2012年03月の記事一覧

フィッシャーのチェス(160)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 小駒に対する単純な開き攻撃は戦力得よりも有利な収局を目指すためであることがよくある。

フィッシャー対シャーウィン
ニューヨーク、1957-58年
 15…Qb8

16.Nd5! exd5 17.Rxc6 dxe4 18.fxe4 Qb5

 黒は 18…Nxe4 と取れない。取れば 19.Rb6 から 20.Bd5 で両当たりがかかる。だから収局での白の優位は動かない。

(この章続く)

2012年03月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フィッシャーのチェス

「ヒカルのチェス」(262)

「Chess」2012年1月号(1/7)

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ミハイル・タリ記念大会

記 スティーブ・ギディンズ

 最終戦に入るときアロニアンは単独首位だった。カールセンに半点差をつけていて、二人とも最終局は黒番だった。アロニアンは「無名の男」こと「ネポ」と順当に引き分けた。一方カールセンが黒でナカムラを負かすことはほとんど予想されていなかった。しかしノルウェー選手はこの1年は米国選手にとって「天敵」のようになっていて、順当に予想を覆した。


終局が間近で(大会も)、ボデーランゲージからどういうことなのかが容易に想像がつく。カールセンは非常にリラックスしてナカムラは投了も考えている。

第9回戦
H.ナカムラ – M.カールセン
后印防御

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 b6

 「勝ちを目指して指す必要があった。クイーン翼インディアンは勝つために指すのには変な方法だが、少なくともクイーン翼ギャンビットよりは少し引き分けになりにくい。」(カールセン)

4.g3 Ba6 5.Qc2 Bb4+ 6.Bd2 Be7 7.Bg2

 「二人とも布局で何をやっているのかあまり分かっていなかったのではないか思う。」(カールセン)

7…c6 8.O-O d5 9.Ne5 Nfd7 10.cxd5 cxd5 11.Bf4 Nxe5 12.dxe5

 「これはある定跡手順に非常によく似ている。それは白が優勢とされているが対局中はとてもそう思えなかった。」(カールセン)

12…O-O 13.Rd1

 「ここでのまやかしの一つはもし 13.Nc3 なら 13…Nc6 14.Nxd5 Nd4 15.Nxe7+ Qxe7 でほぼ互角になることである。」(カールセン)16.Qa4 Nxe2+ 17.Kh1 Nxf4 18.Bxa8 Bxf1 19.Qxf4

「黒の方が少し良いかもしれない。」(カールセン)

13…Bb7

 これが最善手のようである。カールセンは 13…Nd7 を避けた。「とんでもない読み間違をしていなければ 13…Nd7 は 14.e4 Rc8 15.Nc3 d4 16.Rxd4 となって明らかに白が少し優勢な定跡手順のようになる。」(カールセン)

14.Nd2

 14.e4 は 14…d4 15.Nd2 d3 16.Qc3 Na6 となって「黒がうまくやっているように見える。」(カールセン)

14…Nc6

15.Nf3?

 「15.Nf3 が単なるポカなのかわざとポーンを見捨てたのか確信はなかったが、どちらにしても白は単に 15.h4 と指した方が良かったと思う。もっとも黒が比較的楽だと思う。」(カールセン)

15…g5!

 「自分が何か見落としているのかまたあまり確信がなかった。それでも 15…g5 と指さなければ自分のチェスが指せないと考えていた。だからそうやるしかなかった。実際白がどのように確かな代償を得ることができるのか分からない。」(カールセン)

16.Be3 g4 17.Nd4 Nxe5 18.Bh6 Re8 19.e4 Bc5

 「19…Bc5 が必要だったかは分からないが非常に魅力的な手だった。ここでは白は互角にしようとだけしている。」(カールセン)

20.Nb3

 20.exd5 は 20…Qf6 21.Bf4 Bxd5 22.Bxd5 exd5 で黒が良い。

20…Rc8

 20…Qf6 には 21.Nxc5 bxc5 22.Bf4 dxe4 23.Bxe4 Nf3+ 24.Kg2 Bxe4 25.Qxe4

「で白がほぼ問題ないと思う。」(カールセン)フリッツはそれでも 25…Qxb2 で黒の方が良いとしている。

21.Nxc5

 「この手は悪い。白はd5の方を取るべきだった。」(カールセン)しかし 21.exd5 のあとフリッツは 21…Bd6! 22.Qd2 exd5 23.Bxd5 Nf3+ 24.Bxf3 Bxf3

という返し技で黒が優勢になると指摘した。25.Qxd6?? には 25…Re1+! が要点である。

21…Rxc5 22.Qa4 Bc6 23.Qd4 Qf6 24.Bf4 dxe4 25.Bxe4

 「もちろんここではもう黒がほとんど勝勢である。」(カールセン)

25…Nf3+

 25…Bxe4 なら 26.Qxe4 Nf3+ 27.Kg2 Qf5 となる。「しかしf3の地点にナイトよりもビショップを残す方が良いと思った。」(カールセン)

26.Bxf3 Qxd4

 26…e5 は「白が間違えてくれれば面白いことになる。」(カールセン)しかし 26.Bxc6 exd4 27.Bxe8 で白が優勢である。「これがなければ 26…e5 は非常に良い手になるところだった。」(カールセン)

27.Rxd4 Bxf3 28.Rd7

 「黒はもう技術的に勝ちである。」(カールセン)

28…Rd5

 「この手はそれほど自信がなかった。」(カールセン)しかしあとで彼は「28…Rd5 でほぼ一本道で勝ちだと思った」と言った。28…e5 は 29.Be3 Rd5 30.Rxd5 Bxd5 となり「黒が勝勢だと思う」(カールセン)

29.Rxd5 exd5

 異色ビショップはどうなのか?「こちらがポーン得で主導権もある。もちろん異色ビショップは問題だが白は持ちこたえられないと思った。」(カールセン)

30.Be3 Re4 31.Re1 d4 32.Bd2 Rxe1+ 33.Bxe1 Be2

 ルーク同士の交換は少し怖そうだ。つまりパスポーンが1個しかなくもう1個も作れそうにないので、純粋の異色ビショップ収局のように引き分けになりそうだからである。しかしカールセンが指摘したように「白キングは閉じ込められている」ので白の困難に輪をかけている。

34.f4

 「これしかチャンスはない。」

34…gxf3e.p. 35.Bf2 d3 36.Be1 Kg7 37.Kf2 Kf6 38.Ke3 Kf5

39.h3

 カールセンによるとこう指す必要がある。39.h4 は 39…Kg4 40.Kf2 Bd1 41.Bd2 Bc2 42.Bf4 Bb1 43.a3 b5 44.Bd2 Bc2 45.Be3 a6 46.Bd2 Bb3 47.Bf4 Bd5 48.Bd2 Be4 49.Be3 Kf5

となって黒キングがクイーン翼に侵入する。「それで勝勢だと思った。」(カールセン)

39…h5 40.Bd2 Bf1 41.Be1

 41.h4 は黒キングをg4の地点に侵入させる。また 41.Kxf3 は 41…Bxh3 42.Ke3 Bf1 43.Kf2 Be2

となって「黒にとってまったく自明である。」(カールセン)44.Ke3 Kg4 45.Kf2「白の助かる可能性は全然ない。」(カールセン)

41…Bxh3 42.Kxd3

 42.Kxf3 は 42…Bf1 43.Bd2 Be2+ 44.Kf2 Kg4 となって前の変化と同様である。

42…Bf1+ 43.Ke3 Kg4 44.Kf2 Bb5

 「クイーン翼のポーンはどれも交換させたくなかった。」(カールセン)

45.Bc3 Bc6 46.Be5 b5 47.Bb8 a6 48.Bc7 f5 49.b3?!

 「黒にとっては完全に自明になった。」(カールセン)しかしいずれにしてもここでは白にしのぎはない。49.a3 は 49…Bd7 50.Bd6 f4! 51.gxf4 Bf5!

となってhポーンで勝負がつく。例えば 52.Bc5 Kxf4 53.Kg1 h4 54.Bf2 h3 55.Kh2 Ke4 56.Kg3 Bg4

で白の負けになる。

49…Bd5 50.Bd6 f4!

 これは前と同じ狙い筋である。hポーンをパスポーンにするのは堤を崩す蟻の穴である。

51.gxf4 h4 52.f5 Kxf5 53.Ke3

 53.a4 は 53…Bxb3 54.axb5 axb5 55.Kxf3 Bd5+ となって2ポーンの間隔が広すぎる。

53…Kg4 54.Kf2 h3 55.Ke3 Be4 56.Kf2 Bb1 57.a3

 57.a4 なら 57…b4 58.a5 Be4 59.Kg1 Bd5 で黒の勝ちになる。

57…Ba2 58.b4 Bf7 0-1

 黒キングはクイーン翼に進軍してa3のポーンを取ることができる。

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(この号続く)

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フィッシャーのチェス(159)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 別の空き攻撃に通じる開き攻撃(例えば前出のセイディー対フィッシャー戦)は駒を標的とするだけでなくキングを褒美(ほうび)としても起こることがある。

フィッシャー対ベルリーナー
ニューヨーク、1962-63年
 29…f4

30.c6! Qxd6 31.Nxf4

 クイーンに対する空き攻撃であると共に二つ目のバッテリーが形成された。

31…Qxc6 32.Nh5+

 ルークに対するこの空き攻撃で交換得になる。

32…Kh8 33.Qxc6

 こう取らないと詰まされる。

33…Qxc6 34.Rxf7

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

フィッシャーのチェス(158)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 次の局面ではクイーンに対するもっと複雑な空き攻撃に同じ戦術が用いられたがうまくいかなかった。

ロンバーディー対フィッシャー
ニューヨーク、1960-61年
 14.Rc1

14…Nb4! 15.Nxb4 Qxc1+ 16.Bxc1 Bxb5 17.Nd5 Bh4+!

 この挿入手で 18.g3 Bxf1 のあと黒が交換得を維持する。

(この章続く)

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世界のチェス雑誌から(167)

「The British Chess Magazine」2011年7月号(1/1)

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チェスの作法

国際審判 アレックス・マクファーレイン

 カザンでの挑戦者決定競技会におけるクラムニク対ラジャーボフのブリッツによる決定戦で起きた対局時計の故障に関連した質問をいくつか受けた。

時計が故障したらどうなるのか

 チェスの規則はきわめて明快で、審判が証拠となるものはすべて用いて可能な限り適切な時間に時計を設定し直して試合を続行することになっている。

 『6.10a 明らかな不具合がなければ時計に表示されているものはすべて正しいとみなされる。明らかに不具合のある対局時計は交換しなければならない。審判は時計を交換し、代わりの時計に設定する時間を決める際には最善の判断を行なう。』

 通常は対局者は問題が発生する前に時計の表示をほぼ覚えていて、認識に大きな違いがなければ適切に折り合いがつけられる。特別な状況では対局者同士で経過した時間を折半しなければならないかもしれない。上述の試合では、最初は試合を見守っていた審判によって記憶に基づいて時計が再設定された。しかしロシア語の大会規則を探している間にまた時間が経過した。この間にビデオおよび/または実況中継から正確な時間が判明し代わりの時計に設定された。面白いのはサッカーで判定に機器の使用が議論されているこの時代に、対局再開に手間取ったのでかろうじてビデオの証拠が用いられたことである。

 チェスではビデオの証拠を採用すべきだろうか。ブリッツ試合や時間がほとんどなくて多くの手数を指さなければならないときには、時計が試合の結果にかなりの役割を果たす。そのような状況では問題が起こったかどうかを決めるために時計を止めることは試合の流れを大きく乱してしまい、私の考えでは行なうべきではない。よくあるようにビデオの証拠はあまりはっきりしたものでない状況では特に間違ったやり方である(例えば1966年のFIFAワールドカップ決勝ではいまだに議論になっている)。大会では「タッチムーブ」や駒を動かす前に別の駒に触ったかについて争いになることがある。伸ばした手が審判の視界をさえぎることはよくあり、駒に本当に触れたか手がすぐそばまでいっただけかを判定するのは無理である。審判が確信がある場合だけ介入すべきである。そのような場合カメラがかなり異なった角度から撮影しているのでなければ、ビデオでも違反行為を確認することはできない可能性が高い。これは私の経験だが、相手選手が申し立てをしたら私がそれを支持しただろうが、私の方から介入するほどの確信はなかったことがある。同様に「タッチムーブ」の申し立てを自信を持って却下したことがあった。そのときは駒に触っていないことに確信があり、相手がそう思った理由についても分かっていた。私は申し立てがなされたらビデオを証拠として用いる可能性を排除しない。裁定委員会はすべての証拠を考慮する時間があるのが普通でそれに基づいて判断を下す。時計の問題に戻るとリバプールでの英国選手権戦で火災報知器が鳴ったとき愚かにも時計を止めて建物から非難するようにアナウンスした。2試合の選手たちがそれに従ったが時計の設定をし忘れて建物から離れた。もしもう一度火災報知器が鳴るか停電したら今度は時計を一時停止にするように言うだろう。

 この場合に該当する規則は6.13項である。不測の事態が起こっておよび/または駒を元の状態に戻さなければならない場合は、審判は最善の判断を尽くして時計の時間を決めなければならない。必要ならば時計の手数表示も調整しなければならない。

