2013年03月の記事一覧

フランス防御の完全理解(146)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

21…Qd7

 1993年スケイでのへラーシュ対デュルフース戦では 21…Qa5+ 22.Kf2 Qd5 23.Qb5! Qd7 24.Rgb3 b6 25.Qa6+ でクイーン交換を強要して白が早い勝ちを収めた。ティズダルは 21…Ne5 22.Bxe5(22.Qb5!?)22…Qxe5 23.Qc4+ Qc7(23…Kb8 24.Rxb7+!)24.Qxc7+ Kxc7 25.g5 という変化をあげて白が明らかに優勢としている。

22.g5 Bh5

 このビショップを働かせる他の方法は 22…Bf7 23.Bh3 Bd5 だが、白は 24.Nxd4! Nxd4 25.Qxd4 Rge8+ 26.Kf2 Re2+ 27.Kg1 でポーン得にしがみつきそれを利用することができる。

23.Kf2 Rge8

 23..,Ng6 は単に 24.Bh3 と応じられる。

24.Bd2!?

 この奇妙に見える手はf4の地点をナイトのために使おうとしている。これに代わる手は 24.Rh3 Bxe2(24…Ng6 なら 25.Rxh5 Rxe2+ 26.Bxe2 Nxf4 27.Qf3 Nxh5 28.Qxh5、24…Rh8 なら 25.Rxh4! Bxe2 26.Rxh8 Bxd3 27.Rxd8+ Qxd8 28.Bxd3 +-)25.Bxe2 Ng6 26.Bd2 Nge5 27.Qb5 Rh8 28.Rxh8 Rxh8 29.Kg1 で、このとき 29…d3!? なら 30.cxd3 Qd4+ 31.Kg2 Qh4 32.Qxb7+ Kd8 33.Ba5+ Nxa5 34.Qb8+ Kd7 35.Qxa7+ で白の一本道の勝ちになる。

24…Ne5

 24…Ng6 25.Nf4 Nxf4 26.Bxf4 Re4 27.Qd2 Rde8 28.Bd3 でも 24…Nf3 25.Rxf3 Ne5 26.Qxf5 Nxf3(26…Bxf3 27.Qxd7+ Rxd7 28.Ng1!)27.Qxd7+ Rxd7 28.Bf4 でも白陣がまとまる。

25.Qb5 d3 26.Qxd7+

 26.Qc5+? は 26…Qc7 27.Qxc7+ Kxc7 28.Nf4 Ng4+ 29.Rxg4! dxc2 30.Nd5+ Rxd5 31.Rc4+ で勝勢になることに期待した手だが悪手である。なぜなら黒は途中 26…Kb8 27.Bf4 dxe2 28.Bxe5+ Ka8 29.Bxe2 Bxe2 30.Kxe2 f4! で形勢を逆転できるからである。

26…Rxd7

 白の手番 

(この章続く)

2013年03月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(145)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 これは黒が白キングを中央で詰みに討ち取る前に白がポーンをクイーンに昇格させることを期待するこの戦型の典型的なシナリオである。ここでは戦術がどうやっても白の有利に働くようである。

 a)25…Rxe6!? 26.Qxe6 Re8 27.f5!! Rxe6(27…Bf7 28.Bf4! Bxe6 29.Rxb7+!)28.fxe6 b6 (28…Bxc2 29.f7 Qe7 30.Rf3 Qf8 31.Bf4 Kc7 32.Rxb7+)29.Bf4 Bxc2 30.f7 Qe7 31.Rf3!

 b)25…Bxc2 26.f7! Rf8!(26…Re7 27.f8=Q! Rxf8 28.f5![訳注 28…Bxf5 で黒が優勢のようなので単に 27.f5 が正着のようです])27.f5! Bxb3(27…d3!? 28.Bf4! Bxb1 29.Rxb1 dxe2 30.g6 Ne7 31.Bxd6 Rxd6 32.Rxb7+ Qxb7 33.Qxd6+ Ka8 34.Bd5!)28.Qxb3 Nxf7 29.Bxf7 Qxf7 30.Qxf7 Rxf7 31.Ng3 Rh8 32.Rb2

 c)25…b6 26.f5! Nxf5 27.Bf4 Nd6 28.f7!? Rxe6 29.f8=Q! Rxf8 30.Qxe6

 d)25…Ka8! 26.R3b2!?

20.f5!

 1992年フローニンゲンでのエルンスト対カミンスキー戦では 20.Qc4 Bf7 21.Qa4 e5 22.f5 e4 と進み黒の勝ちに終わった。

20…exf5

 クナークの分析によると 20…Ne5 21.Qe4 exf5 22.gxf5 Bxf5 23.Qxh4 Qxc2 24.f7 で白の勝勢になる。

21.Bf4

 黒の手番 

(この章続く)

2013年03月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(311)

「Chess Life」2013年3月号(1/1)

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収局研究室

ポーン損
収局でのポーン損は望ましくはないが必ずしも致命的ではない

GMパル・ベンコー

望み!
GMレボン・アロニアン(FIDE2815、アルメニア)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2760、米国)
世界頭脳競技、北京、2012年

 今のところ黒は3ポーン得である。白の望みは異色ビショップにある。進展を図るためには戦力を返さなければならない時がある。

53…e4?!

 意外にも 53…Kf6! の方が良かった。そのあとは 54.Bxe5+ Kf7 55.Bd4(55.Rc8? は 55…Bxf3+ でも 55…Ra5 でも黒の勝ち)55…Ra5 56.Re5 Rxa2 で黒の勝ちになる。

54.fxe4 Bf7 55.Re7 g4

 f4ポーンを弱めるのが早すぎる。正着は 55…Rc6 で一時立ち泳ぎをすることだった。

56.a3

 どうして 56.a4 か 56.Kf2 と指して待ち続けないのだろうか。

56…Rb5 57.Rxc7 Rb3 58.Rc6+

58…Kh7

 この手は慎重すぎる。積極的に 58…Kh5 といった方がもっと勝つ可能性が高かった。そのあと 59.Bd2 ならば 59…f3+ 60.Kf2 g3+ 61.Kxg3 fxg2+ 62.Kh2 Rg3! で勝ちになる。

59.Be5?

 しかしここではもっと慎重に 59.Bd2 と指した方が良かった。

59…Re3+ 60.Kd2 Rxe4 61.Rf6

61…Bh5?

 黒はまた意表のキングを動かす手を逃した。自ら白ビショップの筋に入る 61…Kg7! が最善手だった。そのあとは 62.Bc3 Kg8 63.Rxa6 f3 64.gxf3 gxf3 65.Rf6 Re2+ 66.Kd1 Bh5

で黒の楽勝になる。しかし少なくとも 61…Bd5 と指すべきだった。

62.Bxf4 Kg7 63.Bg5 g3 64.Rxa6 Re2+ 65.Kc3 Rxg2 66.Bf4 Bf7 67.Be5+ Kf8 68.Bd6+ Ke8 69.Bc5 Rh2 70.Ra7

70…g2

 これで黒は得していた最後のポーンを失った。70…Rh7 なら盤上に残っていた。

71.Re7+ Kf8 72.Re3+ Kg7 73.Rg3+ Kf6 74.Bg1 Rh1 75.Rxg2 Rh3+ 76.Kb4 Rb3+ 77.Kc5 Rxa3

 盤上にポーンが1個だけ残ったが何の意味もない。

78.Bd4+ Ke7 79.Re2+ Kd7 80.Re3 Ra8 81.Rh3 Rc8+ 82.Kb5 Kd6

83.Kb4

 キングが盤端に追われないように 83.Rh8 の方が安全で、たぶん黒はあまり長く手数を延ばすことができなかっただろう。

83…Rb8+ 84.Ka3 Be6 85.Re3 Kd5 86.Bg7 Bf7 87.Re5+ Kc6 88.Re3 Bg8 89.Rh3 Rb7 90.Bh8 Bh7 91.Rh6+ Kd5 92.Rh5+ Ke4 93.Rh4+ Kd5 94.Rh5+ Ke6 95.Rh6+ Kf5 96.Rh4 Rb3+ 97.Ka4 Bg8 98.Rh5+ Ke4 99.Rc5 Bd5 100.Ka5 Rb8 101.Bg7 Rg8 102.Bf6 Rg6 103.Bh8 Rc6 104.Rxc6 Bxc6 合意の引き分け

 これは快速戦だが昨今の状況では世界選手権さえこのような試合で決まる可能性がある。

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(この号終わり)

2013年03月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(144)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 これはこの戦型の基本的な局面である。白はここで黒にc列で策動する可能性を与えるにもかかわらずc3のポーンを取るのが普通である。さもないと黒が …d4 と突いてきて(通常は …O-O-O から …Nf5 と準備してから)、中央の支配とキング翼での素通し列のために黒がポーンの犠牲を払わずにいろいろ指す余地ができる。

13.Qxc3

 この戦型ははやり廃りを繰り返してきたしこれからもきっと続くだろう。これに代わる主要な手は次のとおりである。

 a)13.Nxc3 a6 14.Rb1 Nf5(14…O-O-O? 15.Qxa6!)15.Ne2(15.g4!? は 15..Rxg4 16.Bh3 の意図だが黒は 15…Nxe5! ∞ の捨て駒で切り返すことができる)15…Na7! 16.Qc3 Bc6 17.Nd4 Nxd4 18.Qxd4 Nb5 19.Qc5 d4 20.Rb3 Qd8! 21.Rh3 Rc8 =/+ エールベスト対ニコリッチ、レイキャビク、1991年

 b)13.Rb1 d4!(13…Nf5?! 14.h3! Rc8? 15.g4 Nh4? 16.Qh7! 1-0 ハーリー対カートン、ロンドンリーグ戦、1995年)14.Nxd4(1989年ソ連選手権戦でのアセーエフ対エインゴルン戦では 14.Rg1 O-O-O 15.Nxd4 Nxd4 16.Qxd4 Bb5! でどちらも指せる局面になった)14…Nxd4 15.Qxd4 Nf5 16.Qf2 Bc6! 17.Rg1 O-O-O 18.g4!?(18.Bd3 b6 19.Kf1 Rxd3! 20.cxd3 Qd7 -/+ ハーリー対レビット、ロンドン、ロイズ銀行マスターズ、1985年)18…Nd4 19.Rg3 Rxg4!? 20.Rxc3 +/=(20.Rxg4 Nf3+ 21.Ke2 Nd4+ は黒が少なくとも引き分けになる)

 c)13.Ng3 O-O-O 14.Be2 Nf5! 15.Nxf5 exf5 16.O-O d4 =

13…Nf5

 この手はあとで g4 突きで白が先手で陣地を広げるのを助長するのである点では理に合わないように思える。しかし実際には超現代派の単刀直入の構想で、そのような突きは白が伸びすぎになることを期待している。他の手に対しては白は g3 突きでもっと穏やかに指してきたが、それでも非常に効果的になることがある。例えば1987年ドルトムントでのバラショフ対アグデスタイン戦では 13…O-O-O 14.Rb1 d4(14…Kb8 15.g3 Bc8 16.Bg2 b6 17.Qd3! d4 18.O-O +/=)15.Qd3 Nd5 16.g3 f6 17.exf6 Nxf6 18.Bg2 e5 19.fxe5 Nxe5 20.Qb3 +/- と進んだ。しかしもっと最近では1995年ルイス島でモトワニと対戦したJ.ポルガーは黒が …Nf5 と指していないことをまったく無視し、(13…O-O-O のあと)14.Rg1!? d4 15.Qc5 Be8 16.g4 Nd5 17.Rg3! で Bg2 から g5!(…f6 突きの防ぎ)の意図で快勝した。

14.Rb1

 これは素通し列を占拠し …Qb6 を防ぐ重要な手である。代わりに 14.Rg1 なら 14…Qd8!? がある。

14…d4

 1988年ベイクアーンゼーでのカルポフ対ファラゴ戦では 14…Rc8 15.Bd2 b6(1993年バーデンでのシュミット=シェファー対バルター戦では 15…a6 16.Rg1! Qd8 17.Qd3 Qh4+ 18.g3 Qxh2 19.Rxb7 で白が少し優勢だった)16.g3!(16.Rg1 Qd8! ∞ ショート対ティマン、ベルフォール、1988年)16…Qb7 17.Qd3 Nce7 18.Rg1 Rc4! 19.g4 Nh4 20.Rg3 +/= と進んだ。本譜の手はこれよりも攻撃的である。

15.Qd3

 15.Qc5?! は黒が 15…b6 16.Qc4 O-O-O のあと …Kb8 から …Bd7-c8-b7、…Qc8 そして …Ba6 という完全に成立する作戦で2手得になる。代わりに 15.Qc4 は 15…Qa5+ または 15…O-O-O 16.Rg1 f6 17.exf6 Nd6! と応じられる。

15…O-O-O 16.Rg1!

