2013年11月の記事一覧

[復刻版]実戦に役立つエンディング(217)

第4章 ルーク・エンディング

4.6 ルーク対小駒

4.6.1 ルーク対ビショップ

 この型の局面はこれくらいにして例外を取り上げよう。

 図217
デル・リオ、1831年

 正確な受けに対して白は何も進展を図ることができない。それは黒ビショップがg8-a2の筋に多くの動く余地がありいつでも白キングをg6からチェックで追い払うことができるからである。黒キングが「安全」な隅の方にいるので(図212の右側)ポーンを捨てても効果がない。想定手順は次のとおりである。

1.Rc7

 1.f7 なら 1…Kg7!、1.Rh7 なら 1…Bb3 2.f7 Ke7! 3.Kg6 Bc4 でどちらも白は進展がない。

1…Ba2

 又は 1…Bd5 でも良い。しかし 1…Bb3 と 1…Be6 はだめで 2.Kg6 で白が勝つ。黒はビショップをg8-a2の筋から動かしても負けてしまう。例えば 1…Bb5? は 2.f7! Kg7 3.Kf5 Ba4(3…Bd3+ なら 4.Ke6 Bg6 5.f8=Q+ Kxf8 6.Kf6 で白が勝つ)4.Rb7 Bd1(4…Bc6 なら 5.Ke6! Bxb7 6.Ke7 で白が勝つ)5.Ke6 Bh5 6.Ra7 Bg6 7.f8=Q+ Kxf8 8.Kf6 で白が勝つ。

2.Rc2 Bd5 3.Rc8+ Kf7 4.Rc7+ Kf8 5.Kf5 Ba2

 ビショップを追い払うこともできないしg6の白キングにチェックするのを妨げることもできない。だから引き分けは避けられない。もちろんfポーンが6段目まで進んでいなければ決して簡単ではないけれども白が勝つ。それでは次の例外に進もう。

(この節続く)

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開放試合の指し方(152)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

参考棋譜1(続き)

 白はまだわずかに優勢である。しかしペトロシアンはキング翼を安全に守る手段を見つけた。注意を要するのは 13…b6? 14.axb6 axb6? が 15.Bxf7+! Kxf7 16.Rxa8 で負けになることである。

13…Nc5 14.Nf5 Kh7!

 14…Bxf5? と取るのは白が g2-g4、h2-h4 そして g4-g5 突きでポーン暴風に着手してくるので悪手である。また有用な捌きの地点のe6も失われる。さらに 14…Nfxe4?(15.Nxe4? Bxf5 を期待)も 15.Nxh6+! gxh6 16.Nxe4 で黒キングが薄くなる。

15.Qf3

 16.Nxh6! gxh6 17.Qxf6 を狙っている。

15…Ng8! 16.b4 Ne6 17.Rb1?!

 17.b5! と突いて a5-a6xb7 と b5xc6 によりd5の地点を支配することに期待する方が良かった。

17…g6 18.Ne3 Bg7 19.Nc4 Nd4!

 これで黒の方がいくらか良くなった。

20.Qd3 Rd8 21.Qf1 Be6?!

 黒はcポーンを取れるが、大会の順位の関係で[訳注 勝っても優勝に届かないから]ペトロシアンは引き分けで満足である。

22.Ne3 引き分け

 黒は当然指し続けるところである。ペトロシアンが本気でなくてシュテインは幸運だった。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(216)

第4章 ルーク・エンディング

4.6 ルーク対小駒

4.6.1 ルーク対ビショップ

 例外的な局面を取り上げる前に勝ちのある面白い例をもう一つ分析しよう。

 図216
グレツキーとコルニッツ、1860年

 意外なことにポーンが深く進んでいるにもかかわらず白は技術的に大きな障害を抱えている。勝つ手段は一つだけではないがそのどれも簡単ではない。ここでは黒の選択の幅が最も狭い手順を選んだ。

1.Rg1

 勝つ手順の中で最も面白いのは疑いなく 1.Ra7 Bh5 2.Rb7! Bf3 3.Rh7! で黒を手詰まりに追い込む手段だろう。熱心な読者は自分で以降の変化を研究されたい。

1…Ba4!

 以降の分析を理解するためにはビショップがe2に行くことができない理由を知ることが重要である。1…Be2 の後 2.Rg8+ Kd7 3.Rg7+ Kd8 4.d7 Kc7 5.d8=Q+! Kxd8 6.Kd6 Kc8(6…Ke8 なら 7.Re7+)7.Rc7+ Kd8(7…Kb8 なら 8.Kc6 から 9.Kb6 で図213の白勝ちの局面になる)8.Rc2 Bd1(又は 8…Bd3)9.Rd2 で黒はまもなくビショップを失う。

 1…Bc2(1…Bf3 又は 1…Bh5 は 2.Ke6 で黒が負ける)なら 2.Rg8+ Kd7 3.Rg7+ Kd8 4.Rb7! で白が勝つ。白の狙いは 5.Ke6 で、4…Bd3(d1)5.d7! Ke7 6.Rb4! から 7.Rd4 で白が勝つ。1…Bb3 も 2.Rb1 Bc4(2…Bc2 又は 2…Ba4 は 3.Rb8+ Kd7 4.Rb7+ Kd8 5.Ke6 で白が勝つ)3.Rb8+ Kd7 4.Rb7+ Kd8 5.d7 Ke7 6.Rb4 から 7.Rd4 で白が勝つ(6…Be6 なら 7.d8=Q+)。

2.Rg4! Bb5

 この手も必然である。2…Bd1 なら 3.Rd4 から 4.d7 で白が勝つ。2…Bc6 なら 3.Rg8+ Kd7 4.Rg7+ Kd8 5.Ke6 で白が勝つ。2…Be8 なら 3.Rg8 Kd7 4.Rxe8 Kxe8 5.Ke6 で白が勝つ。2…Bb3 なら 3.Rb4 Ba2(3…Bd1 は 4.d7)4.Rb8+ Kd7 5.Rb7+ Kd8 6.d7 Ke7 7.Rb2 から 8.Rd2 で白が勝つ。

3.Kd5

 白は Kc6 で詰みの狙いを作り出せるようにビショップをe8-a4の筋から追い出さなければならない。重要な枡は全てルークによって押さえられているので黒はこれを妨げることができない。

3…Kd7

 3…Ba6、3…Bd3 又は 3…Bf1 ならば白は 4.Kc6 と指す。黒ビショップがe2に行けないことは黒の1手目の説明から分かっている。3…Kc8 なら白は本譜のように指すこともできるし、あるいは 4.Kc5 Bd7 5.Rg8+ Kb7 6.Rd8 Be6 7.Kd4 から 8.Ke5 でも勝てる。

4.Rg7+

 この手はグレツキーとコルニッツの挙げた手順よりも簡明である。彼らの手順は 4.Kc5 Bd3 5.Rg7+ Kd8 6.d7 Kc7 7.Re7! Bf5 8.d8=Q+ Kxd8 9.Kd6 Kc8 10.Rc7+ で勝ちになるというものである。しかしビショップをd3に行かせる必要はない。

4…Kd8 5.Rg3! Ba4

 ビショップは他に行き場所がない。5…Kd7 は 6.Kc5 Ba4(6…Bf1 又は 6…Ba6 なら 7.Rg7+ から 8.Kc6 で白が勝つ)7.Rg7+ Kd8 8.Rg4! Bd1 9.Rd4 から 10.d7 で白が勝つ。

6.Ra3

 6.Rg4(6.Kc5 は 6…Bc2)6…Bd1 7.Rd4 も可能である。この手順中 6…Bb5 なら 7.Kc5 である。

6…Bb5

 6…Bd1 なら 7.Kc6、6…Bc2 なら 7.Ke6 である。

7.Kc5 Bf1 8.Rg3!

これで白が勝つ。

 黒はもう 9.Kc6 の狙いに対して受けがない。8…Kd7 なら 9.Rg7+ Kd8 10.Kc6 で白が勝つ。複雑な勝ちの手順であった。

 これらの二つの例は白がキングを先に進ませずにポーンをずっと先まで進ませてしまうと勝つのが非常に難しくなることを示している。ポーンがそれほど進んでいなければルークで横からだけでなく縦からもチェックできるので白の勝ちが容易になる。

(この節続く)

2013年11月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(336)

「Chess」2013年11月号(3/6)

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シンクフィールド杯(続き)

 第3回戦はすぐにベンコー戦法またはサングラス・ギャンビットと呼ばれるようになった話題で持ち切りだった。ナカムラは試合会場にサングラスをかけて入ってきて、カールセンとの試合中もずっとかけていた。観戦者たちはベンコーが1959年の挑戦者決定大会でタリのいわゆる催眠にらみをはねつけるためにサングラスをかけたことになぞらえ始めた。

 私がナカムラにサングラスに注目を浴びることを予想していたかと質問すると、次のような答えが返ってきた。「そんなことはない。しかし残念ながらこのごろでは何でもないことが大げさになる。特にコメントを書けるインターネットの機能があるからだ。」彼の説明では友人の一人がスカイプでこの案を出してくれて、気分を変えるために変わったことをすることにしただけだった。ナカムラはサングラスをかけて、何としても初めてマグヌス・カールセンを負かすという決意をみなぎらせた。その試合は彼のキング翼インディアンになり 10…g5! のあと、カールセンが「泥試合」と呼んだ非常に不均衡で戦術乱れ飛ぶ試合になってとても面白かった。世界の第一人者は持ち前の正確さで非常に難解な局面を受けきり、規定手数までの最後の9手を追加時間だけで指したにもかかわらず引き分けに持ち込んだ。

 大会の折り返し点までナカムラは2½/3でカールセンに半点差をつけて首位に立ち、自分のファンと地元のメディアを喜ばせた(ナカムラはセントルイスに在住している)。そのためセントルイスKSDK放送局の楽しいインタビューをはじめ多くの注目を浴びた。

 ナカムラはアロニアン戦で指しすぎたようだ。しかし頑強な一面も見せつけ、非常に面白い試合で戦わずして負けるようなことはしなかった。

L.アロニアン – H.ナカムラ
第4回戦、キング翼インディアン防御

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.h3 O-O 6.Bg5 c5 7.d5 a6

 アベルバッハ戦法の珍しい戦型だが、たぶん非常に理にかなっているのだろう。

8.Bd3

 アロニアンは黒の …b5 突きを許した。自陣が堅固なので黒にクイーン翼を少し広くさせてもいいだろうという理屈である。

8…b5 9.Nf3

 9.cxb5?! axb5 10.Bxb5?! とポーン得するのは 10…Nxe4! という手筋がある。

9…Nbd7 10.O-O h6 11.Be3

 白はようやくキャッスリングが済んで、b5ポーン取りの狙いで黒に争点を解消させる。

11…bxc4 12.Bxc4 a5 13.a4

 黒が狭い陣形でクイーン翼の白枡がいくらか弱いので、白は布局から優勢になったように見える。それでも黒陣はしっかりしている。

13…Nb6 14.Bd3 Ne8 15.Re1 Nc7 16.Rc1 Na6 17.b3 Nb4 18.Bb1 Bb7

 この手は守勢に見えるけれども、黒は …e6 または …f5 で中央突破を図る気である。

19.Ne2 Rc8 20.h4!

 ついに白は広さに優る方面で攻撃を見据えたポーンの進攻を始めた。黒は …c4 突きでクイーン翼を開放するために戦力を好位置につけているけれども、自分のナイトがキング翼にいないことがすぐにひびいてくる。

20…c4

 20…h5 がコンピュータの選択である。その評価はたぶん無意味だろうけれども、白からの h4-h5 突きを防ぐのは確かに意味がある。実際 21.Ng5 Nd7!(この強手はナイトをf6に引き戻しキング翼を支える。機械は最初間違えて 21…Bb2 を推奨していたが、22.Nf4 Bxc1 23.Bxc1 で黒が詰まされる可能性が高い)22.Nf4 Nf6 となればねじり合いが続く。

21.h5!

 アロニアンはためらう必要はない。

21…cxb3

 21…c3? なら立派なパスポーンがc3に残るが、22.hxg6 fxg6 23.Nfd4 で白のナイトがe6にやって来て黒が完全に敗勢になる。21…g5 は 22.Ned4! で実戦と同じようなことになる。

22.Qxb3 g5 23.Ng3 N6xd5!

 ナカムラのこの判断は良かった。黒はどう指しても負けだろうが、実戦的に最も可能性のある手を見つけた。

24.exd5 Bxd5

25.Rxc8?

 これはひどい悪手だった。クイーンがまだ盤上に残っている場合駒は詰みに役立つのでポーンよりもずっと優る。実際 25.Qa3 なら黒はほどなく詰まされるはずである。

25…Bxb3! 26.Rxd8 Rxd8 27.Nf5 Bf8 28.Bb6 Rb8 29.Bc7 Rc8 30.Bxa5 Nc6 31.Bc3 Bxa4

 局面の決まりがついた。黒陣が非常に堅固で崩すのが難しいので、この時点までにアロニアンがしくじったことは明らかだった。白の作戦は適時に駒を返してポーンをいくつか得るようにするのが普通である。

32.Ba2 Rc7 33.Nh2 Ne5 34.Bxe5 dxe5 35.Ng4 e6

36.Ng3?!

 たぶん白は 36.Nfxh6+! Kg7 37.Nxf7 Kxf7 38.Nxe5+ Kg7 39.g4 というように捨て駒により駒を返した方が良かっただろう。白がポーン得で黒に弱点が多いので、技術的に白が勝つはずである。

36…Kg7 37.Nxe5 Ba3 38.Ne4 Rc2 39.Bb1 Rc1 40.Rxc1 Bxc1 41.Nd6 f5

 これで黒には弱点がe6とh6の二つしかなく、それらに寄りつくのは難しい。白が勝てるかどうかは何とも言えない。

42.Ndc4 Bf4 43.Nd3 Be8 44.Nxf4 gxf4

45.g3

 45.Ne5! なら 45…Bxh5 46.Nd3 f3 47.Ba2! が想定され実戦と似たような局面になるが、白はeポーンを取れるので十分勝てるだろう。

45…fxg3 46.f4 Bxh5 47.Kg2 Kf6 48.Kxg3 Be8 49.Kh4 Bb5 50.Ne5 Be8 51.Bc2 Ke7 52.Bd1 Kf6 53.Bf3

53…Ba4?

 これが敗着だった。黒はe6を守り Kh5 の進入を防ぐことのできる重要なe8-h5の斜筋からビショップをはずした。正着の 53…Kg7! 54.Bh5 Ba4 55.Kg3 Kf6 のあと白がどう進展を図るのか明らかでない。

54.Bc6! Bd1 55.Bd7 Be2 56.Ba4 Ke7 57.Bb3!

 ビショップがe6をにらむ最適の地点を見つけた。57…Bb5 は 58.Kh5 と入ってこられるので、黒はビショップをe8に戻すことができない。

57…Kd6 58.Kg3 Bh5! 59.Kf2 Bg4??

 59…Be8 60.Ke3 なら白はまだまだ大変だった。

60.Ke3 h5

 60…Bh5 ならもう少しねばれたが、61.Kd4 Be8 62.Nc4+ Ke7 63.Ke5 で長引くことはない。

61.Nf7+ 1-0

 最終戦の前の回に首位と2位の二人が対戦し、サングラスがまた登場した。カールセンをわずか半点差で追うナカムラは白で勝とうとしたが、堅い守りを崩すことができなかった。この試合でもっと激しくやっていけたと思うかとナカムラに聞いたが「とんでもない」と反発された。「ベルリン防御は優勢を勝ち取れると思えないような堅固な布局だ。だから実戦的に指すようにしただけだし、カールセンもとてもうまく守った。」

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

開放試合の指し方(151)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

参考棋譜1
白 L.シュテイン
黒 T.ペトロシアン
モスクワ、1971年

1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.d4 Nf6 4.Nc3 Nbd7 5.Bc4 Be7 6.O-O O-O 7.a4 c6 8.a5!?

 白は黒が …b7-b6 と突けばa列を素通しにするつもりである。

8…h6

 黒は Ng5 を防いでfポーンを気にする必要なく …Re8 と指せるようにした。代わりに 8…b6? または 8…b5? と突くと白は 9.axb6 Nxb6 10.Ba6! と応じ、黒のa7、c6それにe5のポーンが弱くなる。

9.Ba2

 9.Re1 または 9.Qe2 から 10.Rd1 で中央の列ににらみをきかせる方が自然である。

9…Re8 10.dxe5?! dxe5!

 10…Nxe5? は 11.Nd4! から f2-f4 突きで黒を追い払う狙いがあるので良くない。

11.Qe2 Bf8 12.Rd1 Qc7 13.Nh4!

(この章続く)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(215)

第4章 ルーク・エンディング

4.6 ルーク対小駒

4.6.1 ルーク対ビショップ

 図215 黒の手番

 ビショップをb8-h2の斜筋から追い払う。6…Bh2(又は 6…Bc7)と逃げれば 7.Kc5 と行けるし 6…Bb8 ならば 7.Rg7+ である。

6…Bd2

 6…Bc1(6…Bh6 は 7.Ke5)なら 7.Rg7+ Kd6 8.Rg2! で黒を手詰まりに追い込む。以降の変化は次のとおりである。
a)8…Bf4(8…Kd7 なら 9.Ke5)9.Ke4 Bc1 10.Ra2! Bg5(10…Kd7 なら 11.Ke5)11.Ra6+ Kd7 12.Ke5 で白が勝つ。
b)8…Ba3 9.Rg6+ Kd7 10.Rb6 Bf8(白の狙いは 11.Ke5 で、10…Kc7 ならば 11.Ra6 で白が勝つ)11.Rb7+ Kd6 12.Ke4(ここでも 12.Ra7 は 12…Bg7+! があるのでだめである)12…Be7 13.Rb6+ Kc7(13…Kd7 なら 14.Ke5 で白が勝つ)14.Ra6 で白が勝つ。

7.Rg2

 一見白が 7.Rg7+ Kd6 8.Rg6+ Kd7 9.d6 から 10.Kd5 を狙って勝てそうに見える。しかし実際はこれは 9…Kc6! 10.Ke5 Bb4! で勝ちを逃がしてしまう。白ルークは6段目から移動することができず白キングも6段目をまたぐことができない。参考になる引き分けの局面である。

7…Bf4

 7…Ba5(e1)は 8.Kc5、7…Bh6(c1)は 8.Ke5 で負けるので唯一の別手段は 7…Bb4 である。7…Bb4 8.Rb2! の後本譜と対称形の局面になる。例えば 8…Ba3(8…Ba5 又は 8…Be1 なら 9.Kc5、8…Be7 なら 9.Ke5、8…Bf8 9.Rb7+ は黒の6手目の変化の所で分析済み)は 9.Rb7+ Kd6 10.Rb6+ Kc7(10…Kd7 は 11.Ke5)11.Ra6 で、11…Bb2+ なら 12.Kc5、11…Bd6 なら 12.Ra7+ Kb6 13.Rd7 から Ke4-f5-e6 で白の勝ちとなる。

8.Rf2

 対称形の変化である。黒は 7…Bb4 8.Rb2 の変化と同じようにビショップの動きが不足している。

8…Bb8

 8…Bc1 なら 9.Ke5、8…Bh6 なら 9.Rf7+ である。8…Bc7 は 9.Rf7+ Kd6 10.Rf6+ Ke7(10…Kd7 なら 11.Kc5 で白が勝つ)11.Rg6 Bd6 12.Rg7+ である。8…Bg3 は 9.Rf7+ Kd6 10.Rf6+ Ke7(10…Kd7 なら 11.Kc5)11.Rg6 Bd6 12.Rg7+ Kf6 13.Rd7 で白が勝つ。

9.Rf7+ Kd6 10.Kc4

 10.Rh7 は例の 10…Ba7+! である。

10…Bc7 11.Rf6+ Kd7 12.Kc5 Be5 13.Rh6

後は白の容易な勝ちである。

 見たとおり勝ちの手段はどうしても全体として手数がかかり注意深い策略が必要である。

(この節続く)

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開放試合の指し方(150)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 この局面は 3…Nd7 4.Bc4 c6! 5.Nc3 Be7 6.O-O Ngf6 7.a4 O-O という手順から生じることもあるが、その手順では前述のように白が 6.dxe5 dxe5 7,Ng5! と有利に手を変えることができる。

 白の方が陣地が広く、通常は Nh4-f5 によりキング翼で攻撃できる可能性がある。しかし黒陣には弱点が何もない。だから白は広さの優位を維持しつつ、駒を捌いて黒に弱点を生じさせるようにすべきである。dxe5 と取るのは …dxe5 と応じられて黒にc5とb4を使えるようにさせることにより黒陣をくつろげさせるので避けるように努めるべきである。白が中央でポーンを交換してよいのはd列から侵入できる場合だけである。

 黒の戦略は言うは易く行なうは難しである。黒はまず …Qc7、…b7-b6 そして …Bb7 で展開を完了したい。それから …a7-a6 と …b6-b5 でクイーン翼で盛り上がりたい。これで捌く余地が広がり(ナイトがb6に行ける)、さらに …b5-b4 で進攻する狙いができる。キング翼では活動的に動けないので、そちらでの目標は白の攻撃を押さえるだけである。もし白が中央で dxe5 と交換すれば黒はdポーンで取り返す用意をしておかなければならない。駒で取り返さなければならないとすると、白はd4とf4の地点を利用することができ黒のd6のポーンは出遅れで弱点のままになる。黒は …d6-d5 または …exd4 を狙うことにより dxe5 を誘うようにするのが良い。もっともこれらの狙いは必ずしも実行に移す必要はない。駒の配置換えの一般的な手法は …Re8、…Nf8-e6 から …Bf8 である。白が実際にe5で交換してくれば、黒は …b7-b6 と突かずに済みビショップをe6に展開して白のキング翼ビショップと対峙できるかもしれない。

 黒側を持って指す選手には忍耐が必要である。以下はそのやり方の一例である。

(この章続く)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(214)

第4章 ルーク・エンディング

4.6 ルーク対小駒

4.6.1 ルーク対ビショップ

 しかしルーク+ポーン対単独ビショップの局面にも注意を払う価値がある。もちろんこのような局面は通常は白の勝ちである。だがビショップ側が引き分けに持ち込めることのできる例外的な局面も幾つかある。まず一般的な場合を考えてみよう。

 図214
フィリドール、1777年

 白が勝つための普通の正しい方策はポーンを動かす前に自分のキングをできるだけ先まで前進させることである。しかしここでは白は自分のポーンをあまりにも早く突き過ぎてしまっている。従って白ははっきりした勝ちの局面になる前に大きな技術的な困難を克服しなければならない。

1.Ra1

 大切なのは個々の手でなく勝つための全体的な構想である。白は黒キングを盤端に追いやることができるように自分のキングをc5又はe5の地点につけることに成功した場合にだけ勝つことができる。これを成し遂げるためには白はビショップを重要な地点から追わなければならないがこれが生易しいことではない。

1…Bg3

 黒にはあまり選択の余地がない。1…Bh2? は 2.Ra7+ Kd6 3.Rg7 で負けるし 1…Bd6? も 2.Ra7+ Bc7 3.Kf5 の後 4.Rxc7 から 5.Ke6 で負ける。1…Bb6 は 2.Rf1 Bc7 3.Rf7+ Kd6 4.Rf6+ Kd7 5.Kd4 Bh2! 6.Rg6 Bf4 7.Rg4、この手順中 2…Ba5 なら 3.Rf7+ Kd6 4.Rf6+ Kd7 5.Kd4 Bd2 6.Rf2 でどちらも本譜の後の局面と同じになる。同様に 1…Bb8 も 2.Rg1 で黒は 2…Bc7 で本譜の手順に戻るより仕方がない。

2.Rg1

 この局面には面白い歴史がある。当初フィリドールは引き分けであると考えた。次にグレツキー=コルニッツは 2.Ra7+ で白が勝つことを示した。最後にベルガーは本譜の手が勝ちへの最短手順であることを指摘した。

2…Bc7

 この手は絶対手である。2…Bh4 は 3.Ke5 で白が勝つ。2…Bf2 は 3.Rg7+ Kd6 4.Rg6+ Kd7 5.Ke5 で白が勝つ。2…Bh2 は 3.Rg7+ Kd6 4.Rg2 で白が勝つ。もちろん 2…Bd6 は 3.Rg7+ でだめである。2…Bb8 ならば白には面白い勝ち手順がある。それは 3.Rg7+ Kd6 4.Rg6+(しかし 4.Kd4 はだめで 4…Ba7+! で 5.Rxa7 はステイルメイトになってしまう)4…Kd7 5.Kf5! で黒を手詰まりに陥らせるものである。白の狙いは 6.Rg7+ Kd6 7.Rb7 Bc7 8.Rxc7 である。黒が 5…Bh2 と応じれば 6.Rg7+ Kd6 7.Ke4! で黒をさらに手詰まりに追い込む。

3.Rg7+ Kd6 4.Rg6+ Kd7 5.Kd4

 ここが白キングの最良の地点である。ここからはc5とe5の二つの地点が望める。5.Kf5 は 5…Ba5 と受けられる。

5…Bf4

 この手も絶対手である。白の狙いは 6.Kc5 だった。黒の 5…Ba5、5…Bh2 又は 5…Bd8 には 6.Kc5 がそのまま白の応手となる。5…Bb8 ならば 6.Rg7+ Kd6 7.Kc4 Bc7 8.Rg6+ Kd7 9.Kc5 で白が勝つ。

6.Rg4!

