害な手に見えるが理屈がないわけではない。以前にアーナンドは2013年チェンナイでのアーナンド対カールセン番勝負第7局で 6.Nbd2 Bg4 7.h3 Bh5 8.Nf1 Nd7! 9.Ng3 Bxf3 10.Qxf3 g6 11.Be3 Qe7 12.O-O-O O-O-O で黒の防御が楽だったことを知っていた。

6…Be6 7.Nc3 Qd6 8.O-O O-O-O!?

 これは新手で、米国ナンバーワンの妥協しない棋風の表れである。黒は黒枡ビショップの退避地点を用意することを拒否し、両者がポーン暴風を仕掛けることを喜んでいる。

9.a3 Nh5 10.Na4 Bb6 11.Nxb6+ axb6 12.a4! f6 13.Be3 Nf4

 黒はようやくgポーンを突く用意ができたが、白の攻撃の方が速い。

14.a5 b5

15.d4?

 世界選手権戦で見られたように現在のアーナンドは勝負所でためらうことが多い。一般的には中央で開戦することに悪いことは何もない。しかしまず 15.a6! b6 を決めておくべきで、そのあと 16.Bxf4! exf4 17.Re1 から e4-e5 が、ペーテル・レーコーを始めとする解説者たちによって指摘された正しい手順だった。

15…Nxh3+! 16.gxh3 Bxh3

 gポーンを突いていくのは遅すぎることに気づいてナカムラは駒を使って黒キングの囲いを食い破った。ここで …Qe6-g4(+) もそうだが …Bg4 から …f5 も確実な狙いである。アーナンドは戦力を返さなければならないと悟った。

17.dxe5 Qe6 18.Nd2 Bxf1 19.Qxf1 Qxe5 20.c3 Kb8 21.a6 b6

 チェスエンジンは局面の均衡がとれていると感じているようだが、実際には黒の方が攻撃という明らかな作戦を持っているので指しやすいのは確かである。

22.Qg2 Rd6 23.Nf1?!

 この手はあまりに素直で受け一方のような気がする。23.Nb3 f5 24.exf5 Qxf5 25.Nd4 ならもっとうまくナイトを使えていただろう。

23…f5 24.exf5 Qxf5 25.Ng3 Qd7 26.Qe4 Ka7 27.Kg2 h5!

 攻撃の第2波がやって来た。さすがにここまでにはチェスエンジンも白がおかしいと認識した。

28.Qf5 Qe8 29.Qe4 Qf7 30.Kh1 h4

31.Ne2?

 この手のあと白クイーンはたちまち対角斜筋を追われることになる。だから 31.Nf5 Re6 32.Qd3 と指さなければいけなかった。32…Rf6 なら 33.Nd4 Qd5+ 34.Kh2 Rhf8 35.Rg1 で当面はともかく受かっている。

31…Re8 32.Qg4 Rg6! 33.Qh3 Qd5+ 34.Kh2 Rxe3!

 ちょっとした手筋で戦力を取り戻す。

35.fxe3 Qd2 36.Qf1 Rf6 0-1

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス5

カロカン防御の指し方(115)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例3
白 V.シマギン
黒 V.スミスロフ
モスクワ、1963年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7 5.Bc4 Ngf6 6.Ng5 e6 7.Ne2

 これはゆっくりした展開の仕方で、黒の道筋にほとんど問題をもたらさない。次の解説を参照。

7…h6 8.Nf3 Bd6 9.O-O Qc7

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

カロカン防御の指し方(114)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例2(続き)

 黒の戦略が勝利した。白には何も反撃策がないが、黒は中央を支配しfポーンを突くことにより勝負を決める態勢にある。ヤンサはここでクイーンを中央から遠ざけることにより形勢を一層悪化させたが、しのげたかどうかはしょせん疑わしい。

35.Qe3 b5 36.Qa7? a5! 37.a3

 37.Qxa5 と取ると 37…e3 38.fxe3 Ne4 で黒が勝つ。黒駒が白キングに迫る間、白のクイーンとビショップはただ傍観しているばかりである。

37…a4 38.Ba2 Qf6 39.Qe3 Kh6 40.Kf1? Nf5

 ヤンサが間違えてくれたおかげでホルモフは結局fポーンを突く必要がなくなった。もちろん 41.Qxe4?? は 41…Nxg3+ で即負けとなる。

41.Qa7 e3!

 この手は 41…Nxg3+ よりも強い手である。これで …Nxg3+ がはるかに強烈な狙いになった。

41.Qb8 Nd6 白投了

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

布局の探究(95)

「Chess Life」1994年5月号(3/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

迅速展開の伝道者(続き)

白で(続き)

 たぶんモーフィーの最も有名な手筋は次の試合に出てきた。

キング翼ギャンビット受諾 [C34]
白 ポール・モーフィー
黒 アマチュア
ニューオーリンズ、1858年

1.e4 e5 2.f4 exf4 3.Nf3 c6?! 4.Nc3 Bb4?!

 アマチュアのなくならない癖は敵のナイトとの交換を急いで、ナイトの不快な両当たりの危険をなくそうとすることである。しかし本局だけでなく前局でも見られる開放的な局面では、ビショップの方がより危険な小駒である。もちろん黒の前手の論理的な継続手は 4…d5 である。

5.Bc4 Bxc3?

 これはとんでもない手である。黒は白の展開を促進させ自分の黒枡をひどく弱めた。5…d6 か積極果敢な 5…d5 6.exd5 Nf6!? ならまともである。

6.dxc3! Ne7 7.Qd6! O-O 8.Bxf4 Ng6 9.Bg5 Qe8 10.O-O! Kh8

 10…Qxe5 とポーンを取ると白に素通し列ができ、例えば 11.Bb3 から 12.Rae1 または 11.Nd4 Qe5 12.Nf5 というように十分に展開できる。どちらにしても黒の終わりは近い。

11.Rae1!