 白は挑戦を受けて立ったが選択の余地はほとんどない。黒は中央とクイーン翼の両方で戦線突破を狙っている。例えば中央では 16.Bd2 f6! 17.exf6 e5! 18.f7 Rg7 19.g4(Ki.ゲオルギエフ対ラシドビッチ、サラエボ、1986年)でここで 19…Nd6 なら黒が明らかに優勢だったし、クイーン翼では 16.g3 Na5 17.Rb4 a6 18.a4 Bc6 -/+(ガーバー対ウォーレス、グアラプアバ、1991年)となった。

16…Be8!?

 これは最善手ではないかもしれない。次のように指した方が良かっただろう。

 a)16…f6 17.g4 Nh4 18.exf6 e5 19.f7(19.h3 Be6! から …Bd5、または 19.f5 e4! 20.Qxe4 Rge8 21.Qd3 Bxf5!)19…Rxg4 20.Rxg4 Bxg4 21.Bh3 Qd7 22.Bxg4 Qxg4 23.Qg3 Qh5 24.Rb3! e4! 25.Qg8 Qd5! 26.Qg7 Nf3+ 27.Kf2 Qh5 28.f8=Q Qxh2+ 29.Kf1 ½-½ ブレンケ対ルメレ、通信戦、1994年

 b)16…Na5 17.Rb4(17.g4 Ba4!)17…Nc6 18.Rb2 Na5 19.g4 Ne3 20.Bxe3 dxe3 21.Nd4!? +/=

17.g4 Nh4 18.Rg3 f6 19.exf6 Bg6

 1993年英国選手権戦のハーリー対B.マーティン戦では 19…Bf7 20.Bh3 Rge8(1988年テッサロニキでのシュナピク対ノゲイラス戦では 20…e5 21.g5+ Kb8 で黒の早い勝ちになったが、白は 22.fxe5? の代わりに 22.f5 Bd5 23.g6 e4 24.Qb5 Ne5 25.Bf4 Nhf3+ 26.Rxf3 exf3 27.f7! とポーンを早く突き進めるべきだった)21.g5 Bg6 22.Qc4 Nf5 23.Bxf5?! exf5 24.Rh3? Re4! と進んで黒が勝った。途中白は非常に危なっかしいが 23.Rgb3 Nd6 24.Bxe6+! Kb8 25.Qd5 と指すべきだった。

 黒の手番 

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(143)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

実戦例

第21局
ステファウンソン対カミンスキー
リナレス、1995年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5

 白がすぐにg7のポーンを標的に指せば、黒は …dxe4 から …Nf6 でh7のポーンを失わないで応じることができる。だから単にe4とg7のポーン同士の交換になり、どちらかと言えば黒が有利である。例をあげると・・・

 a)4.a3 Bxc3+ 5.bxc3 dxe4 6.Qg4 Nf6 7.Qxg7 Rg8 8.Qh6 Nbd7 9.Nh3 b6 10.Ng5 Rg6 11.Qh4 Bb7 12.Nxh7 Qxh7 13.Qxh7 Qf6 ∞ ドグラーブ対デュルフース、アルンヘム、欧州ジュニア選手権戦、1988年

 b)4.Bd2 dxe4 5.Qg4 Qxd4! 6.O-O-O Nf6(6…f5!?)7.Qxg7 Rg8 8.Qh6 Bf8! =

 c)4.Qg4 Nf6 5.Qxg7 Rg8 6.Qh6 Rg6 7.Qe3 c5 8.Bd2 Ng4! 9.Qd3 Nc6 =/+

4…c5 5.a3

 5.Qg4 は劣った手で、5…Ne7 6.Qxg7?!(6.a3?! Qa5!)6…Rg8 7.Qh6!(c1の地点に利かせた)7…cxd4 8.a3 Bxc3+(8…Qa5 は 9.axb4 Qxa1 10.Nb5! で白に代償がある)9.bxc3 Qc7 となれば白がh7のポーンを取っていないので本譜よりも黒が優っている。

5…Bxc3+ 6.bxc3 Ne7 7.Qg4 Qc7

 7…O-O、7…Kf8 および 7…Nf5 については前章、また 7…cxd4 については次章を参照。

8.Qxg7

 他の手では黒に局面を閉鎖的に保つ選択肢を与える。例えば1995年ベオグラードでのレーコー対ベリヤフスキー戦では 8.Bd3(8.Kd1 O-O!)8…c4(8…cxd4 は次局に移行する)9.Be2 Nf5(9…O-O もある)10.Nf3 Nc6 11.Qh5 Bd7 12.g4 Qa5 13.Bd2 Nh6 14.Qg5 O-O = と進んだ。

8…Rg8 9.Qxh7 cxd4 10.Ne2

 白はc3とe5のポーンを両方とも守りたければ自分の展開を阻害しなければならない。1981年ニューヨークでのポポビッチ対J.ワトソン戦では 10.Kd1?! が指されたが 10…Nbc6 11.Nf3 dxc3 12.Ng5(12.Bf4 Qb6! ∞)12…Nxe5 13.f4 f6(13…Rxg5 14.fxg5 N5g6 ∞)14.fxe5 fxg5 15.Qh5+ Kd8 16.Bxg5 Qc5! 17.h4! Bd7 18.Rh3 Kc7! =/+ となって黒に手段の余地が多かった。

10…Nbc6 11.f4 Bd7 12.Qd3 dxc3

 白の手番 

(この章続く)

2013年03月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

布局の探究(41)

「Chess Life」1992年2月号(4/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

遅かれ早かれ – 1.d4 か 1.g3 か?(続き)

 Ⅱ 1.g3

 主な特徴
 白はまずキング翼の展開を完了しようとする。キング翼ビショップのフィアンケットはこの展開において必要不可欠である。

 長所
 a)駒とポーンの展開についてはほぼ完璧な融通性がある。唯一決まり切った要素はキング翼ビショップのフィアンケットである。
 b)キング翼キャッスリングでキングの早い安全が保証される。
 c)白の展開は黒の選択したポーン陣形に合わせることができる。
 d)白は自陣のどの個所も黒による速攻にさらされない。

 短所
 a)黒に非常に広範な布局システムを選択させる。
 b)白は早くから俊敏に立ち回らなければ中央が劣勢で守勢の局面に陥りやすい。

  申し分のない黒の応手
 1)1…c5
 2)1…d5
 3)1…e5
 4)1…Nf6
 5)1…g6
 6)以下は特定の条件付き
 a)1…c6 は黒が次に …d5 と突く場合
 b)1…d6 は黒が次に …c5 または …e5 と突く場合
 c)1…e6 は黒が次に …d5 または …Nf6 と指す場合

 次の2局で白がどのように指すべきかと指すべきでないかとを示す。

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2013年03月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探究1

フランス防御の完全理解(142)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

白が g4 と突く

 

 白が h4 および f4 と突けばg3の地点が空所になることは既に述べた。hポーンがどのように無事に突き進んでいけるかも見通すのが難しい。このポーンがh7まで進んでも白にはh8の地点を支配する容易な手段がないので脅威というよりは負債になる。だから(f4 突きのああと)キング翼で進攻するもっとも効果的な手段は g4 と突くことである。他の戦型と違い白の意図は f5 突きを目指すことではなく(e5の地点が致命的に弱体化するので)、黒ナイトにかなりへんぴなh4の地点だけを空所として残しながら自分のキング翼の駒のために陣地を広げることである(例えば Rg1-g3、Bf1-h3、Ke1-f2)。

 黒が …f6、exf6 e5 で中央を突き破ろうとするならば、グランドマスターのいくつかの実戦例に見られるように白のgポーンとhポーンがルーク以上の価値になれることがよくある。その場合戦力は問題でなくなり、戦いは白の突進するポーンと黒の中央列での攻撃との速さの勝負になる。

(この章続く)

2013年03月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(141)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

黒が交換損の犠牲を払う

 黒は既にポーン損のときでさえ交換損の犠牲を喜んで払うことがよくある。この種の中盤戦では働いている小駒の方が受け身のルークより大切なことがよくある。以下は典型的な例で、ルークを白の小駒のどれとも交換損することができることを示している。

 

 上図で黒はf7の地点への狙いを …Rxg5!? と切ることにより切り返す。fxg5 と取らせたあと代償として例えば …Ng6 でe5のポーンが落ちることになる。

 今度は次図を考えてみる。g2のポーンは安全なように見える。

 

 しかし黒は …Rxg2 と取って Bg3 から Kf1 で捕獲されるのを恐れない。というのは …Rxg3 でe5のポーンの守り駒の一つを取り除けるからである。

 今度は次の図を考えてみる。

 

 黒はすぐに戦術の見返りはなくても …Rxd3 と切る、これはただ単に白の白枡ビショップの方が黒のルークよりも重要だとみなすからである。この犠牲のあとは白枡で強く指すことになる。

(この章続く)

2013年03月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

ポルガーの定跡指南(70)

「Chess Life」2005年2月号(1/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

アルビン逆ギャンビット(D09)

 アルビン逆ギャンビットはチェスクラブではよく指される布局である。しかしマスター以上のチェスでは疑いの目で見られている。

 約100年前は指定布局大会(布局があらかじめ指定されている)がよく行なわれていた。しかし今日では極めてまれである。私はこれまで1度だけ1986年にオランダでそのような特別大会に参加したことがある。オランダ(フローニンゲン)のスタントン・チェスクラブが2001年に「アルビン逆ギャンビット招待大会」を主催した。この種の大会は特定の布局定跡の進歩に大きく貢献する。本稿では有名な旧戦型と共にいくつかの新しい着想も紹介する。

白の基本的な作戦は何か

 白は早いポーンの犠牲を受諾するのが普通である。ほとんどの場合作戦は適当な時機にポーンを返して戦力の優位を陣形の優位に変えることである。黒がクイーン翼にキャッスリングする戦型では攻め合いになるので白は強力に指し進める必要がよくある。

黒の基本的な作戦は何か

 黒は2手目でポーンを犠牲にし、中央と戦法によってはキング翼で反撃しようとする。黒には二つのはっきり異なる手法がある。古い手法は素早くクイーン翼にキャッスリングし、…Qd7 と …Be6-h3 を …h7-h5-h4 と組み合わせて(シチリアドラゴンに対する白の典型的な攻撃と似ている)強襲を開始していた。別のもっと控え目な作戦は犠牲にしたポーンを …Ng8-e7-g6 で取り返そうとすることである。

それで評決はどうなっているか

 正確に指せば白にとって指しやすい。しかしいつどのようにしてポーンを返すというようなコツをいくらか知っておく必要がある。場合によっては戦力(ポーン)の優位を維持できることさえある。

 アルビン逆ギャンビットの手順は 1.d4 d5 2.c4 e5 から始まる。

3.dxe5

 白は差し出されたポーンを断わる理由は何もない。

3…d4

 3…dxc4 4.Qxd8+ Kxd8 は黒がキャッスリングする権利を失う。白は 5.Bg5+ Be7 6.Nf3 から Nc3 のあとキャッスリングして主導権を握ることができる。

4.Nf3 Nc6 5.g3

 白は次にビショップを対角斜筋に展開するためにこの手を選ぶのが普通である。しかし人気でははるかに及ばないが 5.Nbd2 または 5.a3 でさえ少数の試合で指され良い結果を収めている。5.g3 のあと黒には選択肢が三つある。

 この局面が 5.g3 の開始点である。

 古い主手順は 5…Bg4 で、早く …Qd7 から …Bh3 と指す意図である。同様の作戦の別の手は 5…Be6 である。新しい全然異なる手法は 5…Nge7 である。これらを一つ一つ見ていこう。

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カテゴリ: ポルガーの定跡指南

フランス防御の完全理解(140)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

黒が …d4 と突く

 

 黒は …d4 と突くことにより(c3に自分のポーンがあってもなくても)ビショップの対角斜筋を開け(この変化では確かに「不良」ビショップでなくなる)ナイトのためにd5の地点を空けてやる。黒枡ビショップがないので結果的に白にナイトをe4経由でd6の地点に来させないよう注意しなければならない。

(この章続く)

2013年03月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(139)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

黒が …dxc3 と取るのを遅らせる

 

 黒は …dxc3 と取るのを遅らせることにより白の展開を乱すことができることがよくある。ここでは …Qxe5+ と …Qxc3+ の狙いにより白に Ne2 と指させてビショップの利きをふさぎe5のポーンを無防備にさせるか、Kd1 と余計な手をかけさせる。注意すべきは Kd1 のあと白はすぐに …Qxe5(Nf3 から cxd4)や …Qxc3(Rb1)と取ってくる手を恐れる必要はないということである。しかし黒は代わりに白キングの早い移動につけ込んで …dxc3、Nf3 Nc6、Bf4 Qb6! で無防備のf2のポーンを当たりにすると共に …Qb2 を狙うことができる。

