2014年01月の記事一覧

[復刻版]実戦に役立つエンディング(271)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 ビショップ+1ポーン対ナイト+1ポーンも一方のポーンがどんどん駆け抜けたり敵の役駒の配置が非常に悪かったりしなければ明らかに引き分けに終わるはずである。ここでも例外には興味がない。それよりもビショップ+2ポーン対ナイト+1ポーンの通常の局面の図271に早速取り組もう。

 図271 白の手番
エリスカセス対エーベ、1947年

 白は健全なポーン得になっているので勝つはずである。しかしどのように指し進めるのが最善であろうか。考えるに値するのは二つの作戦しかない。それはキングでbポーンを支援するか黒ポーンを攻撃するかである。分析してみよう。

1.Kc5!

 bポーンは決定的な武器なのでこの手が最も簡明であることは確実である。1.Ke5 は 1…Ke7 から 2…Nf7+ で白は何も具体的な成果が得られない。

1…Nb7+

 黒は既に後退を余儀なくされている。それで黒は 2.Bb5+ から 3.Kc6 を許すよりも盤端に敵キングを追いやる方を選んだ。

2.Kb5 Nd8

 2…Nd6+ なら 3.Ka6 Kc6 4.Bc4! で黒はビショップを取ることができないのでキングがd7へ戻らなければならない。代わりに 2…Kd6 なら 3.Be4 Nc5 4.b7 Nd7 5.Ka6 Kc7 6.Ka7 で白が簡単に勝つ。

3.Ka6

 もっと簡単な勝ち方は 3.Be4! Kd6 4.Bg2 で黒キングを遮断することである。以下は例えば 4…Nf7(4…Kd7 は 5.Ka6 Kd6 6.b7 で同じになる)5.Ka6 Nd8 6.b7 Nxb7 7.Kxb7 Kc5 8.Kc7 Kd4 9.Kd6 Ke3 10.Ke5 で白の勝ちになる。

3…Kc6

 消極的な指し方ではもっと早く負ける。例えば 3…Kc8 なら 4.Ka7 Nc6+ 5.Ka8 Na5 6.Bb5 である。本譜の手で黒はナイトを切ってbポーンを取りそれからfポーンを取ることを狙っている。

4.Be4+

 4.Bc4 で 4…Kc5 に 5.Bxe6! と指せればうまいが 4…Kd6 とされるとビショップは場違いの地点にいる。ビショップは対角斜筋にいる方がもっと効果的である。

4…Kc5 5.Bh1

 もちろんすぐに 5.b7 はだめで 5…Nxb7 6.Kxb7 Kd4 から 7…Ke3 で引き分けになってしまう。しかし 5.Ka7 は可能で 5…Kd4 なら 6.Bh1 で良い。代わりに 6.Kb8 でも 6…Kxe4 7.Kc7 でbポーンがクイーンに昇格できる。

5…Kd4 6.Ka7 e5

 最後の試みである。6…Ke3 は 7.Kb8 Kxf4 8.Kc7 で白が勝つ。

7.f5

 黒のeポーンはビショップで止められるので2個のパスポーンで白が簡単に勝つ。

7…e4 8.Kb8

 8.f6 e3 9.Bf3 で 10.b7 から 11.f7 を狙っても白が勝つ。

8…e3 9.Bf3 Nc6+

 白の狙いは 10.Kc7 だった。

10.Kc7 Nb4 11.Kd6

これで白が勝つ。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

「ヒカルのチェス」(344)

「Chess Life」2013年12月号(5/5)

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ナカムラの発言録

 シンクフィールド杯が終了した2013年9月15日付け。チーム仲間のGMガータ・カームスキーが米国のチェスに行なってきた努力と貢献を評価したい気持ちに触発されて、GMヒカル・ナカムラが自分のチェス棋歴のあれやこれやについてじっくり話してくれた。

2012年チェス・オリンピアードについて

 前回のオリンピアードは我々が金メダルを取る最後の機会だったと思う。個人の世界選手権以外ではこれまでの棋歴で逃した数少ない偉業の一つだ。(2012年は)すごいことの連続だった。多くの点で自分の持っているものすべてを出した気がするし、特に対ロシア戦ではそうだ。すべてのオリンピアードの中で、たぶんこれまで参加したすべての大会の中でも、個々の試合に勝つことにあれほどの喜びを感じたことはなかった。ロシア戦に勝ったのは本当に偉業だった。ロシア戦に勝ったあとのチームの意識は記憶に残っている。ガータは(GMアレクサンドル・グリシュク戦の)難局を切り抜け、自分はウラジ(クラムニク)との長手数の收局に勝った。これまでの自分の棋歴でたぶん最高の二つまたは三つの輝かしい出来事の一つだった。

最終戦について

 不思議だがこれまでの棋歴でたぶん2回の機会しかなかった・・・言い替えると、とてもそんな機会はないと感じられるような機会があった。2006年トリノでの機会はまざまざと思い出される。あそこではイスラエル戦の前に[IM]ジョン(ドナルドソン)がやって来て「ガータの調子が良くない。彼は主将席で[GM]ボリス・ゲルファンドと指す気がしない。」と言った。そしてそのことは忘れられない。義父のスニール(ウィーラマントリ)と二人でガータの所に行って「気を楽にして注意深く指せばいいんだ。確実に指せばいいんだ。それでいい」と言った。もちろんガータは負けてしまった。自分が[GM]エミル・ストフスキーに勝ったのはとても重要だった。チームとしては負けたが、それでも自分が勝ったことで2½ – 1½ の惜敗だった。このあとチームとして少し勝って挽回して結局銅メダルを獲得した。しかし最終戦で[GMラドスラフ]ボイタシェクに自分が負けたので非常に面白くなかったとうっすらと記憶している。ほかにそのような気持ちになったと言うしかないのは、皮肉にも最近のワールドカップで[GMアントン]コロボフと対戦した時だ。だれでも対局しそれと折り合わなければならないのは明らかだ。トリノのことでちょうど思い出したのは、スニールと二人でガータに指すように説得しなければならなかったことだ。(最終戦で)実は(個人の)金メダルを取ろうと考えて席についていた。しかしそれと同時に感じていたのは、[GM]バルージャン・アコビアンにとって将来のチーム選考に出ないのでたぶんオリンピアードで米国のために指すのはこれが最後の機会だということだった。だから非常に難しい状況だったが、その日の終わりには自分はそれでも米国ナンバーワンであり自分の義務を果たさなければならなかった。あいにく自分の試合には負けてしまった。しかしガータはあの敗戦を糧に副将席で勝つ手段を見つけ出し銀メダルを獲得した。正直なところあのオリンピアード以前はたぶんあれがチームの金メダルへの最後の機会だったと思う。またやる2回目の機会が与えられたので---本当に、本当にトロムセは楽しみにしているし110パーセントの力を出すつもりだ。

トロムセに向けての準備について

 言うのは難しいが、ガータはチェス人生の終わりに近づいていると実感しているみたいだと思う。結局のところチームの様子や見通しはもっと大切だとも思う。確かに大会の前に共同研究できることは期待している。前回のオリンピアードの前は自分は大会に出ていたので全然研究しなかった。自分にとって少なくとも今回は絶好の機会だと思う。与えられた機会を生かさなかったことが思い出される。

カームスキーのほかに望ましいチームメイトについて

 これは「ドリームチーム」ではないと思う。チーム戦のことになるとすぐに全部勝ち負けで考えてしまう。ロシア、中国、アルメニアなど異なった多くのチームがいるので自分のすべてを出し切るつもりだ。それらのチームは下位席にいくにつれて強敵になるのに、米国は弱くなる。ガータと自分は世界級で調子の良い日は誰にでも勝てると思う。自分の試合に集中して勝つだけだ。我々の強みは主将席と副将席にあると思う。ガータと自分は強い選手だ。我々は長いことそうだった。ガータがいい試合をし自分もいい試合をすれば、我々は本当に無敵だ。第3席と第4席で誰かが引き分けにできる限り、我々は無敵になる。否定的な意味ではない。というのは[GM]アレックス・オニシュクと[GM]ティムール・ガレエフも強豪選手だからだ。だけどガータと自分は格が違うと思っている。二人のうちの一人がチームを引っ張れる。

シンクフィールド杯について

 大会に優勝できなかったのは本当に残念だった。多くの点ですべてをかけなければならないと感じていた。たぶん大会前よりもそうだ。店に行ったり、休息日にスーパーマーケットに行ったり、あるいは試合の前に栄養ドリンクを買いに行ったり、普通の人が自分のところにやって来たり、そうして幸運を祈ってくれる。そういうことが大きな意味を持っていた。もっと全力を尽くそうという動機づけになった。なぜならチェスはたぶんちゃんとした評価やメディアの取材を受けていないからだ。セントルイスの平均的な普通の人が自分のところにやって来て幸運を祈ってくれるということは、スポンサーを獲得したりチェスをよく知っている誰かが幸運を祈ってくれるよりもずっと意味がある。地元の人たちのために期待に応えられなかったことはちょっと残念だ。しかし必ず機会はもっとある。

米国のチェス大使になっていることについて

 人々が応援してくれることよりいい気持ちはない。確かにクラブに来たらそこの人たちが幸運を祈ると言ってくれたり好成績を期待してくれたりするのは大きな意味がある。特に米国ではそうだ。アルメニアの[GM]レボン・アロニアンやノルウェーの[GM]マグヌス・カールセンを見ると、彼らは自国の支援を受けている。ところがここ、米国は同じでない。自分は確かによく知られた名前ではない。自分は同じような支援を受けていない。名前がよく知られていないからだ。クラブに入ったときそこの人たちが近づいてきて「幸運を」とか「頑張って」とか言ってくれるのは自分にはこの上もないことだったということは言っておかなければならない。確かにヨーロッパでは同じように歓待されない。自分が米国のチェスのためにやっていることや世界の最強選手たちと戦おうとしていることを理解している人たちがいることを知ることだけでも、自分のことを見守っている選手たちがいることを知ることは大きな意味がある。過去には自分のことを見守らず否定的なことを言う人たちがいた。

マネージャーを持つことについて

 今のところその予定はない。テニスファンなのでセントルイスのジミー・コナーズの書いた「The Outsider」というこの本を読んでいた。彼の回想録を読んで強く印象に残ったことの一つは母親が彼の身の回りを取りしきり、家族の秘密を保ち、忠実さを保ったことだ。どうみてもあの忠実さ、どんな犠牲を払っても支援してくれる人たちは買うことはできない。自分の家族に相談することは痛感している。尊敬する母は今タンザニアに行ってキリマンジャロに登っている。すべてうまくいってくれれば数日で頂上に近づいているころだ。母と義父のスニールがいなければ自分は何もできなかった。何でも彼らに相談するし、婚約者ともそうだ。何でも身内にとどめようとしている。彼らの忠実さ、彼らの支援は前に進むのに計り知れないほど貴重だ。そのようにやっていくと何でもうまくいくと信頼している。

意義のあるチェス選手を持つことについて

 何か優位があるのか知らないが、チェスを理解できる誰かを雇うことは大きな意味があると言わなければならないことは確かだ。勝とうと負けようと引き分けようと、それを理解できる誰かがいることになる。多くの点で言語を選ぶのと似ていると思う。誰か言語が分からなければ彼らはそれが分からない、明快で単純だ。チェスを理解し勝負の浮き沈みを理解できる誰かがいるような感じだ。そのような誰かがいてとても幸運だ。

レックス・シンクフィールドが挑戦者決定大会を米国に持ってくる可能性について

 レックスは米国のチェスに大変な貢献をしてきた。そのことは言わなければならない。指名選択権やその類に関する限り、ただ次の大会に集中しいいチェスを指すだけだ。いいチェスが指せれば指名選択される可能性のある地位をたぶん固められるはずだ。しかしそれをやるのはFIDEで、官僚主義がはびこっていて、すべてを見通すことはとても難しい。いいチェスを指せばすべてうまくいくと信じている。世界選手権戦で指せる機会が来ることを期待している。

カームスキーについて

 自分の躍進と強豪選手になったのは大部分彼の不在の間だった。ガータは2003年か2004年にチェスに復帰した。その話は色々なことが思い出される。よく知られている話だと思う。思い出すのはニューヨークマスターズで対局していた時で、2003年だったと思う。彼は本当に自分に幸運を願ってくれた。「この大会で指している強豪選手だな、本当に頑張ってくれ」というような感じだった。当時自分はあまり強くなかったし、今の地位でないのは確かだ。彼を自分にアドバイスをくれることのできるライバルとはたぶんあまり見ていなかった。自分を激励し成功を期待してくれる誰かがいることはすごく意味がある。彼の時代がたぶん終わりに近づいていることは知っていても、彼は米国のチェスにとって偉大な存在だった。彼は非常に強かったし、彼がやめるのを見るのは本当に残念だ。だけど時代は進む。長年にわたって彼のくれた励ましやアドバイスすべてを役立てることができればと思う。

 ずっとずっと前の頃のニューヨークであれがどこにあるのかもう分からない。1993年は実際自分がチェスを始めるよりも前で、兄は既に指していて、母はサインされたチェス盤をどこかに持っている。サインは二つで、[GM]ガータ・カームスキーと[GM]ヤセル・セイラワンのものだ。ガータのサインはもういくらか消えかかっていると思う。ガータは長年米国のチェスに大きな貢献をしてきたと感じているし、それに見合う感謝を受けてきたかはよく分からない。彼は多くのことをしてくれたと思う。終わりの日には彼の業績や彼の達成したすべてが尊敬され評価されることを望んでいる。

 これは悪い意味ではない。だけど確かに彼が17、18年前[GM]アナトリー・カルポフと指していたときにいたリーグに自分はいた。彼がこの先うまくいくことを願っている。

世界選手権対オリンピアードの目標について

 自分の個人生活に何も問題がないという仮定で、世界選手権のためにこれから15年以上戦えるという気がする。世界チーム選手権とオリンピアードの金のためには最後の機会が1回あるという気がしている。今のところ自分が一番集中しているのはオリンピアードだ。

番勝負でカールセンに勝つことについて

 ボビー・フィッシャーにならなければならない、明快で単純だ。彼は番勝負の前に[GMボリス]スパスキーに勝ったことがなかった。自分自身もほとんど同じだと見ている。強くなることに集中しなければならないだけだ。そしてカールセンと番勝負を戦う機会があれば、彼と戦えるということを証明しなければならないだけだ。もしこの大会でのようにうまく指せれば、圧力をかけ続けてやるだけで最後に彼はつぶれるだろう。2局とも少し良い局面だった。勝てない理由は何もない。

カールセンとの個人的な関係について

 ジョン・マッケンローの言葉を借りれば「あまり夕食をともにしない」だ。彼は人間的にいいやつだ。だけど自分の競争相手で、彼を負かしたいと思っている。結局のところチェスは戦うスポーツだ。自分と自分の気風に忠実でいればいつか彼を負かす。

カールセンより精神的に強いかについて

 それは非常に難しい質問だ。3、4か月前なら違うといっただろう。今なら確実にそうだと言う。たぶん番勝負でなく大会で大分証明されている。自分はすべてに慣れている。今はすべてを見た。将来はもっとうまく指すのが楽しみだ。

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(この号終わり)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

カロカン防御の指し方(039)

第4章 パノフ攻撃 エドマー・メドニス

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5 4.c4

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(270)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 重要な原則はビショップの利く枡に両方のポーンを進ませないことと「誤った」ルーク列ポーンがある場合はナイトでナイト列ポーンを切ってこさせないことである。ここにファインの挙げた局面がある。

 図270

 我々の原則によれば白はまず 1.h4 と突くべきである。しかしこの局面に限ってはこの手は白の勝ちを極端に難しくしてしまう。1…Kh6 の後白は好所にいるナイトを追い払うまでgポーンを突くことができない。

 それゆえに最善手は 1.g4! となる。即ちこのポーンをhポーンで守ってナイト切りをなくする。1…Kg5 2.Kg3 Ng6 でせき止められる恐れはない。続いて 3.Bd3 Nh4 4.Be4 と指せば黒は手詰まりに陥ってすぐに負けてしまう。1.g4! の後白は一歩ずつポーンを突いていくことができる。1…Nc6 2.Kg3 Nd4 3.Bd3+ Kf6 4.h4 Ne6 5.Bc4 Nc5 6.Kf4 Nd7 7.Bd3 Kg7 8.g5 Nf6 9.Be4 Nh5+ 10.Kg4 Nf6+ 11.Kf5 Nh5 12.Bf3 Ng3+ 13.Kf4 これで白が楽に勝つ。

 白ポーンが孤立している場合それらがあまり近接していず一方のポーンが「誤った」ルーク列ポーンでなければ、あるいは白ポーンが効果的にせき止められなければ白はもっと楽に勝てる。このような例外は分析してもほとんど意味がない。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

カロカン防御の指し方(038)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例2(続き)

 黒は最初の雨をしのいだ。しかしはるかかなたの地平線には黒雲が見える。それは二重ポーンで、可能な限り整った形ではあるけれども、白がキング翼で、特にf列とh列で素通し列を作るのが容易になっている。素通し列ができれば白の双ビショップが非常に危険な存在になってくる。黒の方はクイーン翼で手を作らなければならないが、これはそちらの白陣が非常にきれいな形なので言うは易く行なうは難しである。全体的には白の優勢は理論上少しにすぎないが、実戦では白陣は非常に有利である。キング翼で攻撃が非常に有望で、クイーン翼ではすぐの危険性は何もない。

14…Nh5 15.Be3 Qc7 16.g3!

 ナイトを自由にする 16…Nf4 は防がなければならない。

16…Rac8?!

 この手は 17…Nb4 を狙うことにより、白クイーンをそれの本来行きたかったキング翼に行かせるだけである。ブラウンはもっと理にかなった 16…Rab8! で、それの示唆する …b7-b5、…a7-a5 から …b5-b4 の反撃の用意をすることを推奨している。

17.Qe2! a6 18.Rae1 Rfe8 19.Bc1!

 この手はクイーン翼を守るとともにe列を空けてすぐに仕掛ける手を見ている。その狙いは 20.Ne5! で、20…Nxe5? なら 21.dxe5! で黒のキング翼ナイトがh5で立ち往生する。だから黒はこのナイトをすぐに引き戻す。

19…Nf6 20.Ng5

 20.Ne5 も良い手である。

20…Bd6 21.f4! Nd7?!

 黒のキング翼はこれから先も同じくらい堅固である。だから 21…b5 と突いてクイーン翼で動き始める時機だった。

22.Nf3

 ナイトをe5に移すのは確かに悪い考えではないが、局面の精神にもっと沿っているのは 22.h4! から強力な 23.h5 を狙うことだった。もし 23…Nf6 なら 24.Kg2! Ne7 25.g4! で、Qf3、Rh1 そして h4-h5 でh列で攻撃する用意ができる。

22…Nf8 23.Ne5 Ne7?!