 またもモーフィーの展開には感嘆させられる。まだ11手にすぎないが、彼の駒はすべて目的を持って活動的に展開され、キングは無事にキャッスリングを済ませている。これに反して黒はクイーン翼抜きで指している。このような状況では手筋は「空から降ってくる」ように現れる。

11…f6 12.e5!

 展開の優位を最大限に利用すべく、列は素通しにしなければならない。12…fxg5 は 13.Nxg5 で黒の受けは何の望みもない。例えば 13…Na6 14.Rxf8+ Qxf8 15.Re4! Nc5 16.Qxg6! hxg6 17.Rh4# は一例である。

12…f5 13.Nd4 f4 14.e6

 この手も列を素通しにする原則どおりである。GMマローツィは50年ほど後に 14.h4! h6 15.h5 hxg5 16.hxg6 g4 17.Kf2 から Rh1# の方がずっと速かったと指摘した。

14…dxe6 15.Nxe6 Bxe6 16.Rxe6 Qc8 17.Rxg6!

 ポーンを取って黒キングを裸にする交換損の駒切りは、黒のクイーン翼が参加していないのでほとんど危なくない。

17…hxg6 18.Qxg6 Qf5 19.Rxf4!

 鮮やかな手だが、黒のクイーン翼の駒が展開されていなくて白の駒がすべて(またしても!)参加しているので可能である。

19…Qxg6 20.Rxf8+ Kh7 21.Bg8+ Kh8 22.Bf7+ Kh7 23.Bxg6+ Kxg6 24.Bf4 黒投了

 黒の釘付けのナイトが取られ、白が駒得と2ポーン得になる。

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カロカン防御の指し方(113)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例2(続き)

27…Qc5!

 ヤンサは駒交換に救いを求めてきた。ルーク同士の交換は黒がルークをd列からそらすと何の役にも立たなくなるので避けることができなかった。しかし今はホルモフにとってクイーンを盤上に残すことが大切である。クイーンは詰みの攻撃を作り出すのにほとんど支援を必要としない。黒の作戦はeポーンを突き、いつかキング翼のポーン集団全体を突き進めることであることを思い出して欲しい。明らかにその作戦はクイーンがある方がはるかに強力である。なぜなら黒はパスポーンを作り出せるだけでなく、白キングを攻撃する機会も得られるからである。

28.Qd2 Ne4 29.Qe2 Nd6 30.Bb3 e5! 31.Kg2 e4 32.Qd2 Qe5 33.h4?

 一番見込みがあるのは 33.Qd5 だが、それでも 33…Kf6 34.Qxe5+ Kxe5 となってキングが強力な位置にいるので黒が優勢を保持する。

33…g5! 34.hxg5 hxg5

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

カロカン防御の指し方(112)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例2(続き)

19.Nxd7

 この手は黒を楽にさせるが、19.c4 でもクイーン翼の多数派ポーンを動員するのが困難なので白に何の利もない。それでも 19.c4 のあと Qd2-c3 のように捌いてそのあとポーンを突き進めていった方が良かったかもしれない。

 実戦のヤンサの手のあと形勢はしだいに黒に傾いていった。白のポーンは何の役にも立たず、白のナイトがなくなったことは黒にeポーンを突いていく可能性を与えた。

19…Rxd7 20.c3 Rad8 21.Bc2 g6!

 21…Qxb2?? はとんでもない悪手で、22.Bh7+! から 23.Qxb2 とクイーンを取られる。しかし今度はbポーン取りを狙われている。

22.Ba4 Rd6 23.Rxd6 Rxd6 24.Rd1 a6 25.g3 Kg7 26.Rxd6 Qxd6 27.Qd1

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

ポルガーの定跡指南(124)

「Chess Life」2006年2月号(1/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ルイロペスの有名なベルリン收局(C67)

 先月は白が「ベルリン收局」を避けるとどうなるかを解説した。今回は收局になった場合の典型的な着想を見てみることにする。2000年のカスパロフ対クラムニクの世界選手権戦のおかげで近年この布局が黒で非常によく採用されるようになった。クラムニク、レーコー、トパロフ、ポノマリョフ、それにイワンチュクのような世界の一流選手の多くがこれを定常的に指している。

白の基本的な作戦は何か

 白の有利はキング翼の多数派ポーンにある。白は g2-g4 から f2-f4-f5 と突くことによりキング翼のポーンを好機に動員して優勢を勝ち取ることができる。まれには黒キングがe8にとどまっているとき e5-e6 と突き捨ててe列を素通しにして黒キングに対し攻撃することもできる。

黒の基本的な作戦は何か

 黒は気分やもちろん白の手によっていくつも作戦を選ぶことができる。黒が決める必要のある最初の戦略は、キングをクイーン翼に置くか(c8)キング翼に置くか(e8)ということである。どちらにも一理ある。黒は通常はf5の地点をしっかり支配することにより白のfポーンの前進を止める必要がある。よくあるのは …h7-h5-h4 と突いてルークを …Rh8-h5 と浮かせて側面から利かせる方法である。白が b2-b3 と突いたときは黒は …a7-a5-a4 と突いてa列を素通しにしクイーン翼ルークを働かせるのが普通である。