(この節続く)

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布局の探究(77)

「Chess Life」1993年9月号(2/3)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

白は中央に向かって取るべきか(続き)

B.cxd5 対 exd5

 これは閉鎖試合で白の最も重要な「選択」問題になっている。べノニまたはキング翼インディアンシステムで、黒が …c5 または …e5 突きによって白のd4ポーンに挑み、白がポーンをd5に突いて、黒がまた …e6 または …c6 突きで白のdポーンと対決するときに起こる。おおよその取り返しの原則は次のとおりである。

 ● 1…e5 2.d5 c6 から 3…cxd5 という手順では白は中央に向かって 4.cxd5 と取り返すのが普通である。

 ● 1…c5 2.d5 e6 から 3…exd5 という手順では 4.cxd5 も 4.exd5 も通常は同価値である。

(1)最初の状況はキング翼インディアン防御ゼーミッシュ戦法(E89)の次の重要な戦型でよく説明できる。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.f3 O-O 6.Be3 e5 7.d5 c6 8.Nge2 cxd5

 図3

 白には取り返し方が三通りある。

(a)9.Nxd5

 この手は「指せる」けれども、9…Nxd5 10.cxd5 Bh6!(11.Bxh6 Qh4+)で二組の小駒が交換になって白陣の広さの優位の重要性が減少するので指されない。一方1961/62年ヘースティングズでのK.ロバーチュ対L.バーデン戦では 10.Qxd5?! Nc6 11.Qd2 f5 12.Nc3 Nd4 で既に主導権が黒に渡った。

(b)9.exd5?!

 この手は劣っている。その理由は黒にだけeポーンが残って、それが既に4段目の好所に位置し、あとで …f5 のあとさらにe4に進みそれにより黒のキング翼ビショップのためにa1-h8の斜筋も通る可能性があるからである。

(c)9.cxd5

 これが主眼の取り返し方で最善手である。白は中央で広さの優位を増し、素通しc列で侵入の可能性ができ、黒のキング翼ビショップを閉じ込め、自陣には何の欠陥もない。

(2)白の取り返し方により、次の手順はべノニ防御にもなればキング翼インディアン防御にもなる。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.f4 O-O 6.Be2 c5 7.d5 e6 8.Nf3 exd5

 図4

 三通りの手が考えられる。

(a)9.e5?!

 これは野心的すぎて、9…Ne4! 10.cxd5 Nxc3 11.bxc3 Nd7 12.e6 fxe6 13.dxe6 Nb6 で黒が優勢になる。

(b)9.cxd5

 これが野心的な主眼の取り返し方で、べノニに移行する(べノニの手順は 1.d4 Nf6 2.c4 c5 3.d5 e6 4.Nc3 exd5 5.cxd5 d6 6.e4 g6 7.f4 Bg7 8.Nf3 O-O 9.Be2)。白は威容を誇る中原を築いた。第一級のdポーンは黒陣に食い込み、盤上で唯一のeポーンは4段目に進出し、第二級の中央のfポーンも4段目で既に e5 突きを支援する位置にいる。危険性はもちろん中央が破裂して瓦礫と化すかもしれないことである。代表的な手順は 9…Bg4 10.h3 Bxf3 11.Bxf3 Re8 12.O-O a6 13.a4 Nbd7 14.Qc2 Qc7 15.a5 c4 16.Be3 である。1991年ポートランドでのM.フラネット対R.グトマン戦ではここで黒が 16…Nc5?! と指したため 17.e5! と突かれて白がはっきり優勢になった。GMフターチュニクと国内マスターのフラネットは代わりに 16…Rac8 が正着だとしている。

(c)9.exd5

 この手は自発的にeポーンを盤上から「移動させる」ことにより白の中原への危険をすべて取り除いている。白は主導権を得るための基本構成要素として、d5にポーンを置くことにより生じる広さの優位に期待している。最近の実戦によれば黒は白に中央と広さの優位を活用させないために 9…Nh5! 10.O-O Bxc3! 11.bxc3 f5 と過激に応じる必要があることが示されている。

 参考になるのは「良い」落ち着いた指し方は互角にならないということである。例えば 9…Re8 は 10.O-O Ng4 11.h3 Ne3 12.Bxe3 Rxe3 13.Qd2 Re8 14.Bd3 Nd7 15.Rae1 Rxe1 16.Rxe1 Nf8 17.g4 で白が楽に優勢になる。白は駒がよく働き中央とクイーン翼で陣地が広い。黒はこの戦略的な不利の代償が何もない。

(2)「中立的な」取り返しの exd5 における白の展望は、1992年ベオグラードでのB.スパスキー対R.フィッシャー番勝負第26局によく現れている。その試合は次のように始まった。

1.d4 Nf6 2.c4 c5 3.d5 d6 4.Nc3 g6 5.e4 Bg7 6.Bd3 O-O 7.Nf3 Bg4 8.h3 Bxf3 9.Qxf3 Nbd7 10.Qd1 e6 11.O-O exd5

 図5

 中央重視の主眼の取り返しはもちろん 12.cxd5 で、べノニ型の対決になり白は中央の優位が生きることに期待して e5 突きの仕掛けを目指さなければならない。黒がこの進攻を防ぐのに良い態勢なので(dポーン、クイーン翼ナイト、キング翼ビショップ、キング翼ルーク、それにクイーンがこのために動員できる)、成功するためには多くの努力といくらかの危険をおかすことが必要で、結果は保証されるとはとても言えない。だから経験豊富なGMははるかに控え目なやり方を選ぶ。

12.exd5

 白はd5ポーンから由来する広さの優位と双ビショップの潜在的な威力に満足する。おまけに黒の反撃の可能性は無視できるほどである。

12…Ne8 13.Bd2! Ne5 14.Be2 f5 15.f4 Nf7 16.g4! Nh6 17.Kg2 Nc7 18.g5 Nf7 19.Rb1 Re8 20.Bd3 Rb8 21.h4 a6 22.Qc2 b5 23.b3 Rb7?!

 ここともっとあとでも黒は 23…b4 でクイーン翼を閉鎖すべきだった。それなら白のキング翼での主導権への対処を心配するだけでよかった。

24.Rbe1 Rxe1 25.Rxe1 Qb8 26.Bc1 Qd8 27.Ne2 bxc4?

 これが敗着になった。黒は自発的にクイーン翼を開放して、キングと双ビショップを含む白駒がそちらに侵入できるようにした。黒は 27…b4 と突いて、キング翼の防御に有効な作戦を考えるべきだった。それは簡単というわけではない。23…Rb7?!、25…Qb8 それに 26…Qd8 という黒の「水泳」にそれが見てとれる。

28.bxc4! Ne8 29.h5 Re7 30.h6 Bh8 31.Bd2 Rb7 32.Rb1 Qb8 33.Ng3 Rxb1 34.Qxb1 Qxb1 35.Bxb1 Bb2 36.Kf3

 白キングが黒のクイーン翼に移動する用意ができて、GMフィッシャーの前途は風前の灯である。そしてGMスパスキーが58手で勝った。この戦略の名局の詳細な解説は、本誌の1993年1月号の81ページに載っている。

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開放試合の指し方(149)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 5…Be7 の局面

6.O-O

 白には戦術的手段が二つあるが全然成立しない。6.Ng5?! は 16…O-O 17.Bxf7+ Rxf7 18.Ne6!(これが狙い筋である。代わりに 8.Nxf7? は 8…Kxf7 と取られて、中盤では2駒の方がルークとポーンより価値があるので黒が有利である)8…Qe8 9.Nxc7 Qd8 10.Nxa8 で白の戦力得になるが、10…b5! と突かれて 11…Bb7 で捕らわれのナイトを取る手と 11…b4 でeポーンを取る手を狙われる。11.Nxb5 と取ると 11…Qa5+ 12.Nc3 Nxe4! 13.O-O Nxc3 14.bxc3 Bb7 でナイトを取られる。黒は駒の働きで攻撃の可能性が保証され、これが戦力損の代償となっている。6.dxe5 dxe5 を指しておけば少しは違うが評価の大勢は動かない。

 二つ目の 6.Bxf7+? は 7…Kxf7 8.Ng5+ Kg8(最善手)9.Ne6 Qe8 10.Nxc7 Qg6!(今度は黒の反撃がキング翼に来る)10.Nxa8 Qxg2 11.Rf1 exd4! 12.Qxd4 Ne5! となる。黒は戦力損になっているけれども、…Nf3+ と …Bh3 の狙いで攻め勝つ。

 この手順中 11…exd4 は役に立つ手だったので、白は Bxf7+ の前に 6.dxe5 と取ることによりそれを防いでおくことが考えられる。確かにこれは黒にとってもっと面倒である。6…dxe5 7.Bxf7+!? Kxf7 8.Ng5+ Kg8 9.Ne6 Qe8 10.Nxc7 Qg6 11.Nxa8 Qxg2 12.Rf1 となったとき黒は前の手順のように 12…Ne5 と指すことができない。12…Nc5 13.Qe2 Bh3! と指すしかなく、交換損を取り戻しほぼ互角の勝負になる。これが不十分なら黒は危険だが 8…Kg6!? 9.f4!(9.Ne6? は 9…Qg8! 10.Nxc7 Rb8 で受かる)9…exf4 10.Ne6 Qg8! 11.Nxc7 Rb8 12.Bxf4 と指すことができる。白の2ポーン得はほとんどビショップと同等で、黒の場違いなキングを攻撃する多くの機会がある。この面白い局面がマスターの実戦で試されていないのは残念である。

6…O-O 7.a4

 白は黒が 7…c6 と突くつもりであることに気づき、…b7-b5 突きの狙いに備えた。7.Qe2 c6 8.a4 でも十分指せる。

7…c6

 これがフィリドール防御の主手順の重要な局面である。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(213)

第4章 ルーク・エンディング

4.6 ルーク対小駒

4.6.1 ルーク対ビショップ

 ビショップが自由に動ける場合図212のような局面に持って行くのはいつも簡単とは限らない。図213は白が目指さなければならない典型的な配置である。

 図213
クリングとホルビッツ、1851年

 この局面ではビショップがどこにいても白が勝つ。しかし黒キングがf列を越えて「安全」な隅に逃げ込むのを許してはならない。

1…Bg1

 白ルークによる詰みとビショップ当たりの二重攻撃を避けるにはこの手しかない。例えば 1…Bb2 は 2.Rb7 Be5 3.Re7 で白が勝つ。

2.Rf1

 ビショップを野外に追い出す。しかし 2.Rd7 や 2.Rc7 は 2…Kf8! で黒キングに逃げ出されるのでだめである。

2…Bh2 3.Rf2 Bg3

 3…Bg1 なら 4.Rg2 で本譜と同じような進行になる。

4.Rg2!

 これでビショップが取れる。4…Bf4(又は 4…Bh4)なら 5.Kf5+(5.Kh5+)、4…Bc7(4…Bb8)なら 5.Rc2、4…Be5 なら 5.Re2 でいずれも白が勝つ。

4…Bd6 5.Rd2 Be7

 5…Bc7 なら 6.Rd7 Bb6(又は 6…Ba5)7.Rb7(Ra7)で白が勝つ。

6.Ra2

これで白が勝つ。

(この節続く)

2013年11月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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開放試合の指し方(148)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 3…Nf6 の局面

4.Nc3

 これが最もよく指される手である。もっとも白は 4.dxe5 Nxe4 5.Qd5!(5.Bc4 は 5…c6! で黒が良い)5…Nc5 6.Bg5! Be7 7.exd6 Qxd6 8.Nc3! でも素早い展開のために少し優勢である。フィリドール防御のほとんどの局面と対照的に、中央のポーンがすべて交換され二つの素通し列ができている。

4…Nbd7

 黒は3手目のときのようにまだ 4…exd4 と取ることもできる。

5.Bc4

 これは 6.Ng5 を狙う良い展開の手である。

5…Be7

 黒は唯一可能な地点にビショップを展開し、キャッスリングの用意をした。

(この章続く)

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中国がつく尖閣「棚上げ」の嘘

産経新聞電子版2013年11月13日付け
中国がつく尖閣「棚上げ」の嘘

2013年11月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(212)

第4章 ルーク・エンディング

4.6 ルーク対小駒

 ルーク対ビショップ又はナイトのエンディングは通常は引き分けである。しかし駒が不利な位置にいるためにルーク側が勝てる局面もある。これは主に劣勢側のキングが盤端にいる場合に起きる。

4.6.1 ルーク対ビショップ

 前述したように敵キングが盤端に追い込まれている場合にだけルーク側が勝ちを期待することができる。図212は二つの基本的な例である。

 図212

 右側の局面は駒が最大限に働いているにもかかわらず白が勝てない。要点は 1…Bg8 2.Re8 がステイルメイトになってしまうことで、2.Rb5 Be6 3.Rb8+ Bg8 としても何も進展が図れない。

 しかし左側の局面は白がすぐに勝てる。1…Bf5 2.Rd8+ Bc8 3.Re8 で次に詰みになる。教訓は明らかである。ビショップ側はキングが盤端に追い詰められる事態になった場合ビショップの利いていない隅にキングを置くように努めるべきである。

(この節続く)

2013年11月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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ポルガーの定跡指南(105)

「Chess Life」2005年10月号(1/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

対メラン攻撃法(8.Be2)

メラン戦法(D47)に対する 8.Be2 の戦型

 近年は白の初手の 1.d4 に対して黒のスラブ防御とそのメラン戦法が最もはやっている。多くのグランドマスターがこれを主力戦法として採用している。チェスクラブでも非常によく指されている。とても理にかなった戦法なので白は本当に有望な手順を見つけるのに苦労している。8.Be2 の戦型は20年以上に渡って私の好みになってきた。しかしもちろん正しい防御で黒が互角にできることは分かっている。だが黒がよく知らなければはまってしまう落とし穴が多い。

白の基本的な作戦は何か

 もっと活動的なd3の代わりにe2へビショップを引くことにより、白はd列を素通しにしたままにしようとし、黒が …c5xd4 と取った場合クイーンでd4のポーンを取り返すことができるようにする。白の主要な作戦はe3のポーンをe4に突くことで、もっとも有利な状況ではe5に(そしてさらに)突くこともよくある。

黒の基本的な作戦は何か

 黒がやらなければならない最も重要なことはc8の白枡ビショップを活動させることである。黒はこの作戦をやり遂げるために …c6-c5 とポーンを突く準備をする必要がある。

それで評決はどうなっているか

 これは白にとって意表を突くによい武器である。黒としては色々な落とし穴を避けて安全な戦型を選ぶ必要がある。

 メラン戦法の 8.Be2 戦型の出だしは次の手順で始まる。

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 e6 4.e3 Nf6 5.Nf3 Nbd7 6.Bd3 dxc4 7.Bxc4 b5 8.Be2

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2013年11月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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開放試合の指し方(147)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 3…exd4 の局面

 クイーンを序盤早々に出すべきでないという原則にもかかわらず、4.Qxd4! が最善手だろう。白は「誤り」につけ込もうとする黒の自然な応手に対する用意ができている。4…Nc6 5.Bb5! Bd7 6.Bxc6 Bxc6 で白クイーンは安泰である。続いて 7.Bg5! Nf6 8.Nc3 Be7 9.O-O-O O-O 10.Rhe1 で白は迅速に展開を完了し、黒が残りの駒を動員する前に e4-e5 突きで中央から開戦する作戦である。

 ビショップをナイトと交換したくない選手は 4.Qxd4 よりも 4.Nxd4 を選ぶかもしれない。確かに 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 Be7 6.Bf4!(O-O-O の予定)6…O-O 7.Qd2 Nc6 8.O-O-O となれば、白にキング翼でほとんど危険なしに有望な攻撃の可能性ができる。白は g2-g4、h2-h4、g4-g5 そして h4-h5 と突いていって黒のキング翼をポーンの暴風で襲うかもしれない。黒のキング翼ナイトを追い払ったあと、g5-g6 や h5-h6 で黒キングを露出させることができるかもしれない。

 しかし最近この戦型(3…exd4 4.Nxd4)が 4…g6! の構想で復活してきた。黒のキング翼ビショップはe7でなくg7から白の中央により大きな圧力をかけ、e7にビショップがいないのでルークがe8でより長く利いている。4…g6 5.Nc3 Bg7 6.Bf4 Nf6 7.Qd2 O-O 8.O-O-O Re8 のあと、白は例えば 9.f3 に手をかけなければならない。そして 9…Nc6!(または 9…Nbd7)ならほとんど互角であり、9…a6!? なら …b7-b5 を含みに黒の方からポーンの暴風を意図することになる。

 それでは主手順の 3…Nf6 に戻ろう。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(211)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 図211 黒の手番
タイマノフ対ラルセン、1970年

6…Ke5??

 白キングは連続チェックを避けるためには後退しなければならないことは明らかである。黒の論理的な手順はルークでポーンの前進を防ぐ前に白キングをできるだけ下がらせることである。6…Rh8+ 7.Kg3 の後 7…Rg8 は 8.Ra5! で白が勝つ。黒が引き分けるためには 7…Ke5! で 8…Kf6 を狙わなければならない。分析をさらに進めると次のようになる。8.Ra6(8.g5 なら 8…Kf5!)この手は黒キングを遮断するが白キングも前進できないので白は進展が図れない。黒は単に 8…Rh1(8…Rg8? は 9.Kh4 で白が勝つ)で手待ちをして簡単に引き分けになる。

 白の8手目で他に考えられる手は 8.Rf3 である。これに対して黒の最も簡明な応手は 8…Rg8 8…Ke6 9.g5 Ke7 10.Kg4 Rf8! でも良い。9.Rf4 Ke6 10.Kh4 Ke5! 11.Rf5+ Ke6 12.Kh5 Rh8+ である。この手順中 9.Rf5+ なら 9…Ke6 で良く知られた引き分けの局面になる。

 本筋の受けの他に黒は 6…Kf4! 7.Ra4+ Kf3! と指すこともできた。これなら少なくともラルセンの当初の構想が正当化されただろう。8.g5?? は一手詰みなので白は進展を図ることができない。8.Kh5
8…Rh8+ 9.Kg6 Rg8+ 10.Kf5 Rf8+ 11.Ke6 Rg8! で明らかに引き分けである。

7.Ra6!

 ラルセンは黒キングを遮断し白キングの前進を可能にするこの手の強さを正しく評価し損ねていたのかもしれない。ここで黒の負けが確定した。

7…Kf4

 7…Rh8+ は 8.Kg5 Rg8+ 9.Kh5 Rh8+ 10.Rh6 から 11.g5 で白が勝つ。

8.Rf6+ Ke5 9.g5 1-0

 9…Rh8+ としても 10.Kg4 から 11.Rf2 で白のキングとポーンが前進できる。このあり得ない敗北は我々すべてに対する警鐘である。

 この例でルーク+ポーンのエンディングを終える。この型のエンディングにはかなりの紙数を費やした。しかしそれでも多くの有益で興味深い資料を省略しなければならなかった。実戦で頻繁に現れるそのようなエンディングの重要性を強調するのにやぶさかではない。熱心な読者は専門書でそれらを研究されたい。

(この節終わり)

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開放試合の指し方(146)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 3…f5 の局面

 4.Bc4! は黒キングの周辺に通じるa2-g8の斜筋の弱体化につけ込み、5.Ng5 と 5.dxe5 を狙っている。4…fxe4 には 5.Nxe5! と取って、黒はこのナイトを取ることができない。なぜなら 5…dxe5 6.Qh5+ Kd7 7.Qf5+! Kc6 8.Qxe5 で黒キングが奇妙な位置に追いやられるからである。しかし 5…d5 6.Qh5+ g6 7.Nxg6! Nf6! でも救われない。8.Qe5+ Be7 9.Bb5+!(9.Nxh8 dxc4 より簡明)9…c6 10.Nxe7! Qxe7 11.Qxe7+ Kxe7 12.Be2 で白がポーン得を保つ。

 4.dxe5! fxe4 5.Ng5 d5 6.e6! も一本道で、7.Nf7 を狙っている。そして 6…Nh6 7.Nc3 c6 8.Ngxe4!(さもないと黒が危機を脱する)8…dxe4(8…Bxe6! 9.Qh5+ Kd7 の方が少し良い)9.Qh5+ g6 10.Qe5 Rg8 11.Bg5! で白が勝つはずである。11…Qd6? は 12.Rd1! Qxe6(12…Qxe5 13.Rd8#)13.Bc4! できれいに詰まされる。

 黒は 3…exd4 でそのような直接的な狙いを避ける。そのあとは …Nf6、…Be7 または …Bg7、…O-O そして …Nc6 で攻撃的ではなくても経済的に展開することを意図している。しかし白は広さの優位を活用して駒を非常に当を得た地点に配置することができる。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(210)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 最後に図210の有名な例を取り上げておかなければならない。この局面は1970年パルマ・デ・マリョルカ島で開催されたインターゾーナル大会のタイマノフ対ラルセン戦に現れた。一流のグランドマスターでも基本的なエンディングに習熟しているわけではないという良い例証である。

 図210 黒の手番
タイマノフ対ラルセン、1970年

 図167と図170から黒が引き分けるのは造作もないということが分かる。白に勝つ可能性があるためには黒キングがポーンから少なくとも3列以上離れていなければならない。

 このような局面での黒の通常の方針はルークでチェックして白キングを押し戻すことである。もし白キングが前進してくればルークがポーンの前に立ちはだかってその前進を防ぐようにする。ポーンがまだ3段目にいるので次のように引き分けは常に容易である。1…Rg8+ 2.Kf5 Rf8+ 3.Kg6 Rg8+ 4.Kf7 Rg4 この手順中 2.Kf6 ならば 2…Kd4! 3.Ra3 Ke4 4.Rb3 Rg4!