 ここでは 23…b5 で反撃することが必要だった。

24.Kg2 f6?

 黒のキング翼はそもそもあまり堅くなかった。やってはいけないことはこの新たに陣形を弱めることだった。最善手は 24…b5 である。

25.Nf3 Rb8 26.h4!

 主眼の決定的な攻撃が始まる。

26…b5 27.a3 Nc6 28.Qc2 Ne7 29.Qe2 Qc6 30.Rh1! a5 31.h5! b4 32.cxb4 axb4 33.a4!

 この犠牲は必要でないかもしれないが、役に立つ投資である。クイーン翼での黒の進攻を遅らせ、キング翼で白が好きなように動ける。

33…Qxa4 34.Nh4! gxh5 35.Qxh5 Rfc8 36.f5! Qb3

 36…Qe8 には 37.Ng6 と来られる。

37.fxe6 Nxe6 38.Qh7+

 白は時間に追われて 38.Rxe6 からの明快な勝ちを見つけることができなかった[訳注 実際は 38…Qxd3 で形勢逆転です]。

38…Kf7 39.Qh5+

 この手に対して 39…Kg8 なら黒の37手目の局面になるが、白はやはり 40.Rxe6 Qxd3 41.Rxd6 Rc2+ 42.Kh3 という平凡な手で勝つ[訳注 途中 41…Rxc1 42.Rxc1 Qd2+ 43.Kh3 Qxc1 で黒が優勢です]。

39…Kf8 40.Ng6+ Ke8 41.Rxe6 Kd7 42.Rxe7+! Bxe7 43.Qf5+ 黒投了

(この章終わり)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(269)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 ビショップ+2ポーン対ナイトならば通常は白の勝ちは確実である。ポーンの一つが「誤った」ルーク列ポーン(昇格枡がビショップの利きにない)でナイトを犠牲にしてもう一つのポーンを取れる場合に防御側が引き分けにできる。あるいはポーンが誤った進み方をして黒の駒によりせき止められた場合にももちろん引き分けになる。

 白にとって特に問題なく勝ちになる一本道の例を考察しよう。

 図269

 このような場面での役に立つ原則はビショップの占める枡の色と反対の色の枡にポーンを進めるということである。さもないとポーンがせき止められる危険性が大いに出てくる。例えば 1.d4? は 1…Kd5 2.Kd3 Nd6 から 3…Ne4 と受けられて白は黒の封鎖を振りほどけない。ビショップがナイトの動く枡を全て押さえることは不可能である。

1.e4! Kc5 2.Ke3 Kd6

 2…Kb4 は意味がない。白はまず 3.Bg7 と指してからdポーンを突き進める。

3.d4 Nc7 4.Kd3

 4.d5? はもちろん 4…Nxd5+ でだめである。しかし 4.Bc3 から 5.Ba5 は可能である。

4…Kc6 5.Kc4 Kd6 6.d5

 黒はどうしてもdポーンが止められない。

6…Ne8 7.e5+ Ke7 8.Ba3+ Kf7 9.Kc5

 これで白が勝つ。

(この節続く)

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布局の探究(85)

「Chess Life」1994年2月号(2/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

dポーン布局の激しい指し方(続き)

Ⅰ.クイーン翼ギャンビット受諾

1.d4 d5 2.c4 dxc4

 現代の指し方では黒はこのポーンにしがみつくつもりはなくて、白にポーンを取り返させる手数を利用してクイーン翼の戦力の迅速な中央への展開を準備する。

3.Nf3

 白は …e7-e5 突きに基づくどんな反撃も防ぎ、都合の良いときにポーンを取り返す用意をする。

3…Nf6

 黒はキング翼ナイトを中央への最良の地点に展開しつつ、白の e2-e4 突きを防ぐ。このあとの普通の手順は 4.e3 e6 5.Bxc4 c5 6.O-O a6 7.Qe2 b5 8.Bb3 Bb7 9.Rd1 Nbd7 10.Nc3 Qb6 で、黒は注意深く指していけばほとんど互角の形勢に持っていけるはずである。しかし白にはすぐに戦いを激化させる手段がある。

4.Nc3!?

 白の意図は 5.e4 で強力な中央を築きながらポーンを取り返すことである。これは完全に白の意中を行くので黒は許すわけにいかない。だから黒の主眼のやり方は 4…a6 または 4…c6 と突いてc4のポーンにしがみつくことをちらつかせることである。後の方の局面はスラブ防御の手順から生じるのが普通なので、別個に次のⅡで考える。

4…a6 5.e4 b5 6.e5 Nd5 7.a4

 黒がギャンビットポーンにしがみつこうとする局面でb5の地点を切り崩すのは白の常套手段である。黒はここで 7…c6 と突くことができるが、スラブ・ギャンビットの劣った戦型に思われるので私は完全には自信が持てない。すなわち 1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.Nf3 dxc4 5.e4 b5 6.e5 Nd5 7.a4 で、欠点なく中央に展開する 7…e6 の代わりに黒が 7…a6 と指したからである。

 7…Bb7? は 8.e6! のあと黒が取ろうと 8…f6 とかわそうとキング翼がひどい格好になるので明らかに悪い。だから黒の次の手は当然の手として受け入れられるようになった。それでも白の中央が強化されるのは避けられない。

7…Nxc3 8.bxc3 Qd5

 このクイーンの積極的な進出は40年以上に渡って黒の主手順となっている。代わりに 8…Bb7 は 9.e6! でうまくいかないのが一般的である。例えばA.ベリヤフスキー対M.ドルーギー戦(チュニス・インターゾーナル、1985年)では 9…f6 10.Be2 Qd5 11.O-O Qxe6 12.Re1 Qd7 13.Nh4 g6 14.Bg4 f5 15.Bf3 Nc6 16.Bg5! で白が圧倒的な主導権を得た。この手順はこの戦型に特徴的なものである。つまり白は黒の遅れたキング翼の展開につけ込むことを目指す。黒の考えられる改良としてW.シュミット対K.J. シュルツ戦(プラハ、1987年)に基づいて 12…Qb6!? が提案された。

9.g3 Be6?!

 この野心的な作戦はたぶん指しすぎである。9…Bb7 9.Bg2 Qd7! の方が安全だが、白が 11.Ba3、11.O-O または 11.Nh4 でポーンの十分な代償を得ていることは否定できない。

10.Bg2 Qb7 11.O-O Bd5 12.e6! Bxe6

 12…fxe6 と取るのも不十分である。13.Nh4! g6 14.Re1 Bg7 15.Qg4 O-O 16.Qxe6+ Bxe6 17.Bxb7 Ra7 18.Bg2 Bd7 19.axb5 Bxb5 20.Ba3 となって白が優勢である(GM M.グレビッチ)。

13.Ne5! Bd5

 このギャンビット戦型での白の目的は、展開での優勢を攻撃的に用いることである。だから黒の唯一展開している駒を交換でなくすことは十分満足できる。13…c6 は 14.Qh5! g6 15.Nxg6 fxg6 16.Qe5 でひどいので、黒には選択の余地がない。

14.Bxd5 Qxd5 15.axb5 f6

 15…Qxb5? は 16.Qf3 でa8とf7の両当たりでたちまち終わりとなる。15…axb5?! はちょっとましなだけで、16.Rxa8 Qxa8 17.Qg4!(すぐの 17.Qh5 には 17…Qd5 がある)17…e6 18.Qh5 g6 19.Nxg6 fxg6 20.Qe5 Rg8 21.Qxe6+ となる。

16.Ng4! Qxb5

 ここで 16…axb5 は 17.Ne3! Qb7 18.Rxa8 Qxa8 19.Qh5+ g6 20.Qxb5+ で負ける。4…a6 での手損と 5…b5 によるクイーン翼の弱体化がどのように被害をもたらしたかに注目して欲しい。

17.Qf3 c6 18.Ne3! g6 19.Ba3 Qh5 20.Qe4 e5

 チェルニン対ビジュマナビン戦、ルボフ、1987年

 ここで白は 21.Bxf8 と指し、43手で勝った。グレビッチの考えでは次の方が決定的である。

21.dxe5! Qxe5 22.Qxc4 Bxa3 23.Ng4! で白の勝ち。

 例えば 23…Qd6 24.Rad1 Qc7 25.Qe6+ Be7 26.Nxf6+ Kf8 27.Nd7+ Nxd7 28.Rxd7 で決まる。やはりこのような手順では白の大きな展開の優位が決定的な役割を果たす。

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カテゴリ: 布局の探究1

カロカン防御の指し方(037)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例2(続き)

 このナイトは黒陣にうるさい圧力をかけている。これに対するまともな手は二つしかなく、(実戦のように)ビショップをh5に引くか、11…Nxe5 と取ってから積極的な 12.dxe5! に 12…Nd7 と引くかである。しかしあとの場合 13.Qc2 とh7を当たりにされその対処が難しい。13…h6 と突くとg4のビショップが取り残されて安全な逃げ場所がなくなる。代わりに 13…g6 は 14.h3 Bf5 15.Bxf5 gxf5 16.Bh6 Rd8 17.Nf3 となって、白が黒の弱体化したキング翼に攻撃する見通しができ、黒には何もない。

11…Bh5

 この手は 11…Nxe5 よりもずっと堅実だが、それでも白は少し主導権を保持している。

12.Qc2! Bg6

 ほとんどこの1手である。ほかの手では黒は圧力をかわしきれない。

13.Nxg6! hxg6 14.Nf3!

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(268)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 しかし白が負ける危険性のある例外的な場合がある。図268では詰みを免れるために必死で守らなければならないのはなんと戦力的に優勢な方である。

 図268
リヒター、1910年

 黒ナイトはb6の地点に行き着ければ詰みにできる。だから白ビショップは何としてもそれを阻止しなければならない。黒ナイトは5個所の地点からb6に行ける。それらはa4、c4、d5、d7及びc8である。白ビショップはいつでもこれらの白枡を押さえることができるようにしなければならない。

 もう少し詳しく見ると黒ナイトはある一つの時点ではこれらの地点のうち2個所しか狙えないことが分かる。例えばb2からはa4又はc4に行ける。c3からはa4又はd5に行ける。こういった具合である。だから黒ナイトがb2にいる時はビショップはb3又はb5に行ける地点にいなければならない。ナイトがc3にいる時はビショップの急所の地点はb3又はc6である。つまりポーン・エンディングのように一群の対応枡が存在するのである。(残りを全部示すとe5のナイトに対してビショップ側はe6又はb5、d6のナイトに対してビショップ側はe6又はa6、f6のナイトに対してビショップ側はe6又はc6、e7のナイトに対してビショップ側はe6又はb7、c5のナイトに対してビショップ側はa4-e8の斜筋である。)

 これから分かるようにこれらの対応枡の大部分はa2-g8の斜筋上にある。従って明らかにこれがビショップの最良の斜筋である。それでは正解手順を見てみよう。

1.Ba2 Nf2 2.Bg8 Nd3 3.Bc4

 白は手詰まりに追い込まれないように既に注意を要する。もし不注意に急所の対応枡のb3又はe6にビショップを動かせば白が負けてしまう。例えば 3.Bb3? なら 3.Nb2、3.Be6? なら 3…Ne5! という具合である。どちらもナイトは2手で詰みにできる。黒は 3…Nc5 も狙っている。それに対してビショップはa4-e8の斜筋にいる必要がある。従って 3.Ba2? は 3…Nc5! で負けてしまう。本譜の手の代わりに白は 3.Bf7 又は 3.Bd5 でもよい。

3…Nc5 4.Bb5 Ne4 5.Bc4

 ビショップが重要なa2-g8の斜筋に戻った。

5…Nd6 6.Be6 Nb5 7.Bg8 Nc3

 7…Kc8 なら 8.Be6+! である。

8.Bb3!

 これで引き分けになる。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(036)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例2
白 W.ブラウン
黒 B.ラルセン
サンアントニオ、1972年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5 4.Bd3! Nc6 5.c3 Nf6 6,Bf4 Bg4 7.Qb3 Qc8 8.Nd2 e6 9.Ngf3 Be7 10.O-O O-O 11.Ne5

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(267)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 ルーク列ポーンは白の勝つ可能性が最も大きい。理由はナイトが受けに非常に不自由するからである。

 図267
ビルガー、1843年

 図267は白ポーンが原位置にいても勝てる例である。

1.Kg5 Nf2

 黒はナイトで受けることを考えなければならない。黒キングは退却しても間に合わない。例えば 1…Ke4 は 2.h4 Kd5 3.h5! Ke6(3…Kxd6 は 4.h6)4,h6 Kf7 5.Be5 Kg8 6.Kg6 でポーンがクイーンに昇格する。1…Nc3 は 2.h4! で本譜と同じになる。

2.h4! Ne4+

 2…Ng4 なら 3.h5 で黒は手詰まりである。

3.Kg6 Nxd6

 3…Nf2 なら 4.h5 Ng4 5.Kg5 で白が勝つ。

4.h5 Nc4

 ナイトがルーク列ポーンに対していかに無力かがはっきりと分かる。ポーンがクイーンに昇格するまで3手かかるが黒はそれを止められない。

5.h6 Ne5+ 6.Kg7

これで白が勝つ。

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(113)

「Chess Life」2005年11月号(5/5)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ロッソリーモ戦法、5.c3(続き)

戦型C2)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 g6 4.O-O Bg7 5.c3 Nf6 6.e5 Nd5 7.d4 cxd4 8.cxd4 O-O 9.Nc3

9…Nxc3

 9…Nc7 は 10.Bg5(白は 10.Ba4 または 10.a4 と指すこともできる)10…h6 11.Bh4 g5 12.Bg3 Nxb5 13.Nxb5 a6 14.Nc3 d6 15.d5! で長期的にポーンを犠牲にするのが面白い。アダムズ対イリェスカス戦(マドリード、1996年)では 15…Nxe5 16.Nxe5 dxe5(16…Bxe5 17.f4)17.Re1 f6 18.Qb3 Kh8 19.Rad1 と進んだ。

10.bxc3 d6

 ここで白はすぐにまたはまず 11.Re1 と指してからd6のポーンを取ることができる。

11.Re1

 d6でポーン交換するとどんな中盤戦になるか見てみよう。11.exd6 exd6(11…Qxd6 なら 12.a4 で、ブロンシュテイン対ボレスラフスキー戦(ソ連選手権戦、1957年)では白が次のように長い間主導権を維持することができた。12…Bf5 13.Ba3 Qc7 14.Re1 Bf6 15.Qd2 Rad8 16.Bxc6 bxc6 17.Qh6 Rfe8 18.Ng5 Bxg5 19.Qxg5 Be6 20.Bc5 Rd5 21.Qh4 Rh5 22.Qg3 Qd7 23.Rab1 Kg7 24.Rb8 Rxb8 25.Qxb8 a5 26.c4 h6 27.Qb3 Rg5 28.Kh1 Kh7 29.Qc3 Rh5 30.Ba3 Qc7 31.g3 Qd7 32.Kg1 Kg8 33.Bb2 f6 34.Ba3 Bf7 35.h4 e5 36.dxe5)[訳注 11…exd6 のあとの手が抜けています。]

11…Qc7

 11…dxe5 は 12.Bxc6 bxc6 13.Nxe5 で白が少し優勢である。11…Bg4 は 12.exd6 Qxd6 13.h3 Bxf3 14.Qxf3 で、双ビショップの白が少し優勢である(14…e5 15.a4 クジミン対べシュコフ、サンクトペテルブルク)。11…a6 は 12.Bxc6 bxc6 13.exd6 exd6 14.Bg5 で、白にいくらか主導権があるが黒は正確に指せば受かるはずである。

12.exd6 exd6 13.Bf4

 白はd6のポーンを不快な釘付けにした。

13…Bf5 14.Qa4

 この手はクイーンをa3に移してd6ポーンにもっと圧力をかけるためである。

14…Rfd8

 ここは 14…a6 15.Bxc6 bxc6 の方が良く、16.c4 のあと白は広さでわずかに優勢なだけだった。

15.Qa3 a6 16.Bf1 Rac8 17.Nd2 Na7 18.Rac1 Nb5 19.Qb3 Na7 20.Ne4 Bxe4 21.Rxe4 Re8 22.Rxe8+ Rxe8 23.Rb1 Re7 24.h4 Nc6 25,Qd5 Rd7 26.Bxa6

 白がポーン得しこのあと試合にも勝った[訳注 26…bxa6 と取ると 27.Qxc6(27…Qxc6 28.Rb8+)]。ナイディッチ対レーコー(ドルトムント、2005年)

結論

 布局で激しい主手順を避けてもっとゆっくりと指したいならば、ロッソリーモ戦法はぴったりの選択肢である。白には d2-d4 と突きc6では交換してもしなくてもよい明快な単刀直入の作戦がある。通常は白が中央で強い圧力をかける。

 黒では私なら戦型Cの 5…Nf6 を選ぶだろう。参考までにいうと黒が 3…e6 と指すとまったく異なる戦法になり、将来取り上げるだろう。

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カロカン防御の指し方(035)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例1(続き)

 36…Nd7 は 37.Rfe1! で終わりが近いので、黒の戦力損はやむを得ない。

36…Rfd7 37.Bxd7 Rxd7 38.Qb8+ Ke7 39.Rde1+! 黒投了

 39…Kf7 は 40.Qe8# で詰んでいる。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(266)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 ポーンが盤端に近ければ近いほどナイトによる防御は難しくなる。図266はその好例である。白ポーンはまだ5段目に留まっているが黒ナイトがポーンの左側で活動の余地があまりないので白の勝ちである。

 図266

 白はまず黒ナイトを動けなくする。

1.Bd4 Kc4

 1…Kb3(a3)は 2.Ka5 で本譜に戻る。

2.Ka5 Kb3 3.Bf6 Ka3

 3…Nc5 は 4.b6 Kc4 5.Be7 でこれも本譜に戻る。

4.Bg5 Kb3 5.Bc1!