それで評決はどうなっているか

 黒にはこの收局で二つの不利な点がある。A)c列の二重ポーン。B)キャッスリングの権利をなくした。代償として黒には双ビショップがある。これまでのところ黒は注意が必要だけれども十分反撃できることが実戦で明らかになっている。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.d4 Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.dxe5 Nf5 8.Qxd8+ Kxd8 で次の局面になる。

 この局面での白の一般的な手は 9.Nc3 だが、9.b3 のようなほかの手も指されている。9.Nc3 のあとの状況は異例である。黒のよく指す手には 9…h6、9…Ne7、9…Bd7、9…Ke8 があり、9…Be7、9…Be6 または 9…a5 さえまれではない。布局の局面でどれが最善手かはっきり分からない選択肢がこれほどあるのはそうあることではない。ここでの場合定跡はまだ発展途上である。上記のどの手も指せるように思われ、收局について詳細をよりよく理解している方が有利になる。

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カロカン防御の指し方(111)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例2(続き)

 ここまでは実戦例1と同じである。次の手で黒が変化した。

12…Qc7!?

 これは考えた手である。ホルモフは罠を用いて 13.Bd2 から 14.O-O-O という攻撃的な展開を妨げた。それでも 13.Bd2? とやってくれば 13…Nxe5 14.Nxe5 Bxf2+!! 15.Kxf2(15.Qxf2 なら 15…Qxe5+)15…Qxe5! 16.Qxe5 Ng4+ から 17…Nxe5 で黒のポーン得になる。

13.O-O O-O 14.Bf4 Bd6 15.Nxd7

 何らかの駒の交換が避けられず、黒が展開を完了することができる。

15…Bxd7 16.Bxd6 Qxd6 17.Ne5 Rfd8 18.Rad1 Qb6

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(110)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例2
白 V.ヤンサ
黒 R.ホルモフ
ブダペスト、1975年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7 5.Bc4 Ngf6 6.Ng5 e6 7.Qe2 Nb6 8.Bd3 h6 9.N5f3 c5 10.dxc5 Bxc5 11.Ne5 Nbd7! 12.Ngf3

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(109)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例1(続き)

25.Rxg6+!

 黒陣が壊滅した。ルークを取ると 26.Qxg6+ から詰みになる。

25…Kf8 26.h7 Ke7 27.Rg7 b4

 27…Rf8 は 28.Ng6+! Kf6 29.Nxf8 Kxg7 30.h8=Q+! Kxh8 31.Qh7# で詰まされる。

28.Rxf7+ Kd6 29.Rd7+ Kc5 30.Rxb7 黒投了

 白は駒得で攻撃も続く。

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

アホの壁

JCAのホームページでもうゴールデンオープンと東海オープンの結果が出ています。

2014年04月11日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(353)

「Chess」2014年3月号(1/3)

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ベイクアーンゼー

P.ハリクリシュナ対H.ナカムラ
第8回戦

29.Bh6! Qc5??

 29…Ra8 が絶対だった。

30.Nh5! Bg7 31.Bxg7 Qxa7 32.Qh6 f5 22.Ng5 1-0

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(この号続く)

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カロカン防御の指し方(108)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例1(続き)

14…Bd4?

 以降の試合ではこの手ははるかに優秀な 14…Qd5! に取って代わられた。白は 15.O-O-O!? Qxa2 16.c3 でポーンを犠牲にすることができ、実際マスターの実戦ではこのギャンビットで何度か勝ちになっている。しかしこの局面は明快どころではなく、黒には多くの手段がある。本局でレインは本質的に同じ局面になったが、ビショップがc5からd4へ動きまたc5へ戻るという2手損をこうむることになる。このこと自体で負けになって当然かどうかは何とも言えないが、黒を大きな困難に陥れることは確かである。

 この戦型に精通している相手に対して黒は当然ながらどの手順も正確に対処しなければならない。

15.O-O-O! Qd5 16.f4 Qxa2 17.c3 Bc5 18.g4! Nd5 19.g5 Qa1+

 19…Ba3!? に白が 20.bxa3 と取ってくれるなら黒は 20…Qxa3+ で永久チェックの千日手にできる。しかし白は 20.Nc4 といったん受けることができ、そのあと攻撃を続けることができる。

20.Bb1 g6

 黒はg6に防御の砦を築こうとしているが、白はそれを難なく破壊する。

21.gxh6 b5 22.Qd3 Ba3!? 23.Qc2! Bb7

 黒の遅い展開がどのように高くついたか注目してほしい。ここに至ってようやくクイーン翼ビショップを出すことができてルークが戦いに加われるようになったが、もう手遅れである。

24.Rhg1! Rfc8

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(107)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

実戦例1
白 キルピチニコフ
黒 A.レイン
ソ連、1974年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7 5.Bc4 Ngf6 6.Ng5 e6 7.Qe2 Nb6 8.Bd3 h6 9.N5f3 c5 10.dxc5 Bxc5 11.Ne5 Nbd7! 12.Ngf3 O-O 13.Bd2 Nxe5 14.Nxe5

(この章続く)

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布局の探究(94)

「Chess Life」1994年5月号(2/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

迅速展開の伝道者(続き)

白で

 モーフィーの最も有名な手筋といえばたぶん次の試合に出てきた手だろう。

フィリドール防御 [C41]
白 ポール・モーフィー
黒 ブラウンシュバイク侯爵とイズワール伯爵
パリ、1858年

1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.d4 Bg4?!

 これは同時指導対局でまだしばしば見かけるたぐいの手である。白の次の手のあと黒が釘付けを維持できないので良くない。定跡は 3…Nd7、3…Nf6 および 3…exd4 の3手である。

4.dxe5! Bxf3 5.Qxf3 dxe5 6.Bc4

 キング翼ビショップを中央の好所に展開して1手詰みを狙っている。

6…Nf6?

