2013年06月の記事一覧

[復刻版]実戦に役立つエンディング(64)

第3章 クイーン・エンディング

3.1 クイーン対ポーン(続き)

 ナイト列のポーンに対しても同様のやり方で良い。しかしルーク列のポーンとビショップ列のポーンの場合は状況が異なる。図64から考えてみよう。

 図64

 まず図63と同じやり方を試してみる。

1.Qg2+ Kb1 2.Qf1+ Kb2 3.Qb5+ Kc2 4.Qa4+ Kb2 5.Qb4+ Kc2 6.Qa3 Kb1 7.Qb3+ Ka1

 ここで決定的な違いが明らかになる。キングを動かすと黒がステイルメイトになるのでキングを近づける暇がない。詰み狙いの 8.Qc2 も同様にステイルメイトになってしまう。白は何も進展を図ることができないのでこの局面は引き分けである。

(この節続く)

2013年06月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(237)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 両者ともほとんど相手にかまわず自分の攻撃作戦を続けている。白の作戦は Nf1-h2-g4 でさらに駒をキング翼に投入することで、黒の方は …b4、…a4 から …a3 でクイーン翼に素通し列(または空所)を作るつもりである。

12.N1h2

 白は 12.Bf4 b4 13.Ng5!? と指したこともある。1971年モスクワでのブロンシュテイン対ウールマン戦では次のように突然終了した。13…Qe8! 14.Qg4(14.Qh5 Bxg5 15.hxg5 f5! -/+)14…a4??(白の狙いには注意しておかなければならない)15.Nxe6!(ただで2ポーン得になる)1-0

12…b4 13.Ng4

 この手は少し不正確である。1993年フランスでのポルガエフスキー対ギュヨー戦のように 13.Bf4 a4 14.Rc1 a3 15.b3 と指す方が良かった。ポルガエフスキーはクイーン翼を閉鎖的にしたままキング翼でゆっくりと粉砕した。

13…Nd4!

 この手は白の攻撃戦力の一つを取り除き、白のg4のナイトがすぐにはf3に来れないことを利用している。

14.c3?!

 14.Nxd4 cxd4 は半素通しc列がd4の弱いポーンの代償になる。しかし本譜の手も黒が素通し列を作るのを容易にした。

14…Nxf3+ 15.Bxf3 Rb8 16.Bf4 a4 17.Qd2

 17.Qxa4 Bxd3 は素通し列を作りたい黒にとって望外の結果になる。

17…a3 18.b3

 18.bxa3 は 18…bxc3! で黒の優勢になる。

18…bxc3 19.Qxc3 Rb4

 19…c4 は 20.dxc4 Bb4 で交換得になるが、白には 21.Qe3! Bxe1 22.Rxe1 dxc4 23.bxc4 Qb6 24.Qxa3 Bxc4 で代償がある(ウールマン)。

20.Rad1 Bxh4! 21.Bc1 Be7 22.Bxa3 Bb7 23.Qc2

 23.Bxb4? は駄目で、23…d4! 24.Ba5 Qb8 25.Qd2 Bxf3 26.Qf4 Bxd1 27.Rxd1 h5 28.Nh2 Qxe5 で黒のポーン得になる。

23…d4?!

 e4の地点を明け渡してしまった。単純に 23…Rb6 が良かった。

24.Be4! Rb6 25.Bc1 Bxe4 26.Rxe4 Ra6 27.Qe2 Re8 28.Kg2 Nf8

 白の手番 

(この章続く)

2013年06月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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尖閣「放っておく」が変質

産経新聞電子版2013年6月29日付け
尖閣「棚上げ合意」 中国「放っておく」が変質

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「尖閣棚上げ合意なかった」

産経新聞電子版2013年6月29日付け
「尖閣棚上げ合意なかった」

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(63)

第3章 クイーン・エンディング

 本書でポーン・エンディングから始めたのはなんといってもそれが収局の基盤を成しているからであった。ここからは駒の力の強い方から順に個々のエンディングを調べて行く。まずはクイーンからである。

 クイーン・エンディングは配置が多様過ぎてポーン・エンディングのようには体系的に調べて行くのが難しい。例えばクイーンは通常は他の役駒1個または小駒2個には勝てるがルーク2個又はルーク1個と小駒1個とに対しては引き分けにしかならないことは周知のとおりである。そこでそのような局面を詳しく調べるのは省略することにする。

 我々にとって主に関心があるのはほとんど例外なく一般原則から勝ち又は引き分けが導けるような局面である。そしてそのようなエンディングの内最も実戦的な価値があるものをまず考えることにしよう。クイーン・エンディングの多岐に渡る局面を全て調べる紙幅もなければその必要性もない。

3.1 クイーン対ポーン

 これほどの兵力差があればクイーンが簡単に勝つのが当然なのだからわざわざこのエンディングを調べるのは無駄のように思われる。しかしポーンが7段目まで進むとことはそれほど簡単でなくなる。このような状況はこれまでの例でも発生したように実戦では良く起こるものである。だから読者はそのような局面での指し方をしっかり理解しておかなければならない。最初は図63からである。

 図63

 黒ポーンがいずれかの中央列の7段目にある時白は自分のキングがどんなに遠くにいても常に勝つ。例外は白駒が不都合な位置にいて黒ポーンのクイーン昇格を防ぐことができない場合である。(例えば白キングがe6、クイーンがd8、黒キングがe2、ポーンがd2にいる場合白キング自身がクイーンによるチェックの邪魔になって 1…d1=Q を止められない。)

 図63の局面から白は黒キングをポーンの前に追いやって白キングに近づく余裕を与えることによって勝つことができる。具体的な手順の例は次のとおりである。

1.Qb2 Ke1

 1…Ke3 なら 2.Qc2 である。

2.Qb4 Ke2 3.Qe4+ Kf2 4.Qd3 Ke1 5.Qe3+ Kd1

 白は目的を達成した。同様の手順を繰り返すことにより自分のキングをしだいに近づけることができる。

6.Kb7 Kc2 7.Qe2 Kc1 8.Qc4+ Kb2 9.Qd3 Kc1 10.Qc3+ Kd1

 黒キングはまた自分のポーンの前に立ちふさがらなければならず白は 11.Kc6 と指すことができる。以下は手順を示すまでもなく白が簡単に勝つことが確かめられるであろう。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(236)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

第40局
ラウ対ウールマン
西ドイツ対東ドイツ、1988年
キング翼インディアン攻撃

1.e4 e6 2.d3

 白は中原の占拠を差し控えている。もっとまれな手は 2.Nf3 d5 で、

 a)3.e5 c5 4.b4!?(4.d4 cxd4 は第4章の解説に移行する)4…cxb4 5.d4(5.a3 d4!)5…Nc6 6.a3 Qa5!?(モトワニ)

 b)3.Nc3 d4!?(3…Nf6 4.e5 Nfd7 5.d4 も第4章の解説に移行する)4.Ne2 c5 5.c3 Nf6 6.d3 Nc6 7.g3 e5 +/= 黒はキング翼インディアン防御の白側で2手遅れている。

2…d5

 黒は 2…c5 でシチリア防御にすることもできる。

3.Nd2 Nf6

 黒は代わりに 3…c5 4.Ngf3 Nc6 5.g3 のあとナイトをe7に展開させることもできる。

 a)5…g6 6.Bg2 Bg7 7.O-O Nge7 8.Re1 h6!(どちらにキャスリングするのが最善か様子を見ている)9.c3(9.e5 g5!? 10.Nb3 b6 11.d4 c4 12.Nbd2 g4)9…b6 10.exd5 exd5 11.Nb3 O-O 12.d4 c4 =/+ ビットマン対エインゴルン、ベルリン、1992年

 b)5…Bd6 6.Bg2 Nge7 7.O-O O-O 8.Re1(8.Nh4!? Qc7 9.f4 f6! 互角)8…Bc7 9.c3 b6 10.e5 a5 11.Nf1 Ba6 12.h4 d4 13.c4 =/+ シュナピク対カルポフ、スコピエ、1972年

4.Ngf3 c5

 4…Nc6!? は面白い作戦で、5.g3 dxe4 6.dxe4 Bc5 7.Bg2 e5 8.O-O O-O 9.c3 a5 と指す意図である。ここでは黒が古典ピルツ(1.e4 d6 2.d4 Nf6 3.Nc3 g6 4.Nf3 Bg7 5.Be2 O-O 6.O-O c6 7.a4 Nbd7 8.dxe5 dxe5 9.Bc4!?)の白側を1手遅れて指すことになる(…e6-e5 突きにかけた1手が、ビショップが好所のc5の地点に行った1手によって相殺されるので1手だけの差である)。しかし白はこの作戦を 5.c3!? a5 6.e5(6.Be2 e5 は白が2手先行の逆フィリドール防御だが、優勢を得るにはあまり十分でない)6…Nd7 7.d4 で前局とほとんど似た局面にして邪魔することができる。もっとも黒は有効な1手を得ている。1989年ルガノでのフィリポビッチ対ランゲべフ戦ではこのあと 7…f6 8.Bb5(8.Nh4 Qe7! 9.Bd3 fxe5! 10.Qh5+ Qf7 11.Bg6 hxg6 12.Qxh8 e4! -/+ リュボエビッチ対バガニアン、ベオグラード、1974年)8…fxe5 9.dxe5 Be7 10.O-O O-O 11.Re1 Nc5 と進み形勢不明だった。

 4…b6 と突く手もあり1977年ブルガリアでのボベコフ対バンコフ戦では 5.g3 Bb7 6.Bg2 Be7 7.O-O c5 8.e5 Nfd7 9.Re1 Nc6 10.Nf1 Qc7 11.Qe2 h6 12.h4 O-O-O = と続いた。

5.g3 Nc6 6.Bg2 Be7 7.O-O O-O 8.Re1 b5 9.e5 Nd7 10.Nf1 a5 11.h4 Ba6

 白の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(62)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例(続き)

 最後に見合いとポーンのゆとり手の重要性を示す局面を紹介する。

 図62 黒の手番
ランドビル対ケレス、1947年

 黒は1ポーンを得しているが白キングの好位置、白の中央の危険なパスポーン及び自身のh7ポーンの出遅れという困難を抱えている。しかしポーン得はポーン得であり、…h5 と突いて自分のgポーンを突き進めることに役立つかもしれない。このhポーンのもっと重要な利用は急所の局面でゆとり手(…h6)として用い見合いを得て勝ちにつなげることである。おいおい分かるが黒はこのゆとり手があることによりこのエンディングに勝てる。もしこのポーンがh6にあったら引き分けに終わっていたのである。

1…Kb5

 絶対手である。1…Kb6? は 2.Kc4 a5 3.a4 で 3…h6 と指すよりなく引き分けになる。

2.a4+

 このチェックは仕方がない。2.Kd3 は 2…c4+ 3.Kd4 c3! 4.Kxc3 Kc5 で黒が早く勝てる。本譜のポーン突きは取ると 3.d6 があるので黒は取ることができない。

2…Kb6 3.Kc4 a5!

 この手で黒は貴重なゆとり手の …h6 を使わずに以前みたことのある局面に到達した。

4.d6

 4.Kc3 は 4…Kc7 5.Kd3 Kd6 6.Kc4 h6 7.Kb5 Kxd5 8.Kxa5 Kc6! 9.Ka6 c4 で黒が勝つ。

4…Kc6 5.d7 Kxd7 6.Kxc5 Ke7

 白キングが幅を利かせているので黒は中央とクイーン翼では何もできない。しかし …h5 の後のh筋の白ポーンを止めることができるのでその強行突破を狙うことができる。例えば黒は 7.Kb5 を警戒する必要がない。それは 7…h5! 8.gxh5 g4 9.h6 Kf7 で黒が勝つ。これは即ち白キングは c1-c5-g5-g1 の正方形の区域から出られないということである。

7.Kd5 Kf7 8.Ke4

 黒の狙いの 8…h5 9.gxh5 Kg7 から 10…Kh6 を防ぐために白はキングをこの位置に持って来なければならない。それでもやってくれば 10.Kf3 Kh6 11.Kg4 で受かる。代わりに 8.Kd4 は 8…h5 9.gxh5 Kg7 10.Kd5 g4 11.Ke4 Kh6 12.Kf4 Kxh5 で黒が簡単に勝つ。

8…Kf8!

 この手が図26で見たのと同様の決め手である。白は手詰まりに陥っている。9.Kd4 は 9…h5! があるので白キングはe筋を離れられない。白キングが下がれば黒キングがd6に来るのでそれもできない。それでもどちらかを選ばなければならない。

9.Ke3 Ke7 10.Ke4 Kd6 11.Kd4 h6!

 黒キングがd筋で1段上に来たところで初めて黒はこの切札を行使する。黒は見合いを取ったのでキングがさらに前に進むことができる。明らかにこのゆとり手がなかったら1ポーン多くても黒は勝つことができなかった。

12.Ke4

 白はクイーン翼での逆襲が間に合わない。それは 12.Kc4 Ke5 13.Kb5 h5 14.gxh5 Kxf5 ですぐに黒の勝ちになる。

12…Kc5 13.Ke3 Kd5!

 13…Kb4 14.Kd4 Kxa4 15.Kd5 Kb3 16.Ke6 a4 でも黒の勝ちであるが本譜の手順の方が簡明である。

14.Kd3 Ke5 15.Ke3 h5! 16.gxh5 Kxf5 17.Kf3 Ke6

 この手も 17…g4+ 18.Kg3 Kg5 19.h6 より簡明である。

18.Kg4 Kf7 19.Kf5 Kg7 0-1

 この例を最後にポーン・エンディングの章を終わる。ポーン・エンディングの最も重要で基本的な局面の主要な原則を説明してきた。もちろんこの本では採り上げることのできなかった局面も数多くある。しかし既に述べたように本書の目的は全てを網羅することでなく役に立つ教材を提供することであった。読者が本書の内容を徹底的に理解すれば最も複雑なエンディングでも乗り越えられる知識を得ることができる。次はクイーン・エンディングの番である。

(この節・章終わり)

2013年06月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(322)

「Chess Life」2013年4月号(10/11)

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不退転のグランドマスター(続き)

2012年ナカムラの最悪の試合

マコーリー・ピーターソン

劣勢
GMマイケル・アダムズ(FIDE2722、イングランド)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2783、米国)
FIDEグランプリ・ロンドン大会第9回戦、イングランド・ロンドン、2012年10月1日

26.Rhd1

 局面は黒が非勢だが、ナカムラの次の手で完全に駄目になった。

26…Rb8? 27.Rd8+ Rxd8 28.Rxd8+ Kh7 29.Qc2+ g6 30.Rd7 Kg8 31.hxg6 Kg7 32.gxf7 Nxf7 33.Qe2 Kg8 34.Qf3 Qf8 35.Rxb7 Qg7 36.Kb2 黒投了

ビショップの侵入
GMレボン・アロニアン(FIDE2825、アルメニア)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2775、米国)
タリ記念大会第1回戦、ロシア・モスクワ、2012年6月8日

21.Nd5 g5?

 21…Rad8 のような手なら黒がうまくやっていた。

 残念ながらナカムラは強力な突入を見落としていた。

22.Bd7!

 これで白の戦力得になる。

22…Re6 23.Bxe6 Bxe6 24.Nxf6 Qxf6 25.Rxc6!

 アロニアンは交換得を返上して勝ちの収局に単純化した。

25…bxc6 26.Qa1 a5 27.Qxe5 Qxe5 28.Nxe5 黒が53手目で投了

ラーデクに負ける
GMラドスラフ・ボイタシェク(FIDE2717、ポーランド)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2778、米国)
第40回チェスオリンピアード・オープン部門第11回戦、トルコ・イスタンブール、2012年9月9日

42.Rc8 Bf7?

 黒は 42…Bc6 43.Rxf8+ Qxf8 で駒を交換することにより頑張ることができた。

43.Qc1

 平凡なそらしの 43.Nd7! なら黒の苦しみをすぐに終わらせていた。そのあとは 43…Qxd7 44.Qe5 Be8 45.Rc7 となるだろう。

43…Be6

 あとは掃討処理だけである。

44.Rc7 f4 45.Rxb7 g5 46.Rxa7 g4 47.Qc7 Qxc7 48.Rxc7 Rf6 49.Rg7+ 黒投了

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(この号続く)

2013年06月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(235)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 この手は …Nd4 を防いでいる。白はもう1手指せれば 15.Ne3 で磐石の構えになる。しかしそんな贅沢は認められなかった。

14…Bb4!!

 黒はさっそうと展開を完了した。

15.cxb4 Bc4 16.Ng3

 本局のあと1973年トビリシでのマカリチェフ対バガニアン戦では白が15手目までまったく手を変えず 16.Ne3 と指した。あきらかにこれが黒の攻撃への対処法だと考えていた。しかし長くは続かなかった。16…Bxe2 17.Kxe2 Nd4+ 18.Ke1 Rhe8! 19.Bd2 Qe4! のあと …Qxg2 と …Nc2+ の両狙いが受からなかった。そして 20.Kd1 Qd3 21.Re1 Nb3 22.Re2 Nxa1 23.Ke1 Rxe3! 24.fxe3 Nc2+ 25.Kd1 Nxe3+ 26.Ke1 Qb1+ 27.Kf2 Ng4+ で白が投了した。本譜でも白はこれよりましでない。

16…Bb5 17.Qa3 Rd3!

 クイーンと …Rxg3 を狙っている。白は受けがない。

18.Bf4 Qe6 19.b3 Rxg3 20.O-O Rxg2+ 21.Kxg2 Bxe2 22.f3

 22.Rfe1 なら 22…Qg4+ 23.Bg3 Bf3+ から 24…Qh3 で詰みになる。

22…Rf8 23.Bg3 Qe3 24.Qc1 Bxf3+ 25.Rxf3

 25.Kh3 なら 25…Qe6+ で次に詰む。

25…Qxf3+ 26.Kg1 Re8 27.Qf1 Qe3+ 28.Kg2 Qe4+ 0-1

 パンチェンコの精力的な指し回しの名局だった。

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(61)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例(続き)

5.Ke4

 図61 黒の手番

 この局面は白と黒の双方に色々な手段の余地があるのでここを分析の出発点としよう。

 まず指摘しておきたいのは白が遠方見合いを取って 5.Ke2 と指して後の …Kc7 に対して Kc1 を可能にすると黒は 5…Kd5 6.Kd3 Kc5! でc5の地点に到達することができるということである。白キングはc3の地点に行けないので 7.Ke4(7.h5 Kd5)Kc4 8.Ke3 Kc3! で黒のbポーンがクイーンに昇格するので負けてしまう。

5…Kd6

 より早い勝ちは 5…Kd7 6.Kd3 6.h5 は 6…Ke7! 7.g5 Ke6! で手詰まりにより黒の勝ち。6…Kc7 であるが面白い落とし穴を紹介するために本譜の手を選んだ。

 重要な変化は 5…b3 6.Kd3 Ke5 7.Kc3 Kf4 だが 8.g5! が好手で 8…Kg4 9.Kxb3 Kxh4 10.Kc4 Kxg5 11.Kb5 Kf5 12.Kxa5 g5 13.Kb5 g4 で両方にクイーンができ引き分けになる。

6.Kd4 Kd7!