 時計が一時停止になっていなければ審判は中断時間を動いている時計から引かなければならない。問題のあった場合の一つでは一方の対局者が2、3手ごとに時間を記録していた。そこで審判はこれを使って時間の算定をした。他の停止された時計では両対局者がおよその時間に同意した。両対局者が合意できなかったら、両対局者とできれば隣の対局者の証言に基づいて時間を決める必要がある。幸いにもこの試合中断は対局の非常に早い段階だったので、時計の設定はもっと遅い段階で起こった場合よりも深刻でなかった。

 別の時計の問題はこうだった。規定手数に達しかどうかというちょっとした問題の生じた試合に呼ばれたことがある。両対局者は黒が必要な手数に達したことには同意していた。しかし白は先手がもう1手指さなければならないと主張していた。私はちょっといたずらっぽくどちらが初手を指したのかと聞いた。白はためらうことなく自分だと言った。それから私はどの時点で黒が2手連続して指したのかと聞いた。白は最初は当惑しそれからすぐに赤面して平謝りに謝った。

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(この号終わり)

2012年03月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 世界のチェス雑誌から3

フィッシャーのチェス(157)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 別の全米選手権戦での同じ相手に対してフィッシャーは再びバッテリー爆弾を不発にさせた。

フィッシャー対バーンスタイン
ニューヨーク、1959-60年
 15…Bxh2+

16.Kxh2 Ng4+

 バッテリーを隠していた駒がチェックをかけ白クイーンを開き攻撃により当たりにしてきた。しかし白キングはクイーンを守ることができる。

17.Kg3 Qxh4+

 黒は 17…Rxe1 18.Qxd8+ Rxd8 19.Bd2! のあと 19…Rxb1 20.Rxb1 Bxb1 21.fxg4 がほぼ一本道で Bf4 の狙いで白が優勢になることを読まなければならなかった[訳注 21…Bxe4 のあとc6のポーンを払えば黒が優勢のようで、白は単に 19.fxg4 と取って優勢のようです]。この狙いがなければ実戦の手よりも 17…Rxe1 が貴重な先手になっていた。

18.Kxh4 Rxe1 19.fxg4 Rxc1 20.gxf5 Rd8

 互角の形勢だが黒の負けに終わった。

(この章続く)

2012年03月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フィッシャーのチェス

フィッシャーのチェス(156)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 フィッシャーはキングに安全な逃げ場所がある限りキングが自分に向けられたバッテリーをどのように無視することができるかの例を数多く残してくれた。

バーンスタイン対フィッシャー
ニューヨーク、1957-58年
 20.g5

20…Bf5!

 白のfポーンを止めることができる限り黒キングはh6の地点に避難できる。次に …Nb3+ から詰みの狙いがあるので大駒の清算を強制できる。

21.gxf6+ Kh6 22.Qc4 Nd7 23.Qxc7 Bxc7 24.Bf3 Bd8!

 次のバッテリーの動きは何も怖くないので自分の方からとげを抜くことができる。

25.Bg5+ Kg6 26.Rg1 Bxf6!

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

ポルガーの定跡指南(18)

「Chess Life」2003年5月号(1/2)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

スラブ防御

 今月はスラブ防御メラン戦法の 7.g4 を取り上げる。

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3 e6 5.Nf3 Nbd7 6.Qc2 Bd6 7.g4

 この見慣れない攻撃の手の 7.g4 は非常に独創性に富むラトビアのスーパーGMアレクセイ・シロフによって10年くらい前に創始された。それ以来カスパロフ、ゲルファンド、クラセンコフらの多くの一流グランドマスターがこれを自分の武器に取り入れた。

黒の基本的な作戦は何か

 この戦法は非常に変わっている。白は自分の展開を完了する前に攻撃を始める。何が変わっているかというと黒がまだキング翼にキャッスリングしていなくて、特に弱点もないことである。それでも白はキング翼で攻撃を仕掛ける。

 この戦法には白のポーンの犠牲が伴っている。黒は恐れずにそれを受諾することができるし、拒否することもできる。ポーンの犠牲を受諾する危険な戦法では黒はしばらくの間受けにまわらなければならない。戦法によっては白がキング翼で総攻撃をしている間に黒は論理的に中央で開戦することができる。これは「相手が側面で攻撃するときは中央で反撃せよ」というチェスの一般原則に合致している。

白の基本的な作戦は何か

 7.g4 と突く理由は何か。g2-g4 突きは通常はキング翼での直接攻撃だが、その普通の考えと異なりここでは必ずしも黒キングへの直接攻撃を意味しない。それよりも黒ナイトをf6の地点からh5か元のg8のようなどこか働きのない地点へ追い払うだけの目的の方が多い。

 しかしもし黒がg4のポーンの犠牲を受諾することにすれば、白は素通しのg列でキング翼攻撃に移ることができる。

評決はどうなっているか

 この戦法は大乱戦になるのが普通である。白キングは通常の落ち着いたキング翼キャッスリングのあと安全を得ることができないので、7.g4 は針路をはっきり決めた危険な手である。この戦型は10年くらい前に登場して以来何百局も指されている。有名なカスパロフ対ディープジュニアの番勝負第1局のあと改良を要するのは黒のようである。

 もちろん 6…Bd6 は必然ではないが、最も自然でおそらく最善の手である。カスパロフ対ディープジュニアの第3局ではコンピュータプログラムは 6…b6 と指して話題の 7.g4 を避けた。このあとの実戦例から分かるように 7.g4 は必勝の手ではないので黒は避けるべきではなかった。この手はほとんどの 1.d4 d5 の布局の場合よりも複雑で激しい試合になるだけである。

 だからあなたが黒でスラブ/メランを指す選手なら新しい定跡を探す必要はない。この講座を元にもっと研究するだけでよい。

 上図から黒には複数の選択肢がある。

 a)挑戦を受けて立ち 7…Nxg4 とポーンを取る

 b)何も起こらなかったかのようにキャッスリングする(7…O-O)

 c)7…dxc4 とポーンを取ることによりすぐに中央で開戦し 8.Bxc4 のあと
 c1)8…b5
 c2)8…b6

 a)7…Nxg4

 この手は確かに最初に浮かぶ疑問である。黒が「景品」を受け取ったらどうなるのか。白の自然な応手で最善手は次の手である。

8.Rg1

 ここでも黒にはいろいろな選択肢がある。ナイトを当たりから逃がす、ナイトを守る、そして当たりにかまわず反撃するである。

8…Qf6

 ここでは他にも 8…Nh6 や 8…h5 など多くの手がある。その中から一つだけ見ておこう。8…Nxh2 9.Nxh2 Bxh2 10.Rxg7

 ここからの黒の手は多岐に渡る。

 a1)10…h6 と突いてポーンを助けようとするのはポカである。11.f4 のあと黒の黒枡ビショップは「捕虜」のままとなる。11…Qh4+ 12.Qf2 Qxf2+ 13.Kxf2 Nf6 14.Rg2 これは1992年のシャバロフ対メフィストRisc(コンピュータ)戦で、黒のビショップが捕らわれの身となった。

 a2)10…Nf8 でポーン得にこだわる方が良い。もっとも白は 11.Rg2 から e3-e4 で十分な代償がある。次の胸のすくような短手数局(1996年ポルトガルでの通信大会のソウサ対クラブチェンコ戦より)には黒が直面しなければならない危険性がよく現れている。11…Bd6 12.e4 dxc4 13.Bxc4 Bd7 14.e5 Be7 15.Bh6 Ng6 16.O-O-O Nh4 17.Rg7 Nf5 18.Qxf5 黒は 18…exf5 と取り返しても 19.Bxf7+ Kf8 20.Rxh7# で詰みになるので投了した。

 a3)10…Qh4 も 11.e4! Bf4 12.cxd5 Bxc1 13.Qxc1 exd5 14.Qe3! で白が優勢になる。

 a4)10…Qf6(白ルークを追い返す)11.Rg2(白は 11.Rxh7 でポーンを取り返す方より緊張を維持する方を望んだ)11…Bd6 12.Bd2 Nf8 13.O-O-O Bd7 14.Kb1 Ng6 15.f4 Nh4 16.Rf2 a6(16…O-O-O? は 17.cxd5 exd5 18.Nxd5 でポーンを取られる)17.e4 Qxd4 18.Re2 これは1995年ユーゴスラビアでのモゼティッチ対ヨビチェビッチ戦で、白の攻撃が強力だった。

9.Rxg4 Qxf3 10.Rxg7

10…Nf8 11.Rg1

 ルークは自陣に戻っておかなければならない。さもないと …Nf8-g6 とされて戻れなくなるかもしれない。

11…Ng6

 11…Bxh2 は 12.Be2(重要な挿入手)12…Qh3 13.Rf1 で白に十分な代償がある。

12.Be2 Qf6 13.Bd2

 このあと白はクイーン翼にキャッスリングしてそのあと e3-e4 突きにより中央から仕掛けていく。これはこの戦法の重要な局面で、深く研究する価値がある。

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カテゴリ: ポルガーの定跡指南

フィッシャーのチェス(155)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 黒ルークを白のルーク、ビショップおよびキングの焦点に割り込ませる前題の防御の着想は攻撃の武器にもなり得る。

フィッシャー対ジェフマン
ストックホルム、1962年
 20…Na4

21.Bb5!

 ここが黒のクイーンとルークの焦点である。実際には黒クイーンに対して「逆開き攻撃」または干渉(普通のプロブレム用語)を仕掛ける地点に駒を動かした。

21…Rxb5 22.Nxa4 Rb4 23.Nc3

 このささやかな手筋で白は何を達成したのだろうか。白は相手の攻撃駒の一つを消し去り、手順に最下段を空けた。そしてポーンによるローラー攻撃に向かうことができる。この小さな手筋は捨て駒と同じくらい小気味よい。

(この章続く)

2012年03月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フィッシャーのチェス

名著の残念訳(39)

「ボビー・フィッシャー 魂の60局」

59 誤ったビショップ 271ページ
『ここで、黒にはルークを捨てて2つのマイナーピースを取る狙いがある。結局はポーン1つしか取れないが(それが黒の致命傷となる)。』

このあとの 14…Qxb4 で確かにポーンを1個取っている。それが何で勝った黒(フィッシャー)の致命傷なのだろうか。

英文『Black now has a shot which wins two pieces for a Rook; or, as it turns out, a lowly Pawn (which proves fatal).』

黒の「ルークを捨てて2つのマイナーピースを取る狙い」は 13.b4 の解説にあるように 12…Re6! 13.Ng5 Rxd6 14.Qxd6 Qxc3 という変化のことである。「ポーン1つしか取れない」のは本譜(実戦)の 12…Re6! 13.b4 Qa3! 14.Bc7 Qxb4 という手順である。この手順で黒が勝っている。だから黒の1ポーン得でも白にとって致命傷だったということである。

試訳『ここで、黒にはルークを捨てて2つのマイナーピースを取る狙いがある。結局はポーン1つしか取れないが(それが白の致命傷となる)。』

59 誤ったビショップ 272ページ
『私は、彼が再び見に来ても無視した。』

英文『I never noticed him looking at the game again.』

「無視した」とはどこにも書かれていない。

試訳「彼が再び見に来た気配はなかった。」

59 誤ったビショップ 272ページ
『ここからも退屈しない。』

英文『No rest for the weary.』

大修館書店「ジーニアス英和大辞典」の rest に次のような例文がある。There’s no rest of the weary. 疲れ果てていても働かなければならない。

試訳「このビショップは休めない。」

60 チャンピオンが相まみえて 280ページ
『56.f6 1-0
56…Rf4 には 57.Nd5 で決まり。不屈の闘志!』

「不屈の闘志」とは不利な側の頑張りに対する言葉であろう。

英文『56.f6 Black resings
On 56…Rf4 57.Nd5 wins the house. A stubborn fight!』

試訳「56.f6 1-0
56…Rf4 には 57.Nd5 で決まり。激闘だった!」

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カテゴリ: 名著の残念訳

フィッシャーのチェス(154)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 バッテリーの射撃駒に対する攻撃は射撃駒がもう攻撃されなくなるまで動くことにより対処するのが普通である。プロブレム作家たちはバッテリー駒が逃げ続けるとどんなに愉快かを発表してきた。

J.ブロイアー(1955年)
 4手詰み

1.Bf3!

 1.Ba8 で解決すると簡単に考えてしまうところである。しかし黒が 1…Ra2 と狡猾に守ると(1…f5 は 2.Rg3+ から3手で詰むので駄目である)、2.Rg3+ Rg2 3.Rxg2 f5 4.Rg3+ Rc6 5.Bxc6# で1手余分にかかってしまう。

1…Rf5 2.Ba8! Rf2

 黒ルークはfポーンを動けなくしていたので、g2の地点に割り込むためにはこの受けしかない。しかしこの手は(前に出てきたビアンケッティのスタディのように)黒キングの動きを止めることにもなり次の手順が可能になった。

3.Rh2+ Kxg1 4.Rh1#

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

フィッシャーのチェス(153)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 時には隠している駒の標的がないためにキングが白昼堂々と開き攻撃から逃げることができるときがある。次の局面では白キングがどんなチェックをかけられてもe2からf1へ逃げるので黒のクイーン翼の戦闘部隊は無力だった。

フィッシャー対ベンコー
キュラソー、1962年
 30…Kh8

 対照的に白の攻撃はg列を強制的に素通しにする援助がある。

31.Qxh6+! 黒投了

 白の次の手で詰みになる。

(この章続く)

2012年03月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フィッシャーのチェス

「ヒカルのチェス」(261)

「Chess Life」2011年12月号(4/4)

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グランドスラム大会(続き)

 ナカムラは世界チャンピオンをあと一歩のところまで追い詰めた。

グランドスラム最終戦、サンパウロ 第2回戦
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2753、米国)
GMビスワーナターン・アーナンド(FIDE2817、インド)

 24…Bxe5

25.Bxe5?