 黒は白の狙いには気づいていたが、致命的な二重攻撃の白の応手には気づいていなかった。6…Qf6 7.Qb3 Bc5! 8.O-O Bb6 9.a4 a5 10.Nc3 Ne7 11.Be3 Nd7 12.Rad1 なら黒は明らかに悪い「だけ」である。白が優勢である理由は開放局面で展開に大きく優っているからである。

7.Qb3! Qe7

 白がf7のポーンを取って詰ませることを狙っているので(7…Nxe4? 8.Bxf7+ Kd7 9.Qe6#)、黒はその弱点を守らなければならない。本譜の手は 8.Qxb7 Qb4+で1ポーン損の收局にとどめることを期待している。もちろんモーフィーは展開で大差をつけているのでもっと大きなことを求めている。

8.Nc3!? c6 9.Bg5

 白はクイーン翼ビショップを活動的な地点に展開し黒のキング翼ナイトを動けなくした。黒陣は危機的状況に近い。例えば 9…Qc7 10.O-O-O Bc5 は 11.Bxf7+! Qxf7 12.Rd8+ で負ける。黒は 9…Na6! で展開を図らなければならない。私の見るところ白の最善は 10.Bxa6 で黒のクイーン翼のポーン陣形を壊すことである。代わりに・・・

9…b5?

 黒チームは迅速な展開に不慣れなので、うるさいキング翼ビショップを追い払うことができると考えた。しかし・・・

10.Nxb5! cxb5 11.Bxb5+ Nbd7 12.O-O-O

 白はすでに駒の代わりに2ポーンを得ている。さらには等式の展開の側面を見なければならない。白はキングが無事にキャッスリングを済ませ、2ビショップとクイーン翼ルークとクイーンが活発に展開しているのに対し、黒はキングが中央に足止めにされ、キング翼の駒が展開していない。白はもう 13.Bxf6、13.Bxd7+ または 13.Rxd7 によりクイーン翼ナイトを取る手を狙っている。黒はクイーン翼にキャッスリングするのは自殺行為で(12…O-O-O 13.Ba6+ Kc7 14.Qb7#)、一本道の応手も少しの間持ちこたえるだけである。

12…Rd8 13.Rxd7! Rxd7 14.Rd1

 これで白のすべての駒が展開し黒を攻撃している。経理屋は黒がルーク得だと言うかもしれないが、黒はキング翼が戦いに参加していないので実質はビショップ損である。14…Qb4 は 15…Bxf6! gxf6 16.Bxd7+ で黒が平凡に負ける。次の手を指した両爵に感謝したい。

14…Qe6

 そして次の手が可能になった。

15.Bxd7+! Nxd7 16.Qb8+! Nxb8 17.Rd8#

 モーフィーの傑出した指し方を褒めるべきだろう。それでも最終局面の展開の特徴には注意して欲しい。黒はまだキング翼ルークとビショップ抜きで指していてキング翼ナイトはb8で展開されていないのに対し、白は迅速な展開のおかげですべての駒が戦いに参加した。

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2014年04月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(106)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

 このポーン突きは急所である。クイーン翼ビショップの展開との関係でその重要性はすでに見てきた。それは …Bd7-c6 または …b7-b6 から …Bb7 のフィアンケットを念頭に対角斜筋を空ける過程から始まる。またcポーンを白のdポーンと交換することにより黒はe5の地点の白の支配を弱め、それによりまもなくそこにやって来る白ナイトを追い返す可能性を高める。そして黒陣も広がる。c5の地点は自分のビショップとナイトのために使え、半素通しc列はルークとクイーンのために使える。

 この布局で決めるべき唯一の大きな問題が残っていてそれは白に突きつ付けられている。白はクイーン翼にキャッスリングすべきだろうかキング翼にキャッスリングすべきだろうか。前者の場合 g2-g4-g5 でキング翼に素通し列を作りルークをその素通し列に動員することにより攻撃を図るのが自然である。この可能性のために 8…h6 が黒のキング翼を弱めたと言えるかもしれない。もしこのポーンがまだh7にあれば白がルークのために素通し列を作るのはもっと難しくなる。両者のキングが反対翼にキャッスリングすれば-白キングはクイーン翼に、黒キングはキング翼に-結果的に攻め合いの試合になるのが普通で、非常に難解になることがよくある。白がキング翼にキャッスリングすれば試合はずっと穏やかになる。その場合白はクイーン翼の多数派ポーンを生かしてパスポーンを作るようにすべきである。黒はeポーンを突き進めて中央で優位に立ちキング翼での多数派ポーンを用いてキング翼攻撃を仕掛ける可能性を高めるようにすべきである。黒の攻撃は終盤になることが珍しくなく、收局になることさえある(参考棋譜2を参照)。

(この章続く)

2014年04月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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ポルガーの定跡指南(123)

「Chess Life」2006年1月号(6/6)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ルイロペス「ベルリン」戦法[C67](続き)

戦型E) 1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O Nxe4 5.Qe2

5…Nd6 6.Bxc6 dxc6 7.Qxe5+

 7.Nxe5 は 7…Be7 8.d4 O-O で黒に何の支障もない。

7…Qe7 8.Qa5

 この手が最近流行している。黒は展開で一時的に問題が生じるが、正確に指せば大丈夫である。

8…Qd8

 8…Be6 は 9.Re1 で黒に問題が生じる。クイーン翼にキャッスリングすればa7のポーンを取られるし、9…g6 なら 10.Qe5 Rg8 11.d3 Bg7 12.Qa5 で黒キングが無事にキャッスリングできなくなる。