 黒は白キングが3段目に行くまではc7の地点に黒キングが行かないよう細心の注意を払わなければならない。これはもし白がポーンを動かせば自分のキングがe5の地点に駆けつけられるようにするためである。

 間違い易い誤りはすぐに 6…Kc7? で見合いを取る手である。しかし白は 7.h5! Kd6 8.g5 で引き分けにすることができる。白には h6 の狙いがあるので 8…Ke7 9.Ke3 Ke6 10.Ke4 と指さざるを得ず白は見合いを取り戻し黒の …Kf5 を防ぐことができる。

7.Kd3

 7.Ke4 Ke6 は黒に見合いを取らせてしまう。7.g5 Ke6 8.Ke4 g6 と 7.h5 Ke6 はすぐに負けになる。

7…Kc7!

 今こそ安全にこの手が指せる。例えば 8.h5 は 8…Kd6 9.g5 Ke5! で失敗に終わる。この手順中 9.Ke4 ならば 9…Ke7! 10.g5 Ke6! で良い。本譜の手の後白は見合いを譲らざるを得ない。

8.Ke4

 8.Kc4 Kc6 でも 8.Kd4 Kd6 でも状況は変わらない。また 8.h5 は 8…Kd6! 9.Ke4 Ke7! 10.g5 Ke6! で既に知っている手詰まりの局面になる。

 8.g58…Kd6! 8…Kd7? は誤りで 9.h5 で引き分けになる。9.Ke4 Ke7! ここでも 9…Ke6? は間違いで 10.h5 で引き分けになる。10.Ke3 Ke6! 10…Kf7 11.h5 と 10…g6 11.Kd3 は引き分けになる。11.Ke4 g6 でキングがf5の地点を占めることができるので黒が勝つ。

8…Kc6!

 斜めの見合いを得た。

9.Kd4

 9.g5 Kd6 10.Kd4 Ke6 11.Ke4 g6 でも 9.h5 Kd6 10.g5 Ke6 でも黒が勝つ。

 一般的な指針として白のポーンがg5とh5にある時に白が Ke4 と指したら黒は必ずキングをe6に置いて見合いを取らなければならない。

9…Kd6

 黒は目的を達成した。後は簡単である。

10.Ke4

 白がポーンを動かせば黒は 10…Ke6 で応える。

10…Kc5 11.h5

 このポーン突きを本譜の手として選んだ。白はもちろんもっと早くこの手を指すこともできた。11.Kd3 Kd5 12.Ke3 Ke5!(最も簡明)と 11.g5 Kd6 12.h5 Ke6 は本譜の手順に合流し、同様に形勢は絶望である。

11…Kd6

 11…Kc4 12.Ke3 Kd5 でも黒が勝つ。

12.g5 Ke6! 13.Kd4 Kf5 14.h6 gxh6 15.gxh6 Kg6

 黒はh6のポーンを取りその後は図24と同じ要領で勝ちになる。非常に面白く参考になる個所の多い例であった。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(234)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 これが最も機動力のある手である。黒はクイーンで取り返して、…e5 突きで中原を破る意図である。もしうまくいけば今は完全に閉じ込められているc8のビショップの展開というこの局面での大きな問題の一つを解決することになる。代わりに 8…Nxf6 は弱いeポーンの代償がほとんど得られない。

8.Nf1! e5?!

 これは一貫性のある手だが本筋ではない。8…Bd6 の方が良いが、白も 9.Ne3 O-O 10.O-O でいくらか優勢を維持する。d5のポーンが浮くので黒は容易に …e5 と突けない。

9.dxe5?

 9.Ne3! e4 10.Nxd5 Qd6 11.Bc4!(11.c4 は 1981年通信戦でのシェリンガーホウト対デ・ブリース戦のように 11…exf3 12.Bf4 fxg2! 13.Rg1 Qxf4! 14.Nxf4? Bb4+ で悪い[訳注 14.Bh5+ で白キングの逃げ道を空けてから黒クイーンを取れば白の勝勢のようです])11…exf3 のあと白は失った駒の代わりに 12.O-O か 12.Bf4 で猛攻ができる。

 白は相手の戦法に意表をつかれたようで、最強の手を見つけることができなかった。時には本手ではないが危険な布局が功を奏することがある。

9…Ndxe5 10.Qxd5?

 本局はザク著「Improve Your Chess Results」から引用したが、彼は黒が試合の前に結果の局面を研究してきたのは明らかなので白がポーンの犠牲を受諾するのは危険だったと指摘している。もっと「手慣れた」手なら 10.Ne3 だった。

10…Be6 11.Qb5 a6! 12.Qa4

 12.Qxb7?? は 12…Ra7 でクイーンが取られる。だからこのクイーンは中央に影響力の劣る地点に行かされた。

12…O-O-O 13.Nxe5 Qxe5 14.c3

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(60)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例(続き)

 これまで見合いとその重要性、特に遠方見合いと対応枡については何回も採り上げてきた。しかしそれらの概念は実戦とはかけ離れたスタディの分野に属するものと思い込んでいる読者がいるかもしれない。1937年ケメリ国際大会での次の非常に面白い例はそのような思い込みを一掃するのに役立つだろう。

 図60 黒の手番
ベルグ対ペトロフ、1937年

 ここでもやはり見かけだけでは分からない。駒割りは互角でお互いのキングが相手のポーンの進攻を抑えているが勝つ可能性があるのは黒である。これは黒がすぐに保護パスポーンを作れるのに対し白はそうできないことによる。

 保護パスポーンの有利性は敵キングの動きを厳しく制限し味方のキングは自由に動き回れることにある。本局の場合白キングは常に黒のbポーンを監視していなくてはならない。これに反し黒キングは自由に白ポーンを攻撃できる。

 しかし勝ちの手順は決して黒にとって易しいものではない。これは白キングはbポーンを監視しながらe4まで行けること、そしてh4とg4の白ポーンは障壁となって …g5 と突かれても h5 で白にも保護パスポーンができるので崩される恐れがないことによる。試合はここで指し掛けになり両対局者は十分に研究する時間があったので試合を再開せずに白が投了した。これからその理由を探ってみよう。

1…a5!

 明らかに絶対の一手である。白に 2.a5 とされるとbポーンが孤立するのでその前に守らなければならない。この関係から先に 1…g5 と指す余裕はない。そう指せば 2.h5 と応じられ 3.a5 があるため 2…g4 と指す余裕がなく、白にも 3.g4 と保護パスポーンを作られてしまう。

2.g4

 黒の狙いは 2…g5 3.hxg5 Kg7、又はこの手順中 3.h5 g4 で、そうなれば図24で見たように簡単な勝ちになる。

2…Kg8 3.Kc2 Kf7 4.Kd3 Ke6

 容易に分かるように見合いが重要な役割を果たす。例えば白キングがd4、黒キングがd6にいて白の手番だとしたら黒キングはすぐにc5又はe5から侵入できる。後に示すように白のキング翼でのゆとり手は役に立たない。

 黒は直接見合いを取っても無駄である。それは黒キングがe6、d6、c6に行けば白キングはそれぞれe4、d4、c4に行けるからである。だから黒キングは遠方見合いを取らなければならない。黒キングがe7又はd7にいる時白キングの対応枡はそれぞれe3又はd3である。しかし黒キングがc7にいる時は白キングはc3に行けないので見合いを取れない。

 これで残るは白に不意の逆襲を許さずに構想を実行する手順を見つけることである。最も効率的な手順は 4…Ke7 5.Ke3 Kd7 6.Kd3 Kc7! であるが、この局面について色々な勘所を示すためにもっと長い手順を採用した。

(この項続く)

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布局の探究(54)

「Chess Life」1992年8月号(4/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

「互角」とはどういうことか(続き)

 (4)動的互角

 動的互角とは可能性が等しいということを意味している。一般にある局面が動的に均衡がとれていることを確認するには家でも盤上でも徹底的な考察が必要である。さらに局面が本質的に不均衡なので、新しい発見で評価が「互角」から変わる危険性が常に大いにある。それにたとえ可能性が実際に等しくても、局面の不均衡な性質のためうまく指した方が勝つことを意味している。

 この項では主に考えるべきことが本質的に戦略的な場合と戦術的な場合とを例を用いて説明する。

 (a)本質的に戦略的

 前局の局面図(1.d4 d6 2.e4 Nf6 3.Nc3 e5 4.dxe5 dxe5 5.Qxd8+ Kxd8 6.Nf3 Bd6 7.Bc4)に戻る。その時は白を持って指していたGMグリコは、約8ヵ月後の1991年米国選手権戦第1局でのW.ブラウン戦では黒を持って指していた。骨折って実戦的互角にしたくなかった彼はもっと意欲的な作戦を選んだ。

7…Be6!? 8.Bxe6 fxe6 9.Be3 Nc6!

 この手は本当の新機軸で、GMグリコは局面を「=」、すなわち動的互角と評価した。孤立二重ポーンの代償として黒はd5とf5の地点を支配し、半素通しf列が使え、重要なd4の地点を支配している。それでも私は読者に無批判でそのような二重ポーンを受け入れることのないよう注意してもらいたい。実際は1989年ハイファでのアントゥネス対L.ブルネル戦では凡庸な 9…Nbd7?! のあと黒が陣形の欠陥の十分な代償を得られなかった。

10.a3 a6 11.Ke2 Ke7 12.Rhd1 h6 13.h3 Rhf8 14.Rd3 Nh5

 ここで軽率な 15.Nh4? のために 15…Nd4+!(16.Bxd4? Nf4+)で黒が優勢になった。代わりにGMグリコは 15.g3 Nf6! で動的互角が続くとしている。d4とe4の地点に対する黒の圧力が二重ポーンの代償になっている。

 (b)本質的に戦術的

 戦術的に不均衡な重要局面はシチリア防御のリヒター・ラウゼル攻撃の次の戦型から生じる。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 Nc6 6.Bg5 e6 7.Qd2 a6 8.O-O-O h6 9.Bf4 Bd7 10.Nxc6 Bxc6 11.f3 d5 12.Qe1 Bb4 13.a3 Ba5 14.Bd2

 形勢の判断基準はシチリア防御に特有なものである。すなわち白は中央とキング翼で攻撃し、黒の可能性はクイーン翼にある。黒の 8…h6 はキング翼をポーン暴風にもろくし、白の 13.a3 はクイーン翼をポーン攻撃にさらしている。最近の実戦では白が優勢を保持できるようになった。例をあげると(a)14…dxe4?! 15.Nxe4 A.ロドリゲス対J.ノゲイラス、キューバ選手権戦、1990年(b)14…d4 15.e5! P.ウオルフ対M.ドラギー、ニューヨーク、1991年(c)14…Qe7 15.e5 Nd7 16.Kb1 Bb6 17.f4 J.ベンジャミン対B.グリコ、米国選手権戦、1991年、番勝負第2局

 しかし1991年ソ連でのI.グレク対G.セルペル戦で黒は改良した手を指した。

14…b5!

 IMセルペルはこの局面を「=」と判定した。これは明らかに動的互角を意味している。あとから考えれば本譜の手は明白に思われる。つまり黒はクイーン翼で有望なので、すぐに攻撃に突き進む。すぐに …b5 と突くことの重要な側面は、これに対して 15.e5 Nd7 16.f4 と中央を閉鎖するのは、bポーンがすでに動員されているので 16…Bb6! のあと白のクイーン翼に対しポーン暴風を開始する用意ができているので黒を手助けするだけであるということである。

15.exd5 Nxd5 16.Bd3 Rc8! 17.Kb1

 IMセルペルは 17.Qg3 に黒も 17…O-O と指すのは 18.Bxh6? が 18…Bxc3 19.bxc3 Qf6 で白のキング翼がもっと薄くなるからであると指摘している。

17…O-O 18.Nxd5 Bxd2

 ここからは 19.Qxd2?! Bxd5 で黒の攻撃の可能性が有望になり、49手で勝った。IMセルペルによると白は 19.Qe4! g6 20.Rxd2 Bxd5 21.Qe3 で、白のクイーンとルークの方がより活動的な位置にいて黒キングのポーンによる囲いがいくらかゆるんでいるので、白が動的互角を保持できるということである。

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フランス防御の完全理解(233)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

第39局
A.ペトロシアン対パンチェンコ
オデッサ、1973年
ギマール戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nc6

 これは過小評価されている手である。3…Nf6 4.e5 または 3…dxe4 4.Nxe4 は白陣が広いし、3…c5 4.exd5 exd5 は黒に孤立ポーンができる。ならばクイーン翼ナイトをすぐに展開して白の中原を攻撃するのは実際もっと悪いのだろうか。この手で …c5 と突くのが難しくなったことは確かだが、このあと出てくるように代わりに …f6 で白の中原に圧力をかける手はいつでもある。

 3…a6 4.Ngf3 c5 という手もある。5.exd5 exd5 6.dxc5 Bxc5 と 6.Be2 c4 は以前の章で既に取り上げた。白は代わりに 5.dxc5 Bxc5 6.Bd3 で争点を保つようにすることもできる。このあとは次のように異なった中原がいくつか生じる。6…Nc6 7.O-O Nge7(1990年ベイクアーンゼーでのアーナンド対M.グレビッチ戦では 7…Nf6 8.exd5 Nxd5 9.Ne4 Be7 10.c4 Nf6 11.a3 Qc7 12.b4 +/= でルビーンシュタイン中原になった)8.c3(1994年パリでのスミリン対二コリッチ戦では 8.e5 Ng6 9.Nb3 Ba7 = で古典中原になった)8…O-O 9.Re1 Ng6 10.exd5! exd5 11.Nb3 は孤立dポーン中原で、1988年テッサロニキ・オリンピアードでのスピールマン対シュスラー戦では白が少し優勢だった。

4.Ngf3

 これに代わる重要な手は 4.c3 で、次のように難解だが白がいくらか優勢になる。4…e5!? 5.exd5 Qxd5 6.Ngf3 exd4 7.Bc4 Qf5 8.Nxd4 Nxd4 9.cxd4 Be6 10.Qa4+ Bd7 11.Qb3 O-O-O 12.O-O

4…Nf6 5.e5 Nd7 6.Be2

 白は単純に展開している。黒は明らかに …f6 と突くつもりなので、たぶん Bh5+ がいつか強力になる。6.Nb3 もある。1987年ジャカルタでのチー・チンフワン対ジョハンセン戦では 6…a5(Encylopedia of Chess Openings では 6…Be7 7.c3 O-O 8.Bd3 f6 が推奨されているが 9.Qc2 で危険そうである)7.a4 b6 8.c3 Bb7 9.Bg5(ジョハンセンによると 9.Bd3 の方が良い)9…Qc8! 10.Bd3 h6 11.Bh4 Ba6 12.O-O Bxd3 13.Qxd3 Qa6 14.Qd2 Ne7! 15.Bxe7!(さもないと 15…Nf5 で具合が悪い)15…Bxe7 16.Ne1(f4 と突く準備)と進み、ここでジョハンセンは 16…h5 17.f4 g6 で互角にできたと主張している。黒の着想は最後の3局と第3章のレニングラード・システムの組み合わせである。

6…f6 7.exf6 Qxf6

 白の手番 

訳注 本局のペトロシアンは元世界チャンピオンの Tigran ペトロシアンでなく Arshak ペトロシアンです。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(59)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例(続き)

 次の例は図13に現れたような巧みなキングの動きが見られる。

 図59 白の手番
ラスカー対タラシュ、1914年

 タラシュは白が投了してもおかしくないとの想定でこの局面に持ち込んだ。実際黒はキングの助けがなくてもクイーン翼で勝つことができる。その手順は 1…c4 2.bxc4 bxc4 の後 3…a4 から 4…c3 である。これに対して白キングは成すすべがなく、hポーンも容易に止められてしまうように見える。しかしタラシュの夢想だにしない手順で世界チャンピオンは引き分けを実現した。

1.h4 Kg4 2.Kg6!

 これが核心の手である。タラシュは 2.Kf6 しか読んでいなかった。それは 2…c4 3.bxc4 bxc4 4.Ke5 c3! 5.bxc3 a4 でこのポーンが止まらない。ラスカーの手は 3.h5 を見せて黒にこのポーンを取らせることによって貴重な一手を稼いでいる。これにより白キングは自分のポーンがじゃまになる黒枡の斜筋 (a1-h8) の代わりに白枡の斜筋 (b1-h7) をたどることができる。すぐに分かるようにこれは天と地ほどの違いがある。

2…Kxh4 3.Kf5 Kg3

 多分ここらあたりでタラシュは勝利の夢から目覚めたことだろう。もし彼が当初の予定どおりに手を進めたら以下のように負けてしまう。3…c4 4.bxc4 bxc4 5.Ke4 c3 6.bxc3 a4?(6…Kg5 7.Kd5 Kf6 ならまだ引き分けにできる)7.Kd3! 白キングはc3のポーンによって邪魔されずにb2に到達できる。

4.Ke4 Kf2 5.Kd5 Ke3

 黒の方が負けないように指さなければならなくなった。

6.Kxc5 Kd3 7.Kxb5 Kc2 8.Kxa5 Kxb3 1/2-1/2

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(232)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 これは予想もしない決定的な急襲だった。これで黒の中央の支配が崩壊する。局面を閉鎖的に保とうとする 11…e4 は 12.Ne5 Qd6 13.Bf4 が致命的である。ゲレルは 11…exd4 も 12.Nxd4 Qd6 13.Nxc6 Nxc6 14.Bf4 Qd7 15.Qxd5 でひどいと指摘している。

 11.Bb5 は戦術も戦略と密接な関連があることを思い起こさせる。ゲレルがたとえば 11.Nxe5 Nxe5 12.dxe5 という具合に漫然とe5で取り返していたら、優勢はほとんどなくなっていただろう。戦術のあやに注意深くないと大局的なチェスを指しこなすことはできない。

11…Ng6 12.Nxe5 Ngxe5 13.Rxe5 a6

 13…Be7 は 14.Qf3 Bf6 15.Nxd5 Bxe5 16.Nf6+ でうまくいかないので、d5の地点を守る適当な手段がない。

14.Bxc6 Qxc6 15.Nxd5 Bd7 16.Bg5 Bd6 17.Qh5+ Kf8

 17…g6 は 18.Qe2 Bxe5 19.Qxe5 で白の勝ちになる。試合は次のように進んで終わった。

18.Qf3+ Kg8 19.Rxe6 Rf8 20.Ne7+ Bxe7 21.Qxc6 Bxc6 22.Rxe7 Rf7 23.Rae1 Bxa4 24.b3 Bc6 25.R1e6 Bd5 26.Re8+ Rf8 27.R6e7 h6 28.Rxf8+ Kxf8 29.Rxc7 Kg8 30.Bf4 g5 31.Be5 Rh7 32.Rc8+ Kf7 33.c4 Bb7 34.Rd8 Ke6 35.Rd6+ Kf5 36.f3 g4 37.Rf6+ Kg5 38.f4+ Kh5 39.Rxb6 Be4 40.Kf2 Rb7 41.Rxb7 Bxb7 42.d5 1-0(時間切れ)

(この章続く)

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慰安婦、つかこうへい氏の見方

産経新聞電子版2013年6月24日付け
慰安婦、つかこうへい氏の見方

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カテゴリ: 我楽多

[復刻版]実戦に役立つエンディング(58)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例(続き)

 次の例は世界最高峰のグランドマスター同士の試合からでやはり絶妙の手順が現れる。

 図58 黒の手番
フロール対カパブランカ、1935年

 二重ポーンのせいで黒のポーンの形がひどく悪いので、白が陣形的に非常に優位に立っていることはすぐに分かる。もし白キングがf4の地点に行ければ黒はいずれポーンを失いそれと共に負けになってしまう。f4の地点を占めるためには白キングは先ずf3の地点を占めなければならない。そうなればhポーンに遊び手があるので白キングが必ずf4に到達できる。黒はこの筋書きに対してどのような対応策があるだろうか。

 もし黒が手をこまぬいていれば白は上の手順を実行して楽に勝ってしまう。黒の唯一の対策は機を見てポーンを …h4 と突くことである。そして gxh4 に対して …f4 と突ければ盤上から白のeポーンを排除できる。しかしこれは白キングがe2、黒キングがe5にいる時には成功しない。それは白がhポーンを取り黒が …f4 と突いた時に 2.h5 Kf5 3.exf4 で全てのポーンが保持され白の必勝形になるからである。黒が引き分けるためには白のeポーンをチェックで取ることができなければならない。即ち白キングはd2又はf2の枡にいなければならない。言い換えると白キングがe2、黒キングがe4にいる時白の手番ならばキングをd2又はf2に動かさなければならず、…h4! で引き分けになる。逆に同じ局面で黒の手番ならば白の勝ちとなる。なぜなら …h4 が成立しないので白キングが必勝のf3の地点を占めるからである。

 黒は明らかに受けに細心の注意を要求されている。カパブランカがこの問題の局面でどのように対処したかおおいに興味をそそられる。

(1)

1…Ke5!