 ナカムラは手拍子でこの手を指しすぐに後悔した。彼は「5手前に 25.Bc6! は 25…Bd4 のためにうまくいかないと読んでいた。しかし 26.Bc7! を見落としていた」と認めた。「25…Bxg3 なら 26.hxg3 で完全に勝ちだった。」アーナンドはそれほど納得はしていなかった。もっとも 26…b4 27.Rxd7+ Rxd7 28.Qxd7+ Kf6 29.Ba4!

なら難しい受けが長く続いただろうと認めた。

 コンピュータの分析は人間では考えもつかない 25.Bc6 Kf6 26.Rxd7 Rxd7 27.Bxd7 Bxb2!!?

で黒がしのげるかもしれないと指摘した。28.Be8 には 28…Qe7 29.Qxb5 Bd4 と応じることができ 30.Qxc4 には 30…Bxf2+ が用意の手で、駒得だがポーンが片側だけにある収局なので白がおそらく勝てないだろう。

25…Qxe5 26.Bc6 Kf6 27.Bxd7 Qxb2

28.Rf1

 白はこの巧妙な手でまだ勝とうとしている。最下段の狙いとd列での釘付けのために白は得している駒をすぐには活用できない。28.h4 は 28…Qe5 で黒を安心させる。

28…c3 29.Qc7 Ra8

 アーナンドは 29…Rxd7 30.Qxd7 c2 31.Qd2 b4 32.f4

を掘り下げることに興味がなかった。「そのとき 32…g4 は 33.f5 でh6のポーンが浮いているので黒が危険そうである」とナカムラは言っていた。彼は「しかし 32…Kg6! で黒が大丈夫かもしれないと思った」と付け加えたがそれで正しいようである。

30.Bxe6!

 ナカムラがこの手を指したときアーナンドの顔にかすかな恐怖の色が浮かんだ。しかしすぐに落ち着きを取り戻した。

30…fxe6 31.f4

31…Ra1!

 このときまでにアーナンドはポーカーフェースに戻っていた。この手に費やした5分のほとんどは虚空を見つめていた。アーナンドは「31…g4!? と指すこともできると思った」とあとで説明した。「32.Qe5+ Ke7 33.f5 には 33…Ra1 がありそのあとキングをクイーン翼に逃がす。この方が安全だったようだ。完全に安全ではないが十分安全だ。勝つ手は分からなかった。単独のクイーンでは詰ませる手段がないと思った。もっともちょっと不安だった。」

32.fxg5+ Kxg5 33.Qg7+ Kh5

 今度は時間が刻々と減っていく間に感情を露わにするのはナカムラの番だった。絶好のチャンスをだめにした自分に対する失望と憤慨の混ぜ合わさったものだった。

34.Qf7+ Kg5

35.Qf6+

 アーナンドは「h4+ と突いてクイーンをg6に引ける手順は読んだ」と言った。「しかしそれでも Kh2 のとき …Rxf1 と取っておいて g3 はgポーンが釘付けになっているので突けない。」

35…Kh5 36.Qf7+ Kg5 37.Qg7+ Kh5 38.Qf7+ 引き分け

 そしてナカムラの残り時間がゼロになる6秒前に両対局者が引き分けの握手をした。「優勢な局面になるのはいいが、結局のところ問題はその結果だ」と落胆したナカムラは終局後言った。「もっとうまく指せる。」

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(この号終わり)

2012年03月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(152)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 時間に追われているときは開き攻撃、遮断、逆チェックなどは可能ではあっても読むのが困難なことが多い。次の局面はそのような場面である。

D.バーン対フィッシャー
クリーブランド、1957年
 34.Kh1

 白のこの手は時間切迫時の典型的な「一撃」を招いた。

34…f3 35.gxf3 Nxf3 36.Rd1?

 白は射撃駒を当たりにしたが黒には遮断がある。36.Bxg7+ Kxg7 の方が良いがそれでも白は逆チェックの可能性に警戒しなければならない。37.Qc3+ Nd4+ 38.Kg1 Kh6 39.Bc4 Nf3+ 40.Kh1 は比較的安全だが[訳注 38…Qe5 で黒勝勢、40.Rxf3 で白勝勢]、37.Bxf3 Rxf3 38.Qb2+ Rc3+ 39.Kg1 Qd4+ はそうでもない。

36…Nd4+ 37.Rf3 Rxf3 38.Rxd4 Rxh3+

 3手後に白が投了した。

(この章続く)

2012年03月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(151)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 これまでの例から明らかにバッテリーに対する防御は隠している駒を釘付けにするかバッテリーの「発射」駒を当たりにするかで、それも隠している駒が当たりにした駒を「遮断」したり取ってしまったりできない場合に限られる。次の局面でフィッシャーは反バッテリーの手で完全に立場をひっくり返した。

フィッシャー対ファウバー
ミルウォーキー、1957年
 26…Nf2

27.Nf4! Rd2

 射撃駒が当たりになっているときは二重チェックしか安全に用いることができない。ここでは 27…Ng4+ は 28.Kh3 で2駒が当たりの状態になる。

28.Kg1

 黒に白ルークを「開く」ようにさせた。

28…Ng4 29.Ne6+ Kh8 30.Rfxf7 黒投了

(この章続く)

2012年03月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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世界のチェス雑誌から(166)

「Chess」2012年2月号(1/1)

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次の一手

第8問 池田惇多 – L.マセソン
オーストラリア、2011年
白の手番

解答
1.Ng6+! hxg6 2.Qh6+ Rh7 3.Rf8+! 1-0 3…Rxf8 4.Qxf8#

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 これはレイティング1500-1800の問題です。制限時間は特に指定されていません。

(この号終わり)

フィッシャーのチェス(150)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 実戦でも非常に役に立つプロブレムの別の主題は次に示すように逆チェックである。これは敵キングにチェックをかけると同時に自分のキングへのチェックを止める開きチェックである。プロブレムの伝承の何千もの例のうち次はおそらく最も鮮明なものである。

G.F.アンダーソン作(1915年)
 2手詰み

1.Kd6!

 開きチェックがいっぱいある。白キングはクイーンの利きを開け 2.Qb7# を狙っている。黒ルークがg6またはd3の地点からチェックしてくれば、バッテリー駒のビショップでさえぎってそれぞれ 2.Be6 または 2.Bd5 で詰みに討ち取る。

(この章続く)

2012年03月21日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(149)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 バッテリーは短い手数に多くの動きを詰め込んでいるのでプロブレム創作において人気のある趣向になっているのは当然である。筋の閉鎖も考慮に入れなければならないとき、バッテリーの効果は非常に驚くべきものになる。次の局面はこれまで創作されたものの中で最も洗練された2手詰めの一つである。

エヘルマン作(1925年)
 2手詰み

1.Rd7!

 ルークを動かしてクイーンをd3の地点の見張りから解放し 2.Qf4# を狙うのは意外でない。しかしこの地点でなければならないことは変化により明らかになる。

1…Qf2 2.Nd8#

 黒クイーンが釘付けを解消すればナイトが動ける。c5とd6の地点はそれぞれ黒キングがe5とd4の地点に逃れるので駄目である。ナイトがこれらの地点へ跳んで詰みになるのは黒クイーンがe5とd4の地点に行って「自己閉鎖」するときである。

(この章続く)

2012年03月20日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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ポルガーの定跡指南(17)

「Chess Life」2003年4月号(2/2)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

スラブ防御(続き)

 C)5.a4

5…Bf5

 これが最もよく指される手である。ほかには 5…Bg4 と 5…Na6 が指されている。

6.e3

 最近では 6.Ne5 e6 7.f3 で中原の支配をすぐに争う手が指されている。この戦型はこの10年で広く研究された。主流手順は黒が駒を犠牲に3ポーンを得るものである。7…Bb4 8.e4 Bxe4 9.fxe4 Nxe4 10.Bd2 Qxd4 11.Nxe4 Qxe4+ 12.Qe2 Bxd2+ 13.Kxd2 Qd5+ 14.Kc2 Na6

これは大乱戦である。スラブ防御を将来の黒番の常用戦法に取り入れることに関心があるならばこの局面についてもっとよく知っておく必要がある。

6…e6 7.Bxc4 Bb4 8.O-O O-O

 8…Nbd7 もある。

9.Qe2

 他に有力な手は 9.Nh4 である。白は双ビショップの優位を得るが、そのためには何手か費やさなければならない。黒は 9…Nbd7 と指して白の意図を無視することができるし、9…Bg4 10.f3 Bh5 11.g4 Bg6 と指すこともでき面白い試合になる。

9…Nbd7

 9…Ne4 なら白はbポーンを犠牲に 10.Bd3 と指すことができる。この手は1937年のアリョーヒンとの世界選手権戦第17局でエーべが指した。白は直接ポーンを取り戻す手段はないけれども、中原だけでなく半素通しのb列でも非常に強い圧力をかけることができる。

10.e4

 10.Ne5 も面白い手で、カスパロフが1992年にアーナンド戦で指したことがある。

10…Bg6

11.Bd3

 この手はe4のポーンを守るためである。白がすぐに 11.e5 と突くのは1953年の名高いチューリヒでの挑戦者決定競技会におけるボレスラフスキー対スミスロフ戦のように 11…Nd5 で黒は何も恐れることがない。その試合は 12.Nxd5 cxd5 13.Bd3 a6 14.Bxg6 fxg6 と進んだ。このように取り返すのは一見奇妙に思えるが、実際はこの戦法ではきわめて普通で 14…hxg6 よりも優る。14…hxg6 は白にh列から攻撃する可能性を与える。

11…Bh5

 この釘付けの手のあと黒は …e6-e5 を狙っている。他には 11…h6 も面白い手である。またナイジェル・ショートがPCA世界選手権戦でカスパロフ相手に試した 11…Qa5 12.e5 Nd5 もあり黒が負けなかった。

12.Bf4

 12.e5 なら 12…Nd5 13.Nxd5 cxd5 14.Qe3 で白が釘付をはずし、このあと 14…h6 または 14…Be7 で本格的な中盤戦になる。

12…Re8

 また …e6-e5 突きを狙っている。

13.e5 Nd5 14.Nxd5 cxd5 15.h3

 この手はいずれ g2-g4 と突けるようにしている。

15…a6 16.Rfc1

 ここはこの戦法の重要な局面である。黒には面白い選択肢が数多くある。16…Bg6、16…Nf8、16…Bxf3、それに奇異な 16…Nb8 さえある。これまでの定跡では形勢不明ということになっている。だからこの布局を指したければ深く研究しておかなければならない。

 しかしすぐに 16…Rc8 と指すのは誤りで、17.Rxc8 Qxc8 18.Bxh7+! Kxh7 19.Ng5+ で白の勝勢になる。

結論

 スラブ防御は得意戦法に取り入れるには良い定跡である。黒は駒を駆使し戦う機会が得られる。しかしその余波と危険性もある。黒が駒を活動させるために払う究極の代価は中原の広さで譲歩するということである。

 局面を正しく理解できれば黒は開けた局面で活発な戦いができる。スラブ防御を常用布局に選ぶならきちんと研究しなければならない。なぜならこれは深く研究されている定跡の一つだからである。

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2012年03月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(148)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 チェックで取るかチェックを避けてバッテリーを作るかの選択が生じることがよくある。これはキャッスリングしたキングに対してf7/f2の地点でルークでもビショップでも取れるときによく起こる。通常は開き攻撃の方がもっと破壊力がある。この複雑な例が次の局面でフィッシャーの相手によって見落とされた。

パルマ対フィッシャー
ブレッド、1961年
 26…exd4

 ここでパルマはチェックを行使して 27.Qxf7+ と指した。しかし 27…Kd8 28.Rxg8+ Kc7 とフィッシャーのキングが逃げ越し試合は引き分けに終わった。バッテリーを作れば詰みの可能性もあった。

27.Bxf7! Rh8

 27…Rxg3 なら 28.Be6+ のあと Qxd7 または Qf7 で詰みになる。このルーク寄りはバッテリーに対してバッテリー駒を攻撃するよくある受けの手段である。

28.Qg7! Kd8

 バッテリー駒はもう攻撃されない。チェックを隠している駒で取ってしまうまでである。

29.Qxh8+ Kc7 30.Qxf6

 これなら白駒が働いている。

(この章続く)

2012年03月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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名著の残念訳(38)

「ボビー・フィッシャー 魂の60局」

57 気分転換 263ページ
『39.g4?
あり得ないポカ。』

何があり得ないのだろうか。

英文『39.g4?
The last blunder.』

辞書によると last には「最も・・・しそうにない」という意味がある(He is the last person to betray others. とても人を裏切るような人物ではない)。しかしここでは当てはまらない。