(この章続く)

2013年03月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

懲リアン

長崎新聞2013年3月21日付
韓国・祈祷師が対馬で騒動

2013年03月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(138)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

e5の地点をめぐる戦い

 e5のポーンは白の誇りだが危険な所にあり守ってくれるd4ポーンがもうなくなっている。白はf4ポーンで守るのか駒(Bf4 と Nf3)で守るのかを決めなければならない。

 

 白がe5のポーンを駒で守る暇があったとしても、e5のナイトとc7のクイーンに対するg3のビショップによる釘付けは役に立つ切り返しの着想だけれどもそれでも守りきることは非常に困難である。もっと重要なことは白駒が防御に縛り付けられ黒はその白駒が他の個所でよく働くように用いられること(例えばc3のポーンを取った際に)を恐れる必要がないということである。

 白が f4 突きで守ると貴重な展開の1手を浪費し自分の黒枡ビショップを閉じ込めることになり(hポーンがh8に到達するのを助けられなくなる)、e3とg3(hポーンが前進した場合)の地点に潜在的に重大な空所を生じさせることになる。それでも黒は …f6 突きまたはもっと過激な捨て駒の …Nxe5 で白の中原を破壊することができる。

 

 上図は理想的な状況を示している。つまり …Nxe5、fxe5 のあと …Qxe5+ または …Qc3+ で黒の交換得になる。しかしこの捨て駒はこのような戦術の利益が即座に得られなくても成立することがよくある。

(この章続く)

2013年03月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(310)

「British Chess Magazine」2013年1月号(2/2)

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第4回ロンドン・チェスクラシック(続き)

J.ポルガー
H.ナカムラ
2012年ロンドン・チェスクラシック、ルイロペス [C78]

解説 トールバット

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O b5 6.Bb3 Bc5

 このアルハンゲリスク戦法は攻勢に努めて互角以上を目指す。

7.a4

 この手はb5の地点を攻撃して黒に …Bb7 による容易な展開を許さない。

7…Rb8

 7…b4 8.Nxe5 Nxe5 9.d4 Bxd4 10.Qxd4 Qe7 は黒が好調である。

8.axb5 axb5 9.Nxe5

 9.Nc3 なら白が少し優勢だがそれだけのことである。

9…Nxe5 10.d4 Bxd4 11.Qxd4 d6

 白には双ビショップがあるが黒には何も弱点がない。

12.f4

 12.Bg5 h6 13.Bxf6 Qxf6 14.Qc3 ならポルガーが優勢である。

12…Nc6 13.Qc3 Ne7 14.Nd2

 14.Re1 もあり 14…O-O 15.e5 となれば白が指せる。

14…O-O 15.e5 Nfd5

16.Bxd5

 強力なビショップをなくすこの手は最善でなかった。16.Qf3 Bb7 17.Ne4 でキング翼の黒枡の攻撃を目指すのがよく、17…dxe5 18.fxe5 Ng6 19.Bg5 となれば攻撃が黒の脅威になる。

16…Nxd5 17.Qd4 Bb7 18.Ne4

 18.Nb3 が黒のクイーン翼を抑え、18…Ra8 19.Bd2 で白がわずかに優勢である。

18…f5

 黒はb7のビショップのために形を決めて局面を開放する。

19.Ng5 Qd7 20.Nf3

 白はナイトをすぐ引く必要はない。20.Qd3 が良かった。

20…Ra8 21.Bd2 c5 22.Qd3 c4 23.Qd4 dxe5 24.Nxe5 Qc7

 黒のビショップの方が少し優っている、と思わないだろうか?

25.Rfd1 h6 26.Be1 Rfe8 27.Bd2 Red8 28.Rxa8 Rxa8

 黒がa列を支配しているので白が少し悪い。

29.h3 Ra2 30.Rb1

 クイーンが交換になった時にbポーンが守られているようにした。

30…Nf6 31.Bb4 Be4

 白陣に圧力がかかってきた。

32.Re1

 32.Qd2 Qb6+ 33.Kh1 Nd5 は黒に交換でクイーンがf2に侵入する狙いがあるので白が壊滅する。32.Qf2 Nd5 33.Be1 c3 も白が不自由である。そこでハンガリーのGMはポーンを犠牲にすることにした。

32…Bxc2 33.g4 Qa7

34.Qxa7

 34.Bc5 Qa8 35.Qc3 Be4 36.Bd4 Nd5 37.Qd2 Ra1 は黒がだいぶ優勢である。

34…Rxa7 35.Nc6 Ra6 36.Ne7+ Kf7

37.g5

 37.Nxf5 Bxf5 38.gxf5 Nd5 39.Bd2 なら 39…b4 40.Re5 Rd6 のあと 41.Kf2 で引き分けの可能性があった。

37…hxg5 38.fxg5 Ne4 39.Nxf5 Nxg5

 白はポーン損だがg7の地点に対してまだ狙いがある。

40.Re7+ Kg6

41.Nd4

 41.Nxg7 は 41…Nxh3+ 42.Kh2 Nf4 で白が …Nd5 の狙いに直面する。

41…Bd3 42.Rb7

 42.Nxb5 は 42…Rb6 で黒が戦力得になる。

42…Nxh3+ 43.Kh2 Ng5 44.Nxb5 Rf6

 ルークが白キングの方に展開し勝負が決まる。

45.Bc5 Rf4 46.Nc3? Rg4

 これで黒キングの運命が決まった。

47.Nd1 Bf1

 破滅的な狙いの …Nf3+ がある。

0-1

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(この号終わり)

2013年03月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(137)

第6章 毒入りポーン中原(続き)

白がクイーン同士を消す

 白キングへの攻撃は黒の戦略にとって必要不可欠だから、クイーン同士の交換は黒にとって致命的である。実際白に双ビショップ、ポーン得、それにパスhポーンがあるとき、クイーン同士の交換は黒を投了させるのに十分となり得る。黒のクイーンがc7の地点にいるとき、白は自分のクイーンをc3の地点で(同様に …Qb6 に対しては Qb3 で)対峙させc6の黒ナイトを「釘付け」にすることができる。

 

 上図のかなり典型的な状況で黒は中原を粉砕した。しかし白は Bf4 の戦術で黒の攻撃を間一髪のところで押しとどめる。そして …Nxd3+?、cxd3 のあと黒のクイーンは釘付けをはずせず、白のキング翼のポーンが勝負を決める収局になる。そもそも白には Bxe5 Qxe5、Qg3 という狙いがあるので、黒は勝負に残るためにはいくらかもつれたままにしておかなければならない。

(この章続く)

2013年03月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(136)

第6章 毒入りポーン中原

 

概説

 前章では黒が白クイーンの早出の Qg4 に …O-O と応じていた。この手は Qxg7 の狙いに対処したもので、キング翼を無傷のままにした。しかしそこで見たのは黒キングが白のクイーンと小駒からの決して圧倒的ではないけれどもかなり危険な猛攻にさらされている姿だった。その狙いに対する防御で黒はしばしばほんのわずか劣勢だが実際には勝つ可能性のない収局に単純化することを強いられた。

 本章では黒ははるかに意欲的である。主導権を握り自分の駒のために動的な可能性を作り上げることを望む。そのためには Qxg7 の狙いを無視することにより自分のキング翼のポーンを壊滅させる。その代わりとして駒を迅速に展開し、白の中原にすぐに圧力をかけ、自分のキングをクイーン翼に退避させる。

 この戦略はその成否が直接的にも間接的にも中央の白キングの危険な状況につけ込むことにかかっている。直接的には黒は白のポーン中原に大攻勢をかけて大打撃を与えることを期待している。そして白キングが囲いを剥ぎ取られれば黒駒の集団の容易なえじきになる。間接的には黒は中央に白キングが居残っていることにより白駒の連係に重大な支障を生じさせようとしている。実際のところ収局で「ポーンの島」について語ることができるなら、ここでは「駒の島」について話すことができる。黒駒は一体となって協調して活動しているのに対し、白駒はキングによって分断されたクイーン翼とキング翼の二つの集団に分割されている。特に白はルークを連係させるのが困難である。

 だから白キングが中央にいるのは理想ではないが通常は他に良い手段がない。クイーン翼に避難先を求めるのは壊れたポーン陣形を考えれば危険が多い。キング翼はもっとまともな避難所のようだがやはり欠点がある。特に黒は素通しのg列とh列を利用して大攻勢をかけることができるかもしれない。また、白の勝つための戦略はh列の余分のパスポーンを利用する必要がよくある。キングをそちらに住まわせれば、キング翼のポーンの迅速な進攻が自分のキングを攻撃にさらすかもしれないのでこの作戦の実行の妨げとなるかもしれない。

 だから一見したところ白の切り札-パスポーンとなっているポーン得と双ビショップ、特に相手の持っていない黒枡ビショップ-は明らかだけれども、黒は実際には多くの反撃を作り出せる。

 この対立は特に険しい。なぜなら白キングを攻撃するために黒は素通しの斜筋で威力を発揮する双ビショップを相手が持っているにもかかわらず局面を開放的にしようとするからである。

 クラブや水準の低い国際大会では黒がよく白の中原を壊滅させて敵キングを詰みに討ち取ることに成功する。これは白が局面を制御できなくなるか、戦術的な見落としをするためである。白が駒を調和よく働かせることは決して容易なことではない。しかし選手が洗練された防御技術の知識を持ち戦闘の要領を理解している最上位では、黒が犠牲の正当性を証明するのによく苦労する。

(この章続く)

2013年03月21日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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布局の探究(40)

「Chess Life」1992年2月号(3/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

遅かれ早かれ – 1.d4 か 1.g3 か?(続き)

 Ⅰ 1.d4(続き)

キング翼インディアン防御 [E69]
フィアンケット戦法
白 GMヘルギ・オウラフソン
黒 GMジョン・ナン
ベイクアーンゼー、1991年

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nf3 Bg7 4.g3 O-O 5.Bg2 d6 6.Nc3 Nbd7 7.O-O e5 8.e4 c6 9.b3 exd4

 白のキング翼ビショップのフィアンケットに対する古典戦法で黒はd4の地点に対する圧力を中止することを強いられる。そうしないとクイーン翼ナイトをうまく展開できないからである。黒は白の中央の優位を増した(黒陣の4段目に中原ポーンがなくなった)代償として、キング翼ビショップの斜筋が通りクイーン翼ナイトの活動の場が得られる。

10.Nxd4 Re8 11.h3 Nc5 12.Re1 Qb6 13.Be3 a5 14.Rb1 Bd7 15.Qc2 Rad8 16.Rbd1 Qc7

 白はスムーズに展開を完了し、良好な陣地の広さと中原の優位とを得ている。ここでナンは 17.Kh2 を推奨し白の優勢が続くとしている。しかしオウラフソンはそれ以上を望んだ。

17.f4?!

 白はe5の地点の支配も望んだ。しかしその結果e4ポーンとg3ポーンが根本的に弱体化した。急に黒は反撃の展望が開けた。

17…Re7! 18.Bf2 Rde8 19.Re2 Qc8 20.Kh2?!

 白は危険でも 20.g4!? h5 21.g5 Nh7 22.Kh2 f6 と指すべきだった。ナンによればそれで形勢不明である。

20…h5! 21.Bg1 h4! 22.gxh4

 気の進まない手だが、22.g4?! はもっと悪く 22…Bxg4! 23.hxg4 Qxg4 24.Rf1 Nh5 で黒が大優勢になる(ナン)。

22…Nh5 23.Rf1 Bf6 24.Rf3 Bxh4 25.a3 Bf6

 白がe4、f4、h3とキング翼全般に弱点を抱えているので、黒が優勢である。注意深く 26.Kh1! で当面の戦術を防いでいれば黒の優勢は比較的小さくできていただろう(ナン)。

26.Bf2? Nxf4!

 これで白に何の希望もなくなった。27.Rxf4 と取っても 27…Be5 28.Bg3(28.Be3 g5)28…Bxd4 となる。

27.Nxc6 Bxc6 28.Rxf4 Be5 29.Bg3 Ne6!! 30.Rh4 Bxg3+ 31.Kxg3 Nd4 32.Qd2 Nxe2+ 33.Nxe2 Qe6 白投了

 34.Qxa5 Qe5+ 35.Qxe5 Rxe5 36.Nc3 f5 で収局になっても見込みがない。

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フランス防御の完全理解(135)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

33.Rf1!