 ナイトが動くように仕向ける。そうすれば白がポーンを進めることができる。5.Be7 ではだめで 5…Nb2! から 6…Nc4 で明らかな引き分けになってしまう。

5…Nc5 6.b6 Kc4

 この手が最善手で白キングがb5に来れないようにしている。例えば 6…Nb7+ では 7.Kb5 で白が早く勝つ。

7.Ba3 Nd7

 7…Nb7+ なら 8.Ka6 Nd8 9.Be7 で白が勝つ。

8.b7 Kd4

 8…Kd5 なら 9.Kb5 である。

9.Kb5 Kd5 10.Bc1

 白は今度はビショップをh2-b8の斜筋に移さなければならない。そうなれば黒はじきに手詰まりになる。この手に対して 10…Nb8 ならば 11.Bf4 Nc6 12.Kb6 で白がすぐに勝つ。

10…Kd6 11.Bf4+ Kd5 12.Bg3

 これで白キングがc6の地点に行ける。

12…Ke6 13.Kc6 Ke7 14.Kc7 Ke6 15.Bd6!

これで白が勝つ。

 黒は指す手がない。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(034)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例1(続き)

 キングをf8に置いておくのはキング翼ルークなしで指すことを意味するので気が進まなかった。しかし本譜の手のあと白軍が中央一帯に集結する。

29.Qf5 Kd8 30.Rae1 Qc5+ 31.Kh1 Rf8 32.Qe5! Rc7

 黒はこれからの決定的な筋の開放に対してなすすべがない。しかし 32…Qc7 でも白は 33.Qxd5+! Nxd5 34.Rxf8+ Kd7 35.Rf7+ で勝ちの収局に持っていくこともできるし、33.Rxf6! gxf6 34.Qxd5+ で必殺の攻撃にでることもできる。

33.b4! Qc6 34.c4! dxc4 35.Bf5! Rff7 36.Rd1+

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(265)

第5章 ビショップ・エンディング

5.5 ビショップ+ポーン(複数)対ナイト

 長い間理論家はエンディングにおけるビショップとナイトのそれぞれの優劣について論じてきた。例えばチゴーリンはナイトの方を好みシュタイニッツと後にタラシュはビショップの方を好んだことが知られている。しかし全ては局面によるのでこのことについての絶対的な真実は存在しないはずである。一般的にビショップは両翼で活動できる開放的な局面で強みを発揮する。ナイトの優位は閉鎖的な局面、特にビショップがポーンによって活動を制限されている場合に目立ってくる。最後に、ビショップは盤端でナイトを捕獲することができるが(d5に白ビショップ、a5に黒ナイト)ナイトは同様のことができないことを指摘しておかなければならない。

 盤上にポーンが全くない場合は当然引き分けである。しかしどちら側が1ポーン得でも通常は勝つには十分でない。2ポーン得になれば通常は勝ちになる。ポーンの数に差があるエンディングの場合ビショップの方が効果的に守ることができる。

 ビショップ+ポーン対ナイトのエンディングでは局面が勝ちか引き分けかの一般的な規則はない。そこでそのようなエンディングでの指し方の要領を個々の例で紹介することにする。まずは図265からである。

 図265
「Chess Player’s Chronicle」、1856年

 このような局面では白は二つの状況でだけ勝ちが望める。それはポーンが黒のキングとナイトによって止めることができない場合あるいはナイトが動けなくなって手詰まりの局面になる場合である。この図では白は二つ目の手法で勝つことができる。ナイトが動けないのは明らかなので白は黒キングをポーンから離れさせなければならない。そうなれば Kxe8 が可能になる。黒の手番ならば 1…Kb5 でも 1…Kd5 でも 2.Bd4! で負けるので白は手詰まり戦術を用いることができる。

1.Bc3

 1.Bd4+ Kd5 又は 1.Be5 Kb6 2.Bd4+ Kb5 は白自身が手詰まりに陥る。だから白は黒キングをc5とb6から追い払わなければならない。

 もし黒の手番ならば解決手順は少し長くなる。1…Kb6 の後白は 2.Be5 Kc5 3.Bc3! と手待ちして本譜と同じになる。

1…Kb6

 既に示したように必然手である。

2.Ba5+

 急所の枡の一つを奪った。2…Kxa5 ならば 3.Kxe8 と取れる。

2…Kb5

 2…Kc5 は 3.Bd8 で少しだけ勝ちが早くなる。

3.Bd8 Kc5 4.Bh4 Kb5

 4…Kd5 なら 5.Be7 で白が勝つ。4…Kb6 なら 5.Bf2+ Kb5 6.Bd4 で黒が手詰まりに陥る。

5.Bg5! Kc5 6.Be3+ Kd5

 6…Kb5 でも同じである。

7.Bd4! Nd6 8.c7

これで白が勝つ。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(033)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例1(続き)

17…Kf8?

 黒は 17…O-O 18.f4 の局面が気に入らなかった。しかしいつものことながらキングを中央に置くのははるかに強い攻撃にさらすことになる。

18.f4! Be8

 18…Nxe5? 19.fxe5 Bxe5 で白の釘付けのdポーンにつけ込むのは、中間手の 20.a5! で咎められる。

19.Bf2! Qc7 20.Bh4! Ng8 21.f5!

 ペトロシアンの退却に呼応してフィッシャーは進撃する。ここからの黒の防御は完璧だったが、既に手遅れだった。フィッシャーに対してこのような局面は絶望である。

21…Nxe5 22.dxe5 Bxe5 23.fxe6 Bf6 24.exf7 Bxf7 25.Nf3!

 白はナイトを活動的な位置につけた。これに対して 25…g5 なら 26.Bf2 Kg7 27.Bd4 で、黒のキング翼の空所が破滅の元になる。そこでペトロシアンは素晴らしい想像力でキングを反対側に送ることにした。

25…Bxh4 26.Nxh4 Nf6 27.Ng6+ Bxg6 28.Bxg6 Ke7!?

(この章続く)

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「ヒカルのチェス」(343)

「Chess Life」2013年12月号(4/5)

******************************

シンクフィールド杯(続き)

 順位下位の2選手にとって休養日はアロニアンを元気づけたが、カームスキーにはほとんど効果がなかった。次の回戦でも順位掲示板に変動が起きた。

 アロニアンはナカムラ戦で白だった。最近この二人が対戦すると野球以上に引き分けることができなくなっている。正規の持ち時間の試合では今大会での初戦を含めて6局連続勝負がついている。

 大会が始まってから二人ともひげを剃っていなかった。そして試合は首位者を白髪にしかねなかった。アロニアンは布局から早指しで、カールセンがナカムラのキング翼インディアン防御に対して指したよりも穏やかなシステムを選んだ。白は黒キングの囲いに穴を空け、黒に白の気をそらすことを期待して駒を犠牲に中央を清算することを促した。ナカムラはこの局面について「全然悪かった。たぶんコンピュータなら持ちこたえられるだろうが」と話した。

 ナカムラは收局に備えてクイーン翼からすべてのポーンを消し去った。そしてアロニアンはクイーン同士を交換することにより事をずっとやり難くしたが、それでも見事な腕前で初勝利をあげ、ナカムラに今大会初の負けを見舞った。「危険な指し方をしすぎた」がナカムラの感想だった。

危険がいっぱい
GMレボン・アロニアン(USCF2913)
GMヒカル・ナカムラ(USCF2857)
シンクフィールド杯第4回戦、ミズーリ州セントルイス、2013年9月13日

44…gxf4 45.g3

 ほとんどどう指しても白の勝ちになる。私としてはこのやり方は好まないが、私はアロニアンでない!

45…fxg3 46.f4 Bxh5 47.Kg2 Kf6 48.Kxg3

 これで白が勝つ「はずである」。もっとも実況解説中はイアンと私ははっきり見通すことができなかった。両選手とも難しくないと思っていたが、そんなものだろうか・・・

48…Be8 49.Kh4 Bb5 50.Ne5 Be8 51.Bc2 Ke7 52.Bd1 Kf6 53.Bf3 Ba4 54.Bc6!

 黒ビショップをe8から追い払うのは賢い。

54…Bd1 55.Bd7 Be2 56.Ba4

 アロニアンのうまい捌きのせいで黒はビショップを動かす手が尽きてしまった。ここで例えば 56…Ba6 と指すと白キングにh5から侵入される。

56…Ke7 57.Bb3 Kd6 58.Kg3 Bh5 59.Kf2

 アロニアンはキングで中央から侵入しようとしている。

59…Bg4?

 59…Be8! の方がもっと強く抵抗できた。

60.Ke3

 白は避けたのか見落としたのか分からないが 60.Nxg4! fxg4 61.Kg3 h5 62.Bc2! から Bg6 を狙って簡単に勝っていた。

60…h5 61.Nf7+! 黒投了

 61…Ke7 62.Ng5 でe6のポーンが取れる。うまい手だが、もともとはナカムラの 59…Bg4? のせいで少し簡単になっただけである。

******************************

(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

カロカン防御の指し方(032)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例1(続き)

 黒の狙いは白枡ビショップ同士を交換することで、この着想は少なくとも1926年ホパトコング湖でのマローツィ対カパブランカ戦以来知られていて、11.Nbd2 Bb5! で互角の形勢になった[訳注 実際は 11.O-O Bb5 12.Nbd2 Bxd3 となっている棋譜が多いです]。この戦型における黒の主要な問題は、白枡ビショップが自分の白枡にあるポーンによって動きを邪魔されていることである。だから白のはるかに活動的な白枡ビショップと交換することは黒の得になる。フィッシャーが正しい戦略を案出したのは驚くに当たらない。

11.a4!!

 黒の不活発なクイーン翼ビショップと白の活動的なキング翼ビショップとの交換を防ぐことは、決定的に重要である。b3の地点の弱体化は根本的に重要ではなく、見栄えの程度である。11…Qb3 12.Qe2 Bxa4?? は 13.Rxa4! Qxa4 14.Bb5+ があるので成立しない。11…Nb3 も 12.Ra2 で白に何の問題もない。だからペトロシアンは展開を続けた。

11…Rc8 12.Nbd2 Nc6 13.Qb1!

 黒は 13…Nb4 を狙っていた。本譜の手はそれを防ぎ、クイーンをh7の地点への攻撃に向けたままにしている。

13…Nh5?!

 これはナイトを遊ばせるだけである。13…g6 のあと 14…Bg7 から 15…O-O と指す方が堅実な作戦だった。

14.Be3 h6

 白のd3のビショップを鈍らせようという 14…f5? は、15.g4! fxg4 16.Ng5 で白が黒のキング翼をぐちゃぐちゃにしてその攻撃が止まらない。

15.Ne5! Nf6 16.h3 Bd6 17.O-O

 白は展開が完了し活動的な攻撃態勢になっている。注目すべきはe5のナイトの目立つ拠点で、黒は戦力損になるのでこのナイトを取ることができない。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(264)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

B:両方にビショップ+ポーン(複数)

 図264 白の手番
エーベ対ヤノフスキー、1946年

 これが白の目指していた局面である。白は最終作戦の準備に取り掛かる。

6.Bd4 Bg2 7.h4 Bh1 8.b4 Bg2 9.b5 Bh1 10.Bf6!

 この手は白の準備手の中で最も重要な手である。黒キングがe7に行くのを防ぎ、同時にキング翼でいずれ生まれる黒のパスポーンを止めることになる。

10…Bg2

 10…Be4 なら 11.h5 gxh5 12.Kf4 から 13.Ke5 で白が勝つ。[訳注 11.h5 は必要なくすぐに 11.Kf4 で良いようです。]

11.h5 gxh5 12.Kf5 1-0

 黒キングはクイーン翼にたどり着けず(12…Ke8 13.Ke6)黒のhポーンは進むことができず白ポーンの前進に対する受けもない。

 これでビショップ対ビショップのエンディングの分析を終える。もちろん興味深い局面はまだまだたくさんあるが検討する紙数がない。しかし後の実戦例の節で少し紹介することにする。

(この節終わり)

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カロカン防御の指し方(031)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

実戦例1
白 ボビー・フィッシャー
黒 ティグラン・ペトロシアン
ベオグラード、1970年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5 4.Bd3! Nc6 5.c3 Nf6 6.Bf4 Bg4 7.Qb3 Na5 8.Qa4+ Bd7 9.Qc2 e6 10.Nf3 Qb6

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(263)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

B:両方にビショップ+ポーン(複数)

 このような妙手は異色ビショップのエンディングの特殊性のために一般に考えられているよりもはるかに多く起こる。しかし最後の例としては優勢な局面を組織的な手順でどのように勝ちに結びつけるかを示す参考になるエンディングを選んだ。

 図263 黒の手番
エーベ対ヤノフスキー、1946年

 この局面は1946年フローニンゲンでのエイベ対ヤノフスキー戦に現れた。白は2ポーン得でそれらが連結パスポーンになっているが今のところは黒ビショップによって効果的に止められている。キング翼にも可能性はなさそうに見える。この例は明白な戦力の優位が最善の受けに対して勝つことができない異色ビショップの多くの例の一つである。しかし黒は次の手順が示すように簡単に考えてはならない。

1…Bg2?

 この自然な手がなんと敗着になった。黒はどう指そうと違いはないと考えたに違いない。なぜなら 2.Bf8 g6 3.Kd4 Kd7 の後いろいろな受けの手段があって白のクイーン翼での活動を防げるからである。

 しかし実戦の進行が示すように黒はキング翼でも危険を抱えていた。注意を要するのは黒はキング翼でポーンを失うが黒キングがf2に行かされた後そこからクイーン翼に戻るのに間に合わなければならないということである。実戦の手順は見れば分かるようにスタディのエンディングのようである。

 黒は 1…Kf5! で白キングのキング翼への侵入を阻止して引き分けにすることができた。2.Bf8 g6 3.Kd4 Ba8 4.Kc5 Ke6 5.Kb6 Kd7 の後白は何も進展が図れず引き分けである。しかしこの局面でもまだ黒は注意を怠ることができない。6.b4 Kc8 7.b5 Kd7 8.Bb4 と進んだ時黒は8…Kc8!と指して引き分けを確保しなければならない。いい加減に考えてビショップを動かすと負けてしまう。例えば 8…Bf3? は 9.a8=Q Bxa8 10.Ka7 Bf3 11.Kb8! Be4 12.b6 Kc6 13.Ka7 で白の勝ちになる。

 正確な指し手は中盤よりもエンディングの方が重要である。なぜならまたチャンスが巡ってくることはきわめてまれだからである。

2.Kf4! g6 3.g4!

 hポーンの方は作戦の一部なので交換してはいけない。

3…hxg4

 3…Ba8 は 4.gxh5 gxh5 5.Kg5 Bf3 6.h4 Kd7 7.b4 Kc7 8.a8=Q Bxa8 9.Kxh5 で白が勝つ。

4.Kxg4 Bh1

 黒は Kg5 を防げない。4…Kf6 なら 5.Bd4+ だし、4…Kd7 なら 5.Kg5 Be4 6.h4 Kc7 7.a8=Q で先の解説と同様に白の勝ちとなる。

5.Kg5 Kf7

(この節続く)

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布局の探究(84)

「Chess Life」1994年2月号(1/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

dポーン布局の激しい指し方

 一般的な原則として 1.e4 で始まる開放試合は攻撃的な選手に最適である。これは黒キングを攻撃するために最も向いている駒(クイーン、キング翼ビショップ、キング翼ナイト)の動員が、1.e4 のあとはるかに迅速に行なわれるからである。一方 1.d4 はそのあとの局面をちょっと見るだけでも、白の最初の狙いどころがクイーン翼であり、早い段階では黒キングを脅かすために注意を向けることがほとんどまたはまったく行なえないことが分かる。

 それにもかかわらず何度も米国チャンピオンになったフランクJ.マーシャルをはじめとする偉大な攻撃的選手たちは初手に 1.d4 と指す方を好んでいた。さらに白に都合のよい重要な安全にかかわる要因が一つある。それはたいてい諸刃の剣となる 1.e4 よりも、試合が閉鎖的な布局から始まるので白キングが本質的により安全である可能性が高いということである。1.d4 に対する黒の最も堅実な応手は 1…d5 で、2.c4 でクイーン翼ギャンビットになる。この名前には歴史的ないわれがあるが、この布局をあまり正確に表現していない。「ギャンビット」という言葉はポーンを犠牲にすることを指すが、黒はポーンにしがみつく余裕はない。今回は本質的に安全で堅実なクイーン翼ギャンビットの範囲内で、白がかなり激しく指すように努めることのできる重要な戦型をいくつか見ていくことにする。

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カテゴリ: 布局の探究1

カロカン防御の指し方(030)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

 あわてる必要はない!展開が完了するまで自制するのはたいてい賢明な策である。だから私にはキャッスリングが最も本筋の手のように思える。しかし我慢できない人たちにはすぐに 10.Ne5 Nxe5 11.Bxe5 という指し方もある。白の方が駒の働きが良いので少し優勢である。

10…O-O

 やはり一般原則としては私はこのキャッスリングが好きである。もっとも …Bg6 の準備の 10…Bh5 も良い手である。そのあと白はまた 11.Rae1 と展開することもできるし 11.Ne5 と指すこともでき、どちらも少し有望である。

11.Ne5

 白は 11.Qc2 または 11.Rae1 と準備してからこの手を指すことができる。しかしすぐに積極的な手を指さないまともな理由はない。

 これから先は白は一般にキング翼での攻撃を策することにより、少し活動しやすい陣形の活用に努めていく。黒はキング翼で適切な防御策を立てながら、クイーン翼での反撃策を見つけなければならないが、そのためには半素通しc列が特に役に立つ。具体的な可能性については参考になる実戦例2でもっと詳しく解説する。

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(262)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

B:両方にビショップ+ポーン(複数)

 複数のポーンのあるエンディングでも孤立パスポーンをできるだけ離すことにより、敵ビショップに止められないようにすることが大切である。図262はその面白い例である。

 図262
ベーティング、1895年

 黒ポーンは大変強力でビショップ単独では止められない。例えば 1.Bd1 c3 2.Bc2 f4 3.Bd1 f3! という具合である。従って白は自分のキングを活用しなければならない。しかし 1.Kc6 Kc8! 白の狙いは 2.b7 Bf4 3.Bc2 だった。 2.Kd5 c3 3.Bc2 f4 4.Ke4 は白が高いつけを払わされた。黒は 4…Kb7 からbポーンを取り図257のように勝つ。

 これはつまり白は自分のポーンを取らせることにより黒ポーンを止めることはできるがその時には勝負には負けるということである。他の解決策はないのだろうか。見かけは単純なエンディングにはスタディ作家によりしばしば発見される隠された可能性がある。以下の指し手が示すようにこの例もまさにそれに当たる。

1.Ka6!

 既に述べたように見掛けは良さそうな 1.Kc6 はうまくいかない。また 1.Ka7 Be3 は白が貴重な1手を損する。本譜の手で白は 2.b7 Bf4 3.Bc2 を狙っている。

1…Kc8

 黒は他に適当な手がない。1…Bb4 と 1…Bc3 は 2.Kb5 でcポーンを取られる。1…Be1 は 2.b7 Bg3 3.Bc2 でfポーンを取られる。本譜の手で黒は 2…Kb8 を狙っている。

2.Ka7! Be3 3.Ka8!