試訳『39.g4?
最後のポカ。』

58 不完全な名局 265ページ
『フィッシャーはうまく指して優勢な局面にしたが、実戦で正着を見つけるのはひじょうに難しい。・・・ミスが出た。・・・彼は序盤早々から勝ちを求めずに、手堅い戦略合戦に持ち込むべきだった。』

英文『Fischer played better and attained a superior position, but it was very difficult to find the right solution over-the-board… There was his mistake… He has to impose a hard positional game, playing without pretensions for a win in the very opening.』

最後の文を playing without a win in the very opening と解釈したようである。without pretensions で「もったいぶらないで」という意味である。この部分をはずすと playing for a win in the very opening「序盤早々から勝ちを求めて指す」という構文になる。There was his mistake は There is/are XX「XX がある/いる」という構文ではない。この構文の XX には定冠詞や所有代名詞のついた名詞は置けない。His mistake was there が強調のために倒置形になっているだけである。

試訳「フィッシャーはうまく指して優勢な局面にしたが、実戦で正着を見つけるのはひじょうに難しい。・・・そこに彼の誤りがあった。・・・もったいぶらずに序盤早々から勝ちを求めて指しながら、手堅い戦略合戦に持ち込むべきだった。」

58 不完全な名局 269ページ
『24.cxb3 には 24…Nxf6! がとどめとなる。強豪はそれだけでは不十分だと、タラッシュ博士は言った。戦うのも強くなければ。』

「それだけでは」とは具体的に何を指しているのだろうか。「24…Nxf6! がとどめとなる」だけでは不十分だというのだろうか。

英文『After 24.cxb3 Nxf6! is the quietus. It is not enough to be a good player, observed Dr Tarrasch; you must also play well.』

It は仮主語だから「それ」と訳すのは間違いである。真の主語は to be a good player である。

試訳「24.cxb3 には 24…Nxf6! がとどめとなる。うまい選手であるだけでは不十分だと、タラッシュ博士は言った。指すのもうまくなければならない。」

2012年03月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(147)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 ナイトによる開きチェックは非常に強力なことが多いので大きな犠牲も払えることがある。

ソーベル対フィッシャー
モントリオール、1956年
 23…Qg5

 ここではフィッシャーは銃弾の出る側にいた。

24.h4! Qxh4 25.Rh1 Qg5 26.Rxh7+! Kf8

 このルークを取ると 27.Nxf6+ から Ne4+ でクイーンを取られる。フィッシャーは 27.Nxf6 に期待した。それなら 27…Rd2+ で白のクイーンが取れる。しかし白は今度は安全に駒得した。

27.Qxf6 黒投了

(この章続く)

2012年03月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(146)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 フィッシャーが逃さなかった有名なクイーン捨て(何回か言及してきた)はよくあるビショップとナイトとのバッテリーしだいだった。普通はキングが自陣のナイト列の最下段にいる場合に起こるが、その際立つ特徴はここでも同じだった。つまりナイトは無限にチェックできて先手を取り続けるか戦力をかすめ取りながら動き、時には詰ませることもあるということである。

D.バーン対フィッシャー
ニューヨーク、1956年
 17.Kf1

17…Be6!

 多くの妙手のようにこの手もほぼ必然である。なぜならクイーンとナイトが当たりになっていて、17…Nb5 は 18.Bxf7+ Kxf7 19.Qb3+ Be6 20.Ng5+ となるのであまり気が進まないからである。だから好手の記号は本当のところはこの可能性を読んでおかなければならなかった数手前の手に対するものである。クイーン捨ての別の特徴についてもここで触れておかなければならない。黒はクイーンが取られれば好きなだけ何回でも永久チェックをかけることができるので、引き分けを「担保」にとっている。そして取れる戦力は全部取ったあと勝ちにいけるかどうかを決めることができる。多くの目の覚めるような妙手はほんのわずかな危険性で試みられるし、うまくいくならあらゆる賞賛を浴びることになる。

18.Bxb6

 このビショップが動くことによる愉快な点は 18.Bxe6 なら 18…Qb5+ で次のように有名な「窒息詰め」になることである。19.Kg1 Ne2+ 20.Kf1 Ng3+ 21.Kg1 Qf1+! 22.Rxf1 Ne2#

18…Bxc4+ 19.Kg1 Ne2+ 20.Kf1 Nxd4+

 これでポーンが取れたが、もっと重要なことは対角斜筋が通ってナイトがc3の地点に基地を持つことである。

21.Kg1 Ne2+ 22.Kf1 Nc3+ 23.Kg1 axb6

 フィッシャーは勝ちにいくことにし41手目で勝った。ついでに言えばビショップの取り返しで白クイーンに対する開き攻撃になっていることが重要で、ルークを取る先手が得られた。

(この章続く)

「ヒカルのチェス」(260)

「Chess Life」2011年12月号(3/4)

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グランドスラム大会(続き)

 イワンチュクの第6回戦でのナカムラ戦勝利は盤上と盤外の両方の意味で大会での驚嘆の出来事だった。

 不振に陥っても仕方がないのはイワンチュクだった。彼と妻はブラジルで空港行きのタクシーに乗りこんだときに銃を持った二人組みに金品を強奪されるという災難にあって遅れてビルバオに到着していた。

 イワンチュクは愛用の木製のチェス盤駒を取られたことを残念がったがそれ以外は動じていないようで「考えてみれば特に貴重なものは何もなかった」と言った(パスポートの入ったハンドバッグを取られた妻のオクサナはそうでもなかったようだった)。

 イワンチュクのナカムラとの試合はゆっくり進んで-きっと時差ぼけの影響だろう-すぐに二人とも時間に追われだした。ナカムラは弾丸チェス(持ち時間1分のチェス)で世界の第一人者と目されているのでこれは彼の思うつぼと思われたが、どたばたの中でイワンチュクに完全に圧倒された。イワンチュクは最後の10手を30秒で指しどの手も正確だった。ナカムラは「ああいうふうに終わったのは非常に残念だった」と言った。「二人ともポカを出さないようにしていたところで時間に追いまくられた。」

グランドスラム最終戦、ビルバオ 第6回戦
シチリア防御/カン戦法 [B43]
GMワシリー・イワンチュク(FIDE2765、ウクライナ)
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2753、米国)

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 a6 5.Nc3 Qc7 6.Bd3 Nf6 7.f4!?

 白の最後の3手は個々には自然だが変わった構えで、ナカムラはすぐにつけ込もうとする。7.O-O なら普通である。

7…Bb4

8.Nb3!?

 イワンチュクが即興で指しているのは時間の使い方から明らかで、既に30分も使っていた(ナカムラもすぐに追いつくことになる)。本譜の手が普通でないのは(例えば 8.Bd2 なら普通)ポーンの犠牲を伴っているからではなく、白が普通はシチリア防御の 4…Qb6 5.Nb3 Qc7 という手順を経由してこの局面に至るからで、白が1手遅れている。

8…Bxc3+ 9.bxc3 d6 10.Ba3!

10…O-O

 10…Qxc3+ は危険すぎる。11.Qd2! Qc7(11…Qxd2+ は 12.Nxd2 d5 13.exd5 exd5 14.O-O で、a3のビショップが大威張りになる)12.O-O となって、ポーンの代償がいっぱいある。

11.Qd2

 なぜイワンチュクがここでcポーンを助けたかはまったく見当がつかない。というのは 11.O-O のあと白はすぐに Rf3 で間接的にこのポーンを守れるからである。しかしイワンチュクは満足していた。彼はあとで「布局はうまくいって攻撃の見通しが立った」と説明した。

11…Rd8 12.O-O Nc6 13.Rf3 b5 14.Rg3 Kh8 15.Rf1 Bb7 16.f5 Rg8 17.Qg5

17…e5?!

 イワンチュクはこの手に疑問を呈した。この手で自分の攻撃に歯止めがかからなくなったと考えている。彼の考えでは 17…exf5 18.Rxf5 で黒が指せるが、一番気にしていたのは 17…Ne5! だった。例えば 18.fxe6 なら 18…Nxe4! 19.Bxe4 Bxe4 となって彼は白がどう指したらよいか分からなかった。

18.Qh4 Ne7

 18…Nb8!? から …Nbd7 を目指すのは 19.Rh3 Nbd7 20.g4 で致命的に遅いように見える。しかしここで黒には 20…g5!!

という驚くべき(コンピュータの)手段がある。21.fxg6e.p. Rxg6 となれば 22.g5 には 22…Rxg5+ 23.Qxg5 Rg8 と応じることができる。

19.Rh3 d5

20.Nc5

 イワンチュクは中央で持ちこたえることができれば攻めきることができると確信していた。もっともはめ手含みの 20.Rff3!? で 20…dxe4 21.Qxh7+!! Nxh7 22.Rxh7+ Kxh7 23.Rh3# を期待するのはもっと直接的で、20…Rgc8 には実戦のように 21.Bxe7 Qxe7 22.g4 と応じる意図である。

 ケビン・スプラゲット推奨の 20.Bc1!? もかなり有望そうである。例えば 20…dxe4(20…Rgc8 には 21.g4! が強手で …h7-h6 という受けはc1のビショップために不可能になる)21.Bg5 Ned5 22.Bxe4 となれば黒はあっさりやられる。

20…dxe4 21.Bxe4 Bd5 22.g4!

22…h6

 ナカムラはこの手に残り時間の半分ほどを費やした。この手は1ポーンを犠牲にして白の攻撃を食い止める。22…Qb6 で 23.g5? Bxe4 24.gxf6 gxf6+ を期待するのは 23.Rf2 がぴったりした受けになる。

23.g5 Nh7 24.f6 Ng6 25.fxg7+ Rxg7 26.Qxh6 Rd8

 ここまででナカムラはブリッツ指しが始まっていたが、攻撃の第1波をしのぎ相応の反撃の機会があると当然ながら満足していた。しかしイワンチュクは最後の熟考をし、ナカムラを減速させる独創的な作戦を考え出した。

27.Bxg6 fxg6 28.Rf6! Qc8 29.Rh4! Bf7 30.Nd3

30…Kg8?

 ナカムラ「30…Rxd3! と取るつもりだったが 31.cxd3 Qxc3 32.Bb4 Qc1+ のあと白が 33.Kf2!(33.Rf1 は 33…Qe3+ で引き分けにしかならない)と指せると考えた。しかしもちろんこう指すべきだった。」

31.Bd6! e4

 31…Re8 の方がまだ見込みがあった。32.Bxe5? なら 32…Rxe5! 33.Nxe5 Qc5+ で良いが、32.Nxe5! なら白が優勢である。例えば 32…Qxc3 Qxg7+! でクイーンの代わりに望外に多くの駒が取れる。

32.Be5! Rd5 33.Rc6 Qf8

34.Bxg7

 早く詰ませる 34.Rc8! のような華麗な手を気にかける時間はなかった。

34…Qxg7 35.Rxe4 Rxg5+!

 いちかばちかの手でイワンチュクにはショックだったかもしれない。もっとも彼がクイーンを「捨てて」もまだ勝っていると読む間に時間切れになるほど長くはなかった。

36.Qxg5! Nxg5 37.Rc8+ Be8 38.Rcxe8+ Kh7 39.Rh4+ 黒時間切れ負け

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(この号続く)

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フィッシャーのチェス(145)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 価値の低いポーンでさえ危険なバッテリーを隠し持つことができる。特に開き攻撃のあとはクイーンに昇格する狙いがあるだけになおさら危険である。フィッシャーはジーゲンオリンピアードの直後の次の友好対局でこの可能性を見逃した。

フィッシャー対アンデルソン
ジーゲン、1970年
 33…Ne6

 ここでフィッシャーは 34.Be5 と指し十分楽に勝ちきった。しかし気の利いた手があった。

34.Rxf5! gxf5 35.Rg7 Qf8 36.Qxe6!! Rxe6 37.f7

 g8の地点での二重チェックは致命的だし 37…Qxg7 なら 38.f8=Q# で終わる。

(この章続く)

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フィッシャーのチェス(144)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 盤上からポーンや駒が消えていくにつれてキングに対する開きチェックは、散在し浮いている戦力を拾い集めるのに最高の可能性となる。ビショップとルークによるバッテリーの手本は次の明快なスタディである。

ビアンケッティ作(1925年)
 白先白勝ち

1.Bb2

 この手は直感で浮かぶがそれでも黒ルークが取られることになることは自明でない。黒ルークはキングの近くにいなければならない。さもないとバッテリーによってかっさらわれてしまう(例えば 1…Rf1+ 2.Rd1+)。しかしf7にもg6にもキングの逃げ道をふさぐので行けない(1…Rf7 2.Rh4+ Kg8 3.Rh8#)。だからf8かh6に行かなければならない。

1…Rf8 2.Rd7+ Kg8 3.Rg7+ Kh8

 ここでどう指すかである。黒ルークは必ずキングによって守られる。

4.Ka2!