 これが論理的な進行だった。しかし黒は駒の配置が良いのでポーンを4段目に進ませても負けることはない。

 実戦はどのように進んだかを見てみよう。

1…Kd4

 この手は間違いではないが最も正確な手は既に見たように 1…Rg8+ だった。本譜の手は白にポーンを1枡進ませてしまう。

2.Ra3 Ke4

 ここでは 2…Rg8+ は意味が無くなっている。3.Kf7 Rg5 4.Kf6 Rg8 の後白は 5.g4! と指すことができる(5…Rxg4? 6.Ra4+)。2…Ke5 は 3.Ra5+ Ke6(e4)4.Kg7 となりポーンがg5まで進めるので白が勝つ。

3.g4

 3.Kg7 は無駄手である。3…Rh3 4.Kf6 Rh6+ 5.Kg5 Rh8 と応じられ 6.Ra5 は 6…Kf3 で効果的に応えられる。

3…Rg8+

 この手は仕方がない。白のポーンが5段目に到達したら黒が負ける。

4.Kh5 Rh8+ 5.Kg5 Rg8+ 6.Kh4

(この節続く)

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開放試合の指し方(145)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 3…Nd7 4.Bc4 c6 5.Nc3 Be7 6.dxe5 dxe5 7.Ng5

 この手の着意は 7…Bxg5 に 8.Qh5! で詰みの狙いで駒を取り返すことである。8…g6 9.Qxg5 も 8…Qf6 9.Bxg5 Qg6 10.Qh4! も互角の形勢にならない。白の活動的な駒、特に双ビショップが黒の展開の悪い戦力を圧倒する。

 もし黒が 7.Ng5! に 7…Nh6 と応じれば、白ナイトは 8.Ne6! で再び黒を驚かせる。この変化は複雑だが、8…fxe6 9.Bxh6 Nb6!(9…gxh6 10.Qh5+ Kf8 11.Bxe6 Qe8 12.Qxh6#)10.Qh5+ Kf8 11.Bb3 gxh6 12.Rd1 となれば白の攻撃はあまりに強力である。「ルーク浮揚」の Rd3-f3 で武器が増強される。

 黒は 6.dxe5 dxe5 7.Ng5! では困難に陥るので、3…Nd7 でなく 3…Nf6 の手段により主手順に持って行くのが普通である。

 黒には3手目で 3…Nd7 のほかにも 3…f5? と 3…exd4 という根本的に異なった道がある。

 フィリドール自身は黒が 3…f5 と突けるようにするために 2…d6 を推奨していたようである。ポール・モーフィーは 3.Bc4 に対しても 3.d4 に対しても 3…f5 突きを好んでいた。それでも 3…f5 は絶対無理筋である。四通りの理にかなった応手(4.Bc4、4.Nc3、4.dxe5 それに 4.exf5)のどれも明らかに白が良くなる。最も確実な二つを見ていくことにする。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(209)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 それではもっとポーンの多い局面を見てみよう。次の局面は有名な1924年のカパブランカ対タルタコーワ戦に現れたものである。

 図209 白の手番
カパブランカ対タルタコーワ、1924年

 非常に興味深い局面である。一見しただけでは判断が難しい。白には二つの大きな有利な点がある。それは黒キングが最下段に遮断されていることと白のgポーンが強力な保護パスポーンになっていることである。これに対して黒は白のクイーン翼の弱いポーン群を次々と落とそうというところである。問題はどちらの優位の方が重要なのかということである。

 ルーク・エンディングにおける基本的な原則はクイーン・エンディングの場合よりは少し程度が落ちるができるだけ早くパスポーンを作ることである。一方がかなりの量の戦力を犠牲にして強力なパスポーンを作り引き分けに持ち込むか勝利を得てしまう何百ものエンディングの例がある。図209はそのようなエンディングのまたとない例である。

 しかしクイーン・エンディングではクイーンだけの助けでパスポーンを前進させることができるがルーク・エンディングでは通常はルークの他にキングの助けも必要である。実際キングとルークに支えられて7段目まで進み敵キングを最下段に追い詰めたパスポーンは非常に強力な武器となりそれだけで勝ちを収めるのに十分であることがよくある。

 この例では白ルークは既に7段目にいるがキングの助けも必要である。上の論理を理解することにより読者はカパブランカの素晴らしい勝利への構想を理解することができるであろう。

1.Kg3!

 この攻防を兼ねた手が勝利への唯一の手段である。黒ルークにより自分のキングが遮断されることは絶対避けなければならない。例えば当然そうな 1.Ke2 Rxc3 2.Rh6 は黒のfポーンを取ることはできるが 2…Rc4 3.Rf6+ Kg7 4.Rxf5(4.Ke3 なら 4…c5)4…Rxd4 で黒に絶好の反撃の機会を与えてしまう。

1…Rxc3+ 2.Kh4 Rf3

 白の主要な狙いは 3.g6 から 4.Kg5 だった。本譜でまたポーンが落ちても白はそのまま実行する。

 2…c5 なら 3.g6 cxd4 4.Kg5 d3 5.Rd7 Rc5 6.Kh6 で白が勝つ。

 2…Rc1 なら 3.Kh5 で黒はルークを交換するわけにはいかないから 3…Rf1 4.Kg6 Rxf4 5.Kf6 と指さなければいけないが本譜より改善されてはいない。

 上の二つを合わせた 2…Rc1 3.Kh5 c5 は白がすぐに 4.g6 と指せないことが根拠になっているが 4.Rd7 であまり黒の助けになっていない。

3.g6!

 白は 3.Rxc7 などと余計なことに振り向きもせずに一目散に自分の目標に向かって突き進む。

3…Rxf4+ 4.Kg5 Re4

 ここで黒が 4…Rg4+ と指していたらこのようなエンディングにおける別の重要な着想が見られただろう。それはポーンを取らずに(5.Kxf5? Rxd4)このポーンを背後からのチェックから身を隠すために利用して 5.Kf6! ですぐに勝ちの局面にすることである。4…Rxd4 なら 5.Kf6 Ke8 6.Rxc7 でgポーンの代わりに黒ルークを取る前にもっとポーンを召し上げてしまう。

5.Kf6

 白はこれで最初に描いた理想的な態勢に達した。黒キングは詰みの包囲網に入っていて最悪を避けるためにはこれまでに得たポーンよりももっと多くのポーンを差し出さなければならない。エンディングの戦略の不滅の作品である。

5…Kg8 6.Rg7+ Kh8 7.Rxc7 Re8 8.Kxf5

 ここで初めてこのポーンが取られた。黒は陣形的に敗勢で後は単なる技術的な問題である。

8…Re4

 8…a6 なら 9.Rb7 b5 10.axb5 axb5 11.Rxb5 Rd8 12.Ke6 で白が勝つ。白はこの手順中 9.Ra7 と指すこともでき 9…b5 10.a5 で勝てる。

9.Kf6 Rf4+ 10.Ke5 Rg4 11.g7+! Kg8

 黒は明らかにルークを交換するわけにはいかない。

12.Rxa7 Rg1

 黒はdポーンを助けることはできない。12…Rg5+ なら 13.Kf6 で 14.Ra8+ から 15.Rh8# で詰みの狙いがあるので白がすぐ勝ってしまう。本譜で2ポーンを捨てた代わりに白は4ポーンを取り返すことになる。

13.Kxd5 Rc1 14.Kd6

 後は 14…Rc2 15.d5 Rc1 16.Rc7 Ra1 17.Kc6 Rxa4 18.d6 と進んでタルタコーワが投了した。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

「ヒカルのチェス」(335)

「Chess」2013年11月号(2/6)

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シンクフィールド杯(続き)

H.ナカムラ – G.カームスキー
第2回戦、シチリア防御カン戦法

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 a6 5.Nc3 b5 6.Bd3 Bb7 7.O-O Nc6 8.Nxc6 Bxc6 9.Re1 Qb8 10.a4 b4 11.Nd5 Bd6 12.Qh5

12…Ne7

 ここで初めて定跡からはずれた。2003年マラガでのティビアコフ対ペレス・カンデラリオ戦では黒が 12…Bxd5 13.exd5 Nf6 14.Qg5 Kf8 と指したが、白が優勢を保持した。

13.Nxe7 Bxe7 14.b3 a5

 これでカームスキーはキングが中央にいることを強いられることになる。14…O-O は危険そうだが、黒の勝負手かもしれない。例えば 15.Bb2 f6 16.Re3 g6 なら形勢不明である。

15.Bb2 Bf6

 キャッスリングするには既に手遅れである。15…O-O? には 16.Re3! で白の攻撃が炸裂する。16…f6 17.Rh3 h6 18.Rg3 Qf4 19.Qg6 Rf7 20.Rf1 で Bc1 が狙いとなる。

16.Bxf6 gxf6 17.e5

 白は布局の成果に満足できる。しかし黒陣も見かけほど悪くない。黒キングは中央で適度に安全だし、キング翼とクイーン翼の両方で反撃に出ることができる。白は少し優勢だが、それだけのことである。

17…Rg8

 17…f5 は白に 18.Bxf5 exf5 19.e6 という恐ろしい狙いがあるので、もちろん黒はそれを避けた。しかし黒は正確に指せば次のように受け切れる。19…Kd8! 20.exd7(20.Qxf7 なら 20…Kc7! 21.exd7 Kb6 22.Re6 Qf8!

で黒が受かる。また 20.exf7 なら 20…Qd6 21.Re8+ Kc7 22.Rae1 Qd5 23.f3 Rf8

で黒が優勢にさえなる)20…Kc7 21.Re7 Qg8 22.f3 Rd8 23.Qxf5 Kb6 24.Rd1 Qg6

黒がまたしのいで反攻に出る。

18.g3 Rg5 19.Qh6!

 19.Qxh7?! は 19…Rxe5 で黒がe7にキングの安全な避難所を確保し、駒も働きが良くなる。

19…Rxe5 20.Qxf6 Rh5!

 ルークが変な位置に行くが、hポーンを取らせるわけにはいかなかった。

21.Be4!?

 これは非常に強気の手である。c2のポーンが弱いのでこれでほとんどどんな収局でも白がまずくなる。しかしナカムラは黒キングの重要な守り駒の一つを交換でなくすことがその危険に値すると判断した。

21…Qd8 22.Qf3 Rc5

23.Qe3?!

 ここはビショップ同士を交換しルークを働かせるいい機会だった。23.Bxc6! Rxc6(23…dxc6 は 24.Rad1 Qg5 25.Rd6 Rd8 26.Rxc6 Qd5 27.Qxd5 Rdxd5 28.Rxc5 Rxc5 29.Re2

となって、この収局は白の勝つ可能性が高い)24.Re4! Qe7 25.Rg4 Qf8 26.Rd1

となれば白に強力な主導権がある。

23…Qe7

 これは面白い着想である。カームスキーはh7の弱点そのものをなくして自分の駒を再編成することにした。別の手は局面を単純化する 23…Re5! で、問題なく互角になるはずである。なぜなら大駒が少なくなるほど、白のポーンの形がもっと問題になり黒キングの位置がそれほど関係なくなるからである。実際 24.Qd4 Rxe4 25.Rxe4 Bxe4 26.Qxe4 h6 27.Rd1 Rc8 となれば、黒は互角に向けて十分反撃できる。

24.Bxh7!

 これは大変危険な手だが、強手でもある。白は果断にポーンを取って、白のキング翼をにらむ対抗のないc6のビショップを黒に残した。

24…f5! 25.Bg6+ Kd8 26.Rac1 Kc7

 黒キングは安全な場所を見つけた。そしてポーン得にもかかわらず、困難に陥らないように正確に指さなければならないのは白の方である。

27.Bh5

 27.c3 bxc3 28.Rxc3 Rxc3 29.Qxc3 で局面を開放的にするのはまだ早い。というのは 29…Qg5! 30.Bf7 Qg4 で、黒が白枡で有望になり白のビショップがまだ遊んでいるからである。

27…e5

 中央のポーンを進撃させるのは非常に理にかなった判断のように思われる。しかしコンピュータは …f4 突きの用意をする奇異な 27…Qd6! を示している。黒の攻撃は非常に厳しくて、黒が優勢になるのにたいして手数を要しない。28.Red1 f4! 29.gxf4 Rg8+ 30.Kf1 Bg2+ 31.Ke1 Bd5 で白陣は非常に危なそうに見える。もっともコンピュータは実際には 32.Rd3 Rh8 33.c4!

で白が優勢だと断定している。

28.f4?!

 白は過激に …f4 突きを止めたが、自分のキングの囲いをさらに弱めた。別の手は 28.c3 f4 29.gxf4 Qg7+ 30.Kf1 で、黒の攻撃は怖いがたぶんそれだけである。例えば 30…Qg2+ 31.Ke2 Rxc3 32.Rxc3 bxc3 33.Qxe5+ d6 34.Qe7+ Kb6 35.Qe3+ Kc7

となれば、白は少なくとも引き分けにでき 36.Bf7 でそれ以上を目指すこともできる。

28…Qd6 29.Rf1 exf4 30.Qxf4 Be4 31.Qf2!?

 31.Qxd6+ は 31…Kxd6 で黒は駒がよく働いているのでわずかな戦力損を十分に補っている。

31…Rc3 32.Be2

32…Kb7?

 この試合で「危機のキング」は何度も立場を変えた。そして今度はまた黒キングの番である。

 カームスキーにはもっと良い手がいくつかあった。例えば 32…Qb6 33.Bd3 Qxf2+ 34.Kxf2 d5 となれば、やはり黒駒の働きの良さがポーン損を補うし、はるかに強力な 32…Qh6! という手もある。実際対局後ナカムラはカームスキーがこの手を指していれば彼が勝っていたと言った。実際白は駒の配置の整形に苦労し、黒の攻撃は熾烈である。h6のクイーンはキング翼に圧力をかけ Bd3 を防いでいる。

33.Rcd1 Qe6 34.Bc4! d5 35.Qc5!

 これが白の狙い筋である。

35…Rd8?

 これで白の勝ちになった。35…Qc6! が好手だが白にはまだ 36.Qxd5! という好手がある。36…Rxc2 37.Rf2 Bxd5 38.Bxd5 Rc3 39.Bxc6+ Kxc6

となって、黒が苦戦だがたぶんしのげるだろう。

36.Qxa5 Rxc2 37.Rf2! Rxf2 38.Qxd8!

 冷徹な決め手である。

38…Rg2+ 39.Kf1 Rb2 40.Bxd5+ Bxd5 41.Qxd5+ Qxd5 42.Rxd5 1-0

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

開放試合の指し方(144)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御(続き)

 2…d6 はとても魅力ある手である。ルイロペスでは白の着眼点は黒のe5のポーンに永続的な圧力をかけることにある。しかし 2…d6 と突くことにより黒はeポーンをしっかり守り、ルイロペスの戦略は効果がなくなる。もし白がスコットランド、ジオッコ、ポンツィアーニ、または4ナイト試合の戦型を漠然と期待していたのなら、2…d6 のあと急に黒の布局選択にはまることになる。

 しかし黒番でフィリドールが自分の夢への解答だと思い描く前に、この手には二つの重大な欠点があることに気づくべきである。

 一つ目は 2…d6 は黒のキング翼ビショップを閉じ込めることである。e7の地点がこのビショップの適所になることはよくあるけれども、c5やb4のもっと活動的な地点に出す選択肢をあまりに早く放棄してしまっている。

 二つ目は 2…d6 はd4の地点の支配で 2…Nc6 より劣っていることである。2…Nc6 3.d4 exd4 4.Nxd4(第5章を参照)では黒のナイトが白のナイトに当たっている。2…d6 3.d4 exd4 4.Nxd4 では白のナイトには何の危険もなく、そのため白はもっと自由に展開を続けることができる。

 これらの欠点のどちらも致命的ではないが、白は 2…Nc6 に対するよりももっと永続的な優勢を得ることになりやすい。フィリドールは強豪選手の中では本章で取り上げるそれほど人気のない布局の中で最も人気がある。そしてそれらの布局と違いグランドマスターによって指されることさえある。

3.d4

 白は中央を広げ、黒のeポーンに対する狙いを新たにし、クイーン翼ビショップのためにc1-h6の斜筋を開けた。1手からこれより多くを期待することはほとんどできない。それでも 3.Bc4!? は有力な手である。

 もし黒が 3.d4 に 3…Nd7 または 3…f5 と応じるつもりだったなら、3.Bc4 にも同じ手で応じることができる。しかし 3…exd4 または 3…Nf6 と指す予定だったなら、戦略を変更しなければならない。3.Bc4 に 3…Nf6? と指すことはできない。その理由は 4.Ng5! d5 5.exd5 Nxd5 6.Qf3(両当たり)6…Qxg5 7.Bxd5 でb7とf7の地点が当たっているからである。ここで 7…Qe7 8.Bxb7 e4!? は 9.Qb3!(9.Bxe4? f5)で良くない。だから黒は 7…Qf6 か 7…Qf4 で少なくとも1ポーンを譲らなければならない。

 3…Be6? も 4.Bxe6 fxe6 5.d4!(白はすぐに動かなければならない)5…exd4 6.Nxd4 で黒が不十分である。黒はe6の地点の守りに問題を抱えている。6…Qf6 なら 7.Qh5+! Qf7(7…g6 は 8.Qb5+ Nd7 9.Qxb7 Rb8 10.Qxa7 で白がまんまと2ポーン得)8.Qh3! だし、6…e5 なら 7.Ne6! Qe7 8.Qh5+! g6 9.Qh3 で困る。

 黒がハンガリー防御(第2章の 3…Be7)を指す気があるなら、3.Bc4 に 3…Nc6 4.d4 Be7 と応じることができる。そうでなければ 3…Be7 4.d4 exd4 で妥協すべきである。これは以降の 3.d4 exd4 4.Nxd4 で取り上げる。

 白にとって 3.Bc4!? は黒の3手目での選択肢を減らす便利で危険のない手段である。白がそれほどこれを用いていないのは意外である。

3…Nf6

 黒は白のe4ポーンに対して反撃する。現代の布局定跡によると 3…Nf6 は旧来の 3…Nd7 よりも優っている。なぜなら黒の望む7手目以降の「理想的な」局面にほぼ白を強いるからで、3…Nd7 では白に黒の望む局面と別の白の有望な局面とを選択させることになるからである。3…Nd7 をもっと詳しく調べれば違いが分かってくる。

 3…Nd7 4.Bc4 のあと黒の唯一の妥当な手はハンナム戦法の 4…c6! である。4…Ngf6? は悪手で、5.dxe5! Nxe5(5…dxe5 なら 6.Ng5!)6.Nxe5 dxe5 7.Bxf7+ Kxf7 8.Qxd8 Bb4+ 9.Qd2! Bxd2+ 10.Nxd2 で白のポーン得になる。また 4…Be7? なら 5.dxe5 Nxe5(5…dxe5? は 6.Qd5! ではるかに悪い)6.Nxe5 dxe5 7.Qh5! でこれも白のポーン得になる。しかし 4…c6! なら 5.Ng5 に 5…Nh6! で対処できる。

 だから 3…Nd7 4.Bc4 c6! のあとの「最善の手順」は 5.Nc3 Be7 である。白は 6.O-O Ngf6 7.a4 O-O で主手順に合流することができる。しかしぎょっとする 6.dxe5 dxe5 7.Ng5! の方が面白い。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(208)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 次の例はまたも「ルーク+ポーン」エンディングで起こる戦いの可能性を教えてくれる。

 図208 白の手番
ベルンシュテイン対クッキールマン、1929年

 白のポーンはだいぶ遠くまで進み黒キングは最下段に追い込まれればすぐに詰まされる危機にあるので黒は絶望的な状況にあるように思われる。黒の唯一の反撃策は白キングをさがらせることである。黒の最初の方の手はその方針に沿ったものである。

1…Ra1 2.Ra7+ Kg8 3.g6?

 安易な手である。このような局面でよくある誤りだが白は簡単に勝てると思い込んでいた。コパイェフは次のような巧妙な手段で勝てることを指摘した。3.h6! a2 白は 4.Kg2 Ra2+ 5.Kf3 から 6.g6 を狙っていた。4.Kh2 4.Kg2 なら 4…Rb1! 5.Rxa2 Rb5 で引き分けにすることができる。4…Rb1 5.Rxa2 Rb5 6.Rg2 6.Ra8+ はだめで 6…Kh7 7.Ra7+ Kh8 8.Rg7 となって黒キングはステイルメイトの態勢にいるのでチェックの千日手になってしまう。6…Kh7 7…Kg6 から 8…Rb6 で引き分けを狙っている。7.g6+ Kg8 8.Rg3 Rh5+ 9.Rh3 Rg5 10.h7+ Kh8 11.Rg3 Rh5+ 12.Kg2 Kg7 13.Rh3 Rg5+ 14.Kf3 Rf5+ 14…Kh8 なら 15.Rg3 Rf5+ 16.Ke4 から 17.g7+ で白が勝つ。15.Kg4 Rf8 16.Kg5 これで白が勝つ。

3…a2 4.Kg2 Rb1

 白の狙いは 5.h6 だった。

5.Rxa2 Rb5 6.Ra8+

 hポーンを守るにはこの手しかない。6.h6 は 6…Rg5+ でだめである。

6…Kg7 7.Ra7+ Kg8 8.Rh7 Rg5+?

 今度は黒が間違えた。黒は 8…Rb3! で引き分けにすることができた。9.Kf2 なら 9…Rh3! で以前に引き分けであると分析した図186の局面になる。

9.Kh3

これで白が勝つ。

(この節続く)

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開放試合の指し方(143)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

フィリドール防御

1.e4 e5 2.Nf3 d6

 フィリドール防御には黒がひどい狭小な陣形から苦労して半点をもぎ取る退屈で守勢の防御だという評判がある。この見方にはそれなりの真実があるが、話のすべてというわけではない。主手順を含むいくつかの戦型では黒が狭小な陣形になるが、乱戦で攻め合いの局面になる戦型もある。フィリドール防御が将来信頼できる防御になるか過去の遺物になるかは時がたたなければ分からない。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(207)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 それでは白の4手目の局面に戻り黒のもう一つの受け手の 4…Rd3 を考えることにしよう。その局面が図207である。

 図207 白の手番
ケレス対ミケナス、1937年(変化図)

 黒の最終手の意味は 1.h4 なら 1…gxh4 2.Rh8+ Kf7 3.Rxh4 Ke8! で黒ルークが正しい位置にいるクリングとホルビッツの局面(図162)になるというものである。しかし白には他の手段もある。

1.Re7+ Kd8

 黒は 1…Kf8 2.Re5 Rxh3 3.Kd7(3.Rxg5 なら 3…Ke8! で引き分け)でも構わない。この時 3…g4 は 4.Rf5+ Kg7 5.Rg5+ から 6.Rxg4、3…Rh7+ は 4.Kd8 g4 5.d6 g3 6.d7 g2 7.Rg5 Rg7 8.Kc8! でどちらも白の勝ちになるが 3…Rg3! 4.d6 Kf7 なら黒が引き分けにできる。例えば 5.Rf5+ ならば 5…Kg6 6.Ke6 Re3+ 7.Re5 Rxe5+ 8.Kxe5 Kf7、又は 5.Rc5 ならば 5…Kf6 6.Kc7 Rd3 7.d7 Ke7 8.Re5+ Kf6 9.Re3 Rd1 10.d8=Q+ Rxd8 11.Kxd8 g4 である。

2.Rg7 Kc8!