 まるで気が違ったような手である。自分のポーンを取らせるだけでなく黒ポーンからもますます遠ざかっている。しかし白の構想はすぐに明らかになる。

3…Bxb6 4.Bb3!!

 ここで非凡な着想が明かされる。ステイルメイトになるので黒は白ビショップをとることができない。4…c3 は 5.Be6+ から 6.Bxf5 で引き分けになる。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(029)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

 白はキング翼ナイトを通常のf3の地点に展開したいのだが、すぐに 8.Nf3? と指すと 8…Bxf3 でキング翼のポーンの形を破壊される。本譜の手は Ngf3 を無理なく準備している。

8…e6

 クイーン翼ビショップが世に出たのでこの手がそれを閉じ込めることがなく、黒はキング翼ビショップを正常に展開することができる。

9.Ngf3

 白はhポーンがh2よりもh3にある方が役に立つように思われる。つまりキング翼ビショップが黒の …Nh5 に対し退避個所(h2)を得ることになるし、h3ポーンがg4の地点に利く。白の陣形だけを考えれば 9.h3 は良い手である。しかし黒のビショップはg4よりもh5にいる方がずっと良い。h5なら白がいつか Ne5 と指しても当たりにならないし、h5からg6に行って白の良く利いているd3のビショップを無力にすることができる。だから 9.h3 Bh5 という手を入れるのは白にとって得にならない。9.h3 は白陣を改善するけれども、9…Bh5 は黒陣をはるかに改善するのである。

9…Be7

 キング翼の駒の展開はこれで完了である。

10.O-O

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(261)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

B:両方にビショップ+ポーン(複数)

 白黒双方にポーンがある時は妙手がしばしば登場しちょっと見ただけでは信じ難いものもある。しかしそのようなエンディングは実戦の部類に入ることが多い。そこでここではこの型のエンディングを支配する基本原則を良く表わしている易しめの例を少し分析することにしよう。

 異色ビショップは相手ビショップに対抗できないので自分のポーンの前進をあまりうまく助けることができないということを再び強調しておかなければならない。このためビショップは通常は敵のポーンの前進を止めキングが自分のポーンの前進を手助けする役割を担うことになる。実戦例に近い図261を考えてみよう。

 図261
ベルガー、1895年

 黒キングが白ポーンの近くにいるし黒ポーンも前進を図っているので白の勝つ可能性は小さいように見える。それでも正確な手順により白は次のように勝つことができる。

1.Kc5

 白はまず黒キングがクイーン翼に来るのを防がなければならない。1.a6? は 1…Bf2 から 2…Kd6 で引き分けが明らかである。

1…Ke7 2.Kc6!

 これが要点である。これに対して 2…Bxb4 は 3.a6 から 4.a7 があるのでだめである。だから黒はビショップを取るしかない。白は手順を逆にして 2.a6 から 3.Kc6 と指しても良い。しかし 2.Bh5? は 2…Kd7 3.a6 Kc7 で引き分けにしかならない。

2…Kxe8 3.a6 Bf2 4.b5 g4

 黒の唯一の反撃手段である。

5.b6 g3 6.a7 g2 7.a8=Q+

これで白が勝つ。

 締めくくりは次のとおりである。7…Ke7 8.Qa3+ または 8.Qa7+ Kf6 9.Qa1+ から 10.b7、途中 8…Kf8 は 9.Qb8+ Kg7 10.Qe5+ である。8…Ke8 9.b7

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(112)

「Chess Life」2005年11月号(4/5)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ロッソリーモ戦法、5.c3(続き)

戦型C1)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 g6 4.O-O Bg7 5.c3 Nf6 6.d4

 6.d4 と 6.e5(C2)のほかに白は 6.Re1 と指すことにより 5.Re1 の戦型に移行することもできる。それなら黒は 6…O-O とキャッスリングすることができ、7.d4 のあとすぐに 7…d5 と突くか、7…cxd4 8.cxd4 d5 のあと 9.e5 Ne4 と指すことになる。

 白はこの手で早々とポーンを犠牲にすることになる。代償として駒が活発に動けるようになる。ここで黒はすぐにe4のポーンを取るか、まずd4で交換するかを選ぶことができる。

6…cxd4

 黒陣はこのようにd4で交換してからよりも単に 6…Nxe4 と取る方がもう少し狭小になるようである。そして白の 7.d5 突きのあと黒には選択肢がいくつかある。

 a)7…Ne5?! 8.Nxe5 Bxe5? 9.Qe2[自然そうな 9.Re1 はそう簡単でなく、9…f5 10.f3 のあと黒は 10…c4 11.fxe4(または 11.Bxc4 Qb6+ 12.Be3 Qxb2)11…Qb6+ 12.Kh1 Qxb5 13.exf5 d6 で乱戦に持ち込むことができる]9…f5 10.f3 これで白の駒得になる。

 黒は途中 8…Nd6 と指すことにより戦力損を避けることができたが、9.Nxf7 で白がしょせん優勢である。

 b)7…Nb8 8.Re1 Nf6 のあと白は次の面白い試合でポーンの代償が十分あることを実証した。9.Be3 b6 10.d6 e6 11.b4 cxb4 12.cxb4 Bb7 13.Nc3 O-O 14.Rc1 Nc6 15.a3 Qb8 16.h3 Rc8 17.Qd2 a5 18.Na4 Ne4 19.Qd3 Nxd6 20.Nxb6 Nxb5 21.Qxb5 axb4 22.axb4 Rd8 23.Red1 Ba6 24.Qc5 Bf8 25.Qg5 Be7 26.Qh6 Bf8 27.Qh4 Be2 28.Ng5 h6 29.Ne4 Be7 30.Nf6+ Bxf6 31.Qxf6 Bxd1 32.Rxc6! Ra1 33.Bd4 e5 34.Bxa1 Re8 35.Rd6 スビドレル対チュチェロフ(フランス、2004年)

 c)7…Nd6 黒はポーン得なので駒の交換を誘っている。だから交換を避けてビショップを引くのが白の得策である。8.Bd3 スミリン対アーナンドの快速戦では黒が 8…Na5 9.Bf4 O-O と指した。ここで白はすぐに 10.Be5 と指したが黒にとってあまり脅威でなかったので、代わりに展開を続けていた方が良かっただろう。

 8…Ne5 9.Nxe5 Bxe5 10.Re1 のあと

黒がクイーン翼の展開とクイーンとキング翼の駒の協調とにいくらか困難を抱えているので白にポーンの代償がある。そのうえ白はe7ポーンに対しe列で長期的に圧力をかけている。白の自然な作戦は Bf4 または Bg5、Nbd2、Qf3 そしてe列でルークを二重にすることである。

7.cxd4

 ここで白はもっと安全な 7.e5 Nd5 8.cxd4 で戦型c2に移行することもできた。

7…Nxe4

 Encyclopedia of Chess Openings は 7…d5 8.e5 Ne4 のあと 9.Ne1 が最善手で白がはっきり優勢であると判定している。白が好調かもしれないが私は 9…Qb6 10.Na3 h6 で事はそう簡単でないと思っている。

 9.Nc3 O-O 10.Re1 Nxc3 11.bxc3 なら、通常は 5.Re1 Nf6 6.c3 O-O 7.d4 cxd4 8.cxd4 d5 9.e5 Ne4 10.Nc3 という手順から生じる戦型に移行する。

8.d5 Nd6

 ここで白にはよく指される戦型が 9.Bd3、9.a4 そして 9.Na3 の三つある。これらのどれでも白が快勝したことがあるが、黒はもっと正確に受ければ非常に面白い試合になっていた。本譜の手の代わりに 8…Ne5 なら 9.Nxe5 Bxe5 のあと 10.Qe2 で白が指しやすい。以下は本譜で試合がどのように進行するかの好例(白にとって)である。

9.Na3 a6 10.Qa4 Na7(10…Ne5)11.Bd3 O-O 12.Re1 b5 13.Qh4 Bb7 14.Bh6 f6 15.Bxg7 Kxg7 16.Rad1 Nac8 17.Nc2 Nf7 18.Ne3 Ncd6 19.Nd4 Re8 20.Qh3 Rc8 21.Bb1 Rc7

 白はまだポーン損だが、広さで明らかに優位に立ちキング翼での攻撃が目に見えている。
22.f4 Qb8 23.Rf1 Qa7 24.Kh1 e6 25.f5! e5 26.fxg6 hxg6 27.Qf3 f5 28.Nexf5+! gxf5 29.Nxf5+ Nxf5 30.Qxf5 d6 31.Qg6+ Kf8 32.Qxd6+ Ree7 33.Rxf7+ Kxf7 34.Rf1+ Kg8 35.Qg6+ 1-0 モロゼビッチ対マクシェーン(イングランド、2001年)

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カロカン防御の指し方(028)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

 7…Na5 8.Qa4+ Bd7 9.Qc2 の局面

 1)9…e6 10.Nf3 Qb6 11.a4! Rc8 12.Nbd2 Nc6 13.Qb1 この手順は参考棋譜1でもっと詳しく分析する。

 2)9…a6 10.Nf3 b5 11.Nbd2 g6 12.O-O Bg7 13.Rfe1 O-O この局面は白がビショップの働きに優り、e5の地点を支配し、e列で展望があり、クイーン翼で黒ポーンが早く突かれているのでたぶんその方面でさえ可能性がある。

8.Nd2

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(260)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 たとえ3ポーンでもそれらがせき止められていれば勝つのが不可能な時がある。その例を考えてみよう。

 図260

 黒はせき止めを崩すことができない。1…Kb4 2.Kc2! の後白はビショップをf1-a6の斜筋に維持する。黒キングが反対翼に行けば Ke2! で逆の対応策をとる。このようなエンディングは例外であるがポーンをせき止められないようにする重要性を良く示している。

(この節続く)

2014年01月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(027)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

 黒はbポーンを守らなければならないがこの手が本手である。7…Qd7 の方が本筋のように思われるが、欠点があって白がいずれ Ne5 と指すと黒クイーンにも当たりとなって先手になる。例えば 7…Qd7 8.Nd2! e6 9.Ngf3 となったとき、黒が 9…Bxf3 10.Nxf3 Nh5 と指しても 9…a6 10.O-O Bh5 と指しても 11.Ne5! で白が指しやすい局勢のために楽に優勢になる。

 黒が本譜の手のあとよりももっと難解な局面にしたければ、7…Na5 で白クイーンをいじめることを考えてみてもよいかもしれない。もっともこれは 7…Qc8 よりも危なっかしい手である。7…Na5 のあとは次のように面白い戦いになる。8.Qa4+! これは実質的に黒ビショップを 8…Bd7 で「反展開」させることになる。なぜなら 8…Nc6?! は自ら不快な釘付けにかかり、白クイーンが働きの良いa4の地点に留まることができるからである。8…Bd7 のあと白は 9.Qc2! と指し、白クイーンの捌きがもたらしたものを評価することはたやすい。つまり白クイーンはc2の好所にいるのに、黒のクイーン翼ビショップとクイーン翼ナイトは共にさえない地点に取り残されている。もちろん黒はキング翼ビショップをどうにかして展開しなければならないが、どんな手段を用いようと白の方が有望であることが保証される。

 7…Na5 8.Qa4+ Bd7 9.Qc2 の局面

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(259)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 黒は一直線の斜筋上にポーンを並ばせる態勢を作ることができればそれらの前進を止めることができる。

 図259

 黒がb4とe7を押さえているので白は何も進展が図れない。黒は 1.Be2 Bf8 2.Kc4 Be7 3.Kd5 Kb6! と守勢に徹する。白キングがf7に行けば黒は …Kd8 と指しすべて止まっている。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(026)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

 この戦型における白の最初の目標は自分のビショップを最も働きのある地点に展開し、黒が同じことをするのを妨げることである。だからこの手が最善である。f4のビショップは活動的で、重要なe5の地点に利き、黒のキング翼ビショップが好所のd6の地点に来るのを思いとどまらせる。

 積極的に見える 6.Bg5 はそれほど良くない。黒のd5の地点が安泰なので黒のキング翼ナイトに対する攻撃は的外れで、このビショップの長期的な見通しも不確かである。黒は 6…Bg4 7.Qb3 Qd7 8.Ne2 e6 9.Ng3 Nh5! でほぼ互角の形勢にできる。

6…Bg4

 黒は棋理に合った二つの作戦を選択できる。すなわちクイーン翼ビショップを先に展開することができるし(本譜の手)、6…g6 から 7…Bg7 でキング翼ビショップを先に展開することもできる。ほかの二つの良さそうな手は戦略的に劣る。

 1)6…e6?! はやはりクイーン翼ビショップを不必要に閉じ込め、普通に 7.Nf3 Bd6 8.Bxd6 Qxd6 9.O-O で白が楽に良くなる。

 2)一見活動的な 6…Qb6?! は 7.Qb3! Qxb3 8.axb3 となって、白が活動的なビショップとa列での圧力により収局で明白に有利である。

 6…g6 は本筋の手だが 7.Nd2 Bg7 8.Ngf3 O-O 9.O-O となって、白がe5の地点を支配しビショップの働きに優るので(主手順のように)少し優勢である。

7.Qb3!

 良い手はこの手しかない。白は黒の6手目によって生じたb7の弱点にすぐにつけ込むようにしなければならない。というのはそうしないと主導権を維持する望みがはかなく消えるからである。7.Nf3 Qb6! でも 7.Ne2 e6 でも黒には障害が何もない。

7…Qc8

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

「ヒカルのチェス」(342)

「Chess Life」2013年12月号(3/5)


「ボビー・フィッシャーにならなければならない、明快で単純だ」

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シンクフィールド杯(続き)

 たった2試合終了時点ですでに明暗が分かれた。ナカムラとカールセンは最も待ち望まれた対戦で、それぞれ2/2と1½/2の成績で第3回戦で当たっていた。近頃はこの二人が対局すると盤外の話題は必ずナカムラがいつカールセンの壁を破れるのかということだ。シンクフィールド杯の前の時点で彼の全戦績は勝ち無しの7敗13引き分けだった。

 両米国選手は第3回戦で時間をより有効に使った。ナカムラは本誌の長年連載の執筆者のGMパル・ベンコーに敬意を表してサングラスをかけてきた。ベンコーは1959年のGMミハイル・タリとの対局にご利益が必要だった。ナカムラが言うにはこの日はカールセンとの大一番にもまして特別な意味があった。9月11日は育ったニューヨークが攻撃を受けた12周年だったし、義父のFMスニル・ウィーラマントリーの62歳の誕生日でもあった(さらに彼が家族に重きを置く大切さについては後出のインタビュー記事を参照)。

 黒番だったけれどもナカムラは早くも主導権を握り、攻撃側に回った。実況解説に呼ばれたGMナイジェル・ショートの評価はナカムラは「並み外れた戦術家で、カールセンの強さはカルポフ流の強さ・・・。ナカムラは格下の相手には通用する戦術の打撃が通用しなかった。」カールセンが要塞のような防御を見つけたのでまたしてもこれが当てはまった。

キング翼インディアン防御フィアンケット戦法(E62)
GMマグヌス・カールセン(USCF2970)
GMヒカル・ナカムラ(USCF2857)
シンクフィールド杯第3回戦、ミズーリ州セントルイス、2013年9月11日

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nf3 Bg7 4.g3 O-O 5.Bg2 d6 6.Nc3 Nc6 7.O-O Rb8

 ナカムラは決して臆することなくカールセンに対して激しいキング翼インディアンで挑んだ。この時点で本大会の成績は2戦2勝だった。

8.Bf4 a6 9.Rc1 h6 10.b3 g5!?

 ナカムラから過激な手が飛び出した。カールセンは受けて立つ。

11.d5

 11.Bd2 と引くのはd4の地点が弱くなるし 11.Be3 と引くのは 11…Ng4 で黒が良さそうなので、カールセンはしょせん 11.d5 と突く必要がある。

11…gxf4 12.dxc6 fxg3 13.hxg3 b5!?

 ナカムラはまたも最も挑戦的な手を指した。チェスエンジンは白の方を好んでいるが、シャバロフがよく言っているように「黒の動的な潜在力は天井知らずだ!」

14.cxb5

 チェスエンジンは 14.Qd3! で黒を閉じ込めようとする方が好きである。

14…axb5 15.b4 d5 16.Qd3 Qd6

 そして本誌は筆者に「Pawn Structure Chess」の書評を書いてくれないかと言ってきた。・・・ああ・・・[編集部注 次号の書評を参照のこと]

17.Nd4 Qxb4 18.a4!

 今大会中何度も起こったことだが、チェスエンジンは人間が決して考えないような「コンピュータ」の手を示し・・・カールセンはよくそれらの手を指していた!

18…Ne4 19.Ndxb5 Nxc3 20.Nxc3 Bxc3!

 GMエドワルド・グフェルトはキング翼インディアンビショップを自分から手放すこの手を見て墓の中でひっくり返っているだろうか。しかしやはり動的な局面では読みと多くのポーンを取ることが要求される!