 局面の機微を完全に理解していることがうかがえる。1…Kd5? と明白に見合いを取るのは以下のような巧妙な手順で負ける。2.Kd2 Ke5 2…Ke4 は 3.Ke2 で黒が手詰まりに陥る。2…h4 は 3.gxh4 f4 4.exf4 Ke4 5.h5 で白の勝ちである。これが黒キングがe5にいなければならない理由である。3.Ke1! Kd5 4.Kf2 Ke4 白キングがf3に行くのを阻止するために絶対である。5.Ke2 Kd5 5…h4 は 6.gxh4 f4 7.h5 Kf5 8.exf4 で白の勝ちである。6.Kf3 Ke5 7.h3 Kd5 8.Kf4 Ke6 9.h4 これで黒の先頭のポーンが落ちて白が勝つ。

 意外なことに黒には別の受けの手段がある。それはキングをg5に持って行き同様にf4の地点を守りながら …h4 を狙うものである。この手については(2)で分析する。

2.Ke2

 先に触れたように 2.Kd2 は 2…h4! 3.gxh4 f4! 4.h5 fxe3+ 5.Kxe3 Kf5 で引き分けとなる。

2…Ke4!

 黒は目標を達成し白は手詰まりに陥っている。白キングが動けば …h4 が可能になるので、白はhポーンを動かして貴重な遊び手を使わなければならない。

3.h3 Kd5

 3…Ke5? は間違いで 4.Kf3 で白が勝つ。

4.Kf3 Ke5

 ここで両対局者は引き分けに合意した。5.h4 Kd5 6.Kf4 Ke6 の後白には重要なhポーンの遊び手がない。

(2)

1…Kf7!

 この手でも引き分けになるが(1)と比べるとかなり際どい。黒キングはちょうどg5の地点に間に合う。

2.Ke2

 キングが他の枡に動いても良くならない。例えば 2.Kd4 は 2…Ke6 3.Kc3 Kf7 4.Kd3 Kg6!(4…Ke6 はだめで 5.Ke2 から 6.Kf3 とされる)5.Kd4 Kg5 6.Kd5 Kg4 7.Ke6 Kh3 で引き分けになる。

2…Kg6 3.Kf2 Kh6!

 黒キングは白キングがf3の地点に来るまではg5の地点に来てはならない。例えば 3…Kg5? 4.Kf3 h4 5.gxh4+ Kxh4 6.Kf4 Kh3 で白の勝ちとなる。

4.Kf3 Kg5 h3

 5.h4+ は 5…Kh6 6.Kf4 kg6 7.e4 fxe4 8.Kxe4 Kf7 9.Kf5 Kg7 10.Ke6 Kg6 11.Ke7 Kg7 で引き分けになる。本譜の手は 5…Kh6 ならば 6.Kf4 kg6 7.h4! で白が勝つので黒が危うそうに見える。しかし黒には好手がある。

5…h4! Kg2

 6.gxh4+ なら 6…Kxh4 7.Kf4 Kxh3(ここが要点)8.Kxf5 Kg3 9.Kxf6 Kf3 で引き分けになる。

6…Kh5

 ここは 6…hxg3 7.Kxg3 f4+ 8.exf4+ Kh5 でも引き分けになる。

7.Kf2 hxg3+ 8.Kxg3 Kg5 9.h4+ Kh5 10.Kh3 f4 11.exf4 f5

 局面は明らかに引き分けである。

(この節続く)

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ポルガーの定跡指南(83)

「Chess Life」2005年5月号(2/5)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

3…Qd6 の中央反撃[B01](続き)

 中央反撃は次の手順から始まる。

1.e4 d5 2.exd5 Qxd5 3.Nc3 Qd6

 この手はここ10年で流行しだしたばかりである。以前は 3…Qa5 か 3…Qd8 だけが「本手」とみなされていた。フランス防御で 1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 c5 4.exd5 Qxd5 5.Ngf3 Nf6 6.Bc4 のあとクイーンがd6に下がることができるが、私の推測ではこの着想はそこから来たのかもしれない。

4.d4 Nf6

 ここまで白の手はすべて当たり前で非常に理にかなっている。ここからは白の残りの駒の展開法は多種多様である。もっともよく指されるのは次の手である。

5.Nf3

 ナイトをe2に展開する手もあり以前に指されたことがある。

 5.Bc4 a6 この手には二重の目的があり、不快な Nc3-b5 を防ぐだけでなく、…b7-b5 で黒の白枡ビショップを働かせる用意もしている。

 (5…Nc6 で …e7-e5 突きを狙う別の作戦も指されてきた。しかし 6.Nge2 のあと黒キングがまだ中央にいるので 6…e5 ですぐに中原を開放するのは疑問を感じる。私なら 7.O-O で白の方を持ちたい。例えば 7…Nxd4 8.Nxd4 Qxd4 9.Qxd4 exd4 10.Nb5 という具合である。7…a6 と突く方が良く、白は 8.dxe5 Nxe5 9.Bb3 と指し進める。)

 6.Nge2 ここから黒は普通に 6…b5 7.Bd3 Bb7 8.Bf4 Qd8 と指し進めることができる。もっとも黒が 6…Qc6 7.Bb3 Qxg2 で「ポーン狩り」の危険をおかした試合もある。8.Bg1 で白に犠牲にしたポーンの代償が絶対十分あると思う。黒はポーン得だが白は展開で大きくまさり、盤の中央で立ち往生している黒キングに対し猛攻ができる。

 別の展開方法は 5.Be2 a6 6.Bf3 だが、黒は 6…Nc6 で問題が無く、7.Nge2 Bf5 8.Bf4 Qd7 9.Qd2 O-O-O 10.Rd1 e6 11.a3 h6 12.h3 g5 13.Bg3 Bd6 となって黒が少し優勢である。

 5.g3?! は 5…Bg4! で黒が主導権を握り 6.f3(または 6.Qd3 Nc6 7.Nb5 Qd7)6…Bf5 7.Bd3 Bxd3 8.Qxd3 Nc6 9.Be3 Nb4 10.Qd2?! Qe6! で白が既に苦戦で 11.Kd1 O-O-O と続いた(コク対フレシネ、ブザンソン、1999年)。

5…a6

 これもこの戦法の典型的な手で、b5の地点を支配している。

 ここで白には2個のビショップを展開する数多くの手段がある。実戦ではほとんどすべてのビショップ展開の組み合わせが試されてきた!

 そのうちの重要な方の着想を見ていこう。

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フランス防御の完全理解(231)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

第38局
ゲレル対ペトロシアン
モスクワ、1963年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 b6 5.Nf3 Qd7

 5…Ba6 なら 6.Bxa6 Nxa6 7.Qd3! と指すつもりだったとゲレルは言った。7…Nb8?? は 8.Qb5+ で両当たりになるので、黒は …Qc8 と指すかc3のナイトを取らなければならず白は a3 と突く必要がない。どちらの選択肢も黒にとっては不満足である。

6.Bd2 Bf8

 カルポフの 6…Ba6 とは異なる指し方である。

7.a4!?

 ゲレルのカルポフ戦の試合では相手の意表を突くことがいかに大切かということを指摘した。ここではチェスの心理学の別の「法則」を付け加えてもよいかもしれない。「相手の棋風や好みを知っているなら、相手の好みに合わない指し方をせよ。」本局の場合ゲレルはペトロシアンがこの戦型を黒で数多く指し必ずクイーン翼にキャッスリングしていることを知っていた。そこでゲレルはクイーン翼でのポーン暴風をちらつかせることにより、ペトロシアンになじみの指し方からはずれさせようとした。概してこの元世界チャンピオンに弱点があるとするならそれはがむしゃらな攻撃に直面した時だった。ポルガエフスキーは名著の「Grandmaster Preparation」でこのことに次のように言及している。「ペトロシアンの負けたあるいは不利に陥ったまれな場合とは相手に一気に激しく指された時である。なぜなら彼は時々盤上で何かを恐れて布局での重大な争いを避けるときがあるからである。」だからゲレルの積極性に富んだ 7.a4! は心理戦にぴったり合っている。

7…Nc6

 代わりに 7…Ba6 8.Bxa6 Nxa6 もある。そのあと 9.a5?! は 9…b5 で局面が閉鎖的なままである(カルポフは前局ではるかに不利な状況でこの手を試みた)。また白が 9.Qe2 と指せば 9…Nb4 が面倒である。だから単純な 9.O-O が最善である。ペトロシアンは本譜の手でこの戦型での自分のいつものやり方に従っている。

8.Be2

 これでこのビショップは相手にビショップをぶつけられる恐れなく展開できる。

8…Nge7 9.O-O f6?

 このような局面ではペトロシアンはこの戦型での実績と信頼のある戦略に従って 9…Bb7 から 10…O-O-O と指すのが普通である。しかしクイーン翼での白のポーン暴風の可能性を心配していた。そこで代わりに白の中央の攻撃に打って出た。しかしこれは展開に優った側に有利に働く筋の開通に通じるので危険な方針だった。代わりの作戦としてゲレルは堅実な 9…f5 を分析しているが、それでは反撃にならず、白が突破策を見つけるかどうか座視しなければならない。ゲレルは自分なら b4 突きを準備し、たぶん機会があればキング翼での動きを組み合わせると指摘している。それでもやはりペトロシアンはこのような閉鎖的な局面での大家なので、ゲレルが勝つのは至難の技だっただろう。

10.Re1 fxe5?

 10…f5 や 10…Bb7 は手遅れではなかった。しかし黒は白がe5で取り返したあと …Bb7 と指す余裕があることに期待していた・・・

11.Bb5!

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(57)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例

 これまではポーン・エンディングの最も基本的なものを見てきた。これらは完全に習得しておかなければならないものである。本節ではこれまでの原則がどのようにもっと難しいエンディングに応用されるかを学んでいく。

 図57 黒の手番
シュトルツ対ニムゾビッチ、1928年

 この局面をちょっと見ただけでは白の方が有利なように思われる。クイーン翼には強力な連結パスポーンがある。白キングは黒のdポーンの前進を止めている。そしてgポーンは黒のキング翼ポーンを抑えている。何も問題はなさそうである。しかし詳しく見てみると黒の優位も明らかになってくる。黒はfポーンを突くことによってg列とd列にパスポーンを作り出すことができる。白キングはこれらを止めることができない。これに反し白のクイーン翼ポーンはまだ十分前進していないのでそれほど脅威とはなっていない。だから白黒双方に強みがある。そこで我々はどちらの方が勝っているのかを判断しなければならない。こういう場合に良くあることだが先手を握っている方に決定的な優位がある。ニムゾビッチはそれを以下のような素晴らしい手順で示してくれる。

1…f4!

 明らかに黒は一手も無駄にできない。白の手番ならば次の手順で勝つ。1.Kd3! 1.b6 は 1…Kd6 2.Kd3 f4 3.Kxd4 f3! で引き分けになる。1…f4 2.gxf4+ Kd5 2…Kxf4 は 3.b6 でクイーンに昇格する手がチェックになる。3.b6 g3 4.b7 g2 5.b8=Q g1=Q 6.Qe5+ で白はdポーンを取りこのクイーン+2ポーン・エンディングに勝つ。

2.gxf4+

 白が黒のポーン捨てを拒否して 2.b6 又は 2.a5 と指しても 2…Kd6! で本譜と同様の展開になる。

2…Kd6!

 黒はfポーンを取り返してはいけない。そうすると白のbポーンがクイーンに昇格した時にチェックになる。黒キングの大切な役割は白のクイーン翼ポーンを止めることである。ただし黒は 2…Kd5 でも良い。3.a5 Kc5 4.a6 Kb6、この手順中 4.b6 なら 4…Kc6 としておけば、白キングは黒のポーンを止めることができない。(訳注 2…Kd5 の変化は 5.f5 で同時にクイーンができ引き分けになるようです。)

3.a5 g3 4.a6 Kc7!

 ここまで来れば全てが明らかとなる。白のポーンは止められ、黒のポーンはどちらかがクイーンになる。

2.Ke2 d3+

 2…g2 6.Kf2 d3 でも良い。

6.Kxd3 g2 7.Ke4 g1=Q

 まもなくシュトルツは投了した。(訳注 8.Kf5 Qb6 9.Kg5 Kd7 61.f5 Ke7 で投了となりました。)

 この非常にためになる例はポーンの強行突破の複雑さと全ての変化を正確に読む大切さを教えてくれる。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(230)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 この手には華麗な狙いが秘められていて、適当な受けがない。

24…Qe8 25.Qxe6!! fxe6 26.Nhg6+ Qxg6

 26…Kf7 でも 27.Nxh8+ Kf8 28.N4g6+ で黒はやはりクイーンを切らなければならない。本譜の手のあと黒は致命的な駒損をこうむり、頑強な抵抗にもかかわらず何の希望もなかった。試合は次のように終わった。

27.Nxg6+ Ke8 28.Nxh8 Ra4 29.Rd1 Ne7 30.Bxe7 Kxe7 31.Ng6+ Kf7 32.Nf4 Bxe5 33.dxe5 Rxf4 34.Rc1 Ke8 35.c6 Kd8 36.c7+ Kc8 37.g3 Ra4 38.Rc6 Rxa2 39.Rxe6 g5 40.Rd6 Rd2 41.e6 Kxc7 42.e7 1-0

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(56)

第2章 ポーン・エンディング

2.6 多数ポーンのエンディング

 最後に読者のために図56のようなエンディングを採り上げて実戦に役立つアドバイスをしておこう。

 図56

 引き分けに終わることがすぐに想像される。白には遠方パスポーンがあるがこれはほとんど意味がない。それは白キングは黒のポーンから遠く離れているので黒は自分のポーンを進めて白のaポーンを盤上から消すことができるからである。黒は引き分けに持ち込むためにどちらのポーンを先に進めたら良いのだろうか。

 どちらのポーンを先に進めても構わないように思われる。しかしポーンのせき止めについて以前に述べたことを思い起こせばポーンの進め方の正しい順序の重要性に気が付くであろう。良い一般的な原則は敵の対向ポーンがないポーンを先に進めるということである。この局面ではそれはbポーンである。失敗例としてaポーンを先に進めるのが誤りで黒の負けにつながることも述べよう。

 まず正しい手順は 1…b5! である。2.g6+ 2.Ke5 は 2…Kg6 3.Kd5 Kxg5 4.Kc5 Kf5 5.Kxb5 Ke6 6.Ka6 Kd7 7.Kxa7 Kc7 で引き分けになる。2…Kg7 3.Kg5 a5 4.Kf5 b4 で、白は 5.Ke4 a4 6.Kd4 b3 7.axb3 axb3 8.Kc3 で引き分けにしなければならない。

 それでは黒が 1…b5!(又は手待ちの 1…Kg7)でなく誤った 1…a5? の方を選択したらどうなるかを見てみよう。

1…a5

 この手は敗着となる。それは白が黒の両方のポーンを止めることができて実質的にポーン得となるからである。黒はポーンが自陣の4段目にあることを利用してbポーンを捨てaポーンをクイーンに昇格させることができる。しかしこの局面ではそれもうまく行かない。

2.a4! b5

 黒は手待ちすることができない。2…b6 は 3.g6+ Kg7 4.Kg5 b5(4…Kg8 は 5.Kf6 Kf8 6.g7+ Kg8 7.Kg6 で白がもっと早く勝つ)5.axb5 a4 6.b5 a3 7.b7 a2 8.b8=Q の後 9.Qc7+ から2手で詰みになる。

3.axb5 a4 4.g6+! Kg7

 4…Ke7 は 5.g7 Kf7 6.g8=Q+ Kxg8 7.b6 でクイーンに昇格する手がチェックになる。この成り捨ての手筋は覚えておくと良い。

5.b6 a3 6.b7 a2 7.b8=Q a1=Q 8.Qc7+ であと2手で詰みになる。

(この節終わり)

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フランス防御の完全理解(229)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 これは待望の仕掛けである。ゲレルは 14…bxc4 15.bxc4 dxc4 16.d5 exd5 17.e6 fxe6 18.Ne5 のあと黒キングへの総攻撃を計画していた。だからカルポフは封鎖を維持しなければならないが、そうするとa3のビショップが味方の他の駒から切り離され、あれほど避けたかった筋の開放によってのみ捕獲から救われる。

14…c6 15.c5 Bb4 16.Bc1 a4

 これは上述の必要に迫られた筋の開放である。

17.Nd3 Ba5 18.bxa4 bxa4 19.Qxa4 Qa7 20.Bg5 Bc7 21.Rxb8+!

 最終の攻撃局面では次局のペトロシアン戦もそうだがゲレルが本質的に傑出した戦術家の印象を受ける。しかしカルポフやペトロシアンのような「負けない」選手を粉砕するのに必要な土台を築くことができるのは優れた戦略家だけである。

21…Qxb8 22.Qxc6+ Kf8 23.Nf4 Ra7 24.Nh4!

 黒の手番 

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(55)

第2章 ポーン・エンディング

2.6 多数ポーンのエンディング

 図55では創作問題のような決め手が見られる。それは実戦でも現われ易いので誰もが完全に覚えておかなければならないものである。ここでのポーンの強行突破は図45よりも巧妙である。

 図55

 黒キングはクイーン翼に移動することを狙っている。そうなれば白は引き分けしか望めなくなる。一見すると何も手段がなさそうに見える。例えば 1.c6 ならば 1…bxc6 2.bxc6、1.b6 ならば 1…axb6 2.cxb6 cxb6 で何事もない。しかし見事な強行突破の手筋によりたちまち白の必勝形になる。

1.b6 cxb6

 1…axb6 ならば 2.c6 bxc6 3.a6 で白が勝つ。

2.a6 bxa6 3.c6 で白が勝つ。

 このような決定的な手筋を行使するときには当然全ての注意点を確認しておかなければならない。もし全てのポーンが1段下だったら黒は2ポーンの犠牲を受け入れてポーン得のまま自分のポーンをクイーンに昇格させることができるのでこの策戦そのものが無効になる。同様に黒キングがcポーンから十分遠くに離れていなければならない。そうでなければ黒キングが白ポーンの昇格を阻止することができる。例えば黒キングがg6でなくf6にいたとすると白の計略は 1.b6? cxb6 2.a6 bxa6 3.c6 Ke6 で失敗に終わる。要はこのような思い切った手筋を決行する時は全ての要因を確認しておかなければならないということである。

(この節続く)

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カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

「ヒカルのチェス」(321)

「Chess Life」2013年4月号(9/11)

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不退転のグランドマスター(続き)


ナカムラは2012年の最も重要な結果となった3度目の米国選手権獲得でセントルイスにいたときテニスを数セットした。

2012年ナカムラの最高の試合

GMベン・ファインゴールド

ルーク捨て
GMヒカル・ナカムラ(2874)
GMロバート・ヘス(2710)
米国選手権戦第1回戦、セントルイス、2012年5月8日

31.Rxg7!