9.Re1+ Be7 10.d3 O-O

 これはZ.バルガ対ピンテール戦(リラフレド、1999年 )で、互角だった。

結論

 黒でルイロペスのベルリン戦法を指すならばこれまでの戦型のすべてを勉強しほとんどは主手順を指すべきである。白では「有名なベルリン收局」を避けたいなら好みにより戦型B-Eのどれを選んでもよい。ほとんどの選手が黒で收局の詳細に集中しているので、少し驚かす効果があることは確かである。

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2014年04月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(105)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

8…h6

 白は面白い罠の手段でdポーンを守っている。8…Qxd4? なら 9.N1f3 で黒は Ne5 からf7ポーンを取られるのを防ぐことができず、黒キングの守りが崩れる。

 しかし待てよ。黒は 8…Qxd4 9.N1f3 Bb4+ から 10…O-O によりfポーンを守る手が稼げるのではないか。もし 10.c3 なら 10…Bxc3+ 11.bxc3 Qxc3+ から 12…Qxa1 で黒の勝ちになる。ところが白の罠の真の巧妙さが潜んでいるのはこの手順である。8…Qxd4? 9.N1f3 Bb4+ 10.c3! Bxc3+ には 11.Kf1!! Qc5 bxc3 が絶妙で、12…Qxc3 がチェックにならないので黒の駒損になる。(黒が駒の代わりに3ポーンを得ているのは事実だが、この局面では3ポーンは十分とはいえない。黒ポーンが脅威になるためには多くの手数が必要で、その間白駒は威力のある地点について早々と攻撃を仕掛ける。白が無駄なく優勢を積極的に活用する限り勝つはずである。)

 罠を避ける問題を別にしても …h7-h6 と突く時機は大切である。もし黒が遅らせれば、白はナイトをe4に引いてf3にいるもう一つのナイトの邪魔にならないようにすることができる。8…h6 に対してここでナイトをe4に引くのはポーンの犠牲が疑わしくなる。

9.N5f3

 ここに引くのはもう一つのナイトとかち合う。しかし 9.Ne4 なら黒は次のようにd4のポーンを取ることができる。9…Qxd4 10.Nf3 Qd8 これで白にポーンの代償が十分にあるのかは疑わしい。白は展開に優りいくらか陣地も広いが、黒はポーン得で陣形は堅固で明白な攻撃目標にされるところもなく、典型的なカロカン陣形である。

9…c5!

(この章続く)

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カロカン防御の指し方(104)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

 白は序盤早々にクイーンを出すべきでないというよく知られた指針に背いてクイーンを非常に早く展開した。しかしe2のクイーンは相手の駒のいじめにさらされるわけではない。それよりも大事なことは白がすぐに勝ちになる 8.Nxf7! という油断のならない狙いを作り出しているということである。例えば 7…h6?? なら 8.Nxf7! Kxf7 9.Qxe6+ Kg6 10.Bd3 Kh5 11.Qh3# となる。

 もちろん白は黒がこの罠に引っかかると期待しているわけではない(ひょっとするとひょっとするかもしれないが)。しかし良い展開の手を指すと同時に罠を仕掛けることができるならばそうしないわけは何もない。それでも白の 7.Qe2 にはもっと深い目的があり、主手順を追うにつれてそれが分かってくる。

7…Nb6

 これでeポーンがビショップによって守られているので白の狙いが無効になった。しかし新たな問題が黒に持ち込まれ、それは隠蔽されていてとらえがたい。見てきたように黒がすぐに …e6-e5 と突ける可能性はほとんどなく、そのためクイーン翼ビショップは自由に動くことができない。このような状況の中での通常のやり方は前に説明したようにビショップをフィアンケットすることである。つまり …b7-b6 から …Bb7 というように側面にビショップを展開することである。しかしここで 7…Nb6 の欠点が明らかになる。すなわちb6のナイトがbポーンをふさいでいるのである。これはとりもなおさず黒が戦力の動員を完了できる前にさらに曲折を経なければならないということである。

 おまけとして白はナイトをd7の黒ナイトによって交換されることを気にすることなく、強力な中央のe5に据えることを期待することができる。

 これまでは白が事の成り行きを押しつける能力を意味する主導権をしっかり握っているのを見てきた。白は黒にクイーン翼の展開に長く問題となる二つの気の進まない手を指すように強いてきた。どうして黒はこのようにこづきまわされなければならないのか。

 事実はこづきまわされるのはここまでである。白は直接の狙いが尽きて、活動的な駒はここからの数手で引き下がらなければならない。さらに白の展開は効率の見本でもなかった。ナイトは3手かけてg5へ行き追い返される。c4のビショップも退却するか交換しなければならない。そしてキング翼の動員は遅れている。

 白陣の負の側面に加えて黒は自陣の正の側面によって鼓舞することができる。はっきり分かる弱点は作り出していなくて、ここから数手の作戦は明らかである。1)キング翼の展開を完了しそちらにキャッスリングする。2)…c6-c5 と突いて白の中央の好所のポーンと交換して、ルークとクイーンのためにc列を素通しにする。3)…Bd7-c6 またはナイトをb6から動かしてから …b7-b6 そして …Bb7 と指してクイーン翼ビショップを対角斜筋に展開する。

 この時点で黒の目標の落ち着いた性向を強調するのはためになる。黒は白に何も具体的な目標を与えないようにしながら自分の動員を完了することだけを目指し、そのあと中盤戦で事態の推移を観察する。この辛抱強い控えめなやり方はカロカン防御全般の特徴で、特に 4…Nd7 の戦法ではそうである。