 すぐに 33.g5 は 33…hxg5+ 34.Rxg5 Rh6 35.Rf1 Rbh8 36.Rg7 Be8 で黒がしのげる。しかし本譜の手のあとでは 34.g5 hxg5+ 35.Rxg5 Rh6 36.Rg7 Rf8 37.Kg5 Rhh8 38.h6 で白が勝つ。

33…b4 34.cxb4 axb4 35.axb4 Rxb4

 キング翼での狙いのために黒はクイーン翼を開放させられ白に反撃の糸口ができた。白はここから進展が図れる(コバリョフの解説による)。

36.Ra1!(36.g5? c3!)36…Bc6 37.Re3 Rg8 38.Ra7 Bb7 39.Re5 Rb1 40.Bf3 Kc6 41.g5! Rf1 42.Ra3 Kd6 43.Bg4 hxg5+ 44.Rxg5 Rh8 45.Rf3! Rh1+(45…Rxf3 46.Bxf3 Rh6 47.Rg6!)46.Bh3 Bc6 47.Rg7 e5(47…Be8 48.Rfg3!)48.dxe5+ Kxe5 49.Rxf7 d4 50.Re7+ Kd6 51.Re6+ Kc7 52.Rg3 d3 53.cxd3 c3 54.d4! c2 55.Rc3 Rxh5+! 56.Kg4 R5xh3 57.Rexc6+ Kd7 58.Rc7+ Ke6 59.R7c6+! Kf7 60.Rxh3 c1=Q 61.Rxc1 Rxc1 62.Kf5 1-0

(この章終わり)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(134)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

15…Qxf6

 15…O-O-O 16.Qxe7 Nxe7 のあと白は 17.dxc5 と取ることもできた。1992年ハンガリー選手権戦のマドル対J.ホルバート戦では前に …c4 と Be2 が指されていたが 16…O-O-O 17.Qxe7 Nxe7 18.Nh2 Rdf8 19.Rhe1 Ng8 20.Bg4 f5 21.exf6e,p. Nxf6 22.f3 +/= と進んだ。

16.exf6 c4 17.Bf1 O-O-O 18.Re1 Kc7 19.Ne5 Nxe5 20.Rxe5 b5

 20…Be8!? から …Rd6-a6 という作戦もあり、白のルークの一つを受けに使わせる。

21.Be2 Kd6 22.g4?

 白はすぐに 22.Ke3 から 23.f4 と指してルークを自分のgポーンの前に持ってくる選択肢を残しておくべきだった。

22…Rb8 23.a3 a5 24.Rb1 Bc6 25.Ke3 Bd7 26.f4 gxf4+?

 ここで黒は 26…Rbg8! と指すことができた。そうなれば白は決して敵陣突破が図れなかっただろう。

27.Kxf4 Bc6 28.Kg3! Bd7 29.Kh4 Bc6 30.Bf3 Bd7 31.Bd1 Bc6 32.Be2 Bd7

 白の手番 

(この章続く)

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ポルガーの定跡指南(69)

「Chess Life」2005年1月号(4/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

シチリア防御反スベシュニコフ戦法[B30](続き)

戦型B)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Nc3 e5 4.Bc4 Be7 5.d3 d6 6.O-O Nf6 7.Ng5 O-O 8.f4 exf4 9.Bxf4 h6 10.Nf3 Be6 11.Nd5 Bxd5 12.exd5 Nb4 13.Bd2!

 細かいようだがこの手は重要である。クプレイチク対グレビオンキン戦(ロシア、1998年)ではすぐに 13.Nh4 とやっていったが次のようにうまくいかなかった。13…Nfxd5! 14.Bxh6 Bxh4 15.Qg4 Bf6 16.Rf3 Qc8 17.Qh5 Bd4+ 18.Kh1 Nf6 で白の攻撃が失敗し黒が優勢になった。

13…Nbxd5

 ここで 13…Nfxd5 と取るのは 14.a3 で悪手になる。

14.Nh4!

 例の作戦である。

14…Nb6

 この手は …d6-d5 突きを狙っている。14…Nc7 も同じ目的で指される。15.Nf5 d5(2000年クラクフでのゼズルキン対ゾズリア戦でも 15…Ne6 16.Bc3 Kh7 17.Qf3 Qd7 18.Nxe7 Qxe7 19.Rae1 Rae8 20.Re3 で白が楽に優勢になった)16.Bb3 白は捨てたポーンの代償を十分得ている。f5のナイトは非常に強力である。16…Kh7 17.c3 Ng8 18.Qf3 Bg5 19.Be1(白はポーン損だが攻撃で先行しているので交換を避けるのが大切である。同じことを達成する別の手段は 19.Qg3 である)マツィエヤ対ボブラス、ワルシャワ、2002年

15.Nf5

 15.Bb3 と引くのは 15…d5 16.Nf5 c4 でビショップが捕獲されるので意味がない。

15…Nxc4

 15…d5 と突くのは 16.Qe1! で黒が苦戦に陥る。例えば 16…dxc4 は 17.Nxe7+ Kh7 18.Rxf6! gxf6 19.Qe4+ Kh8 から 20.Bc3 となる。また 16…Bd6 なら 17.Qh4 Ne8(17…dxc4 18.Nxh6+! gxh6 19.Rxf6)18.Qg4 である。

16.dxc4 Nh7

 ビショップの利きを通した。代わりに 16…Ne8? なら白は 17.Bxh6 と切ることができる。

17.Bf4

 白はd6ポーンに圧力をかけた。17.Qg4 Bg5 18.Rad1 も白が良さそうである。

17…Bf6 18.Bxd6

 白が優勢である(スミリン対アブルーフ、イスラエル選手権戦、2002年)。終局までの手順は次のとおりである。18…Re8 19.Qg4 Bd4+ 20.Kh1 Qg5 21.Qf3 Bxb2 22.Rab1 Bf6 23.Rxb7 Rad8 24.Bxc5 Qd2 25.Be7! Ng5 26.Nxh6+! Kh7 27.Qf5+(27.Qh5! の方がずっと強かった)27…Kxh6 28.Bxf6 gxf6 29.Qxf6+ Kh5 30.Rb5 Rg8 31.Qxf7+ Rg6 32.Qh7+ Rh6 33.g4+ Kxg4 34.Qxh6 1-0

結論

 攻撃の好きな選手ならきっとこの戦法が気に入るだろう。白は1ポーンまたは駒を少し犠牲にする必要がよくある。白が f2-f4 と突く主手順では非常に明確な作戦がある。「敵キングをつかまえよ!」

 黒側ではどの戦型を選択するか慎重に検討するか、それとも 3…e5 と突くのをそもそも避けることを勧める。実戦で不意にこの戦法をぶつけられたら、まごつくこと請け合いである。

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フランス防御の完全理解(133)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

8…g6

 この手は陣形を弱めるが主手順になっている。8…Kf8 の方が明らかに本手で、少なくとも現在のところ 9.h4 c5 10.Rh3 Nc6 11.Bd3 Nxd2 12.Kxd2 c4 13.Be2 b5 14.Rg3 Rg8(ユルタエフ対シャバロフ、リガ、1988年)で戦術的にしのげるようである。近年の唯一の超一流グランドマスター同士の対決は1992年リナレス(第8局)でのアーナンド対イワンチュク戦で、9.Nf3?! c5 10.Bd3 Nxd2 11.Kxd2 Nc6 12.Qf4 Qe7 13.a3 Bd7 14.Rhb1 b6 15.Qe3 Na5! =/+ と続いた。しかしイワンチュクは再び挑むだろうか?

9.Bd3 Nxd2 10.Kxd2 c5 11.h4 Nc6

 この戦型における一般的な着想は 11…Qc7 12.Qf4 f5! である。しかしここで白は代わりに 12.Qf3!?、12.Qh3 または 12.h5 g5 13.f4! などいろいろやってみることができる。

12.Qf4 Bd7

 黒は 12…Qa5 13.Nf3 b6!? 14.Rhb1 Ba6 15.a4 Bxd3 16.cxd3 a6 17.dxc5 Qxc5 18.d4(アセーエフ対ピスコフ、ベルリン、1991年)18…Qc4! と反撃する方が良かった。

13.Nf3 Qe7 14.h5 g5 15.Qf6!

 黒の手番 

(この章続く)

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フランス防御の完全理解(132)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

第20局
コバリョフ対バイセル
クリシー、1991年
マカッチェン戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6 4.Bg5 Bb4 5.e5

 5.exd5 は第8章を参照。

5…h6 6.Bd2

 白は 6.Be3!? で黒枡ビショップにしがみつくこともできる。例えば1977年ソ連でのクロバン対シェレシェフスキー戦では 6…Ne4 7.Qg4 Kf8 8.a3 Bxc3+ 9.bxc3 c5 10.Bd3 Nxc3 11.dxc5 Nc6 12.Nf3 f5 13.exf6e.p. Qxf6 = と進んだ。

6…Bxc3 7.bxc3 Ne4 8.Qg4

 黒の手番 

(この章続く)

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フランス防御の完全理解(131)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

20.Bf3?

 この手に対してすぐに 20…Bxc2? と取るのは 21.Rae1 h6 22.Bxd5 g5 23.Rxe6! で失敗するが、それでも白はまずc2のポーンを守るべきだった。20.Qg5 Kg7 21.Qd2 から Bg4 と指す方が良かった。

20…Kg7! 21.Qg5 Bxc2 22.Rae1 Qf6 23.Qe3 Kf8 ½-½

 このあと指すとしたら 24.Qh6+ Kg8 25.Qe3 Kf8 である。

(この章続く)

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「ヒカルのチェス」(309)

「British Chess Magazine」2013年1月号(1/2)

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第4回ロンドン・チェスクラシック

L.アロニアン
H.ナカムラ
2012年ロンドン・チェスクラシック、対称イギリス布局

解説 トールバット

1.c4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.g3 e5

 この積極的な手は素早い展開を目指し、d列の出遅れポーンの不利を補っている。

6.Nb5

 白はd5とd6の弱点に狙いをつけている。6.Nxc6 は 6…bxc6 7.Bg2 Bb4+ で米国チャンピオンに動き回られるかもしれない。

6…Bb4+

 迅速な動員を続けるこの手が黒の最善手である。

7.Bd2

 7.N1c3 が重要な手で、黒の作戦にとって試練になっている。白はd6の地点を押さえたままで、7…d6 8.a3 Bxc3+ 9.bxc3 O-O 10.Nxd6 Qa5 となれば黒は犠牲にしたポーンの代償がある。

7…a6

 d6に侵入できないナイトに行き先を聞いた。

8.N5c3

 8.Bxb4 は 8…axb5 9.Bd6 Qa5+ で黒が好調だろう。

8…d5

 白が Bg2 と指す前に突いた。

9.cxd5 Nxd5

 黒が弱いdポーンを清算したので互角の形勢になった。

10.Bg2 Be6 11.O-O Nb6

 このナイトは弱いc4の地点を目指していて、白は同翼のナイトの位置によって受けが阻害されている。

12.Be3 Nc4

 すでに黒に主導権がある。

13.Qc1 O-O 14.Rd1 Qc7

15.a3

 15.Nd5?! は 15…Bxd5 16.Rxd5 Nxe3 17.Qxe3 Nd4 となって、ナイトがc2に侵入する狙いがあるので黒が好調である。

15…Nxe3 16.Qxe3 Ba5

 この一手である。黒はビショップをb6に引く手を狙っている。

17.Nd2

 17.Nd5 は 17…Bxd5 18.Bxd5 Rad8 で展開に優る黒が有利である。そのあとは 19.Nc3 Nd4 20.Rac1 Bxc3 21.Rxc3 Qa5 22.Bb3 Nxb3 23.Rxd8 Rxd8 24.Rxb3

でナカムラが優勢である。

17…Bb6 18.Qf3

 18.Qg5 でも 18…Rad8 で黒が良い。

18…Rad8 19.Na4 Ba7

 黒はa4のナイトを遊び駒にさせようとしている。

20.Qc3 Rd4

 先手になっている。

21.Qc2

 21.Bxc6 bxc6 22.b4 Rfd8 も黒の方が良い。

21…f5

 黒は …e4 突きで白のビショップを封じ込める作戦である。

22.e3 Rdd8 23.b4

23…e4

 黒は作戦をつらぬいた。23…f4 24.Nc5 Bg4 でもよい。

24.Nb3 Qf7 25.Nbc5 Bd5 26.Rd2 b6

 白のポーンは攻撃に弱くなっている。

27.Rxd5

 白はこの手が最善だと判断した。しかし 17.Nxa6 Bc4 18.Rxd8 Nxd8 19.Bf1 Bb3 20.Qc8 Qf6 の方が複雑で可能性に富んでいた。

27…Rxd5 28.Nxa6 Ne5

 ナカムラがキング翼攻撃を開始した。

29.Rd1 Rfd8 30.Rxd5 Qxd5

 この手はd列からの侵入を目指している。

31.Nb2

 31.Nc7 Qd1+ 32.Qxd1 Rxd1+ 33.Bf1 Nf3+ 34.Kg2 Ne1+ 35.Kg1 Kf7 36.Nb5 Nf3+ 37.Kg2 Rd7 38.Bc4+ Kf6 39.Nac3 Ke5

ならまだ戦いが続いた。

 本譜は白の負けが決まった。

31…Qd2 32.Qc7

 32.Qxd2 Rxd2 33.Na4 Ra2 はaポーンが落ちる。そして 34.Nc7 Rxa3 35.Nb2 Ra2 36.Nb5 Rxb2 37.Nxa7 Rxb4

はもちろん黒が勝勢である。

32…Ng4 0-1

 f2の地点を守るとb2のナイトが取られるので白は投了した。

******************************

(この号続く)

2013年03月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(130)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 もっと冒険的な手順なら 11…e5! 12.Bxh7+(12.Qg3 Rxf3!)12…Kxh7 13.Qh5+ Kg8 14.Bxf6 gxf6 15.dxe5 Qf8! がある。

12.Bxe7

 ここで白は黒の選択肢を狭めるために交換した。12…Qxe7 には 13.Ng5 がある。代わりに 12.Qh4 は 12…h6 13.Bxe7 Qxe7! 14.Qg3(14.Qxe7 Rxe7 15.O-O Bd7 16.dxc5 Rc8 =)14…c4 15.Bg6 Rf6 16.O-O Bd7 17.Rfe1 Be8 18.Bxe8 Rxe8 となって、12…Rxe7 からの同様の手順よりも黒駒が好ましい位置にいる。

12…Rxe7 13.Qh4 g6

 13…h6 なら 14.O-O c4 15.Bg6 Bd7 16.Rfe1 Be8 17.Bxe8 Qxe8 となって、e6の地点に対する圧力と黒の少しもつれた駒のために白がわずかに優勢である。

14.O-O c4 15.Be2 Bd7 16.Rfe1 Qf8 17.Bd1!