 ナカムラは気持ちのよい捨て駒で攻撃を締めくくった。黒のa2のクイーンとc5のルークはキングの守りに何も役立っていない。

31…Kxg7 32.Rg3+ Kf8 33.Qh7 黒投了

戦術的退却
GMヒカル・ナカムラ(2874)
GMレイ・ロブソン(2692)
米国選手権戦第3回戦、セントルイス、2012年5月10日

43.Nd5!

 ナカムラは黒がたとえチェックでクイーン昇格させても受けがないことを見越している。

43…Rg3+ 44.Kf4! Bg5+ 45.Ke5 e1=Q+ 46.Kd6

 ナカムラは 43.Nd5! と指した時にこの局面になることを読んでいて、黒が詰みの狙いに受けがないことを分かっていた。

46…Bf4+ 47.Nxf4 Rd3+ 48.Nxd3 Qg3+ 49.Ne5 黒投了

下位昇格
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2778、米国)
GMウラジーミル・クラムニク(FIDE2797、ロシア)
第40回チェスオリンピアード・オープン部門第9回戦、トルコ・イスタンブール、2012年9月6日

62.c8=N+!!

 これは驚異の手であるだけでなく、たぶんナカムラが2012年に指した最も重要な手である。この試合に勝ったことによりオリンピアードで米国がロシアに勝つことを確定させた(当たり前の 62.Kxe2? は 62…f3+ 63.Kxf3 Bxc7 で勝ちを逃す)。

62…Kf6 63.Kxe2 80手目で黒投了

 白は2駒得で楽に詰み狙いの攻撃に出られた。

敵陣突破
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2783、米国)
GMアニシュ・ギリ(FIDE2730、オランダ)
FIDEグランプリ・ロンドン大会第10回戦、イングランド・ロンドン、2012年10月2日

47.g5!!

 堂々の敵陣突破!

47…hxg5 48.h6! gxh6 49.Rxe5!! fxe5 50.f6

 白は 51.Bxc5 から 52.f7+ を狙っている。

50…Bd7 51.f7+ Ke7 52.Bxd7 Kxd7 53.Bxc5 65手目で黒投了

 もう少しあとでナカムラが簡単に勝った。

詰みの包囲網
GMユディット・ポルガー(FIDE2705、ハンガリー)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2760、米国)
ロンドン・チェスクラシック第5回戦、イングランド・ロンドン、2012年12月6日

45…Rf4!

 収局で詰みの網を張った。

46.Nc3? Rg4! 47.Nd1 Bf1 白投了

 …Nf3+ から …Rh4# が受からない。

ルークを放置
GMアレクサンドル・グリシュク(FIDE2771、ロシア)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2760、米国)
スポーツアコード世界頭脳競技・男子快速第6回戦、中国・北京、2012年12月15日

40…bxa5+!

 b8の「浮きルーク」を放置した。

41.Qxb8?

 白は 41.Kc2 なら引き分けの可能性があった。

41…Rb5+ 42.Qxb5 axb5 53手目で白投了

******************************

(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(228)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

第37局
ゲレル対カルポフ
ソ連選手権戦(モスクワ)、1976年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3!

 迷宮のような変化と難解な勝ち方の研究と共に、読者は布局で意表をつくやり方を訓練すべきである。カルポフは本書の執筆時点でも本局が指された青年の時でも決してフランス防御の黒側の権威ではなかった。だから明らかにゲレルの常用する 3.Nd2 に対して何かを用意してきていた。ゲレルはすばやく機転を利かせて 3.Nc3 に転じ、「この戦型について何か知っているのか」と疑問を発した。以下の手順を見る限り答えはあまり知らないだった。

4…Bb4 4.e5 Qd7

 4…Qd7 と指す時の黒の構想は、Qg4 の攻撃に対し …f5! と突いてクイーンの横利きでg7のポーンを守ることである。代わりにすぐに 4…b6 と突いた場合は Qg4 には …Bf8 と応じることになる。g7のポーンを守るにはどちらの手段が良いのだろうか。例のとおり得失の問題である。…Bf8 は黒が大分手損する。一方 …f5 の方は黒陣の黒枡を弱め、いずれ …Bxc3 が余儀なくて黒枡ビショップがなくなれば大きな意味を持ってくる。

5.Nf3 b6 6.Bd2!

 前局で白はf1のビショップの展開を遅らせた方が良いという指摘があったのを覚えているだろうか。ここで 6.Bd3 と指すのは手損になる。つまり 6…Ba6 で白はしょせんビショップ同士を交換しなければならない。6.Bd2 は役に立つ手で、黒に …Bxc3 と取るのを思いとどまらせる。なぜなら白はビショップで取り返してポーンの形が乱れるのを防げるからである。この手はナイトをc3から引いて、Rc1 から c4 と突いて黒を攻撃する手始めともなっている。

6…Ba6

 6…Bf8 については次局を参照。

7.Bxa6 Nxa6 8.O-O

 ゲレルの指摘のように白は 8.Qe2 で 8…Nb8 をほぼ強制することもできた。しかしc3のナイトは白の作戦を実行する上でe2の地点を必要とする。だからそれを妨害しない方が良い。

8…Nb8

 黒はいずれにしてもナイトを引くことになる。ゲレルは 8…Bxc3 9.Bxc3 Ne7 で黒がキング翼にキャスリングする用意ができるとしている。それで黒陣はしっかりしている。しかし白は優勢を維持している。すなわち白は陣地が広く、開戦となれば黒のナイトより価値のあるはずのビショップを持ち、(Rc1 から c4 で)筋を開け黒の中央に対する圧力を増すという作戦がある。

9.Ne2 Be7?

 これははっきり悪手で、若いカルポフのこの戦型の経験不足を露呈した。このビショップはg8のナイトからe7の地点を奪い、黒のキング翼の展開を妨げている。代わりに 9…Bf8 の方が良いが、それでも危ないところがある。というのは黒が 10…Ne7、11…Ng6 から 12…Be7 でキング翼の駒を展開する前に、白は 10.Rc1 から 11.c4 ですぐに仕掛けることができるからである。だからゲレルの指摘のように 9…Bxd2 10.Qxd2 Ne7 と指すのが絶対だった。

10.Rc1 b5

 これは筋を開ける 11.c4 を阻止しようとする雄々しき企てである。黒はなんとしても局面を閉鎖的にしておかなければならない。

11.Nf4 h5

 この手は 12.Nh5 を防ぐためである。黒は 11…Nh6 と展開することさえできないので苦境は絶望的である。11…Nh6 には 12.Nh5! Nf5 13.g4(ゲレル)と応じられ問題にならない。

12.b3

 ゲレルの考えでは 12.a4! と突く方がずっと強力だった。12…bxa4 なら 13.c4 で筋が開くし、12…a6 なら 13.axb5 axb5 14.Ra1 でクイーン翼に侵入できる。

12…Ba3 13.Rb1 a5

 ゲレルによれば 13…Be7 が黒にとって最後のチャンスだった。

14.c4!

 黒の手番 

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(54)

第2章 ポーン・エンディング

2.6 多数ポーンのエンディング

 一方に2個より多くのポーンがある場合はまだ調べていなかった。この型のエンディングは我々がこれまで扱ってきた純粋に理論的なエンディングには属しておらず、もっと実戦的な側面を持っている。だからここではごく少数の局面に的を絞りこれまで扱われて来なかった特徴的な局面を採り上げることにする。

 まず盤の片側で一方がより多くのポーンを持っていて実戦的に知っておく価値のある局面を考えよう。

 図54
ロッリ、1763年

 白の3対2のポーンの優位が以前に詳しく調べた2対1の優位よりもずっと簡単であることを示す。

(1)まず白の手番の場合から始める。

1.g6

 この手が最も簡明である。1.Kd5 でも白が勝つ。しかし 1.h6 gxh6 2.gxh6 Kf7 と 1.f6+? gxf6+ 2.gxf6+ Kf7 3.Kf5 Ke8(又は g8)4.Ke6 Kf8 は引き分けになる。

1…h6

 1…hxg6 は 2…hxg6 で簡単な白の勝ちとなる。

2.Kd5

 ここでも 2.f6+? は 2…gxf6+ 3.Kf5 Kf8 で引き分けになるので避けなければならない。

2…Kf6 3.Ke4

 ここは 3.Kd6 Kxf5 4.Ke7 から 5.Kf7 でも白の勝ちとなる。

3…Ke7 4.Ke5 Kf8 5.Ke6 Ke8 6.Kd6

 6.f6? は不注意で 6…Kf8 で引き分けになってしまう。

6…Kf8 7.Kd7 Kg8 8.Ke7 Kh8 9.f6 gxf6 10.Kf7 で白が勝つ。

(2)次は黒の手番の場合である。

1…Kf7

 ポーンを動かす手はもっと早く負けてしまう。例えば 1…h6 2.g6(又は 2.gxh6 gxh6 3.f6+ で白の勝ち。この手順中 2.f6+? は誤りで 2…Kf7 で引き分け)で(1)と同様になる。1…g6 も 2.hxg6 hxg6 3.fxg6 Ke8 4.Ke6 で白の勝ち。

2.g6+

 2.Kd6 でも白が勝つ。

2…Kg8 3.Ke6 Kh8

 3…hxg6 は(1)と同じになる。

4.Kf7 hxg6 5.h6 gxh6 6.fxg6 あと3手で詰む。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(227)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

27.Nc1?

 白陣は非常に不安が一杯だった。しかし 27.Bf4!(チャンドラー)でビショップをまた働かせれば防御に期待が持てただろう。クイーン翼での黒の態勢は威容を誇るが、h8のルークが戦いに参加していないという面もある。27…O-O? はまだ白の猛攻を浴びる。だから黒はたぶん 27.Bf4 に 27…Ba4 28.Qc1 Kd7!? と応じて 29…Rc8 を狙い、白クイーンが重大な危険に陥ることになる。いずれにしても激戦になるだろう。しかし 27.Nc1? では戦いは終わった。

27…Ba4 28.Qe2 Qa7!

 急にdポーンが落ちた。

29.Ne3 Qxd4 30.Nxc4 dxc4 31.Qf1 O-O!

 白駒が救いようもないほど守勢なのでここでキャッスリングしても大丈夫である。cポーンの進攻に受けがないので白は投了した。

0-1

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(53)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 その他(続き)

 キングが好位置にいると通常なら引き分けの局面を勝ちに変えることができる場合がある。その例が図53である。

 図53
サルビオリ、1887年

 この局面は完全に対称で白に何か有利な所があるとはとても考えられない。しかし白に先手があることが白キングに有利な態勢をもたらし以下のように勝ちにつながる。

1.Kf3

 白キングはe4の地点を目指しているので 1.Ke3 でも良い。黒の手番なら同様の手順で勝つ。

1…Kf6

 1…Ke6 は本譜と同じになる。また 1…e5 は 2.Ke4 Ke6 3.e3 で白が勝つ。最後に 1…e6 は 2.Ke4 Kf6 3.e3 Kf7 4.Ke5 Ke7 5.e4 で同様に白の勝ちとなる。

2.Ke4 Ke6 3.e3

 黒を手詰まりに追い込んで白キングの侵入口を開けさせる。

3…Kf6 4.Kd5 Kf7

 4…e6+ 5.Kd6 Kf7 6.e4 も同じ形になる。

5.Ke5 e6 6.Kd6 Kf6 7.e4 で白の勝ち。

 黒はeポーンが取られるのを避けることができない。

(この節終わり)

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布局の探究(53)

「Chess Life」1992年8月号(3/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

「互角」とはどういうことか(続き)

 (3)実戦的互角

 ある局面で理論的に有利な要素が何の役にも立たない時、実戦的には互角である。恐らく最もよくある例はカロカン防御の戦略的な主流戦法(3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Bf5 または 4…Nd7)の多くから生じる。16-20手目あたりで白はd4にポーンがある結果としてまだ中央にわずかな優位を保持している。しかし黒はスムーズに展開を完了し陣形に何も弱点がなく、小駒がいくつか交換されている。だから実戦的な意味では形勢は互角である。

 局面が実戦的に互角であることはどのようにして分かるのだろうか。もちろん分析と実戦の助けによるあと知恵は偉大な教師である。しかし戦略的な布局の経験を積んだ大局に明るい強い選手もほとんどの状況で正しい判断を下す。次のイギリス布局のありふれた戦法からどのように正しい判断をするのを学ぶことができるのかを見てみよう。1.c4 c5 2.Nf3 Nf6 3.Nc3 Nc6 4.g3 g6 5.Bg2 Bg7 6.O-O O-O 7.d4 cxd4 8.Nxd4 Nxd4 9.Qxd4 d6 10.Qd3 Bf5 11.e4 Be6 12.Bd2 a6 13.b3 Rb8 14.Rac1 Qd7

 cポーンとeポーンが4段目にあるので白が中央の広さで少し優勢である。これが白の唯一の切り札である。それでどうにかできるだろうか。見てみよう。

 (1)J.エールベスト対U.アンデルソン、レッジョ・エミリア、1991年 15.a4(15…b5 による反撃を防ぐため)15…Bh3! 16.f3 Bxg2 17.Kxg2 Rfc8! 18.Be3 Qd8 白はまだ広さの優位を保っているが、白枡ビショップ同士の交換で黒の負荷が軽くなり、残りの駒も白の策動をはね返すのにちょうどよく協力し合っている。GMエールベストはこの局面を「=」と判定している。すなわち形勢は実戦的に互角である。もちろんこれに満足できないGMエールベストは次の機会でさっそく改良手を繰り出した。

 (2)J.エールベスト対G.カームスキー、レッジョ・エミリア、1991年 15.Nd5! b5 16.Rfe1! Rb7 17.Qf1! 白は …Bh3 による交換を防ぎながら駒を活動的にした。だから優位を維持しこのあとの中盤戦でその活用に期待することができる。

 「実戦的互角」と「非互角」を分ける線はクイーン同士が早々と交換された時でさえ非常にわずかであることがある。1990年ノビサド・オリンピアードでのB.グリコ対R.シフエンテス戦では黒が3手目で珍しい手を指し白がすぐに収局に持ち込んだ。1.d4 d6 2.e4 Nf6 3.Nc3 e5!? 4.dxe5 dxe5 5.Qxd8+ Kxd8 6.Nf3 Bd6 7.Bc4

 白は少し主導権がある。黒はキャッスリングの権利を放棄し、キング翼ビショップはeポーンの守りに縛りつけられている。しかしクイーンは盤上からなくなりポーンの形は対称である。従って当然の疑問は黒がどのくらい互角に近いかである。試合は次のように続いた。

7…Ke7 8.Bg5 Be6 9.Nd5+

 9.Bxe6 Kxe6 は白がわずかな展開の優位を生かせないので実戦的に互角である。

9…Bxd5 10.Bxd5 c6 11.Bb3 h6?!

 この無駄手は重大な結果を招いた。IMシフエンテスは代わりに「11…Nbd7 =」を示した。彼の言わんとするところは実戦的互角である。12.O-O-O のあとの想定手順は次のようになるだろう。12…Nc5(12…h6?! は 13.Nh4! で黒が面白くない。例えば 13…g6 14.Bxf6+ Nxf6 15.Bxf7!)13.Bxf6+ gxf6 14.Nh4 Nxb3+ 15.axb3 Ke6 16.Nf5 Rad8 17.Rd3 Bc7! 白は絶好の位置の Nf5 で何とかできるだろうか?私にはよく分からない。もっと多くの分析が必要である。

 それはともかく黒には 11…Na6! 12.O-O-O Rad8 で実戦的互角を目指すもっと早い手段があると思う。そのあといくつかの変化では黒の Nd7 も Bd6 も浮き駒にならない。一例をあげると 13.Nh4 g6 14.Rd3 Nc5! 15.Bxf6+ Kxf6 16.Rf3+ Kg5 で黒が良い。

12.Bxf6+! Kxf6 13.O-O-O Rd8 14.Rd3!

 白が明らかに優勢である。

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カテゴリ: 布局の探究1

フランス防御の完全理解(226)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 イワンチュクはやっと作戦を明示した。クイーン翼で進攻し(そちらで陣地が広いので明らかに理にかなっている)、白の連鎖ポーンを突き崩そうとし、たぶん …b4 からポーン交換のあと白にc3の地点に弱いポーンが残ることになる。

 そして白の作戦とは何なのか。「British Chess Magazine」誌でチャンドラーは白の h4 から h5 と突いた手の欠点を指摘している。それは白がここで Nf4 または Ng3 から Nh5 といういつもの捌きを行なえないことである。例えば白のhポーンをh2に戻せば、(実戦のように)16.Bc2 Nb6 となるとしてそのあと 17.Nf4 Rb8 18.Nh5! Bd7(ここでは 18…Qd8 で白の主導権を抑える方が良い)19.Nh4! b4 20.axb4 axb4 21.Qg4 で白の攻撃が強力になる。実際は白のポーンがh5にいるので、白はg7の地点に対するそのような狙いを作り出せず別の着想を見つけなければならない。

 別の戦略は f5! 突きを準備することである。これはこの局面における理にかなった作戦である。結局のところ白は中央とキング翼での広さで優位に立っているのだから、その方面でポーンによる突破を図るべきである。さらにそのような作戦はh5にポーンがある作戦を正当化させることになる。黒の …g6 突きは通常は(つまり白のポーンがh2にある場合)白の f5 突きの脅威に対する強力な要塞化になるが、h5のポーンは黒に思いとどまらせる。イワンチュクは世界級の選手にふさわしく、この作戦に対しいくつかの備えをしていた。

 まず彼はキング翼キャッスリングを避けていた。これは黒キングにとって状況が非常に危険そうになり始めれば、自分の駒に囲まれたクイーン翼にいつでもキャッスリングできることを意味している。しかしクイーン翼に黒キングがいると、他の駒がそちらで積極的に動くことにさしつかえる。だから黒はそういうことは起こらないようにしたい。むしろ黒は中央とキング翼でしっかり受けることを望んでいる。

 次に、イワンチュクは白が 15.Re1 と指すまで中原での争点を維持していた。白がそう指したあと初めて彼はd4ポーンをかわして …c4 と突きクイーン翼での戦いを求めた。その理由はe1のルークは元々のf1にいた方が f4 から f5 と突く(準備の手を指してから)支援にはるかに役立つからで、黒は白がルークを動かすまで待ってから …c4 で局面を閉鎖した。

 それならなぜ白は 15.Re1 と指したのだろうか。それは中央の状況が明らかにならない限り側面での攻撃に手を染めたくなかったからである。黒ポーンがまだc5にいる時に Nh2、f4 そして Ng3 と指して f5 突きを支援してもナイトを中央から遠ざければ、黒は …cxd4 で局面を開放し白のd4ポーンに厳しい圧力をかけることができただろう。中央が不安定な状況での白の指し方は一方的すぎることになる。しかし黒が …c4 と突いたからには、白の中央はもう圧力にさらされていない。だから白は「一方的な手」を指すことができる。試合の進行を見てみよう。

16.Bc2 Nb6 17.Bf4

 黒キングが中央列にいるので、黒のキング翼に対する攻撃は駒だけでは実行できない。ポーンの使用も必要である。ここで白は Nh2、Ng3、Rf1 そして f4 で f5 突きを準備する手順を考えるべきである。手始めの良い手段は矛盾した 17.Rf1!? である。

 実戦の手はビショップをキング翼に再動員したが、クイーン翼より良い位置にいるわけではない。さらにはfポーン突きを妨害し、h2に行ってもg3に行っても白ナイトから役に立つ捌きの地点を奪っている。

17…Be7 18.Bg3 Rb8

 白から攻撃されそうにないので黒は自分から開戦を準備した。18…O-O?? は自殺手である。というのは白が 19.Bb1 から 20.Qc2 で早詰みにできるか、19.Bf4 から 20.Qd2 のあとビショップをh6で切って勝つことさえできるからである。たとえカスパロフが黒キングを動揺させたくても、黒キングはそのままで安泰である。

19.Nh2 Qd8!