 この手は仕方がない。2…Ke8 は 3.Rg8+ Kf7 4.Rxg5 Rxh3 5.Re5 又は 5.Kd7 で白が楽に勝つ。本譜の手で白は少なくとも黒キングをキング翼から追い出した。

3.Rg8+

 白は 3.Rh7 で黒を手詰まりに追い込む可能性もあった。これに対して 3…Rd1 なら 4.Rc7+ Kb8(4…Kd8 なら 5.Rg7)5.Rc3、3…Rg3 なら 4.Rh8+ Kb7 5.Kd7 g4 6.hxg4 Rxg4 7.d6 でどちらも白の勝ちになる。しかし黒には 3…Kb8! という受けがある。以下は例えば 4.Kc6 Rc3+ 5.Kd7? Rc7+ あるいは 4.Ke6 Kc8 5.d6 Re3+ 6.Kf5 Rd3 7.d7+ Rxd7 で受かる。本譜の手により、もし白がキング翼でポーンを交換すれば黒キングは正しい位置、即ちポーンの狭い側に位置している。

3…Kb7 4.Rh8 Kb6

 黒は再び手詰まりになっている。4…Rd1(4…Rg3 は 5.Kd7)なら 5.Rh7+! Kb6(5…Kc8 は 6.Rc7+ Kb8 7.Rc3、5…Kb8 は 6.Rh5 Rd3 7.Kc6 で白のdポーンが前進する)6.Ke6 Rd3 7.d6 Kc6 8.Rc7+ Kb6 9.Rc8 Re3+ 10.Kf6 Rd3 11.Ke7 Re3+ 12.Kd8 Rxh3 13.d7 で白が勝つ。

5.Rb8+

 黒は絶えず敗北の瀬戸際に立たされても常に引き分けに逃れることができるようである。勝ちを狙う他の変化は黒を手詰まりに追い込む 5.Rh7 だが 5…Kb5!(5…Rd1 は 6.Ke6 で前の説明中の変化となり、5…Rg3 は 6.Kd7 でやはり白が勝つ)6.Ke6 Kc5 7.Rc7+ Kb6 8.d6 Rxh3 で引き分けになる。本譜の手は黒にさらに大きな困難を強いる。

5…Ka6

 弱い受けは 5…Ka7(5…Ka5 は 6.Kc5 Rc3+ 7.Kd4 Rxh3 8.d6 Rh1 9.d7! Rd1+ 10.Kc5 で白が勝つ)で以下 6.Rb4 Rxh3 7.Kc7 Rc3+ 8.Kd7 Rg3 9.d6 g4 10.Re4! Kb7 11.Ke7 で白が勝つ。

6.Kc6

 6.Rb4 なら 6…Ka5 7.Rg4 Rxh3 8.Kc6(8.Rxg5 なら 8…Kb6)8…Rc3+ 9.Kd7 Kb6 10.Rxg5(又は 10.d6)10…Rh3! で引き分けになる。

6…Rc3+ 7.Kd7 Rxh3 8.d6 g4 9.Rb4

 9.Rb1 なら 9…Rd3!(しかし 9…g3? はだめで 10.Kc6 から 11.d7 で白が勝つ)10.Re1 Kb6!(ここでも 10…g3? は 11.Ke7 g2 12.d7 Re3+ 13.Rxe3 g1=Q 14.Re6+ から 15.d8=Q で白が勝つ)11.Ke7 Kc6 12.Rc1+ Kb7 13.d7 Re3+ 14.Kd8 g3 15.Rb1+ Ka7 で白は何も進展を図ることができない。

9…Ka5!

 当初は意味のない手のように見える。しかし実際は引き分けへの唯一の確かな手段である。9…g3? は 10.Kc6 Ka5 11.Rg4、9…Rg3 は 10.Re4! Kb7 11.Ke7 で白が勝つ。しかし黒は 9…Rh1! でも引き分けにできる。10.Rxg4 なら 10…Kb6 と応える。

10.Rxg4

 10.Rb2 は面白い手で 10…g3? なら 11.Kc6 Rh2 12.d7! で白が勝てる。しかし 10…Ka6! が正着で 11.Kd8 Re3! 12.d7 g3 で引き分けになる。

10…Kb6 11.Rb4+

 狙いの勝ち筋である。11.Re4 は 11…Rh7+ 12.Re7 Rh8 で何もならないことは既に見たとおりである。

11…Kc5 12.Re4 Kd5!

 以下は 13.Re1 Rh7+ 14.Re7 Rh6 で引き分けは確実である。ことのほか色々な手段に満ちあふれたエンディングであった。

(この節続く)

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布局の探究(76)

「Chess Life」1993年9月号(1/3)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

白は中央に向かって取るべきか

 現在グランドマスターの大部分は白番のとき閉鎖布局の方を好んでいる。この大きな理由は布局から典型的な優位(例えば陣地の広さ、中央の影響力の優位、迅速な駒の展開など)を引き出すことができ、その一方で 1.e4 よりも戦術的に不意を突かれる危険性が少ないことに信頼をおいているからである。より少ない危険性で支配と容易さがより大きいことが 1.d4、1.c4 および 1.Nf3 の人気の理由である。

 白で閉鎖布局を指す快適さは、「中央に向かって取り返せ」という原則を適用する際にも自由度が増すことになる。迷うなら中央に向かって取り返せばよい。しかしどう取り返しても同じくらい良い状況は、1.e4 布局で白でも黒でも成り立つ場合よりもはるかに多い。個人の棋風がしばしば手を決める要因になる。本稿では三つの最も重要な取り返しの状況を取り上げる。

A.cxd4 対 exd4

 黒が白のd4ポーンに …c5 突きで挑み、白が c3 突きと e3 突きでd4を支えるようにしたとき、この重要な選択がよく起こる。この題材はコーレ布局(1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.e3 c5)、トーレ攻撃(1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.Bg5 c5)それにキング翼インディアン防御に対するいくつかの戦法でおなじみである。

 cxd4 が本当に「中央に向かって」取り返すのに対し、exd4 はeポーンがdポーンに置き換わるので中立的な取り返しであることを強調しておく。それでも exd4 を良しとする要因もある。キング翼インディアン防御に対するロンドン・システム(A48)の次の戦型を考えてみよう。

1.d4 Nf6 2.Nf3 g6 3.Bf4 Bg7 4.Nbd2 O-O 5.e3 d6 6.h3 c5 7.c3 cxd4

 図1

(1)8.cxd4

 対称な中央の形にもかかわらずdポーンが白は4段目にあって黒は3段目にあるので、白が中央での影響力を増している。それでも最も重要な問題は、白が素通しc列を支配できるのかということである。クイーン翼ビショップを安全にするために1手かけたので(6.h3)、この見通しは低く布局での優位の可能性も低い。1962年バルナ・オリンピアードでのP.ケレス対F.ゲオルギュでは黒が 8…Nc6 9.Bc4 Bf5 10.O-O Rc8 11.Qe2 Na5 12.Bd3 Bxd3 13.Qxd3 Qb6 14.Rab1 Nd5 15.Bg5 h6 のあとほぼ対称の局面で互角にした。

(2)8.exd4

 白は黒にだけeポーンがある危険性を抱えても局面を非対称にした。もし黒が無事に …e5 と突くことができれば、白は中央で劣勢になる。白の戦略は …e5 突きを防ぎながら半素通しe列で圧力をかけることを目指し、d4ポーンからくる広さの優位を生かすようにするのが良い。黒は …d5 と突くべきでない。そう突くとe5の地点をひどく弱め白のクイーン翼ビショップの斜筋を通すことになるからである。

 現在のところ白が勝ちを目指して指している時はいつも、非対称の取り返しの 8.exd4 が選ばれる。典型的な手順は 8…Nc6 9.Be2 Re8 10.Nc4! Be6 11.O-O Rc8(11…Nd5?! 12.Bd2 Rc8?! は黒駒の位置を悪くするだけで、1924年ニューヨークでのD.ヤノフスキー対F.マーシャル戦では 13.Ng5 Bd7 14.Qb3 h6 15.Bf3 となって白が主導権を握った)12.Bh2(12.Ne3! の方が良い)12…Bh6 13.Re1 Na5 で、1959年ソ連でのR.ホルモフ対E.グフェルト戦では不均衡な局面でいい勝負のようだった。

 白は自分がどう取り返したいかを分かっていれば、もちろん …c5 突きに「望みの」ポーンで応じるのが良い。トーレ攻撃(A46)で考える

1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.Bg5 c5

 図2

 黒はd4の白ポーンを撲滅することを狙っている。これを阻止するために白は 4.c3 または 4.e3 を選ばなければならない。さらにはどちらの手の後でも黒は 4…Qb6 で白のクイーン翼を攻撃することができる。だから白はこれにも楽に応じる自信がなければならない。その帰結は次のとおりである。

(1)4.c3 Qb6! 5.Qc2 cxd4! 6.cxd4

 白はb2の地点を守りd4の地点の支配を保持した。しかし1928年ベルリンでのF.マーシャル対S.タルタコワ戦では黒がc列で一歩先んじ 6…Nc6 7.e3 d5 8.Nc3 Bd7! 9.Bb5(9.Be2 Rc8)9…Ne4 10.O-O Nxc3 11.Bxc6 Qxc6 12.Ne5! Qa4 13.Qxc3 Rc8 14.Qd2 f6 となって楽に互角になった。

(2)4.e3

 ちょうど図1のように、何らかの優勢の希望を保ち続けるためには exd4 と取り返す必要があることがグランドマスターの実戦によって確立された。典型的な二つの応手は次のとおりである。

(a)4…cxd4

 1925年モスクワでのC.トーレ対エマーヌエル・ラスカー戦は 5.exd4 Be7 6.Nbd2 d6 7.c3 Nbd7 8.Bd3 b6 9.Nc4 Bb7 10.Qe2 Qc7 11.O-O O-O 12.Rfe1 Rfe8 13.Rad1 Nf8 と進んだ。白が広さの優位で少し優勢のはずだが、黒陣も相変わらず非常に堅固である。

(b)4…Qb6

 1990年レイキャビクでのG.カームスキー対N.ド・ファーミアン戦では 5.Nbd2! Qxb2 6.Bd3 Qc3 7.O-O と進んだ。白の展開の大きな優位がポーン損を完全に補っている。

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カテゴリ: 布局の探究1

開放試合の指し方(142)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

ポンツィアーニ布局(続き)

 完全にいい勝負である。ポンツィアーニ布局が「無害」という評判になっているのはこのような変化のせいである。

(この章続く)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(206)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 図206 黒の手番
ケレス対ミケナス、1937年

19…Kg4!

 当然そうな 19…Kh4? は 20.Rc8 Rh7+ 21.Ke6 Rxd7 22.Kxd7 g4 23.Ke6 g3 24.Kf5 g2 25.Kf4 で黒が負けてしまう。黒は自分のキングを使って白キングの接近を防がなければならない。

20.Kf6

 20.Rc8 なら 20…Rh7+ 21.Ke6 Rxd7 22.Kxd7 Kf4! で黒が引き分けにできる。例えば 23.Ke6 g4 24.Rc4+ Kf3 25.Kf5 g3 26.Rc3+ Kf2 27.Kf4 g2 28.Rc2+ Kf1 29.Kf3 g1=N+! で教科書どおりの引き分けである。

20…Rf8+

 20…Rh6+? は 21.Ke5 Rh8 22.Rc8! で黒は全てをだいなしにしてしまうことになる。

21.Ke6 Rd8

 白はまだ 22.Rc8 で勝つ手を狙っていた。

22.Rd5 Kf4 23.Rf5+ Kg4 24.Rf7 Kh3 25.Kf5

 白にはもはや勝つ可能性はない。以下は 25…g4 26.Kf4 g3 27.Kf3 Kh4! と進んで引き分けが合意された。

(この節続く)

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開放試合の指し方(141)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

ポンツィアーニ布局(続き)

 3…Nf6 の局面

4.d4

 4.d3、4.Qc2 それに 4.Bd3 のような受けの手なら黒は 4…d5! で中央に打って出ることができる。

4…Nxe4

 白の夢のような中央をぶち壊した。4…d5!? も魅力的な手だが 5.Bb5! exd4(5…Nxe4? 6.Nxe5 Bd7 も有望そうだが 7.Qb3! によってd7のポーンが黒のアキレスのかかとになる。そして 7…Nf6 8.Bg5 あるいは 7…Nxe5 8.Qxd5! で黒のポーン損になる)6.e5 Ne4 7.Nxd4 でやり込められる。これは2ナイト防御からの局面(1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Nf6 4.d4 exd4 5.e5 d5 6.Bb5 Ne4 7.Nxd4)で、違いは白が c2-c3 と突いていることでこれは白の役に立つはずである。本書の第3章と比較してみるとよい。

5.d5

 5.dxe5? は薦められない。慎重な 5…d5 でも大胆な 5…Bc5! 6.Qd5 Bxf2+ 7.Kd1 f5! でも黒が有利である。

5…Ne7

 最も面白い変化は捨て駒を伴う 5…Bc5?! で、6.dxc6 Bxf2+(6…Nxf2? 7.Qd5! Nxh1 8.Qxc5 は黒のナイトが取られることになるので白が勝つはずである)7.Ke2 bxc6(8…Ba6# の狙い!)8.Qa4! f5 9.Nbd2! となれば黒はナイトの代わりに中央に2ポーンが残るが、白キングはc2の地点に逃げる。白が優勢のはずである。

 かなり卑屈だが 5…Nb8 も指せる手である。そのあと 6.Nxe5 は 6…Bc5!? で 7.Qg4! O-O! 8.Qxe4 d6 となって乱戦になる。黒が 9…Re8 で白クイーンを釘付けにする手を狙っているので白は駒得を維持できない。白が乱戦を好まなければ 6.Bd3 Nc5 7.Nxe5 Nxd3+ 8.Nxd3 で互角が保証される。黒は「反展開」の5…Nb8 のためにクイーン翼の展開が白より遅れることになるが、白の展開のわずかな優勢はすぐに蒸発するはずである。

 黒は 5…Ne7 でキング翼ビショップの利きをふさぐが、このナイトはg6に行く手はずである。

6.Nxe5

 さもないと白はポーン損のままである。

6…Ng6 7.Bd3

 この手にはわながある。7…Nxf2? と取ると(8.Kxf2? Nxe5 を期待)8.Bxg6! Nxd1(8…hxg6 は 9.Kxf2 で白の駒得)9.Bxf7+ Ke7 10.Bg5+ Kd6 11.Nc4+! Kc5 12.Nba3!(13.b4# の狙い)12…a5 13.Bxd8 で白が2駒得になる。しかし黒はこのわなを避けることにより互角にできる。

 7手目での白のほかの手はしょせん互角にしかならない。

 7.Qd4 は 7…Qf6! 8.Qxe4(8.Nxg6? Qxd4 9.cxd4 hxg6 は黒が …Nf6 で白のd5のポーンを取れるかもしれない)8…Qxe5 でクイーン同士の交換になり、面白みのない局面になってほとんど確実に引き分けになる。

  7.Nxg6?! は 7…hxg6 で白がもっと悪い。黒はルークをh列で活発に使うことができ、白があえてキング翼にキャッスリングすれば特にそうなる。

7…Nxe5!

 白の中央のナイトを消去する方が 7…Nc5 8.Bxg6 よりも強力そうだが、それも黒にとって危険でない。

8.Bxe4 Bc5

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(205)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 図205 白の手番
ケレス対ミケナス、1937年

 12…Kc8 は 13.Rh8+ Kb7 14.Kd7 の後ポーンを進められてしまうのでだめである。黒の6手目の不正確な手のために図の局面は白の5手目の局面に似ている。違いは黒のルークがあまり良くないe3の地点にいることである。それでも黒には色々な受けの手段が残されている。

13.Rh8+

 白は 13.h4 と指せば黒にもっと苦労させることができただろう。その時 13…gxh4 14.Rh8+ Kf7 15.Rxh4 と 13…g4 14.Rg5 g3 15.h5 は白の勝ちとなる。しかし黒には 13…Rh3! という手があり 14.Rxg5 Rxh4 15.Rg8+ Kf7 16.Rb8 Rd4! で引き分けにすることができる。この手順中 14.Rh8+ なら 14…Kf7 15.h5 Kg7 16.Re8 Rxh5 17.Kc7 Rh1! で黒が互角を保つことができるはずである。例えば 18.d6 なら 18…Rc1+ 19.Kd8 Rd1 20.d7 Kf6 21.Kc7 g4 である。

13…Kf7 14.Kd7 Kg7

 これでhポーンが取れ、自分のgポーンを用いて十分な反撃が可能になる。

15.Rc8 Rxh3 16.d6 Kg6!

 最も正確な応手である。もっとも 16…Rd3 17.Kc7 Kf6 18.d7 g4 も可能である。しかし 16…g4? はだめで 17.Rc4 g3 18.Kc7 で白の勝ちになる。

17.Rc5 Rh8 18.Ke7 Kh5!

 ルーク対ポーンのエンディングで敵のキングを5段目で遮断できればルーク側が常に勝つということは既に学んだ。もし黒が 18…g4? と指せばそれが当てはまる。つまり 19.d7 の後白は自分のポーンと相手のルークを交換させそれからおもむろに自分のキングを引き戻しこの間黒は何もできない。

19.d7

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(104)

「Chess Life」2005年9月号(4/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

反ベンコー[A43](続き)

戦型C)1.d4 Nf6 2.Nf3 c5 3.d5 b5 4.Bg5 Ne4

 ここですぐ目につくのは黒枡ビショップをg5から動かす手である。しかし意外な 5.Qd3 が非常に面白くて激しい試合になる。

 ほかには次のような手がある。

 5.Bf4 は 5…Bb7 6.Qd3 f5 7.Nbd2 c4 8.Qd4 Nf6 9.d6 exd6 10.Bxd6 Nc6 11.Qc5 Bxd6 12.Qxd6 Qe7 で互角の形勢になる。

 ガリー・カスパロフは以前に 5.Bh4 と指したことがあった。そして 5…Qa5+ 6.Nbd2 Bb7 7.a4 Bxd5 8.axb5 Qc7 9.Ra4 Qb7 10.c4 となってはっきり優勢になった(カスパロフ対マイルズ、バーゼル、1986年、第3局)。

 しかし黒はヒューブナー対トパロフ戦(イスタンブール、2000年)のように 5…Bb7 と改良することができ、6.Qd3 f5 7.Nbd2 c4 8.Qd4 Na6 9.c3(9.Nxe4?! fxe4 10.Qxe4 とポーンを取るのは 10…Nb4 11.Rd1 Nxd5 12.Rxd5 Qa5+ 13.Kd1 Qxa2 となるので危険すぎる)9…Nxd2 10.Nxd2 Qb6 と進んだ。

 一方 6.e3 は 6…g6 7.c3(7.Bxb5? Qa5+)7…Qa5 8.Nbd2 Nxd2(8…Bxd5 なら 9.Nb3 Bxb3 10.axb3 Qb6 11.Qd3)9.Qxd2 Bg7 10.e4 d6 11.Bd3 Nd7 12.O-O で白が少しの優勢を維持する。

 黒は 6…Qa5+ 7.c3 e6? で自陣を解放するわけにはいかなかった。なぜなら 8.dxe6 fxe6(8…dxe6 9.Bxb5+! Qxb5? 10.Qd8#)9.Ne5(10.Qh5+ の狙い)9…g6 10.Qf3 となって白の攻撃が強力になるからである。

5…Nxg5 6.Nxg5 e6

 6…h6 は 7.Nh7 c4 8.Qe4 となって黒はビショップとナイトの交換が避けられない。

7.Nxf7! Kxf7 8.dxe6+ Ke7 9.Qf3 d5 10.Qf7+ Kd6 11.Nc3

 白は Nxd5 や Nxb5+ を狙っていて、O-O-O から e2-e4 突きのあと残りの駒を迅速に動員するつもりである。これはさらに分析するには興味深い局面である。

結論

 白としてはベンコーおよびブダペスト・ギャンビット(1.d4 Nf6 2.c4 e5)を避けてもっと平和的な試合を望む 1.d4 選手のための良い代替戦法である。ほとんどの戦型で白は少し優勢の堅実な陣形になる。さらに検証が必要な重要な局面もいくつかある。例えば戦型Cの最終局面と、戦型Bの白の5手目の代替手である。

 黒も 2…g6、2…d5、3…g6 または 3…e6 を選択してベンコー式の指し方をしないことによりこれらの手順を避けることができる。

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開放試合の指し方(140)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ(続き)

ポンツィアーニ布局(続き)

 3…d5 の局面

 この手も評判がいいが、安全で効果的な 3…Nf6! よりも危険な面がある。白の通常の応手は 4.Qa4 または 4.Bb5 でc6の黒ナイトを釘付けにするすることによりeポーンを攻撃することである。黒はどちらの手にも 4…f6 と応じることができる。この手は黒のキング翼ナイトからf6の地点を奪うのでおかしく見えるが、e5のポーンを支えることにより黒の中央を強化している。4.Qa4 f6 5.Bb5(4.Bb5 f6 でも 5.Qa4 が最善!)のあと黒は 5…Nge7 6.exd5 Qxd5 7.d4 Bd7 または 7…Bg4 と守る。そして白のいつかは c3-c4 から d4-d5 と突いてくる狙いを …exd4 と取ることによりかわす。当面は 8.c4? は悪手で、黒は 8…Qe4+! から 9…exd4 で受かる。

 黒が 4.Qa4 に 4…Bd7?! 5.exd5 Nd4(5…Nb4 なら 6.Qb3! で白がポーン得を維持する)6.Qd1! または 4…Nf6!? 5.Nxe5 Bd6 6.Nxc6 bxc6 7.d3! O-O 8.Be2! と応じると難解な局面になる。どちらの局面も黒はポーンの代償が十分でないが、白も展開に遅れないよう注意深く指さなければならない。私の考えでは 4…Nf6!? はほとんど問題ないが、4…Bd7?! は不十分のようである。

 3…d5 4.Bb5 のあと黒は 4…f6 よりも 4…dxe4! と取った方が良い。その着想は 5.Nxe5 Qd5! 6.Qa4(c6を取る狙いで自分のナイトを守っている)6…Nge7 という手順にあり、白のe5のナイトは本当に危機にある。白は 7.Nxc6 Nxc6 で黒の展開を助けたくはないが、7.f4(8.Bc4 から 9.Nxf7 の狙い)では 7…Bd7! 8.Nxd7(8.Bc4?? は 8…Nxe5! 9.Bxd5 Nd3+! 10.Ke2 Bxa4 で駒損になる)8…Kxd7! で、白のdポーンが出遅れになりクイーン翼の正常な展開に差し支える。黒は …a7-a6 突きから …Rd8 と …Kc8 で「手動」キャッスリングして釘付けをはずす。ほぼいい勝負である。この分析が正しければ 4.Qa4 は 4.Bb5 より優る。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(204)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 今度の例も前と同じ駒割りである。黒のgポーンと白のhポーンがなければおなじみのフィリドールの局面(図130)であり、引き分けに終わっているところである。

 図204 白の手番
ケレス対ミケナス、1937年

 まず、白にはいろいろ有利な点がある。第一に白ははっきりとした1ポーン得でパスポーンになっている。第二に白の駒は働きが良い。第三に黒キングは最下段に押し込められている。白の唯一の弱点はhポーンで不思議なことにこれにより黒が素晴らしい反撃の機会を得る。

 白は何ができるだろうか。フィリドールの局面から知っているように白がdポーンを進めれば防御側を利するだけなのでそうしてはいけない。キング翼のポーンを交換すれば明らかに引き分けなのでそれもできない。そこで白は狙いをちらつかせながら自分の陣容を強化しなければならない。

1.Ke6 Re3+ 2.Kf6

 キングをd6に行かせる前に白はちょっとした罠を仕掛けた。2…Rf3+ 3.Kxg5 Rd3 なら4.Kf6! Rxd5 5.Ke6 で白の勝ちとなる。もちろん黒は引っ掛からない。

2…Rd3! 3.Ke6 Re3+ 4.Kd6 Ra3!