8.Bd3

 このビショップはもともとa2-g8の斜筋に展開されたので、8.Bb3 と引く方が自然に思われる。d3に引くのは 5.Bc4 が間違いだったことを認めるようなものである。実際この局面で長年ほとんど 8.Bb3 だけが指されてきた。しかし先入観なく少し考えてみれば 8.Bd3 の方が良い手に違いないと気づく。このビショップは本意でない 6…e6 から 7…Nb6 を強いて黒のクイーン翼ビショップを閉じ込めたときc4での使命を果たした。e6の地点がしっかり守られたので白ビショップはc4でもb3でも何もすることがない。しかしd3からはキング翼をにらんでいる。そちらは黒がほとんど確実にキャッスリングし、白がいずれ攻撃を図ることを期待する所である。だからこの退却は 5.Bc4 が間違いだったと認めることでなく、ここ数手で状況が変わったと認めることである。

(この章続く)

2014年04月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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竹島3

2014年04月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(103)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

 白はすぐにf7に対して戦術の狙いを作った。その根底となる考えは黒が白の狙いに対処する過程で自分の展開に不都合や無効な手を指させられるということである。ここでの黒の普通の手はそれを完璧に表している。

6…e6

 これで黒はクイーン翼ビショップをずっと深く埋め込んだ。d7のナイトが飛びのくだけでこのビショップが展開できるのに対して、e6のポーンは行く所がない(白は Nf3、Qe2、Bf4 などで容易に …e6-e5 を防ぐことができる)。だからこのポーンはクイーン翼ビショップを長い間邪魔する。このため黒はいずれクイーン翼でフィアンケットをしなければならない。この用語は「側面」を意味するイタリア語から来ていて、ビショップを最長の斜筋に展開することを意味し、ここでは …b7-b6 から …Bb7 と指すことである。いずれ黒は …c6-c5 と突いてビショップの利きを延ばし白のdポーンに挑む。

 そこでこの戦型を貫く着想の筋道を理解することから始めることにする。白は黒に 6…e6 と突かせてクイーン翼ビショップの展開をより困難にさせた。このことから黒が …b7-b6、…Bb7 そして …c6-c5 と指すことが推定される。この作戦は棋理に合っているが手数がかかる。だからこのあとの数手の間白は積極的に指して自分の迅速な展開を生かさなければならない。そうしないと高くつくのは黒が難なく好形を達成するかもしれないからである。例えば本章の終わりの実戦例3を参照するとよい。

 ここでの白の最善手は狙いを持って展開することである。

7.Qe2!

(この章続く)

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「ヒカルのチェス」(352)

「Chess Life」2014年3月号(1/1)

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世界チーム選手権戦

GMヒカル・ナカムラ(2786、米国)
GMウラジーミル・クラムニク(2793、ロシア)
世界チーム選手権戦、アンタルヤ、2013年

 黒の手番

38…Nxb5 39.axb5 a4 40.Nc5 a3 41.Nb3 a2 42.Ke3 Kf7 43.Kd4 Ke7 44.e4 e5+ 45.fxe5 Ke6 46.Na1 fxe5+ 47.Kc3 g5 48.Kb2 gxh4 49.gxh4 Kd6 50.Nb3 黒投了

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(この号終わり)

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カロカン防御の指し方(102)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン(続き)

 タルタコワ戦法(第5章)とブロンシュテイン=ラルセン戦法(第6章)のように、黒は …Nf6 と指して中央に陣取った白のナイトに挑むつもりである。あれらの戦法では黒はすぐに 4…Nf6 と指して、5.Nxf6+ exf6(第5章)または 5…gxf6(第6章)で二重ポーンを受け入れなければならなかった。本章と次章で取り上げる堅実戦型ではナイトを連結させることにより二重ポーンを避けている。だから例えば 5.Nf3 Ngf6 6.Nxf6+ Nxf6 のあと黒陣はまったく問題ないように見える。ナイト同士の交換は黒の展開を容易にさせるし、特にc8のビショップはこれで自由に動ける。

 この手順には負の側面もある。もし白がf6での交換を拒否すれば、黒は自分の駒をお互いが邪魔しあわないように外へ出すのに苦労するかもしれない。特にc8のビショップは自分のd7のナイトによって閉じ込められている。これは白の主要な2戦法の中心となる着想である。5.Nf3 Ngf6 6,Ng3 は第8章で取り上げ、5.Bc4 Ngf6 6.Ng5 は本章の主題である。

5.Bc4 Ngf6 6.Ng5

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(333)

第6章 ナイト・エンディング

6.4 実戦例

 盤上に駒が少なくなるほど1ポーン得の価値が高くなることは以前に述べた。ポーン・エンディングでは1ポーン得はほとんど常に勝ちが約束される。そして小駒エンディングでは通常は勝つ可能性が高い。これに反してルーク及びクイーン・エンディングでは通常はポーン得よりも駒の配置の方がもっと重要である。最後の例は以上の基本原則を再び示している。黒は1ポーン得だがそれを活用するのは難しそうである。ポーンはすべて同じ翼にありパスポーンはしっかりせき止められ今のところは白の弱いcポーンは防御が可能である。黒は戦力の優位をどのように生かすのだろうか。

 図333 黒の手番
マルコ対マローツィ、1899年

 この局面は1899年ウィーンでのマルコ対マローツィ戦に現れた。黒のパスポーンは他に有利な点がないならばそれ自体では勝つのに不十分である。第一に黒キングは特に良い位置にいるのでポーン・エンディングになった場合パスポーンを捨てても勝てる。第二に白のナイトは具合の悪い位置にいて場合によっては自分のキングのじゃまになる。マローツィは以上の優位を次のようにみごとに生かした。

1…Nd3!