21.Rxc3! Bf5 22.Qxd5 Qxc3 23.Qxf5

 ナカムラは 21.Qxc3 でクイーン同士を交換する代わりに交換損をすることにしたカールセンの判断に間違いはまったくないと考えていた。

23…Rfd8 24.Bf3

 黒は交換得でも勝つのは非常に難しい。白陣は超堅固だしc6のポーンが強力である。

24…Ra8 25.Qe4 Qf6 26.Qb4 Ra7 27.Kg2 Rda8 28.Qg4+ Kf8 29.Qd7 e6 30.Rd1 Qe5 31.Rh1

31…Kg7

 31…Rxa4 ならまだチャンスがあった。ナカムラはあとでこれが勝つための最後の機会だったと語った。31…Rxa4 32.Rxh6?! Rd4! 33.Rh5 Rxd7 34.Rxe5 Rd4 でいくらか勝つ可能性がある。

32.Rb1 Rxa4 33.Rb7 R4a7 34.Qe7 Rxb7 35.cxb7 Rb8 36.Qd7 c5 37.Qc6 Kf6 38.Kh2 Ke7 39.Kg2 f5 40.Qc8 Qd6 41.e3 Kf6 42.Kh2

 ヤセル・セイラワンはナカムラがここで引き分け提案をしたことについてひどく当惑した。彼の考えでは黒の勝つ可能性が高かった。彼と私は翌日チェスクラブの外で検討したが、私も黒にその可能性があることに同意するに至った。黒にはキングが動き回りc5のポーンを突いていく着想がいくつもある。しかしナカムラはチェスエンジンのように互角にすぎないと考えた。そこで・・・

42…h5 合意の引き分け

 ナカムラには戦闘のほとんどの間形勢が良かったことが慰めだった。大会をとおして初めてカールセンは 21…Bf5 のあと目に見えるほど不安な様子だった。ナカムラにとってはそうでなく、試合のほとんどでうなずくか盤から離れていた(もっとも視線はレイバン[訳注 商標でサングラス]のせいではっきりしないままだった)。形勢に自信があるときどちらの態度も彼によくあるものだった。このような意義深い日に世界ナンバーワンに対して初勝利をあげることができていたら「本当に気分がいい」と言っただろう。

 カールセンは「まったく苦しかった」と言った。「途中で長考したときもあったが、それでも交換損を決行したときはなんとか堅固だった。」カールセンは 18…Ne4 のあとの変化はことに難しかったと言った。「無数の可能性があって全部を読むことはできなかった。」

 サングラスをかけた相手と指すのは初めてだったとも付け加えた。「彼のきまぐれについてはあまり考えなかった。人は自分自身のことを深刻に考えすぎる。特にチェス選手はそうだ。何を着るかによって相手に失礼にあたるということは全然ない。」

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

[復刻版]実戦に役立つエンディング(258)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 この例からどうしてポーンが離れているほど白が有利になるのかが分かる。ポーンがもっと近ければ黒が引き分けにできる。

 図258

 1.Be4 Bh4 2.Ke6 Bg5 3.Kf7 Kd8! 4.e6 Bh4 の後白は2ポーンの代わりにビショップを取ることしかできず引き分けになる。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

カロカン防御の指し方(025)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス(続き)

 中央での交換は黒がカロカン防御で目指す対等な中原を実現させるように見える。実際のところ純粋な数学的原理からすると、白の非常に重要なeポーンと黒の価値の劣るcポーンが交換になるのでこの交換は黒が有利であると言うことができる。

 それなら白はこの交換をすることによって試合に負けようとしているのだろうか。もちろんそんなことはあり得ない。チェスでは局面の動的な特質が純粋に静的な特質よりも重要なことがよくある。一つには半素通しe列での白の可能性の方が半素通しc列での黒の可能性より価値があるということがある。別の要因は-こちらの方が重要なのだが-手番は白が握っている。すなわち白は手で先行するので、通常の白の先着の優位を保持することができる。中央の一時的な安定は白の作戦の見通しの妨げにならない。

4.Bd3!

 これが交換戦法の断然正確な指し方で、優勢を保つ唯一の手段である。ビショップは中央の活動的な地点に展開され、黒のキング翼をにらむと同時に、黒のクイーン翼ビショップからf5の地点を奪って黒がこのビショップを役に立つ地点に展開するのを面倒にさせる。ありきたりの手は無害である。

 1)4.Nc3 Bf5! 5.Nf3 Nc6 6.Bb5 e6 7.Ne5 Qc7 白には圧力を増す手段がないので見通しは互角である。

 2)4.c3 Bf5! 5.Bf4 Nf6 6.Nf3 Nc6 7.Qb3 Qc8 8.Nbd2 e6 9.Be2 Be7 お互いのビショップが対称に展開されていて、互角の展望である。

 本譜の手に代わる良い手は、黒の中央にすぐ攻撃を仕掛ける 4.c4! である。これはパノフ攻撃で、第4章で詳しく取り上げる。

4…Nc6

 このナイトを中央の好所に展開しながら白のdポーンを当たりにするのは、黒の最も理にかなった作戦である。しかし実戦ではこのナイトが展開される手順はたいして問題でない。4…Nf6 も同等に良い手である。

5.c3!

 この手が最も正確である。5.Nf3 は黒に先手でクイーン翼ビショップを 5…Bg4 と展開される。

5…Nf6

 このナイトをすぐに最良の地点に展開するのは欠点がなく、延期すべきでない。ほかの手も考えられるが本筋でない。

 1)5…e6?! は不必要にクイーン翼ビショップを閉じ込め、見返りは何もない。白は 6.Bf4 と応じ、黒が 6…Bd6 と指すかどうかにかかわらずビショップの働きで優位に立つ。

 2)5…e5?! は 6.dxe5 Nxe5 7.Qe2 Qe7 8.Bb5+! で黒に孤立dポーンが残るがその代償は何もない。

 3)5…g6 は通常は 6…g6 の局面に移行するので、独立して扱う意味はない。黒の6手目を参照すること。

 4)5…Qc7 は白の 6.Bf4 を妨げる目的だが、1手遅らせるだけである。6.Ne2 e6 7.Bf4 Bd6 8.Bxd6 Qxd6 9.Nd2! Nf6 10.Nf3 O-O 11.O-O となって、白は明らかにビショップがより活動的で展望に優る。

6.Bf4!

(この章続く)

2014年01月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(257)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 次は白のポーンが孤立ポーンとなっている局面を考えよう。覚えておくとよい指針はポーンが少なくとも2列以上離れていると白が通常勝つということである。それが次の例である。

 図257
サルビオリ、1889年

 白キングがポーンの一つを支援して黒ビショップと刺し違えさせることができるので白が勝つ。黒の駒はそれぞれが1ポーンをせき止めることができる。しかしこのせき止めは維持できない。

1.Bf3

 ビショップがcポーンに紐をつけて 2.Ke6 と指せるようにするためである。黒は白のfポーンの前進を防ぐことができない。

1…Bh4 2.Ke6 Kd8 3.f6 Bg5 4.f7 Bh6

 白ポーンは一時的にしか止められない。

5.Kf6 Bf8 6.Kg6 Ke7 7.Kh7 Kd8 8.Kg8

これで白が勝つ。

 黒ビショップは取られてしまう。

(この節続く)

2014年01月16日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(024)

第3章 交換戦法 エドマー・メドニス

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5

(この章続く)

2014年01月16日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(256)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 図253の分析で、勝つためには白キングはポーンのどちら側からでも侵入できる位置にいなければならなかった。図253の局面を1列左へ移動すれば黒にどのような受けの手段があるのかを見てみよう。

 図256
ヘネベルガー、1916年

 何も違いはないように見える。しかし実際は白キングがb6に侵入しようとするとクイーン翼で活動する余地が不足している。黒は次のようにして引き分けにできる。

1.Ba5+ Kd7

 1…Kb7? はだめで 2.Kd4 の後 Ke5-d6 で白が楽に勝つ。

2.Bb6 Bg2 3.Kb4 Bf3 4.Ka5 Bb7!

 白キングはこれより先に進めない。5.Ba7 は 5…Kc7! で引き分けになる。

 白は別の手段を試みることもできる。黒は正確な受けが要求される。

1.Kb4 Bg2 2.Ka5

 白の狙いは 3.Ka6 である。黒がここで 2…Bb7 と受ければ 3.Bf4+ から 4.Kb6 で白が勝つ。黒の受けは一手しかない。

2…Kb7! 3.Bg5 Bf3 4.Bd8 Bg2 5.Bb6 Bf3

 白はうまく黒キングを不利なb7の地点に追い込んだ。しかしこれにつけこもうにも白キング自身がキング翼から離れ過ぎていてe5からd6を経て侵入することができない。5.Kb4 と指していたとしても 5…Kc8! 6.Ba5 Kd7! で応えられる。

6.Kb4

 この時白ビショップがa5にいたならば図253のように勝つのだが。

6…Bh5!

 黒は白が 7.c6+ と指すとビショップを取られてしまうことをうまく利用して黒ビショップを正しい防御位置のe8に持って来る。

7.Ba5 Be8!

 前に出てきたように明らかに引き分けである。

 これでこの型のエンディングを十分見た。図253と図256に正しい受けの手段が示されている。ポーンがそれほど前に進んでいなければ正しい防御態勢を取る時間があるので黒の受けは容易になる。

(この節続く)

2014年01月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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布局の探究(83)

「Chess Life」1993年11月号(5/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

現代の布局定跡へのカスパロフの影響(続き)

Ⅱ.スコットランド布局

 スコットランド布局の始まりの局面は次の手順から生じる。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Nxd4

 白陣は良い形だけれども、この布局は理論家からも一流選手からもあまり敬意を勝ち得ていなかった。その理由は黒の当座の展開の見通しが白と同等と判断されたので(両者ともクイーンとキング翼ビショップのための斜筋が開き、一つのナイトが展開し、黒陣のどこも圧力を受けていない、など)、黒がどこにも問題がないという認識だったからである。キング翼ギャンビットを指すことを忌避しなかったボビー・フィッシャー(3戦3勝!)でさえ一度もやらなかった。

 1990年の世界選手権戦に至る前のチェス新報第49巻の中にスコットランド布局は1局しか現れていない。それでも第14局と第16局でカスパロフが彼特有の野心的な作戦を採用したので、この番勝負以降顕著な興味がわき起こってきた。「通例」の 4…Nf6 のあと彼の選んだ手は 5.Nxc6 bxc6 6.e5 Qe7 7.Qe2 Nd5 8.c4 だった。カルポフは第14局では 8…Ba6 と応じ、第16局ではもっと控え目な 8…Nb6 に変えた。どちらも動的な戦いが待ち構えている。これは世界チャンピオンにぴったり適合していて、第16局に勝ち第14局は引き分けた。またチェス界が素早く注目した。チェス新報第50巻ではカスパロフ対カルポフ戦の2局だけだったが、第54巻までには既に12局の完全棋譜(それに多くの部分棋譜)が掲載された。その上GMカスパロフはスコッチ布局を指し続けて好成績をあげている。例えば1991年ティルブルフでのカスパロフ対カルポフ戦や1992年ドルトムントでのカスパロフ対ピケット戦である。

 もちろんスコットランド布局は厳密な科学的調査の端緒についたばかりである。創造的、理論的そして実戦的な研究が急速に続けられることが期待でき、世界チャンピオンの多くの新しい貢献が楽しみである。

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2014年01月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(023)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例(続き)

 黒には直接の狙いが何もないけれども、白の指す手はどれも自分の陣形を致命的に悪くする。しかしそれでも白は指さなければならない!この不快な必要性を表わす通常のチェス用語はドイツ語のツークツバングである。

46.Re3

 ほかに適当な手はない。例えば 46.Kh3 なら 46…Rc2! 47.Qxc2 Qxf3+ 48.Kh4 Qg4# までである。

46…Rf1 白投了

 以下の変化から投了の理由が分かる。

 1)47.Qg2 は 47…Rg1 でクイーンが取られる。

 2)47.Qe2(またはd2、c2、b2それにa2でも)は 47…Qg1+ 48.Qg2(48.Kh3 でも 48.Kh4 でも 48…Qg4#[訳注 e2に白クイーンがいるので 48…Qg4+ では詰みになりませんが、 48.Kh3 には 48…Rf2、48.Kh4 には 48…Rxf4+ で黒の勝ちです])48…Qxe3+ でルークが取られる。

 3)ほかの手は単に 47…Rxf2 でクイーンが取られる。

(この章終わり)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(255)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 この原則の唯一の例外は図255である。

 図255

1…Bxh6 2.Kxh6ステイルメイトになる。

(この節続く)

2014年01月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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カロカン防御の指し方(022)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例(続き)

 黒クイーンが襲撃に加わった。

38.Kg2 b5 39.Kg1 b4 40.axb4 axb4 41.Kg2 Qc1 42.Kg3 Qh1 43.Rd3 Re1 44.Rf3 Rd1 45.b3 Rc1!

(この章続く)

2014年01月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(254)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 これにより連結した2ポーンとの戦いにおいて重要な受けの構想が得られる。2個のポーンが6段目にいる時は必ず勝つことは容易に分かる。それは黒ビショップが1枡しか動けないからである。図254を考えよう。

 図254

 黒ビショップは正しい地点にいる。しかし 1.Kc5 の後黒は手詰まりに陥っていて白のdポーン突きを許さなければならない。

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(111)

「Chess Life」2005年11月号(3/5)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ロッソリーモ戦法、5.c3(続き)

戦型A)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 g6 4.O-O Bg7 5.c3 e5

 この戦型では黒は白の d2-d4 ポーン突きを防ごうとする。しかしそれでも白は 6.d4 と突いて、果敢にポーンを犠牲にして活動性と長期的代償を得ようとする。

6.d4 exd4

 ナイトを交換しておく手も指されている。6…cxd4 7.cxd4 Nxd4 8.Nxd4 exd4 ここで妹のユディットがたった12歳のときに初めて有名になった快勝譜を紹介する。9.e5 Ne7 10.Bg5 O-O 11.Qxd4 Nc6 12.Qh4 Qb6 13.Nc3 Bxe5 14.Rae1 Bxc3?! 15.bxc3 Qxb5 16.Qh6 この手は Bg5-f6 の狙い 16…Qf5 17.Qxf8+! 1-0 ユディット・ポルガー対チリンギロバ(テッサロニキ・オリンピアード、1988年)黒は 11…Nf5! 12.Qd2 Qb6 と指すべきだった。

 これとは別の白にとってたぶんもっと良い進路はグレク対トゥルナー戦(ザンクト・イングベルト、1991年)のように 9.f4 a6 10.Ba4 b5 11.Bb3 Bb7 12.f5 である。

7.cxd4 cxd4 8.Bf4

 ここで黒は白ビショップがd6に来るのを心配する必要がある。黒がそれを防ぎたくて自然そうな 8…d6 突きを指せば、白はa4-e8の斜筋の釘付けを利用して 9.Nxd4 と取ることができる。

8…a6 9.Ba4

 9.Bc4 も良さそうである。9…d6 10.Qb3 のあと 10…Qe7? は悪手となる。なぜなら 11.Bxd6! と取る手があり、V.イワノフ対ゴロシチャポフ戦(セバストポリ、1995年)では 11…Qxd6 12.Bxf7+ Kd7(12…Kf8 なら 13.Bxg8 Rxg8? 14.Ng5)13.Bxg8 で白が圧倒的な優勢になった。10…Na5 の方が良いが 11.Qd3 で私なら白を持つ。

9…b5

 9…Nge7 なら 10.Bd6 O-O 11.Nbd2 h6 12.Re1 となる。

10.Bb3 d6 11.a4 b4

 11…Bb7 は 12.axb5 axb5 13.Rxa8 Bxa8 14.Na3 で白の主導権が強力である。

12.Nbd2 Be6 13.Rc1 Nge7

 この局面は Encyclopedia of Chess Openings でコルチノイによって分析されている。彼の推奨手順は 14.Bxe6 fxe6 15.Ng5 Qd7 16.Qb3 d5 17.exd5 exd5 18.Rfe1 で、白が少し優勢としている。私は 14.Nc4 の方がずっと良いと思う。

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カロカン防御の指し方(021)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例(続き)

24.Kg2 Nc6 25.Red2 Rec8 26.Re2 Ne7 27.Red2 Rc4!

 自陣を改善できない白が足踏みを余儀なくされている間に、黒は半素通しc列をうまく利用することにより戦略的な優位を着々と固めてきた。

28.Qh3 Kg7 29.Rf2 a5 30.Re2 Nf5!

 白のd4のナイトは防御の要になっている。そこで黒は自分のナイトと交換することによりそれをなくすつもりである。

31.Nxf5+ gxf5 32.Qf3

 32.Qxh5 と取ると 32…Rh8 33.Qf3 Rh4 で白の重要なf4のポーンが落ちる。そのポーンがなくなるとe5とg5の白ポーンが致命的にむき出しになる。

32…Kg6 33.Red2 Re4!

 白のd4の防御のナイトがなくなったので、黒はさらに白陣深く侵入することができる。

34.Rd4 Rcc4 35.Qf2 Qb5 36.Kg3 Rcxd4 37.cxd4 Qc4

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(253)

第5章 ビショップ・エンディング

5.4 異色ビショップ

 これまで述べたように異色ビショップでは戦力の優位の重要性は大きく減少する。時には複数のポーン得でも勝てないことがある。一つの理由はビショップがお互いに相手を攻撃できず従ってポーンとキングの行動を助けることができないためである。もし強行突破できたとしてもそれは通常はポーン単独の強さの結果かキングの助けによるものである。異色ビショップのエンディングが引き分けになり易いので名高いのはそれなりの理由があるのである。

 従って我々の務めはどのようなエンディングなら勝ちがあるのかを明らかにすることである。ビショップ+1ポーン対ビショップは明らかに引き分けである。しかしポーンが2個になれば状況によっては勝ちの可能性がある。

A:ビショップ+2ポーン対ビショップ

 この場合一般的な原則を挙げるのは難しい。通常は連結ポーンが遠くまで進んでいるかあるい黒ビショップが迎え撃つのに間に合わなければ勝つ。これらが実戦でどのように当てはまるのかを見てみよう。

 図253
ヘネベルガー、1916年

 白のポーンが既に5段目にあるこの図を基本的な局面とする。白が勝つためにはポーンを前進させていかなければならないことは明らかである。しかし 1.c6+? Kc7 は黒のせき止めが破れないのですぐに引き分けになる。動かさなければならないポーンはdポーンだがすぐに 1.d6? と突くのはと 1…Bxd6 と清算されてだめである。だから白は準備してからポーンを突かなければならないがそれにはキングがe6又はc6に行って支援しなければならない。これはつまり白キングがb5又はf5に侵入できるようにまず黒キングをチェックで追い払わなければならないということである。手順は次のようになる。

1.Bb5+!

 覚えておくと良い指針はビショップを動かしてポーンの前のできるだけ多くの枡を支配するようにすることである。白が別の地点からチェックすれば何も進展がない。つまり 1.Bg4+ Kc7 2.Ke4? は 2…Bf2 3.d6+ Kc6 ですぐ引き分けになる。b5のビショップはc6に利いているのでこの受けの可能性を消している。

1…Ke7

 この手は 1…Kc7 より良い。1…Kc7 は 2.Ke4 Bh2(2…Bf2 なら 3.d6+ から 4.c6)3.Kf5 Bg3 4.Ke6 の後 5.d6+ で白が勝つ。

2.Ba4 Bf4 3.Kc4 Bg3

 黒ビショップはこの斜筋を離れるわけにはいかない。もし離れると d6+ と突かれる。3…Bc7 は 4.Kb5 Kd7 5.Ka6+ Ke7 6.Kb7 で白が勝つ。

4.Kb5 Kd7 5.Kb6+ Ke7 6.Kc6 Bf4 7.Bb3

 7.d6+ Ke6 8.Bb3+ Ke5 9.Kd7 も白が勝つ。

7…Bg3 8.d6+ Kd8 9.Kd5

この後 10.c6 で白が勝つ。

 それでは図253は黒が必ず負けるのだろうか。いや、そんなことはない。負けたのはビショップがb8-h2の悪い斜筋にいたためである。黒はキングをc7に置きビショップを d6+ を防ぎ同時にcポーンを攻撃するような地点に配置しなければならない。具体的にはビショップはe7又はf8にいなければならない。それで白は勝つことができない。1.Bb5+ Kc7! の後白キングはcポーンを放置できない。黒はビショップをf8とe7の間で往復させれば良い。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(020)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例(続き)

16.g4?