 4.Kb1 には 4…Rf1+ があるのでこの手が絶対である。黒ルークは安住の地を去らなければならずバッテリーによって取られてしまう。

(この章続く)

2012年03月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: フィッシャーのチェス

世界のチェス雑誌から(165)

「New in Chess」2012年第8号(1/1)

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ホウ・イーファンがタイトル防衛

 ほとんど一方的ともいえる驚きの結果で女流世界チャンピオンのホウ・イーファンがインドの挑戦者ハンピー・コネルを相手にタイトルを防衛した。アルバニアの首都のティラナで中国の17歳の選手権者は少しだけレイティングの高い相手にまったく危なげなかった。第3、6、7局に勝って10番勝負の8局目で早々と決着させた。そのため両選手は来賓で元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフによる大統領宮殿での授賞式まで1週間も滞在を続けなければならなかった。ホウ・イーファンはティラナでの思いがけない自由時間の一部を快く割いて、気に入っている試合を我々のために解説してくれた。


女流世界選手権を連覇したホウ・イーファンがFIDE会長のキルサン・イリュームジノフ、来賓のミハイル・ゴルバチョフ、そして熱心に応援してくれる母と共に記者団の前でポーズをとっている


記録を破り続けているホウ・イーファン。これまでは女流世界チャンピオンが17歳でタイトル防衛を行なったことはなかった。

解説 ホウ・イーファン 

[D38]
ハンピー・コネル
ホウ・イーファン

ティラナ、2011年、第3局

 この試合は2局引き分けが続いたあとの第3局である。この番勝負の初勝利で、気に入っている試合である。

1.d4 e6 2.c4 Nf6 3.Nf3 d5 4.Nc3 Bb4 5.cxd5 exd5 6.Bg5 h6 7.Bh4 c5 8.e3 c4

9.Be2

 ここでの主流手順は 9.Nd2 で、アレクサンドラ・コステニウクが2011年ロストフでのグランプリで私相手に指してきた。

9…g5 10.Bg3 Ne4 11.Rc1 Qa5

12.Ne5!

 これはべセリン・トパロフ創案の強手である。白がキャッスリングを先にすると次のように永久チェックになるかもしれない。12.O-O Bxc3 13.bxc3 Nxc3 14.Rxc3 Qxc3 15.Ne5 O-O 16.Bh5 Be6 17.Bg6 Nd7 18.Nxd7 Bxd7 19.Qh5 Rae8 20.Qxh6 fxg6 21.Qxg6+

12…Bxc3+ 13.bxc3 Nc6 14.O-O

14…O-O

 これは面白い新手である。対局中私は以前に 14…Nxc3?! が何回か指されたことがあることを思い出していた。しかし黒にとって危険そうである。例えば 15.Rxc3 Qxc3 16.Bh5 O-O 17.Qf3 Kg7 18.Qxd5 Be6 19.Qe4

黒は交換得だが白には代償が十分にある。黒キングは薄いし、白の小駒はすべてキング翼攻撃に加わっている。

15.Bf3!

 この手は研究の成果である。今回ハンピーの布局の準備は本当に素晴しかったし充実していた。そのため私は序盤に多くの時間を割くことを強いられた。

15…Nxg3 16.fxg3 Nxe5

 この手が急所である。他には e4 突きを防ぐ 16…f5 や 16…Be6 17.Bh5 Qxa2 18.Rf6 がある。

17.dxe5 Be6 18.Bh5

18…Qxa2

 黒にはこれより他に良い選択肢はない。キング翼はもう弱体化しているので反撃に出る時機である。安全策は次のように功を奏さない。18…b5 19.Rf6 Kg7 20.Qf3 Qc7 21.Rf1 Qxe5

22.h3!(22.Bxf7 は 22…g4! 23.Qf2 Bxf7 24.Rxf7+ Rxf7 25.Qxf7+ Kh8 で白は何もでかしていない)22…Qc7 これで黒は1ポーン得しているけれどもただ待っているしかなくその間白は陣形を強化する。

19.Rf6 Qb2!

 これは強情な手である。対局中私はこの局面に非常に不安を感じていた。そのためここでほぼ30分も時間を費やした。最初に考えたのは次のような作戦だった。h6のポーンを守り、クイーンをc7の地点に戻してe5のポーンを攻撃するとともに自陣の2段目を守る。しかし白に Qf3 から Rf1 を許してすべての駒でf7の地点を攻撃させると、次のように黒は苦戦に陥る。19…Qa5 20.Qf3 Qc7 21.Rf1 Qxe5 22.Bxf7+ Bxf7 23.Rxf7 Rxf7 24.Qxf7+ Kh8 25.h3

20.Rxh6?!

 これは最も自然な手である。ここでは両者とも次の強力な作戦を見落としていた。20.h4!(この手はg5のポーンを弱め、白キングに安全な所を作ってあとで適当なときにクイーンをキング翼に向かわせるためである)20…Kg7 21.Kh2 Rae8 22.Rc2

白の攻撃が強力である。

 20.Rc2 は 20…Qb6 21.Qd2 Qc7 22.Qd4 Qb6 で互角の形勢である。

20…Bf5

 これが 19…Qb2 の眼目の狙いだった。ビショップをh7-b1の斜筋に移し、ルークをe8に回して重要なe5のポーンを取る。白のルークとビショップがこの着想を防ぐのは容易でない。

21.Rf6

 21.Bf3 も面白い着想で 21…Bg6 22.h4!(他の手だとルークを取られるので絶対手である)22…Rae8 23.Kh2 Rxe5 24.Qd4 Rfe8 25.hxg5! Qxc1 26.Qh4 Kg7 27.Rxg6+

となれば永久チェックがかかる。

21…Be4

 たぶん次のようにビショップをすぐにd3まで進ませた方が良かっただろう。21…Bd3 22.e4!(22.Rf2 Qb6)22…dxe4 23.Rf2 Qb6 24.Qg4 Qe3 25.Rcf1! Bxf1 26.Qf5 Be2 27.Bxf7+ Rxf7 28.Qxf7+

22.Bf3?!

 正着は 22.Rf2 だった。例えば 22…Qb6 23.Qd2 Rae8 24.Rcf1 Rxe5 25.Rf6 Qc5 26.Qf2

となれば、黒はe5のポーンを取ったが次のように白駒の方が働きが良い。26…Bd3 27.Bxf7+ Rxf7 28.Rxf7 Bxf1 29.h3! Qxe3 30.Rf8+ これで引き分けになる。

22…Bd3

23.Qe1?!

 ハンピーはこの手に30分以上考えた。実際白のしのぎは容易でない。例えば 23.h4 なら 23…Rae8 24.Bxd5 Rxe5 25.e4 Kg7 26.Rf2 Qb6 となってd3のビショップが非常に強く重要なf1の地点を押さえていて黒が少し優勢な局面になる。

23…Rae8 24.Bxd5 Rxe5 25.e4

25…Kg7?!

 これは普通の手である。対局後の記者会見でコンピュータは私が対局中に見逃した強手を見つけた。25…Rd8! 26.Rf2 Qb6 27.Bxf7+ Kg7 28.h3 Rxe4 29.Qd2 Qc5 30.Kh2 Rf8

これで黒がビショップを取ってはっきり勝勢になる。

26.Rf2 Qb6 27.Qd2

 他の手ではすぐに負けになる。例えば 27.Kh1 なら 27…f5、27.g4 なら 27…Rd8 である。

27…Rd8 28.Qb2

 ここで相手は数分しか残っていないのにまだ12手も指さなければならなかった。彼女はひどい時間切迫にもかかわらず最善手を見つけてきた。代わりに 28.Kh1 なら 28…Bxe4 29.Rxf7+ Kh8 でビショップが取られる。

28…f5

 この手が最も簡明である。他には 28…Qe3もあり 29.h3(29.Kh1 なら 29…Rd7 30.Rf3 Qe2 31.Qxe2 Bxe2 32.Rf2 Bd3)29…Bxe4 30.Bxe4 Qxe4 となってやはり黒が優勢である。

29.Qxb6 axb6 30.Bxb7 fxe4 31.Rb2?

 これが最後の悪手でたちまち負けに直結した。ここでの最善は 31.Ra2 で、黒は 31…g4! で重要なf3の地点を支配し明らかに優勢である。

31…Re7!

 この手はビショップをa8-h1の斜筋から追い払い、黒がeポーンを突いたときにこのビショップがf3の地点に下がれないようにするためである。

32.Bc6 Rd6 33.Ba4 e3

 このパスポーンで勝ちが見えた。

34.Re1 e2 35.Bc2 Rf7 36.Bxd3 cxd3 37.Rd2 Rdf6 白投了

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(この号終わり)

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カテゴリ: 世界のチェス雑誌から3

フィッシャーのチェス(143)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 実戦ではバッテリーを作るか単にバッテリーを隠していた駒を移動するかの選択肢がよく発生する。違いは歴然としている。例えば次の局面ではフィッシャーは 35.Rxg5 から 36.Qh3 と指して戦力損を避けることができた。しかしそれではどうやったら勝てるのか判然としない。代わりに彼は敵キングに対するバッテリーを作り、いくつかの破壊的な手の選択肢が自分のルークに得られるようにした。

フィッシャー対ボルボチャン
ストックホルム、1962年
 34…fxg6

35.Qb3! Rxf4 36.Re5+!

 このプロブレムのような手でフィッシャーは名局賞を得た。黒はルークを守るために詰まされることになる。

36…Kf8 37.Rxe8+ 黒投了

 フィッシャーは 37…Kxe8 38.Qe6+ Kf8 39.Qc8+ Bd8 40. Qxd8# の3手詰みを宣言することもできた。詰みを宣言するのはもうはやらなくなっている。しかし1918年ニューヨークでの歴史的なカパブランカ対マーシャル戦のような最近の試合でもカパは6手詰みを宣言していた。この試合でマーシャルはルイロペスに自分の名前を刻むギャンビットを披露した。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

フィッシャーのチェス(142)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 ナイトは一般に二つの筋を開けることができる。いわば二重の開き攻撃である。これが次の局面でのフィッシャーの 18…Bh6 の根拠だった。

ダムヤノビッチ対フィッシャー
ブエノスアイレス、1970年
 18…Bh6

 …Nxe4+ があるので白は 19.Bxh6 と取れない。開き攻撃が白キングに対する一つしかないならば、クイーンまたはビショップをe3の地点に割り込ませることができるので致命的なことにはならない。しかしここでは白ルークも黒ルークにより開き攻撃で当たりにされているのでクイーン交換のあと取られてしまう。だから・・・

19.f4!

 ・・・で互角の形勢だった。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

善意を無視で返す民主党

読売新聞電子版2012年3月12日付け
追悼式で台湾代表が献花できず

産経新聞電子版2012年3月12日付け
追悼式で台湾冷遇、指名献花から除外

産経新聞電子版2012年3月14日付け社説
台湾への非礼 日本人として恥ずかしい

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カテゴリ: 我楽多

ポルガーの定跡指南(16)

「Chess Life」2003年4月号(1/2)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

スラブ防御

 今月はスラブ防御を取り上げる。

 世界の一流選手の多く、例えばクラムニク、ハリフマン、イワンチュク、モロゼビッチ、シロフ、ローチェ、本誌でおなじみのレフ・アルバートがこの布局を黒番での常用戦法の一部に採用している。反撃力に富むこの戦法は黒にとって楽しみな布局である。しかし時には多くの危険に直面することもある。

黒の基本的な作戦

 黒はc4のポーンを取ることにより白の自然な展開を邪魔することを期待する。黒のe6のポーンがc8のビショップの展開を妨げるクイーン翼ギャンビット拒否と比較すると、スラブ防御ではこのビショップがh3-c8の斜筋に展開できる。黒は場合によっては …b7-b5 と突いてからこのビショップをb7の地点に据えることもある。黒の二つのビショップはより積極的な働きをする。

白の基本的な作戦

 白はポーンを取り返さないで迅速に展開することもできるし、ポーンを取り返して中原に強力なポーンを維持することもできる。白が優勢を達成するための最善の策は 5.a4 と突くことにより黒が …b7-b5 と突いてc4のポーンを守るのを阻止することである。

 それでは評決はどうなるだろうか。この布局では黒は駒を活動的に用いることができる。しかし欠点は黒が中原で譲歩することである。黒はc4のポーンを取ることによって基本的にe4の地点を白に譲る。スラブ防御は黒にとってより攻撃的な防御の一つであるが、多くの研究と分析が必要でもある。

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6

 ここは白にとって分かれ道である。d5で交換すれば(4.cxd5)たぶん退屈な引き分けに終わる対称形で安全な局面になり、4.e3 と突けば準スラブかメラン防御に移行する。しかし今回とりあげるのは 4.Nf3 だけである。

4.Nf3 dxc4

 白には次の3戦型があり、たまたまどれもポーンを突く手である。

 A)5.e3
 B)5.e4
 C)5.a4

 A)5.e3

 これは最も堅実な手である。しかし白はポーンを取り返す以外布局からなんの成果も得られないことが往々にしてある。

5…b5 6.a4 b4

 もちろん 6…a6 でポーンを長く保つことはできない。なぜなら 7.axb5 cxb5 8.Nxb5 で白がa列の釘付けのおかげでポーンを取り返し優勢になるからである(c4のポーンが弱点になる)。本譜での白の問題はナイトがあまり気の進まない地点にしか行けないということである。

7.Nb1

 レシェフスキー対スミスロフ戦(1945年のラジオによる米国対ソ連)では 7.Na2 e6 8.Bxc4 Bb7 9.O-O Be7 10.Qe2 O-O 11.Rd1 a5 12.Bd2(もっと最近では2003年シアトルでのサーパー対ドナルドソン戦で 12.b3 が指された)12…Nbd7 で黒が好調だった。黒の作戦は …c6-c5 と突いてb7のビショップを働かせることである。

7…Ba6 8.Be2 e6 9.O-O Be7 10.Nbd2

 ここで白はようやくポーンを取り返す態勢を取る。

10…c3 11.bxc3 bxc3 12.Nb1 Qa5 13.Ba3 c5

 形勢は互角である。

 B)5.e4

5…b5 6.e5 Nd5 7.a4 e6

 これが最もよく指される手だが、私は1992年に有名な元女流世界チャンピオンのノナ・ガプリンダシビリ戦で大胆な 7…Bf5 を指しあっさりと勝ったことがある。

8.axb5 Nxc3 9.bxc3 cxb5

 ここから白は攻撃的に指さなければならない。さもないとポーン損の代償が得られないし、黒はゆっくりと展開を完了しキングを安全地帯に移すことができる。

10.Ng5

 11.Qf3 で両当たりになる見え見えの狙いがある。

10…Bb7 11.Qh5

 これは黒陣を乱そうという手である。

11…g6

 11…Qd7 という手もある。

12.Qg4 Be7

 自然な 12…Bg7 は 13.Ba3 でキャッスリングが困難になるから良くない。

13.Be2 Nd7

 いい勝負である。

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カテゴリ: ポルガーの定跡指南

フィッシャーのチェス(141)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 フィッシャーの最もめまぐるしい手筋は原位置に長居しすぎたキングに対するものだった。ドナルド・バーンとの有名な「世紀の試合」(後出)でのように、この全米選手権戦での試合では開き攻撃を用いて敵キングに対するバッテリーを築き2度目の開き攻撃では勝ちの収局に持って行った。

セイディー対フィッシャー
ニューヨーク、1965-66年
 15.Bxc4

15…Nxe5!