 2.Nxd3 a2 3.Kb2 Kxd3 から生じるポーン・エンディングは勝ちになることにすぐにつけいった。白は 2.Na2 Ke2! 3.Kb3 Kd2 4.Kxa3 Kc2 も負けなので次の手しか残されていない。

2.Nb3 Ne1+

 2…a2 は 3.Na1 Ke2 4.Nb3 となって黒ナイトが動いたとたんに白キングがaポーンを止めることができるのでそれほど容易でない。それで黒は自分のナイトを自由にした。

3.Kd1

 3.Kb1 なら 3…Kd3 4.Na5 Kxc3 5.Nxc6(5.Ka2 でも 5…Nc2!)5…Nc2 で白が簡単に勝つ。

3…Kd3!

 片翼にだけポーンがあるエンディングではキングの進路を切り開くためにこのような駒を見捨てる機会に注意しなければならない。既に知っているようにナイトはルーク列ポーンに対する防御が不得手なのでこの場合は特に効果的である。

4.Kxe1 Kxc3 5.Na1!

 奇想の受けである。黒が 5…Kb2? でナイトを取りにいけば 6.Kd2! Kxa1 7.Kc1 Ka2 8.Kc2 で引き分けになってしまう。

5…Kxd4 6.Nc2+

 6.Kd2 なら 6…Kc4 7.Nc2 Kb3 8.Kc1 で後にでてくる局面と似た状況になる。

6…Kc3! 7.Kd1

 このエンディングの核心はまだ終わっていない。7.Nxa3 なら 7…Kb2 でナイトが取られる。

7…a2 8.Kc1 d4 9.Na1 d3 10.Nc2

 最後のまやかしである。10…dxc2 と取ってくればステイルメイトになる。

10…c5! 0-1

 マローツィはエンディングの達人の一人だった。

 これでナイト・エンディングの解説を終わるだけでなく本書のエンディングの解説の終わりとなる。それぞれの局面を詳しく説明することによりエンディングの理論を理解し易くできたものと期待している。局面は必然的に厳選することになり一部は省略することになった。しかし実戦を志す選手に役立つように基本的なエンディングはすべて取り上げるように努めた。

 チェスの試合におけるこの段階の重要性をいまさら強調する必要はほとんどない。世界選手権者や一流のグランドマスターがこの分野で行なったに違いない努力を実感するために彼らの卓越したエンディングの技法を考えてみれば済むことである。読者が本書を勉強して自分のエンディングの指し方に何らかの進歩が見られれば著者の目的が成功を収めたことになる。

(この節・章終わり)

(完)

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カロカン防御の指し方(101)

第7章 堅実戦型 白の攻撃 フリオ・カプラン

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(332)

第6章 ナイト・エンディング

6.4 実戦例

 今度も具体的な戦術に基づく手段が形式的な有利をどのように上回るのかという例である。

 図332 黒の手番
バルツァ対シマギン、1949年

 白は1ポーン得しているだけでなくa列に外側パスポーンを持っていてf列にもパスポーンが期待できる。それにもかかわらず白は敗勢である。第一に中原にどっかりと陣取った黒の駒はd列のパスポーンにしっかりした支援を与えている。第二に白のナイトはd列のポーンとの戦いに加わるには位置が悪すぎる。これらの二つの要因により黒は以下のように勝つことができる。

1…d3 2.Kf1 Nc3 3.Ke1 Kd4

 明らかに白の手はすべて必然であり次の手もそうである。黒の次の狙いは 4…Ke3 である。

4.Kd2 Ne4+ 5.Kc1

 キングが他に行けば 5…Ke3 ですぐに負けになる。ここで黒はどう指したら良いであろうか。5…d2+ なら 6.Kc2 だし、5…Ke3 なら 6.Nb5 d2+ 7.Kc2 Nf2(7…Ke2 なら 8.Nd4+)8.Nc3 で白がしのげる。しかしそれでも黒は次のような参考になる捌きで勝つことができる。それは図322の手段を思い起こさせる。基本のエンディングに習熟しておくことが痛感される。

5…Nd6!

 このナイトはc4の地点を目指している。何が違うのかはすぐに分かってくる。

6.Kd2

 この手は黒に勝利への作戦を遂行させてしまうが他の手でも負けである。
1) 6.Nc6+ Kc3 7.Ne7(黒の狙いは 7…Ne4 から 8…d2+ だった)7…d2+ 8.Kd1 Ne4 9.Nd5+ Kc4 でナイトが逃げると 10…Kd3 なので黒が勝つ。
2) 6.a4 Ke3 7.Nc6 Nc4! 8.Nb4(8.a5 なら 8…d2+ から 9…Nb2)8…d2+ 9.Kc2 Ke2 で黒が勝つ。

6…Nc4+ 7.Kc1

 7.Kd1(e1)なら 7…Ke3 で終わりである。

7…d2+ 8.Kc2 Ke3 9.Nb5

 次にナイトがc3に行く手があるので一見受けに成功したように見える。しかしここで黒がナイトをc4に来させた理由が明らかになる。

9…Na3+!