 そして白はその罠にはまった。白は黒ナイトをf5の強力な拠点からどかしたいという誘惑に屈した。しかしその代価は払えないほど高かった。キングの前のポーンを突くのはいつも危険である。相手がまだキャッスリングしていないときは特にそうである。というのは相手は必要ならば逆翼にキャッスリングすることによって自分のキングの危険を避けることができるからである。

16…Nxe3 17.Qxe3 h5! 18.g5

 白は困った。18.gxh5 と取れば 18…Rxh5 のあと 19…O-O-O! から …Rdh8 とされ、18.h3 なら 18…hxg4 19.hxg4 O-O-O! のあと …Rh5 から …Rdh8 とされ、どちらも黒が白キングに対してh列で危険な攻撃を仕掛けることができ、自分のキングはクイーン翼に引っ込んで安全である。

 白はキング翼のポーンをせき止めるというましな選択をした。しかしここで黒はまったく安全なキング翼へのキャッスリングをすることができる。これに対して白キングは判断誤りのポーン突きのせいでかなり風通しのよい城にいる。

18…O-O 19.Nd4 Qb6 20.Rf2 Rfc8 21.a3 Rc7 22.Rd3 Na5 23.Re2 Re8!

 この手は白の狙いの 24.f5 exf5(24…gxf5 なら 25.Qh3 から 26.Qxh5)25.e6 という危険な攻撃に備えたものである。本譜の手に対しても 24.f5 exf5 25.e6 とくるなら 25…fxe6 と取ることができ、26.Nxe6? には 26…Rxe6! で白の駒損になる。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(252)

第5章 ビショップ・エンディング

5.3 同色ビショップ

 これまでの例は白の2ポーンが隣接している時は1ポーン得の優位を生かすのはそれほど容易でないことを示している。2ポーンの間が離れていればいるほど防御は困難になる。図252はこの問題の側面を教えてくれる。

 図252 白の手番
エリスカセス対カパブランカ、1937年

 この局面は1937年ゼメリングでのエリスカセス対カパブランカ戦に現れた。白の得しているポーンはパスポーンになっているので通常なら白の勝ちになるはずである。しかし黒に有利な点が一つある。それはルーク列ポーンが残って黒キングがh8に間に合えば「不能」ビショップのせいで白が勝てないということである。言い換えると黒がビショップを犠牲にして白のbポーンを取りキングがh8に行ければ引き分けにできるということである。

 だから白には勝ちを云々する前に解決しなければならない面倒な問題がある。次の分析は実際勝つことが可能であることを教えてくれる。

1.Ba6+ Kc6?

 通常は活動的な位置に駒を動かすのが最善である。しかしここでは 1…Kb8! と指していれば黒は助かっていただろう。というのは 2.Kb4 ならば 2…Bb7! 3.Bxb7 Kxb7 4.Kc5 h5! で引き分けのエンディングになるからである。白が途中で 3.Be2 Bg2 4.Kc5 と指せば 4…Kb7! で黒はこの不動の地点からキングを追われることがない。最初はどうして本譜の手で黒が負けるのか理解するのは簡単でない。それゆえに以下の手順が非常に勉強になる。

2.Bc8 Bf1

 白キングをa7の地点へ行かせるわけにはいかない。もし行かせれば黒はすぐに負けてしまう。

3.Bg4 Bd3

 このビショップはf1-a6の斜筋にいなければならない。しかし 3…Kb7 は 4.Bf3+ Kb8 5.Kb4 で 5…Ba6 と指しても手遅れで 6.Kc5 Bb7 7.Bxb7 Kxb7 8.h5! で白勝ちのエンディングになる。本譜で白は黒キングをポーンから引き離して最初の成功を収める。

4.Bf3+ Kd6 5.Bb7

 次の段階は黒ビショップを活動的な斜筋から守勢の斜筋へ追い払うことである。

5…Be2 6.Ba6 Bf3 7.Bf1 Bb7 8.Bh3!

 黒ビショップからc8の地点を奪った。これにより黒はキングを動かすしかなく手詰まりに陥るのも近い。

8…Ke7

 8…Kc5 の方が良さそうに思える。しかし 9.Bg4 で黒がまいる。9…Kd6 なら 10.Kb5 で本譜に戻る。9…Kc4 なら 10.Be2+ Kc5 11.Ba6 Bf3(11…Kc6 12.Bxb7+ Kxb7 13.h5! は黒負けのポーン・エンディングであることはもう知っている)12.Bc8 から 13.Ka6 である。12…Be2 は 13.b7 があるのでだめである。

9.Kb5 Kd6 10.Bg4 Ke7

 黒はまた手詰まりに陥っていて白キングがc5に行くのを許すしかない。もちろんその時 Ka6 が脅威で無くなるので黒ビショップは少し動きの自由を取り戻す。

11.Kc5 Bg2

 11…Ba6 は 12.Kc6 Kd8 13.Be6、11…Kd8 は 12.Kd6 で黒が早く負ける。

12.Bc8 Kd8

 12…Bf3 の方が正確だが負けに変わりはない。以下の手順は 13.Ba6 Kd7 14.Bc4(しかし 14.Bb5+ はだめで 14…Kc8 15.Bc6? Bxc6 16.Kxc6 h5! で引き分けになる)14…Kc8(14…Bg2 なら 15.Bd5 Bf1 16.Bc6+ から 17.Kd6 で白が勝つ)15.Bd5 で本譜に戻る。

13.Ba6

 13.Be6! Ke7 14.Bd5! の方が少し早かった。

13…Bf3

 13…Kd7 14.Bc4 は黒の12手目の解説にある。ここで黒がどう指そうと白ビショップが対角線の斜筋を乗っ取って白キングがキング翼に向かうのを止めることができない。

14.Kd6 Bg2 15.Bc4

 すぐに 15.Ke6 と指すと黒は後で …h5 から …Bf3 と指して抵抗することができる。

15…Kc8 16.Bd5 Bf1

 16…Bxd5 は 17.Kxd5 Kb7 18.Ke5 で黒キングは1手遅い。

17.Ke6

 黒はもう受けの手段が尽きた。

17…Be2 18.Kf6 Kd7 19.Kg6 h5 20.Kg5 Kd6 21.Bf7

 もうbポーンは捨ててよい。

21…Kc6 22.Bxh5 Bc4

 カパブランカはこの手を封じ手にしたが後で投了した。この後は 23.Be8+ Kxb6 24.h5 Kc7 25.h6 Bg8 26.Kg6 で白が簡単に勝つ。

 これで同色ビショップの分析を終える。見てきたようにほとんどの場合ポーンが1個多いだけで勝つ可能性が高い。特に盤上に他のポーンがあればそうである。もちろんそのようなエンディングでは他にも多くの考慮すべき点がある。それらのうちの幾つかについては実戦例のところで分析しよう。

(この節終わり)

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カロカン防御の指し方(019)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例(続き)

 11.b4 で黒ビショップの捕獲を狙う 10.a3! の方が良い手だった。黒がこの狙いを 10…a5 で迎え撃てば、白駒が強力なb5の地点を利用できる。

10…Qc6 11.Nxc5 Qxc5 12.Be3 Qc7 13.f4

 7…c5 での解説で触れたようにこの手はe5のポーンを守るために必要である。もし白が 13.Bd4 でこのポーンを守ろうとすると、黒は …Nc6 と …Ng6 でさらに攻撃することができる。

13…Nf5 14.c3?

 ここは 14.Rac1 で次に 15.c4 と突きこのcポーンを黒のdポーンと交換する意図の方が良かった。二つの半素通し列(c列とd列)は完全に素通し列になり、いい勝負になる。

14…Nc6 15.Rad1 g6!

 この手は巧妙な手待ちなっている。明らかな 15…O-O の代わりに黒は戦略的な罠を仕掛けた。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(251)

第5章 ビショップ・エンディング

5.3 同色ビショップ

 2ポーン対1ポーンのエンディングでは駒配置によってもだいぶ変わるが優勢側が勝つ公算が大きい。次の二つは参考になる例である。

 図251
アベルバッハ、1954年

 白の余分のポーンは保護されパスポーンになっている。これに反して黒のポーンは攻撃目標になっている。これらの優位が次のように勝利に結びつく。

1.Bg5

 黒ビショップはa7-g1の斜筋に沿って十分手待ちができるので白がすぐにポーンを取ることはできない。白はまずこのビショップを追い払う。

1…Bd4 2.Ke4 Bc3

 2…Bf2 は 3.Be3 Bh4 4.Kd5 Be7 5.Bf2! Bf8 6.Bh4! で黒が手詰まりに陥る。例えば 6…Kb7(6…Bh6 なら 7.Bd8+)7.Bg3 Kb6 8.Bd6 でポーンが取られる。

3.Be3 Bb4 4.Kd5 Ba3 5.Bg5 Bb4

 ポーンを守るために黒ビショップは非常に短い斜筋に行かなければならなかった。そのため黒はまもなく手詰まりになる。5…Kb7 は 6.Be7 Kb6 7.Bd8+ Kb7 8.Ba5 で本譜に戻る。

6.Be7 Ba3 7.Bd8+ Kb7 8.Ba5!

これで白が勝つ。

 黒は手詰まりになっていて 8…Ka7 9.Kc6 あるいは 8…Bb4 9.Bxb4 cxb4 10.Kd4 で負ける。

 同じ局面を1列左へ移動しても白が勝つことは明らかである。黒の2手目の解説のように黒が手詰まりになる。しかし1列右へ移動した場合は引き分けになる。本譜の手順を追えばその理由は明らかである。黒ビショップは短かった斜筋が長くなるからである。例えば 1.Bh5 Be4 2.Kf4 Bd3 3.Bf3 Bc4 4.Ke5 Bb3 5.Bh5 Bc4 6.Bf7 Bb3 7.Be8+ Kc7 8.Bb5 Ba2! という具合である。

 図251を2列右へ移動しても引き分けになるだろうと考えるのは無理もない。しかし実はそうではない。白はこれまでの手法では勝てないが次のような手順がある。1.Bf8+ Kd7 2.Bc5 Bg3 3.Ba7! 白ビショップがb8に行けることを利用している。4.Bb8 でポーンを取る狙いに対して黒は受けがない。

(この節続く)

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「ヒカルのチェス」(341)

「Chess Life」2013年12月号(2/5)

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シンクフィールド杯(続き)

 カームスキーは運悪く初戦から2戦連続で黒番だった。一方ナカムラはまた白番だった。両者はセントルイスでの劇的な2012年米国選手権戦以来初めての対戦だった。そのときはナカムラが大会終盤でカームスキーに勝って首位に躍り出てそのまま優勝した。

 自信ありげなナカムラは毎手30秒加算のおかげで持ち時間を増やしながら最初の12手を指した。早くも牙をむいてd5で典型的なナイト切りをやりh5に珍しいクイーンの早出をした(もっとも年少の頃の 2.Qh5 ほど変則的ではないが)。両選手は難解な中盤戦で苦心した。ナカムラは40手の規定時間までに2分で自明とはいえない9手を指した。世界最高のブリッツ選手の一人である彼は正しい道を見つけた。

 ナカムラの即座の解説ではカームスキーが動いてまた困難に陥った。彼の話では 27…e5 と 28…Qd6 がカームスキーの「たぶん間違った」所だった。彼が続けて言うには第1戦のカールセンのように白のパスhポーンがいつか悩ましくなるので動きたいのは理解できるとのことだった。数手後ナカムラは 32.Be2 と駒を方向転換して完全に自信が持てたとのことだった。

シチリア防御カン戦法(B43)
GMヒカル・ナカムラ(USCF2857)
GMガータ・カームスキー(USCF2824)
シンクフィールド杯第2回戦、ミズーリ州セントルイス、2013年9月10日

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 a6 5.Nc3 b5 6.Bd3 Bb7 7.O-O Nc6 8.Nxc6 Bxc6 9.Re1

9…Qb8

 9…Bc5 が主手順でこの手は珍しい。以前に 9…Qb8 と指した最強選手は誰だったか。誰あろうナカムラだ!

10.a4 b4 11.Nd5 Bd6 12.Qh5 Ne7

 両選手ともこの局面までは超早指しだった。ここからは考え始める。白の方が駒の働きが良いので優勢のはずである。

13.Nxe7 Bxe7 14.b3 a5

 イアン・ロジャーズと私は実況の解説でこの手が気に入らなかった。遅くて白にうまい攻撃を始める余裕を与える。

15.Bb2 Bf6 16.Bxf6 gxf6 17.e5

 黒の指し手が難しくなった。

17…Rg8 18.g3 Rg5 19.Qh6!

 h7のポーンを取るよりもこの手の方がずっと良い。カームスキーがあっさり負けるのではと思ったが、彼は手が見えることにかけては信じられないほどだった。

19…Rxe5 20.Qxf6 Rh5 21.Be4

 たぶんナカムラは最善手を逃した。Rad1 と単純にa1のルークを中央に回せば白がはっきり優勢だろう。

21…Qd8 22.Qf3 Rc5

23.Qe3?

 23.Bxc6 Rxc6 24.Re4 なら完全に白が優勢である。本譜はほぼ互角である。

23…Qe7?

 チェスエンジンによれば 23…Re5! 24.Qd4 Rxe4 25.Rxe4 Bxe4 26.Qxe4 h6 なら互角である。しかしどういうわけか両者ともここで白が良いと考えていた。

24.Bxh7 f5 25.Bg6+ Kd8

 黒は 25…Kf8 と指すこともできた。両者とも勝とうとしている。

26.Rac1 Kc7 27.Bh5

27…e5?

 残り時間が少なくなってきてナカムラの方が時間が少なかったが冷静さを保つことができた。黒は 27…Qd6 の方が良かった。

28.f4?!

 Rac1! の顔を立てて 28.c3! と指すのはどうだったか。

28…Qd6 29.Rf1 exf4 30.Qxf4 Be4

 30…Qxf4 31.Rxf4 Be4 32.Bf3 d5 なら引き分けのはずである。しかしカームスキーは勝つことしか考えていなかった!

31.Qf2 Rc3 32.Be2

32…Kb7?

 この手は長考のあとに指されたが良くなかった。代わりに 32…Bb7 または 32…Qh6 なら動的に互角を保つはずである。

33.Rcd1! Qe6 34.Bc4! d5 35.Qc5!

 ナカムラは時間がほとんどないのに完璧に指している!

35…Rd8?

 35…Qc6 でも 36.Qxd5!! Rxc2 37.Qf7+ Kb6 38.Rf2 で白の勝ちになる。

36.Qxa5!

36…Rxc2 37.Rf2! Rxf2 38.Qxd8 Rg2+ 39.Kf1 Rb2 40.Bxd5+ Bxd5 41.Qxd5+ Qxd5 42,Rxd5 黒投了

 ナカムラは時間切迫の中でも驚くほどうまく指しここでは勝ちの收局になっている。カームスキーには結果が見えていた。

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(この号続く)

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カロカン防御の指し方(018)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例(続き)

 ここまで既出の主手順を追ってきた。ここでカパブランカは 7…Qa6 の代わりに 7…c5 という別の手を指した。この二つの手は同じくらい良い手だが、7…c5 の方がクイーンの交換を申し出ない分意欲的である。黒の意図は自分のcポーンを白のdポーンと交換することで、白はこれを防げない。ポーン同士の交換は二つの点で黒の助けになる。(1)e5まで進んだ白ポーンの支えを突き崩す。このポーンはもうd4のポーンによって守られなくなるので、白はたぶん代わりにfポーンで守らなければならなくなる。しかし f2-f4 突きには白にとってキング翼にキャッスリングしたあと少しキングが薄くなるという欠点がある。(2)黒は半素通しc列が使えるようになる(c2に白ポーンがあるのでc列は黒にとってだけ素通しである)。これは黒のルークが戦闘に参加するのに役立つ通り道になる。

 ポーン同士の交換は白にとっても二つの点で役に立つ。(1)強力なd4の地点が白駒のために手に入る。この地点が強力である理由は、どの黒ポーンによってももう攻撃されることがないからである。(2)白も半素通しd列が使えるようになる。ただし黒が5枡(c8-c4)なのに対し白は4枡(d1-d4)しか使えないので、c列ほど有効ではない。

 得失はほぼ相半ばするので 7…c5 のあとはいい勝負である。しかし本局では黒の方が可能性を生かし勝利を収めた。

8.dxc5 Bxc5 9.O-O

 この手は 9…Bxf2+ の狙いに対処した。9.Qg3? は 9…Ne7! が 10…Nf5 で白クイーンをいじめる狙いを持つので劣った手である。9.Qg3 Ne7 のあと 10.Qxg7? は黒ルークに 10…Rg8 11.Qxh7 Rxg2 で強引に暴れられる。

 もし白がfポーンを突くことによって(9.f4?)守ると、黒のクイーンとビショップがg1に利いているのでキャッスリングが困難になり、クイーン翼にキャッスリングするのは黒ルークが直射しているc列にキングが置かれることになる。

9…Ne7 10.Na4?

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(250)

第5章 ビショップ・エンディング

5.3 同色ビショップ

 ビショップが同色の時少しの戦力の優位でも勝つ可能性があることは良く知られ容易に理解できる事実である。たった1個のポーン得が勝ちにつながった例はこれまで何度も見てきた。白の戦力の優位がこれよりも大きい時はもちろん白の勝つ可能性は増す。そしてビショップ+2ポーン対ビショップのエンディングはほとんど常に勝ちである。実際のところ例外はほとんどなく勝つ手段も容易なのでこの型のエンディングは扱わないことにする。

 両者にポーンのあるエンディングでも戦力または形がまさっていれば勝てる可能性は大きい。これらの条件の分類は難しいので読者にそのようなエンディングの対処の仕方を教えるような例を少し紹介するにとどめることにする。

 両者にポーンがあれば通常は引き分けに終わる。白は遠くまで進んだポーンや非常に配置の悪い敵駒のように形でまさっている場合に限り勝ちを期待することができる。図250はその面白い例である。

 図250
トロイツキー、1925年

 トロイツキー作のこのスタディで白の有利は強力なaポーンにある。黒はこのポーンを止められないので自分のポーンを進めて活路を開かなければならない。正解手順は次のように目を見開かせるものがある。

1.a6 c4 2.a7 c3 3.Bh1!