 ここが黒ルークの最も働く地点である。4…Rf3 は間違いで 5.h4! gxh4(5…g4 なら 6.Rg7 g3 7.h5! で白が勝つ。例えば 7…Rf6+ なら 8.Kc5 Rh6 9.d6 Rxh5+ 10.Kc6、7…Kf8 なら 8.Rg4 Rf6+ 9.Kc5 Rh6 10.Rxg3 Rxh5 11.Re3 である)6.Rh8+ Kf7(6…Rf8 なら 7.Rxh4 Kd8 8.Kc6 で白が勝つ)7.Rxh4 Ra3 8.Re4! で教科書どおりの勝ちである。

 別の受けは 4…Rd3 であるが黒には細心の注意が求められる。この面白い局面は後で図207で分析することにする。

5.Rh5

 5.Rh8+ Kf7 6.h4 に対して 6…gxh4 と取ってくれれば 7.Rxh4 で白の勝ちの局面になる。しかし黒はポーンを交換する必要はない。6…Rh3 7.h5 Kg7 8.Rc8 Rxh5 9.Kc6 Rh1! でgポーンがあるので十分対抗できる。あるいは 6…g4 7.Rh5 Ra6+ 8.Kc7 g3 9.d6(9.Rg5 なら 9…Rg6!)9…Ra7+ 10.Kb6 Ra1 でも大丈夫である。

5…Ra6+

 5…Rd3 も可能で 6.Rxg5 なら 6…Rxh3 7.Rg8+ Kf7 8.Rd8 Ra3! 9.Rb8 Rd3! で既に知っているクリングとホルビッツの引き分けの局面(図162)になる。6.Ke6 なら 6…Re3+ 7.Kf6 Rd3 8.Rh7 Rg3 で白は何も進展がない。

6.Ke5 Rg6

 この手は防御をわざわざ難しくした。ここは 6…Ra3 7.Ke6 Re3+ 8.Kd6 Rd3 で前の手の変化手順に移行することができた。

7.Kf5

 7.d6 は 7…g4 8.Rh8+ Kd7 9.Rh7+ Ke8(9…Kd8? はだめで 10.Kd5 から 11.Kc6 で白の勝ちになる)10.d7+ Kd8 11.Kf5 の時黒は軽妙な 11…g3! で助かることができる。7.Rh8+ なら 7…Kd7 8.Rh7+ Ke8! 9.Kf5 Rd6 で本譜の手順に戻る。

7…Rd6 8.Rh7 Kd8!

 この手は絶対手である。8…Rxd5+ は 9.Ke6 でだめだし 8…Kf8 は 9.Ke5 から 10.d6 で白が勝つ。8…Ra6 9.Kxg5 Rd6 は既に出てきたように 10.Kf5 Rxd5+ 11.Ke6 で白が勝つ。

9.Ke5 Ra6!

 この手も絶対手である。9…Rg6 は 10.d6 g4 11.Kd5! で白が勝つ。

10.Rh5 Ra3 11.Ke6 Re3+

 この手は仕方がない。白の狙いは 12.Rh8+ から 13.d6+ で、11…Rd3 では 12.Rxg5 と取られてしまう。

12.Kd6 Ke8

(この節続く)

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開放試合の指し方(139)

第10章 そのほかの布局 ジャック・ピーターズ

ポンツィアーニ布局

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.c3

 ポンツィアーニ布局における白の着想は、d2-d4 と突き(黒が …exd4 と取れば)もう一方のポーンで取り返すことにより強力なポーン中原を作ることである。たいていの 1.e4 布局のように、ポーンをe4とd4に並んで配置することは非常に望ましい。中央の多くの重要な地点を支配し黒より陣地が広くなる。しかし黒は簡単に互角にできるのでポンツィアーニを恐れる必要はない。ポンツィアーニは「無害」布局の中に分類されるべきである。

 白にとっては都合の悪いことに、3.c3 という手は 4.d4 突きのほかに何も狙いがない。黒はこの間隙をぬって反撃することができ、白は中央で支配を確立する機会を見つけることができないようである。

3…Nf6!

 これがグランドマスターたちの選択で、3.c3 の別の欠陥を突いている。つまり白はクイーン翼ナイトを通常のc3の地点に展開できないので、e4のポーンを守る便利な受けがない。さらに黒は展開で先行している。

 最も厳しい応手は 3…d5!? である。

(この章続く)

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実戦に役立つエンディング(203)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 図203 白の手番
アラトルツェフ対チェホーバー、1937年

 またしても白に問題を突きつけている。6.a8=Q は 既に分かっているように 6…Rxa8 7.Rxa8 Kxf2 で引き分けだし 6.Kb7 は 6…Re7+ 7.Kb6 Re8 とされる。しかし白には絶妙な手段がある。もし白のルークがc2にいれば Kb7-b8 でチェックを逃れることができる。その時 …Rxa7 は白ルークがfポーンを守っているのでだめだし …Re8+ も Rc8 と防がれる。それでも白が今すぐ 6.Rc2 と指せば黒は 6…Re6+ 7.Kb7(7.Kc7 なら 7…Re8!)7…Re2! と受けることができる。この手の意味は 8.Rxe2 fxe2 9.a8=Q がチェックにならないことであり 8.a8=Q なら 8…Rxc2 から 9…Rxf2 で明らかに引き分けになる。

 白が勝つためにはさらなる発想が必要である。

6.Kc6!

 この妙着により黒は手詰まりに陥る。6…Rc8+ なら 7.Kb7、6…Re6+ なら 7.Kd7 で白が勝つ。黒キングが白のfポーンから離れると 7.a8=Q とされるのでこれもだめである。最後に、黒ルークがe列から離れると(例えば 6…Rh8)7.Kb7 Rh7+ 8.Kb6 Rh8(8…Rh6+ なら 9.Kc5! Rh8 10.a8=Q で白の勝ち)9.Rc2 Re8 10.Kc7! で本譜に戻る。

6…Kf1(g1)7.Kb7 Re7+ 8.Kb6 Re8

 ここでも 8…Re6+ は 9.Kc5! Re8 10.a8=Q となり白キングが十分近くにいて黒ポーンの昇格を止めることができるのでだめである。

9.Rc2!

 黒キングの位置を利用して 10.Kb7 Re2 11.Rc1+(ここが要点である)を狙っている。この手順中 10…Re7+ ならば 11.Kb8 Re8+ 12.Rc8 で白が勝つ。だから黒キングはg2に戻らなければならない。

9…Kg2 10.Kc7!

 またしても黒を手詰まりに追い込む。黒キングが動くと、あるいは黒ルークがe列を離れると白は 11.Kb7 で勝てる。例えば 10…Kh2 11.Kb7 Re2 12.Rc6 で白が楽に勝つ。この時黒キングは 12…Re8 13.a8=Q Rxa8 14.Kxa8 の後fポーンを取ることができない。

10…Re7+ 11.Kb8 Re8+

 11…Re2 は 12.Rxe2 fxe2 13.a8=Q+ がチェックになり 13…Kxf2 14.Qa2 となって以前に説明したように(図63参照)白が勝つ。

12.Rc8 Rxc8+ 13.Kxc8 Kxf2 14.a8=Q

黒はまもなく投了した。非常に参考になり両者最善を尽くしたエンディングであった。

(この節続く)

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開放試合の指し方(138)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

参考棋譜(続き)

67.d5+! cxd5 68.exd5+ Kxd5 69.Rd7+ 黒投了

 69…Kc4 なら 70.Rd4+ Kc3 71.Re4+! Kd2 72.Bc3+! Kxc3 73.Rxe1 で決まる。

(この章終わり)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(202)

第4章 ルーク・エンディング

4.5 実戦例

 1937年のアラトルツェフ対チェホーバー戦の面白い局面から始めることにする。

 図202 白の手番
アラトルツェフ対チェホーバー、1937年

 一見したところでは局面は黒にとって絶望的なように見える。白のaポーンはとても強力で黒はいずれルークを切らなければならなくなる。これにひきかえ白のfポーンはルークで守られているので黒がこのポーンを攻撃しても成功はおぼつかないように見える。黒は何ができるであろうか。

 しかしルーク・エンディングは複雑極まりないことで有名で、おざなりの分析ではなかなか見つからない予期しない手段が隠れているものである。良く考えてみるとルークを切ってaポーンを消した後黒はfポーンを取れる可能性があることが分かる。次に白が自分のルークを働かせないで勝とうとすると黒はルークで横から効果的にチェックすることができる。さらに白がルークをc2に置いてチェックを防ごうとすると黒には …Re2 とする機会が生まれる。

 もっと詳しい分析を行なうと黒は反撃によってもう少しで負けを逃れることができるところまでいくことが分かる。以下のように非常に正確な指し手によってのみ白は勝つことができる。

1.a7 Re8 2.Ra2 Ra8

 ここまでと次の少しの指し手はほとんど説明を要しない。

3.Kc4 Kg2 4.Kc5!

 ここで白は黒からの …Rxa7 を気にせずにどのくらい白キングがfポーンから遠ざかることができるか読んでおかなければならない。本譜の手は 4…Rxa7 ならば 5.Rxa7 Kxf2 6.Kd4 で大丈夫である。しかし 4.Kb5 は 4…Rxa7! 5.Rxa7 Kxf2 6.Kc4 Ke2! で黒に引き分けを許してしまう。言い換えると白キングは黒が …Rxa7 とできる間はc列および5段目を越えてはいけない。

4…Rc8+

 4…Kf1 は 5.Kb6 Re8 で本譜と同じになる。白が Kb6-b7 を狙っているので黒はルークを逃がさなければならない。

5.Kb6 Re8

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

「ヒカルのチェス」(334)

「Chess」2013年11月号(1/6)

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シンクフィールド杯


セントルイスで満面の笑みの面々(左から右へ)レボン・アロニアン、後援者のレックス・シンクフィールド、ヒカル・ナカムラ、マグヌス・カールセン


カールセンはナカムラのサングラスを頑丈なベルリン防御で迎え撃った

ヤニス・ニシイ

 4選手の招待大会は楽しみの観点からは大きな賭けになるかもしれなかった。各回戦で2試合だけでは戦いのない引き分けは観戦者をひどく失望させることになるかもしれない。しかし主催者が4人のすぐれた強豪戦士を召集すれば、その点にはかなり自信が持てる。そのことはさっそく第1回戦から2試合とも勝負がついたことで証明され、ナカムラ対アロニアン戦では劇的な展開さえ見られた。

 世界でも最高のルイロペス専門家の一人に入るアルメニア選手は新手を繰り出したが、ナカムラの研究にはまった。ナカムラの局後感想「…Nd7 が新手だということは知っていた。しかし Nf5 とそれへの正着の …Nf6 のあと Ne7 で交換できることは分かっていたが、彼が …d5 と突くつもりだという気がしていた。」白は少し優勢になったが、アロニアンは局面の支配を取り戻しほとんど互角の形勢になった。ナカムラはそのとき引き分けを提案するつもりだったと語った。引き分けは大会規則により30手を過ぎたあとでないと提案できなかった。しかし・・・

 ここは 30…Qc6 でたちまち引き分けの握手である。しかしアロニアンは 30…Qb5?? と指してしまった。彼はクイーン交換のあと 32.Nd7 で白が交換得になることを見落としていた。黒は Nf6+ の両当たりがあるので 32…Re8 と指せない。

 アロニアンは「あれは小さな子供たちに教えてやることの一つだ。一本道の手順は何かポカをしていないか見直せと。」とコメントした。「友人たちに何度も言ってきた。穴があったら入りたい。」つまらないミスはもちろん引き分けになることを期待しているときにも起こる。しかしアロニアンがいみじくも「チェスにはいいことがある、あのようなポカで負けたあと謙虚になることだ」と言ったように、チェスは世界のナンバー2でさえほんのちょっとした集中力のゆるみが致命的になることのある競技である。

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

開放試合の指し方(137)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

参考棋譜(続き)

38.g5! fxg5 39.Bxg5 exd4 40.Rxf7 Kxf7 41.cxd4 Nf6 42.Kf4

 白の次の目標は d4-d5 突きである。

42…a5!? 43.Ra4 Bxb3 44.Rxa5 Ng4 45.Ra3 Be6 46.Nd3 Kg7 47.Ne5 Rc8

 ラルセンは異色ビショップの引き分けになりやすい評判を気にも留めない。というのも自分のキングがたえず黒枡を通って黒陣への侵入を狙っているからである。

48.Be7 Re8 49.Bd6 Nxe5 50.Bxe5+ Kf7 51.Kg5 Bg4 52.Ra1 Re6 53.Rb1! Re7 54.Rf1+ Ke8 55.Kxg6

 このポーンを取っても白にパスポーンはできないが、これで黒のhポーンが攻撃の対象になり白は d4-d5 と突く用意ができる。黒のビショップは両方の狙いに対処できない。

55…Kd7 56.Rf4 Be2 57.Bd6 Re6+ 58.Kg5 Bd3 59.Be5!

 もちろん 59.e5? は黒が白枡でせき止めることができるようになる。

59…Be2 60.Rf2 Bd3 61.Kf4 Rg6 62.Ke3 Bc4 63.Rf5 Rg1 64.Rxh5 Re1+ 65.Kf4 Bd3 66.Rh7+ Ke6?!

 66…Ke8 でも 67.Rxb7 で絶望である。

(この章続く)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

[復刻版]実戦に役立つエンディング(201)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 ここでの黒の主要な防御手段は横からのチェックなので白はgポーンを先に進めたら良いのではないかという考えが浮かんでくる。そうすれば白が両方のポーンを進めて行く時キングを守る役割も果たす。確かにこれはほとんどの場合勝つための正しい手段となる。うまくいかないのは白のポーンがほとんど進んでいない時くらいである。図201はこの型の局面の良い例である。

 図201

 この局面でどちらの手番かで結果が変わってくるとはほとんど信じられない。白の g4、Kg3、h3、Kh4、Ra6+、g5、Kg4 という狙いに対して黒はほとんどなすすべがないように見える。実際白の手番ならばそのとおりである。その手順を見てみよう。

1.g4 Ke6

 黒の唯一のチャンスはこのようにキングがクイーン翼に駆けつけることである。1…Rb2 は 2.Kg3 Rc2 3.h3 Rb2 4.Kh4 Rh2(白の狙いは 5.Ra6+ から 6.Kh5 だった)5.Ra6+ Ke5(5…Kf7 なら 6.g5 から 7.Kg4 で白が勝つ)6.Kg5 Rxh3(6…Kd4 なら 7.h4 Kc3 8.h5 Kb2 9.Kh6 の後gポーンを進めて白が勝つ)7.Rxa2 Rh1 8.Re2+ から 9.Kf6 で白が勝つ。

2.Kg3 Kd6 3.h3

 意外なことに白は 3.h4 と指すことができない。そう指すと黒は横から白キングをチェックして白のポーンから離れさせてから …Rc4 として引き分けにできる。3.g5 なら黒は 3…Rc5 で引き分けにできる。

3…Kc6 4.Kh4

 ここでも白は自分のキングを無防備にしてはいけない。4.g5 は 4…Kb6 5.Ra8 Kb5 で黒は横からのチェックを狙い、白キングは4段目に上がると黒に …Rc4+ から …Ra4 とされるのでそうできなくなる。gポーンは白キングの安全が確保されるまで前に進めることができない。

4…Kb6 5.Ra8 Kb5

 白の狙いは 6.g5 から 7.Kh5 だった。

6.Kh5 Kb4 7.g5

 黒が 7…Rc5+ から 8…Ra5 を狙っていたので白は慎重に手を進めなければいけない。

7…Kb3 8.h4!

 最後まで正確さが要求される。8.g6? は 8…Rc8! 9.Ra7 Rh8+ 10.Kg4 Rh6! で引き分けになってしまう。

8…Rc1

 8…Rc8 なら 9.Rxa2 Kxa2 10.g6 Kb3 11.g7 Kc4 12.Kg6 Kd5 13.h5 Ke6 14.h6 で白が勝つ。黒キングが遠く離れ過ぎている。

9.g6 a1=Q 10.Rxa1 Rxa1 11.g7 Rg1 12.Kh6 Kc3 13.h5

 最後まで油断は禁物である。13.Kh7? は 13…Rh1! で引き分けになってしまう。

13…Kd4 14.Kh7 Ke5 15.g8=Q

これで白が勝つ。

 黒キングは一手遅い。

 図201で黒の手番ならば黒がすぐにクイーン翼で活動を始められることに読者はもう気付いていることだろう。ここでちょっと注意するともし白ルークが少し不利な位置、例えばa5でなくa4にいたら黒は楽に引き分けにできる。その手順は 1…Kf5 2.Ra5+ Ke4 3.g4 Kf4 4.Ra4+(4.g5 なら 4…a1=Q)4…Kg5 で引き分けである。それでは図201に戻り黒の手番として分析しよう。

1…Ke6! 2.g4 Kd6 3.Kg3

 3.g5 は 3…Ke6! で 4…Rc5 を狙われるのでまだ早い。

3…Kc6 4.h3

 前にも出てきたように白はこれより早くポーンを進めることはできない。4.g5 なら 4…Kb6 5.Ra8 Kb5 で白キングは横からのチェックから身を隠せない。

4…Kb6 5.Ra8 Kb5 6.Kh4

 前に出てきたのと同じ方針である。gポーンを盾として用いて自分のキングを進めて行く。

6…Kb4 7.g5 Kb3 8.g6

 8.Kh5 なら 8…Rc1 で本譜に戻る。

8…Rc1

 8…Rc4+ 9.Kh5 Ra4 10.Rxa4 Kxa4 11.g7 a1=Q 12.g8=Q でも引き分けだが本譜の方が簡明である。

9.Kh5

 9.g7 は 9…Rg1 とされて良くない。

9…a1=Q 10.Rxa1 Rxa1 11.g7

 11.h4 Kc4 でも明らかに大した違いはない。

11…Rg1 12.Kh6 Kc4 13.Kh7 Kd5 14.g8=Q Rxg8 15.Kxg8 Ke5

 白の最後のポーンが取られてしまうので引き分けは明らかである。

 面白いルーク+ポーンのエンディングはまだまだたくさんあるが読者は既に基本的な理論を十分身につけて自信を持ってこれらのエンディングに対処していけることと思う。最後にこれまでの基本的な知識がどのように実戦に生かされるかを幾つかの例で見ていこう。

(この節終わり)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

開放試合の指し方(136)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

参考棋譜(続き)

 同じ大会の数回戦前の試合でグリゴリッチは 10…b6 11.Qe2 Nd7 12.Bg5 f6 13.Be3 Re8 14.Nd2 Nf8 15.f4 exf4 16.Bxf4 と指した。白は広さでまだ優勢かもしれないが、グリゴリッチはこのラルセンとの試合を引き分けた。

11.Nd2 Nd7 12.Qh5 Nc5

 この手は 13…Ne6 で f2-f4 突きを防ぐことを狙っている。

13.f4! exf4 14.Rxf4 Qe5 15.Qxe5 dxe5 16.Rf2

 このあとは長い捌きの手順が続く。白は g2-g4-g5 と突いていきたいのだが、黒もうまく守る。いずれ白は c2-c3 から d3-d4 と突いていかなければならない。その一方で黒に …f7-f5 と突く機会を与えることは避ける。

16…Ne6 17.Nf3 f6 18.Be3 a6 19.Nh4 Bd7 20.Nf5 Rae8 21.h3 Rf7 22.Kh2 Nf8 23.g4 Ng6 24.Ng3 Ne7 25.Raf1 Be6 26.Ne2

 26.g5 fxg5 は黒が良い。

26…Nc6 27.Kg3 Nb8 28.Nc3 c6

 29.Nd5 が非常にうるさい手になるところなので、この手は譲歩した手である。

29.c5!

 白はb6とd6の新たな弱点に目をつけた。

29…Nd7 30.Na5 Rd8 31.h4 Rdf8 32.Nb2 Rc8 33.Ra1 Kf8 34.Ra4! Ke8 35.Rb4 Rc7 36.c3 g6?

 黒は Nc4-d6 の狙いに難なく対応した(…Bxc4 と応じただろう)が、白の中央での動きに冷静さを欠いた。必要なのは待つ戦略だった。

37.d4 h5

 黒が 37…f5 と突くつもりだったのなら、ここで 38.gxf5 gxf5 39.exf5 Bxf5 に 40.Nc4! と来られることに気づいただろう。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(200)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 今度は白のポーンの一つがルーク列にあるもっと困難な状況を取り上げよう。この場合白キングが横からのチェックに対して十分な遮蔽ができないので黒の防御の可能性ははるかに大きくなる。この古典的な例が図200である。

 図200 黒の手番
タラシュ対チゴーリン、1893年

 この局面は1893年のタラシュ対チゴーリンの番勝負に現れた。ここでも黒は自分のルークをポーンの前に置くか横に置くかの選択権があった。図199と対照的に黒ルークは白キングをチェックできるように横から自分のポーンを保護するのが最善であった。そうすれば黒は引き分けにできるがルークをポーンの前に置けば負けてしまう。

 実戦ではチゴーリンは間違った方の方針を選び次のように負けてしまった。1…Ra2? 2.Kg4 Ra1 3.Ra6+ Kf7 4.Kg5 a2 5.g4(白のポーンは十分進んだ。)5…Ke7 6.Ra7+ Ke8 7.h5 Kf8 8.h6 Rb1(8…Kg8 なら 9.Kg6)9.Rxa2 これで白の簡単な勝ちである。後に敗者は優れた分析の中で正しい防御を指摘した。

1…a2!

 これで白ルークはa列から離れられない。1…Rc3 ではそうはならない。

2.h5+ Kf6

 2…Kh6 でも良く 3.Kh4 Rh2+ 4.Kg4 Rb2 5.Ra6+ Kg7 6.Kg5 Rb5+ 7.Kh4 Rb2 8.g4 Kf7! で本譜と同じになる。

3.Kh4

 勝てるとしたらこの手しかない。3.g4 は 3…Rc5! 4.Rxa2 Kg5! で理論的な引き分けの局面になる。

3…Rh2+

 白のgポーンの前進を防ぐことはできないので黒はルークで手待ちをしても良かった。

4.Kg4 Rb2 5.Ra6+ Kf7

 5…Kg7 6.Kg5 Rb5+ 7.Kh4 Rb2 8.g4 Kf7! でも引き分けになる。

6.Kg5 Rb5+

 黒は自分のキングが最下段に追い込まれないようにするためにこの手は必須である。例えば 6…Rc2? は 7.Ra7+ Kg8 8.g4 の後 9.h6 から 10.Kh5 で白が勝つ。本譜の手で白キングは後退しなければならない。7.Kh6? は 7.Rb6+! を招いてしまう。

7.Kh4 Rb2 8.g4 Rc2

 8…Kg7? は 9.h6+ から 10.Kh5 で白の勝ちになるので不可である。この防御では白ルークがa6にいる時 9.Kg5 Rc5+ 10.Kh6? に対して 10…Rc6+! が可能なように黒キングがf7にいることがどうしても必要である。本譜の手に対して白は何も進展が図れない。

9.h6

 9.Ra7+ なら 9…Kf6 10.g5+ Kf5 11.h6(11.Ra5+ なら 11…Kf4)11…Rh2+ 12.Kg3 Rh1 13.Rxa2 Kxg5 で引き分けになる。又 9.g5 なら 9…Rc4+ 10.Kg3 Rc3+ 11.Kf4 Rc4+ 12.Ke3 Rh4 13.h6(13.g6+ なら 13…Kg7 14.Ra7+ Kg8)13…Rg4で引き分けになる。

9…Rc6!