 このナイトはf7の地点も守っている。当たり前だがそうでなければこの手は成立しない。敵クイーンを開き当たりにしたこのナイトが取られないのは 16.dxe5 Qxd5 17.Bxd5 Rxe5+ で駒の取り返しが効くことから分かる。

16.Qxd8 Nxc4+! 17.Qxe8+ Rxe8+ 18.Kd1 Nxd2 19.Kxd2 Re2+ 20.Kc1 Rxf2

 この一連の手筋で注目すべきことは黒が交換損の収局に至ることである。しかし白のキングとルークが無力な状態なのでフィッシャーが比較的楽に勝った。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

再び「ありがとう、台湾」

産経新聞2012年3月11日付け
「ありがとう、台湾」テレビや新聞に広告を掲載

読売新聞電子版2012年3月11日付け
巨額義援金の台湾へ感謝の言葉…交流協会がCM
 
 
日本赤十字社2012年3月11日付け広告より

読売新聞電子版2012年3月10日付け
不満たらたらの中国

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カテゴリ: 我楽多

名著の残念訳(37)

「ボビー・フィッシャー 魂の60局」

56 フィッシャー変化 258ページ
『22.gxh3 e4
決してあきらめない!』

英文『22.gxh3 e4
Never say die!』

これより前の方に「18…Bxh3 自暴自棄!」「19…Nxe5 完全なる自暴自棄!!」とあるからグリゴリッチは完全にあきらめている。フィッシャーはグリゴリッチが投了しないのを皮肉っているのであろう。

試訳『22.gxh3 e4
あきらめが悪い!/往生際が悪い!』

56 フィッシャー変化 258ページ
『25.Qc2
地固めするタイミングだった。25.Qa6 でもはめ手になる。』

「でも」とあるからには 25.Qc2 も 25.Qc2 もはめ手のようだが、相手をどのようにはめようとしたのだろうか。そもそも 25.Qc2 は「地固め」の手のようだが。

英文『25.Qc2
Time to consolidate. 25.Qa6 also does the trick.』

do the trick は「目的を達する、うまくいく」という意味である。例えば Another turn of the pliers should do the trick. は「もう一度ペンチを回せばうまくいくはずだ」という意味になる。

試訳「25.Qc2
自陣を引き締める頃合である。25.Qa6 でもよい。」

56 フィッシャー変化 258ページ
『あるハバナの新聞によると、よくわかっていない観衆の中には、白がルークの代わりに2つのマイナーピースを得ただけではないかと思った者もいたらしい。誰も、グリゴリッチが2ピース損で指していたとは思っていなかったのかもしれない!彼は、突然不快な現実に目を覚まされた・・・。
1-0』

英文『According to a Havana newspaper, some casual spectators who had just wandered in thought White had merely won two pieces for Rook. Nobody could believe that Gligoric was playing on two pieces behind! The rude awakening came when …
25… Black resigns』

この段落は観衆の反応について書かれている。グリゴリッチが2ナイト損に気づいていないはずはない。だから rude awakening は観衆のはずである。

試訳「・・・彼らは突然事実に気づいて愕然とした!」

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フィッシャーのチェス(140)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃(続き)

 開き攻撃の威力はもちろんキングが攻撃目標のときに最も強く感じられる。次の創作収局でナイトはすぐに戦力得することはできない。しかし正しい初手を選ぶことにより連続チェックの狙いで詰ませるかルークを取ることができる。

クッベル作(1912年)
 白先白勝ち

1.Nf8+! Ke8

 1…Kc8 は壁に追い詰められる。2.Rc1+ Kb8 3.Nd7+ Ka7 4.Ra1#

2.Ne6 Rg8

 ルークがh7の地点に逃げると 2…Rh7 3.Rd8+ Kf7 3.Ng5+ でルークが取られ、f7の地点に行くと 2…Rf7 3.Rd8# で詰まされる。しかし本譜の手でもキングの逃げ道をふさぐのが致命的で上記と同様の手順に屈する。

3.Nc7+ Kf7 4.Rf1+ Kg7 5.Ne6+ Kh6 6.Rh1#

 明らかにe6がナイトにとって急所だった。しかしc5の地点からそこへは行けなかった。なぜならルークのc列での利きをふさいでしまうからである。

(この章続く)

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フィッシャーのチェス(139)

第4部 手筋(続き)

第16章 開き攻撃

 これには何の神秘もない。筋を開ける駒(ルーク、ビショップ、クイーン、そしてポーンでさえ)は二重または三重の狙いを作り出すことによる開き攻撃が可能である。「バッテリー」駒は攻撃の(あるいはあとで見られるように防御の)新しい筋を得る。そして「隠している」駒は最適な地点を選んで移動することができる。

 筋の開通と閉鎖は釘付け、準釘付け、焦点、チェック、十字チェックなどを伴うがチェスにおける最も強力な手である。F.ボークス・ウィルソンはチェス創作の論理の飽くことのない提唱者だが、チェスのそれぞれの手に関する活動の得点表を考案した。彼の質問はいつも「それは何をするのか」だった。開き攻撃が他のどんな一般的な手よりも「多くのことをする」のは驚くべきことではなく、そのため彼の「評価法」では高い評価になる。この評価法は今では個々の手の相対的な威力の最良の近似として受け入れられている。

 筋の開通(以後は一般に「開き攻撃」と呼ぶ)は本質的に1手による2手指しであるけれども、その効果は見た目でほどには評価されないことがよくある。

フィッシャー対ディ・カミッロ
首都ワシントン、1956年
 39…Rb7

40.Bc7!

 dポーンを守る手段が他にないのでこの一手である。しかしフィッシャーはdポーンをこの危なっかしい地点に進ませるずっと前にこの手を読んでおかなければならなかった。ここで黒は 40…Nf4+ 41.Kf1 のあと最下段での詰みが防げないので投了しなければならなかった。しかし白のこの手自体は深遠さでも想像力でも「妙手」というほどではなかった。論理的というだけである。e列が開通すれば黒クイーン捕りが約束される。この開通に対する唯一の受けはdポーンを取ることである。だから白はポーンが取られないようにする唯一の地点にビショップを進ませた。証明終わり。

(この章続く)

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「ヒカルのチェス」(259)

「Chess Life」2011年12月号(2/4)

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グランドスラム大会(続き)

 ナカムラの一番の好局は世界第3位とのマラソン収局の勝利だった。カパブランカにも匹敵する収局の技術だった。

グランドスラム最終戦、ビルバオ 第8回戦
クイーン翼ギャンビット拒否/準スラブ防御 [D31]
GMヒカル・ナカムラ(FIDE2753、米国)
GMレボン・アロニアン(FIDE2807、アルメニア)

1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 Be7 4.cxd5 exd5 5.Bf4 c6 6.e3 Bf5 7.g4!?

 この積極果敢な手はボトビニクが1963年のペトロシアンとの世界選手権戦(防衛できなかったが)で採用してはやらせた。

7…Be6 8.h4 Nd7

 8…Bxh4?! は 9.Qb3 で黒が受け方に困る。

9.h5 Nh6 10.Be2 Nb6 11.Nh3 g5! 12.hxg6e.p. hxg6

13.Bg3?!

 ナカムラは対局後「布局はなんとも言えない。我々が独自の手を指し始めたのは20手を過ぎてからだった」と語ったが、実際は不注意な手順のために(13.f3 と指さなければならず 13…Bh4+ は14.Kd2 で怖くない)アロニアンに一撃が生じていたことに気づいていなかった。

13…Qd7?

 13…Nxg4! 14.Bxg4 Qd7! なら黒のポーン得になり白が代償を得るのに苦労しただろう。

14.Nf4 O-O-O 15.Nxe6 Qxe6 16.Rg1 Bd6 17.Qc2 Bxg3 18.Rxg3 f5 19.O-O-O! Nxg4 20.Bxg4 fxg4 21.Rdg1 Rh4 22.Qe2 Rf8 23.Nd1! Rf4! 24.Kd2!

 「布局からほとんどすぐに非常に奇妙な収局になった。Kd2-e1 は非常に変な動きだが悪い手ではない」とナカムラは言った。

24…Nc4+ 25.Ke1 Rf3 26.Rxf3 gxf3 27.Qxf3

27…Qf5?!

 ナカムラは「27…Qf5 の前までは黒の指せる局勢だった。コンピュータはたぶんまだ引き分けになると言うだろう。しかし人間には指すのがとても難しい」と言った。「重要な問題は代わりに 27…Qe7 と指せるかどうかということだ。28.Rxg6 Qb4+ 29.Nc3 のあと 29…Qxb2 と取れないので白がいいと思う。というのは 30.Rg8+ Kc7 31.Qg3+! で黒は 31…Kb6 が 32.Na4+ のために指せないからだ。しかし 28…Qb4+ の代わりに 28…Rxd4 が非常に面白い手だ。」[のちの分析で 29.Qg3! で白の勝ちになることが分かった-I.ロジャーズ]

 27…Qe7 が成立しないとなればアロニアンは 27…Nd6 に甘んじるべきだった。それならgポーンは当分は安全である。

28.Qg3 Rh6 29.b3! Nb6 30.Qg4!

 アロニアンは「この局面にすべきではなかった」と認めた。「30.Qg4 を見落としていた。しかし勝負の流れが変わってポカに戸惑っているときにはそういうことが起こるものだ。」

30…Nd7 31.Qxf5 gxf5 32.Nc3 Nf6 33.Ne2 Ng4 34.Nf4 Rh2 35.Nd3

 白にとってほとんど申し分のない収局である。白はゆっくりと陣形を改善していくことができ、黒はその間何もできない。f2の地点に対する黒の圧力は厄介だが、白は最終的にはキングをg3に置いて f2-f3 突きを狙うことにより黒ルークを退却させることができる。

35…Kd8

 黒は陣地を少し広げるためおよび/または白が進出してきたときポーンを交換するために 35…a5 と突くことが必要だった。

36.b4! Ke7 37.a4 b6 38.Ke2 Kd6 39.Kf3

39…a5?

 黒は時間切迫であわてた。これで白駒がc5の地点を使えるようになる。「引き分けのはずだった」とアロニアンは認めた。「しかし悪手をたくさん指して困惑していたので立ち直れなかった。そんな日もあると思う。」

40.bxa5 bxa5 41.Kg3! Kc7?! 42.Rc1

 これにより何も台無しになってはいないが 42.f3! Rd2 43.fxg4 Rxd3 44.g5!! Rxe3+ 45.Kf4

なら非常に速い勝ち方だった。

42…Rh7 43.Kf4 Re7

44.Rc2

 「あわてない」がこの試合のナカムラの方針である。44.Kxf5? Nxf2! がアロニアンの期待している類の事故である。

44…Re4+ 45.Kg5 Re8 46.Rb2

 白はまたしても冷静である。46.Kxf5 Rxe3!? 47.Ne5! Nxe5 48.fxe3 Nc4

でも白の勝ちには違いないが遅いかもしれない。

46…Rf8 47.Nc5 Kc8 48.Kf4 Rh8 49.f3

49…Nh2

 どうにでもしてくれという手だが、49…Nh6 は 50.Rh2 でルークとナイトが身動きが取れずその他の手ならfポーンがただで落ちる。

50.Rf2! Rh3 51.Nb3 Kc7 52.Nxa5 Kb6 53.Nb3 Ka6 54.Nc1 Ka5 55.Ne2 Kxa4 56.Ng1 Rh6 57.Kg3 Ng4 58.fxg4 fxg4

59.Rf5

 要注意!59.Kxg4? は 59…Rg6+ でやはり事故になる。

59…Rh1

 多くの観戦者はここでアロニアンの投了を期待していた。しかし翌日が休養日なので世界第3位は起こりそうもない大逆転を追求しても何も失うものはないと決めた。

60.Kg2 Rh4 61.Ne2 Kb5 62.Nf4 Rh8 63.Kg3 Rg8 64.Re5 Kc4 65.Re6 Kb5 66.Re7 Kb4 67.Nd3+ Kc3 68.Ne5 c5 69.dxc5 d4

 アロニアンの終わりの方の手は投了前の自爆に見える。しかし有名なアロニアンの見せかけに引っかからないようにナカムラが腰を落ち着けて10分考えたのは立派だった。

70.exd4 Kxd4 71.Nd7!