 ビショップがこの位置へ行った理由は次の変化を見れば理解できる。3…Bg6+ 4.Ke7 c2 5.a8=Q c1=Q 6.Qg2# しかし黒にも巧妙な受けがある。

3…Ba4+ 4.Kf7!

 ここへ行った理由も後で分かる。

4…Bc6!

 また 4…Bb3+ とチェックしたら 5.Kf6 で白を助けるだけである。

5.Bxc6 c2 6.a8=Q c1=Q

 普通ならばこのエンディングは引き分けになるところである。しかし黒駒の配置のために勝利の決め手が可能である。

7.Qa2+ Kg3 8.Qg2+ Kf4

 8…Kh4 は 9.Qf2+ Kg4 10.Bd7+ Kh5 11.Qf3+ Kh6 12.Qh3+ Kg5 13.Qg4+ で詰みになる。途中 9…Kh5(9…Kg5 なら 10.Qg3+ から 11.Qg6+)は 10.Bf3+ Kg5 11.Qg3+ Kf5 12.Qg6+ で黒がクイーンを取られるか詰まされる。

9.Qf3+ Kg5

 9…Ke5 は 10.Qf6 で詰む。

10.Qg3+ Kf5 11.Qg6+ Kf4 12.Qh6+

これで黒クイーンが取られる。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(017)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

実戦例
白 A.ニムゾビッチ
黒 J.カパブランカ
ニューヨーク、1927年

1.e4 c6 2.d4 d5 3.e5 Bf5 4.Bd3 Bxd3 5.Qxd3 e6 6.Nc3 Qb6 7.Nge2 c5

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(249)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 最後に図249も興味深い局面で白のbポーンが7段目に達している。アベルバッハの境界線によれば白の勝ちだが白の勝つ手順はことのほか参考になり易しくない。

 図249
セントゥリーニ、1847年

 黒ビショップがc7に利いているので白ビショップはこの斜筋から黒ビショップを追い出すためにb8に行かなければならない。1.Bb8 Bg1 2.Bg3 Ba7 3.Bf2 で白が勝てる。しかしどのようにしてb8に行ったら良いのであろうか。1.Bh4 で 2.Bf2 から 3.Ba7 を策しても黒は 1…Kb6! 2.Bf2+ Ka6 でこれを阻止する。その後 3.Bh4 Kb6! 4.Bd8+ Kc6 で黒キングがまた Bc7 を阻止する。もっと巧妙な手順が必要である。

 少し考えれば手詰まり戦術が必要であることが分かってくる。もし黒の手番ならば 1…Be5(f4、g3)とは指せない。それは 2.Bf6!(g5、h4)で貴重な先手が得られ黒キングが阻止できる前にa7の地点に行き着けるからである。しかし 1…Bd6 2.Be7 Bh2 は白が 3.Bc5 と指せないので可能である。だから最初の局面では黒ビショップがd6とh2の間で往復できるので手詰まりは存在しない。そして 1.Be7 Kb5 も黒は問題ない。

 それではまず白ビショップをg1-a7の斜筋にやって黒キングをa6に行かせ最終的に Bc5 を可能にしたらどうだろうか。試してみよう。1.Bh4 Kb5 2.Bf2 Ka6 そして手待ちの 3.Be3 を指す。ここで例えば 3…Bg3 4.Bg5 Kb5(白の狙いは 5.Bd8 から 6.Bc7 だった)5.Bd8 Kc6 6.Bh4! から 7.Bf2 となれば白が勝つ。しかし黒は 3…Bd6! と指すのが良い手で 4.Bg5 Kb5 5.Bd8 Kc6 6.Be7 Bh2! で元の局面に戻ってしまう。

 これまでの分析から黒ビショップには二つの急所の枡d6とh2があることが分かる。黒ビショップが二つのうちの一つを占めている限り白は何もすることができない。二つのうちの一つを黒ビショップから取り上げなければならない。その後ならば手詰まり戦術で黒を降参させることができる。Bg1 は黒ビショップがどこへでも行けるので(g1から白ビショップはh4-d8の斜筋へ行けない)うまくいかない。だからd6こそが一番重要な枡である。勝つ手順は次のとおりである。

1.Bh4

 1.Bg5 又は 1.Bf5 でも良い。しかし 1.Be7 は 1…Kb5 でだめである。

1…Kb5 2.Bf2 Ka6 3.Bc5!

 この手が決め手である。黒ビショップは隅から追い出されて前述の先手を許す地点へ後に行かされる。3…Kb5 なら 4.Ba7 で白が勝つ。

3…Bg3

 3…Be5 又は 3…Bf4 でも同様の手順で白が勝つ。

4.Be7 Kb5 5.Bd8 Kc6

 最初の局面と同じようだが決定的な違いがある。それは黒ビショップがh2にいないということである。

6.Bh4!

 決定的な先手である。もし黒ビショップがe5又はf4に行っていたらそれぞれ 6.Bf6! 又は 6.Bg5! で白が勝つ。

6…Bh2 7.Bf2 Bf4 8.Ba7 Bh2 9.Bb8 Bg1 10.Bg3 Ba7 11.Bf2!

これで白が勝つ。

 この鮮やかな例でビショップ+ポーン対ビショップの節を終える。他にもポーンがもっと後ろにある興味深い局面があるが残念ながらこの話題を終わらなければならない。

 今度は白が少なくとも2ポーンを持っている局面に注目しよう。これまでは両者のビショップが同じ色の枡にいると仮定していた。それは単純な理由で、盤上に1ポーンしか残っていないのに異色ビショップの局面を分析しても意味がなかったからである。しかし複数のポーンがある局面ではビショップが同色か異色かが非常に重大になってくる。そのために次の二つの節をこの2種類のエンディングに分けている。

(この節終わり)

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布局の探究(82)

「Chess Life」1993年11月号(4/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

現代の布局定跡へのカスパロフの影響(続き)

Ⅰ.ニムゾインディアン防御(続き)

 この試合のあとカルポフは「カスパロフの 4.Nf3」に辟易(へきえき)した。第21局では 3…d5 と指すことによってニムゾインディアンを避け、第23局では 1.d4 にすぐ 1…d5 と応じて「可能性なし」にした。

 上記の議論はガリー・カスパロフの 4.Nf3 の使用と、1985年世界選手権戦に対する影響の結果について「すべて」を物語っている。世界への影響はどうだったか。最初に来るのは数字である。4.Nf3 戦法の「布局記号」は主としてE20とE21である。1978年に出版された Encyclopedia of Chess Openings E(ECO E)初版では、E20の 4.Nf3 戦法は3行と17脚注で、E21は10行と62脚注だった。第2版(1991年出版)ではE20での記述は17行と103脚注に激増し、E21では12行と84脚注に大幅に増えた。

 科学的なチェス研究の質も大きく影響を受けた。4.Nf3 がニムゾインディアンに対する第一級の展開の手であることがカスパロフによって証明されたので、黒はよどみない効率的な展開が自分にとっても正しい作戦であることを認識し始めた。だから第13局と第17局(1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Nf3 c5 5.g3 Nc6 6.Bg2 Ne4 7.Bd2)での戦略的に野心的な 7…Bxc3 がもっと単純な 7…Nxd2 8.Qxd2 cxd4! 9.Nxd4 O-O に取って代わられた。もっと重要なことは黒の最も信頼できる手順が(4…c5 5.g3 のあと)5…cxd4! 6.Nxd4 O-O 7.Bg2 d5 になったことである。黒はまんまと自分の二級の中央cポーンを白の一級の中央dポーンと交換し、キャッスリングによってキングをさっさと安全にし、7…d5 突きでさらに中央への影響力を増した。完全で健全な互角への黒の見通しは明るい。

 これらの展開についてのカスパロフの言い分はどうなっているだろうか。実は彼はもう 4.Nf3 を指さなくなっている。今は 4.Qc2 を好んでいる。これについての彼の貢献については注視していくつもりである。

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カテゴリ: 布局の探究1

カロカン防御の指し方(016)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

 クイーン同士の交換で引き分けの可能性が少し増したが、局面は戦う余地がまだまだいっぱいある。

 ここで黒は …Ne7、…Nf5、…Be7、…O-O、…Nd7 そして …Rac8 のような手で展開を完了してから …c6-c5 突きでクイーン翼で行動を開始するのが良い。

 白は Bd2 から O-O のような手で展開を完了し、それから f2-f4-f5 と突いていってキング翼で活発な作戦を開始すべきである。可能性は互角である。言えることは実戦ではうまく指した方が勝つだろうということだけである。

(この章続く)

2014年01月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: カロカン防御の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(248)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 黒キングをb4からd6に移すとルーク列ポーンの奇妙さが現れる。

 図248

 黒は 1…Bb3! 2.a5 Bc4 で引き分けにできる。白はポーンを進めることができずビショップをb5又はa6に指すとビショップを交換されて引き分けのポーン・エンディングになるのでそれもできない。

(この節続く)

2014年01月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

カロカン防御の指し方(015)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

7…Qa6!

 ここで黒クイーンの早出の意味が分かる。白は布局からの何の優勢もほとんど望めなくなるクイーン同士の交換を許すか、黒クイーンに大切なa6-f1の斜筋の揺るぎない支配を与えなければならない。

 7…Qa6 が唯一の好手ではない。7…c5 も黒にとって大いに満足できる手で、本章末の実戦例に詳細な解説がある。

8.Nf4

 8.Qxa6? Nxa6 は黒のクイーン翼ナイトの展開を手助けするだけである。例えば 8.Qh3 でクイーン同士の交換を避けるのは、黒の方が …Ne7 のあと …Nf5、…Be7、…O-O そして …c6-c5 で少し有望になる。

8…Qxd3 9.Nxd3

(この章続く)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(247)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 局面を1段下にずらして図247を見てみればこれがどういうことなのかが分かる。

 図247

 白ビショップはb8の地点に行けるのでどちらの手番でも次のように白が勝つ。

1…Bb4 2.a6 Bc5 3.Bb8!

 白ビショップは前の例では不可能だった急所のa7の地点に行く。

3…Bd4 4.Ba7 Be5 5.Bb6 Bb8 6.Bd8

これで白が勝つ。

 黒は手詰まりに陥っている。

 さらに局面をもう一段下に下げてもやはり白が勝つ。黒の「短い」c8-a6の斜筋は3枡しかないからである。1…Bb3 2.a5 Bc4 3.Bb7 Bd3 黒ビショップが他の地点に行っても結果は同じである。4.Ba6 Bf5 4…Be4 なら 5.Bb5 Bb7 6.Bd7 で白が勝つ。5.Bb5 Bc8 6.Bc6! 黒はここでも手詰まりに陥っている。例えば 6…Kc4 7.Bb7 から 8.a6 で白が勝つ。

(この節続く)

2014年01月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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ポルガーの定跡指南(110)

「Chess Life」2005年11月号(2/5)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ロッソリーモ戦法、5.c3(続き)

戦型A)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 g6 4.O-O Bg7 5.c3 a6

 この局面でビショップを当たりにする手はあまり人気がない。

6.Bxc6

 6.Ba4 b5 7.Bc2 から d2-d4 と突くこともできる。

6…dxc6

 アーナンド対リュボエビッチ戦(モンテカルロ、1993年)では黒が 6…bxc6 と取ったが、白が中央で強力な陣形を築き快勝した。

7.d3

 7.d4 と突くのは 7…cxd4 8.cxd4 Bg4! 9.Be3 c5 で黒の反撃が好調になる。

7…Nf6 8.h3

 これは …Bc8-g4 を防ぐ重要な手である。ここで黒が出会うかも知れない危険を示す例が二つある。

8…O-O(8…c4 のあと白は 9.e5 Nd7 10.e6! fxe6 11.dxc4 と応じることができるので、黒が二重cポーンを解消しようとするのは容易でない)9.Qe2 Qc7 10.e5 Ne8 11.Bf4 Be6 12.c4 b6 13.Qe3 Rd8 14.Nc3 Qd7 15.Rfd1 Nc7 16.b3 Qc8

8…a5 9.a4 b6 10.Qe2(10.Qc2 の方がずっと正確だっただろう)10…O-O 11.Na3 Ne8 12.Be3 Nc7 13.Rfd1 Ba6 14.Qc2 Ne6 15.d4 cxd4 16.cxd4 白にはc6ポーンという明確な攻撃目標がある。アントゥネス対コルチノイ(テッサロニキ・オリンピアード、1988年)

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カロカン防御の指し方(014)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

5…e6

 黒はキング翼を展開する用意をした。これは大局観によるポーン捨ての 6.e6! の防ぎにもなっている。この手は例えば 5…Qb6 への強力な応手となる。6.e6 の着意はもし黒が提供されたポーンを 6…fxe6 で受諾すれば(実際ほかに良い手もないが)、ビショップを展開するのが困難になり、その間に白は Nf3、O-O、Re1 から Ng5 のような手ですばやく攻撃態勢を整えすぐにポーンを取り返して優勢になるということである。

6.Nc3

 代わりに 6.Nf3 なら黒にとって不満のない一つの応手は 6…Qa5+ から 7…Qa6 で、本譜と同様の局面になる。

6…Qb6!

 クイーンをこんなに早く出すのは相手の小駒によって攻撃目標とされることがあるので賢明でないことが多い。しかしこの局面では黒にはクイーンをこんなに早く出す具体的な理由がある。黒の次の手ですべてが明かされる。

7.Nge2

 7.Nf3 ならやはり 7…Qa6! が良い応手となる。本譜の手で白は 8.O-O のあと Ng3、f2-f4 から f4-f5 突きのような手でキング翼攻撃に取り掛かることを期待している。しかし黒は白の作戦に横槍を入れることができる。

(この章続く)

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尖閣諸島の南の海上に…

毎日新聞電子版2014年1月6日付
余録:元日の午後だった。尖閣諸島の南の海上に…

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(246)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 グランドマスターのアベルバッハは以上の要点をまとめて図246の境界線に表した。

 図246

 白が勝つためにはポーンが境界線の上側になければならない。黒枡ビショップの場合は境界線は線対称の位置になる。即ちa4-d7-h3の斜筋上の白枡より上の部分である。アベルバッハによれば例外が二つある。一つ目は図244で白が誤って 1.Ke8? と指した局面である。二つ目は図246で、白が勝つことはできない。白ポーンが勝てる範囲にあるにもかかわらず次のように白のビショップがa8の地点を占めることができないからである。

1.Bb7

 1.a7 は 1…Bd5 で決して黒ビショップを対角斜筋から追うことができない。b9の枡があればまた別だが。

1…Be4!

 これが要点である。白はこのビショップを取るわけにいかないので黒のビショップは対角斜筋に居続け白は引き分けにするしかない。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

カロカン防御の指し方(013)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン(続き)

 白にとって 3.e5 の主要な利点は、キング翼の陣地が広くなることである。すなわち駒を動かす余地が広がることである。白陣が広いということはとりもなおさず黒陣が狭いということになる。e5のポーンは黒陣を押さえつける効果があり、黒のキング翼ナイトが最良の地点のf6に行くのを防いでいる。

 逆に 3.e5 の不利益は手を決めすぎているということである。黒はもう白がどのように中央にポーンを配置するのかを考えめぐらす必要がない。中央のポーンの形が固定されたので、黒はこれからの指し方の大体の様相が分かりそれに応じた自分の駒の配置を決めることができる。

 突き越し戦法における白の基本戦略はできるだけ迅速かつ調和よく駒の展開を完了し、キング翼の広さの優位を実際に生かすことに努めることである。もし黒がキング翼にキャッスリングすれば(一般にそうするが)、白はキング翼攻撃に出るのが普通である。これにはいろいろなやり方がある。(1)(黒が …e7-e6 と突いたあとで)Qg4 と指しg7の黒ポーンを攻撃する。(2)キング翼ルークをf1、e1そしてe3を経由してg3かh3に捌く。これはg3またはh3がg7またはh7を攻撃するのに絶好の位置だからである。(3)fポーンをf4、f5、そして可能ならf6まで突き進める。これらの攻撃作戦はどれも黒にとって非常に危険になることがあり、注意深い受け方が必要になる。

 黒の方の基本戦略は展開を完了しそのあとで白のポーン中原を …c6-c5 または(ずっとまれだが)…f7-f6 突きで突き崩すことである。…c6-c5 突きのあと黒はc列を有効に利用すべきである。この好例は本章の最後の実戦例が参考になる。

 要約すると突き越し戦法における白の主たる展望はキング翼にあり、黒はクイーン翼にある。しかし両者とも柔軟であるべきである。もし何かが作戦どおりにいかなければ、急いで攻撃から防御にまたはその逆に転換する必要がでてくるかもしれない。

 突き越し戦法は多くの強豪(元世界チャンピオンのタリも含まれる)によって指されてきたけれども、今日ではカロカン防御に対するかなり無害な指し方と見なされている。黒は分別よく指せば、つまり本章の主手順に従えば、いい勝負の中盤戦にほとんど苦労なく到達するはずである。

3…Bf5!