これで引き分けになる。

(この節続く)

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布局の探究(74)

「Chess Life」1993年7月号(4/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

開放試合で白は中央に向かって取るべきか(続き)

(C)dxe5 対 fxe5

 開放試合ではこの選択は白が早く e5 と突き黒が …dxe5 と応じて生じるのが普通である。だから白が二重ポーンにされることはない。dxe5 は「中央から離れて」取り返すのではないことを強調しておく。というのは中央の一級のeポーンが中央の一級のdポーンによって置き換えられるからである。それでも白の中央が強化されたわけではない。強化のためには「中央に向かって」fxe5 と取り返すことが必要である。さらにはf列に沿っての白の攻撃の可能性が増すことがよくある。一般的には dxe5 は陣地の広さの優位の状況で快適な堅固さを白にもたらし、fxe5 はそれ以上を追求する意欲的な手段をもたらすと言うことができる。

 ピルツ防御に対するオーストリア攻撃の次の戦型では、取り返しの選択における現代の見方を示してくれる。

1.e4 d6 2.d4 Nf6 3.Nc3 g6 4.f4 Bg7 5.Nf3 O-O 6.Bd3 Nc6 7.e5 dxe5(B09)

(1)8.dxe5 Nd5 9.Bd2

 白は中央が安定し広さでも優っているので、これらの優位を積み重ねていくことを期待している。黒の前途は以下の手順に見られるように全然容易でない。

(a)9…Nxc3 10.Bxc3 Bf5 11.Bxf5 Qxd1+ 12.Rxd1 は1972年アムステルダムでのI.サボー対H.ドナー戦だが、明らかに白の有利な収局である。

(b)9…Bg4 10.Be4 e6 11.h3 Bxf3 12.Qxf3 Nd4 13.Qf2 c5 ここで 14.Na4! で 14…f6 に 15.c3! の狙いで白が優勢である(GMスエティン)。

(c)9…Ndb4 10.Be4 f5 11.Bxc6 Nxc6 12.Qe2 のあと 13.O-O-O で白が明らかに優勢である。

 私の考えでは黒は迅速に戦力を再編成して十分な反撃をひねり出さなければならない。1974年ロサンゼルス国際大会でのN.ワインスタイン対E.メドニス戦を追うことにする。

9…Ncb4! 10.Be4 Nb6 11.a3 Na6 12.Qe2 Nc5 13.O-O-O Nxe4 14.Nxe4 Qe8!

 黒はクイーンを働かせる用意をした。例えば 15.Nd4 なら 15…Qa4! 16.Be3 Qc4 で互角になる。

15.Rhe1 Be6 16.Nd4 Bd5! 17.Qf2 Qc8!

 黒は 18.Nf6+ の狙いをかわし、18…c5 突きの用意をした。白はここで 18.Nc3 でほぼ互角の形勢に満足すべきだった。攻撃しようとしたために黒にクイーン翼で押しまくられ始めた。

18.Qh4? c5 19.Nf3 f6 20.Bc3 Qc6 21.Nf2 Na4! 22.Re3 b5 23.Ng4 Nxc3 24.Rxc3 Rad8! 25.exf6 exf6 26.f5 Be4! 27.Rxd8 Rxd8 28.b4?! Bxf5 29.Ne3 Be6 30.Nd4 Qd7! 31.Nxe6 Qxe6 32.bxc5 Qa2 33.Rd3 Rxd3 34.cxd3 Qxa3+ 35.Kd2 Qxc5 36.Qe4 f5 37.Qe6+ Kf8 38.Nd5 b4 39.Qd7 Bh6+ 40.Ke2 Qc2+ 41.Ke1 Qd2+ 白投了

(2)8.fxe5

 白がこれでうまくやっていけるなら、これが文句のない取り返し方である。事実上fポーンを黒のdポーンと交換したことにより、白は中央での優位を大きく拡大した。さらに白の中央の2個の一級ポーンは、dポーンが4段目にありeポーンが5段目(黒陣側に入り込んでいる!)にあって活動的な位置にある。一方黒の中央の一級ポーン-eポーン-はまだe7の地点に留まったままである。白の目標はまず中央と広さの優位を固めてから、それを用いて黒にさらに圧力をかけることであるはずである。黒は白の中央に挑んでいかなければならない。さもないと生き埋めにされてしまうかもしれない。だから黒のキング翼ナイトにはまともそうな行き場所が5箇所あっても、そのうちの二箇所の 8…Ne8?! と 8…Nd7 は本質的に守り一方で十分な反撃の見通しがない。ほかの三箇所は次のように主眼の手順になる。

(a)8…Nd5 は「Encyclopedia of Chess Openings B」(改訂版)では高い評価を得ているが、私は信頼していない。9.Nxd5 Qxd5 10.c3 Be6 11.O-O Rad8 12.Bf4! Qd7 13.Qe1 となれば、白は中央が安全になりキング翼攻撃の見通しも有望さを保持している。1988/89年レッジョ・エミーリアでのJ.エールベスト対V.アーナンド戦では白が次のように勝った。13…Bf5 14.Bxf5 Qxf5 15.Qg3 h6 16.Rae1 Qe6 17.a3 Na5 18.Bg5! Rd7 19.Qh4! h5 20.b4 Nc4 21.Bc1 Nb6 22,Ng5 Qc6 23.e6 fxe6 24.Rxf8+ Bxf8 25.Qf2! 黒投了

(b)8…Ng4 は数多く指されているがうまくいっていない。キング翼ナイトがどうしてもスムーズに試合に戻れない。例えば 9.Be4 f6 10.h3 Nh6 11.exf6 exf6 12.Bd5+ Kh8 13.O-O Nf5 14.Re1 となると、白駒の方がよく働いていてdポーンが中央の要所を押さえている。1971年ソ連でのゴロベイ対ボリセンコ戦では黒が戦術で締め付けから逃れようとしたが、14…Ncxd4 15.Nxd4 Nxd4 16.Qxd4 c6 17.Bf4 cxd5 18.Nxd5 Bf5 19.Re7 となって白駒が盤上を支配し続けた。

(c)8…Nh5 は「試行錯誤」として知られる研究手法のおかげで最善の地点になった。9.Be2 Bg4 10.Be3 f6! 11.exf6 Bxf6 12.Ne4 Qd5 13.Nxf6+ exf6 14.O-O Rae8 15.Bh6 Ng7 のあと1980年ソ連でのカタリモフ対クズィミン戦では黒がスムーズに展開を完了した。白は唯一中央での一級ポーンを持っているので 16.c3 でわずかに優勢を保持している。

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開放試合の指し方(135)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

参考棋譜
白 ベント・ラルセン
黒 L.レンジェル
インターゾーナル・アムステルダム大会、1964年

1.e4 e5 2.Bc4 Nf6 3.Nc3 Nc6 4.d3 Bb4 5.Nf3 d6 6.O-O Bxc3 7.bxc3 Na5 8.Bb3 Nxb3 9.axb3 O-O 10.c4 Qe7

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(199)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 次は白の連結ポーンが共にパスポーンの場合を分析しよう。この場合通常は白の勝ちとなる。しかし幾つかの例外があり特にどちらかのポーンがルーク列にある場合がそうである。まず図199の面白い例から始めよう。

 図199

 白のポーンはルーク列にいないので先に述べたように白が勝つはずである。しかしこの局面で特徴的なことは黒が自分のルークをポーンの前においておくか横から守るかを選択することができることである。以下の分析から分かるようにどちらの方策を取っても黒は助からない。

1…Ra1

 黒が横からポーンを守った方が白にとっては難しい。例えば 1…Rb2 2.Ra4 a2 3.Ra6(3.Kf4? は 3…Rb4+! があるのでだめである)3…Kf7 4.g5 Kg7 5.Kg4 Kf7(黒は手待ちするしかない)6.f4 Kg7 7.f5 Rg2+ 8.Kf4 Rf2+ 9.Ke4 Re2+ 10.Kf3 Rb2 11.Ra7+ Kf8 12.g6 Kg8 13.f6 で黒がポーンを諦めなければならないので白が勝つ。

2.Ra4 a2 3.Kg2!

 勝つ手はこの手だけである。3.Kf4 でも良さそうだが 3…Kf6 4.Ra6+ Kg7 5.g5(5.Kg5 は 5…Rf1 6.Ra7+ Kg8 7.Rxa2 Rxf3 で引き分けになる)5…Kf7 で引き分けにしかならない。ここで 6.Kf5 と指しても 6…Rf1 である。しかし白のfポーンがf2にあったら 3.Kf4 で白が楽に勝てる。白がキングを進めると共にgポーンを突いていけば黒は詰みを逃れるためにポーンを放棄しなければならない。f2が白ポーンの最適な位置で、白ルークが黒のポーンを取った時自動的にこのポーンを守ることになる。

3…Kf6 4.f4 Ke6 5.Ra5

 白はポーンを前進させる際には注意が必要である。5.Ra6+ Kd5 6.g5 Ke4 7.g6 は 7…Rb1! で引き分けになってしまう。

5…Kf6 6.Ra6+ Kg7 7.f5 Kf7

 7…Rb1 なら 8.Rxa2 Kf6 9.Ra6+ で白が勝つ。

8.g5 Kg8

 8…Rb1 なら 9.Rxa2 Rb5 10.Rf2 で白が勝つ。

9.Ra7 Kf8 10.g6

 これで白が勝つ。

 白は 11.f6 から詰みを狙っている。これに対して 10…Rb1 としても 11.Rxa2 Rb5 12.Rf2 で黒の負けである。

 この例から分かることは黒ルークが自分のポーンの横にいるよりも前にいる方がより多くの困難を白に与えることができるということである。[訳注 1手目の説明と反対のことを言っているようです。]これに対して白はポーンの一つを原位置にとどめるべきでそれができれば勝ちは易しくなる。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

開放試合の指し方(134)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 白は奇妙なポーン陣形がわずかな優勢の元になっている。ポーンは中央に近くて支配するのに役立っている。f2-f4 と突いて f4-f5-f6 突き(たぶん g2-g4-g5 の支援を伴って)キング翼を襲撃するか、fxe5 でf列を素通しにすることができる。黒陣にはこれといって目立つ弱点がないけれども、守勢に陥っている。自陣を解放するには …d6-d5 とポーンを突くしかないが、白はすぐにそれを阻止することができる。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(198)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 このような局面では既に述べたように白キングがポーンの右側で活動する十分な余地がないので白はほとんど何もできない。ということは図196の局面を1列左に移動すると(図198)白キングの進入が間に合えば白の勝つ可能性がかなり高くなる。

 図198

 白の勝つ手順は次のとおりである。1.Rb7+ Ke6 1…Kf8 なら 2.Kg5 Ra6 3.Rd7 から 4.Rd6 で白が勝つ。2.Kg5 Rg1+ 3.Kh6
ここが要所である。3…Rg4 4.Rb6+ Ke7 5.Rf6 Kd7 6.Kh7!
すぐ分かるように白は見合いを取らなければならない。6…Ke8 7.Kg8! Ke7 7…Rg1 なら 8.Kg7 Rg4 9.Rf7 で白が勝つ。8.Kg7 Ke8 9.Rf7 Kd8 9…Rg1 なら 10.Kf6 Rg4 11.f5! gxf5 12.Ra7 で白が勝つ。10.Kf8 Rh4 白の狙いは 11.e6 である。11.e6 Rh8+ 12.Kg7 Rh4 13.Kxg6
これで白が勝つ。図198で黒の手番ならばもちろん白キングの進入を止めることができて 1…Rg1+ 2.Kf3 Ke7 で引き分けにできる。

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(103)

「Chess Life」2005年9月号(3/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

反ベンコー[A43](続き)

戦型B)1.d4 Nf6 2.Nf3 c5 3.d5 b5 4.Bg5 Qb6

 黒はこの手でf6のナイトを守り、Bxf6 と取られたあとポーンで取り返してf列に二重ポーンができるのを避けている。

5.Bxf6

 このいつもの手のほかに、次のようにポーンの犠牲を伴う面白い意欲的な変化もある。5.a4 bxa4?! 6.Nc3 Qxb2 7.Bd2 Qb7 8.e4 d6 9.Rb1 Qc7 10.e5 dxe5 11.Nb5 Qd8 12.Nxe5

 ここで黒はポーン狩りをやめた方が良い。12…Nxd5? と取ると 13.Qf3 f6 14.Qxd5! Qxd5 15.Nc7+(両当たり)15…Kd8 16.Nxd5 fxe5 17.Ba5+ Kd7 18.Nc7 で白の勝ちになる。2003年のナウムキン対ジョーンズ戦では黒がもっと用心深く 12…a6 13.Nc3 e6 14.dxe6 Bxe6 15.Qf3 Ra7 16.Bf4 と指した。白はまた十分な代償を得ていた。そもそも黒は 5…b4 でクイーン翼を閉鎖した方が良い。

 白は 5.Nc3 b4 6.Na4 Qa5 7.Bxf6 gxf6 8.b3 と指したこともあり、8…f5 9.e3 d6 10.Bd3 で Nh4 から Qh5 を狙ってうまくいった。

5…Qxf6

 これで黒は多くの問題を抱えていないように見える。

6.c3 Na6

 ムチェドリシビリ対チャン戦(エレバン、1999年)では黒がまず 6…Qb6 でクイーンをクイーン翼に戻すという別の面白い着想を披露し次のように進んだ。7.e4 g6 8.Nbd2 Bg7 9.a4 b4 10.Nc4 Qb7 11.Qc2 bxc3 12.bxc3 d6 13.Be2 Qc7 14.O-O O-O 15.Rab1 Nd7 16.Nfd2 Ba6

7.e4 Rb8 8.Nbd2

 ここで黒は控え目な方の 8…Nc7 か創造的な方の 8…g5 を選択することができる。

8…g5

 より安全でたぶんもっと良い手段は 8…Nc7 9.Bd3 e5 10.dxe6e.p. dxe6 11.e5 Qf4 である。

9.e5

 9.Bd3 は2003年のへブデン対スルスキス戦では 9…g4 10.Ng1 h5 で黒が好調だった。

9…Qf5 10.h3 Nc7 11.a4 b4 12.Bc4

 この複雑で変わった局面は白の方が少し良いと思う。

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開放試合の指し方(133)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 これは控え目な手だが、代わりに 4.f4? は 4…Nxe4! 5.Nf3(5.Nxe4 は 5…d5 で有利な態勢で取り返される)5…Nd6!(5…Nxc3? は 6.dxc3 exf4 7.Bxf4 で白が展開で大きく差をつける)6.Bb3 e4! で事実上咎められる。もし白が 7.Ng5 h6 8.Ngxe4 でポーンを取り返せば、8…Nxe4 9.Qe2(9.Nxe4 Qe7 10.Qe2 Nd4)8…Nd4! 9.Qxe4+ Qe7 となって黒のポーンの形の方が良く(白の進んだfポーンが白陣を弱めている)全体として黒が少し優勢である。

 4.Nf3? も 4…Nxe4! で悪い。この「両当たりのひっかけ」は中央の戦いにおいて繰り返される主題である。5.Nxe4 d5 6.Bd3 dxe4 7.Bxe4 Bd6 のあと黒の中央の方が強力になる。5.Bxf7+? は 5…Kxf7 6.Nxe4 d5 7.Neg5+ Kg8 でずっと悪い。黒キングは …h7-h6 突きで安全な所にたどり着き、キング翼ルークはキング翼ビショップが動いたあとf8かe8の地点に展開できる。g5の白ナイトは(…h7-h6 突きによって)つまらないh3の地点に押し戻され、中央で白のポーンの方が少なくなる。黒の方がはるかにいい体勢である。

4…Bb4

 黒は白のナイトを釘付けにして、それにより白のd5の地点の支配を減少させた。4…Na5?! は白が狙いを黙殺!するので本筋の点で劣る。5.Nge2! Nxc4 6.dxc4 d6 7.O-O Be6 8.b3 のあと、白のc4とe4のポーンがd5の地点に圧力をかけて …d7-d5 突きを防いでいるので、黒が活発に動くのは難しい。半素通しd列も白に味方している。

5.Nf3!

 ラルセンの発見の一つは、このさりげない手のあと黒の防御が少しも楽でないということだった。

 5.Nge2?! では黒が 5…d5! 6.exd5 Nxd5 で中央を開放できる。そしてd5のナイトを …Be6 で支え、駒交換になっても局面が単純化するだけで互角の形勢は変わらない。

 5.Bg5 の一つの利点は …d7-d5 と突かせないことである。しかし 5…h6! がビショップの「態度を聞く」。もしビショップが退けば黒はいつでも …g7-g5 突きで釘付けを解消できる。例えば 6.Bh4 d6 7.Ne2 Be6 8.O-O? と進めば 8…g5! 9.Bg3 h5! と指すことができ、白はすぐにポーン雪崩に埋められる。代わりに 6.Bxf6 と取って 6…Qxf6 に 7.Nge2! のあと O-O から Nd5 を狙えば、黒は 6…Qxf6 と取る前に 6…Bxc3+! 7.bxc3 を入れておく。そうすれば白はd5への経路がc3のポーンによってふさがれる。形勢はやはり互角である。

5…d6

 ここで 5…d5?! と突いても 6.exd5 Nxd5 7.O-O! のためあまりうまくいかない。黒はナイトを 7…Be6 で楽に支えることができない。8.Ng5! Nxc3(8…Bxc3 9.Nxe6!)9.Nxe6! Nxd1 10.Nxd8 Rxd8 11.Rxd1 となって、白が相手のいない強力なキング翼ビショップのために収局で有利になるからである。しかし白のポーン捨てを 7…Nxc3 8.bxc3 Bxc3 で受諾するのも 9.Ng5! に見舞われる。白はf7の地点を狙い、Ba3 から Qh5 を策している。

6.O-O

 白は釘付けをはずした。ここで黒は白が 7.Bg5 から 8.Nd5 と指せる前にナイトを取るのが良い。

6…Bxc3

 この手と次の2手で黒はd5の地点に利く白の2小駒と交換する。これで陣形が楽になり互角に近づく。

7.bxc3 Na5! 8.Bb3

 今度は 8…Nxc4 の狙いを無視できない。なぜなら三重ポーンが …Be6 と …Nd7-b6 による攻撃にとてももろくなるからである。

8…Nxb3 9.axb3 O-O

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(197)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 注意すべきは白キングが中央から進入できたとしても勝つことができないということである。

 図197

 白はほとんど何もできない。1.Rd7+ でポーン・エンディングに行くのは 1…Rxd7 2.Kxd7 Kf6 から 3…h5 で引き分けになる。1.f6+ は 1…Kg6 で何も良くならない。1.Rb61…Rc7 2.Rb8 Rc6+ 3.Ke7 Rc7+ 4.Ke8 Rf7 から 5…h5 でやはりだめである。

(この節続く)

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開放試合の指し方(132)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 3…Nxe4 の局面

 4.Nxe4? d5 も 4.Bxf7+? Kxf7 5.Nxe4 d5 も白にとって満足できないので、分析家たちは 4.Qh5!? Nd6 5.Bb3(5.Qxe5+ Qe7 は互角にしかならない)5…Nc6 を推奨した。そして白は次のように一本道でルーク得になる。6.Nb5!(7.Nxd6+ からf7での詰みの狙い)6…g6 7.Qf3(狙いを復活させた)7…f5 8.Qd5!(またしても!)8…Qe7 9.Nxc7+ Kd8 10.Nxa8 b6 しかし白ナイトは取られる運命で、黒は白クイーンをいじめることにより手得しながら猛攻をかける。実戦では白の成績が非常に悪かったので、アダムズは嫌になって 6.Nb5! を見捨てた。しかし 11.d3 Bb7 12.h4(13.Bg5 の狙い)12…f4 13.Qf3! Nd4 14.Qg4(15.Qg5 でクイーン同士を交換する狙い)14…Bh6 15.Nh3 となれば、後の研究で明らかになったように白の陣容にまとまりがある。しかし要は非実用的なことで、黒は(5…Nc6 の代わりに)単に 5…Be7! と指すことができる。6.Qxe5 O-O または 6.Nf3 Nc6 7.Nxe5 O-O と進んでも白に全然有利さがない。現在のところ 3…Nxe4!? は互角になると考えられている。

 ほかに考えられる手は 3…Bb4 で、…c7-c6 から …d7-d5 と突くつもりである。白は 4.Nf3 d6 5.O-O と応じるのが良く、黒は 5…Nc6 6.d3 で主手順に移行するしかない。

 最後に、3…Nc6 は最も融通性のある手である。黒はナイトを好所に展開し、e5とd4の地点を守り、キング翼ビショップの行き先を早まって決めるようなことをしない。

4.d3

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(196)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 ここからは白の連結ポーンの一つがパスポーンとなっている局面を考えていこう。この場合白の勝つ可能性は非常に高くなり黒はまれにしか引き分けにすることができない。図196はよく見かける局面である。

 図196 白の手番
(ケレス対スミスロフ、1949年)

 この局面(実際は色が逆)は1949年のケレス対スミスロフ戦に現れた。白は右側に1列足りないためにキングが侵入できないのが主たる理由で勝つことができない。実戦は次のように進んだ。

1.Rc7+ Kf6

 黒キングは最下段に下がってはいけない。 1…Kg8 ならば 2.Kh5 Rb6 3.Re7 から 4.Re6 で負けてしまう。

2.Rc6+

 2.Rh7 なら 2…Rh1+ 3.Kg3 Rg1+ 4.Kf3 Rh1 で引き分けになる。

2…Kg7 3.Rg6+ Kh7 4.Re6 Kg7 5.Kg3 Rf1

 白キングを中央に行かせないこの手が最も簡明である。

6.Re7+ Kf6 7.Rh7 Rh1 8.Kg2 Rh4 9.Kf3 Rh1

 白は何も進展がなかった。この後は 10.Rh8 Kg7 11.Rd8 Rf1+ 12.Kg2 Rf4 13.Rd7+ Kf6 14.Rd6+ Kg7 15.Kg3 と進んだところで引き分けが合意された。

(この節続く)

2013年11月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

開放試合の指し方(131)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 3.Bc4 の局面

3…Nc6

 また選択肢が四つある。3…Nc6、3…Bc5、3…Nxe4!? そして 3…Bb4。

 3…Bc5 は黒が 4.Nf3 Nc6 でジオッコピアノ(第2章の 1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.d3 d6 5.Nc3 Nf6 を参照)に移行する気があることを示している。しかし白は代わりに 4.d3 d6 5.f4 Nc6 6.Nf3 でキング翼ギャンビット拒否に誘導することができる。これは通常は 1.e4 e5 2.f4 Bc5 3.Nf3 d6 4.Bc4 Nc6 5.Nc3 Nf6 6.d3 から生じる(第8章)。だから 3…Bc5 はほとんど独立に扱う価値がない。別の布局に移行するのが普通である。

 ウィーバー・アダムズを困惑させた戦型は 3…Nxe4!? から始まる。

(この章続く)

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「棚ぼた式独立」の傷うずく韓国

産経新聞電子版2013年11月8日付
「棚ぼた式独立」の傷うずく韓国

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(195)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 この例から分かるように白がポーンをずっと先まで進めることができたなら黒は非常に大きな困難を抱えることになる。白のポーンが中央列にあればキングの動ける範囲が広がるので白の勝つ可能性は当然もっと大きくなる。図195はそのような状況で黒の直面する危険性を示してくれる。

 図195 白の手番
1956年のある試合より

 これは1956年にモスクワで行なわれたある試合の局面である。この試合は判定に委ねられ白の勝ちと判断された。しかし後でレベンフィッシュは次のように引き分けになると指摘した。

1.Kg5 Rc5!