 71.c6? は 71…Kd5 72.c7 Rc8! で信じられないようなルーク+ナイト対ルークの引き分けの収局になる。

71…Rd8 72.c6

 72.Re6! Rxd7(72…Kd5 なら 73.Rd6+)73.Rd6+ の方がスマートな勝ち方だった。

72…Rc8

73.Re6!

 勝つにはこの手しかない。73.Ne5? は 73…Kd5! と応じられて急に …Kd6 が止められなくなる。例えば 74.Kf4 なら 74…Rf8+! 75.Kxg4 Kd6 である。

73…Rc7 74.Rd6+ Kc4 75.Kxg4 Kb5 76.Ne5

 ここまでくればあとは簡単である。

76…Rh7 77.Rd7 Rh8 78.Kf5 Kb6 79.Ke6 黒投了

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(この号続く)

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カテゴリ: ヒカルのチェス3

フィッシャーのチェス(138)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 ルークによる最も単純な両当たりの精密な美しさは前題の最後の変化だけでなく次の基本的な収局にも織り込まれている。

トロイツキー原作(1896年)
 黒先引き分け、キングを入れ替えて白先白勝ち

 黒は手番ならば白ルークによる明らかなチェックのあとの a8=Q を防がなければならない。次の手が絶対である。

1…Kg7!

 1…Ke7 は 2.Rh8 で、ポーンを取ると 3.Rh7+ でルークによる串刺しにあう。この局面の面白いところはキングを入れ替えると黒がたとえ手番でも変わった理由により負けになることである(トロイツキーのスタディを少し変えてある)。

1.Ke5

 白の狙いは Rf8+ である。黒キングは白キングの背後に隠れようとする。

1…Ke3 2.Kd5 Kd3 3.Kc5 Kc3 4.Rc8!

 キングとルークのバッテリーができた。

4…Rxa7 5.Kb6+

 これで白の勝ちになる。

(この章終わり)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

フィッシャーのチェス(137)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 最後はキングが収局でいかに両当たりに引っかかりやすいかの基本的な例である。ここでは大切な駒がキングの背後でチェックにより素抜かれる。

クリングとホルビッツ作(1851年)
 白先白勝ち

 この局面は白クイーンがb3にあって他の者の作だともされてきた。しかし非常に基本的なものなのでルセナなら見つけたかもしれない。

1.Qb4!

 この手の意味はすぐに明らかになる。黒クイーンが対角斜筋上で移動すると、白クイーンは以下のように黒クイーンをb列に来させるようにチェックする。

1…Qh1 2.Qa3+ Kb6 3.Qb2+ Ka6

 3…Kc7 なら同じ狙い筋で 4.Qh2+! Qxh2 5.b8=Q+ から 6.Qxh2 が決まる。黒キングが対角斜筋上に逃れれば白キングが釘付けから逃れる。

4.Qa2+ Kb6 5.Qb1+! Qxb1 6.b8=Q+

 この手では 6.b8=R+ でも良い。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

世界のチェス雑誌から(164)

「Europe Echecs」2012年1月号(2/2)

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世界少年少女チェス選手権戦(続き)

中心となる新兵

 というしだいでビレルだけが入賞さらには優勝の可能性を維持していた。彼の実力は比較的高いほうだが参加部門の最上位者たちとは似たり寄ったりだった。しかしアルザス出身の少年は最後の2回戦で優勢な局面を得ながら崩れてしまった(0/2)。彼の世界チャンピオンになるという夢は消えてしまった。ビレルの潜在力は私の考えでは果てしない。勝負所で自分を制御できるようになればきっと表彰台の中央が彼に約束されるだろう。こういうわけで「小さな新兵たち」は獲物なしで帰ってくる。しかし皆それほど落ち込んでいなかった。アリエル・ル・バーユとロクサナ・ユグはレイティングをたくさんフランスに持ち帰った。

2011年の総決算はメダルゼロ

 フランスチェス連盟は今から既に具体的な準備と選抜選手の個人ごとの追跡を計画すると発表した。その目的は2012年のプラハでの次回ヨーロッパ選手権戦とマリボルでの次回世界選手権戦までに年少の代表選手たちが上達できるようにすることである。


14歳以下の部門で16位だったビレル・ベラセーヌ(左)


日本の国旗を掲げて


試合会場の小さなチャンピオンたち


ブラジルの国旗をつけて

名前              国         レイティング
S.アフラロ          フランス     2090
B.ベラセーヌ        フランス     2311
B.ド・タランス        フランス     2003
L.ディ・ニコラントニオ   フランス     2321
A.ゴリャチキナ       ロシア      2313
C.オセルノ          フランス     2100
R.ユグ            フランス     1510
S.ハデマルシャリエ    イラン      2215
A.ル・バーユ        フランス     1847
C.メニエ           フランス     1874
A.トマシ           フランス     1626
M.L.サリンベン      アルゼンチン  1732

解説 セシール・オセルノ(女流FIDEマスター)

C.オセルノ – M.L.サリンベン
フランス防御 [C11]
14歳以下女子
カルダス・ノバス、2011年、第1回戦

 これは第1回戦の試合である。相手は国際大会に出るのが初めてだった。だから彼女の試合の情報はほとんどなかった。

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6 4.e5

 戦型はシュタイニッツ防御になった。

4…Nfd7 5.f4 c5 6.Nf3 Nc6 7.Be3 a6 8.Qd2 b5 9.dxc5 Bxc5 10.Bxc5 Nxc5 11.Qf2 Qb6 12.Bd3

12…h6

 相手がごく最近指した1試合は知っていて、…h6 と突かずにキング翼にキャッスリングしていた。その対戦相手はビショップをh7で切ってすべての駒で黒キングを攻撃した。だからきっと同じ目に遭うことを恐れてこの無駄手を指したのだろう。定跡は 12…b4 13.Ne2 a5 14.O-O Ba6 15.f5 である。

13.O-O O-O 14.Ne2 Bb7 15.Ned4 Nd7

 15…Ne4 16.Qe3 は形勢互角である。

16.Kh1

 この手は釘づけをはずしいずれ Nxc6 でナイト同士を交換する際に …Qxf2+ という手を与えないようにするためである。白はキングがh1にいるので …Qxf2 がチェックにならず Rxf2 でクイーンを取る前に Ne7+ と指すことができ駒得になる。すぐに 16.Nxc6 と取ってもよく 16…Bxc6 17.Qxb6 Nxb6 18.Nd4 となる。

16…Nxd4 17.Nxd4 Qc7 18.Rae1

 e5のポーンを守っておけば安心して f5 と突くことができる。

18…Rac8 19.Qg3 Qc5

 19…Qb6 の方が良かった。

20.c3

20…b4?!

 黒は白の f5 突きからの攻撃を緩和するためにクイーンをキング翼に転回させるべきだった。20…Qe7 21.f5 Qg5 22.Qh3 Nc5 23.fxe6 Nxd3 24.Qxd3 fxe6 25.Nxe6 Rxf1+ 26.Rxf1 Qe7 27.Qg6

で白が優勢だが仕方ない。

21.f5 Rfe8

 21…bxc3 なら白はポーンを取り返す必要はない。代わりに 22.fxe6 Qxd4 23.exd7 Rcd8 24.e6 fxe6 25.bxc3 Rxf1+ 26.Rxf1 Qb6(26…Qxc3 は 27.Bh7+ でクイーンを素抜かれる)27.Qg6

で Qh7# がある。

22.f6

 二人とも残り時間はほとんど同じくらいでそれぞれ1時間ほどだった。ここでは 22.fxe6 fxe6 23.Qg6 Nf8 24.Rxf8+ Qxf8 25.Qh7+ Kf7 26.Rf1+ Ke7 27.Rxf8

と指してもよかった。

22…Qf8

 22…g5 は 23.h4 Qf8 24.hxg5 で負ける。また 22…g6 は 23.Bxg6 fxg6 24.Qxg6+ Kh8 25.Qg7# で負ける。

23.Rf4 Kh8 24.fxg7+ Qxg7 25.Rg4 Qf8 26.cxb4

26…Re7

 26…Qxb4 なら 27.Rh4 Qd2 28.Nf3 で黒クイーンがもうh6のポーンを守れない。

27.Qf4 f6

 27…f5 は 28.Rg6 Rce8 29.Rxh6+ Rh7 30.Rxe6 Rxe6 31.Nxe6

で負ける。

28.Rg6 fxe5 29.Rxh6+ Kg8 30.Qg4+ Rg7

 30…Qg7 は 31.Rg6 Nf8 32.Nxe6 Nxe6 33.Rxg7+

で白が勝つ。

31.Bh7+ Kh8 32.Bf5+ 1-0

 これで即詰みになる。初戦を飾れて非常にうれしかった。

フランスの成績

 フランスの9選手は誰もそれぞれの部門で10位以内に入れなかった。セシール・オセルノは開始順位3位、アルベール・トマシは開始順位9位、そしてビレル・ベラセーヌは開始順位11位だった。18歳以下の部門で開始順位50位だったアリエル・ル・バーユは最後は27位だった。開始順位56位のロクサナ・ユグは55位に終わったにもかかわらずレイティングが約31点上がった。

8歳以下男子/女子
アルベール・トマシ      26位 5.5点/9回戦
ベレニス・ド・タランス     28位 4.5点
12歳以下男子/女子
クレマン・メニエ        39位 5.5点
ロクサナ・ユグ         55位 4点
14歳以下男子/女子
ビレル・ベラセーヌ      16位 6点
セシール・オセルノ      18位 5.5点
16歳以下女子
ソフィー・アフラロ       30位 5点
18歳以下男子/女子
リュカ・ディ・ニコラントニオ 31位 5.5点
アリエル・ル・バーユ     27位 5点

メダル一覧と入賞国

 国別順位の第1基準は優勝者すなわち金メダルの総数で、メダルの総数ではない。だからインドでなくカザフスタンが2位になる。9カ国が少なくとも1個の金メダルを獲得した。ロシア3個、カザフスタン2個、インド1個、ペルー1個、米国1個、中国1個、グルジア1個、アルメニア1個、ベラルーシ1個。フランスと同様に西欧のどの国も1個の金メダルも獲得できなかった。

1位 ロシア      金3個、銀4個
2位 カザフスタン  金2個、銅1個
3位 インド      金1個、銀1個、銅3個

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(この号終わり)

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カテゴリ: 世界のチェス雑誌から3

フィッシャーのチェス(136)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 e列でよく起こる釘付けは多くの試合で致命的となっている。次の試合でフィッシャーはクイーンの両当たりによる助けという変わったひねりを効かせた。

フィッシャー対ビズガイアー
ブエノスアイレス、1970年
 11.Nd2

11…Bxh2+

 ナイトに 11…f5 で紐をつけるのは 12.Qh5+ でキング翼がひどく弱体化するので黒は攻撃にかけなければならない。もっとも 11…f5 に 12.f3 と突くのは 12…Bxh2+ から …Qh4(+) とやってこられる可能性があるのでこのような局面では慎重を期さなければならない。

12.Kf1!

 これで黒のナイトは助からない。12…f5 には 13.Qh5+ で両当たりがある。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

フィッシャーのチェス(135)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 ルークは収局でキングと1ポーンまたは2ポーンを両当たりにすることがある。しかし中盤戦では二重当たりの可能性はいわゆる「釘付け」に限られるのが普通である。釘付けは直線上の2駒に対する攻撃にほかならない。先頭の駒は動くと背後の駒が取られるので「釘付けにされている」と言われる。キングが背後の駒のときはその釘付けはもちろん絶対である(チェスの唯一の絶対的なものはキングの即死である)。実戦でも仕組みは同じで、上手な戦術家に対して駒損することはキングの死と同じことである。

 次の試合は中盤戦での多重釘付けの例である。局面は白が黒ナイトの釘付けを解消して黒ビショップを釘付けにしたところである。

べクスレル対フィッシャー
ブエノスアイレス、1960年
 32.Rd6!