 この手は好手だった。白の作戦は 20.f4 から 21.f5! と突いて念願のポーン突きを達成し、21…exf5? には 22.e6 と応じることだった。そうなれば黒クイーンに対しg3のビショップからの開き当たりがある。だから黒はクイーンをよけてこの可能性をなくした。

20.Ng4

 20.f4 なら一貫性のある手で、20…Bh4 が面白い応手となる。

20…b4 21.axb4 axb4 22.cxb4?

 カスパロフは戦闘気分でなかったようだった。しかしただ黒のクイーン翼のポーンを消去することにより引き分けるのは、非常に活動的な駒で置き換わるので決して容易なことではない。おまけに自分の弱い側で主導権を握ろうとするのは局面の論理に反している。22.Rf1 または 22.f4 でf5の地点の増強を準備するのはまだ可能だった。

22…Nxb4 23.Bb1 Bd7 24.b3 Ra8 25.Rxa8 Qxa8 26.bxc4 Nxc4

 白の手番 

(この章続く)

2013年06月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(52)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 その他

 これまでに挙げた優位の他にもポーン・エンディングで役立つ色々な要因がある。例えば好位置のキング、深く前進したポーン、二重ポーンに対する連結ポーン等である。これらの要因を個別に全部調べるのは大変である。そこでここでは二つの例を紹介するに留めておく。まず図52から始める。

 図52
ベーティング、1900年

 ちょっと見たところではそれぞれに連結パスポーンがあるが両方のキングがそれらを止めることができるので形勢は互角のように思われる。また相手のポーンをクイーンへ昇格させずに自分のポーンをさらに前進させることもできないように見える。

 しかしこれらの事実にもかかわらず白には決定的に有利な点がある。それは白のポーンの方がクイーンへの昇格枡に近いので黒キングの動きを完全に制限しているということである。これはつまり黒キングが手詰まりで動けなくなれば自分のポーンに不利な動きをさせなければならなくなるということである。図52の時点で白の手番でなかったら黒は既に手詰まりに陥っていてすぐに負けの形になることも明らかにしておく。

 まず図52で黒の手番としてどんな手があるかを少し考えてみる。1…Ke8 とキングが動くと 2.Ke5 と進まれ 3.Ke6 からの詰みを防げばdポーンが取られてしまうのでだめである。1…d3 は 2.Ke3 でたちまちこのdポーンを取られてしまうので、残るはcポーンを動かす手だけである。

 以降の正解手順の中で出てくるが 1…c5 なら 2.Ke4 で黒は既に手詰まりの状態である。1…c6 も 2.Kf3 Ke8(2…c5 なら 3.Ke4)4.Ke4 c5 5.Kd5 で、同様に正解手順に現れる勝ちの局面に達する。

 図52で黒が手詰まりに陥っていることを明らかにしたところで課題はどのようにして黒を負けの変化に導くかである。それは以下のとおりである。

1.Kf3! c6

 この手は最も込み入った受けである。1…c5 2.Ke4 と 1…Ke8 2.Ke4 c5 3.Kd5 は本譜の手順と同じになる。

2.Kf4

 2.Ke4? は誤りで 2…c5 で白の方が手詰まりに陥り引き分けになってしまう。

2…c5 3.Ke4!

 ここにおいて黒は手詰まりに陥り白キングの進出を許すしかない。黒の次の手は必然である。

3…Ke8 4.Kd5 Kd7

 この手も絶対手である。4…d3 は 5.Ke6 で次の手で詰みになる。4…Kf7 は 5.Kd6 d3 6.Kd7 で白ポーンがチェックでクイーンに昇格する。

5.Kc4 Ke8 6.Kxc5! d3 7.Kd6 Kf7

 7…d2 は 8.Ke6 d1=Q 9.f7# で詰まされる。

8.Kd7 で白が勝つ。

(この節続く)

2013年06月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(225)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 白の読み筋は 10…Ba6 に 11.Ne2! と応じることで、この手には少なくとも二つの利点がある。一つは 12.O-O を可能にすることで、展開が完了する。もう一つはc3の地点を空けて c3 突きを用意することである。このささやかなポーン突きは中原を支えるだけでなく、Bc2 を用意してa4のビショップを戦いに復帰させる。だから 10…Ba6 で 11.Ne2 とさせることは決して黒の得にならない。

 以上のことにはかなり相反する面がある。第一に両者の戦略は一つの手(…Ba6)をめぐって行なわれていて、この手は実際には決して防がれていないけれども黒が指すには値しない。どちらがこのだまし合いに勝ったのだろうか。コンピュータならどう指すか私には分からない。狙いは実行より強しという格言の証明となることは確かである。

 二つ目の興味を引く点は白のaポーンがa2でなくa3にあることの重要性である。これは白が 10.Ba4 で遠大な戦略を実行する際に、10…b5 11.Bb3 a4 とされてもa2に退路があるので駒損しなくてすむことを意味している。なんと都合よくできているのだろう。それにしても 5.a3 と突いた時に白は将来役に立つと考えていたのだろうか。

 そして第三に、黒が 10…Ba6 と指し白が 11.Ne2 と応じれば、黒はすぐでもあとでも …Bxe2 とは取りにくい。「不良」ビショップについてはあらゆることが言われているが、最悪のビショップは最良のナイトよりも優るという格言には一片の真理があるようである。

10…Nd7 11.Ne2

 白ナイトは 10…Ba6 に促されなくても自発的にe2に行った。11.Ne2 の効用については前述の解説を見よ。

11…b5 12.Bb3 c5 13.c3

 この手は中央を強化している。13.dxc5? と取るのは悪手で、13…Nxc5 またははるかに優る 13…Nc6 から 14…Qc7 でe5が守れなくなる。

13…Nc6 14.O-O Qc7 15.Re1 c4

 白の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(51)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 敵ポーンのせき止め

 たった1個のポーンが2個または3個以上のポーンをせき止める(つまり動けなくする)ことができる局面も良く現れる。これも明らかに有利な点となる。次の例で見てみよう。

 図51

 白の遠方パスポーンは有利な点である。しかし白キングが黒のポーンから遠く離れ過ぎているのでこれだけでは勝つのに不十分である。黒の手番ならば次のように簡単に引き分けにできる。1…c5 2.Ke3 c4 3.Kd4 Kxf4 4.Kc5 Ke4 5.Kxb5 Kd3 しかし白はまず黒のポーンをせき止めることができる。これは余分のポーンがあるようなものである。

1.b4! c5

 これは唯一考えられる反撃である。1…Ke6 は 2.Ke4 Kd6 3.Kd4 の後白のfポーンが進んで来て黒は手の施しようがない。

2.bxc5 b4

 2…Ke6 は 3.Ke4 b4 4.f5+ で白が勝つ。

3.c6

 白は正確に指さなければならない。一見 3.Ke3 の方が簡単に見えるがこれは次のように勝ちを逃がしてしまう。3…b3 4.Kd3 b2 5.Kc2 Ke6! これで黒は白のどちらかのポーンを取って引き分けにできる。読者は自分で確かめられたい。

3…Ke6

 3…b3 は 4.c7 で白ポーンがチェックでクイーンに昇格する。

4.f5+!

 白のポーンは十分先まで進んでいるのでキングの助けなしに勝つことができる。

4…Kd6 6.f6 b3 7.f7 Ke7 7.c7 で白が勝つ。

(この節続く)

2013年06月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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ポルガーの定跡指南(82)

「Chess Life」2005年5月号(1/5)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

3…Qd6 の中央反撃[B01]

 過去10年でこの中央反撃(スカンジナビアとも呼ばれる)の特別版はクラブ選手でもグランドマスターの間でもすっかり一般的な戦法になった。

白の基本的な作戦は何か

 黒が …b7-b5 突きの作戦を追求する戦型では白の対策は a2-a4 突きと関連していることが多い。黒があまりにもキャッスリングを遅らせている時には、白はポーンを犠牲にしてでも d4-d5 突きで中央の開放を狙うことができる。

 白は通常は中央で確かな広さの優位を得ていて、黒のやることに応じてキング翼またはクイーン翼で攻撃を進展させることができる。

黒の基本的な作戦は何か

 黒にはビショップの展開の問題を解決するための主要な作戦が四つある。

 a)…a7-a6、…b7-b5 とポーンを突いてからビショップをb7に展開する。

 b)…e7-e6 と突いて …c7-c5 突きを準備する。

 c)…Nc6 とクイーン翼キャッスリングで白のd4ポーンに圧力をかけるのと連動してビショップをg4に展開する。

 d)黒枡ビショップをg7に展開する。

それで評決はどうなっているか

 この布局には非常に戦術的になる戦型があり、どちら側も注意を払う必要がある。客観的に言えば白は何も恐れることがなく、正確に指せばわずかな優勢を維持できる。

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2013年06月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(224)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 白はもちろん交換得と2ポーン得という大きな戦力得になっている。しかし白クイーンはh8に埋もれていて、勝敗はそれを無事に救い出せるかどうかにかかっている。自著の「Play the French」(1984年刊)でジョン・ワトソンは白クイーンが死ぬという確信のもとに色々な変化を示した。重要な変化は 15.Be3 Rd7! で、16…h5 から 17…Rh7 を見ている。彼はここで 16.e6 は 16…Rd8! でうまくいかないと書いた。このルーク引きには 17…Nge7 または 17…Nf6 の狙いがある。18.Qf6 とはもう応じられない。ルークと異なりポーンは後ろに戻れないので白には受けがない。

 後にシラーも分析しワトソンの 15…Rd7 のあと白が 16.O-O-O と指せることを示した。16…h5 なら 17.g4!! で白クイーンがどの変化でも脱出できる。例えば 17…Rh7 なら 18.gxf5 でいいし、17…fxg4 なら 18.f4! Rh7 19.f5 Qf7 20.e6! で黒クイーンがg8とh7の地点を同時に守らなければならないので過負荷になっている。シラーは 16.O-O-O のあと 16…f4!? を推奨した。17.Bxf4 と来れば 17…h6 18.h4 Rh7 19.h5 Qf7 で白ビショップが当たりになっているので黒の勝ちである。20.e6 に 20…Qxf4 がチェックになる。シラーの考えでは 16…f4 に白は 17.e6 と突くべきである。

 そして三人目の分析者が加わった。1988年の「Inside Chess」の記事でマイケル・バルボは、17.e6?? は 17…Rd8!(ワトソンの当初の考え)ですぐに黒の勝ちになるとして、推奨したシラーを酷評し始めた。そのあと彼は 16…f4 17.Bxf4 h6 というシラーの手順を改良しようとして 18.g4 Rh7 19.Qxh7 Qxh7 20.Bd2 を推奨した。白はキング翼でポーンの大量進攻を図っている。しかし彼は 20…Na5! のあと白キングに対する狙いで「黒が有利になる」と考えた。そもそもの分析者のワトソンはここで口をはさんで(バルボの 18.g4 の代わりに)18.Rd3! を持ち出し、18…Rh7 19.Rg3 Qxg3 20.Qxh7 Qxf4+ 21.Kb1 で「白は薄いキングの守りの代わりに戦力で得をしている」と言った。彼の結論では形勢不明だった。バルボは以上すべてを(16.O-O-O の代わりに)16.f4 で改良しようとした。これは黒の …f4 突きの考えを一掃している。バルボの変化の 16…Nd8 17.g4 Nf7 18.gxf5 Qg2 19.Rg1 Qxg1+ 20.Bxg1 Nxh8 のあと、白は駒の代わりに申し分のない代償を得ていて、「たぶん勝勢である(バルボ)」。

 それでもこれらの分析者たちは皆的外れの分析をしていた。そもそも単に(15.Be3 でなく)15.Bd2 ならビショップ当たりで …f4 と突かれるのを避けられ、白の容易な勝ちになる。例えば 15…Rd7 16.O-O-O Nd8(16…h6 なら 17.g4! で、白ビショップがe3でなくd2にいるので、黒にはもうシラーの料理法の …f4 突きがない。ここで 17…f4 と突いても 18.h4 Rh7 19.h5 Qf7 20.e6! と応じられ、黒クイーンがまた過負荷になる)17.h4 Nf7 18.h5 Qg4 19.f3 Qxg2 20.Qxh7 で、21.Qxf5 と 21.Rhg1 の両狙いがある。

6.Nf3 Ne7!

 黒の読みは次のとおりである。「6…Ba6 ならこちらの不良ビショップを白の優良ビショップと交換でき、非常に好ましい。しかしこの手は急ぐべきでない!なぜかって?白は展開しキャッスリングするためにはいつかf1のビショップを出さなければならない。だから彼がe2でもd3でも好きな方へ動かすまで待ち、それから初めて …Ba6 とぶつけよう。そうすれば白が準備の Bd3 または Be2 に1手無駄使いしないですぐに 6…Ba6 7.Bxa6 Nxa6 8.O-O となった手順より1手得になる。」

 この 6…Ba6 7.Bxa6 Nxa6 という手順で黒はナイトをa6に展開したことにより手得はしていないことに注意すべきである。それよりも非常に悪い地点にいるので、勝負に貢献するならばb8からc6またはd7に再び展開しなければならないことはほとんど確かである。だからナイトがa6で駒を取り返さなければならないのは手得でなく手損である。

7.h4!

 カスパロフは漫然とビショップを展開するような選手ではない。キング翼の陣地を広げる手段を見つけ、手待ちを見つける責任は再び黒にいった。

7…h6 8.h5 a5!

 黒もaポーンを突いて応じ、自分の最も強い所で陣地を広げた。これで白には有効な手待ちがなくなった。そこで 9.Be2 または 9.Bd3 とさせられるよりも(たちどころに …Ba6! が来る)手損になっても優良ビショップを保持することにした。

9.Bb5+ c6

 9…Nbc6 なら 10.Qe2! で …Ba6 を防がれて、最後に笑うのは白になる。

10.Ba4

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(50)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 保護パスポーン(続き)

 最後に受け側は保護している敵のポーンを味方のポーンで攻撃することにより引き分けにできる場合があることを指摘しておく。例えば図50では次のようにして黒が引き分けにできる。

 図50

1.Ke4 f3 2.Kxf3 b5 3.axb5 Kxd5

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(223)

第10章 その他の陣形(続き)

実戦例

第36局
カスパロフ対イワンチュク
ホルゲン、1995年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3

 カスパロフが「3.Nd2 でも十分勝てるが 3.Nc3 の方が最善手だ」と言ったとか言わなかったとかについて議論が起きたことがあった。

 本譜と同様の局面は 3.e5 b6 からも生じることがある。違いは白が c3 と突くためにナイトをどける必要がないことである(それに 4.c3 Ba6?? は 5.Bxa6 Nxa6 6.Qa4+ でナイトが落ちる)。そして白が望むなら 4.c4!? と突く選択肢もある。

3…Bb4 4.e5 b6 5.a3 Bf8

 次の変化は議論の的になっていることを指摘しておく。5…Bxc3+ 6.bxc3 Qd7 7.Qg4 f5 8.Qg3 Ba6(単純に 8…Nc6 のあと 9…Bb7 からクイーン翼にキャッスリングするのは積極性で劣るが、より安全な選択肢であることは確かである)9.Bxa6 Nxa6 10.Ne2 Nb8 11.Nf4 Nc6 12.Nxe6!? Qxe6 13.Qxg7 Qg6 14.Qxh8 O-O-O(最善手)

 白の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(49)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 保護パスポーン(続き)

 しかし4段目の保護パスポーンでも逆襲を防ぐのに必ずしも十分でないことがある。

 図49

 白は次のように進めても勝てない。1.Kf4 h5 2.Kg5 Ke4 3.Kxh5 3.b5 は Kd5 4.Kxh5 Kc5 で引き分け。3…Kd3! 4.b5 Kxc3 5.b6 Kd2 6.b7 c3 7.b8=Q c2

 やはりビショップ筋のポーンの特殊性により理論的引き分けである。

(この節続く)

2013年06月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(222)

第10章 その他の陣形(続き)

白が d4 突きを省く

 白は d4 と突かないでいることもできるが、それなら黒は …d5 と …c5 で中原を占拠するなどはるかに自由に多くの代替作戦を選ぶことができる。…d5 突きのあと exd5 での交換型中原や …dxe4 でのルビーンシュタイン型中原は白にほとんどもたらすものがない。だから白は d3 と突いてe4ポーンを支え中央の争点を保持するか、すぐに e4-e5 と突いて古典型の中原にしなければならないが、後者では白がまだdポーンを持っているが黒は …c5 突きでd4の地点を支配することになる。

 

 白が e4-e5 突きを遅らせて d3 突きでeポーンを支えれば、e5の地点をめぐる戦いが巻き起こる。白はあとで e5 と突こうとするかもしれない。一方黒はc6のナイト、d6またはg7のビショップ、それにf6のポーンを用いてでもe5の地点を支配しようとすることができる。白の駒が f2-f4 突きによる反撃のためにうまく配置されていないならば、黒は …d4 から …e5 と突くことがある。

 

 黒は …Nf6 と指すことにより白の e5 突きを誘うこともできる。そして …Nf6-d7 によりe5のポーンを攻撃する。白はd4にポーンが来ていないので Qe2、Re1 または Bf4 のような手でeポーンを守らなければならない。古典中原と異なり白は代償としてd4の地点を得ていない。しかし黒も半素通しc列もc5の地点も得ていない。明らかに白はキング翼で広さの優位を得、黒はクイーン翼で広さの優位を得ている。

 

 白は通常はキング翼ビショップをフィアンケットしキング翼にキャッスリングしてキング翼インディアンの陣形にする。黒の最も安全な選択肢はクイーン翼にキャッスリングしてe5のポーンを突き崩すことである。これとは逆に黒はキング翼にキャッスリングして「虎穴に入る」こともできる。その場合白は駒をキング翼に捌くことになる。主要な構想は h2-h4、Nb1-d2-f1-h2-g4 から h4-h5-h6 である。黒の方はクイーン翼でポーン暴風を開始してどの列でもよいから素通しにすることを目指し、自分の駒がクイーン翼での広さを生かして優勢になれるようにする。