 白が 2.f5 で図194のような勝ちの局面を作るのを妨げるための唯一の受けである。さもないと黒は以下のように負ける。

1…Rc1 2.Rb7+ Kf8 2…Ke6 は 3.f5+ Kxe5 4.Re7+ Kd6 5.Rxf7 で白が勝つ。3.f5 Rh1 3…Rc6 なら 4.Rb8+ で白が簡単に勝つ。例えば 4…Ke7 5.f6+ Ke6 6.Re8+ Kd5 7.Kh6 である。又は 4…Kg7 5.f6+ Kh7 6.Re8 で 6…Rc1 なら 7.e6[訳注 7…Rc5+ で引き分けのようです]、6…Rc5 なら 7.Re7 Kg8 8.Kh6 Rc8 9.e6! fxe6 10.Kg6 である。4.Ra7! しかし 4.Rb8+ は早急で 4…Ke7 5.f6+ Kd7 6.Rf8 Rg1+ で黒は自分のキングがf5に行けるようになるまでチェックし続ける。本譜の手は手詰まりを用いて黒ルークをもう1段上に近づけさせる。4…Rh2 5.Ra8+ Ke7 5…Kg7 なら 6.f6+ Kh7 7.e6! である。6.f6+ Kd7 7.Rf8 Rh7 7…Rg2+ は 8.Kf4 Ke6 9.Re8+ Kd5 10.Rd8+ Kc6 11.Rf8 でだめである。8.Kf5 Rh5+ 9.Kf4 Rh7 10.Kg5 Ke6 10…Kc6 は 11.Re8 で白が勝つ。11.Re8+ Kd5 12.e6 fxe6 13.Kg6 から 14.f7 で白が勝つ。

2.Kh6

 2.Rb7+ に対して黒は 2…Ke6? と指すと 3.f5+ Kxe5 4.Re7+ から 5.Rxf7 で白の勝ちとなるのでそうは指さない。代わりに 2…Kf8! 3.f5 Rxe5 4.Kf6 Re1 5.Rxf7+ Kg8 6.Rg7+ Kh8 7.Ra7 Rf1! で教科書どおりの引き分けになる。本譜の手は 3.Kg7 を狙っているので黒の応手は決まっている。

2…Rc1 3.Rb7+ Kf8 4.f5

 白は目的を達成したように見え次は 5.Rb8+ から 6.f6+ で勝つ手を狙っている。しかしこの局面に到達するために白キングはポーンを置き去りにしなければならなかった。黒はこの機会を利用してうまい防御陣を築くことができる。

4…Rg1!

 これも唯一の受けで白キングを遮断している。

5.Rb8+ Ke7 6.f6+

 他に進展を図る方策はない。

6…Ke6 7.Re8+ Kf5 8.Kh7

 8.e6 は 8…Kxf6 で引き分けになる。8.Re7 も 8…Rg2 9.Rxf7 Kxe5 10.Rg7 Rf2 11.f7 Ke6 12.Kg6 Rf6+ で引き分けになる。

8…Rg2 9.Re7 Rg5!

 黒は注意が必要である。9…Rg1 は 10.Rxf7 Kxe5 11.Rg7! Rh1+ 12.Kg6 Rg1+ 13.Kf7 で白の勝ちになる。本譜の手は白を手詰まりに追い込んでいる。10.Kh8 ならば 10…Rg1! 11.Rxf7 Kxe5 12.Rg7 Rh1+ で引き分けになる。

10.Rxf7 Kxe5 11.Rg7 Kxf6 1/2 – 1/2

(この節続く)

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「ヒカルのチェス」(333)

「Chess Life」2013年11月号(1/1)

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2013年ワールドカップのアメリカ軍団

GMイアン・ロジャーズ


第4回戦でGMアントン・コロボフに負けて敗退

キング翼インディアン防御(E60)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2772、米国)
GMエルタイ・サファルリ(FIDE2660、アゼルバイジャン)
2013年ワールドカップ第2回戦、2013年8月14日、ノルウェー・トロムセ

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.f3 e6!?

 これは白の反グリューンフェルトシステムを骨抜きにしようとする最新の試みで、マクシム・バシエ=ラグラーブに対してはうまくいったが、それにしても変な手に見える。

4.Nc3 d5 5.Bg5 h6 6.Bh4 Be7 7.Qd2 Nbd7 8.Bg3

 これは 9.e4 突きの準備だが、すぐに 8.e4 と突くと 8…Nxe4! と取られる可能性がある。

8…c6

 これなら白は望みの巨大中央を築くことができる。しかし 8…O-O は 9.Qxh6 と取られてクイーン翼ギャンビットの局面で余計な …g7-g6 突きの欠陥が露呈し、8…c5 は 9.Nb5 で逆手を取られる。とは言っても本譜の手は 8…a6(または 8…dxc4 から 9…a6)で …c5 または …dxc4 から …b5 を予定するよりも劣っている。

9.e4 dxe4 10.fxe4 Bb4 11.Bd3 e5 12.a3 Ba5 13.d5 cxd5 14.cxd5 Nc5

 黒はこの戦術の着想に期待して大丈夫だと考えていたが、ナカムラの単純な応手のあとe5のポーンに問題を抱えることになる。

15.b4! Nxd3+

 15…Nb3 は 16.Qb2 Nxa1 17.bxa5 で黒がひどい。いつものことながら中盤戦では2駒はルークとポーンより優っている。

16.Qxd3 Bb6

 黒はeポーンを見捨てることにした。白キングが問題を抱えることを考えれば、思い切った、たぶん正しい実戦的な判断である。

17.Nf3 O-O 18.Nxe5 a5

 主要な変化は 18…Re8 19.O-O-O Nh5 だが、20.Nc4 のあと黒に適切な継続手がないようである。

19.b5 a4 20.Nc4 Bc5 21.O-O-O Bg4 22.Rd2

22…Qe7

 22…Rc8 には 23.Kb1 で白は大丈夫である。

23.d6 Qe6 24.Nd5! Nxd5 25.Qxd5 Rac8 26.Kb1 Qxd5 27.Rxd5

27…Be6?

 駒得の誘惑は魅力的すぎた。27…Rfd8 なら黒はまだ戦えた。

28.Rhd1! Bxd5 29.Rxd5 Bxd6

 黒はもう27手目を後悔している。これは勝負を投げた手である。それはともかく 30.d7 から 31.Bc7 が白の勝ち筋である。

30.Nxd6 Rc3 31.Kb2 Rb3+ 32.Ka2 Rd8 33.Rd4 h5 34.Bh4 Rd7 35.Bf6 Kh7 36.e5 黒投了

 早すぎる投了ではない。37.Rxa4-a8 が白の勝ちの狙い筋である。翌日ナカムラはサファルリに全然つけ入る隙を与えなかった。引き分けによって米国最強者は第3回戦に進んだ。

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(この号終わり)

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開放試合の指し方(130)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 3.g3 Bc5 の局面

 4.Bg2 Nc6 5.Nge2 d6 のあとでも黒の選択肢はいろいろある。もし白が 6.O-O?! と指せば、黒はキング翼ルークが元位置にいることを利用して(キャッスリングはクイーン翼にして)6…h5! で有望な攻撃を開始できる。また白がキャッスリングを遅らせれば、黒は …Be6、…Qd7、…O-O または …O-O-O そしてたぶん …a7-a6(白が Na4 とくればc5の大切なビショップを引けるようにするため)で展開を完了する。白は f2-f4 と突いてくるかもしれないが、a7-g1の斜筋を弱めることにもなる。

 4.Bg2 Nc6 5.Nf3(5.Nge2 の代わり)5…d6 6.d3 のあと黒は 6…a6 に一手かけるのが良い。f3の白ナイトが自分のf列をふさいでいるので、白はすぐには f2-f4 突きが狙えずそのため黒は非展開の一手を指す余裕がある。f3のナイトのために …h7-h5-h4 の実現可能性が低いので、黒はここではキング翼にキャッスリングするのが普通である。この局面で白が大きく進展を図れるとは考えられない。

 それでは主手順の 3.Bc4 に戻ろう。

(この章続く)

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「勇み足」認めた朝日新聞の慰安婦報道

産経新聞電子版2013年11月7日付
「勇み足」認めた朝日新聞の慰安婦報道

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(194)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

B ルーク+2ポーン対ルーク+1ポーン

 この型も役駒の配置によって何もかも変わってくるので一般原則を示すのが困難である。ここでもやはり平均的なチェス選手に最も役立つような実戦的な例だけを取り上げることにする。

 まず黒の1ポーンに対して白の2ポーンが連結している例から始めよう。

 図194 白の手番
チェホーバー対カサケビッチ、1949年

 2ポーンのどちらもパスポーンになっていない時は通常は防御側が引き分けにできる可能性が大きい。白は自分のポーンが適度に先まで進んでいるか自分のキングがポーンの前の重要な地点を占めることができる場合にだけ勝つ可能性がある。図からの進行は白の役駒の有利な配置に基づいた面白い勝利となる。

1.Kh5

 白キングにとって絶好の地点で、黒の選択の余地を狭めている。

1…Rc7

 1…g6+ が良さそうに見える。白が 2.fxg6+ と取ってくれれば 2…Kg7 で引き分けにできる。しかし白は 2.Kh6! が良い手で 2…gxf5 3.g6+ Kf6 4.Rb6+(4.g7 は 4…Ra1! で引き分けになる)4…Ke5 5.g7 Ra8 6.Rg6 Rg8 7.Kh7 Ra8 8.g8=Q Rxg8 9.Rxg8 f4 10.Kg6 f3 11.Kg5 で白が勝つ。

 同様に 1…Ra1 も見込みがなく 2.Rb7+ Kf8 3.Kg6 Ra6+ 4.f6 gxf6 5.gxf6 Ra8 6.Rh7 で白の簡単な勝ちである。

 1…Ra6 2.Rb7+ は本譜の白の3手目で説明する。

2.Rb8 Rc6

 この手が白にとって最も厄介である。実戦の進行は 2…Ra7 3.g6+ Kf6 4.Rf8+ Ke5 5.f6!(5.Rf7 は 5…Ra1 で 6.Rxg7 と取ると 6…Kf4! で黒が勝ってしまう)5…gxf6 6.Kh6 Ra1 7.g7 Rh1+ 8.Kg6 Rg1+ 9.Kf7 1-0 だった。以下の想定手順は 9…f5 10.g8=Q Rxg8 11.Rxg8 f4 12.Kg6 f3 13.Kg5 Ke4 14.Kg4 で白の楽勝である。

3.g6+

 黒が 1…Ra6 2.Rb7+ Kf8 3.Rb8+ と指していたらここで 3…Ke7 とできる。それならば白は 4.f6+! で勝つことができる。以下 4…gxf6 5.g6 Ra1 6.g7 Rh1+ 7.Kg6 Rg1+ 8.Kh7 Rh1+ 9.Kg8 f5 10.Rb7+ Ke6(10…Kf6 なら 11.Kf8 Rg1 12.Rf7+! Ke5 13.g8=Q Rxg8+ 14.Kxg8 f4 15.Kg7 で白が勝つ)11.Kf8 Rg1 12.g8=Q+ Rxg8+ 13.Kxg8 f4 14.Rf7 で黒ポーンはまたもつかまる。

3…Ke7 4.Rg8 Kf6 5.Rf8+ Ke5 6.f6!

 チェホーバーによって指摘されたこの手は驚くほど強力である。代わりに 6.Rf7 は 6…Rc1(続いて 7.Rxg7? なら 7…Kf4!)、6.Kg5 は 6…Rc1 7.Re8+ Kd6 で白は何も成果がない。

6…Rxf6 7.Rf7 Ke6

 7…Rf5+ なら 8.Kg4 Rf6 9.Kg5 Ra6 10.Rxg7 で白が勝つ。

8.Rxg7 Rf1 9.Ra7

 これで白が楽に勝つ。

(この節続く)

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開放試合の指し方(129)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 3.g3 の局面

 白は黒をすぐに攻撃する計画はない。この戦型では堅固な陣形を築くことの方に関心があり、中盤戦までは戦いを延期する。これは白の可能な3手目としては最も軟弱なように思われるけれども、マスターたちの間では最も人気がある。理由の一端はマスターは相手が 3.Bc4 や 3.f4 に対する正しい応手を知っていると予期しているからである。そしてそれらの手は大体において黒に応分の可能性がある。しかし 3.g3 はまだ徹底的に研究されてはいない。だから黒はほかの戦型よりももっと早い段階で自分で考えることになる。

 3.g3 には狙いがないので黒には広範な応手がある。いつものように中央のポーンの形によって試合の進行が決まってくる。黒には概略二通りの戦略がある。…d7-d5 と突いて中央を開放するのと中央を閉鎖しておくのとである。

 3…d5 の着想は白の2手目と3手目に狙いがないことにつけ込んで、中央で優位に立つことである。しかし 4.exd5 Nxd5 5.Bg2 Nxc3 6.bxc3 となると、白のキング翼ビショップには絶好の斜筋が開け、二重ポーンは d2-d4 と突くのに役立つことになる。半素通しb列もルークのためになり、キング翼ビショップがb7の地点を攻撃するのに協力できる。

 それでも形勢はほぼ互角である。この手は1977年スパスキーとの番勝負で黒番のコルチノイが選択した手で、次のように進んだ。6…Bd6 7.Nf3 O-O 8.O-O c5?!(白の d2-d4 突きを気にしすぎた)9.d3 Nc6 10.Nd2! これで斜筋が再び通った。スパスキーのナイトはe4またはc4に腰を落ち着けることを狙っている。ここでは白が少し優勢で、最後には勝った。しかし 8…Nc6! の方がもっと抵抗力があった。

 黒は …d7-d5 と突くと白のキング翼ビショップの斜筋を開けることにより白を助けてしまうと考えるかもしれない。白はe4のポーンがそのままならば、ビショップが閉ざされ威力がずっと落ちる。この考え方には私も同意見で、3…d5 よりも 3…Bc5 の方が気に入っている。黒はやはり駒の活動しやすい地点を見つけることができ、d4の地点を支配し d2-d4 突きを防ぐことにより白と同じくらい中央に影響力を持つことになる。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(193)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

A ルーク+1ポーン対ルーク+1ポーン(続き)

 同じ主題については他にも興味深く参考になる局面がある。しかしそれらは本書の目的を外れてしまう。熱心な読者は実戦やスタディにも同じようなエンディングの例を数多く見つける事ができるだろう。次の局面はルーク+ポーン対ルーク+ポーンの最後の例である。ここでもまた基本的なエンディングを理解することの必要性が痛感される。この例は世界選手権戦においてもエンディングで誤りを犯すことがあることを示している。

 図193 黒の手番
アリョーヒン対ボゴリュボフ、1929年

 これは1929年のアリョーヒン対ボゴリュボフ戦の第19局の局面である。形勢は白がはっきりと優勢である。白のパスポーンはキングとルークに守られ黒が止めることができずあと2手でクイーンに昇格する。黒はまもなくルークを切らざるを得ず頼みの綱は自身のポーンである。試合は次のように進んだ。

1…Kg4

 本書で前に指摘した重要な指針を忘れている。速度が勝敗にかかわる時はどちらのキングも相手のキングの接近をできるだけ邪魔するように自分のキングの動きを考えなければならない。この例では黒がまもなくb8の地点で自分のルークを切らなければならないことは明らかである。その時白は黒ポーンを止めようとするならばできるだけ速く自分のキングがd列を越えるようにしなければならない。黒はそれに対処した正しい受けが必要である。黒は次のように自分のキングをe列に寄せなければならない。1…Ke4! このようにして白キングの接近を阻止すれば以下のように引き分けにできる。2.b7 2.Re1+ ならば 2…Kf4 3.Rf1+ Ke5 4.b7 f5 5.Kc7 Rf8 6.b8=Q Rxb8 7.Kxb8 f4 8.Kc7 Ke4 9.Kd6 f3 で引き分けになる。2…f5 3.b8=Q 3.Ra1 なら 3…Rb8 である。3…Rxb8 4.Rxb8 f4 5.Rb4+ 5.Re8+ なら 5…Kd4 6.Rf8 Ke3 から 7…f3 で引き分けになる。5…Ke3 6.Kd5 f3 7.Rb3+ Ke2 7…Kf4? は誤りで 8.Kd4 f2 9.Rb1 Kf3 10.Kd3 で白が勝つ。8.Ke4 f2 9.Rb2+ Ke1 10.Ke3 f1=N+! これで教科書どおりの引き分けである。

2.b7 f5

 2…Rb8 なら 3.Kc7 Rxb7+ 4.Kxb7 f5 5.Kc6 で白が勝つ。

3.b8=Q Rxb8 4.Rxb8 f4 5.Kd5 f3 6.Ke4 f2 7.Rf8 Kg3 8.Ke3 1-0

 もっとも単純なエンディングでも正確に指さなければならないという良い教訓である。

(この節続く)

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布局の探究(74)

「Chess Life」1993年7月号(3/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

開放試合で白は中央に向かって取るべきか(続き)

(B)bxc3 対 dxc3

 序盤ではこの選択は前稿の黒の場合に論じたルイロペス交換戦法(1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Bxc6)と考慮点が同じである。結果としてまた二重ポーンができる。大きな違いはどちらの取り方でも白が主導権を維持する可能性が高いことが確実であるということである。言い換えると互角にするために努力しなければならないのは黒の方である。

 議論の良い対象は次のアリョーヒン防御に対する「単純な」戦法(B03)である。

1.e4 Nf6 2.e5 Nd5 3.Nc3 Nxc3

(1)4.bxc3

 白はbポーンを2個目のcポーンにすることにより中央での見通しを明るくした。もっともクイーン翼ビショップの展開の遅れとポーン陣形のいくらかの不安定さという犠牲を払っている。以下の主眼の手順にその得失が表れている。4…d6(アリョーヒン防御では白のe5の拠点に立ち向かわなければならない。だから 4…d5?! は劣っている)5.f4 g6(黒は白ほど余裕がないので、5…dxe5?! 6.fxe5 Qd5 で大攻勢に出ようとするのは次のように自分にはね返ってくる。7.Nf3 Nc6 8.d4 Bg4 9.Be2 e6 10.O-O Be7 11.Rb1 b6 12.c4 Qd7 13.c3 GMバギロフによると白が広陣のため優勢である)6.Nf3 Bg7 7.d4 O-O 8.Bd3 c5 9.O-O dxe5 10.dxe5(「中央に向かって取り返す」10.fxe5?! は白の中央が不安定すぎる。1971年スメデレフスカ=パラーンカでのN.パデフスキー対ブコビッチ戦では 10…Nc6 11.Be3 Bg4 12.Be4 Qa5 13.Qe1 Rad8 と進んで、d4の地点に対する圧力のために黒の方が有望だった。本譜の手は確かに白に悪形の二重ポーンが残されるが、代償としてキング翼で陣地が広く攻撃が有力である)10…Nc6 11.Be3 Qc7 12.Qe1 1968年バンベルクでのA.デュクシュタイン対H.ウェステリネン戦では白が少し優勢だった。

(2)4.dxc3

 白は順調な展開としっかりしたポーン陣形を確実にした。不利な面はキング翼で3ポーン対4ポーンの不利に陥って何の見返りもなくなるかもしれないことである。黒の最善のやり方は単純化を目指すことだと思う。4…d6(ここでも 4…d5?! は明らかに劣った手で、5.f4 でも 5.c4 でも白が優勢になる)5.Nf3 dxe5!(5…Nc6 も理論的には指せる手だが、6.Bb5 Bd7 7.Qe2! で白が展開で圧倒的に差をつけているため黒は細心の注意を払わなければならない)6.Qxd8+ Kxd8 7.Nxe5 Ke8 8.Be3 Nd7 9.Nf3 e5 10.O-O-O f6 11.Nd2 Bc5 12.Bxc5 Nxc5 13.Bc4 そして1974年ソ連でのリステンガルテン対V.バギロフ戦では 13…c6?! 14.f4! b5 15.Be2! exf4 と進んだとき 16.Bh5+! g6 17.Bf3 で白がはっきり優勢になれるはずだった。GMバギロフは代わりに 13…Bg4! 14.f3 Bh5(15.g4 Bf7)を推奨し、いずれ互角になるとしている。

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カテゴリ: 布局の探究1

開放試合の指し方(128)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 3.f4 d5 4.fxe5 Nxe4 の局面

 e4の好所にいる黒ナイトはe5の強力な白ポーンを埋め合わせている。難解な手順は 5.d3!? Qh4+ 6.g3 Nxg3 7.Nf3! Qh5 8.Nxd5! で、たぶん白の方が有望である。しかし黒は 5…Nxc3 6.bxc3 Be7 7.Nf3 O-O 8.d4 f6! でこの乱戦を避けることができる。eポーンを交換させれば互角になるはずである。9.exf6 Bxf6 のあとポーンの形はほぼ対称で、黒駒は好所に位置している。

 5.Nf3 なら黒はまた 5…Be7 6.d4 O-O 7.Bd3 f5! と一直線に展開するのが最善である。白が 8.exf6 とfポーンを取ってこなければ、e4の黒ナイトは安泰である。また 8.exf6 Bxf6! は黒の課題がすべて解決される。黒は …Nc6 でd4の白ポーンを当たりにすることにより先手がとれる。白が 9.Nxe4? dxe4 10.Bxe4? でポーン得できないのは、10…Re8 でこのビショップが釘付けにされるからである。8.exf6 Bxf6 のあと素通しのe列とf列でルーク同士の交換になりそうで、これにより引き分けに終わる傾向が増す。

 これまでとまったく異なるのは 3.g3 である。

(この章続く)

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カテゴリ: 開放試合の指し方

米側資料の慰安婦は・・・

産経新聞電子版2013年11月5日付け
米側資料の慰安婦は「大金稼ぎ欲しいもの買えた」

2013年11月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 我楽多

[復刻版]実戦に役立つエンディング(192)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

A ルーク+1ポーン対ルーク+1ポーン(続き)

 今度はラスカーの手法が難解な前哨戦の後に現れる例である。

 図192

 黒ポーンはまだ6段目までしか進んでいない。これは白にとって有利な条件である。第一にラスカーの手法を行なうにあたって白は黒キングを1段だけ進ませれば良い。第二に白は自分のポーンが黒ポーンより一手早くクイーンになれるので状況によってはルークでキングをチェックから守ることができる。これらの要素から参考になる勝ち手順が生まれる。

1.Kd8 Rd3+ 2.Kc8 Re3 3.Rh6+

 もはや当然の技法である。しかしクイーン翼で黒キングの行ける列が多過ぎるのではないか?いずれ分かってくるが白は中心となる構想を補うために隠れた手段を用いなければならない。

3…Kc5!

 黒キングはこの地点が一番良い。3…Kd5 は 4.Kd7 とされるし 3…Kb5 は 4.Kd7 Rd3+ 5.Rd6! で白ポーンがチェックでクイーンに昇格する。しかし本譜の手でも黒キングをもう1段下へ追いやることができる。

4.Kd7 Rd3+ 5.Kc7

 5.Ke8 は 5…Re3 又は 5…Ra3 で白は何も成果がない。

5…Re3 6.Rh5+ Kb4

 黒キングはc列を離れなければならない。6…Kc4 は 7.Kd7 Rd3+ 8.Kc6 Re3 9.Rh4+ から 10.Rxh3 でたちまち黒の負けとなってしまう。

7.Kd7 Rd3+ 8.Kc6 Re3

 ここでも 8…Rc3+ は 9.Kb6 Re3 10.Rh4+ から 11.Rxh3 で白の勝ちとなる。本譜の手で白は何もすることができないように見える。しかしこの局面で白には最後の切札がある。

9.Rh4+! Ka5

 他の手では 10.Rxh3 で黒の負けとなる。

10.Kd6!

 10.Kd7 Rd3+ 11.Ke8 から 12.Rh8 の狙いは黒に 11…Rb3! という受けの手があり白はキングをまた戻さなければならない。

10…Rd3+

 10…Kb6 ははめ手で 11.Rxh3? なら 11…Rxh3 12.e8=Q Rd3+ から 13…Re3+ で引き分けにできる。しかし白は 11.Rh8! で簡単に勝つことができる。

11.Kc5! Re3

 11…Rc3+ なら 12.Kd4 Rc8 13.Rxh3 から 14.Re3 である。

12.Rxh3!