 この手で初めて先例と離れた。17.Bf1 に対する改良点は一時的にc2の地点を守っていることと、あとで Bg4 を予定していることである。

17…Rae8

 ここで最も簡明な手は 17…Kg7 で、そのあと …Qf6 から …Rf8 と指す。

18.Ne5 Nxe5 19.Rxe5 Ba4?!

 白の手番 

(この章続く)

2013年03月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

ブレイディー氏は語る

朝日新聞2013年3月11日付け
「チェス界のモーツァルト」伝記に 栄光と悲劇の軌跡

2013年03月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 我楽多

フランス防御の完全理解(129)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 10…Nb6 11.a4(11.Rg1 Nc4! 12.g4 Qa5!)11…c4 12.Be2 a5 13.Rg1! Qe8 14.g4 白の攻撃が強力である(サクス対ドルマトフ、クレルモン=フェラン、1989年)。

8…Nbc6

 8…f5!? は 9.exf6e.p. Rxf6 10.Bg5 Qa5(10…Nd7! の方が本手である)11.Bxf6 Qxc3+ 12.Ke2! で大乱戦になる。ここでまだ指されていないが一時的なルーク捨てを推奨する。12…Qxc2+!? 13.Nd2 Ng6 14.Be5(14.h4 h5!)14…c4 15.Ke1 Nxe5 16.dxe5 c3 17.Qd1 cxd2+ 18.Qxd2 Qe4+ 19.Qe3! Qa4 黒は交換損の代償がある。

9.Bd3 f5

 白がギリシャの贈り物の 10.Bxh7+ Kxh7 11.Qh5+ Kg8 12.Ng5 を狙っているので黒はこの手を指さなければならない。ここで白が上記の変化dのように 10.Qh3 で閉鎖状態を保とうとすれば、黒の最善の応手はたぶん 10…Qb6 による中央での反撃である。

10.exf6e.p. Rxf6 11.Bg5 Rf7

 白の手番 

(この章続く)

2013年03月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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布局の探究(39)

「Chess Life」1992年2月号(2/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

遅かれ早かれ – 1.d4 か 1.g3 か?(続き)

 Ⅰ 1.d4(続き)

キング翼インディアン防御 [E90]
白 D.ピサ
黒 GMアレクサンドル・ボイトキーウィッツ
バレンシア、1990年

1.d4 Nf6 2.c4 c5 3.d5 d6 4.Nc3 g6 5.e4 Bg7 6.Nf3

 白はこの戦法に特有なように中央でもう優位に立っている。次の手で黒のクイーン翼ビショップの展開を妨げる。

6…O-O 7.h3 e6 8.Bd3 Re8 9.O-O Na6 10.Bg5!? h6 11.Be3 Nc7 12.Qd2 Kh7?

 黒は不注意だった。12…exd5 13.exd5 と交換しておいてから 13…Kh7 と指さなければいけなかった。ここから白の強力な中原が真価を発揮することになる。

13.e5! dxe5 14.d6 Na6 15.Nxe5 Rf8 16.Nxf7! Rxf7 17.Bxg6+!!

 戦略の積み重ねが痛烈な戦術に結実した。それでもこれらの戦術が白キングの完全な安全と盤上すべてにおける完璧な駒の展開とから成り立っていることには注意を要する。このビショップには毒が含まれている。というのは 17…Kxg6?! と取ると 18.Qc2+! Kh5 19.f3! から 20.g4+ により黒キングが詰み筋に入るからである。

17…Kg8 18.Bxf7+ Kxf7 19.Bxh6

 白は2駒の代わりにルークと3ポーンを得て黒キングも裸同然にし、戦力的にも陣形的にもかなりの優位を得ている。ピサによると黒の最善の受けは 19…Bxh6 20.Qxh6 Qxd6 21.Rad1(21.Ne4!?)21…Qe5 22.Rfe1 Qh5 だった。もっとも 23.Qf4 で白の優勢は明らかである。

19…Bd7?! 20.Bxg7 Kxg7 21.Rae1 Qh8 22.Ne4! Qh4 23.Nxf6 Qxf6 24.Re3 Bc6 25.Qe2! Kf7 26.Qh5+ Kf8 27.Rfe1 黒投了

 黒は 27…Re8 28.Rg3 のあと 29.Rg6 からまもなく終わりが来るのを待たなかった。

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2013年03月13日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(128)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

第19局
タリ対ショート
スボティツァ・インターゾーナル、1987年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 c5 5.a3 Bxc3+

 5…Ba5 は白が有用な手を指せる。6.Qg4 Ne7 7.dxc5 Bxc3+ 8.bxc3 O-O(プサーヒスによると 8…Nd7 9.Nf3 Qc7! の方が良い)9.Nf3 Nd7 10.Bd3 f5 11.exf6e.p. Nxf6 12.Qh4 Nc6 13.c4! +/= ラウ対ルプーティアン、アルテンシュタイク、1989年

6.bxc3 Ne7 7.Qg4 O-O

 7…Kf8 は最近指されるようになった手で …h6(白の Ng5 の捌きもなくしている)、…Kg8 から …Kh7 で手動でキャッスリングするつもりである。黒はキャッスリングして多くの手を節約できるのでこの手はちょっとおかしく思える。しかし以下の手順から分かるように黒のキャッスリングしたキングは非常に攻撃にさらされやすい。だから黒はキング翼で反撃を策するよりも閉鎖的にしておく。そしてc列に活動の場を求め、重要な狙い筋は …b6 から …Ba6 で白のビショップと交換することである。

 …c5xd4 と交換するのは非常に重要な結果を伴う。白のa3のビショップがe7のナイトを釘付けにして殺し屋になれるか、黒がc列で活動できるようになれるかである。また黒は自分のルークがまだ連結されていないときに …c5xd4、c3xd4 のあと白が c2-c4! 突きで局面を開放できないように気をつけなければならない。b列は白が d4xc5 のあと占拠することができれば黒の危険の源にもなる。

 黒は通常は …Qa5 と出てc3の地点を攻撃し、Bd2 を誘ってこのビショップがa3の地点に来ないようになることを期待する。黒はさらに …Qa4 でc2の地点を攻撃し白のaポーンを止めることにより a4 突きと Ba3 出を防ごうとする。しかし白は黒が …Qa4 と指す暇がある前に a4 と突いてこれをやらせないかもしれない。

 要するに 7…Kf8 の欠点は白がすぐにキング翼で猛攻を仕掛ける(7…O-O の場合のように)ことではなくて、駒をどのように連係させるのかという問題である。h8のルークを試合に参加させるのには長い時間がかかる。その間に白は黒が開放したクイーン翼で突破を図ってくるかもしれない。

 1995年トゥールーズでのビデーキ対バレーユ戦では白が連係の良さを効果的に生かした。まずキング翼での圧力から開始しそれから敏捷にクイーン翼に動いた。7…Kf8 8.h4 Qa5 9.Bd2 Qa4 10.Rh3! Nbc6 11.h5 h6 12.Qf4 cxd4 13.Rf3 Nd8 14.cxd4 b6 15.Bb4 a5 16.Bxe7+ Kxe7 17.Ne2 Ba6 18.Nc3 Qc6 19.Bxa6 Rxa6 20.a4 Ra8 21.Nb5! 白が優勢である。

 人気は劣るが 7…Nf5 もあり1983年ソ連選手権戦のタリ対ペトロシアン戦では 8.Bd3 h5 9.Qf4(または g4 と突く目的で 9.Qh3)9…Qh4 10.Ne2 Qxf4 11.Nxf4 Ne7 12.Be2 h4 13.Nh5! +/- と進んだ。7…Qc7 または 7…cxd4 で 8.Qxg7 と取らせるのは次章を参照されたい。

8.Nf3

 8.Bd3 の方が正確である。

 a)8…c4?! 9.Bh6 Ng6 10.Bxg6 fxg6 11.Be3 のあと h4 から h5 と突いていく。黒の最善の防御策は …Rf5 である。

 b)8…Nbc6 9.Qh5!(9.Bg5 Qa5 10.Ne2 Ng6! ∞)9…Ng6(黒は細心の注意を払わなければならない。9…Nf5 は 10.Nf3 c4 11.g4! cxd3 12.gxf5 f6 13.Rg1、9…h6 は 10.Bxh6! で共に壊滅する)10.Nf3 Qc7!(11.Ng5 h6 12.Nxf7 Qxf7 = の意図)11.Be3 c4 12.Bxg6 fxg6 13.Qg4 上記のa)とほとんど同じ指し方である。黒は …Qc7 を得していて、白はもうナイトをe2に展開できない。

 c)8…f5 9.exf6e.p. Rxf6 10.Qh5(10.Bg5 Rf7 11.Nf3 Nbc6 は主手順に戻る)10…h6(10…g6 11.Qd1! は本譜と似ているがクイーンはd1にいる方が良い)ここで 11.g4 なら 11…Nbc6 12.g5 g6! で黒が良い。

 d)8…Nd7?! 9.Nf3 f5 10.Qh3! はd7のナイトの位置が良くない。

 黒の手番 

(この章続く)

2013年03月13日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(127)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

20…d4?

 両選手の前局(ロンドン、ロイズ銀行、1987年)では 20…Be8 21.Bc1?! Nd6 22.Qh3 Nef5 23.g4 Ne4! と進んだが、実際は 21.cxd5 exd5 22.c4! で双ビショップのために局面を開放する方が良かった。

21.Qe4! Be8

 この手は 22.Qh7+? に 22…Kf8 23.Qh8+ Ng8 24.Bh7 Bf7 で白クイーンをかなり困らせる意図である。代わりに 21…Rf5 なら 22.Nxd7 Qxd7 23.Qxe6+ Qxe6 24.Rxe6 Rf7 25.Be4 Rb8 26.Rb1 Nf5 27.Bxc5 で白の勝ちになる。

22.Bxc5! Qxc5 23.Qxb7 Rc8 24.Rxa7

 白は犠牲にしたポーンを取り戻しただけでなくさらにポーンを取り、7段目をしっかり支配した。もう終わったも同然である。

24…Kf8 25.Rea1 Bc6 26.Nxc6 Rxc6 27.R1a5 Qd6 28.c5! Rxc5 29.R5a6!

 この手は 29.Rxc5 Qxc5 30.Ra8+ Kf7 31.Qb8 e5 32.Qf8+ Ke6 33.Qxg7 と指すよりもずっと良い。

29…Qd8 30.Ra8 Nc8 31.R6a7 1-0

(この章続く)

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ポルガーの定跡指南(68)

「Chess Life」2005年1月号(3/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

シチリア防御反スベシュニコフ戦法[B30](続き)

戦型A)1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Nc3 e5 4.Bc4 Be7 5.d3 d6 6.O-O Nf6 7.Ng5 O-O 8.f4 exf4 9.Bxf4 h6 10.Nf3 Be6 11.Nd5 Bxd5 12.exd5 Na5 13.Nh4

 このナイトの捌きが白の構想の核心である。白は全力でキング翼を攻撃する。

A1)13…b5(14.Bxb5 Nxd5 の意図)14.Nf5! もうあとには戻れない!