 この手の狙いは 33.Rxd5 または 33.Bxd5 である。このあとの派手なチャンバラで黒は一歩及ばなかった。

32…Bxg2 33.Rxd3 Bxh3

 クイーンの前のナイトが釘付けにされている。それは 33…Nxd3 34.Bxc7 Nxc1 35.Bxb8 のあと黒駒の方が多く「当たり」になっていることによる。

34.Bxe5

 以下白の勝ちに終わった。黒は 34…Bxe5 と取り返せない。それは 35.Rd7+ がルークによる最後の両当たりでクイーンが落ちるからである。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

ポルガーの定跡指南(15)

「Chess Life」2003年3月号(3/3)

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ポルガーの定跡指南

GMスーザン・ポルガー

シチリア防御/スヘーファニンゲン戦法(続き)

シチリア防御 [B85]
白 GMユディット・ポルガー
黒 GMクルノスラフ・フラク
アムステルダム、1989年

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nc6 5.Nc3 Qc7 6.Be2 a6 7.O-O Nf6 8.Be3 Be7 9.f4 d6

 c)10.Qe1 Bd7 11.Qg3 O-O

 手順は異なるが戦型a)と似た局面になった。違いはユディットが Kh1 と指していないことである。

12.Rae1 b5 13.a3 Nxd4 14.Bxd4 Bc6 15.Bd3 Rab8

 この手の意図はb5のポーンの守りを増やして …a6-a5 と突けるようにすることである。しかし最善手ではなかったかもしれない。5年後に私の妹と対局したGMポルティッシュはこの手を改良して 15…Rae8 16.Qh3 e5 と指した。

16.e5 Ne8 17.f5 exf5 18.Rxf5 dxe5 19.Qh3!

19…h6

 19…exd4 なら白に 20.Rxf7! という手がある。また 19…g6 なら 20.Bxe5 Qb6+ 21.Kh1 Rd8 となったとき白はどう指したら良いだろうか。3手詰みが見えただろうか。22.Qxh7+! Kxh7 23.Rh5+ Kg8 24.Rh8# さらに 19…Bd7 はd5の地点への利きをなくす欠点がある。20.Nd5 Qd8 21.Nxe7+ Qxe7 22.Qxh7+ Kxh7 23.Rfxe5+ Kg8 24.Rxe7 となって白が1ポーン得になり収局で勝てる。

20.Bxe5 Qa7+?

 黒は狡猾に 20…Qb6+ 21.Kh1 Bd6 と守らなければならなかった。それでも 22.Rg5 Bxe5 23.Qxh6? と来れば 23…Bxg2+! でクイーンを素抜くことができる。

21.Kh1 Bd6

22.Rg5!

 13歳のユディットに妙手が出た。

22…Qf2

 22…Bxe5 23.Qxh6 g6 ならまたしても 24.Rh5! という妙手がある。

23.Rf1 Qxf1+

 黒はこう取るしかない。23…Qd2 は 24.Qf5 で見込みがない。

24.Bxf1 hxg5 25.Bd3

 黒はポーンを捨てて詰みを防ぐしかない。

25…f5 26.Bxf5 Bxe5 27.Qh7+ Kf7 28.Qg6+ Ke7 29.Qe6+ Kd8 30.Qxe5

 局面が一区切りついてみれば黒キングが中央列で露出していて白が攻め勝つ。

30…Rb7 31.Kg1 Rbf7 32.g4 g6 33.Qb8+ Ke7 34.Nd5+! Bxd5 35.Qe5+ Kd8 36.Qxd5+ Kc7 37.Qc5+ Kb8 38.Qb6+ Rb7 39.Qd8+ Ka7 40.Bxg6 黒投了

結論

 シチリア防御のスヘーファニンゲン戦法は活動的で面白く、黒に攻撃的で勝ちを目指す機会を与えてくれる布局である。しかしこの定跡は非常に深く研究されているので、これを自分の常用布局に加えたいのなら詳細に研究することを勧める。なぜならどちらにとっても一つのわずかな失着で負けにつながることがあるからである。

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2012年03月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(134)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 クイーンによる両当たりには幾何学的な特性がある。しかしビショップやナイトによる両当たりも伏線にある次の局面ではどれが最も魅力的な手だろうか?

フィッシャー対ビーチ
西部オープン、ミルウォーキー、1963年
 20…fxe6

21.Bh6! Qc7

 黒は 21…Bxh6 22.Qxe5 というクイーンによる両当たりを避けた。そのとき黒が 22…Ke7 で両方のルークを守ろうとするとすぐに詰まされる。また 22…O-O なら 23.Qxe6+ から Rxd5 と取られる。

22.Nd6+! Kd8

 今度は 22…Qxd6 23.Bxg7 というビショップによる両当たりを避けた。

23.Bxg7 Qxg7 24.Qxe5! 黒投了

 黒はナイトによる両当たり(24…Qxe5 25.Nf7+)を避けることができない。基本的な戦術が随所に現れていた。

(この章続く)

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カテゴリ: フィッシャーのチェス

名著の残念訳(36)

「ボビー・フィッシャー 魂の60局」

56 フィッシャー変化 254ページ
『白は a3 そして Rfb1、b4 からクイーン側を突破できるかもしれないが、黒にもそれを阻止する可能性がある。』

英文『White has possibilities of breaking on the Q-side after a3 followed by Rfb1 and b4, but Black can probably prevent this expansion.』

has possibilities は「可能性がある」ことで、can は「できる」である。probably については次の本(現在は第2版が出ている)に面白い説明がある。

「科学英語のセンスを磨く」鈴木英次著、化学同人発行、1999年第1版

J.B.C と J.O.C はそれぞれアメリカ化学会発行の「Journal of Biological Chemistry(1994年)」と「Journal of Organic Chemistry(1987年)」の略記。

試訳『白は a3 のあと Rfb1 から b4 でクイーン側を突破してくる可能性があるが、黒はそれを阻止することができるはずである。』

56 フィッシャー変化 256ページ
『黒は終盤戦で踏ん張るべきだったが、』

英文『Black should hold the ending,』

「べきだった(のにそうしなかった)」なら should have となる。ここでの should は「((当然))・・・べきである」でなく「((期待・可能性))・・・のはずである、きっと・・・だろう」の意味。should についても上記本に次のような説明がある。

試訳「黒は終盤で守りきれるはずだが、」

56 フィッシャー変化 257ページ
『争点となる変化』

英文『The critical line』

試訳「重要な変化」

2012年03月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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フィッシャーのチェス(133)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 この明快な着想の例をもう一つ。

フィッシャー対ニーバーゲルト
チューリヒ、1959年
 16…Nxe4

17.Rxf7! Rxf7 18.Bxf7+ Kh8

 18…Kxf7 は 19.Qc4+ でキングとビショップの両当たりがかかる。

(この章続く)

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フィッシャーのチェス(132)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 もちろん最も多く両当たりにできるのはクイーンである。第7章「がさつなクイーン」ではクイーンがいかに繊細な動きができるかを見てきた。ここではクイーンの多彩な威力の他の例を少し取り上げていく。

ケレス対フィッシャー
ブレッド、1959年
 24.Bb5

 ケレスのような注意深い戦術家でも動きの大きいクイーンによる両当たりをいかに見落としやすいかは驚くばかりである。

24…Qd5 25.Bxe8 Qxh1+ 26.Ke2 Rxe8+ 27.Kd3 Be1!

 最後の手は二重攻撃に対する受けの好例である。一方が他方を守っている。これについては別の章で詳しく取り上げる。

(この章続く)

2012年03月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(258)

「Chess Life」2011年12月号(1/4)

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グランドスラム大会

カールセンが2011年大会で優勝

ナカムラがオレンジジュース一杯で可能性をつぶす

GMイアン・ロジャーズ


GMヒカル・ナカムラ「チェスで大切なのは楽しむこととわくわくするチェスを指すことだ。人は永遠に生きられないのでどの試合でも何か新しいことと創造的なことをするようにしている。」

 マグヌス・カールセンが決定戦でワシリー・イワンチュクを破り2011年グランドスラムチャンピオンになった。ヒカル・ナカムラはたったジュース一杯の差で同点3位になった。

 2011年グランドスラム最終戦は超一流6選手による2回戦総当たりの大会で、ブラジルのサンパウロとスペインのビルバオに分かれて開催された。第6回戦が終わったところで世界チャンピオンのビスワーナターン・アーナンドも世界第1位のカールセンもそしてナカムラも逃げ切りを図る首位のワシリー・イワンチュクにとても追いつけそうになかった。

 サッカーの得点方式(ビルバオ方式、勝ちは3点、引き分けは1点、負けは0点)が用いられていてイワンチュクは他の選手に6点(2勝)差をつけ、カールセンを除く全員に勝っていた。

 折り返し点でのブラジルからスペインへの試合会場の移動はきっと若い選手を利すると予想されていた。しかし42歳のイワンチュクはビルバオでの初戦で23歳のナカムラをきっちり負かし、サンパウロで拳銃強盗にあった痛手からも回復しているように思われた。

 しかしここがイワンチュクの絶頂だった。最下位のパコ・バリェホに負け、そのあとはカールセンとナカムラに差を詰められてきた。

 最終戦の前の回で衝撃的に大会の帰趨(きすう)が決まった。まず、アーナンドが世界第3位のレボン・アロニアンに2時間で惨敗した。これで世界チャンピオンの優勝の可能性がなくなった。

 次にカールセンは大会前半で早々とバリェホに番狂わせの負けを喫したあとまなじりを決してやっていかなければならなくなっていたが、イワンチュクを粉砕して彼と並んだ。

 ナカムラは前の回でアロニアンに勝っていたが、第1巡でかなり頑張ったようにバリェホを負かすことができれば首位に並ぶこともできたはずだった。

 不安定な序盤のあとナカムラ(黒番)は1ポーン得になった。そしてそれからたぶん生涯で最悪の愚行をしでかした。

 40.Ra1

 局面は極度の時間不足に陥っていたバリェホがちょうどルークをa1に引いたところで、5秒しか残っていなかった。

 ここでナカムラはスウェーデン人審判のアニル・スレンデルの方を見上げて「40手になったか?」と聞いた。審判はどちらにしろナカムラに教えることは許されないので何も言わなかった。もっとも彼は無意識にナカムラにとってうなづいたように解釈できる体の動きをした。

 規定手数に達したと納得したナカムラはオレンジジュースをコップに注ぎに行った。しかし彼が席を離れている間に45秒の残り時間は刻々と過ぎてなくなりバリェホの勝ちになった。

1-0 黒の時間切れ

 当然ナカムラは非常にあわてて正式な抗議を行なったが、すぐに大会の技術主任のフアン・カルロス・フェルナンデスによって却下された。

 ナカムラはあとでこれは今までで最も手痛い負けだとツイッターに書いた。ポーン得を勝ちに結び付けていたら最終戦を前に首位に並んでいただろう。しかしこれは自分の責任であることも認めていた。

 ナカムラが審判に聞いた時点でバリェホの時計は既に2番目の持ち時間を刻んで1時間15秒を示していた(バリェホが40手指したことを意味していた)。一方ナカムラの時計はまだ秒を刻んでいて1時間が追加されていなかった(ナカムラがまだ40手に達していないことを意味していた)。ナカムラが審判でなく両方の時計を見ていたら規定手数に達するためにもう1手指さなければならないことが容易に分かって、40…R1d7 から 41…Kg7 と指していただろう。それなら勝つ可能性があった。

 イワンチュクはアインシュタインの逸話で9回戦の記者会見を締めくくった。ナカムラは今日でもアインシュタインの引用が当てはまると分かるかもしれない。「無限なものは二つある。それは宇宙と人間の愚かさである。そして私は宇宙についてはあまり自信がない。」

グランドスラム最終戦
サンパウロ/ビルバオ
最終成績(勝ちは3点、引き分けは1点)
=1位 カールセン(ノルウェー)、イワンチュク(ウクライナ)15点
=3位 ナカムラ(米国)、アーナンド(インド)、アロニアン(アルメニア)12点
6位 バリェホ(スペイン)10点

グランドスラムとは何か
 グランドスラムは毎年開催される最強のグランドマスター大会のいくつかの協力で行なわれる企画である。
 2010-11年はベイクアーンゼー、リナレス、南京それにバズナが該当した。各大会の優勝者と主催者推薦の2名がサンパウロ/ビルバオに進出した。ただし2年連続してカールセンが複数のグランドスラム大会に優勝したので選出が混乱した。(リナレスでの「チェスのウィンブルドン」がスペインの経済危機によりキャンセルされたことが主催者の困難に輪をかけた。)
 ナカムラは世界の最強選手のほとんどを抑えて1月にベイクアーンゼーで優勝したことによりグランドスラム最終戦に進出した。

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(この号続く)

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フィッシャーのチェス(131)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 フィッシャーは1955年の米国ジュニア選手権戦で同種の両当たりを食らう側だった。ここではクイーンによる両当たりだった。

フィッシャー対ウォーナー
リンカン、1955年
 26.Qh6

26…Re2 27.Rd2 Rxd2 28.Qxd2 Qe5+ 白投了

(この章続く)

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フィッシャーのチェス(130)

第4部 手筋(続き)

第15章 フォークとナイフ(続き)

 動いていないルークはよく対角斜筋の両当たりの標的になる。次の局面でフィッシャーはそれを利用してポーンをかすめ取った。

カルドーソ対フィッシャー
番勝負、ニューヨーク、1957年
 32.fxg4

32…Rd2! 33.Qxd2 Bxe4+ 34.Bc2 Bxh1

 そしてフィッシャーの勝ちに終わった。

(この章続く)

2012年03月01日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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