 これで白が勝つ。

 12…Rxe7 なら 13.Ra3# で詰んでしまう。予想できない展開であった。

(この節続く)

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開放試合の指し方(127)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 2…Nf6 の局面

3.Bc4

 3.Bc4 を主手順と考えることにしよう。ほかには 3.f4、3.g3 それに 3.Nf3 Nc6(第4章の「4ナイト試合」を参照)のような手がある。

 3.Bc4 はビショップを素通しのa2-g8の斜筋におく最も攻撃的な手で、d5の地点への白の圧力を増し f2-f4 または d2-d4 と突く選択肢を保持している。

 3.f4 で白は黒の中原に挑み、ルークのためにf列が素通しになることを期待する。黒は 3…exf4? とは取りたくない。というのは 4.e5 と突かれてナイトがg8に追い戻されるからである。また 3…d6?! は 4.Nf3 のあと d2-d4 突きで白が中央で優位に立ち、黒のf8のビショップが閉じ込められることにもなる。

 3.f4 に対する強い応手は 3…d5! しかない。もし白が 4.exd5 と取ってくれば、黒は 4…exf4 でキング翼ギャンビット受諾に移行することができるし(第7章を参照)、4…e4 でキング翼ギャンビット拒否に移行することもできる(第8章の 1.e4 e5 2.f4 d5 3.exd5 e4 4.Nc3 という手順を参照)。通常のウィーン試合のやり方は 4.fxe5 Nxe4 である。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(191)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

A ルーク+1ポーン対ルーク+1ポーン(続き)

 図191
ケレス、1944年

 ラスカーの構想は色々な形で応用され実戦でさらに妙手を生み出した。図191では中央列のポーンで勝利の構想が用いられる。黒ルークは自分のポーンの前で受身の態勢である。

 白はまず黒キングの位置を利用して自分のポーンを進ませる。

1.Ke8+ Kg6

 後から出てくるように黒キングがaポーンにあまり近くない時に白ルークが2段目に行ければ白は比較的楽に勝てる。だから 1…Kg8 は黒がもっと早く負ける。

2.e7 Kh5

 この手は 3.Ra3 に対して 3…Kh4 と応じて 4.Rh3+ から 5.Rh2 とされるのを防ぐためである。もし黒が消極的な手を指せば以下のようになる。

1)2…Kg7 3.Ra3 Rb1 他の手なら2)の変化になる。4.Rxa2 Rb8+ 5.Kd7 Rb7+ 6.Kd8 Rb8+ 7.Kc7 これで白が勝つ。

2)2…Kh6 3.Ra3 Kg5 3…Kh5 なら 4.Rh3+ Kg4 5.Rh2 Kg3 6.Rd2 Kf3 7.Kd7 Ke3 8.Rxa2 で白が勝つ。4.Rg3+ Kf4 5.Rg2 Kf3 5…Ke3 なら 6.Rb2 で黒キングがd列とf列にいけないので白が勝つ。6…Ke4 なら 7.Kd7 で主手順に戻る。6.Rb2 6.Rd2 は間違いで 6…Ke3 7.Kd7 Kxd2 8.e8=Q Rd1! となる。6…Ke3 7.Kd7 Rd1+ 8.Kc7 Rc1+ 9.Kb7 ポーンがチェックでクイーンに昇格するので白が勝つ。

 言い換えると黒は白ルークに2段目に行かせるわけにはいかない。本譜に戻ってここでの問題は白が何か進展を図ることができるのかということである。白は手詰まりの局面を作り上げることにより面白い手段に成功する。

3.Ra3 Kh4!

 これが最善の受けである。3…Kg4 は 4.Kf7 で本譜より白が1手得する。本譜の手に対して 4.Kf7 ならば 4…Rf1+ 5.Kg6 Rg1+ 6.Kh6 Re1 7.Ra4+ Kg3 で引き分けになる。黒キングが1列余計に使えるのでラスカーの手段はうまくいかないように見える。しかし白は巧妙な手段によって勝つことができる。

4.Ra5!

 黒を手詰まりにさせた。黒キングは下がることができない。6段目に進めば白がラスカーの手段を用いることができるのでそれもできない。こんなに単純な局面に妙手が存在するとは信じ難いほどである。

4…Kg4 5.Kf7!

 要点は黒がもはやg列でチェックをかけることができないということである。だからラスカーの手段がうまくいくことになる。

5…Rf1+ 6.Kg6 Re1 7.Ra4+ Kh3!

 この手も最善である。7…Kg3 は 8.Kf6 で白が楽に勝つ。

8.Kf6 Rf1+ 9.Kg5 Rg1+ 10.Kh5 Re1

 黒にとっては不運なことに、白キングを十分遠くに追い払ったけれども自分のキングが1段余計に進んでしまっている。

11.Ra3+ Kg2 12.Rxa2+

 ラスカーのスタディではこのポーンを取ったとたん勝敗も決していた。しかしここでは前哨戦の終わりに過ぎない。白キングがポーンから2列離れているので黒は徹底抗戦することができる。

12…Kf3 13.Ra7 Re6

 この手は重要な手で、白キングを6段目から遮断し自分のキングをd6に来させる狙いを持っている。白がこの局面から勝つためには新たなスタディを解かなければならない。

14.Kg5 Ke4 15.Rb7!

 一見当然そうな 15.Rd7? は間違いで 15…Ke5! と応じられると白の方が手詰まりに陥って引き分けになってしまう。しかし 15.Rc7 は可能である。

 本譜の手で黒は手詰まりに陥っている。白キングをf5に来させるわけにはいかないが 15…Re5+ は 16.Kf6 でうまくいかず白の簡単な勝ちになる。

15…Ke5 16.Rd7

 白はここで初めてこの手を指す。後は一本道の勝ちである。

16…Ke4 17.Rd1! Kf3 18.Rf1+ Ke2 19.Rf7

続いて 20.Kf5 で白が簡単に勝つ。

 解の手順がこんなに長いとは誰が予想しただろうか。

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(102)

「Chess Life」2005年9月号(2/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

反ベンコー[A43](続き)

戦型A)1.d4 Nf6 2.Nf3 c5 3.d5 b5 4.Bg5 Bb7

 4…d6 でも状況はほとんど似ている。5.Bxf6 exf6 6.e4 a6 7.a4 b4 8.Nbd2 g6 9.a5 Bg7 10.Nc4 O-O 11.Bd3 白が少しだが確固とした優勢を得ている。

 サシキラン対ミトン戦(エレバン、2000年)では途中から 7…bxa4 8.Nbd2 Bd7 9.Bd3 g6 10.O-O Bh6 11.c3 O-O 12.Bc2 と進んだがやはり黒の方が不利だった。

5.Bxf6 exf6

 白はビショップをナイトと交換して黒のf列に二重ポーンを作らせた。そしてこの交換のおかげで中央にポーンを進める用意ができている。

6.e4 Qe7

 6…c4 7.a4 a6 8.Be2 Bc5 9.O-O O-O のあと白は単純に 10.axb5 axb5 11.Rxa8 Bxa8 12.Nc3 Qb6 13.b3 cxb3 14.cxb3 と指し進めるのが良く、優勢である。

7.Nbd2 b4 8.Bc4 g6 9.O-O Bg7 10.a3 O-O 11.axb4 cxb4 12.Re1

 駒が十分に展開されているので白が優勢である。さらに白は中央をしっかり支配している。a1のルークは黒のaポーンに圧力をかけ、黒の双ビショップは動きが制限されている。

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開放試合の指し方(126)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ(続き)

 2…Nc6 3.f4 の局面

 黒が 3…exf4 とポーンを取ると、局面はキング翼ギャンビット受諾(第7章)に似てくる。よくある進行は 4.Nf3 g5(4…Nf6 は 5.Bc4 のあと d2-d4 突きで白が圧倒的な中央になる)5.h4!? g4 6.Ng5 h6 7.Nxf7 Kxf7 8.d4 である。ハンペ=アルガイアー・ギャンビットとして知られるこの戦型では、白は黒キングを直接攻撃しようとする。黒キングへの通路はf列(白がf4のポーンを取りルークをf1に回したあと)とa2-g8の斜筋である。理論的には最善の防御策の二つはf列を一時的にでもふさぐこと(8…f3! 9.gxf3 Be7 で …Bxh4+ を狙う)と、a2-g8の斜筋をせき止めること(8…d5! 9.Bxf4 Bb4)である。黒の受けは難しいが、猛攻撃を切り抜ければ駒得で勝つことが確実である。

 白は別の捨て駒でも黒に重大な問題を突きつけることができる。4.Nf3 g5 のあと白は(5.h4!? の代わりに)5.d4 g4(さもないと 6.d5 で白陣が先手で広がる)6.Bc4!? gxf3 7.Qxf3 で攻撃することができる。白の可能性を示唆するのは 7…Bh6?! 8.O-O Nxd4 9.Bxf7+ Kxf7 10.Qh5+ Kg7 11.Bxf4 Bxf4 12.Rxf4 Nf6 13.Qg5+ Kf7 14.Raf1 で、駒を1個取り戻し猛攻を維持している。この変化は1835年!にマクドネル(白)対ラ・ブルドネの有名な番勝負で指された。しかし正しい受けは 7…d5! 8.Bxd5 Qh4+ 9.g3 Qg4 である。黒が戦力得の一部を返して展開で追いつき白の狙いを減らすやり方に注目してほしい。

 このような総力をあげての捨て駒攻撃は今日の強豪選手たちのほとんどからは信頼されていないが、アマチュアの間では黒の一手のしくじりが致命的になるのでまだ次から次へと犠牲者を出している。このように攻撃をはね返す自分の技量に自信が持てないならば、3.f4!? に 3…Bc5 と応じる方がよい。白の自然な応手の 4.Nf3 は 4…d6 のあとキング翼ギャンビット拒否(第8章)になる(この局面は通常は 1.e4 e5 2.f4 Bc5 3.Nf3 d6 4.Nc3 Nc6 から生じる)。代わりに 4.fxe5 と取るのは、4…d6! 5.exd6 Qxd6 6.Nf3 Bg4 となって黒の展開の先行の方が白のポーン得よりも重要そうなので黒が攻勢に立つ。白が攻撃するつもりだったなら、代わりに守らなければならないことにうまく適応できないかもしれない!

 2…Nf6 のあと白には重要な選択肢がいくつかある。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(190)

第4章 ルーク・エンディング

4.4 両者ともルーク+ポーン

 今度は両者とも1個または複数のポーンを持っている局面を考えることにしよう。この型のエンディングは実戦で最も多く現れ、ほとんど全てのルーク・エンディングはこの型に含めることができる。本書の分量では膨大な量の資料を分類することも無数の可能性を評価することもほとんど不可能であることは明らかである。このため実戦に生じる可能性のある最も重要な局面にどのように対処したら良いかを示すことのできる基本的な例だけを採り上げることにする。

A ルーク+1ポーン対ルーク+1ポーン

 駒数が同じなら通常は引き分けである。従って我々の関心は主に一方が駒配置の優位で勝つことのできる特別な場合だけである。そのようなエンディングの中で最も良く知られた例は元世界選手権者のラスカーの作による次のスタディである。

 図190
ラスカー博士、1890年

 白キングがポーンの陰から出て来れば黒ルークにチェックされ自分のポーンから離れるとそのポーンが …Rc2 でまた攻撃されるので白キングはポーンの守りに戻らなければならない。しかし白は実戦で結構高い頻度で現れる参考になる手順で勝つことができる。

1.Kb7 Rb2+ 2.Ka7 Rc2

 明らかに全て必然である。

3.Rh5+ Ka4

 3…Kb4 は 4.Kb7 で白がすぐに勝つ。白はここから前の駒運びを繰り返す。

4.Kb7 Rb2+ 5.Ka6 Rc2 6.Rh4+ Ka3 7.Kb6 Rb2+

 白の狙いは 8.Rxh2 だった。

8.Ka5! Rc2 9.Rh3+ Ka2 10.Rxh2

これで白の勝ちである。

 ここが要点である。黒ルークは釘付けになっているので白ポーンを取ることができない。

(この節続く)

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開放試合の指し方(125)

第9章 ウィーン試合 ジャック・ピーターズ

1.e4 e5 2.Nc3

 ウィーン試合は不当にもほとんどのグランドマスターたちに無視されてきた。理論家たちはキング翼ギャンビット、ジオッコピアノ、それに2ナイト防御のわくわくさせる変化に大部分の注意を注いできた。一方実戦的な選手たちはルイロペスに信頼をおくのが常だった。このことがウィーン試合に古風だが未踏という独特の地位を与えている!

 米国のマスターの故ウィーバー・アダムズはウィーン試合の数少ない支持者の一人だった。彼は自分の「白先白勝ち」理論の基盤としてウィーン試合を用いたが、いつしか 1.e4 e5 2.Nc3 Nf6 3.Bc4 Nxe4!? という黒の捨て駒に悩まされるようになった。彼の死後彼の信奉者たちはこの重要な戦型で白の防御(!)を復権させたが、それでもウィーン試合は人気が出なかった。人気のない布局を試みるのが好きなベント・ラルセンは、時おりウィーン試合を指す代表的なグランドマスターである(しかしビショップ布局からの転移によるのが普通である)。スパスキーはカルポフの持つ世界選手権への挑戦権を争う1977年の番勝負の1局でウィーン試合でコルチノイに勝ったことがある。

 白は 2.Nc3 でいくつかのことを達成している。すなわちeポーンを守り、中央のd5の地点を支配し、ナイトを好所に展開し、d2-d4 または f2-f4 と突く選択肢を残している。

 しかし 2.Nc3 は 2.Nf3 と異なり何の脅しもかけていない。だから黒は受けの手を指す必要がなく、2…Nf6 でも 2…Nc6 でも指すことができる。

2…Nf6

 2…Nc6 はよく同じ局面になる。白が 3.g3 または 3.Bc4 と指すならば、2…Nc6 と 2…Nf6 の違いはほとんどない。しかし白が 3.f4!? と指せばかなり違ってくる。明らかに黒は 2…Nc6 3.f4 に 3…d5 と突けないが、2…Nf6 3.f4 なら突けるところである(後述)。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(189)

第4章 ルーク・エンディング

4.3 ルーク+2ポーン対ルーク(続き)

 前の例ほどではないがやはり不思議なのは並んだポーンのどちらもルーク列にないのに勝てない場合があることである。図189はそのような勝てない例である。

 図189
カスパリアン、1946年

 白は全て好条件が揃っていて黒はまもなく投了するように見える。しかし黒は白ルークが一時的に具合の悪い位置にいることにつけ込むことができる。

1…Rf2+

 もちろんこの局面で白の手番ならば 1.Rd6 で問題なく勝つ。本譜の手で横からのチェックは白キングにh5の逃げ場所があるので意味がない。

2.Ke3

 白は 2.Ke5 で結末を短くすることができる。しかしここでは他の試みも無益であることを示すことにする。2.Kg3 なら 2…Rf1 3.Kg2 Rf4 4.Kh3 Rf1 で引き分けになる。

2…Rg2

 今度はgポーンが当たりである。

3.Rg6+ Kf7 4.Kf3 Rg1 5.Kf2 Rg4

 白は黒ルークをg列から追い払うことができない。そこで白キングはd7の地点を目指さなければならない。

6.Kf3 Rg1 7.Ke4 Re1+ 8.Kd5 Rg1 9.Rf6+

 9.Kd6 は 9…Rg2 10.Kd7 Rg1 で本譜と同じになる。

9…Kg7 10.Ke6 Re1+!

 10…Rxg5 は 11.Rf7+ で白が勝つ。例えば 11…Kh6(11…Kg8 は 12.Ra7 Rg1 13.Ra8+ Kh7 14.f6)12.Rf8 Rg1 13.f6 Ra1(13…Re1+ は 14.Kf7 Kh7 15.Re8 で白が勝つ)14.Rh8+ Kg6 15.Rg8+ から 16.f7 である。

11.Kd6

 11.Kd7 は 11…Re5 12.Kd6 Ra5 で引き分けになる。

11…Rg1 12.Rg6+

 12.Ke7 は 12…Rxg5 13.Rf8 Kh7! 14.f6 Re5+ 15.Kf7 Ra5 で引き分けになる。

12…Kf7 13.Kd7 Rg2 14.Rf6+ Kg7

 白は最後の試みとしてfポーンを進ませるためにgポーンを犠牲にする。

15.Rd6 Rxg5 16.Ke6 Rg1 17.Ke7

 17.f6+ は 17…Kg6 18.Ke7 Rf1 19.Re6 Rf2 20.Re1 Ra2! 21.Rg1+ Kh7 で引き分けになる。

17…Rf1 18.Rg6+ Kh7

局面は明らかに引き分けである。

 他にも黒が2ポーン損で引き分けに持ち込める興味深い局面がたくさんある。しかしそれらは通常は白の駒の位置が悪いことによるもので例外的であると言える。そのような局面は実戦的な価値がほとんどないので本書の範囲外である。

(この節終わり)

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開放試合の指し方(124)

第8章 キング翼ギャンビット拒否 エドマー・メドニス(続き)

参考棋譜(続き)

 ビショップとキング翼ルークが攻撃に加わって、白は単騎の黒キングを4駒が追うことになる。終わりは近い。

18…Nd7 19.Bf3+ Kb6 20.Rb1+ Ka5 21.Rxb7 h6 22.Rxc7

 黒のクイーン翼ルークが当たりになっている。

22…Rb8 23.Nxf7 Bxf7 24.Rcxd7 黒投了

 これで終わっている。24…Be6 としても 25.Rxa7+ Kb6 26.Rxg7 で絶望以外の何物でもない。

(この章終わり)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(188)

第4章 ルーク・エンディング

4.3 ルーク+2ポーン対ルーク(続き)

 これに関連してカスパリアンの次のスタディは見ておく価値がある。

 図188
カスパリアン、1946年

 白の手番で勝つ手は 1.Ka2! の一つしかない。これで黒は手詰まりに陥っている。黒はルークをh3とg3で往復させることができるだけである。1…Rh3 2.Kb2 Rg3 3.Kc2 Rh3 4.Kd2 Rg3 5.Ke2 Rh3 6.Kf2 で図186の局面で黒の手番となっている。もちろんこれは白の勝ちである。連結ポーンを持っている側がこのような問題を抱えているとは到底信じがたい。

(この節続く)

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布局の探究(73)

「Chess Life」1993年7月号(2/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

開放試合で白は中央に向かって取るべきか(続き)

(A)axb3 対 cxb3(続き)

(2)cxb3 と取る方が良い

 既に述べたように圧倒的多数の場合においてaポーンで取り返すほうが良い。しかしcポーンで取り返す方を選ぶべき状況が二つある。

 (a)防御上の理由のため

 白がクイーン翼にキャッスリングしている場合、黒が素通しa列で効果的に重砲を動員できればその攻撃が危険なものになる。これは次の戦型に見ることができる。1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 g6 6.Be3 Bg7 7.f3 O-O 8.Qd2 Nc6 9.Bc4 Nxd4 10.Bxd4 Be6 11.Bb3 Qa5 12.O-O-O Rfc8 13.Kb1 Rc6 14.h4 Bxb3

 ユーゴスラビア攻撃に特徴的なように、両者はそれぞれ敵キングを追い求めている。しばしばたった1手の違いで成功したり失敗したりする。だから 15.axb3?! は完全に無謀である。なぜならすぐに 15…Ra6 か事前準備の 15…b5 のあとa列での黒の攻撃が強烈すぎて、白はあわててクイーン同士を交換して互角の収局に同意しなければならないからである(15…Ra6 6.Na4 または 15…b5 16.Nd5)。従って白は次のように取るべきである。

15.cxb3

 これで黒の攻撃を無害にすることができ、白がキング翼で明るい見通しを保持する。1961年ソ連でのA.ギプスリス対I.ネイ戦では 15…b5 16.a3! Rac8(16…b4? 17.Na2)17.b4 Qa6 18.e5 dxe5 19.Bxe5 Ne4! 20.Nxe4 Bxe5 21.h5 Qb6 22.hxg6 hxg6 23.Qg5 で白が永続的な優勢を保った。収局になればポーンの形に優る黒が優勢だろうが、この中盤の局面では攻撃の可能性に優るのは白の方である。

 (b)攻撃上の理由のため

 ちょうど axb3 と取り返すのがキャッスリングしていないクイーン翼ルークのためにa列を開くように、cxb3 と取り返すのも白のルークおよび/またはクイーンによる潜在的な侵入のためにc列を開けることがある。もちろんこの見通しは明らかでなければならない。そうでないと白には劣ったポーン陣形が残され何の見返りもない。この可能性を利用した場合として参考になるのが、1963/64年米国選手権戦でのE.メドニス対R.ワインスタイン戦で、黒の18手目の次の手がそれにあたる。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 g6 6.Be3 Bg7 7.f3 Nc6 8.Qd2 Be6 9.O-O-O Rc8 10.Kb1 O-O 11.Nxe6 fxe6 12.Bc4 Qd7 13.Bb3 Kh8 14.h4 Na5 15.Qd3 Nh5 16.Ne2 b5 17.Bd4 e5 18.Bc3 Nxb3

 黒は長期的や短期的な負債(二重eポーン、端で死んでいるキング翼ナイトとキング翼ビショップ)を抱え込む犠牲を払って、キング翼における白の突破の見込みを最小限にした。例えば主眼の 19.axb3 という取り返しのあと黒は 19…h6 と突き、そのとき 20.g4?! と突いて来るなら 20…Nf4 21.Nxf4 Rxf4 で白のf列が弱くなり、22.g5 は 22…h5 で 22.h5 は 22…g5 と応じられてどうしようもないので白に何の見返りもない。それでも黒がキング翼に精力を傾けたために、白が別の翼に目を向ければ有望な機会が得られる。それで適切なのが・・・

19.cxb3! h6 20.Rc1! Qb7 21.Bd2!

 白が迅速にクイーン翼に戦力を動員できるので、そちらでの黒の防御は非常に大変になっている。黒は満足な作戦を立てることができない。たぶん最善は 21…Nf6 を手始めにナイトを試合に参加させることだった。

21…Rcd8 22.Ba5 Rd7 23.Rhd1! Bf6 24.Be1 e6 25.Qc2 Be7 26.Qc6! Ng7 27.Qxb7 Rxb7 28.a3! Kg8 29.Rc6

 クイーン交換でも黒の負担は楽にならなかった。特にaポーンが非常に弱くなっている。

29…Kf7 20.Ra6 Ra8 21.f4!

 黒のあちこちのポーンの弱点につけ込むために白は筋を素通しにするように努めるのが良い。

31…exf4 32.Nxf4 Rc8 33.g3 g5 34.hxg5 hxg5 35.Nd3 Rh8 36.g4 Rh3?! 37.Bf2 Rh2 38.Rxa7 Rxa7 39.Bxa7 Rg2 40.Nf2 Ne8 41.a4 bxa4 42.bxa4 Bd8 43.e5 Bc7 44.exd6 Bxd6 45.a5 Be7 46.Bb6 Nd6 47.a6 黒投了

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開放試合の指し方(123)

第8章 キング翼ギャンビット拒否 エドマー・メドニス(続き)

参考棋譜(続き)

14…Kd6?!

 ここはキングにとって非常に危ない。

15.Ng5! Kxd5?!

 黒は少なくとも一貫している。この手は一本道の負けになるけれども、白が攻撃を誤れば黒は無事に済ませられるという実戦的な希望がある。15…Be8 のような手なら終わりを遅らせられるが、黒には実戦的にほとんど何の希望もない。

16.Re4! Be8

 白は決定的な駒得に結びつく詰みの網を張っている。黒にはほとんど選択の余地がない。例えば 16…b5 なら 17.c4+ を誘うだけだし、16…Bc6 なら 17.Re5+ Kd6 18.Nxf7+ でルークを取られるし、16…Bd7 なら 17.Bc4+ で攻撃がよどみなく続く。

17.Rd4+ Kc6 18.Be2!

(この章続く)

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