(この章続く)

2013年06月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(49)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 保護パスポーン(続き)

 この種のエンディングの場合白は必ず保護しているポーンを黒が攻撃することによって引き分けにならないように確認しておかなければならない。このようなことを防ぐためには保護されているポーンは少なくとも4段目にいなければならない。例えば図48では保護されているポーンが3段目にいるので白は勝てない。

 図48

1.Ke3 Kc3 2.Kxf3 Kb2 3.b4 Kxa2 4.b5 Kb2 5.b6 a2 で引き分けである。

(この節続く)

2013年06月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

「ヒカルのチェス」(320)

「Chess Life」2013年4月号(8/11)

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不退転のグランドマスター(続き)

進路

 「乗り物に乗って、旅行して、楽しむだけだ。実際できることはそれだけなのだから。」

 彼は旅行が不案内どころではない。去年だけでもイタリア、オランダ、カナダ、米国、ロシア、スイス、イギリス、トルコ、イスラエル、それに中国の大会に行っている。大会への招待を贅沢にも辞退するほど引く手数多(あまた)である。

 1月には2013年米国選手権戦をスキップし、カールセン、クラムニク、アロニアンそれにアーナンドを含む世界の10傑のうち8選手の参加するノルウェーでの新しい大会を優先することにした。これが史上最強の大会になるかもしれないことを考えると彼の決定は理解できる。しかし米国選手権戦とセントルイスのチェスクラブ・教育センターには痛手であることは確かだ。それに米国のファンの一部もきっとがっかりさせるだろう。(ナカムラはこの件についてのいくつかのインタビューの申し込みも断わった。)

 盤の陰でナカムラを強大にしているのは多くの資質である。恐れ知らず、驚異の勝つ意志、自信、それに粘り強さ。盤を離れて彼と接触する人たちにとって最もいらいらするのは、予測不能であることである。ある日彼はこの上なく率直で気さくで、次の日は別のことに気を取られて時間を割いてくれないかもしれない。それでもプロのチェスは彼のような人間をもっと必要としている。妥協しない選手、そして複雑な性格の彼は、いつどこで対局してもスポーツに対する人々の興味を活気づける才能がある。

 最高峰で結果を出すことは、もう少し先まで読むことではなく、自己認識と最高の実力や持続力を可能にする沈着さとを見つけることである。チェスは努力を要しないと感じる必要がある時はナカムラにとって重荷のように思われるときがある。その意味では将来のことを心配しない方が良いのかもしれない。

 そしてチェスを指すだけである。

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(この号続く)

2013年06月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(221)

第10章 その他の陣形(続き)

白が e5 と突く前に黒が …c5 と突く

 

 黒が白の e5 突きの前に …c5 と突くといろいろな中原が生じることになる。通常は白がすぐにd5のポーンを取り、(…e6xd5 のあと)孤立dポーン中原か交換中原または(駒でd5のポーンを取り返せば)ルビーンシュタイン中原になる。一方白はd4ポーンでc5のポーンを取りeポーンを守ることができる。両者が中央でのすべてのポーン陣形を念頭に駒を配置しなければならない場合には争点が生じる。そして白が e4-e5 と突けば古典中原、e4でポーンが交換されればルビーンシュタイン中原、d5でポーンが交換されればルビーンシュタイン中原か孤立dポーン中原になる。

(この章続く)

2013年06月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(47)

第2章 ポーン・エンディング

2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 保護パスポーン

 パスポーンが別のポーンによって守られている時非常に強い武器になり、敵の遠方パスポーンよりも強力である(もちろんこの遠方パスポーンがクイーンになれない場合)。保護パスポーンの強みは敵キングの動きを制限し、それと共に自分のキングが自由に動けることにある。図47がこれらの特長を良く表している。

 図47

 白のb5の保護パスポーンは黒のh筋のポーンよりも強力である。白は次の手順で勝つ。

1…h5 2.Kd3 Kd5

 黒は白キングに自分のhポーンを取られないようにしようとする。

3.Ke3 Ke5 4.Kf3 Kd5
 黒キングは白のbポーンがクイーンに昇格しないようにこれ以上遠くに行けない。

5.Kg3 で白が勝つ。

 白は黒のhポーンを取ってからクイーン翼に戻ってくる。この間黒キングはただ指をくわえて見ているしかない。

(この節続く)

2013年06月13日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(220)

第10章 その他の陣形(続き)

黒が …Nc6 と指す

 

 黒は白の e5 突きに対し …c5 と突く前に …Nc6 と応じることができる。これは白の連鎖ポーンにできるだけ早く …f6 突きの手段で挑む意図である。exf6 のあと黒が駒で取り返し、第2章で分析したのと似た陣形になるが両者にcポーンが残っている。この違いは明らかに白が有利である。すなわち白がd4ポーンを c3 突きで支えることができるが、黒のe6のポーンは弱くて出遅れのままである。

 

 黒は …Nc6 を …b6、…Bb7、…Qd7 および …O-O-O という迅速なクイーン翼の展開と組み合わせることができ、そのあとはキング翼でポーン暴風を見舞うか、(…Nc6-e7 または …Nc6-a5 のあと)延期していた …c5 突きを指す。白はもちろんどう指しても自由である!

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(46)

第2章 ポーン・エンディング

2.4 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 遠方パスポーン

 ポーン・エンディングにおいて遠方パスポーンは最もありふれていて重要な陣容上の優位の一つである。「遠方」とは主戦場からポーンが離れていることを意味している。そのようなポーンの主要な利点は敵キングをおびき寄せ、攻撃側のキングが他の場所で自由に活動できるところにある。遠方パスポーンは大変強いので相手のポーン得なども上回ることがよくある。

 図46

 パスポーンがなければ黒キングにc4又はe4から侵入されて白が負けるところであるが、パスポーンのおかげで結果が逆転する。

1.f5

 このポーンは取られてしまう運命であるが黒キングを主戦場(bポーン)から遠ざけ白が速やかに勝つ。

1…Ke5 2.f6 Kxf6 3.Kxd4 Ke6 4.Kc5 Kd7 5.Kxb5 Kc7 6.Ka6 で白が勝つ。

 この例からパスポーンは主戦場から遠い所にあるほど価値が高くなることが明らかである。例えば白のパスポーンがf4でなくh4にあればa6にも黒のポーンがあったとしても白が勝つ。読者はこれを自分で確かめられたい。

(この節続く)

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布局の探究(52)

「Chess Life」1992年8月号(2/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

「互角」とはどういうことか(続き)

 (2)強制互角

 強制互角はどちらも反復手順を避けることができない時に生じる。典型的な例は次のグリューンフェルト防御の1戦法である。1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.Bf4 Bg7 5.e3 c5 6.dxc5 Qa5 7.cxd5(7.Rc1 なら試合が続くが、形勢はほとんど互角である)7…Nxd5 8.Qxd5(他の手はすでに黒の優勢になる)8…Bxc3+ 9.bxc3 Qxc3+ 10.Ke2 Qxa1 11.Be5 Qc1!(11…Qb1? は 12.Bxh8 Be6 13.Qd3! で黒に 13…Bc4 がないので白が良い)12.Bxh8 Be6! 13.Qxb7(13.Qe4 Bc4+ 14.Kf3 Qxf1 15.Qxb7 Qd1+ 16.Kg3 Qd5 も白が何もでかしていない)13…Qc2+

 チェックの千日手が避けられない。

 (a)14.Kf3 Qf5+ 15.Ke2(15.Kg3?? Qg4#)15…Qc2+ 引き分け、ボーン対パーディー、通信戦、1945年

 (b)14.Ke1 Qc1+ 引き分け、A.ルピアン対A.アドルヤン、マニラ、1991年

 もちろん強制互角は上述のような乱戦からだけ現れるのではない。洗練された応用も可能である。非常に重要な実戦例ではジオッコピアノの昔のよく練られた戦法から白の布局の優位の可能性が奪いさられた。1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.c3 Nf6 5.d4 exd4 6.cxd4 Bb4+ 7.Bd2 Bxd2+ 8.Nbxd2 d5 9.exd5 Nxd5 10.Qb3 60年以上もの間通常の応手は 10…Nce7 だった。しかし 11.O-O O-O 12.Rfe1 のあと、白にはより活動的な駒と中央の優位でわずかだが気分のよい危険のない主導権がある。

 1979年南アフリカでのA.マイルズ対V.コルチノイ戦まではそうだった。この試合で黒は自己矛盾したような 10…Na5! 11.Qa4+ Nc6!!(1953年米国オープンでのE.メドニス対B.ロジャ戦では 11…c6? 12.Bxd5! Qxd5 13.O-O で盤端のナイトが危険にさらされた)で白の作戦を無害にした。急に白のクイーン、ビショップ、それにクイーン翼ナイトの連係が悪くなり、黒には 12…Nb6 で白のビショップを切って落とす狙いができている。その上 12.Bb3 O-O のあと黒の活動的なナイトは白の孤立dポーンを脅かし始める好位置にいる。白は黒のクイーン翼ナイトの釘付けにすぐにつけ込む手段もない。例えば 12.Ne5?! は 12…O-O! 13.Nxc6 Qe8+ で主導権はもう黒のものである。

 だから白は 12.Qb3 と指すしかなく、「強制」の 12…Na5 13.Qa4+ Nc6 のあと両対局者は引き分けに合意した。

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フランス防御の完全理解(219)

第10章 その他の陣形(続き)

黒が …b6 と突く

 

 黒は白の e5 突きに対し …c5 と突く前に …b6 と突いてまず「不良」白枡ビショップをなくそうとすることができる。白はこの作戦におとなしく従う必要はなく、Bb5(+) と出て …c6 突きにビショップをa4に引くことができる。これに対し黒は …a5 と突いて …b5、Bb3 a4 でビショップの捕獲を狙うことができるが、白は通常は a3 か c3 と突いて逃げ道を用意することができる。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(45)

第2章 ポーン・エンディング

2.4 キング+2ポーン対キング+2ポーン

 ポーンの数が同じ時は通常は引き分けになるのでこの種のエンディングに特定の原則を挙げることはできない。しかし駒の損得以外に駒の配置が結果に重大な影響を及ぼしている場合がある。それを陣形の優位と呼ぼう。最も重要で簡単な例のいくつかをこれから紹介していく。もちろんこのような局面の特徴はもっと複雑なエンディングにも見られるが、そのようなエンディングは本書の範囲を超えるので扱わない。

 パスポーンの生成

 これはポーンが相手の防御線を強行突破することによって成される。この強行突破は普通は両方のキングが盤の別の所にいてそのためパスポーンの阻止や支援ができない時に起こる。ポーンの強行突破は通常は一つのポーンを捨てることを伴う。そのため敵味方の両方にパスポーンができる。だから仕掛ける側は敵のポーンが自分のポーンよりも危険な存在にならないように正確に読んでおかなければならない。図45を考えてみよう。

 図45

 白キングを近づけるという通常の原則に従っても何もならない。1.Ke4 Ke6 で引き分けが避けられない。しかし白は一つのポーンを捨てることによって勝つことができる。

1.c5!

 このような突き捨てを決行する時には以下のことを読んでおかなければならない。一番目は 1…bxc5 2.a5 の後黒キングが白のパスポーンを止められないということである。二番目は新たにできた黒のパスポーンを白が止めることができることである。三番目はポーン捨てを拒否しても得にならないことである。

1…b5

 黒の手として三番目を選んだ。最初の二つは大丈夫である。1…bxc5 2.a5 でこのaポーンは黒に捕まらない。2…c4 3.a6 c3 4.Ke3 で白は黒のcポーンを止めることができる。もし黒がポーンを取らずに 1…Ke6 と指せば 2.cxb6 Kd7 3.a5 で白の勝ちは簡単である。

2.a5!

 2.axb5 は間違いで 2…cxb5 3.c6 Ke6 で引き分けになる。本譜の手の後黒はbポーンがパスポーンになるが白キングが十分近くにいる。

2…b4 3.Ke4 b3 4.Kd3 で白が勝つ。

 黒は白のaポーンのクイーン昇格を防ぐことができない。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(218)

第10章 その他の陣形

 

概説

 この章では他の章ではうまく当てはまらなかったいくつかのポーン陣形を見ていく。ここでは多くの色々な一般的概説をするよりも、読者には本章を補遺の助けとして活用することを勧める。というのはこれまでの章からの主題がたびたび現れるからである。

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(44)

第2章 ポーン・エンディング

2.4 キング+2ポーン対キング

 最後に図44は特別な引き分けの局面である。

 図44

 白番では 1.Kh8 Kf8 2.h7 Kf7 でステイルメイトになる。

(この節終わり)

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ポルガーの定跡指南(81)

「Chess Life」2005年4月号(4/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ブダペスト・ファヤロビッツ(A51)(続き)

 C)1.d4 Nf6 2.c4 e5 3.dxe5 Ne4 4.Nd2 白はポーン得なので交換は歓迎である。

 4…Bb4 4…Nc5 は手をかけすぎていて次の手順を許す。5.b4 Ne6 6.a3 b6 7.Ngf3 Bb7 8.e3 a5 9.b5 d6 10.exd6 Bxd6 11.Bb2 O-O 12.Be2 Nd7 13.O-O Ndc5 14.Qc2 Qe7 15.Rfe1 Rad8 16.Rad1 黒はポーンの代償が十分でない。

 5.Ngf3 ここでは黒に二とおりの作戦がある。

 5…d6 これはギャンビット精神である。

 別の作戦は 5…Nc6 である。6.a3(強豪GM同士の数少ない試合の1局は1992年ラス・パルマスでのトパロフ対ロメロ戦で、6.e3 Qe7 7.Be2 Nxe5 8.O-O Nxf3+ 9.Nxf3 O-O 10.Nd4 Bc5 11.Qc2 c6 12.b3 d5 13.Bb2 Bd7 と進んだ)6…Nxd2 7.Nxd2(7.axb4 Nxf3+ 8.exf3 Qe7 9.f4 Qxb4+ 10.Qd2 O-O 11.Qxb4 Nxb4 12.Ra4 c5 13.Bd2 Nc6)7…Bxd2+ 8.Bxd2 Nxe5 9.Bc3 Qe7(9…d6?! なら白はe5の黒ナイトの一時的な不安定さを利用して 10.c5! f6 11.cxd6 と指すことができる)10.f4 Nc6(10…Nxc4 11.Qd3 Ne3 12.Bxg7 Rg8 13.Bd4 Nxg2+ 14.Bxg2 Rxg2 15.O-O-O Rxe2 16.Rhg1)11.Bxg7 Rg8 12.Bc3 Qh4+ 13.g3 Rxg3 14.hxg3 Qxh1 15.Qd3 d6 16.O-O-O Bd7 17.Qe3+ Kf8 18.Bf6 Re8 19.Qc3 Qe4 GMグトマンはこの局面を形勢不明とみなしているが、私は白が途中 18.c5 Re8 19.Qd3 と改良できて優勢だと思う。

 6.exd6 これは最善の応手である。6.Qc2 Bf5 や 6.Qa4+ Nc6 は白が何も得しない。

 6…Qxd6 7.a3 7.e3 なら次のようになる。7…Nc6 8.Be2(8.a3 Bxd2+ 9.Nxd2 Bf5 10.Nxe4 Qxd1+ 11.Kxd1 Bxe4 12.f3 O-O-O+ 13.Ke1 Bd3 14.Bd2 Ne5 15.b3 Bc2 16.b4 Bd3 17.c5 Rhe8)

 8…Bf5 9.O-O Bxd2 10.Nxd2 Qg6 11.Nxe4 Bxe4 12.Bf3 Bd3 13.Re1 O-O-O(ただし 13…Bxc4 は駄目で、14.Qa4 b5 15.Qa3 で黒キングが安全な所に行けない)

 7…Bxd2+ 8.Bxd2 8.Nxd2 は 8…Nc5 9.Qc2 a5 10.e3 Nc6 11.Be2 a4 12.O-O O-O 13.Nf3 Qf6 14.Bd2 Bf5 15.Qc3 Qe7 16.Rad1 Rad8 で黒が反撃できる。

 8…Qf6! 9.Qc1 9.Qc2 は 9…Bf5 と応じられる。

 9…Nc6 10.Bf4 Be6 11.g3 O-O 12.Bg2 Nc5

 黒が好調である。

結論

 ブダペスト・ファヤロビッツは冒険好き向きであることは疑いない。黒としては長い間ポーン損でも気にしないならばこのギャンビットを指すとよい。良い面としては通常は白にとって意表を突かれる要素があることである。この布局の本を読んでいたとしてもどの手段が最善かをはっきり結論づけることは難しい。多くの分析はあるが、これまでのところ強豪GM同士の実戦例はあまり多くない。

 白としてはポーン得に何としてもしがみつこうとするようなことはしないで、展開を急いでわずかな有利を求めることを勧める。これから何年かでこの比較的新しい布局がどのように発展するかを見るのが楽しみである。

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フランス防御の完全理解(217)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

18…Qxg3! 19.Rg1

 19.fxg3 は 19…Nxg3# で頓死する。本譜の手のあと黒は犠牲にしてきた戦力を大きな利子付きですべて取り戻す。

19…Bxf2! 20.Bxh5 Bxg1 21.Qxg1 Qe5 22.Bf3 Nxf3 23.Nxf3 Qh5+

 黒の連結3パスポーンはどんな収局でも白にとって絶望であることを意味している。一方中盤戦では白は露出したキングを心配しなければならない。試合は次のように終わった。

24.Nh2 Rfe8 25.Nd4 Re5 26.Qg3 Rg5 27.Qe3 Qg6 28.Re1 h6 29.Ndf3 Rh5 30.Qf4 Rf5 31.Qc7 Qc6 32.Qg3 Qf6 33.Ng4 Qg6 34.Nh4(この手はすぐに負けになる。しかし状況はすでにどうにもならなくなっていた。)34…Rh5 35.Kg2 Rxh4 1-0(36.Qxh4 h5で黒の勝ち。)

(この章終わり)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(43)

第2章 ポーン・エンディング

2.4 キング+2ポーン対キング

 図43では面白い形の引き分けが見られる。

 図43

 一見絶望的な状況だが黒の手番ならば引き分けにできる。1…Kg7 2.Ke6 Kf8 ここで 3.h6 でも 3.Kf6 でもステイルメイトになる。fポーンを取らせてhポーンだけ残しても勝てない。

(この節続く)

2013年06月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(216)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 f2への釘付けをはずす 11.Kh1 の方が良かった。

 白は本譜の手で 11…Qg3 に 12.Nbd4 と応じる予定だった。しかし黒の来るべき捨て駒の威力を見落としていた。

11…Bxh3! 12.gxh3 Qg3+ 13.Kh1 Qxh3+ 14.Nh2

 クナークは 14.Kg1 を示唆したが、14…Ng4 15.Bf4 Nxf2 16.Rxf2 Qg4+ 17.Kf1 Bxf2 18.Kxf2 Qxf4[訳注 19.Bxh7+ Kh8 20.Kxf2 Qxf4 21.Qh1 で白の方が良いようです]でも 14…Bc7!? 15.Re1 Ng4 16.Be3 Nce5! 17.Nbd4 Nxe3 18.Rxe3 Ng4 でも黒の攻撃が続く。

14…Ne5 15.Be2 Nf3!