 黒はビショップを好所に展開し、…e7-e6 と突いてキング翼の駒を展開する用意をした。ほかの手は明らかに劣る。

 1)すぐに 3…e6? と突くのは自分のクイーン翼ビショップを不必要に閉じ込めてしまう。それによってフランス防御の突き越し戦法(1.e4 e6 2.d4 d5 3.e5)に似た陣形になるが、無意味な …c7-c6 突きが加わっているのが重要である。

 2)白のポーン中原を 3…f6? で切り崩そうとするのは、原則的には悪い着想でないが、時機を誤っている。4.Bd3 fxe5?(一貫した手だが悪手)5.Qh5+ で黒が応手に困る。5…g6 は 6.Bxg6+! と切られ 6…hxg6 と取ると 7.Qxh8 で交換損になる。黒にとって比較的最善手と言えるのは 5…Kd7 だが、キングが露出して大変危険である。

 3)3…c5? は 4.dxc5! と取られて、黒がポーンを取り返すのが難しくなる。例えば 4…Qxa5+ は 5.Nc3 Qxc5 6.Qxd5 で白がポーン得のままである。

4.Bd3

 これは自然な展開の手である。白はほかにも面白い手がいくつかある。

 1)4.g4? 黒ビショップをいじめようというこのぶしつけな手は、4…Be4! 5.f3 Bg6 6.h4 h5!(6…e6? は 7.h5! で黒ビショップが捕まる)で黒を利する。このあと例えば 7.Bd3 なら 7…Bxd3 8.Qxd3 e6 9.g5 Ne7 となって、白のキング翼のポーンが伸びすぎとなり黒が優勢である。この局面は章末の実戦例に似ていて、白のポーン突きの負の側面が露呈している。

 2)4.h4? この狡猾(こうかつ)な手は前の解説のように 4…e6? 5.g4! Be4 6.f3 Bg6 7.h5 で黒ビショップを捕まえることを期待している。しかし黒は 4…h6! でh7にビショップの逃げ場所を作ってこれを避けることができる。白は 4.h4 が不発に終わり、あとで弱点になるかもしれない。

 3)4.c4 これは悪手ではないが、黒にとっては危険でない。黒は 4…e6 と突くのが良い(4…Bxb1 5.Rxb1 Qa5+ 6.Bd2 Qxa2 とポーン得するのは、黒クイーンが遊び白が展開で先行するので大変危険である)。例えば 5.Nc3 dxc4 6.Bxc4 Nd7 のあといずれ …Nb6、…Ne7 から …Ned5 とされる。d5の好所の黒ナイトはもう白ポーンによっていじめられることがなく、黒に良い展望が保証される。

 4)4.Ne2 e6 5.Ng3 Bg6 6.h4 これも黒ビショップをいじめようとする無害な手である。やはり正しい解毒剤は 6…h6 で、そのあと黒は満足な局面になる。

4…Bxd3

 黒はビショップ同士の交換を避ける満足な方法はないが、交換を避ける理由もない。

5.Qxd3

 5.cxd3 は二重ポーンはたいてい不利であるという知識からすれば悪そうである。しかし完全に見当違いというわけでもない。白の理屈はこの戦型では一般に黒が …c6-c5 と突いてくるので、白が二重ポーンを解消できるということである。これを念頭に黒は 5.cxd3 のあと …c6-c5 突きを急ぐべきでない。まずは …Ne7、…Nf5、…Be7、…O-O そして …Nd7 のように展開するのが良い。そのあと初めて(その間に白が何をしていたかを考慮して)…c6-c5 と突くか、それとも …f7-f6 のような別の作戦の方がもっと適切かを決めるべきである。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(245)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 だから受けがうまくいくためには黒はビショップの短い斜筋に少なくとも4枡なければならない。例えば図245の局面を考えてみよう。

 図245

 ビショップのe8-h5の斜筋は十分な長さがあるので黒は引き分けにできる。1…Be8 2.Bc2 Kg5 黒は Bg6 を防いだ。これで簡単な引き分けである。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(012)

第2章 突き越し戦法 レイモンド・キーン

1.e4 c6 2.d4 d5

 3…dxe4 と取る手が黒の狙いである。これに対処する白の単純な方法は、当たりのポーンを突き進めることである。

3.e5

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(244)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 以上の例のように黒は二つの斜筋(これまでの例ではf8-a3とd8-h4)でポーンの前進と戦う態勢にいなければならない。ポーンが盤端に近くなればこれらの斜筋の一つは明らかに非常に短くなる。そして中央列のポーンならば引き分けになるところが白の勝ちになる。次の例を考えてみよう。

 図244

 黒ビショップにとって重要な斜筋はf8-a3とf8-h6である。しかしf8-h6の方は3枡の長さしかない。次の分析が示すようにこれでは受けがうまくいかない。

1.Kg8!

 白キングは逃げ方が二通りありそれによって結果が変わってくる。1.Ke8? は 1…Bd6 2.Bf8 Bf4 3.Bb4 Bh6 4.Bc3 Kd6! で引き分けにしかならない。白ビショップは …Kd6、…Kf6 及び …Bg7 を同時に防ぐことはできないので黒が手詰まりに追い込まれることはあり得ない。以下の手順は 5.Bd2 Bg7 6.Be3 Ke6 7.Bf4 Kf6 で引き分けになる。一般原則としてこのような局面では白キングは黒ビショップの防御の斜筋が最も短くなる側を常に目指すべきであると言うことができる。そうすれば白はその斜筋の枡を支配して一層短くすることができる。

1…Kf5

 白の狙いは 2.Bf8 Be3 3.Ba3 Bh6 4.Bb2 から 5.Bg7 で勝つことだった。

2.Bf8 Be3 3.Bb4 Bh6 4.Bd2!

これで白が勝つ。

 白キングがg7に利いているので黒ビショップは斜筋上の動ける枡が足りない。この局面で黒キングがg6にいたとしても黒が負ける。例えば白は 4.Bc3 Kg6 5.Bd2 Bg7 6.Be3 と指しても良く黒は手詰まりに陥っている(6…Kf6 なら 7.Bd4+)。

(この節続く)

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「ヒカルのチェス」(340)

「Chess Life」2013年12月号(1/5)

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シンクフィールド杯

記 FMマイク・クライン

 まったく互角の局面でアロニアンはどうしたことか 30…Qb5?? と指し初歩的な手筋を指させた。ナカムラは「彼がそう指したときはポカだと気がつかなかった」と最初に思ったことを話した。「彼が …Qc6 と指したなら引き分けを提案するつもりだった。彼は簡単に考えすぎたのだと思う。彼にとっては不運だったがそう確信している。」

棋譜解説 GMベン・ファインゴールド

「確信している」
GMヒカル・ナカムラ(USCF2857)
GMレボン・アロニアン(USCF2913)
シンクフィールド杯第1回戦、ミズーリ州セントルイス、2013年9月9日

30…Qb5??

 両者とも引き分けだと考えていたと思う。しかしアロニアンは気を緩めるのが少し早すぎて簡単な手筋を見落とした。30…Qc6 なら簡単な引き分けだった。

31.Qxb5 axb5 32.Nd7!

 おっと。32…Rfe8 と指すところだが 33.Nf6+ でキングとルークの両当たりになる。だから白が交換得になる。

32…Rxd7 33.Rxd7 Ra8 34.Kf2 Ra6 35.g4 Nh4 36.f4 Rc6 37.Re8+ Kg7 38.Ree7 Rf6 39.Kg3 g5 40.f5

 Nh4 を端で完全に使えなくしたのがナカムラのうまいところである。

40…h5 41.Re6 黒投了

 このあと続けるとすれば 41…hxg4 42.Rxf6 Kxf6 43.Kxg4 Nxf5 44.Rxf7+ Kxf7 45.Kxf5

で、白の簡単な勝ちである。

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(この号続く)

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カロカン防御の指し方(011)

第1章 カロカン防御の着想 レイモンド・キーン(続き)

 ここまででカロカン防御で生じるような局面の大体の着想がのみこめたことと思う。このような局面が気に入っただろうか。カロカン防御を黒で指してみたいだろうか。白で立ち向かってみたいだろうか、それとも 1.e4 以外の手を指したいだろうか。

 以下のどれかが当てはまればカロカン防御はあなたに向いている。

 1)どちらも大きな危険をおかす必要のない堅固な局面を好むこと。カロカン防御は確かにシチリア防御(1.e4 c5)のような激しくて攻撃的な布局よりもはるかに安全である。カロカン防御を指せば快勝することは多くないだろうが、逆にさっさと負かされることもないだろう。

 2)引き分けにしかならないかも知れないことがあまり気にならないこと。カロカン防御の堅実な特徴は、シチリア防御のような動的な防御よりも引き分けの比率が大きくなることを意味する。だから格上の相手に対して引き分けで満足できるときは黒で最適の布局となる。

 3)多くの詳細な変化を覚える時間もなければその気もないこと。布局の中にはこちらの知らない細かい変化を相手が知っていたためにつぶされるということがある。カロカン防御ではこういうことはめったに起こらない。この布局では変化を覚えることよりも背景となる着想を理解することの方が重要である。着想を理解していれば相手がこちらの知らない手を指してきても妥当な作戦をその場で立てることが難しくない。

(この章終わり)

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カテゴリ: カロカン防御の指し方

JCAのやっつけ仕事

(1)去年(2013年)5月6日に全日本選手権戦で池田淳多くんが「2014全日本チャンピオン」になりましたが、JCAのホームページ(最下部)では半年以上すぎたのにいまだに反映されていません。

(2)2013全日本女子選手権戦は第6回戦まで行われたのに、第5回戦の第1局までしか棋譜が掲載されていません。

(3)「NEW第151回チェスネット競技会」では問題図が表示されません。

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カテゴリ: 我楽多

[復刻版]実戦に役立つエンディング(243)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 図242に類似した局面では結果は黒キングが急所の地点に間に合うかどうかにかかっていると言える。図243を考えてみよう。

 図243

 結果はどちらの手番かによる。白の手番ならばこれまで見たように次のように簡単に勝つ。1.Be7 Bd2 2.Ba3 Bg5 3.Bb2! 黒は 4.Bf6 を防げない。しかし黒の手番ならば正確に受ければ次のように黒が負けを逃れることができる。

1…Ke4!

 この手は絶対手である。黒キングは白が Bf6 を狙えばすぐにf5の地点に行ける用意をしておかなければならない。図242を知っていれば黒はこの手を見つけることができる。1…Ke5? は 2.Be7 Be1 3.Bf6+ で黒が負けるので注意しなければならない。

2.Be7 Be1 3.Ba3 Bh4 4.Bb2 Kf5!

 既に知っているようにこれで引き分けが確定である。

(この節続く)

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カロカン防御の指し方(010)

第1章 カロカン防御の着想 レイモンド・キーン(続き)

 堅実戦型の典型的なポーン陣形

 このポーン陣形は 1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 のとき、黒がfポーンを二重にされる 4…Nf6 をすぐには指さないことで生じる。だから堅実戦型(第7章と第8章)とクイーン翼ビショップ戦型(第9章)で現れる。

 白は4段目に中原ポーンがあるのに黒ポーンが3段目にとどまっているので広さで優勢である。しかし黒は特に弱点のない堅固な陣形(これが戦型の由来)になっている。

 これらの戦型における駒の最良の地点は通常は次のとおりである。

 白のキング キング翼かクイーン翼にキャッスリングする。

 白のクイーン e2またはd3。

 白のルーク d1とe1。

 白のキング翼ビショップ d3。

 白のクイーン翼ビショップ d2またはg5。

 白のキング翼ナイト f3、あとでしばしばe5。

 白のクイーン翼ナイト c3、そのあとe4からg5(第7章)またはg3(第8章)。

 白のポーン クイーン翼ビショップ戦型では白のhポーンはよくh5に進む。堅実戦型とクイーン翼ビショップ戦型では、c2-c4 突きは役に立つことが多い。そうでなければ早く突くのはdポーンとeポーンだけにすべきである。

 黒のキング 堅実戦型ではキング翼に、クイーン翼ビショップ戦型ではクイーン翼にキャッスリングする。

 黒のクイーン c7。

 黒のルーク d8、時にはe8。

 黒のクイーン翼ビショップ 堅実戦型では(…b7-b6 突きのあと)b7、クイーン翼ビショップ戦型ではf5。

 黒のキング翼ナイト f6。

 黒のクイーン翼ナイト d7。

 黒のポーン 堅実戦型では …b7-b6 突きがクイーン翼ビショップのフィアンケット展開を可能にして良い着想になることが多い。クイーン翼ビショップ戦型では …h7-h6 突きが、白の h2-h4 突きにh7の逃げ場所を用意するために必要である。そうでなければc、dおよびeポーンだけを早く突くべきである。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(242)

第5章 ビショップ・エンディング

5.2 ビショップ+ポーン対ビショップ

 前の例で見たように黒ビショップがe7への利きから追われた場合白は進展を図ることができる。しかし白はその後 Bf6 で黒ビショップの利きに対抗することも必要である。これは常に可能なのであろうか。それを調べるために黒キングをf5に置いた図242を考えてみよう。

 図242

 黒キングはここでは理想的な位置にいる。白ポーンを攻撃しているだけでなく以降の Bf6 も防いでいる。以下の手順が示すように白は勝つことができない。

1.Bf6 Bb4 2.Be7 Be1 3.Bc5 Bh4

 白は黒ビショップを新しい斜筋から追い払うことができない。

4.Bd4 Bg5

 5.Bf6 とは指せないので白は何も進展を図ることができない。黒は白が Be7 と指すまでd8-h4に沿って自分のビショップを行ったり来たりさせる。白が Be7 と指したら黒は自分のビショップを元の斜筋に戻す。だからこの局面は引き分けである。

(この節続く)

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布局の探究(81)

「Chess Life」1993年11月号(3/5)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

現代の布局定跡へのカスパロフの影響(続き)

Ⅰ.ニムゾインディアン防御(続き)

 ほかの5局では布局の段階における重要な進展は次のようであった(1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Nf3 のあと)。

第7局
4…O-O 5.Bg5 d6 6.e3 Nbd7 7.Qc2 b6 8.Bd3 Bxc3+ 9.bxc3! h6 10.Bh4 Bb7 11.Nd2! g5 12.Bg3 Nh5

 ここで「不必要な妙手」の 13.Qd1 の代わりにカスパロフははるかに強い手として 13.f3! をあげている(13…f5 14.Bf2 Ndf6 15.h3 f4 16.O-O-O または 13…Nxg3 14.hxg3 Kg7 15.g4! c5 16.Nf1 Nf6 17.Ng3)。

第11局
4…O-O 5.Bg5 c5 6.e3 cxd4 7.exd4 h6 8.Bh4 d5 9.Rc1! dxc4 10.Bxc4 Nc6 11.O-O Be7 12.Re1 b6 13.a3 Bb7 14.Bg3 Rc8 15.Ba2 Bd6

 ここで清算の 16.d5 の代わりに白は 16.Bh4! または 16.Be5! と指せば主導権を持ち続けることができた[カスパロフ]。

第13局第17局
 第7局と第11局の普通の展開の結果に不満なカルポフは長期的な戦略の考え方でいくことにした。

4…c5 5.g3 Nc6 6.Bg2 Ne4 7.Bd2 Bxc3 8.bxc3 O-O 9.O-O

 白の優位は黒より優る展開の動的要因とキング翼ビショップの強力な対角斜筋とからきている。黒は白の中央に対する反撃策を見つけるべきである。

 (A)第13局 9…f5?! 10.Be3!! Nxc3 11.Qd3 cxd4 12.Nxd4 Ne4 13.c5! 黒陣に対する白の圧力が非常に強い(13…Nxc5? は 14.Nxc6 で駒損になる)。

 (B)第17局 だから 9…Na5 は改良した手である。しかし愚形の 10.dxc5?! Qc7! の代わりに 10.Bf4! と指していたら、10…Nxc3? には 11.Qc2!、10…Nxc4 には 11.dxc5! という具合に布局からの優勢が続いていただろう。

第19局

 また前の2局の布局に満足できず番勝負で負け越していたカルポフは、戦略的に非常に不均衡できつい作戦を選んだ。

4…Ne4 5.Qc2 f5 6.g3! Nc6 7.Bg2 O-O 8.O-O Bxc3 9.bxc3 Na5 10.c5 d6 11.c4!

 白は局面を開放して積極的な展開と双ビショップとを活用する用意ができた。カスパロフによると黒は 11…dxc5 とポーンを取るべきだったが、それでも 12.Ba3 または 12.Rd1 で白に十分すぎる代償がある。実戦は黒が苦労の割には報われなかった。

 11…b6?! 12.Bd2! Nxd2 13.Nxd2 d5 14.cxd5 exd5 15.e3

 よくあるように動的要素がすぐに長期的な戦略要素に変化した。つまり白には優れたビショップがあり、黒にはe5に恒久的で大きな弱点と辺地のナイトがある。カスパロフはこれらの要素を十分に利用する完全な成熟度(このとき22歳!)を見せつけた。

15…Be6 16.Qc3 Rf7 17.Rfc1 Rb8 18.Rab1 Re7 19.a4 Bf7 20.Bf1! h6 21.Bd3 Qd7 22.Qc2 Be6 23.Bb5 Qd8 24.Rd1 g5?! 25.Nf3! Rg7 26.Ne5 f4 27.Bf1! Qf6 28.Bg2 Rd8 29.e4! dxe4 30.Bxe4

 局面が開放され、白の活動力に優る戦力が黒の弱体化したキング翼につけ込むことができるようになった。

30…Re7 31.Qc3 Bd5 32.Re1 Kg7 33.Ng4! Qf7 34.Bxd5 Rxd5 35.Rxe7 Qxe7 36.Re1 Qd8 37.Ne5 Qf6 38.cxb6! Qxb6 39.gxf4! Rxd4?! 40.Nf3 Nb3 41.Rb1 Qf6 42.Qxc7+ 黒投了

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カロカン防御の指し方(009)

第1章 カロカン防御の着想 レイモンド・キーン(続き)

 ブロンシュテイン=ラルセン戦法の典型的なポーン陣形

 このポーン陣形はブロンシュテイン=ラルセン戦法(第6章)(ニムゾビッチ戦法としても知られる)の 1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nf6 5.Nxf6+ gxf6 から生じる。

 今度は黒はgポーンで取り返した。ここでの二重ポーンはタルタコワ戦法よりも弱く(キング翼のポーンが分かれているので)、孤立hポーンは白駒の標的になるかもしれない。黒は代償として(タルタコワ戦法のように)駒の働きが良いだけでなく、半素通しg列は白がキング翼にキャッスリングすれば攻撃に非常に役立つ通路になるかもしれない。白は通常キング翼にキャッスリングするが、それはクイーン翼で活動するつもりなのでそうしないと危険すぎるからである。

 この戦法における両者の通常の展開の仕方は次のとおりである。

 白のキング キング翼にキャッスリングする。

 白のクイーン e2、b3またはd3。

 白のルーク e1とd1。

 白のキング翼ビショップ e2またはd3。

 白のクイーン翼ビショップ f4またはe3。

 白のキング翼ナイト f3。

 白のクイーン翼ナイト 5手目で交換になる。

 白のポーン dポーンとeポーンのほかには、早い段階での理にかなったポーン突きはcポーンをc4に突くのと、…Bg4 に対してhポーンをh3突くことだけである。

 黒のキング クイーン翼にキャッスリングするが、時には中央にとどまることがある。素通しg列のためにキング翼キャッスリングは危険である。

 黒のクイーン c7。

 黒のルーク d8とg8。

 黒のキング翼ビショップ d6。

 黒のクイーン翼ビショップ f5またはg4。

 黒のキング翼ナイト 5手目で交換になる。

 黒のクイーン翼ナイト d7。

 黒のポーン 早い段階ではc、dおよびeポーンだけを突くべきである。黒が白のキング翼を攻撃しているときは、あとでhポーンを突いていくのが役立つかもしれない。

 白の一般的な戦略は d4-d5 突きによって中央突破を図ることで、その準備として c2-c4 と突くことが多い。黒のキング翼ポーンを攻撃しようとすることもある。

 黒はこの戦法では素通しg列を利用してキング翼を攻撃すべきである。通常の …e7-e5-e4 または …c6-c5 から始まる中央での何らかの動きとこれを絡めるかもしれない。

(この章続く)

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