 図322で見たのと同じ着想である。白のナイトはおびき出される。

10.Nxa3 Ke2

これでポーンがクイーンに昇格する。図332から黒に一本道の勝ちがあるとはほとんど信じられない。

(この節続く)

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布局の探究(93)

「Chess Life」1994年5月号(1/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

迅速展開の伝道者

 強い選手はポール・モーフィーを賛美して最初の現代のマスターと考えている。すなわちポーン陣形、收局、戦略、戦術、そのほか何だろうとチェス全体を理解していたということである。しかしチェスの一般大衆は美しい手筋ゆえに彼を懐かしんでいる。そう、確かにモーフィーは華麗な手を指した。しかしそれらは美食のあとのデザートというだけのことである。1920年代と1930年代にアレクサンドル・アリョーヒンはまさしく手筋のために賞賛されていた。そのような「賞賛」にルドルフ・シュピールマンは「自分もアリョーヒンと同じく手筋が見えるが同じ局面にはならない」と叫んだといわれる。

 ポール・モーフィーについても同じである。彼は布局原則を深く理解していたので、戦術の一撃が可能な局面を迅速に作り上げることができた。良い布局の指し方の重要な目的の一つは、駒を中央に向かって展開させて中盤戦に備えるようにすることである。19世紀中頃の習慣となっていたようにモーフィーも白だろうと黒だろうと開放試合を指す方が好きだった。彼はすぐに迅速で目的を持った中央志向の展開を達成することに卓絶するようになった。そして布局の指し方のこの側面について多くのことを我々に教えてくれる。そこで彼の早い勝利のうちから白番2局と黒番2局の計4局を選んだ。

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カロカン防御の指し方(100)

第6章 ブロンシュテイン=ラルセン戦法 ジャック・ピーターズ(続き)

実戦例3(続き)

33…Rxg3! 34.fxg3 Qg1+ 35.Ke2 f3#!

(この章終わり)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(331)

第6章 ナイト・エンディング

6.4 実戦例

 図331 白の手番
ピルズベリー対ガンズバーグ、1895年

 これで駒の損得のないポーン・エンディングになった。見た目は黒に何の問題もないようである。黒はeポーンを取る狙いの他に外側パスポーンを作る可能性もある。しかし白は突き進んだパスポーンを守り黒が自分のパスポーンを有効に使えないうちに中央に2個の強力なパスポーンを作り上げることができることを見越していた。

6.e4! dxe4 7.d5+ Kd6 8.Ke3

 ここでピルズベリーがどのくらい深く読んでおかなければならなかったが分かる。白はeポーンを取った時ちょうど黒のクイーン翼のパスポーンを止めるのに間に合う。

8…b4 9.Kxe4 a4 10.Kd4 Ke7

 この手が最善の受けである。実戦ではガンズバーグは 10…h5 と指し以下 11.gxh5 a3 12.Kc4 f5 13.h6 f4 14.h7 で投了した。本譜の代わりに 10…f5 でも 11.gxf5 g4 12.f6 で白が簡単に勝つ。

11.Kc4 b3

 ここでも 11…f5 12.gxf5 g4 13.Kxb4 h5 は白ポーンが進み過ぎていて間に合わない。例えば 14.Kc5 h4 15.d6+ で白の勝ちになる。

12.axb3 a3

 12…axb3 なら 13.Kxb3 f5 14.gxf5 g4 15.Kc3 で黒ポーンが白キングによって止められる。

13.Kc3 f5 14.gxf5 g4

 黒はともかく両翼でパスポーンを作ることに成功した。しかし白にもb列にパスポーンを作らせた。それが勝敗を決することになる。

15.b4! h5 16.b5 h4 17.b6 a2

 この手は白キングを最下段に落として黒にクイーンができた時にチェックになるようにしようという意図である。しかし実際にはそれは実現に至らなかった。

18.Kb2 g3 19.hxg3 hxg3 20.d6+!

 この手の方が正確である。 20.b7 は 20…g2 21.b8=Q a1=Q+ 22.Kxa1 g1=Q+ で黒がまだ戦える。

20…Kxd6

 20…Kf6 なら 21.d7 Ke7 22.b7 g2 23.d8=Q+ Kxd8 24.b8=Q+ という例の手順で白が勝つ。

21.b7 Kc7 22.e7

これで白が勝つ。

 やはりチェックをかけて白にクイーンができる。白の妙技の連続であった。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(099)

第6章 ブロンシュテイン=ラルセン戦法 ジャック・ピーターズ(続き)

実戦例3(続き)

16…Qd6 17.Qb3

 串刺しの 18.Bb2 を用意して戦術的にdポーンを守った。

17…Nb6 18.Bb2 Na4! 19.Rd1

 この手のあと白のdポーンは落ちる運命である。たぶん白は 19.d5 に期待していたのだろうが、19…e5! でa1-h8の斜筋が閉ざされることを見落としていた。20.dxe6e.p.? と取ると 20…Qxb4+ 21.Kf1 Nxb2 で白の駒損になる[訳注 20.a3 で白が悪くないようです。だから黒はすぐに 20…Nxb2 と取るべきです]。

19…Nxb2 20.Qxb2 Bg7 21.a3 Rd8 22.Qc2 e6 23.Rh3 Bxd4

 ポーンが落ちた。戦力が互角になって黒の攻撃が続く。

24.h5 Qf4! 25.Bf3

 25.Bc4? Bxf2+! 26.Qxf2? は 26…Rxd1+ でクイーンが取られる。

25…e5! 26.Rd2 e4 27.Bd1 Rg8

 黒はすべての駒が攻撃に加わった!

28.g3 Qe5! 29.Re2

 …e4-e3 と …Bc3 の二つの狙いに適当な受けがない。

29…Bc3+ 30.Kf1 Qd4! 31.Re1 Bxe1 32.Kxe1 f4! 33.Rh4

 だめもとで 33…fxg3?? 34.Rxe4+ を期待した。

(この章続く)

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