 14…bxc4 15.Bxh6! 2回目のビショップ捨て! 15…gxh6 16.Nxh6+ Kh7 17.Nf5 cxd3 18.Qxd3 Kh8 19.Rae1 Qb6 20.Qh3+ Nh7 21.Rxe7 c4+ 22.Kh1 Qxb2 23.Re4 Rg8

24.Qh7+! 会心の決め手(ストフスキー対スミリン、イスラエル選手権戦、2002年)。24…Kxh7 25.Rh4+ Kg6 26.Rh6+ Kg5 27.h4+ Kg4 28.Ne3+ Kg3 29.Rf3# で即詰みなので黒は投了した。15…Ne8 と受ける方が良かった。

A2)13…Nxc4 14.dxc4 Nxd5(14…Qd7?! なら 15.Bd2 でビショップを移動するのが強手になる。例えば 15…Ne4 16.Nf5 Nxd2? 17.Qg4 でg7で詰みになるか 18.Nxh6+ で黒クイーンが取られる。または 15…Nxd5 16.Nf5 Nf6 17.Qe1 のあと 18.Qg3 で攻撃が強烈になる。15…Qg4 16.Nf5 Rfe8 17.Rf3 Kh7 18.Qf1 でも白の危険な攻撃が続く(コバレフ対スベシュニコフ、ロビ、1999年)。

 欲張りな 14…g5? は 15.Nf5 gxf4 16.Rxf4 Re8 17.Nxh6+ Kf8 18.Qh5! できれいに咎められる)

 15.Qxd5 Bxh4 16.Rad1! 争点を維持するのが大切である。16.Bxd6 は 16…Be7 で互角になる 16…b6 17.Bxd6(17.Qh5 Bf6 18.Bxd6 なら黒は 18…Bd4+ 19.Rxd4 cxd4 20.Bxf8 Qxf8 21.Qd5 Rd8 22.Rxf7 Rxd5 23.Rxf8+ Kxf8 24.cxd5 でポーン収局に持ち込んで 24…Ke7 でしのぐことができる)17…Be7 18.Bf4 Bf6 19.c3 Qxd5 20.cxd5 収局で白が少し優勢である(クラムニク対レーコー、リナレス、2003年)。

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2013年03月11日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フランス防御の完全理解(126)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 12…c4 と準備すればクイーン翼にキャッスリングするのも問題外というわけではない。

13.Ba3

 このビショップは実際はキング翼の方が働くことになるかもしれない。例えば1988年アムステルダムでのナン対ニコリッチ戦では 13.Bf4 Ng6!(1991年アムステルダムでのティマン対リュボエビッチ戦では 13…f5 14.exf6e.p. Qxf4 15.fxe7 Nxe7 16.Bb5 となって白が少し良かった)14.Bg3 cxd4 15.Nxd4(15.cxd4 Nb4!)15…Na5 16.Re3 Nc4 ∞ と進んだ。

13…Na5 14.Nd2!

 この手順には意味がある。14.dxc5 bxc5 15.Nd2 では黒に選択肢が増え 15…Ng6 16.Qh5 Be8 17.Qe2(ハートストン対ポルティッシュ、ニースオリンピアード、1974年)17…f6 18.exf6 Rxf6 19.Nf3 Rc8 で互角になる。

 本譜の手に対して 14…Ng6 なら 15.Qg4! が強手になる。

14…Bxa4

 14…f6?! 15.exf6 Rxf6 なら白にはもう心配の種のeポーンがなくなり、1978年オシジェクでのグリゴリッチ対マロビッチ戦でのように 16.dxc5 bxc5 17.c4! で白が安心して開戦できる。

15.dxc5 bxc5 16.Qg4 Bd7 17.Nf3 f5?!

 この手は時期尚早である。ヘルトネックはチャンドラー戦(ブンデスリーガ、1994年)で 17…Rab8 18.Bc1 Kh8 でポーンにしがみつきとおすことができた。しかしチャンドラーの 19.Qh4 Ng8 20.Ng5 の代わりに 19.Qh3 Ng8 20.g4!? で攻撃を続ける方が良かった。

18.exf6e.p. Rxf6 19.Ne5 Nb7 20.c4

 黒の手番 

(この章続く)

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フランス防御の完全理解(125)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

第18局
ハーリー対ホワイトリー
ロンドンリーグ、1994年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 c5 5.a3 Bxc3+ 6.bxc3 Qc7

 6…Ne7 7.Nf3 b6 は本局に関連していて、…Qc7 が戦略の本質的な一部とはほど遠いので大流行している。白には大きく三通りの対処法がある。

 a)8.Bb5+ Bd7 9.Bd3 c4(9…Nbc6 は本局と類似しているが白が a4 突きをまったく省くことができる)10.Bf1 Ba4 11.g3 Nbc6 12.h4 h6 13.Bh3(h5の地点を駒のためにとっておくところが面白い)13…Kd7 14.Nh2 Qg8 15.Nf1 Kc7 16.Ne3 +/= チャンドラー対ハーリー、ロンドン、1991年

 b)8.Ng5 h6 9.Qh5 g6 10.Qh3 Qc7 11.a4 Kf8 12.Kd1(A.ソコロフ対ユスーポフ、挑戦者決定リガ大会(第13局)、1986年)そしてここで 12…Ba6! =/+

 c)8.a4 Ba6 9.Bxa6(9.Bb5+ Bxb5 10.axb5 h6 11.O-O O-O 12.Qe2 Nd7 13.Ba3 a6 14.bxa6 Qc8 は互角、アピセラ対ヘルトネック、ユゼス、1990年)9…Nxa6 10.O-O Nb8 11.dxc5 bxc5 12.c4 O-O 13.cxd5 Nxd5 14.Qd3 h6 15.c4 Ne7! 16.Qe4 Nd7 17.Rb1? Qa5 18.Rd1 Rad8 19.Qc2 Nxe5! これは1986年挑戦者決定リガ大会(第3局)A.ソコロフ対ユスーポフ戦で、急所のポーンが落ちた。例えば 20.Nxe5 Qc3! で最下段の弱さがたたる。

 ヘルトネックはその後はるかに洗練された 6…Ne7 7.Nf3 h6!? ですべての最善を目指す手順を案出した。このあと 8.a4 b6 9.Bb5+(9.a5!? Bb7 10.Bb5+ Nd7 = アーナンド対ヘルトネック、ミュンヘン、1991年)9…Bd7 10.Bd3 Nbc6 で白は a4 突きを決めてしまったが黒は …Qc7 と指す必要がなかった。たぶん 8.dxc5!? はやってみる価値があるだろう。

7.Nf3

 6…Qc7 の長所は 7.Qg4 f5(7…f6 8.Bb5+! Kf8 9.a4!? は大混戦)8.Qg3 cxd4 9.cxd4 Ne7 10.Bd2 O-O 11.Bd3 b6 12.Ne2 Ba6 13.Nf4 Qd7 = で明らかになる。

7…Ne7 8.a4 b6 9.Bb5+ Bd7 10.Bd3

 10.O-O Bxb5 11.axb5 のあとよく推奨される 11…a5 は 12.dxc5! bxc5 13.c4 dxc4 14.Nd2 c3 14.Ne4!(コルチノイ)で疑問のようである。

10…Nbc6 11.O-O h6

 11…O-O? はギリシャの贈り物の 12.Bxh7+! Kxh7 13.Ng5+ を食らって負ける。

12.Re1

 12.Ba3 Na5 13.Nd2 O-O 14.dxc5 bxc5 15.Nb3 Nxb3 16.cxb3 には白が b4 でさらに膨張するのを止める 16…a5! = が必須である。

12…O-O

 白の手番 

(この章続く)

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英仏の「謝罪しない外交」

産経新聞電子版2013年3月9日付け
英仏の「謝罪しない外交」

フランス防御の完全理解(124)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 この手には大きな罠が仕掛けられていた。黒は 39…Qe5 40.Qxd5(40.Bxd5? Qe1+ 41.Kh2 Qxf2+ 42.Bg2 Rxh3#)40…Qxd5 41.Bxd5 d3 からdポーンを突き進めればまだ勝っていた。

39…Qe1+? 40.Kh2 Qxf2??

 40…Qe5 ならまだ勝負だったが 41.Bxd5 でわけの分からない戦いになる。

41.Rxa6+! bxa6 42.Qxd5+ Kb8 43.Qd6+ 1-0

 どちらかの選手が本当に指し手の筋道を理解していたのだろうか。白はクイーン翼で攻撃するだけでは十分であるはずがなかった。例えば推奨した 16.Nh4 のように中央およびキング翼での作戦行動と釣り合いを保つ必要があった。

(この章続く)

2013年03月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(308)

「Chess」2013年2月号(3/3)

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ロンドン・クラシック(続き)

H.ナカムラ
L.マクシェーン
第9回戦

 黒のe5のナイトはトロイの木馬である。しかし白が Qd2 でd列に圧力をかける構えなので、黒に交換損を上回るものがあるかどうかはなんとも言えない。

30…c5 31.Rd6 a4

 31…Bc6 がd5の地点を抑える好例だったかもしれない。32.Qf2 なら 32…c4 33.Qd4 h4 で、白が両翼を簡単には支配し続けられないことが分かる。

32.R1d5

 この手は積極防御で、狙いも含んでいたが・・・

32…Kg7??

 黒は気がつかなかった。この時点までには 32…Bc6 が必須になっていた。そして 33.Rxe5!?(33.Rd1 axb3 34.axb3 Ra8 は黒がもっと指しやすそうだが、もちろん白はしのぐことができるはずである)33…Qxe5 34.Qxf7+ Qg7 となれば万事を掌握していただろう。

33.Qxe5+! 1-0

 あらま。33…Qxe5 34.Rxe5 Rxe5 35.Rxd7 で黒の単純な駒損である。

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(123)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

27.Bh3?

 白は …Nb5 を封じなければならない。だから 27.Rab1 Nb5?(27…Rh7)28.R1xb5 axb5 29.a6 か 27.Nd2 Nb5?(27…Rd8 28.Bf4 e5!?)28.Nxc4 dxc4 29.Rxb5 axb5 30.a6 と指さなければいけなかった。

27…Nb5 28.Bf4 Nxc3 29.Bf1 Ne4 30.Qa3 Ng5! 31.Nxg5 hxg5 32.Bd6 e5

 どうして 32…Nxd4 と指さなかったのだろうか[訳注 33.Rab1 Nc6 34.Rxc6 Qxc6 35.Rb6 Qd7 36.Rb4 で 37.Rxa6+ bxa6 38.Qb8# の狙いで白の勝勢になるようです]。

33.Rab1 Re6 34.Bc5 Nxd4 35.Bxd4 exd4 36.Qc5 Qh7 37.h3 Rxb6 38.Rxb6 Qe4 39.Bg2!

 黒の手番 

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

フランス防御の完全理解(122)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

20…f5

 黒は代わりに 20…Na5 21.Qa2 Nec6 22.Ba3 と指すこともできた。この局面は白が a4-a5-a6 または Nf3-d2xc4 で仕掛けることができず、…f6 の突っ掛けの可能性をいつも心配しなければならないことになる。狙いはその実行よりも強力となることがよくある。20…f5 21.exf6e.p. gxf6 のあと白は …e5 突きを心配しなければならないが、クイーン翼での圧力を保ったままd5ポーンへの圧力でこれを封じ込め、Bf4 でf4-b8の斜筋を利用し、e6の弱点につけ込むことさえできる。クリスチャンセンは 20…f5 を批判して白はキング翼を閉鎖的にすることに満足して exf6e.p. と取らないことを主張したが、黒がキング翼で仕掛けてくれば白はc1の地点をとおしてしかすべての駒を捌くことができないことに注意すべきである。例えば 21.Qc5 g5 22.h4 g4 23.Nd2 Ng6! から …f4 を狙われる[訳注 24.Nxc4 が成立して白の優勢です]。

21.exf6e.p. gxf6 22.a5!

 これはb5の地点を明け渡す危険な手だが、22.Qc5 は 22…Na5 と反発される。

22…a6?!

 黒はb6の地点を犠牲にb5の地点を手に入れた。これは戦術的に時期尚早のはずだった。黒はすぐに 22…e5 と突くのも誤りで、23.dxe5 fxe5 24.Qc5 から Be3 のあとc4、d5それにe5の地点およびクイーン翼を守ることができなくなる。それよりも単に手待ちするか 22…h5 のような手でキング翼でゆっくりやっていく方が良かった。

23.Rb6 Na7 24.Qc5 Nec6

 24…Nb5 は 25.Nd2(25.Bf4!?)25…Nec6(25…Nxc3 は 26.Nxc4! dxc4 27.Rxa6+ で攻撃が調子づく)26.Nxc4! dxc4 27.Bxc6 bxc6 28.Qxc6+ Ka7 29.Bf4 e5 30.dxe5 fxe5(30…Qd7 31.Rxa6+!)31.Be3 で白の勝勢になる。

25.Bf4 Qe7 26.Bd6 Qd7

 白の手番 

(この章続く)

2013年03月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フランス防御の完全理解

布局の探究(38)

「Chess Life」1992年2月号(1/6)

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布局の探究

GMエドマー・メドニス

遅かれ早かれ – 1.d4 か 1.g3 か?