 これはしゃれた手だった。16.Bxf3? なら 16…Bc7 で白のfポーン突きが自分のビショップのために邪魔されているので詰みになる。

16.Bf4 Nh4 17.Bf3

 17.Rg1 なら 17…Ne4! 18.Bg3 Bxf2 で黒が勝つ(クナーク)。

17…Nh5! Bg3

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(42)

第2章 ポーン・エンディング

2.4 キング+2ポーン対キング

 この種のエンディングは通常は簡単な白の勝ちなので少し注釈が必要である。それはぜひ知っておかなければならない例外が少しあるからである。例えば2個またはそれ以上のポーンがルーク列にある場合は勝ちがない。黒が有利な状態で1個のポーンを取ることができる場合も引き分けになる。

 これまでの分析から5段目と6段目に二重ポーンがある場合も白が勝てないことが分かる。例えば図42の場合黒の手番でも次のように引き分けである。

 図42

1…Kc8! 2.Kd6 Kd8 3.c7+ 他の手では黒キングがc7に戻る。3…Kc8 これで 4.c6 でも 4.Kc6 でもステイルメイトになる。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(215)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

第35局
ルハグバスレン対ウリビン
チェリャビンスク、1991年
交換戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.exd5 exd5 4.Bd3

 白はここで 4.c4 と突くことにより自身が孤立dポーンの側をもって指すことができる。しかし多々ある効果的な応手の一つは 4…Nf6 5.Nf3 Bb4+ 6.Nc3 O-O 7.Be2 dxc4 8.Bxc4 Re8+ 9.Be3 Be6!? 10.Qb3 Nc6 で、互角の局面になる。

 4.Nf3 Bd6 5.c4! と指す方が良く、実戦より1手得する。実戦例を2局あげると1989年ソチでのウリビン対ローチェ戦では 5…Nf6 6.Nc3 dxc4?! 7.Bxc4 O-O 8.O-O Bg4 9.h3 Bh5 10.g4! Bg6 11.Ne5 c5 12.Nxg6 hxg6 13.dxc5 Bxc5 14.Bxf7+! +- と進み、1989年ブンデスリーガでのユンゲ対ヘルトネック戦では 5…c6 6.Nc3 Ne7 7.Bd3 dxc4 8.Bxc4 O-O 9.O-O Nd7 10.Bg5 Nb6 11.Bb3 Kh8 12.Bxe7 Qxe7 13.Re1 Be6(13…Qc7 14.Rc1! Bg4!? 15.h3 Bxf3 16.Qxf3 +/=)14.Bxe6 fxe6 +/= と進んだ。

 だから前章で述べたように 4.Nf3 には 4…Nf6 5.Bd3 Bd6(5…c5 6.O-O c4 7.Re1+ Be7 8.Bf1 +/=)と応じた方が良い。そのあと 6.c4!? dxc4 7.Bxc4 は実戦に移行するが色が逆である。もっとも本局の結果を考えればそれほど悪くないかもしれない!

4…c5!?

 これはフランス防御交換戦法としては通常よりも危険と隣り合わせの指し方になる。白が既にビショップをd3に出していて Bb5(+) や Be2(クイーンのd4とd5への利きをさえぎらず、いずれ B(x)f3 のあとd5の地点への圧力を増すことができるのでこちらの方が良い)という選択肢がもうない時にはこの手が特に適切である。

5.dxc5

 1978年ベールシェバでのタタイ対コルチノイ戦では、白が軽率な指し方をして次のように黒陣の動的な力に圧倒された。5.Nf3 Nc6(5…c4!?)6.Qe2+?(この手はクイーンをさらけ出す)6…Be7 7.dxc5 Nf6 8.h3?(この手は遅すぎる。この状況では 8.c3 のあと Be3 から Nbd2 と指すのが最善だった)8…O-O 9.O-O Bxc5 10.c3 Re8 11.Qc2 Qd6 12.Nbd2?(黒の狙いを見落とした)12…Qg3! 13.Bf5 Re2 14.Nd4 Nxd4 0-1

5…Bxc5 6.Nf3 Nf6 7.O-O O-O 8.h3?

 白は黒のクイーン翼ビショップがg4に攻撃的に展開するのを防ぎたかった。しかし前述のタタイ対コルチノイ戦のように白は黒の動的な可能性を過小評価していた。1896年ニュルンベルクでのマルコ対シュレヒター戦のように 8.Nc3 Nc6 9.Bg5 Be6 10.Qd2 Be7 11.Rad1 Qa5 = と展開するか、1989年ベルゴロドでのモルドバエフ対オルロフ戦のように 8.Nbd2 Nc6 9.Nb3 Bb6 10.c3 Bg4 11.Be2 Qd6 = と展開する方が良かった。

8…Nc6 9.Nbd2 Qd6! 10.Nb3

 10.c3 は 10…Qg3! でつぶされる。

10…Bb6 11.c3?!

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(41)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 これまでの分析から黒は自分のポーンが原位置にある時最も引き分けの可能性が大きくなると結論付けることができる。この場合白キングが自分のポーンの前にいても黒は引き分けることができる。図41でそのことを説明する(図38で黒ポーンをナイト列からルーク列へ、そして黒キングをg7へ移した)。

 図41

(1)まず白の手番から始める。

1.Kf5

 1.h5 は 1…h6+ 2.Kf5 Kf7 で既知の引き分けになる。

1…Kf7 2.Ke5

 2.g5 は 2…Ke7(又は 2…Kg7)3.h5 Kf7 で引き分けになる。

2…Ke7 3.g5 Kf7

 この後白はどうすることもできない。図41の局面を1段下げても白の手番ならば引き分けである。

(2)次は黒の手番の場合である。

1…Kf7

 最も普通の受け方であるが 1…Kh8 や 1…Kf8 でもかまわない。黒は白ポーンの前進を気にする必要はないのである。キングの動きのうちで 1…Kg8? だけが誤りで 2.Kh6 Kh8 3.g5 Kg8 4.h5 Kh8 5.g6 hxg6 6.hxg6 で白が勝つ。すなわち黒は常に Kh6 に対して …Kg8 と応じられるようにしなければならない。1…h6+? も間違いで 2.Kf5 Kf7 3.h5 で白が勝つ。

2.Kh6

 2.Kf5 は 2…Ke7 3.Ke5 Kf7 4.Kd6 Kf6 で良くない。この手順中 4.h5 に対しては 4…Ke7 である。最初に黒が 1…Kh8 と指していたら白はここで 2.Kf6 と指すだろうがそれでも 2…Kg8 3.g5 Kf8!(3…Kh8? は 4.Kf7! でだめである)4.h5 Kg8 でやはり引き分けである。

2…Kg8 3.g5 Kh8 4.h5 Kg8 5.g6 hxg6 6.hxg6 Kh8 で引き分けである。

 図41の局面をもっと下に下げると黒の手番でも引き分けにできない。例えば白ポーンがg2とh2、キングがg3、黒ポーンがh5、キングがg5とする。1…Kf5 1…h4+ は 2.Kf3 Kf5 3.h3 で、この手順中 2…h3 なら 3.g3 Kf5 4.g4+ で白が勝つ。2.Kf3 Ke5 3.g3 Kf5 4.h3 で図40と同じになり黒が負ける。

 以上で2ポーン対1ポーンの最も重要な局面の体系的な分析を終わる。読者はこの種のエンディングの総合的な概要が理解できたものと思う。もちろん他にももっと多くの興味深く参考になる例がある。しかし本書の範囲を超えるので省略せざるを得なかった。興味を持たれた読者はエンディングの専門書を参照されたい。

(この節終わり)

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「ヒカルのチェス」(319)

「Chess Life」2013年4月号(7/11)

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不退転のグランドマスター(続き)


同格のほとんどと違いナカムラはまだ正規持ち時間のチェスでマグヌス・カールセン(右)に勝ったことがない

そんなものだ

 2013年はこれまで第75回タタ製鉄チェス大会しか指していない。公式ウェブサイトの短い「アンパッサン」ビデオのファンはベイクアーンゼーでの唯一の米国人からの決まり文句に気づかないわけがなかった。

第2回戦 「ばかみたいな指し方をしてしまった・・・少し幸運だったがうまくいった。そんなものだ。
第3回戦 「少し幸運で最後に千日手にできた。そんなものだ。
第5回戦 「ホウはプレッシャーを感じていたみたいで、21.f4 でポカを出し、その後はほとんど終わっている。だからそんなものだ。
第7回戦 「そして 30.Bd3 のあとまだ勝負だった。こちらが明らかに優勢で20時間指すつもりだ。しかしそんなものだ。それに前の回戦でちょっと不運だったので決してチャンスを逃すつもりはない。」
第10回戦 「ファビアノは不注意だっただけだと思うが、彼は手拍子で 51.Nf2 と指し、まだ受けきれるとは思うがその後は非常に難しい。だからそんなものだ。チャンスは確実にものにする。つまり3点勝ち越すということだ。少なくとも単独2位の可能性はある。」

 このあとナカムラはアロニアンに負け、そのあとカールセンにはたった31手でつぶされ、公式ウェブサイトでのコメントをやめた。1点勝ち越しの成績は単独6位がやっとで、レイティングも少し失った。

 ツィッターでのつぶやきから判断すると彼はすぐに回復し、カーニバル祭に間に合うようにイタリアに戻り、その間女流FMマリア・デ・ローザと二人で派手な衣装を着た人目を引く写真を掲載した。

 ナカムラはツィッターで(@GMHikaru)最も活動的なグランドマスターの一人で、ひと月に2、3回から1日に数回までどこででも書き込む。

 「人は物事について一定の受け取り方をするものだ。自分が書き込む-ツィッターで書き込む-ほとんどすべてを誰もが何か隠された意味があると決めてかかっている。ほとんどのときはそんなことがないのに。」

 しかし事はそれよりもっと悪い。良きにつけ悪きにつけ彼はチェス界の特別な人間になっている。ナカムラの失敗をざまを見ろと思っているようなチェスファンもいる。例えば彼が対局しているといつも、人気のある ChessBomb ウェブサイトでの見境ないコメントはヒステリーじみていたり悪意があったりすることがよくある。ナカムラは何も気にしていないようだ。

 「人が自分を悪者とみなしたいならそれでいい。そうなるだけのことだ。人が考えることを自分が変えられることは何もない。(囲み記事の「ロンドンでのおしゃべり」を参照)

 チェス選手としては奇妙に運命論者的なこの無関心の声明がどうなるかを知るのは難しい。これまで一部の者が彼にいだいてきた否定的な印象が彼の言葉の誤解や彼の性格の誤認識に基づいている限り、苦労することになるかもしれない。しかし熱狂的なチェスファンは客観性や向上心や率直さを評価しなければならない。新しい事実の前には彼らは再評価することがあり得るし、ほとんどをはるかに超えるかもしれない。要は、両側に選択があるということである。

******************************

(この号続く)

2013年06月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(214)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 コルチノイは g5 突きの狙いに適当な応手を見つけられなかった。そこでやけくその治療法が必要だった。

26…d4!

 dポーンが大胆な神風突進を行なって、白に孤立dポーンをくれてやることにより黒ナイトのために絶好の地点を空けた。

27.cxd4

 戦術の裏付けは 27.Nxd4 Nc5! と 27.Bxd4 Nxf4 である。しかしカルポフの選択した取り方は勝ちになるはずである。

27…Nd5 28.Rf1 b4 29.Bd2 Re7 30.f5

 白はまだ気をつけなければならない。ここで黒ナイトのためにまた空所を作ってやったが、他に選択肢はほとんどなかった。30.Ne3? は 30…Nexf4 31.Rxf4? Nxf4 32.Nf5 Re2 33.Bxf4 Re1+ から詰みになる。

30…Ng5 31.Ne3 Nf6 32.d5! Nxh3

 時間に追われては仕方のない判断だが、32…Nge4 の方がもっと見込みがあった。

33.d6 Rd7 34.Nd5 Nxd5 35.Rxd5 Ra8 36.Be3 Ng5?

 これはクイーン翼のポーンを取られる。36…Ra6 が必須だった。

37.Bb6 Ne4 38.Rfd1 a4 39.R5d4 Re8 40.Rxb4 Rxd6 41.Rxd6 Nxd6 42.Bc7?

 これは信じられないようなカルポフのミスだった。たぶんこのあとの …Ne8 を見落としたのだろう。42.Rxa4 ならコルチノイは指しかけで投了するしか選択肢がほとんどなかっただろう。

42…Re1+ 43.Kc2 Ne8 44.Ba5 a3 45.Rb8 Re7 46.Bb4?

 カルポフはこのあとの …axb2 を見落としていたようである。最強の選手でも5時間の対局では疲れ果てる。試合は次のように終わった。

46…Re2+ 47.Kd3 axb2 48.Bd2 Re7 49.a4 Rd7+ 50.Kc2 Kh7 51.Rxb2 h5! 52.gxh5 Nd6 53.Ra2 Nxf5 54.a5 Nd4+ 55.Kc3 Nc6 56.a6 Rd5 57.Bf4 Rf5 58.Bd6 Rd5 59.Bg3 Rg5 60.Bf2 Rxh5 61.Kc4 Na5+ 62.Kc3 Nc6 63.Ra4 Kg8 64.Kc4 Na5+ ½-½

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(40)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 ここまでで図39に類似した局面は黒の手番ならばすべて引き分けになることが分かった。それでは局面を少し変えた図40はどうなるのだろうか。

 図40

 白の手番ならばこれまで見てきたように引き分けにしかならない。しかし黒の手番ならば見合いのために白が勝つ。

1…Ke5

 1…Kg5 2.Ke4 は前に出てきた白勝ちの局面になる。1…h4 は 2.g4+ Ke5 3.Ke3 でもっと簡単に白が勝つ。

2.Ke3 Kf5 3.Kd4 h4

 これが黒の唯一の可能性である。他の手ではいずれ黒ポーンが落ちる。

4.g4+ Kf4 5.Kd5 Kg5

 5…Kg3 と逆襲するのは局面が1段下なら成立するのだがこの局面ではうまくいかない。だから図40の局面が1段下ならどちらの手番でも引き分けである。

6.Ke5 Kg6 7.Kf4 Kf6 g5+ で白が勝つ。

 図40の局面を1段上に上げても結果は変わらない。しかし2段上に上げると図39の局面を3段上に上げたのと同じようにどちらの手番でも引き分けになる。

(この節続く)

2013年06月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(213)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

20…b5?!

 このような局面でただじっとしていることはなかなかできない。黒はそうしてもしょせん負けていただろう。コルチノイはこのポーン突きで局面がさらに紛糾すれば弱点が生じてもそれだけの価値があると実戦的に判断した。

21.Nd4 a6 22.Nc2 a5 23.Rd3 Rab8 24.Rhd1 h6 25.f4

 白はポーンをg5へ突いてdポーンの非常に重要な守備駒を攻撃する意図である。

25…Rbc8 26.g4

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(39)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 黒のポーンがナイト列でなくルーク列にある場合は引き分けの可能性がはるかに大きくなる。図39がその基本図である。

 図39

 白は手番の場合だけ勝てる。黒の手番の場合は次のように引き分けになる。1…Kf4 2.Ke2 Ke4 3.Kd2 Kd4(この局面なら 3…h3 4.g3 Kf3 でも良いが、白のポーンがもっと上にある場合は駄目である)4.Ke2(4.Kc2 なら 4…Ke3)Ke4 5.h3 Kf4 6.Kf2 Ke4 で白はこれ以上どうしようもない。

1.Ke3 h3

 良くないのは 1…Kf5(1…Kg5 も 2.h3 Kf5 3.Kf3 で白の勝ち)で 2.Kf3 Kg5 3.Ke4! Kg4 4.h3+!(4.Ke5? は 4…h3 5.g3 Kf3 でだめである)Kg3 5.Kf5 Kxg2 6.Kg4 で白が勝つ。

2.g3 Kf5

 2…Kg5 なら 3.Kf3 Kf5 4.g4+ で白が勝つ。

3.Kd4!

 3.Kf3 は間違いで 3…Kg5 と応じられ 4.g4? なら 4…Kh4! で引き分けになる(5.Kf4 はステイルメイト)。本譜の手は見合いを取りに行く。

3…Kg5 4.Ke5 Kg4 5.Ke4 Kg5 6.Kf3!

 黒は手詰まりに陥っていて 6…Kf5 g4+ 又は 6…Kh5 7.Kf4 で負ける。

 図39の局面を1段または2段上に移動しても白先白勝ちと黒先引き分けは変わらない。しかし3段上に上げて白ポーンがg5とh5の枡に来るようにするとどちらの手番でも引き分けになる。黒の手番ならもちろん 1…Kf7 である。白の手番なら次のように黒をステイルメイトにしかできない。1.Ke6 h6 黒はキングを動かしても良い。2.g6 Kg8 3.Kf6 Kf8 4.g7+ Kg8 5.Kg6

(この節続く)

2013年06月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: [復刻版]実戦に役立つエンディング

布局の探究(51)

「Chess Life」1992年8月号(1/4)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

「互角」とはどういうことか

 「Encyclopedia of Chess Openings」である戦法を調べていると手順の終わりに = という記号がついていたりする。最新の「チェス新報」の棋譜を並べているとやはり13手目に = という記号がついていたりする。本誌を開き自分の好きな布局の解説を読んでいるとグランドマスターが局面を「互角」と判定していたりする。この判断の基となる理由、どのようにこの判断に至ったか、そしていったいなぜ局面が互角とみなされるのかについて疑問に思ったことはないだろうか。

 筆者はチェスを指し始めて間もない頃よくこのような疑問を抱いたことを覚えている。今回は布局定跡の現在解明されているところを基にこれらの疑問に答えてみよう。次の二つの事実もある。(1)黒は布局の段階で互角になれば満足できる。(2)特定の戦法で多くの発見がたえず起こっている。従って現在「互角」と考えられていることが1年後に、あるいは1ヵ月後にでさえ、互角でなくなるかもしれないということがありうる。

 「布局での互角」は以下の4種類に分類することができる。

 (1)対称形互角

 対称形互角とは局面が対称で、手番が何の有利さももたらさないことを意味している。例えば以前に論じたイギリス布局の対称戦法をまた取り上げよう。1.c4 c5 2.Nc3 Nc6 3.g3 g6 4.Bg2 Bg7 5.e3 e6 6.Nge2 Nge7 7.O-O O-O 8.d4 cxd4 9.Nxd4 Nxd4 10.exd4 d5 11.cxd5 Nxd5 12.Nxd5 exd5

 白には恒久的な圧力をかける手段が何もないことが分かる。例えば1972年パルマデマリョルカでのI.ビレク対F.ゲオルギュ戦では 13.Qb3 Be6! 14.Be3 Qd7 15.Rfc1 Rfc8 16.a4 h5 17.h4 Rc6 引き分けとなった。だから 12…exd5 の局面を「互角」と呼ぶのはまったく適切である。

 スラブ防御交換戦法の次の退屈な対処法も対称形互角に至る。1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.cxd5 cxd5 5.Nc3 Nc6 6.Bf4 Bf5 7.e3 e6 8.Bd3 Bxd3 9.Qxd3 Bd6 10.Bxd6 Qxd6 11.O-O O-O 12.Rac1 引き分け、A.ボイトキーウイッツ対E.トーレ、マニラ、1991年 12…Rac8 のあと対称形互角が続く。

 以上の実戦例2局から分かるように、中央での争点がなくこの争点を生じさせる可能性もなければ、対称な局面が対称形互角に至る公算は大きい。しかし白が対称な陣形から中央での活動を引き起こせれば、白が優勢を保つ見込みは明るい。レーティ布局の二重フィアンケット戦法で 1.c4 c5 2.Nf3 Nf6 3.g3 b6 4.Bg2 Bb7 5.O-O g6 6.b3 Bg7 7.Bb2 O-O 8.Nc3 のあと 8…Nc6 で対称形を続けるのは互角になる保証がない。なぜなら白が 9.d4! で中央から仕掛けることができるからである。そして 9…Nxd4 10,Nxd4 Bxg2 11.Kxg2 cxd4 12.Qxd4 d6 のあと、白が 13.e4 で明らかに広さで有利になり、それにより通常の布局の優勢を得る。

 以前は「無害」だった戦法をさらに深く追究していくにつれて、かつて考えられていたよりも多くのことが分かってくる。フランス防御交換戦法の 1.e4 e6 2.d4 d5 3.exd5 exd5 は最近著しく評価が高くなってきた。4.Nf3 のあと白は1991年ティルブルフでのカスパロフ対V.コルチノイ戦の 4…Nf6 5.Bd3 c5 6.O-O でも 4…Bd6 5.c4 Nf6 6.Nc3 でも少し主導権がある。というのはどちらも白が黒より選択肢が多いからである。

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カテゴリ: 布局の探究1

フランス防御の完全理解(212)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 10.O-O-O には 10…a5! が良い応手で、1985年ボルゴグラードでのグルゲニゼ対プサーヒス戦では 11.a4 Na6 12.Bxd7(12.c6?! は 12…Bxc6 13.Nf3 Nc7 で黒に主導権がある)12…Qxd7 13.Qb5! Qxb5 14.axb5 Nc7 15.Nh3?(15.c6! =)15…a4 16.Nd4 Bxc5 17.Nf5 a3 で黒がはっきり優勢だった。

10…Bxc5?!

 黒は自分の黒枡ビショップと白の白枡ビショップとの交換を図った。現代の実戦では 10…a6 の方が好まれている。そのあと 11.Bxd7 は黒の展開を助けるので、11.Bd3 の方が良い。そして1994年ティルブルフでのカルポフ対バレエフ戦では 11…a5?!(11…Ba4 12.Nfd4 Nbd7 13.O-O Nxc5 14.Rfd1 Bxb3 15.axb3 g6 +/= バールス対シュミットディール、バート・エントバッハ、1995年。黒が自分のナイトよりも白枡ビショップをb3のナイトと交換する方を選択したことに注意)12.a4 Ng4 13.O-O Na6 14.c6! Bxc6 15.Bd4 となって、相手の活動をすべて無効化することに成功したカルポフが優勢になった。バレエフはd5の孤立ポーンに加えてクイーン翼のポーンが崩れた。一般的な原則としてこのような収局ではポーン陣形の一箇所の弱点は耐えられるが、二箇所の弱点は致命的である。

11.Nxc5

 白は 11.Bxd7 Nbxd7 12.Nxc5 Nxc5 でもう一組の駒を交換することができた。しかし黒の展開の優位のために次のように完全に互角になる。13.Qb5 Rc8 14.O-O a6 15.Qb4 Re4 16.Qd2 Ne6 = ツェシュコフスキー対ウールマン、マニラ、1976年

11…Qa5+ 12.Qd2 Qxb5 13.O-O-O b6

 上記の解説の場合と違ってここではさらなる駒交換は黒にとって展開の相応の優位と結びつかない。だから黒は収局で少し不利になっている。コルチノイはこのような面白くない局面を喜んで指しているように見えることがよくあるが、明らかに白の勝つ可能性を高く評価していないようである。ウールマンは次のように黒がもっと活動的に指せることを実証した。13…Bg4!? 14.Bd4(重要な変化は 14.h3 Bxf3 15.gxf3 Nc6 16.Rhg1 Ne5! 17.Bd4! Ng6 である)14…Ne4 15.Qf4! Bh5!(15…Bxf3 は 16.gxf3 Nxc5 17.Rhg1! Ne6 18.Rxg7+!! で白が勝つ)16.Rhe1 Nc6! 17.Nxe4 dxe4 18.Rxe4 Rxe4 19.Qxe4 Bg6 20.Qe3 Nb4 21.Qe5 Qxe5 22.Bxe5 Bxc2 =/+ ストイカ対ウールマン、ブカレスト、1979年

14.Nxd7 Nbxd7 15.Kb1 Ne4 16.Qd3

 16.Qxd5?? は 16…Nc3+ で駄目である。白は喜んで黒の反撃の可能性を減少させるクイーン交換をさせる。

16…Qxd3 17.Rxd3 Ndf6 18.h3 Nc5 19.Rdd1 Ne6 20.c3

 黒の手番 

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(38)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 白のポーンがもっと後ろにあり白キングが自分のポーンの前にいる余地がある時は黒のポーンがナイト列にあっても引き分けの可能性は非常に少なくなる。その例が図38である。

 図38

 どちらの手番であっても白が楽に勝つ。

1.Kf5

 黒の手番ならば 1…Kf8 2.Kg6 Kg8 3.h5 Kh8 4.h6 Kg8 5.g5 と進んで白が勝つ。

1…g6+

 他の手ではこれまで見てきたように白キングがg6の地点を占めて白が勝つ。

2.Ke5

 2.Kg5? は間違いで 2…Kg7 3.Kf4 Kf6 で引き分けになる。

2…Ke7 3.g5 Kf7 4.Kd6 で白が勝つ。

(この節続く)

2013年06月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(211)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

第34局
カルポフ対コルチノイ
バギオ、世界選手権戦第22局、1978年
タラシュ戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 c5 4.exd5 exd5 5.Bb5+ Bd7

 5…Nc6 なら白は 6.Ngf3 で第1局に移行することもできるし、6.Qe2+!?(6.Ne2 はe列をふさぐので黒が 6…Bd6 7.dxc5 Bxc5 8.Nb3 Bb6 9.O-O Nf6 で第16局の戦略を改良することができる)6…Be7 7.dxc5 Nf6 8.Nb3 O-O 9.Nf3 Re8 10.Be3 Ne4! = ECO と指すこともできる。

6.Qe2+

 6.Bxd7+ Nxd7 7.Ngf3 Ngf6 は前局に移行する。

6…Be7

 この番勝負の以前の試合でコルチノイは 6…Qe7 7.Bxd7+ Nxd7 8.dxc5 Nxc5 9.Nb3! Qxe2+ 10.Nxe2 Nxb3 11.axb3 で引き分けに持ち込んでいたが、明らかにまた繰り返すほどこの手順を信頼していなかった。

7.dxc5 Nf6 8.Nb3 O-O 9.Be3 Re8 10.Nf3

 黒の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(37)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 図33の局面で白ポーンがルーク列にある場合がまだ残っている。これは明らかに黒の引き分けの可能性が増す。しかし一般原則を挙げるのは難しいので個別に考えることが必要である。まず黒ポーンがナイト列にあり白キングが自分のポーンの前にまだ来れない局面を考える。図37を基本図とする。

 図37

 黒は簡単に引き分けにできる。黒番なら 1…g6+! でたちまち引き分けの形である。白番なら次のように進む。

1.Ke5 Ke7 2.Kd5 Kf7

 2…Kd7? は 3.h6 で白が勝つ。

3.Kd6 Kf8

 ここは 3…Ke8 4.Ke6 Kf8 5.Kd7 Kf7 でも良い。

4.Ke6 Ke8

 この手は絶対手である。4…Kg8 は 5.Ke7 Kh8 6.Kf7 Kh7 7.h6 gxh6 8.g6+ で白が勝つ。つまり黒は白がポーンを g6 に進める前に隅に追い込まれてはいけないということである。

5.Kf5 Kf7

 最初の局面に戻ってしまった。

6.g6+ Kg8

 黒はキングがg8とh8を往復するだけで簡単に引き分けにできる。

 図37の局面を1列下に下げても結果は変わらない。白はキングが自分のポーンの前に行けた場合にだけ勝ちの可能性が生まれる。例えば図37で黒キングをh7に移動した局面はどちらの手番でも白が勝つ。白の手番ならば 1.Ke6 Kg8 2.Ke7 Kh7 3.Kf7 Kh8 4.Kg6 ただし 4.h6? はだめで 4…Kh7! で引き分けになる。4…Kg8 5.h6 gxh6 6.Kxh6 で白が勝つ。黒の手番ならば 1…Kg8 1…Kh8 は 2.Kg6 Kg8 3.h6 で前の変化と同じ。1…g6+ は 2.Kf6 gxh6 3.Kf7 で白の勝ち。2.Kg6 Kh8 3.Kf7 3.h6? は誤りで 3…Kg8! で引き分け。3…Kh7 4.h6 gxh6 5.g6+ で白が勝つ。

(この節続く)a>

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ポルガーの定跡指南(80)

「Chess Life」2005年4月号(3/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

ブダペスト・ファヤロビッツ(A51)(続き)

 B)1.d4 Nf6 2.c4 e5 3.dxe5 Ne4 4.Nf3 Bb4+ 5.Bd2(5.Nbd2 は次の 4.Nd2 の戦型を参照)

 5…Nxd2 6.Nbxd2 Nc6 7.a3 Bxd2+ 8.Qxd2 Qe7 9.Qc3 白はポーン得にしがみついている。

 9…O-O この方向は正しい!クイーン翼にキャッスリングするのは次のようにあまり薦められない。9…b6 10.g3 Bb7 11.Bh3! O-O-O(釘付けを利用して 11…Nxe5 12.Qxe5 Qxe5 13.Nxe5 Bxh1 と指すのは 14.f3 でビショップが隅で立ち往生するのであまり良くない)12.O-O-O Rhe8 13.Rd5 ここで 13…Nb8(13…Na5 14.b4 Bxd5 15.cxd5 Nb7 16.d6)なら 14.Rd3 Bxf3 15.Rxf3 Qc5(15…Qxe5 16.Qxe5 Rxe5 17.Rxf7 Rxe2 18.Rd1)16.Re3 となって明らかに白が優勢である。

 10.Rd1 ジョン・ナンはNCE(Nunn’s Chess Openings)で 10.O-O-O Re8 11.Rd5 の局面を白が優勢と判断している。しかしもっと最近の研究によると 11…d6(11…b6 でもよい)12.exd6 cxd6 13.e3 Be6 14.Rd1 Rac8 で黒が十分反撃できる。

 10…Re8 11.Rd5 さらにe5のポーンを守った。

 11…b6 12.e3 Bb7 13.Be2

 13…Nd8 これが最も正確な手段である!13…Rad8 は 14.O-O Nb8 15.Rd2 Bxf3 16.Bxf3 Qxe5 17.Qc2 となって黒がポーンを取り返す。その局面は白の方が少し好ましいと思う。もっとも 17…d6 と正しく応じられると白の優勢は最小限である。

 14.Rd2 Ne6 15.O-O a5 16.Rfd1 Nc5 17.Rd4 a4 GMグトマンによると「黒がきわめて快調」である。最後の数手で黒はクイーン翼の陣容を改善した。ルークをa8から動かしたあと黒はf3で取る用意ができいずれポーンを取り返すことになる。

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カテゴリ: ポルガーの定跡指南

フランス防御の完全理解(210)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 前局と似たポーン陣形が生じたが、ここではビショップを持っているのは白でなく黒である。このビショップが白枡ビショップならば、白はそれでも十分優勢を期待することができる。しかしここでは黒枡ビショップで、黒駒はすべて好所に位置している。カルポフ対バレエフ戦を見たが(13手目の所で)、この局面でも似た戦力でやはり白がわずかに有利になっている。

20.Rad1 Rcd8 21.Nf3 Qc8 22.Re2 Nc5

 ショートは一組のルークを交換して、白がe列でルークを重ねて圧力をかけるのをやめさせた。

23.Qc2 Rxe2 24.Qxe2 Ne4 25.Qc2 g5?!

 早指しの試合によくあるようなせっかちな手である。この軽率な攻撃作戦の代わりに 25…g6 ならずっと本手の指し方だったろう。

26.Nd4 Bg7 27.Nb4

 白はd5の地点に圧力をかけなければならない。

27…f5?

 これは輪を掛けた指しすぎの手で、アダムズは正確に咎める。ショートはまだ 27…Nxg3! 28.fxg3 a5 29.Nf5 Qc5+ 30.Kh2 axb4 31.Qd2 Bf6 32.cxb4 Qc4 +/=(アダムズ)でしのげていた。

28.Qd3! Kh8 29.Qf3 a5 30.Nbc2 Rf8 31.Ne3 Bxd4

 これでd5のポーンが落ちる。代わりに 31…f4 32.Nxd5 fxg3 33.Qxe4 gxf2+ 34.Kf1 Qc4+ 35.Qe2 Qxd5 は 36.Ne6 で白の勝ちに終わる(アダムズ)。

32.Rxd4 f4 33.Nxd5 Nc5 34.gxf4 Ne6 35.Qe4! gxf4 36.Ne7! 1-0

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

[復刻版]実戦に役立つエンディング(36)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 図33の局面に戻って、ポーンを1列右に移動しキングをポーンの左側に持ってくると図36になる。

 図36

 白キングはポーンの正しい側に位置し、対向ポーンのない自分のポーンの隣にいる。だから勝ちは易しい。白の手番ならば

1.g5 Kd6 2.f5

または

1.g5 Kf7 2.Kd5 Ke7 3.Ke5

で白が勝つ。黒の手番ならば

1…Kd6 2.Kd4!

 2.f5 は誤りで 2…Ke7! で引き分けになる。2.g5 も同じく 2…Ke6 で引き分けになる。

2…Ke6 3.Kc5 g5

 他の手では白キングが侵入してくる。

4.f5+ Ke5 5.Kc6

 これで白が勝つ。

 図36の局面を上または下に移動しても結果は変わらない。白ポーンがf2とg2の場合でもそうである。黒は次の手順ならもちろん引き分けにできる。

1…Kd4 2.Kd2? Ke4 3.Kc3 g3! 4.f3+ Ke3

 この手で白のgポーンに逆襲する。しかしこれは白が2手目を間違えたからであり、

2.f4!

 なら白が勝つ。この局面を1列右に移動した局面は引き分けになるがこれは後で検討する。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(209)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

10.Nd4

 これに代わる作戦は 10.Re1 O-O 11.Nf1 Re8 12.Be3 である。1996年ベイクアーンゼーでのティビアコフ対ドレエフ戦ではドレエフが目新しい 12…Nfe4 を指し、13.c3 Qd6 14.Ng3 Bf8 15.Qc2 Qa6!? 16.Red1 Rad8 のあと引き分けに持ち込んだ。

10…Qd7

 この手は Nf5 の狙いに備えた。

11.N2f3

 11.N2b3 Nce4 のあとよく指される二つの陣形が生じる。白は 12.f3 Nd6 13.Nc5 Qc7 14.Nd3 O-O 15.b3 で重要なc4とe4の地点の支配を目指すことができるし、12.Qf3 O-O 13.Nf5 Bd8!(白がどのように賢明にこれ以上の交換を避けるのかに注意)14.Be3 g6 15.Ng3 でキング翼に駒を移動させることもできる。どちらの手順もまだ上位者間の多くの実戦で試されている。

11…O-O 12.Bf4

 すぐの 12.Ne5 には 12…Qc8!(h2-b8の斜筋を避け、まだ Nf5 を防いでいる)と応じるのが最善で、1990年ノビ・サドでのKr.ゲオルギエフ対バレエフ戦では 13.Qf3 Re8 14.Bf4 Nce4 15.Nd3 a5!? 16.Rfe1 Ra6 = と続いた。

12…Rfe8 13.Re1 Nce4

 1994年リナレスでのカルポフ対バレエフ戦では代わりに 13…Bf8 14.Ne5 Qa4 15.c3 Qa6 16.Qe2 Qxe2 17.Rxe2 Bd6 18.Nd7! Bxf4(18…Rxe2? 19.Nxf6+ gxf6 20.Bxd6 +/- カルポフ)19.Rxe8+ Rxe8 20.Nxc5 Bc7 21.Nd3 と進み、白がほんのわずか優勢だった。この試合はバレエフが引き分けを目前にしてカルポフに1手詰みの頓死を食らうという劇的な終わり方をした。

14.Ne5 Qd8

 黒は …Bf8 と指せるのでこう引いても安全である。

15.Nd3! Rc8 16.c3 Bf8 17.Qb3 Nh5

 ショートはナイトをビショップと交換する用意をしている。

18.Bg3?!

 アダムズは 18.Be3 の方がもっと有利になる可能性があったので交換を拒否すべきだった。18.Qxb7 は 18…Nc5! 19.Nxc5 Nxf4 で黒に代償が多いので感心しない。

18…Nhxg3 19.hxg3 Qd7

 白の手番 

(この章続く)

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[復刻版]実戦に役立つエンディング(35)

第2章 ポーン・エンディング

2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン

 パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)

b)せき止められたポーンがない時(続き)

 図34の局面を1段上に上げると白のビショップ列ポーンに対する逆襲が成功しないことは明らかである。しかし意外なことに1段下げた図35の局面は黒の手番だと黒が負ける。

 図35
ケレス、1932年

 白の手番では勝ちがない。1.Kg2 には 1…f3+、1.f3+ には 1…Kh4、1.Kh1 には 1…f3! 2.e3 Kg5、1.Kg1 には 1…f3! 2.e3 Kf5! で既に学んだ引き分けの局面になる。

 しかし図34の局面ではどちらの手番かは問題でなかったがこの局面はそうではない。驚いたことに黒の手番だと次の手順のように手詰まりに陥り負けてしまう。

1…Kf5

 1…Kg5 はこれまで同様 2.Kh3 Kh5 3.Kg2 Kg4 4.Kf1 Kf5 5.Ke1 Ke5 6.Kd2 Kd4 7.f3 で黒が負ける。また 1…f3 も 2.e3 Kh4 3.Kg1 Kg4 4.Kf1 Kf5 5.Ke1 Ke4 6.Kd2 で白の勝ちになる。

2.Kg2 Kf6! 3.Kf1 Ke5 4.Ke1 Kd4 5.Kd2 Kc4

 5…Ke4 は 6.Kc3 Kd5 7.Kd3 Ke5 8.e4! で白が勝つ。ここまでは図34の分析と同様である。しかしここで二つの局面の間には決定的な違いがある。それは白のeポーンが2枡進めるということである。

6.e4! Kd4

 6…fxe3e.p. は 7.Kxe3 Kd5 8.Kf4 で白が勝つ。

7.f3 Kc4

 白キングをd3に来させるわけにはいかない。

8.Ke2 Kd4 9.Kf2 Ke5 10.Kf1!

 図26で見た様子見の手である。手詰まりに陥った黒は白キングがd3あるいはh3から侵入して来るのを防ぐことができない。

(この節続く)

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フランス防御の完全理解(208)

第9章 孤立dポーン中原(続き)

実戦例(続き)

第33局
アダムズ対ショート
英国選手権戦、1991年
タラシュ戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 c5 4.exd5 exd5 5.Ngf3 Nf6

 現代のグランドマスターのチェスではこの手が最も人気がある。

6.Bb5+ Bd7 7.Bxd7+

 7.Qe2+ は次局に移行する。

7…Nbxd7 8.O-O Be7 9.dxc5 Nxc5

 白の手番 

(この章続く)

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