 白で開放的な局面、活動的な展開、そして速攻の可能性が好きなら、初手の選択肢は明らかである。すなわち 1.e4 がそれである。しかし1990年代における選択肢は、より閉鎖的なシステム、戦力のもっとゆっくりした活動化、自分のキングの安全性の向上、それにもっと長期的な戦略の目的に基づいた指し方の方が好きな者にはかなり難しくなっている。

 1世紀前はもっと楽だった。つまり 1.d4 が唯一の正しい手だとみなされていた。1920年代の超現代派は 1.c4 と 1.Nf3 の優秀さの議論に勝った。この30年間で 1.g3 もまた完全に申し分のない布局の手としての評価を勝ち得た。だから閉鎖システムの常用布局として今では「完璧」な初手として選べる手が四つある。それらは 1.d4、1.c4、1.Nf3 および 1.g3 である。どれを選ぶべきだろうか。

 活動の早さの観点からは 1.d4 が最初に来て、次に 1.c4 と 1.Nf3、そして最後に 1.g3 が来る。読者が閉鎖的システムの現代定跡をよりよく洞察できるように、この一群の中で両端に位置する 1.d4 と 1.g3 をもっとよく考察してみよう。

 Ⅰ 1.d4

 主な特徴
 白は中原で素早く活動することを目指す。特にクイーン翼で主導権を握ることに重点をおく。

 長所
 a)白は重要なd4の地点を支配し、e5とc5の地点に圧力をかける。これらのどの地点も中央の要所である。
 b)クイーン翼ビショップとクイーンの展開のために筋が開く。
 c)次の数手で駒とポーンの適正な配置が明確に示しやすい。

 短所
 黒はただちにd4の地点が中央の目標であると告げられる。ここが互角の形勢にするために黒の克服または消去しなければならない個所である。だから黒は …c7-c5 または …e7-e5 とポーンを突くことが互角にするための主要な道具であると分かる。

  申し分のない黒の応手
 1)どんな状況でも 1…d5 または 1…Nf6
 2)以下は特別な条件で
 a)1…e6 は黒がフランス防御になってもよい場合(2.e4 d5)
 b)1…c6 は黒がカロカン防御になってもよい場合(2.e4 d5)
 c)1…g6 は黒が現代防御になってもよい場合(2.e4 Bg7)

 初手に 1.d4 を指す得失を説明するためにキング翼インディアン防御を2局分析することにする。この戦法では白の中原の優位と黒の反撃の可能性という二つの際立つ特徴がはっきり現れる。

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2013年03月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 布局の探究1

フランス防御の完全理解(121)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)白の手番 

 1局目は 15.f4 f5 16.exf6e.p. gxf6 17.f5! と進んだが、2局目ではプラニンツはもっとゆっくりした作戦をとって Qd1-e1、a3-a4、Bd2-c1-a3、Nh3-f2-d1-e3 から f2-f4-f5 と指し進めた。そしてキング翼とクイーン翼の戦いをからめて両局とも勝った。

10.O-O Qc7

 この退却は面白い。d2のビショップはほとんど確実にある時点でc1に下がってからa3に出たいので、黒は明らかに手損になるにもかかわらず不満がない。

 10…f6 は 11.c4 Qc7 12.cxd5 Nxd5 13.c4 Nde7 14.exf6 gxf6 15.Bc3 O-O-O で非常に捌けた局面になる。このような局面では a4 と突く手がいかに無関係になるかということに注意が必要である。1979年ソ連でのマカリチェフ対ルプティアン戦では次のようにこの違いが決定的だった。16.d5 exd5 17.cxd5 Be6 18.Bxf6 Rhg8 19.dxc6! Rxd1 20.cxb7+ Kb8 21.Rfxd1 Ng6 22.Rab1 a6 23.Bd3 Bd5 24.Bxg6 Bxf3 25.Re1 1-0

11.Re1 c4 12.Bf1

 プラニンツの作戦をなぞって 12.Ng5 と指すと、黒は 12…h6 13.Nh3 O-O!? 14.Nf4 f6 15.exf6 Rxf6 16.Nh5 Rf7 でf2の地点に圧力をかけることができる。

12…h6 13.g3 O-O-O 14.Bh3 Kb8 15.a4 Qa5

 これは驚嘆の手かそれともばかげた手か?黒は先を急がずに、白の Bc1 を止めるためにクイーンをa5に戻すことにした(たった数手で!)。

16.Qc1

 白は駒をクイーン翼に移動させ始めた。恐らくプラニンツの実戦例にならって、まず 16.Nh4 でキング翼にもっと圧力をかけるようにした方が良かっただろう。白はそのあと f4 から Rf1(黒の手順のせいで白は心理的にこの作戦をとるのが難しかった)または Ng2 から Ne3 と指すことができる。

16…Ka8 17.Qa3 Rde8 18.Reb1 Qd8 19.Bc1

 19.a5 ならここでは 19…a6! が好手になる。

19…Bc8 20.Bg2

 黒の手番 

(この章続く)

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「中国刺激するな」 野田政権

産経新聞電子版2013年3月5日付
「中国刺激するな」 野田政権

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フランス防御の完全理解(120)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例(続き)

(再掲)黒の手番 

 これは重要な狙い筋である。22…axb6 23.axb6+ Kb8 24.Qc1 のあと黒はa列での詰みを止めることができない。イワンチュクは 22…Qe7 23.exf6 Qxf6 24.Ne5 Rg7 が明らかに白の優勢と読んで、次のように交換損で白の攻撃を鎮めようとした。22…Rc7 23.Ne1 fxe5 24.dxe5 Bd7 25.Qc5! Re7 26.a6!(怒涛の進撃)26…bxa6 27.Rxa6 Be8 28.Bxc7 Rxc7 そしてチャンドラーが勝ちきった

8…Qa5

 8…Qc7 9.O-O(9.a4 cxd4 10.cxd4 Nb4! ∞)9…Bd7 10.a4 は実戦と似たような局面になるが、重要な違いは白が迅速に Ba3 と指せることである。

9.Bd2

 この手に代わる有力な手は普通は Qd2 だが、ここでは白がまだ a4 と突いていないので(あとで Ba3 と指す準備)、それほど意味がない。実際黒はすぐにこのことを利用して 9.Qd2 に 9…b6! からすぐに …Ba6 と応じることができる。もし白が 8.a4 Qa5 9.Qd2 と指していたら 9…b6 には1978年ソ連でのシーシキン対ジルベル戦でのように 10.Bb5 Ba6(10…Bd7 11.Ba3! Nxe5? 12.Bb4! はクイーンが取られる)11.Rb1 O-O 12.O-O cxd4 13.Qd3! Bxb5 14.axb5 +/- と応じることができる。

 注意しておくと 9.O-O も可能である。というのは 9…Qxc3?? は 10.Bd2 Qb2 11.Rb1 Qxa3 12.Rb3 Qa2 13.Qc1 Qa4 14.Bb5 Qa2 15.Ra3 で黒クイーンが取られるからである。7…Qa5 の方が 7…Nbc6 よりもたぶん少し正確なようである。なぜなら 7.Nf3 Qa5 のあと 8.Be2?! は 8…cxd4 のために賢明でなく、8.Qd2 は黒に理にかなった 8…b6 があるからである(この手は黒がまだ …Nbc6 と指していなければはるかに良い)。

9…Bd7

 現代の面白いギャンビット戦型は 9…cxd4 10.cxd4 Qa4 11.Rb1!(11.Bc3 b6 12.Qd3 a5! =)11…Nxd4 12.Bd3 から生じる。この戦型の評価により白が早く a4 と突く必要があるかないかが決まることになる。現在の最善の手順は 12…Ndc6! 13.Rb3! Nf5(13…O-O 14.Bxh7+!)14.O-O(ドルマトフ対オル、ソ連選手権戦、1989年)14.a6!? である。

 プラニンツは1974年に 9…c4 10.Ng5! h6 11.Nh3 Ng6(Nh3-f4-h5 と指させないため)12.O-O Bd7 13.Bh5 Nce7 14.a4 O-O-O の局面から2回ティマンに勝った。

 白の手番 

(この章続く)

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カテゴリ: フランス防御の完全理解

反日プロパガンダを侮るな

産経新聞電子版2013年3月4日付
反日プロパガンダを侮るな

2013年03月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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ポルガーの定跡指南(67)

「Chess Life」2005年1月号(2/4)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

シチリア防御反スベシュニコフ戦法[B30](続き)

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Nc3 e5

 黒はこの手で中央のポーン陣形を決定した。d4の地点はしっかり支配したが、明らかに白枡が弱体化しd5の地点が空所と化した。

 今月の主題はこの局面から始まる。

4.Bc4

 これが最も理にかなった応手で、弱体化した白枡の支配をさらに強めている。

4…Be7

 黒は奇妙に映る 4…d6 5.d3 h6 6.O-O g5 も数局試してきた。私はこの局面ははっきり白の方を持ちたい。次の試合は白の好局である。7.Nd5 Bg7 8.c3 Nge7 9.Ne1 Nxd5 10.Bxd5 O-O 11.Qh5 Be6 12.h4 gxh4 13.Bxh6 Bxh6 14.Qxh6(リュボエビッチ対キリル・ゲオルギエフ、ベイクアーンゼー、1988年)

5.d3 d6 6.O-O Nf6 7.Ng5

 この早い攻撃は異例に思われる。しかし主たる狙いは単に f2-f4 と突くことである。

7…O-O 8.f4

 このような局面でf7のポーンを取るのは(ビショップとナイトを切ってルークとポーンを取る)、ほとんどの場合黒が有利である。

8…exf4 9.Bxf4 h6

 ナイトを追い払う。

10.Nf3

10…Be6

 これはf7のポーンを(f1のルークと共に)にらんでいる白のc4のビショップの威力を削ぐための最も理にかなった手である。黒はいくつかの試合で 10…Bg4 を試したがあまりうまくいかなかった。11.Qd2 Kh7 12.Rae1 Nd7 13.Nd5 Nde5 14.Nxe5 Nxe5 15.Bxe5 dxe5 16.Ne3 Be6 17.Bxe6 fxe6 18.Rxf8 Bxf8 19.Kh1 Be7 20.Nc4 は白がはっきり優勢だった(マカーリチェフ対ビアンス、カペルラグランド、1993年)。

11.Nd5

 11.Bxe6 fxe6 は黒の布局の課題がすべて解決される。11.Qd2 は 11…d5 で黒が好調になる。

11…Bxd5

 これが最も普通の応手だが他の手も指されている。11…Na5 も面白そうである。

12.exd5

 最近まで 12.Bxd5 がここでの主手順だった。そのあと黒は 12…Nxd5 13.exd5 Ne5 14.Qd2 Ng6 15.Bg3 Bf6 16.Rae1 Qd7 17.c4 b5 で互角にできる。

 この局面で黒は 12…Na5 か 12…Nb4 を選べる。

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カテゴリ: ポルガーの定跡指南

フランス防御の完全理解(119)

第5章 ビナベル中原(続き)

実戦例

第17局
ド・ファーミアン対チェルニン
チュニス・インターゾーナル、1985年
ビナベル戦法

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 Ne7 5.a3 Bxc3+ 6.bxc3 c5 7.Nf3

 すぐに 7.h4 と突くのも黒にとってかなり危険になることがある。黒には選択肢が二つある。

 a)7…Qc7 8.h5 h6 9.Rh3(9.Nf3 は次局に似た戦型に転移し、そのうちのいくつかではh5のポーンが負担になることがある)9…Nbc6 10.a4(10.Qg4 Nf5 11.Bd3? cxd4! 12.Bxf5 Qxe5+ -/+)10…Bd7 11.Ba3 b6 12.Bb5 O-O! 13.f4! f6 14.Nf3 Rae8 ∞ シュタインバッハー対ハーリー、ロンドン、ロイズ銀行、1992年

 b)7…Qa5 8.Bd2 cxd4 9.cxd4 Qa4 10.h5! Nbc6 11.Bc3(11.Nf3 Nxd4 12.Bd3 は難解なギャビット路線である)11…b6 12.h6 gxh6 13.Qd3 a5 14.Qd2 Nf5 = ショート対コルチノイ、ベイクアーンゼー、1987年

7…Nbc6

 奇妙なことにこの戦型の初期の頃には白は黒枡ビショップがa3に地点に必ず行くものとの考えから喜んで 7.a4 と指していた。のちに白はこのビショップが時々キング翼で役に立つことがありキング翼を迅速に展開した方が良いかもしれないと気づいた。それで黒は 7…Bd7 で …Ba4 によるせき止めを狙うことにより白に a4 と突かせようとし始めた。白は 7…Bd7 に 8.a4 と応じるのが一般的だが、他の手も試みてきた。

 a)8.dxc5 Ng6 9.Bd3 Nc6 10.O-O Ncxe5 11.Nxe5 Nxe5 12.Bf4 Qf6 13.Qd2 Nxd3 = チャンドラー対ベリヤフスキー、ロンドン、1985年

 b)8.Bd3 Ba4 9.h4 Qc7 10.h5 h6 11.dxc5!? Nd7 12.Rh4 Qa5 13.Be3 Rc8 14.Rb1 Bc6 +/= ショート対イワンチュク、ホルゲン、1995年

8.Be2

 ド・ファーミアンは …Qa5 に Qd2 でなく Bd2 と応じることにしていたので、急いで a4 と突く理由はさらさらなかった。この手は戦型によっては単なる無駄手となることがある。8.a4 Qa5 のあと

 a)9.Qd2 ははやらなくなったようである。白は早くから分析された収局で有利になる望みがあまり見いだせなかった。その収局とは 9…Bd7 10.Be2 Rc8(黒はここで …f6 から …O-O-O と指すこともできるが、Bd2 の時よりも白駒が好所に配置されている)11.Ba3(11.dxc5 Ng6 12.O-O Ncxe5 13.Nd4 a6! =/+ J.ワトソン)11…cxd4 12.cxd4 Qxd2+ 13.Kxd2 から生じる。

 b)9.Bd2 Bd7 10.Bb5 白は喜んで「優良」ビショップを交換し双ビショップの優位を放棄し、代わりに黒のa3-f8の斜筋の支配をさらに弱める。1990年マニラ・インターゾーナルでのチャンドラー対イワンチュク戦は次のように進んだ。10…O-O-O(黒はたぶんすぐに 10…f6 と中央から打って出て白の黒枡の支配を緩めるのが最善である)11.O-O c4 12.Bc1 f6 13.Qe1 Rhe8 14.Ba3 Kb8 15.Bxc6! Nxc6 16.Qe3 Ka8 17.Rfb1 Bc8 18.Bd6 Rd7 19.Rb5 Qd8 20.a5 g5?(20…Rxd6 と取らなければいけなかった)21.Bc5! g4 22.Bb6!

 黒の手番 

(この章続く)

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フランス防御の完全理解(118)

第5章 ビナベル中原(続き)

白が Qg4 と指す

 

 黒は黒枡ビショップがないのでg7の地点を守るのが非常に難しくなっている。Qg4 と出る手はこれにすぐつけ込もうとする手である。黒の選択肢は次のとおりである。

 1)g7のポーンをギャンビットして次章で考察する戦いに持ち込む。

 2)…g6 と突いてf6の黒枡に生じる弱点を受け入れる。

 3)…Nf5 と跳ねる。しかし Bd3 でg7への狙いが繰り返される。

 4)…Ng6 と跳ねる。しかし h2-h4 突きに …h7-h5 突きで応じたあとg5の黒枡が弱点になる。

 5)…O-O とキャッスリングして白駒のキング翼攻撃に耐えきることを期待する。

 6)…Kf8 と寄り最終的には …h7-h6 と突いたあと …Kf8-g8-h7 で「キャッスリング」する。この回り道捌きの要点は …Kf8 でポーンの弱点が何も生じず、h8のルークも実際にはキャッスリングしたときよりもキング翼攻撃を耐え切る可能性が高くなるかもしれないということである。

 キング翼キャッスリング(5番目の選択肢)は白がいくつかの快勝にもかかわらずどの変化でも詰みに仕留めることができるわけではないので、近ごろの実戦では人気のある選択肢になった。選手たちの中には …f5、exf6e.p. Rxf6 のあと …c4 と突いてかなり退屈な収局に持ち込む手堅い選択肢として指す者もいる。

 

 白が圧力をかけてe6のポーンを取る(または釘付けによりd5のポーンを取る)のは非常に困難である。定跡ではe6への圧力により白がキング翼の広さを生かして大駒による攻撃を仕掛けることができるはずだが、実戦では黒がf列で十分強い圧力をかけている。黒はルークをa6の地点に回して白の弱いクイーン翼のポーンを食べつくすこともできる。このため白は早い段階で好機に Rb1 と指して …b6 と突かせることがよくある。

 別の選手たちの中には戦術の大乱戦に引き込む意図で …O-O と指す者もいる。彼らは研究の成果で勝利することを期待している。戦術の着眼点は次の局面に示されるように盤全体に及んでいる。

 

 黒の着想には …e5(…Bxg4 と …e4 の両狙い)、…Qa5(…Qxc3+ でa1のルークを取る狙い)、そして …Rxf3 または変化によってはルークをf6に置いたままの交換損による犠牲がある。最も本筋の着想は Bxf6 に …Nxf6 と取る意図の …Nd7 で、e7とf6の黒ナイトがきれいに連係してf5とe4の地点を目指し、g4の地点に遮断された白クイーンと、守りのビショップもクイーンもいない白の弱体化したクイーン翼とにつけ込む。白は一見攻撃にずっと適しているように見えるが、実際には Bxh7+ という一撃の戦術しかない。黒は Bxh7+ がいつも強力すぎると考えられていたので …O-O と指すことがなかった。Bxh7+ は確かに恐ろしい狙いだが、今ではよく研究した黒の選手は適切な手段を見つけている。

 白がこのような戦術の着想のいくつかを避けられた一つの手段はクイーンをg4からh5にまた動かしd3のビショップと詰みを狙うことである。

 

 黒は …f5 と突く機会がなくなってしまったので、白の狙いに対処する何らかの他の方法を見つけなければならない。…Nf5 は Nf3 から g4 と突かれて不十分だと分かってきた(注意するとすぐに g4 と突くのは …Qh4 と応じられて駄目だが、Nf3 c4、g4! cxd3、gxf5 は白が有利である)。…h6 と突くのは白がルークまたはナイトを攻撃に投入するのが間に合うなら Bxh6 と取られてしまう。…g6 と突くのは(白の黒枡ビショップがまだ盤上にある状態では)明らかに弱体化しすぎなので、残るは …Ng6 だけである。そのあと黒が …c4 と突くと白は Bxg6 と切り黒は …fxg6 と取らなければならず、次図に示す局面になる。

 

 白はhポーンで黒のキング翼を破壊することを狙っている。黒の方は …Rf5 で白が h5 と突いてくればルーク同士を交換することを目指し、その間にf列でルークを重ねて反撃に期待をかける。

(この章続く)

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フランス防御の完全理解(117)

第5章 ビナベル中原(続き)

白がhポーンを突き進める

 

 白はhポーンを突き進めることによってキング翼で陣地を広げることがよくある。黒が …h6 突きで応じなければ、白はさらに h6 と突いて黒のキング翼のポーンを乱しf6に空所を生じさせるつもりである。それでも黒はこれをやらせることができ、白がhポーン突きに費やした3手につけ込むことに期待することがある。黒は …h6 と突く方がもっと普通で、白の Ng5 を防ぐのでいずれにしても非常に有効な手になることが多い。h5のポーンは黒をいくらか窮屈にさせ、白はルークをh4またはh3に浮かせることができるようになる。代わりに白がキング翼にキャッスリングすれば、h5のポーンは …h6 突きのあとe8のビショップからの当たりにもろくなることがある。もう一つの要点は白がもうナイトをh5の地点に進めることができなくなることだが、陣地の広さの優位により他の選択肢が生まれる。

(この章続く)

2013年03月02日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(307)

「Chess」2013年2月号(2/3)

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ロンドン・クラシック(続き)

V.アーナンド
H.ナカムラ
第8回戦

解説 デイビド・ハウエル

 この局面も戦力が不釣合いだった。白はポーンが進攻しルークもよく働いているので勝つ可能性が高い。

41…b5 42.Rd8 Nc5 43.Rb8 Kf7 44.g6+

 この手は局後一部の観戦者によって批判された。しかし白にはまだ勝ちが残っているように見える。それはともかく 44.Rb6! の方が簡明だったかもしれない。

44…Kg7 45.Kg4 b4

46.h5?

 46.Rxb4 は黒にg6のポーンを取らせることになるので指しにくい手だが、白はかえってやりやすくなる。実際 46…Kxg6 47.Rb8 は黒にとって非常につらいはずである。

46…b3 47.Kf5 Bd6!

 急にナカムラに反撃の手段ができた。

48.Rb4?!

 48.Rb6 Bc7 が最も当然の手だが、その時 49.Rc6?? は 49…Ba5! で黒のbポーンがチェックでクイーンに昇格する。

48…a5 49.Rb6

 49.Rh4 Kh6 は黒が良さそうである。

49…a4!

 ここでは黒の勝勢になっている。

50.Rxd6 b2

 意外な手だが 50…a3! で黒の勝ちになる。白は自分のポーンを突き進めても間に合わず、変化によっては黒ポーンがb1でクイーンに昇格したときチェックになることが効いている。

51.Rb6 a3 52.Kg5 Ne4+ 53.Kf4 a2

(編集部注 先月号でマルコムが書いていたようにここで196手詰み(!)があるらしい)

54.Rb7+ Kf8 55.Rxb2 a1=Q 56.Rb8+ Ke7 57.Kxe4

57…Qe1+

 57…Qa4+ なら明らかに白のクイーンを取れるが、人間にとってはとても読めそうにない。手順は例えば次のとおりである。58.Kf5 Qc2+ 59.Kg5 Qd2+ 60.Kf5 Qd5+ 61.Kg4 Qxg2+ 62.Kf5 Qh3+ 63.Ke4 Qg4+ 64.Kd5 Qe6+ 65.Kc5 Qd6+

58.Kf3 Qc3+?

 そしてここでは 58…Qd1+ と指してみた方が良かった。

59.Kg4 Qd4+ 60.Kh3

 これでアーナンドは要塞を完成し、黒は何も進展が図れない。

60…Qd3+ 61.Kh4 Qe4+ 62.g4 Qe1+ 63.Kh3 Qe3+ 64.Kh4 Qe1+ 65.Kh3 Qe3+ ½-½

 波乱に満ちた試合だった。

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス4

フランス防御の完全理解(116)

第5章 ビナベル中原(続き)

黒が …c4 と突く

 白の中原開放を止める他の方法は …c4 と突いて局面を閉鎖することである。これは通常は(いつもというわけではないが)クイーン翼キャッスリングと組み合わされる。キング翼キャッスリングはc列の圧力と組み合わされる方が普通である。

 

 この局面は既に第1章で考察した突き越し戦法と類似の局面で、c2のポーンをb2に移動し両者に1個ずつ小駒を追加して比較してみると面白い。ここでの白には双ビショップがあり既にb列が素通しになっている。その一方で白はc1の地点を介してしか駒をキング翼とクイーン翼との間で行き来させることができない。そしてb列の支配はa3-f8の斜筋の支配と組みさわせたとしても決定的な突破を図るのに十分であることは滅多にない。だから白は類似の突き越し戦法と同じくらいキング翼とクイーン翼での動きを組み合わせる必要がある。一つの重要な着想はナイトをh5の地点に進めて、黒のキング翼の逆襲(…f6 突きまたは …g5 突き)を押さえるだけでなく、f4 突きからいずれ f5 と突いていくことである。黒はナイトがしっかりh5の地点に居座る前に …f6 と突こうとするのが一般的である。もっともこれは白の双ビショップのために局面を開放的にする。exf6 gxf6 のあと黒は …Rg8、…e5 と突いて …Bh3 を狙うことができ、ナイトをh4の地点に進めて圧力を強めることもできる。

 

 タイミングは非常に重要である。白は a4 と突く暇があるだろうか。黒は …c4 と突く暇があるだろうか。…f6 突きで白のビショップがあまりに早く働き出すことにならないだろうか。ナイトがh5の地点にもう来るだろうか。

 

 a4の地点の重要性は既に述べた。黒が …Ba4 と指せば確かにクイーン翼での白の指し方を邪魔することになるが、キング翼での積極的な指し方の開始や白のキング翼攻撃に対する防御をもっと難しくすることにもなる。近年試された積極的な作戦は …h6 と突き、クイーンをh7の地点に捌いてc2の地点への圧力を増し、すべての大駒をキング翼での積極的な活動に備えさせることである。

 

 黒は多くの局面でg2またはf3のビショップのために斜筋を開ける Nxc4 に気をつけなければならない。特に上図の局面の場合災難に見舞われるのはa4の浮きビショップである。Nxc4 dxc4、Qxc4 のあとこのビショップには逃げ場がなく、…b5 と突いても Qxc6 と応じられる(または釘付けのおかげで Qxa4)。注意すべきはルークがa2にいたとすると Nxc4 が …Bb5 で失敗することである。

(この章続く)

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